JPH10278413A

JPH10278413A - コート層を有する記録媒体

Info

Publication number: JPH10278413A
Application number: JP9088407A
Authority: JP
Inventors: Junichi Iida; 田淳一飯
Original assignee: Seiko Epson Corp
Current assignee: Seiko Epson Corp
Priority date: 1997-04-07
Filing date: 1997-04-07
Publication date: 1998-10-20

Abstract

(57)【要約】【課題】コート層が設けられてなる記録媒体は、イン
ク組成物による印刷、特にインクジェット記録方法によ
る印刷に伴い、記録媒体の凸凹またはカールが発生して
しまうことがある。【解決手段】記録媒体のコート層が設けられた面の反
対側の面にサイズ剤を適用して、そのカールサイズ度を
コート層が設けられた面のカールサイズ度よりも大きく
する。このような記録媒体を用いることで、記録媒体の
凸凹またはカールの発生なしに、インク組成物による印
刷が行える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の背景】発明の分野本発明は、インクジェット記録方法に好ましく用いられ
るインク受容層などのコート層を有する記録媒体に関す
る。

【０００２】背景技術インク組成物によって記録が行われる記録方式、とりわ
けインクジェット記録方法に用いられる記録媒体にあっ
ては、高精細、高品質の印刷画像を実現するために、基
材の上に更にインク組成物を吸収、定着させるインク受
容層を設けることが行われている。さらに、印刷画像に
高級感、または写真類似の品質を付与するために、その
表面を平滑にする光沢層を設けることが行われている。

【０００３】さらに、インクジェットプリンター、特に
カラーインクジェットプリンターの普及に伴い、高解像
度の画像が得られるインクジェット記録方法に好ましく
用いられる記録媒体が求められている。

【０００４】インクジェット記録に用いるインクとして
は、臭気、安全性、および記録特性の面から水性インク
が主流を占めており、各種の水溶性染料を、水または水
と水溶性有機溶剤（例えば、多価アルコール）との混合
溶剤に溶解させ、必要により各種添加剤が添加されたイ
ンクが使用されている。最近の高解像度化、高画質化か
らの要請で記録媒体へのインクの打ち込み量は多くなる
傾向にある。

【０００５】一般に記録媒体の基材は紙であることか
ら、水性のインク組成物が大量に付着すると凸凹が生じ
たり、記録媒体がカールしてその端部が持ち上がってし
まうなどの現象が見られる。このような現象は印刷物の
外観を損ねるのみならず、プリンターで印刷中にこれら
現象が発生すると、印刷ヘッドと記録媒体とが接触して
しまうおそれがある。印刷ヘッドと記録媒体との接触
は、画像品質を損なうとともに、記録媒体から紙の繊維
やコート層の粉体などが印刷ヘッドに付着し、印字不良
の原因となるおそれがあるため好ましくない。このよう
な記録媒体の凸凹の発生、およびカールの発生は、基材
の紙を厚くしたり、またコート層を厚くすることで防止
することも可能である。しかしながら、記録媒体の厚さ
が大きくなるとその用途が限定されるおそれがあり、ま
たコート層が厚くなると、コート層を構成している成分
が粉体となって落ちてプリンター内部を汚すおそれがあ
るため好ましくないことがある。

【０００６】

【発明の概要】本発明者等は、今般、コート層が設けら
れてなる記録媒体について、その表裏のカールサイズ度
を制御することで、インク組成物による印刷に伴う凸凹
およびカールの発生を有効に防止できるとの知見を得
た。

【０００７】従って、本発明は、インク組成物による印
刷に伴う凸凹およびカールの発生を有効に防止できる記
録媒体およびその製造法の提供をその目的としている。

【０００８】そして、本発明による記録媒体は、基材と
なる紙上の片面に少なくともコート層が設けられてなる
記録媒体であって、コート層が設けられた面の反対側の
面のカールサイズ度が、コート層が設けられた面のカー
ルサイズ度よりも大きな記録媒体である。

【０００９】また、本発明による記録媒体の製造法は、
基材となる紙上の片面に少なくともコート層が設けられ
てなる記録媒体の製造法であって、コート層が設けられ
た面の反対側の面のカールサイズ度を、コート層が設け
られた面のカールサイズ度よりも大きくする工程を含ん
でなるものである。

【００１０】

【発明の具体的説明】本明細書において、コート層と
は、記録媒体の表面処理を広く意味し、例えば、インク
組成物を吸収、定着させるインク受容層、その表面に光
沢を付与する光沢層などをも含めた意味に用いることと
する。

