JP2001329054A - ポリエステル樹脂及びそれを用いた熱転写記録用受容シート - Google Patents

ポリエステル樹脂及びそれを用いた熱転写記録用受容シート

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JP2001329054A
JP2001329054A JP2000153985A JP2000153985A JP2001329054A JP 2001329054 A JP2001329054 A JP 2001329054A JP 2000153985 A JP2000153985 A JP 2000153985A JP 2000153985 A JP2000153985 A JP 2000153985A JP 2001329054 A JP2001329054 A JP 2001329054A
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polyester resin
sheet
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Michihide Sato
理英 佐藤
Fumio Jinno
文夫 神野
Shizuo Kitahara
静夫 北原
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New Oji Paper Co Ltd
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Oji Paper Co Ltd
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱転写記録用の受容シート、特に昇華型感熱
転写記録方式に適する熱転写記録用受容シートとその製
造に適したポリエステル樹脂を提供する。 【解決手段】 直鎖脂肪族ジカルボン酸が50モル%よ
り多くと脂環族ジカルボン酸が50モル%未満からなる
多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを重縮合し
てなる、重量平均分子量(Mw)が10,000〜10
0,000、ガラス転移温度45〜70℃であることを
特徴とするポリエステル樹脂。支持体上に、該ポリエス
テル樹脂と活性エネルギー線硬化型架橋剤を含有する層
を設け、該層を活性エネルギー線照射によって硬化させ
た染料受容層を有する、熱転写記録用受容シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラープリンター
等に使用される熱転写記録用の受容シートに関する。特
には、昇華型感熱転写記録方式に適する熱転写記録用受
容シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】昇華型感熱転写記録方式は、装置が小型
で安価である、保守が容易である、出力時間が短い、記
録時の音が静かである等の特徴を有している。さらに、
サーマルヘッドへの通電量を連続的に変化させることに
より、昇華性分散染料の転写量を細かく制御することが
できるため、容易に階調度の高い記録ができるほか、高
濃度、高解像度の記録が可能等の特徴を持っている。そ
のため、他の記録方式に比べ、特にフルカラーハードコ
ピーを得るのに有利であり、カラープリンター、ビデオ
プリンター等の記録方式として多く採用されている。
【0003】受容シート上に高品位の画像を得るため
に、染料の転写速度と染着量が大きく、保存性の良好な
染料受容層が研究されている。従来、このような転写速
度と染着量とが大きく、かつ保存性の優れた染着樹脂と
して、各種のポリエステル樹脂が用いられていた。例え
ば、特開昭57−107885号公報は、飽和ポリエス
テル樹脂を用いることを開示し、特開平4−29079
9号公報は、芳香族多塩基酸と2,2−ジアルキル−
1,3−プロパンジオールからなるポリエステル樹脂を
用いることを開示している。更に、特開昭63−797
1号公報には、フェニル基を含有するポリオールとジカ
ルボン酸からなるポリエステル樹脂の使用が開示されて
いる。しかしながら、従来のポリエステル樹脂を受容層
に含む熱転写記録用受容シートは、一般的に記録画像の
保存安定性が不良で、日光や蛍光灯の光により退色、変
色したり、あるいは高温多湿の条件で長期間保存すると
退色、変色したり、特に皮脂に触れた時の退色が激しい
欠点を有する。
【0004】上記のポリエステル樹脂の欠点を解消する
ために、多価カルボン酸成分のうち脂環族ジカルボン酸
を50モル%以上含有することを特徴とするポリエステ
ル樹脂を受容層に含む熱転写記録用受容シートが特開平
5−238167号公報で開示されている。しかしなが
ら、かかるポリエステル樹脂の使用は染料との親和性が
低下し、感度、耐皮脂性が低下する傾向になる。
【0005】また、熱可塑性樹脂を染料受容層の染着樹
脂に用いる場合、プリント時におけるインクシートとの
融着現象を防止するために架橋を施す必要がある。架橋
剤としては一般にイソシアネートを用いる場合が多い。
しかしながら、イソシアネートによる架橋反応は、周り
の雰囲気下の水分によって反応性が大きく影響し、また
ポリエステル樹脂の場合は、架橋点であるOH基がポリ
エステルの分子末端にしか存在しないために架橋密度が
不十分になることが多く、そのためプリント印字時にお
いてインクシートとの融着現象が多発する。
【0006】このプリント時のインクシートとの融着現
象を防止する目的で活性エネルギー線で架橋しうる架橋
剤を用いる方法が、特開昭58−212994号公報、
特開昭63−067189号公報で開示されている。し
かしながら、これらに用いられているポリエステル樹脂
のジカルボン酸成分のほとんどが、テレフタル酸等の芳
香族系の化合物であるため、満足する耐候性レベルを得
られていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の欠点を改良し、感度、耐候性、耐皮脂性に優
