JP4979543B2 - 熱転写受像シート - Google Patents

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Description

本発明は染料熱転写受像シートに関する。
昇華性染料を記録剤とし、これを基材に担持させた熱転写シートを用いて、昇華性染料で染着可能な熱転写受像シート上にカラー画像を形成する方法が提案されている。これは加熱手段としてプリンターのサーマルヘッドなどを使用し、加熱によって染料を受像シートに転写させてカラー画像を得るものである。このようにして形成された画像は、染料を用いることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調性に優れ、高品質の画像が期待できる。
上記熱転写受像シートは、通常、昇華性染料を受容する染料受容層と、これを設ける紙やプラスチック等の基材とからなり、高濃度の転写画像を得るために、該基材には、断熱性やクッション性が求められる。
このような熱転写受像シートとしては、例えば、シート状支持体上に、熱可塑性樹脂と無機顔料とを主成分として含有し、空隙構造を有する単層の延伸多孔質フィルムからなる表面層、多層構造の延伸多孔質フィルムからなる裏面層及び上記表面層上に設けられた受像層を有する染料熱転写受像シート(特許文献1)、基材の一方の面に、染料受容層及び体積中空率が50%以上の中空カプセルを含む樹脂層を設けてなる熱転写受像シート(特許文献2)などが開示されている。
特開平5−169864号公報 特開平5−147364号公報
しかしながら、前記特許文献1の技術では、多孔質フィルムを設けることはコスト面から不利であるとともに、その上に受像層を塗工する際に、環境性の観点から水系の塗工液を用いた場合、ハジキ等により十分な製膜がなされないことがある。その結果、染料の転写性も不十分となり、得られる転写画像の画像性能が十分でないという課題があった。また、特許文献2の技術では、製造工程が煩雑となり、コスト的にも満足できるものではなかった。
本発明は、安価で、印字感度に優れ、かつ高濃度の画像を得ることができるため、優れた画像性能を有する熱転写受像シート、及びその製造方法を提供する。
本発明は、
(1)少なくとも基材と染料受容層とからなる熱転写受像シートにおいて、前記基材が原料パルプとパルプ繊維間の結合を阻害する剤(結合阻害剤)とを主成分とする熱転写受像シート、及び
(2)原料パルプと、パルプ繊維間の結合を阻害する剤(結合阻害剤)とを用いて基材を得る工程(1)、及び工程(1)で得られた基材の少なくとも一方の面に、染料受容層を設ける工程(2)、を有する熱転写受像シートの製造方法。
に関する。
本発明によれば、安価で、断熱性及びクッション性に優れ、印字感度に優れ、かつ優れた画像性能が得られる熱転写受像シート、及びその製造方法を提供することができる。
[熱転写受像シート]
本発明の熱転写受像シートは、少なくとも基材と染料受容層とからなる熱転写受像シートにおいて、前記基材が原料パルプとパルプ繊維間の結合を阻害する剤(以下、結合阻害剤という)とを主成分とするものである。
(基材)
本発明における基材は、原料パルプと結合阻害剤とを主成分とするものであり、一般に原料パルプと結合阻害剤とを含有する紙が用いられる。原料パルプとしては特に制限はなく、天然パルプ、合成パルプ、再生パルプ、それらの混合物のいずれも使用できる。
上記基材に使用される紙としては、上記原料パルプからなり、これとパルプ繊維間の結合阻害剤とを主成分として含有するものであれば特に制限はなく、一般に当該分野で使用することができる紙にパルプ繊維間の結合阻害剤が添加されたものがいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙等の各種の紙に結合阻害剤を含有させたものが使用でき、コスト及び高画質を得る観点から、上質紙、コート紙、キャストコート紙が好ましい。
本発明における基材は、原料パルプと結合阻害剤とを主成分とし、基材中に、これらを好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上含有するものである。
本発明における結合阻害剤とは、疎水基と親水基を持つ有機化合物で、下記試験方法で引張り強度の低下作用を有するものであることが好ましい。上記結合阻害剤の使用により、優れた画像性能が得られる熱転写受像シートが得られる理由については、上記結合阻害剤によりパルプ繊維間の結合が阻害され、その結果、得られる紙の密度及び坪量が通常の紙に比較して小さくなる。従って、得られる紙は嵩高となり、断熱性、クッション性を付与しうると考えられる。そして、断熱性が高まることにより熱エネルギーが染料層に集中し、さらに、クッション性を高めることにより、染料受容層と染料層との密着性が向上することにより高画質化が得られるものと考えられる。
引張り強度の試験方法
目的の紙を構成するパルプ組成物に、全重量中パルプ繊維が100%を占める絶乾パルプ100重量部に対し0.3重量部の試験化合物を配合したパルプスラリーを用いて、実験用配向性抄紙機(熊谷理機社製)で、回転速度900rpmにて抄紙し、JIS8209の方法に従ってプレス、乾燥を行う。なお、乾燥条件については、送風乾燥機により、50℃、1時間処理する。この試験用紙を、23℃、相対湿度50%の環境下に24時間保管した後、JIS P8113に従って、引張り強度を測定する。
尚、引張り強度の低下率が少ないものは嵩高効果、すなわち透気性の向上効果が少なく、そのため結合阻害剤を多量に添加する必要がある。低下率が大きいものは結合阻害剤の少量の添加で嵩高効果がある。従って、引張り強度が低下する結合阻害剤であればいずれのものも使用可能であるが、0.3%配合時の低下率が5〜30%のものが好ましく、8〜20%のものがより好ましい。
