JPH09300811A - インクジェット記録用キャスト塗被紙 - Google Patents

インクジェット記録用キャスト塗被紙

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JPH09300811A
JPH09300811A JP8120308A JP12030896A JPH09300811A JP H09300811 A JPH09300811 A JP H09300811A JP 8120308 A JP8120308 A JP 8120308A JP 12030896 A JP12030896 A JP 12030896A JP H09300811 A JPH09300811 A JP H09300811A
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雅美 久保田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、インクジェット記録用キャスト塗
被紙に関し、特に優れた白紙表面光沢を有し、優れたイ
ンクジェット記録(印字)適性を備え、更にインクジェ
ットプリンター記録の際の搬送性に優れたキャスト塗被
紙に関する。 【解決手段】 支持体に、エチレン性不飽和結合を有す
るモノマーを重合させてなる重合体樹脂を含有する塗被
液を塗被してキャスト用塗被層を形成し、加熱された鏡
面ドラムに圧接、乾燥して仕上げるインクジェット記録
用キャスト塗被紙であり、キャスト用塗被層がポリテト
ラフルオロエチレン微粒子を含有するインクジェット記
録用キャスト塗被紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用キャスト塗被紙に関し、特に優れた白紙表面光沢を
有し、優れたインクジェット記録(印字)適性を備え、
インクジェットプリンター記録の際の搬送性に優れたキ
ャスト塗被紙に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェットプリンタによる記
録が、騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多
色化が容易なために多方面で利用されている。インクジ
ェット記録用紙としては、インク吸収性に富むように工
夫された上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗被紙
等が適用されている。ところで、これらの用紙はすべて
表面光沢の低い、所謂マット調のインクジェット記録用
紙が主体である。しかしながら、最近、インクジェット
記録の高速化、記録画像の高精細化、フルカラー化とい
った用途の拡大に伴い、表面光沢の高い、優れた外観を
持つインクジェット記録用紙が要望されている。
【0003】一般に、表面光沢の高い用紙としては、表
面に板状顔料を塗被し、さらに、必要に応じてキャレン
ダー処理を施した高光沢を有する塗被紙、あるいは湿潤
塗被層を鏡面を有する加熱ドラム面に圧着、乾燥するこ
とにより、その鏡面を写し取ることによって得られる、
所謂キャスト塗被紙等が知られている。
【0004】このキャスト塗被紙はスーパーキャレンダ
ー仕上げされた通常の塗工紙に比較して高い表面光沢と
より優れた表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得られ
ることから、高級印刷物等の用途に専ら利用されている
が、インクジェット記録用紙に利用した場合、種々の難
点を抱えている。即ち、一般にキャスト塗被紙は、その
塗被層を構成する顔料組成物中の接着剤等の成膜性物質
がキャストコーターの鏡面ドラム表面を写し取ることに
より高い光沢を得ているが、インクジェット記録用紙と
して使用した場合、これらの成膜性物質がインクの吸収
を妨げるという問題がある。
【0005】以上の如く、キャスト塗被紙の表面光沢と
インクジェット記録(印字)適性の両方を同時に満足さ
せることが極めて困難であるのが現状である。上記問題
を解決する方法として、顔料および接着剤を主成分とす
る下塗り塗被層を設けた原紙上に、エチレン性不飽和結
合を有するモノマーを重合させてなる40℃以上のガラ
ス転移点を有する共重合体組成物を主成分とする塗被液
を塗被してキャスト用塗被層を形成せしめ、該キャスト
用塗被層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに
圧接、乾燥して仕上げることにより、優れた光沢とイン
ク吸収性を兼ね備えるインクジェット記録用キャスト塗
被紙が得られることを本発明者等は見出し、特開平7-89
220 号として提案した。
【0006】しかしながら、上記方法において、新たな
問題点として、表面のべたつきが生じやすく、また滑り
が悪い為に、インクジェットプリンターで印字する際、
搬送しなかったり、搬送ロールに貼り付いたり(ブロッ
キング現象)、複数枚を連続して記録させる時に重送が