れたポリエステル樹脂を提供し、ブロッキングやプリン
ト時のインクシートとの融着現象などが発生しない熱転
写記録用受容シートを得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の各発明を包含する。 (1) 直鎖脂肪族ジカルボン酸が50モル%より多くと脂
環族ジカルボン酸が50モル%未満からなる多価カルボ
ン酸成分と多価アルコール成分とを重縮合してなる、重
量平均分子量(Mw)が10,000〜100,00
0、ガラス転移温度45〜70℃であることを特徴とす
るポリエステル樹脂。
【0009】(2) 前記(1) 項のポリエステル樹脂におい
て、多価アルコール成分がエチレンオキサイドによりエ
ーテル化されたビスフェノール50モル%以上と水素化
ビスフェノール50モル%以下とを含むことを特徴とす
るポリエステル樹脂。 (3) 基材シートと、該基材シートの少なくとも一方の面
に設けられた樹脂を主体とする染料受容層からなる熱転
写記録用受容シートにおいて、該染料受容層は、前記
(1) 項又は(2) 項に記載のポリエステル樹脂を全乾燥重
量の60〜90重量%及び活性エネルギー線硬化型架橋
剤を10〜40重量%含有する層に活性エネルギー線を
照射することによって形成されている層であることを特
徴とする熱転写記録用受容シート。
【0010】(4) 前記熱転写記録用受容シートの染料受
容層に用いられる活性エネルギー線硬化型架橋剤が、下
式(1)によって定義される平均架橋可能点数が4.0
〜6.0である単独、又は複数の活性エネルギー線硬化
型架橋剤であることを特徴とする(3) 項記載の熱転写記
録用受容シート。 平均架橋可能点数=Σ(xi・wi)/Σ(wi) (1) xi:活性エネルギー線硬化型架橋剤i成分の一分子中
の架橋可能点数 wi:活性エネルギー線硬化型架橋剤i成分を添加した
重量部数
【0011】(5) 前記熱転写記録用受容シートの染料受
容層中に、さらにベンゾフェノン系紫外線吸収剤を1〜
10重量%含有することを特徴とする前記(3) 項又は
(4) 項に記載の熱転写記録用受容シート。 (6) 前記熱転写記録用受容シートの染料受容層中に、さ
らにヒンダードアミン系光安定剤を1〜20重量%含有
することを特徴とする前記(3) 項〜(5) 項のいずれか1
項に記載の熱転写記録用受容シート。
【0012】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳細に説明する。本発明によれば、被記録体
の染料受容層の主成分がポリエステル樹脂からなり、そ
の樹脂を構成するジカルボン酸成分のうち、50モル%
より多くが直鎖脂肪族ジカルボン酸で、50モル%未満
が脂環族ジカルボン酸であり、重量平均分子量(Mw)
が10,000〜100,000、ガラス転移温度が4
5〜70℃であることを特徴とし、さらに染料受容層
が、式(1)によって定義した平均架橋可能点数が4〜
6個である単独、あるいは複数の活性エネルギー線硬化
型架橋剤を含み、かつ、前述のポリエステル樹脂成分
が、染料受容層乾燥重量の60〜90重量%であり、前
述の活性エネルギー線硬化型架橋剤が10〜40重量%
であることを特徴とし、該受容層に活性エネルギー線を
照射することによって、感度、耐候性、耐皮脂性が良好
で、かつブロッキングやプリント時のインクシートとの
融着現象が発生しない昇華型感熱転写記録方式に用いら
れる熱転写記録用受容シートが提供される。
【0013】〈ポリエステル樹脂〉本発明の熱転写記録
用受容シートの染料受容層に用いられるポリエステル樹
脂は、カルボン酸成分中の前記直鎖脂肪族ジカルボン酸
と脂環族ジカルボン酸の割合が、直鎖脂肪族ジカルボン
酸が50モル%より多く、脂環族ジカルボンが酸50モ
ル%未満であり、好ましくは直鎖脂肪族ジカルボン酸5
2〜60モル%、脂環族ジカルボン酸40〜48モル%
である。脂環族ジカルボン酸50モル%以上の時は得ら
れるポリエステル樹脂は耐候性が低下し、直鎖脂肪族ジ
カルボン酸60モル%以上になるとそれににつれポリエ
ステル樹脂のガラス転移温度(Tg)が徐々に低下度を
強める傾向があり、Tgが45℃を下回るおそれがあ
る。Tgが45℃を下回ると印字の際のリボンとの融着
性が強まり問題となる。
【0014】また、前記カルボン酸とともに用いられる
前記アルコール成分は、エチレンオキサイドによりエー
テル化されたビスフェノール50モル%以上、水素化ビ
スフェノール50モル%以下の混合物であり、好ましく
は(55/45)〜(85/15)(モル比)、さらに
好ましくは(70/30)〜(80/20)(モル比)
の範囲の混合物である。エチレンオキサイドによりエー
テル化されたビスフェノール50モル%未満になる
と、得られるポリエステル樹脂は染料との親和性が悪く
なる傾向を有して印画後に皮脂などによって画像がダメ
ージを受け、水素化ビスフェノールが50モル%より多
くになるとガラス転移温度が70℃以上となって画像の
耐候性が低下していく傾向にある。
【0015】該ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される
ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)で10,00
0〜100,000、好ましくは、15,000〜5
0,000、より好ましくは、20,000〜30,0
00の範囲である。ポリエステル樹脂の分子量が過度に
小さいと、受容層が脆くなるなどの弊害があるため好ま
しくない。逆に、過度に大きいと、各種溶剤に対する溶
解性が低下する等の加工性が劣り好ましくはない。ま
た、該ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、45〜7
0℃、好ましくは50〜65℃、より好ましくは55〜
60℃の範囲のものである。ガラス転移温度が45〜7
0℃の範囲にあるときに、受容層の耐候性と印字の際の
耐融着性のバランスに優れ、好適である。また、該ポリ
エステル樹脂の水酸基価は、通常、0.1〜20mgK
OH/g、好ましくは1〜10mgKOH/g、より好