結合阻害剤としては、例えば、WO98/03730号公報、特開平11−200284号公報、特開平11−350380号公報、特開2003−96694号、特開2003−96695号公報等に示される化合物等が挙げられる。具体的には、高級アルコールのエチレンおよび/またはプロピレンオキサイド付加物、多価アルコール型非イオン型界面活性剤、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のエチレンオキサイド付加物、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸ジアミドアミン、脂肪酸モノアミド、ポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロロヒドリン縮合物などを使用することができ、これらを単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。好ましくは多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、脂肪酸ジアミドアミン、脂肪酸モノアミド、ポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロロヒドリン縮合物等である。上市されている結合阻害剤(嵩高薬品とも呼ばれる)としては、BASF社のスルゾールVL、Bayer社のバイボリュームPリキッド、花王(株)のKB−08T、08W、KB110、115、三晶(株)のリアクトペイク、日本PMC(株)のPT−205、日本油脂(株)のDZ2220、DU3605、荒川化学(株)のR21001といった薬品があり、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明においては、上記結合阻害剤は、嵩高性能及び基材の強さ(腰の強さともいう)を両立する観点から、基材中に、原料パルプ100重量部に対して0.1〜10重量部含有されることが好ましく、より好ましくは、0.1〜8重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部含有される。
上記結合阻害剤の使用により、本発明の基材は、その坪量が、好ましくは120〜200g/m2であり、嵩高性能及び基材の強さの観点から、より好ましくは140〜200g/m2、更に好ましくは160〜200g/m2である。また、基材の密度は、同様の観点から、好ましくは0.8〜1.0g/m3であり、嵩高性能の観点から、より好ましくは0.8〜0.98g/m3、更に好ましくは0.8〜0.95g/m3である。
本発明においては、上記結合阻害剤は、例えば、通常の製紙工程において、充填材等の他の添加剤とともに、そのままもしくは水等の溶媒で希釈してパルプスラリーに添加することができる。具体的には、原紙は、上記密度、坪量を実現するためには、上記結合阻害剤を内添薬剤としてパルプ調製の段階で添加して製造することができる。
上記基材には、上記結合阻害剤とともに、熱転写受像シート用の基材に通常用いられる添加剤、例えば、充填剤、顔料等を適宜使用することができる。
基材の厚みは、断熱性・クッション性を高め高画質を得る観点から、好ましくは120〜300μmであり、より好ましくは、150〜300μm、更に好ましくは170〜300μmであり、特に好ましくは200〜300μmである。上記の如き基材には、染料受容層との密着力を向上する観点から、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すことができる。
(染料受容層)
本発明の熱転写受像シートは、上記基材の少なくとも一方の面に、染料受容層を有する。染料受容層は、染料受容層用樹脂分散液を塗工液として、上記基材上に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布し乾燥して形成することによって得ることができる。
染料受容層用樹脂分散液
染料受容層に用いられる染料受容層用樹脂分散液(以下、単に「樹脂分散液」ということがある)としては、水性媒体中にポリエステルを分散した樹脂分散液を用いることが好ましい。該ポリエステルとしては特に制限はなく、原料成分として公知のアルコール成分と公知のカルボン酸成分を縮重合して得られる。
上記ポリエステルを形成する原料モノマーであるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上記ポリエステルの原料成分であるアルコール成分として、離型性及び染着性の観点から、式(1)
Figure 0004979543
(式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、かつxとyの和の平均値が2〜7である。)
で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、上記観点から、原料アルコール成分中に50モル%以上含有されることが好ましく、より好ましくは70モル%以上含有され、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは100モル%含有される。
一般式(1)において、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基を表わす。x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を表わし、各々正の数である。各Rは同一でも異なっていてもよいが、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は2〜7であり、好ましくは2〜5である。