生じたりする問題があることが明らかになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、キャスト塗
被紙の高表面平滑性および高光沢を維持し、従来のキャ
スト塗被紙では得ることのできなかった優れたインクジ
ェット記録(印字)適性を備え、更にプリンター搬送性
に優れたキャスト塗被紙を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の態様を含
む。 〔1〕支持体に、エチレン性不飽和結合を有するモノマ
ーを重合させてなる重合体樹脂を含有する塗被液を塗被
してキャスト用塗被層を形成し、加熱された鏡面ドラム
に圧接、乾燥して仕上げるインクジェット記録用キャス
ト塗被紙であり、キャスト用塗被層がポリテトラフルオ
ロエチレン微粒子を含有するインクジェット記録用キャ
スト塗被紙。 〔2〕ポリテトラフルオロエチレン微粒子の含有量が、
エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてな
る重合体樹脂の固形分100重量部に対して、1重量部
〜20重量部である〔1〕記載のインクジェット記録用
キャスト塗被紙。 〔3〕支持体が顔料および接着剤を含有する下塗り塗被
層を設けた支持体であり、エチレン性不飽和結合を有す
るモノマーを重合させてなる重合体樹脂のガラス転移点
が40℃以上である〔1〕または〔2〕記載のインクジ
ェット記録用キャスト塗被紙。
【0009】〔4〕顔料および接着剤を含有する下塗り
塗被層を設けた原紙上に、エチレン性不飽和結合を有す
るモノマーを重合させてなる重合体樹脂を含有する塗被
液を塗被してキャスト用塗被層を形成せしめ、該キャス
ト用塗被層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラ
ムに圧接、乾燥して仕上げるインクジェット記録用キャ
スト塗被紙であり、キャスト用塗被層中に、ポリテトラ
フルオロエチレン微粒子を含有することを特徴とするイ
ンクジェット記録用キャスト塗被紙。 〔4〕キャスト用塗被層が更にアルキルビニルエーテル
・マレイン酸誘導体共重合体を含有する〔1〕,
〔2〕,〔3〕または〔4〕記載のインクジェット記録
用キャスト塗被紙。
【0010】
【発明の実施の形態】エチレン性不飽和結合を有するモ
ノマーを重合させてなる重合体樹脂としては、メチルア
クリレート、エチルアクリレートブチルアクリレート、
2エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルア
クリレート等のアルキル基炭素数が1〜18個のアクリ
ル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリ
レート等のアルキル基炭素数が1〜18個のメタクリル
酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、エチレン、ブタジ
エン等のエチレン性モノマーを重合して得られる重合体
が例示できる。
【0011】キャスト用塗被組成物は重合体樹脂を含有
するが、エチレン性不飽和結合を有するモノマー(以下
エチレン性モノマーともいう)を重合させてなる重合体
樹脂を主成分とする塗被組成物が好ましい。
【0012】なお、重合体は、必要に応じて2種類以上
のエチレン性モノマーを併用した共重合体であっても良
いし、さらに、これら重合体あるいは共重合体の置換誘
導体でも良い。因みに、置換誘導体としては、例えばカ
ルボキシル基化したもの、またはそれをアルカリ反応性
にしたもの等が例示される。また、上記のエチレン性モ
ノマーをコロイダルシリカの存在下で重合させ、Si−
O−R(R:重合体成分)結合によって複合体とした形
で使用することも可能である。
【0013】上記のエチレン性モノマーを重合してなる
重合体樹脂は、そのガラス転移点が40℃以上のものが
好ましく、より好ましくは50〜100℃の範囲であ
る。キャスト仕上げを行う際、塗被液内の樹脂分を十分
成膜させると特に優れた表面光沢が得られる。しかし、
このような方法では、キャスト塗被紙表面の多孔性が減
少し、結果として、インクジェット記録時のインキの吸
収を低下させる場合がある。
【0014】本発明の好ましい態様では、このインクの
吸収を低下させないために、ガラス転移点が高い重合体
樹脂を使用し、かつ重合体樹脂が完全に成膜を起こさな
い状態でキャスト仕上げを行なわしめると、キャスト塗
被紙表面の多孔性の減少が軽微であり、インキの吸収は
低下せず、しかも優れた光沢面を有するキャスト塗被面
を得ることができる。一方、重合体樹脂のガラス転移点
が40℃未満であると、キャストドラム表面の熱によっ
て、樹脂分の成膜化が進み易く、キャスト塗被紙表面の
多孔性が減少し、表面の光沢値は高いがインキの吸収性
が低下する恐れがある。
【0015】本発明の最も重要な要素であるポリテトラ
フルオロエチレン微粒子を配合することについてのべ