【００１１】本発明による記録媒体においては、基材と
して紙を用い、この基材となる紙上にコート層が設けら
れる。そして本発明にあっては、コート層が設けられた
面の反対側の面のカールサイズ度を、コート層が設けら
れた面のカールサイズ度よりも大きくする。ここで、カ
ールサイズ度とは、ＪＡＰＡＮＴＡＰＰＩ紙パルプ
試験方法Ｎｏ．１４−７７に規定する方法によって測定
される値をいう。コート層が設けられた面の反対側の面
のカールサイズ度を、コート層が設けられた面のカール
サイズ度よりも大きくすることで、インク組成物による
印刷に伴う凸凹およびカールの発生を有効に防止でき
る。本発明の好ましい態様によれば、コート層が設けら
れた面と反対の面のカールサイズ度が３度以上であるこ
とが好ましく、より好ましくは５度以上である。さら
に、コート層が設けられた面の反対側の面のカールサイ
ズ度と、コート層が設けられた面のカールサイズ度との
差が１度以上であるのが好ましく、より好ましくは２度
以上である。

【００１２】本発明の好ましい態様によれば、コート層
を形成する材料にもよるが、コート層の塗布量が３〜２
０ｇ／ｍ²程度の範囲にある記録媒体において、本発明
による上記の利点をより有効に享受することができる。
あまりにコート層の塗布量の少ない記録媒体は、コート
層が設けられた面の反対側の面のカールサイズ度を制御
してもその利点が十分に得られないのは当業者には自明
であろう。また、コート層の塗布量が過大な記録媒体に
あっては、コート層が設けられた面の反対側の面のカー
ルサイズ度を制御するまでもなくカールを防止できる
が、コート層を構成している成分が粉体となって落ちて
プリンター内部を汚すおそれがあることは前記したとお
りである。なお、ここで、コート層の塗布量とは、記録
媒体が有するインク組成物を吸収、定着させるインク受
容層の塗布量を意味し、その表面に光沢を付与する光沢
層や表面を保護するインク透過層を設けた場合、光沢層
およびインク透過層はコート層から除外される。

【００１３】カールサイズ度の制御は、コート層が設け
られた面のカールサイズ度を減少させる、あるいはコー
ト層が設けられた面の反対側の面のカールサイズ度を増
加させるいずれの態様によって行われてよいが、コート
層が設けられた面の反対側の面のカールサイズ度を増加
させるのが一般的であろう。

【００１４】コート層が設けられた面の反対側の面のサ
イズ度の増加は、一般的に用いられているサイズ剤の適
用によって行われてよい。サイズ剤の種類は本発明の目
的が達成される限り特に限定されず、またアニオン性、
カチオン性、ノニオン性いずれのサイズ剤も利用でき
る。それらサイズ剤の具体例としては、アルキルケテン
ダイマー、ロジン・スチレン系共重合体、アクリル酸エ
ステル系共重合体、アルケニルコハク酸無水物などが挙
げられる。また、市販のサイズ剤を利用することも可能
であり、例えば、アニオン性サイズ剤として、荒川化学
工業社から入手可能なポリマロン３５１、３５６−２
５、３８５、４８２、１３０８、１３２９、１３４３
が、ミサワセラミックスケミカル社から入手可能なハマ
コートＳ−２００Ｌ、Ｓ−７００、Ｓ−８１０、Ｓ−９
２０、ＡＫ−４００、ＡＫ−５０５、ＡＫ−６００、Ｊ
−１０５、Ｘ−２が、カチオン性サイズ剤として荒川化
学工業社から入手可能なポリマロン３６０、ＳＫＳ−２
５８が、ノニオン性サイズ剤としてミサワセラミックス
ケミカル社から入手可能なハマコートＳ−９００、Ｓ−
９００Ｇが挙げられる。また、一般的に用いられている
サイズ剤以外にゼラチン、メチルセルロース、デキスト
リ、天然ゴム、ポリビニルアルコール等のサイズ効果が
あるものを使用してもよい。

【００１５】サイズ剤の適用は通常サイズ剤の適用に採
用されている方法が用いられてよく、例えばサイズ剤ま
たはサイズ剤とバインダーとからなる塗工液を用意し、
この塗工液を適用、例えば塗布、することで行われてよ
い。バインダーとしては、デンプン、ポリビニルアルコ
ール、酢酸ビニルマレイン酸共重合体、アクリルアミド
共重合体などが挙げられる。