上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物としては、具体的には、上記付加モル数を有するポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
また、原料成分としてのカルボン酸成分としては、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルは、例えば、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。本発明の熱転写受像シートの離型性の及び染着性の観点から、原料のポリエステルはブロードな分子量分布を有するものであることが好ましく、エステル化触媒を用いて縮重合をすることが好ましい。エステル化触媒としては、錫触媒、チタン触媒、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、2酸化ゲルマニウム等の金属化合物等が挙げられる。
熱転写受像シートの離型性、染着性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜250℃であることが好ましく、120〜250℃がより好ましい。また、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。酸価は、ポリエステルを含む樹脂を水性媒体中での分散性、すなわち乳化性の観点から、1〜35mgKOH/gが好ましく、5〜35mgKOH/gがより好ましい。ガラス転移点、軟化点及び酸価は、いずれも用いるモノマーの種類・配合比率、縮重合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
また、熱転写受像シートを得る際の成膜性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
尚、本発明において、ポリエステルには、上記範囲範囲内において、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
本発明において、ポリエステルは、ポリエステル以外の他の樹脂とともに用いることができる。ポリエステル以外の樹脂としては、熱転写受像シートの受容層として用いられる公知の樹脂、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル、ポリビニルアセタール等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができ、熱転写受像シートの離型性、染着性の観点から、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートが好ましい。
本発明においては、ポリエステルは、環境性の観点から、これを含む樹脂を水性媒体中に分散させてなる樹脂分散液中の樹脂粒子として、離型剤等とともに樹脂分散液中に含有されることが好ましい。ポリエステルを含む樹脂中のポリエステルの含有量は、染料の染着性の観点から、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、100重量%であることが更に好ましい。
上記ポリエステルを分散させる水性媒体とは、水を主成分とするもの、すなわち、水が50%以上のものである。環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
ポリエステルを分散した樹脂分散液中の樹脂粒子は、熱転写受像シートを得る際の成膜性の観点から、その体積中位粒径(D50)が1μm以下であることが好ましく、20nm〜1μmであることがより好ましく、更に好ましくは50〜800nmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。その測定方法は後述の通りである。
ポリエステル又はこれを含む樹脂は、熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、上記樹脂分散液の固形分中に、80〜100重量%含有されることが好ましく、より好ましくは85〜100重量%含有され、更に好ましくは90〜100重量%含有される。
上記樹脂分散液は、前記ポリエステル又はこれを含む樹脂をケトン系溶剤に溶解させ、中和剤を加えて該ポリエステル又はこれを含む樹脂のカルボキシル基をイオン化し、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相する方法により得ることができる。具体的には、例えば、攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管を備えた反応器を準備し、ケトン系溶剤に溶解したポリエステル又はこれを含む樹脂に、中和剤等を加え、カルボキシル基をイオン化し(すでにイオン化されている場合は不要)、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相する。ケトン系溶剤への溶解、中和剤の添加は、通常ケトン系溶剤の沸点以下の温度で行い、また、ここで用いられる水としては、例えば脱イオン水等が挙げられる。
ここで用いられるケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等が挙げられ、樹脂の溶解性及び溶剤の留去の容易性の観点から、好ましくは、メチルエチルケトンである。