る。本発明者等は、キャスト塗被紙表面のブロッキング
を抑え、滑り性を向上させるため、各種滑剤の配合を検
討した。まず、脂肪族炭化水素系滑剤、高級脂肪族系ア
ルコール系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、脂肪酸アマイド系
滑剤、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤等を検討
したが、これらはブロッキング防止や滑り性の効果の点
で不十分であり、配合量を増加させることによりある程
度の効果は得られるものの、表面光沢の低下やインク吸
収性の低下及び記録濃度の低下を招き、バランスのとれ
た品質のものは得られなかった。また、各種無機顔料や
ポリオレフィン系やポリメチルメタクリレート、ポリア
クリロニトリル、ポリスチレン等の有機微粒子も検討し
たが、これらについても上記と同様の問題が付随するこ
とが判った。
【0016】そこで、更に検討を進めた結果、ポリテト
ラフルオロエチレン微粒子の配合が極めて効果的である
ことを見出した。即ち、ポリテトラフルオロエチレン微
粒子は配合量が少なくても優れた表面ブロッキング防止
性と滑り性を付与できるためインク吸収性や光沢の低下
が少なく、ポリテトラフルオロエチレン微粒子自体の透
明性が高いためか、記録濃度の低下も少ないものである
ことが判った。
【0017】ここで、ポリテトラフルオロエチレンと
は、ポリ四フッ化エチレンとも呼ばれるポリマーであ
り、本発明においてはこのポリマーを微粒子の形態で用
いる。このポリテトラフルオロエチレン微粒子の粒子径
は、その配合量やキャスト塗被層の塗被量にもよるが、
平均粒子径は1〜20μm程度が好ましい。ここで、粒
子径が小さいと、ブロッキング防止や滑り性向上の効果
が十分には得られにくく、逆に大きいと、光沢の低下や
記録品質(インク吸収性、画質、記録濃度)の低下を招
くおそれがある。
【0018】本発明のポリテトラフルオロエチレン微粒
子の配合量も特に限定しないが、キャスト塗被液中に主
な成分として含有される前述の重合体樹脂固形分100
重量部に対し、1〜20重量部の範囲で添加することが
好ましい。少ないと搬送性改善の効果が不十分な場合も
あり、多く配合すると、光沢やインク吸収性及び記録濃
度が低下する場合もある。尚、印刷用キャスト塗被紙の
製造方法として、離型性を向上させる目的でフッ素界面
活性剤をキャスト塗被液中に添加または、キャストドラ
ム表面に噴霧しキャストドラムとの離型性を向上させ、
結果として、キャストの白紙光沢を向上させたもの( 特
開平3-213595号) も知られているが、フッ素界面活性剤
をポリテトラフルオロエチレンの代りに用いてもインク
の吸収性が悪く、印字品位に劣る。また搬送性の改良効
果は得られなかった。
【0019】ポリテトラフルオロエチレン微粒子は、水
に分散しにくく、また比重が大きく(2.1〜2.2)
分散後の沈降も懸念されるため、キャスト用塗被組成物
中に適当な分散剤や増粘剤を併用するのが望ましい。分
散及び増粘作用を併せ持つ材料としては、アルキルビニ
ルエーテル・マレイン酸誘導体共重合体が好適なもので
ある。即ち、アルキルビニルエーテル・マレイン酸誘導
体共重合体の配合は、ポリテトラフルオロエチレン微粒
子の分散及び安定化に優れるのみならず、前述のエチレ
ン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる重合
体樹脂との相溶性が良く、キャストドラムからの離型性
を悪化させない、さらにキャスト塗被液の粘度を適正化
しキャスト加工時に安定した操業を可能にするという利
点もある。ここで、アルキルビニルエーテル・マレイン
酸誘導体共重合体は、〔CH(OR)CH2 CH(CO
OX)CH(COOY)〕nで表されるものであり、R
は炭素数4〜8の飽和又は不飽和アルキル基であり、X
及びYはそれぞれアルカリ金属、アンモニウムイオン、
有機アンモニウムイオン又はアルキル基(炭素数2〜
4)を例示できる。繰り返し単位数nは3〜60が好ま
しい。
【0020】また、キャスト用塗被組成物中には白色
度、粘度、流動性等を調節するために、一般の印刷用塗
被紙やインクジェット用紙に使用されている顔料(コロ
イダルシリカ、シリカ、アルミナ等)、消泡剤、着色
剤、帯電防止剤、防腐剤及び上記した以外の分散剤・増
粘剤等の各種助剤が適宜添加される。上記のキャスト塗
被層は支持体に設けられるが、本発明の好ましい態様で
は下塗り層を設けた後に設けられる。
【0021】下塗り塗被層の主成分である顔料と接着剤
について述べる。即ち、顔料としては、例えばカオリ
ン、クレー、焼成クレー、無定形シリカ、酸化亜鉛、酸
化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウ
ム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コ
ロイダルシリカ、ゼオライト、セピオライト、スメクタ