【００１６】更に、サイズ剤の適用は、後記するコート
層の形成の前に行われても後に行われてもよい。

【００１７】基材として用いられる紙は、天然セルロー
ス繊維を主体としてパルプ原料からなるものが好まし
い。パルプ原料としては、ＮＢＫＰ、ＬＢＫＰ、ＮＢＳ
Ｐ、ＬＢＳＰ、ＧＰ、ＴＭＰ、古紙などが挙げられ、そ
れらを数種類目的に応じた比率で混合して用いることが
可能である。

【００１８】基材の厚さは適宜決定されてよいが、一般
的には１０〜５００μｍ程度が好ましく、より好ましく
は５０〜３００μｍ程度である。

【００１９】本発明による記録媒体においてコート層は
特に限定されず、従来知られたコート層であることがで
きる。例えば、インク受容層は白色顔料および結着剤を
主成分として形成されてよい。白色顔料としては例え
ば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸
バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜
鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、
珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリ
カ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミ
ナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼ
オライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の
無機顔料や、スチレン系プラスチックピグメント、アク
リル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイク
ロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙
げられる。また、結着剤としては、例えば、酸化澱粉、
エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体
やカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大
豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ポリ
ビニルアルコール又はそのシラノール変性物、カルボキ
シル化物、カチオン化物等の各種誘導体、ポリビニルピ
ロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン
共重合体、メチルメタクリレートブタジエン共重合体等
の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステ
ルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体
等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル
共重合体等のビニル系重合体ラテックス、またはこれら
各種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による
官能基変性重合体ラテツクス、メラミン樹脂、尿素樹脂
等の熱硬化性合成樹脂等の水性接着剤、ポリメチルメタ
クリレート等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エス
テルの重合体又は共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリ
マー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成
樹脂系接着剤等を挙げることができる。

【００２０】インク受容層の組成は、インク吸収性、イ
ンク乾燥性、記録画像の鮮明性などを考慮して適宜決定
されてよい。

【００２１】本発明による記録媒体のインク受容層に
は、記録媒体の特性を改善する他の成分が添加されてよ
い。例えば、インク受容層の耐水性の向上のために２級
アミン、３級アミン、４級アンモニウム塩からなるカチ
オン性染料定着剤を添加してもよい。また、インクジェ
ット記録用紙の記録特性、生産安定性、保存安定性を向
上させるために離型剤、浸透剤、着色染料、蛍光増白
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐
水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの各種添
加剤を適宜配合することができる。さらに、このインク
受容層は、二層以上の複数層で構成されてもよい。ま
た、記録媒体上に形成されるドット径を制御するため
に、シリコーンエマルジョン、水溶性シリコン化合物を
添加することも可能である。またさらに、その白色性を
付与するために白色顔料を添加すること可能であり、例
えばフッ素を含有する合成無定型シリカを添加すること
ができる。

【００２２】本発明の好ましい態様によれば、インク受
容層の乾燥後の塗布量としては、３〜２０ｇ／ｍ²が好
ましく、特に好ましくは５〜２０ｇ／ｍ²である。

【００２３】インク受容層は、上記インク受容層を形成
する成分を水または適当な溶媒中に溶解もしくは分散さ
せて調製した塗工液を、例えばロールコーティング法、
グレードコーティング法、エアナイフコーティング法、
ロッドバーコーティング法、グラビアコーティング法、
コンマコーティング法、ダイコーティング法などの方法
を適宜使用して、基材上に頒布して実施することができ
る。

【００２４】本発明による記録媒体においては、インク
受容層上に更に光沢層が設けられてもよい。本発明によ
る記録媒体において光沢層は特に限定されず、従来知ら
れた光沢層であることができる。光沢層は、白色顔料と
結着剤とから構成されてよい。顔料としては、白色顔料
を好適に使用することができる。このような白色顔料と
しては、前記インク受容層を構成するものとして挙げた
ものと同様なものが用いられる。また、結着剤として
は、前記インク受容層を構成するものとして挙げたもの
と同様なものが用いられる。

【００２５】また、本発明の好ましい態様によれば、光
沢層は、記録媒体の特性を改善するために種々の添加剤
を更に含むことができる。そのような添加剤の好ましい
具体例としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白
剤、耐水化剤、退色防止剤、帯電防止剤などが挙げられ
る。