また中和剤としては、例えばアンモニア水、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液、アリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、n−プロパノールアミン、ブタノールアミン、2−アミノ−4−ペンタノール、2−アミノ−3−ヘキサノール、5−アミノ−4−オクタノール、3−アミノ−3−メチル−2−ブタノール、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ネオペンタノールアミン、ジグリコールアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、1,9−ジアミノノナン、1,12−ジアミノドデカン、二量体脂肪酸ジアミン、2,2,4,−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4,−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、N−アミノプロピルジピペリジプロパン、ピペラジン等のアミン類等を挙げることができる。これらの中和剤の使用量は、少なくともポリエステルを含む樹脂の酸価を中和できる量であればよい。
上記樹脂分散液は、その保存安定性、及びこの樹脂分散液を用いて得られた熱転写受像シートの保存安定性、離型性の観点から、その固形分のガラス転移点が40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは50〜75℃である。また軟化点は80〜250℃であることが好ましく、より好ましくは120〜220℃である。数平均分子量は、前記ポリエステルの分子量と同様である。
上記樹脂分散液中の固形分濃度は、生産性の観点から、20〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜40重量%、更に好ましくは30〜40重量%である。また、樹脂分散液の25℃におけるpHは樹脂分散液の保存安定性の観点から、5〜10であることが好ましく、より好ましくは6〜9、更に好ましくは7〜9である。
樹脂分散液は、上記ポリエステルとともに離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、水分散性あるいは水溶性の変性シリコーンオイル及び/又は無水珪酸の微粒子のコロイド溶液(例えば、コロイダルシリカ)等を使用することが好ましい。上記無水珪酸の微粒子のコロイド溶液中の平均粒径は熱転写受像シート中の分散性の観点から、100nm以下が好ましく、20nm以下のコロイダルシリカを使用することがより好ましい。樹脂分散液には、上記離型剤以外に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の離型剤を含有することができる。これらの離型剤は、熱転写受像シートの離型性・染着性の分散性の観点から、樹脂分散液中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含有することが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部含有することができる。
また、樹脂分散液には、染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を高める観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を含有することができる。これらの顔料や充填剤は、熱転写受像シートの白色度の観点から、樹脂分散液中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部含有することができる。
樹脂分散液には、更に必要に応じて、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの造膜剤、架橋剤、硬化剤、触媒等の添加剤を含有することもできる。
なお、上記樹脂分散液には、得られるポリエステルが自己分散性を有すること、及び熱転写受像シートの疎水性を向上させる観点から、界面活性剤を含有しないことが好ましい。
また、本発明においては、染料受容層用樹脂分散液とともに、熱転写受像シートと昇華性染料を有する転写シートとの離型性が改善し、画質を向上させる観点から、オキサゾリン基を有する化合物を使用することが好ましい。
オキサゾリン基を有する化合物(以下、「オキサゾリン化合物」ということがある)としては、分子内にオキサゾリン基を複数含有するものが使用可能である。分子内にオキサゾリン基を複数含有する化合物としては、2,2−(1,3−フェニレン)−ビス2−オキサゾリン、2,2−(1,4−フェニレン)−ビス2−オキサゾリンなどの2官能タイプ;オキサゾリン基を含有する重合性単量体を重合した多官能タイプ(重合体)が挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、ポリエステルを含有する樹脂との反応による架橋効果が効果的に発現しうる観点から、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましく用いられる。架橋反応が促進されることにより、樹脂分散液を構成する樹脂の分子量が高くなり、熱転写受像シートと昇華性染料を有する転写シートとの離型性が改善されるものと考えられる。オキサゾリン基を含有する重合体は、例えば、オキサゾリン基を含有する重合性単量体を重合することによって得られる。必要に応じて、オキサゾリン基を有する重合性単量体と共重合可能な、オキサゾリン基を有しない重合性単量体との共重合によって得られる。