イト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグ
ネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメン
ト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナ
ミン系プラスチックピグメント等、一般塗被紙製造分野
で公知公用の各種顔料が使用できる。
【0022】なお、上記の顔料の中でも、塗被層の構造
をポーラスでインク吸収性の優れたものにする意味で、
無定形シリカや酸化アルミニウム、スメクタイト等の顔
料が特に好ましく使用される。次に、接着剤としては、
カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸
化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カルボ
キシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロー
ス誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタ
クリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体
ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−
酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、等
一般に塗被紙用として用いられている従来公知の接着剤
が単独、あるいは併用して用いられる。なお接着剤の配
合量も限定しないが顔料に対し、5〜50重量%、より
好ましくは10〜30重量%の範囲で調節される。
【0023】なお、下塗り塗被層にはポリエチレンポリ
アミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレ
ンポリアミン類、またはその誘導体、第3級アミノ基や
第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリ
ルアミン等のカチオン性の樹脂を添加することができ
る。これにより印字画像耐水性を向上させることができ
る。添加量は特に限定しないが顔料100重量部に対
し、1〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部の
範囲で使用される。
【0024】その他、一般塗被紙の製造において使用さ
れる分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防
腐剤等の各種助剤が適宜添加される。而して、上記材料
をもって構成される下塗り塗被層用組成物は、一般に固
形分濃度を1〜65重量%程度に調整し、米坪が約20
〜400g/m2 程度の原紙上に乾燥重量で2〜50g
/m2 、より好ましくは5〜20g/m2 程度になるよ
うにブレードコーター、エアーナイフコーター、ロール
コーター、ブラシコーター、チャンプレックスコータ
ー、バーコーター、グラビアコーター等の各種公知公用
の塗被装置により塗被、乾燥される。さらに、必要に応
じて下塗り塗被層の乾燥後にスーパーキャレンダー、ブ
ラシ掛け等の平滑化処理を施すこともできる。なお、ベ
ースとなる原紙としては、特に限定されるものではな
く、一般の塗被紙に使用される酸性紙、中性紙あるいは
合成紙(特に透気性を有するもの)等が適宜使用され
る。
【0025】かくして得られた下塗り塗被層を有する支
持体に、前述した特定の重合体樹脂を含むキャスト塗被
液を、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロー
ルコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコータ
ー、バーコーター、グラビアコーター等の各種公知の塗
被装置により塗被する。キャスト法にはウェットキャス
ト法、リウェットキャスト法、ゲル化キャスト法等があ
り、ウェットキャスト法は特に好ましい。塗被層が湿潤
状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥し
てキャスト仕上げを行うことになる。この場合のキャス
ト塗被液の塗被量は、乾燥固形分で0.2〜30g/m
2 、好ましくは、1〜10g/m2 である。ここで、塗
工層が少ないと光沢が十分に出ない場合があり、多すぎ
てもインク乾燥性が劣ったり、記録濃度が低下する恐れ
もある。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。
また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ
重量部および重量%を示す。
【0027】実施例1 顔料として酸化アルミナ90部、軽質炭酸カルシウム1