【００２６】光沢層の厚さは特に限定されないが、０．
１μｍ〜２０μｍ程度が好ましく、より好ましくは１μ
ｍ〜１０μｍ程度である。

【００２７】光沢層は、上記光沢層を形成する成分を水
または適当な溶媒中に溶解もしくは分散させて調製した
塗工液を、例えば各種ブレードコータ、ロールコータ、
バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、
ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置を
用いるインク受容層上に塗布することができる。さらに
平滑性を向上させるために、マシンカレンダー、ＴＧカ
レンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等を
用いたカレンダー処理を行ってもよい。

【００２８】本発明による方法によって得られた記録媒
体は、インク組成物を用いた記録方式に用いられる。イ
ンク組成物を用いた記録方式とは、例えば、インクジェ
ット記録方式、ペン等による筆記具による記録方式、そ
の他各種の印字方式が挙げられる。また、インク組成物
は液体インクに限定されず、広く固体状の着色剤、加熱
溶融させて用いる着色剤をもここでは含むものとする。
特に本発明による記録媒体は、インクジェット記録方法
に好ましく用いられる。

【００２９】

【実施例】記録媒体の製造広葉樹さらしパルプ（ＬＢＫＰ）６０部に、炭酸カルシ
ウム２０部、アルキルゲテンダイマー（ＡＫＤ）０．０
０５部、両性デンプン１部を添加した後、秤量７０ｇ／
ｍ²、カールサイズ度５度の紙を抄紙した。

【００３０】このシートに酸化デンプンとスチレンアク
リル系サイズ剤（ＫＮ５００、ハリカ化成社製）との混
合物を、サイズ剤の塗布量を０．０３ｇ／ｍ²とし、一
方酸化デンプンの塗布量を５〜３０ｇ／ｍ²と変化させ
て、サイズプレスにより塗工し、さらにマシンカレンダ
ー処理を行い、コート層を形成した。得られた記録媒体
のカールサイズ度は５度であった。

【００３１】さらに、コート層を形成した紙の裏面にメ
チルセルロースの水溶液を、固形分の塗布量として０、
１、および３ｇ／ｍ2と変化させてサイズ処理を行っ
た。

【００３２】得られた記録媒体およびそのサイズ度をま
とめると次の第１表に記載の通りであった。

【００３３】印刷試験上で得られ記録媒体および裏面のサイズ処理を行わなか
った記録媒体に、インクジェットプリンターＭＪ−９１
０Ｃ（セイコーエプソン株式会社製）およびその標準イ
ンク組成物を用いてベタ印刷を行った。そして、印刷の
際の印刷ヘッドと記録媒体の接触の有無を観察した。そ
の結果は次の第１表に示される通りであった。表中、Ａ
は接触なし、Ｂは接触あり、の意味である。

【００３４】

【表１】また、上記記録媒体を上記プリンターに１０００枚通紙
した後、プリンターの紙送りローラの状態を観察した。
その結果、記録媒体Ｎｏ．３、７、および１１について
は、プリンターの紙送りローラに白粉が付着しており、
これは記録媒体のコート層からの粉落ちであると考えら
れる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基材となる紙上の片面に少なくともコート
層が設けられてなる記録媒体であって、コート層が設け
られた面の反対側の面のカールサイズ度が、コート層が
設けられた面のカールサイズ度よりも大きな、記録媒
体。
【請求項２】コート層が設けられた面と反対の面のカー
ルサイズ度が３度以上である、請求項１記載の記録媒
体。
【請求項３】コート層の塗布量が３〜２０ｇ／ｍ²であ
る、請求項１または２記載の記録媒体。
【請求項４】基材となる紙上の片面に少なくともコート
層が設けられてなる記録媒体の製造法であって、コート
層が設けられた面の反対側の面のカールサイズ度を、コ
ート層が設けられた面のカールサイズ度よりも大きくす
る工程を含んでなる、方法。
【請求項５】コート層が設けられた面とは反対側の面に
サイズ剤を適用して、コート層が設けられた面の反対側
の面のカールサイズ度を、コート層が設けられた面のカ
ールサイズ度よりも大きくする工程を含んでなる、請求
項４記載の方法。
【請求項６】請求項１〜３のいずれか一項に記載の記録
媒体または請求項４または５に記載の方法によって得ら
れた記録媒体に、インク組成物により印刷を行う工程を
含んでなる、記録方法。
【請求項７】請求項１〜３のいずれか一項に記載の記録
媒体または請求項４または５に記載の方法によって得ら
れた記録媒体にインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を
該記録媒体に付着させ、印刷を行う工程を含んでなる、
インクジェット記録方法。
【請求項８】請求項６または７に記載の記録方法によっ
て記録が行われた、記録物。