オキサゾリン基を有する重合性単量体としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5− メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2− オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2− オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2− オキサゾリン等が挙げられる。これらは1種類のみを用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが、工業的に入手しやすいため好ましい。
オキサゾリン基を有しない重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、(メタ)アクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N −(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン含有α,β−不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族炭化水素;等を挙げることができる。これらは1種類のみで用いても、2種類以上を併用してもよい。
オキサゾリン基を含有する重合体は、その重量平均分子量は、樹脂粒子との反応性および生産性の観点から、500〜2,000,000であることが好ましく、1,000〜1,000,000であることがより好ましい。
本発明において、オキサゾリン化合物は粉体粒子として用いることもできるが、ポリエステルとの反応性及び生産性の観点から、水性媒体中に分散若しくは溶解されたものとして含有されることが好ましい。水性媒体中に分散されたものである場合、オキサゾリン化合物の分散粒子は、ポリエステルを含有する樹脂との反応性の観点から、その体積中位粒径(D50)が0.02〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8μmである。また、オキサゾリン化合物が分散若しくは溶解される水性媒体としては、前述のものが同様に用いられる。
尚、オキサゾリン基を含有する重合体の一般的な市販品としては、株式会社日本触媒製のエポクロスWSシリーズ(水溶性タイプ)、Kシリーズ(エマルションタイプ)などが使用可能である。
上記オキサゾリン化合物の含有量は、ポリエステルとの架橋反応性及び生産性の観点から、ポリエステル100重量部に対して、固形分として0.1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。
上記オキサゾリン化合物は、上記樹脂分散液とともに、塗工液として、上記基材に塗布しても良いし、上記樹脂分散液と予め混合してから、塗工液として、上記基材に塗布しても良い。予め混合する場合は、水系媒体中で、ポリエステルとオキサゾリン化合物とを、好ましくは0〜100℃で、より好ましくは70〜98℃で混合する。
染料受容層
染料受容層は、前述の通り、染料受容層用樹脂分散液を塗工液として、上記基材上に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布及び乾燥して形成することによって得られる。以上の如く形成される染料受容層の厚さは、一般には1〜50μmの厚さであり、画質及び生産性の観点から、3〜15μmであることが好ましい。
染料受容層には、転写時に熱転写シートとの離型性を更に向上させる観点から、離型剤を含む離型層を形成することができる。好ましい離型層としては、ポリエーテル変性、ヒドロキシ変性、アミノ変性、カルボキシ変性、メルカプト変性等の各変性シリコーンを用いることが好ましく、この変性シリコーンは、必要に応じて架橋剤を用いて架橋させてもよい。
本発明の熱転写受像シートは、前記基材の少なくとも一方の面に上記染料受容層を形成してなるものである。
[熱転写受像シートの製造方法]
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、原料パルプと結合阻害剤とを用いて、基材を得る工程(1)、及び工程(1)で得られた基材の少なくとも一方の面に、染料受容層を設ける工程(2)を有するものである。
工程(1)における原料パルプ、結合阻害剤及び基材、及び工程(2)の染料受容層の詳細については、前述の通りである。紙の製造については、従来公知の方法、具体的には前述の方法が使用できる。本発明の熱転写受像シートは、前記工程(1)で得られた基材の少なくとも一方の面に、前記樹脂分散液を用いて染料受容層を形成して得られる。
[熱転写方法]
本発明においては、前述の基材に上記受容層を設けてなる熱転写受像シートの受容層面に、昇華性染料を有する転写シートを、加熱下圧着し、染料の転写を行って、転写画像を得る。
本発明の熱転写受像シートを使用して熱転写を行う際に使用する転写シートは、通常、紙やポリエステルフィルム上に昇華性染料を含む染料層を設けたものであり、従来公知の転写シートをいずれも使用することができる。
本発明の熱転写受像シートに好適に使用できる昇華性染料としては、例えばイエロー染料では、ピリドンアゾ系、ジシアノスチリル系、キノフタロン系、メロシアニン系;マゼンタ染料では、ベンゼンアゾ系、ピラゾロンアゾメチン系、イソチアゾール系、ピラゾロトリアゾール系;シアン染料では、アントラキノン系、シアノメチレン系、インドフェノール系、インドナフトール系が挙げられる。