0部、接着剤として、ポリビニルアルコール20部、カ
チオン性樹脂としてジシアンジアミド系樹脂(商品名:
ネオフィックスFY/日華化学工業(株)製)10部、
分散剤として、ポリ燐酸ソーダ0.5部を添加し、固形
分濃度18%の下塗り用塗被液を調成した。この下塗り
用塗被液を、米坪100g/m2 の原紙に乾燥重量で1
0g/m 2 になるように、エアーナイフコーターで塗
被、乾燥して下塗り原紙を得た。一方、キャスト塗被液
として、ガラス転移点80℃のスチレン−2メチルヘキ
シルアクリレート共重合体とコロイダルシリカの複合体
(モビニール8050;ヘキスト合成(株)製、コロイ
ダルシリカ60部と共重合体40部)100部、ポリテ
トラフルオロエチレン微粒子(Fluo−HT;MICRO
POWDERS INC.製、平均粒子径4.0ミクロン)5部、増
粘・分散剤としてアルキルビニルエーテル・マレイン酸
誘導体共重合体(ビスマルYK−1;東邦化学工業
(株))5部、離型剤としてレシチン3部よりなる固形
分濃度が25%のキャスト用塗被液を調製した。
【0028】この塗被液を上記の下塗り原紙上にロール
コーターを用いて塗被した後、ただちに表面温度が85
℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離型させ、インクジ
ェット記録用キャスト塗被紙を得た。このときの塗被量
は固形分重量で、6g/m2であった。
【0029】実施例2 実施例1において平均粒子径の異なるポリテトラフルオ
ロエチレン微粒子(Fluo300;MICRO POWDERS IN
C.製、平均粒子径6.0ミクロン)を用いる以外は実施
例1と同じ方法で、インクジェット記録用キャスト塗被
紙を得た。
【0030】実施例3 実施例1においてポリテトラフルオロエチレン微粒子
(Fluo−HT;MICROPOWDERS INC.製)の添加部数
を5部から0.5部とする以外は実施例1と同じ方法
で、インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。
【0031】実施例4 実施例1においてポリテトラフルオロエチレン微粒子
(Fluo−HT;MICROPOWDERS INC.製)の添加部数
を5部から2部とする以外は実施例1と同じ方法で、イ
ンクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。 実施例5 実施例1においてポリテトラフルオロエチレン微粒子
(Fluo−HT;MICROPOWDERS INC.製)の添加部数
を5部から15部とする以外は実施例1と同じ方法で、
インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。
【0032】実施例6 実施例1においてポリテトラフルオロエチレン微粒子
(Fluo−HT;MICROPOWDERS INC.製)の添加部数
を5部から25部とする以外は実施例1と同じ方法で、
インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。 実施例7 キャスト塗被液としてガラス転移点35℃のスチレン−
2メチルヘキシルアクリレート共重合体40部、コロイ
ダルシリカ60部、離型剤としてポリテトラフルオロエ
チレン微粒子(Fluo−HT;MICRO POWDERS INC.
製、平均粒径4μm)5部よりなる固形分濃度が35%
のキャスト用塗被液を調製した。この塗被液を実施例1
で得た下塗り原紙上にロールコーターを用いて塗被した
後、ただちに表面温度が60℃の鏡面ドラムに圧接し、
乾燥後、離型させ、インクジェット記録用キャスト塗被
紙を得た。このときの塗被量は固形分重量で、5g/m
2 であった。
【0033】比較例1 実施例1においてポリテトラフルオロエチレン微粒子を
無添加とした以外は実施例1と同じ方法でインクジェッ
ト記録用キャスト塗被紙を得た。 比較例2 実施例1においてポリテトラフルオロエチレン微粒子の
代わりにポリオレフィン系微粒子(商品名:ケミパール
W−400/三井石油化学(株)製)を5部添加した以
外は実施例1と同じ方法でインクジェット記録用キャス
ト塗被紙を得た。
【0034】比較例3 実施例1においてポリテトラフルオロエチレン微粒子の
代わりにステアリン酸亜鉛(商品名:ハイドリンZ−7
−30/中京油脂(株)製)を5部添加した以外は実施
例1と同じ方法でインクジェット記録用キャスト塗被紙
を得た。 比較例4 実施例1においてポリテトラフルオロエチレン微粒子の
代わりにポリエチレンワックス(商品名:ポリロン39
3/中京油脂(株)製)を5部添加した以外は実施例1
と同じ方法でインクジェット記録用キャスト塗被紙を得
た。このようにして得られたキャスト塗被紙の白紙光
沢、インクジェット記録適性、および搬送性の結果を表
1に纏めて示した。なお、上記の評価については下記の
如き方法で評価を行った。
【0035】〔白紙光沢〕JIS−P8142に準じて