また、熱転写時の熱エネルギーの付与手段としては、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例えば、サーマルプリンター等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって行うことが出来る。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[ポリエステルの軟化点及びガラス転移点]
(1)フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製、Pyris6DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
[樹脂の数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、THFを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
[ポリエステルを含む樹脂粒子の粒径]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で、体積中位粒径(D50)を測定する。
[ポリエステルを分散した樹脂分散液の固形分濃度]
赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
製造例1(ポリエステルAの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 17,500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 16,250g、テレフタル酸 11,454g、ドデセニルコハク酸無水物 1,608g、トリメリット酸無水物 4,800g及びジブチル錫オキサイド 15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルAを得た。得られたポリエステルAの軟化点は125℃、ガラス転移点は65℃であり、酸価は19mgKOH/g、数平均分子量は3580であった。
製造例2(ポリエステル分散液aの製造)
窒素導入管、還流冷却管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコにポリエステルA 300gを入れ、40℃でメチルエチルケトン 540gに溶解させた。次いで、NN‐ジメチルエタノールアミン7.9gを添加して、攪拌下で脱イオン水718gを加えた後、減圧下50℃でメチルエチルケトンを留去し、ポリエステル分散液aを得た。得られたポリエステル分散液aのpHは8.4であり、該分散液中のポリエステル粒子の体積中位粒径(D50)は100nm、固形分は31.9%であった。
製造例3(ポリエステル分散液A製造)
ポリエステル分散液a 300g、オキサゾリン基含有重合体(日本触媒社製 エポクロスWS−500)9.2gを窒素導入管、還流冷却管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、攪拌下95℃で4時間反応させ、ポリエステル分散液Aを得た。得られたポリエステル分散液AのpHは8.0であり、該分散液中のポリエステル粒子の体積中位粒径(D50)は100nm、固形分は32.1%であった。
製造例4(塗工液Aの製造)
固形分を30重量%に調整したポリエステル分散液A 2.5g、ブチルカルビトールアセテート0.08g、及びポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業製KF615A)0.04gを混合し、塗工液Aを得た。
製造例5(塗工紙Aの製造)
パルプ原料として、化学パルプLBKP(広葉樹晒パルプ)を用い、25℃で叩解機にて離解、叩解してパルプ濃度2.2重量%のLBKPスラリーとした。このLBKPスラリーを抄紙後のシートの坪量が約116g/m2になるように計り取り、パルプ100重量部に対して結合阻害剤として花王(株)KB−110を1.2重量部と填料として軽質炭酸カルシウムを8重量部を添加し攪拌後、パルプ濃度が0.5重量%になるように水で希釈し、攪拌後角型タッピ抄紙機にて80メッシュワイヤーで抄紙し、湿潤シートを得た。抄紙後の湿潤シートは、3.5kg/cm2で5分間プレス機にてプレスし、ドラムドライヤーを用い、105℃で2分間乾燥してパルプシートを得た。得られたパルプシートを23℃、相対湿度50%の条件で12時間調湿後、原紙の表面粗さを揃える目的で下記条件でパルプシートのカレンダー処理を行い、その後23℃、相対湿度65%の条件で12時間調湿後、未塗工原紙を得た。
得られた未塗工原紙に、ブラジル産カオリン(商品名:カピムDG/イメリス製、体積分布粒径0.4〜4.2μm:71.7%)70重量部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−123CS/奥多摩工業製)30重量部、密実プラスチックピグメント(商品名:V−1004/日本ゼオン製、平均粒径0.32μm、ガラス転移温度85℃)30部からなる顔料に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.1重量部、バインダーとしてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス13.5重量部、澱粉3.5重量部を加え、さらに水を加えて固形分濃度60%に調整したキャスト面用塗工液を塗工量が12g/m2となるようにブレードコーターで塗工、乾燥した。これに続いて、微粒カオリン(アマゾンプラス/カダム製、体積分布粒径0.4〜4.2μm:42.0%)80重量部、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90/ファイマテック製、体積分布粒径0.4〜4.2μm:65.0%)20重量部、密実プラスチックピグメント(商品名:V−1004/日本ゼオン製、平均粒径0.32μm、ガラス転移温度85℃)20重量部からなる顔料に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.1部、バインダーとしてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス13.5部、澱粉3.5重量部を加え、さらに水を加えて固形分濃度60%に調整したコート面用塗工液を塗工量が12g/m2となるようにブレードコーターで塗工、乾燥した。この後、スーパーカレンダーによる表面処理を行った。
このようにして得られた塗工紙のキャスト面をリウェット液(ヘキサメタリン酸ナトリウム0.5%濃度)によって塗工層表面を再湿潤した後、フォーミングロールとキャストドラムによって形成されるプレスニップに通紙し、速度150m/min、表面温度115℃のキャストドラムに圧接、乾燥した後、ストリップオフオールでキャストドラムから離型することによって基材であるキャスト塗工紙Aを得た。得られた基材である塗工紙Aは、坪量190g/m2、紙厚210μm、密度0.90g/cm3であった。
製造例6(塗工紙Bの製造)
結合阻害剤として花王(株)KB−110を0.9重量部にする以外は塗工紙Aと同様にして塗工紙Bを得た。得られた塗工紙Bは、坪量160g/m2、紙厚173μm、密度0.92g/cm3であった。
製造例7(塗工紙Cの製造)
結合阻害剤として花王(株)KB−110を0.6重量部にする以外は塗工紙Aと同様にして塗工紙Cを得た。得られた塗工紙Cは、坪量140g/m2、紙厚150μm、密度0.93g/cm3であった。
製造例8(塗工紙Dの製造)
結合阻害剤として花王(株)KB−110を添加しないこと以外は塗工紙Aと同様にして塗工紙Dを得た。得られた塗工紙Dは、坪量158g/m2、紙厚150μm、密度1.05g/cm3であった。
実施例1〜3及び比較例1
塗工紙A〜C(実施例1〜3)及び塗工紙D(比較例1)の各々に塗工液Aをワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が5.0g/m2になるように25℃で塗布および60℃で乾燥させて熱転写受像シートを得た。この熱転写受像シートに昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY)を用いてモノクロの階調パターン(18階調)を印画し、印字感度、最高濃度をそれぞれ下記のように測定し評価した。結果を表1に示す。
評価方法
(印字感度)
低濃度印画(9階調目)での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH製)で測定した。
(最高濃度)
高濃度印画(18階調目)での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH製)で測定した。
Figure 0004979543
本発明の熱転写受像シートは、印字感度に優れ、かつ高濃度の画像を得ることができることから、優れた画像性能を有する熱転写受像シートとして好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 少なくとも基材と染料受容層とからなる熱転写受像シートにおいて、前記基材が原料パルプとパルプ繊維間の結合を阻害する剤(結合阻害剤)である多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物とを主成分とする熱転写受像シートであって、前記基材中に、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物を、原料パルプ100重量部に対して0.1〜10重量部含有する、熱転写受像シート
  2. 前記基材中の多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物の含有量が、原料パルプ100重量部に対して0.9〜5重量部である、請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 前記基材の秤量が、160〜200g/m 2 である、請求項1又は2に記載の熱転写受像シート。
  4. 前記基材の密度が0.8〜1.0g/m3である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写受像シート。
  5. 前記基材の厚さが120〜300μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写受像シート。
  6. 染料受容層がポリエステルからなる、請求項1〜のいずれかに記載の熱転写受像シート。
  7. 染料受容層が、さらにオキサゾリン基を有する化合物を含む、請求項1〜のいずれかに記載の熱転写受像シート。
  8. 原料パルプと、パルプ繊維間の結合を阻害する剤(結合阻害剤)である多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物とを用いて基材を得る工程(1)、及び工程(1)で得られた基材の少なくとも一方の面に、染料受容層を設ける工程(2)、を有する熱転写受像シートの製造方法であって、工程(1)において、前記基材中に、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物を、原料パルプ100重量部に対して0.1〜10重量部含有する、熱転写受像シートの製造方法
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