測定した。 〔インクジェット記録適性〕 (インクジェット記録用インクの吸収性)キヤノン
(株)製のカラーインクジェットプリンターBJC−6
00J(インクジェット記録用装置)にて印字を行な
い、インキの乾燥性を目視で評価した。 ○:印字直後に指で触れてもまったく汚れない。 △:印字直後に指で触れると僅かに汚れるが、実用上問
題はない。 ×:インクの乾燥不良により、印字中にインクが流れて
実用に耐えない。
【0036】(インクジェット記録用インクの記録後の
印字濃度)キヤノン(株)製のカラーインクジェットプ
リンターBJC−600Jにて黒ベタ印字を行ない、そ
の部分のインクの濃度を目視で評価した。 ○:発色濃度が良好である。 △:発色濃度がやや薄いが実用上問題のないレベルであ
る。 ×:発色濃度が薄く実用に耐えない。
【0037】(搬送性:搬送ロールとのブロッキング)
キヤノン(株)製のカラーインクジェットプリンターB
JC−35Vにて印字を行い、搬送ロールとのブロッキ
ングを印字後の紙面を目視で観察し、評価した。 ○:紙面上にブロッキングによるはがれや捲れが無い。 ×:紙面上にブロッキングによるはがれや捲れ認めれれ
る。 (搬送性:連続給紙適性)キヤノン(株)製のカラーイ
ンクジェットプリンターBJC−600Jのオートシー
トフィーダーでA4サイズで50枚の連続印字を行い、
紙づまりと、2枚以上の紙が同時に給紙される重送の発
生した回数をカウントした。 〔キャスト塗被液安定性〕 ○:安定した塗工ができる。 ×:ゲル化し、塗工不能。
【0038】〔印字画像耐水性〕キヤノン(株)製のカ
ラーインクジェットプリンターBJC−600Jにて印
字を行ない、印字部分に水滴をたらし、インクのにじ
み、流れを目視で評価した。 ○:印字部分のインクのにじみ、流れがなく、耐水性良
好。 △:印字部分に若干のにじみが認められるが実用上問題
ないレベルである。 ×:印字部分のインクが流れだし、耐水性不良。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録体は、白紙
光沢、インクの吸収性、印字濃度、ブロッキング、連続
給紙性に優れ、重送や紙詰まりがなく、塗被液の安定性
に優れ、画像の耐水性に優れていた。本発明は、キャス
ト塗被紙が本来有する高表面平滑性および高光沢を維持
し、従来のキャスト塗被紙では得ることのできなかった
優れたインクジェット記録(印字)適性を備え、更にプ
リンター搬送性に優れたキャスト塗被紙である。
フロントページの続き (72)発明者 向吉 俊一郎 兵庫県尼崎市常光寺4丁目3番1号 新王 子製紙株式会社尼崎研究センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体に、エチレン性不飽和結合を有する
    モノマーを重合させてなる重合体樹脂を含有する塗被液
    を塗被してキャスト用塗被層を形成し、加熱された鏡面
    ドラムに圧接、乾燥して仕上げるインクジェット記録用
    キャスト塗被紙であり、キャスト用塗被層がポリテトラ
    フルオロエチレン微粒子を含有するインクジェット記録
    用キャスト塗被紙。
  2. 【請求項2】ポリテトラフルオロエチレン微粒子の含有
    量が、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合さ
    せてなる重合体樹脂の固形分100重量部に対して、1
    重量部〜20重量部である請求項1記載のインクジェッ
    ト記録用キャスト塗被紙。
  3. 【請求項3】支持体が顔料および接着剤を含有する下塗
    り塗被層を設けた支持体であり、エチレン性不飽和結合
    を有するモノマーを重合させてなる重合体樹脂のガラス
    転移点が40℃以上である請求項1または請求項2記載
    のインクジェット記録用キャスト塗被紙。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5952290A (en) * 1997-11-26 1999-09-14 Rhodia Inc. Anionic gemini surfactants and methods for their preparation
US6121222A (en) * 1996-12-27 2000-09-19 Rhodia Inc. Anionic surfactants having multiple hydrophobic and hydrophilic groups
JP2002120456A (ja) * 2000-08-31 2002-04-23 Eastman Kodak Co インクジェット記録要素
JP2015036408A (ja) * 2013-08-14 2015-02-23 共同印刷株式会社 印字定着層形成用組成物、及び印字定着層付き媒体

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