ましくは、2〜5mgKOH/gの範囲のものである。
水酸基価が0.1〜20mgKOH/gの範囲にある
と、基材との接着性が高い傾向にあり好適である。
【0016】〈カルボン酸成分〉本発明のポリエステル
樹脂の原料として用いられる多価カルボン酸成分は、直
鎖脂肪族ジカルボン酸と脂環族ジカルボン酸とを含むも
のである。直鎖脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、
例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソセバシン酸、
ブラシル酸、ドデカンジカルボン酸、ポリアルケニルコ
ハク酸、重合脂肪酸のダイマー酸、水添ダイマー酸など
が挙げられる。これらの中でも、コハク酸が最も好まし
い。
【0017】脂環族ジカルボン酸の好ましい具体例とし
ては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチ
ル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル
−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−プロピル
−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ブチル−
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−t−ブチル
−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジメ
チル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−
ジエチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,
3−ジプロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、2,3−ジブチル−1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、2−メチル−3−エチル−1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、2−メチル−3−プロピル−1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−ブチ
ル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル
−3−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、2−エチル−3−ブチル−1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸、2−メチル−3−t−ブチル−1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、
【0018】2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチ
ル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−エチル−2,
6−デカリンジカルボン酸、3−プロピル−2,6−デ
カリンジカルボン酸、3−ブチル−2,6−デカリンジ
カルボン酸、3,4−ジメチル−2,6−デカリンジカ
ルボン酸、3,4−ジエチル−2,6−デカリンジカル
ボン酸、3,4−ジプロピル−2,6−デカリンジカル
ボン酸、3,4−ジブチル−2,6−デカリンジカルボ
ン酸、3,8−ジメチル−2,6−デカリンジカルボン
酸、3,8−ジエチル−2,6−デカリンジカルボン
酸、3,8−ジプロピル−2,6−デカリンジカルボン
酸、3,8−ジブチル−2,6−デカリンジカルボン
酸、3−メチル−4−エチル−2,6−デカリンジカル
ボン酸、3−メチル−4−プロピル−2,6−デカリン
ジカルボン酸、3−メチル−4−ブチル−2,6−デカ
リンジカルボン酸、3−エチル−4−ブチル−2,6−
デカリンジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。
【0019】また、上記多価カルボン酸と同様に用いら
れる同カルボン酸の誘導体としては、上記ジカルボン酸
のエステル化合物、酸ハロゲン化物などが挙げられる。
これらの中ではジカルボン酸エステル化合物が好まし
く、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、アミル、ヘキシルなどの炭素数が1〜6の低級アル
キルエステル化合物が特に好ましい。直鎖脂肪族ジカル
ボン酸及び脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸、特
にテレフタル酸などの芳香族系ジカルボン酸を使用する
と耐光性が悪くなる。
【0020】本発明においては、多価カルボン酸成分と
して、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ポリエ
ステル樹脂のガラス転移温度の上昇のために、3価以上
のカルボン酸を含有させることができる。3価以上のカ
ルボン酸成分の具体例としては、例えば、トリメリット
酸、トリカルバリル酸、カンホロン酸、トリメシン酸、
1,2,5−、2,3,6−又は1,8,4−ナフタレ
ントリカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸、重合脂肪酸のトリマー酸などの3価以
上のカルボン酸やこれらのエステル化合物及び酸無水物
などが挙げられる。その許容使用量は、全カルボン酸成
分のうち5モル%以下が好適であり、より好ましくは1
モル%以下である。また、多価カルボン酸成分以外に、
本発明の効果を損なわない範囲でモノカルボン酸を添加
しても良い。
【0021】〈アルコール成分〉本発明のポリエステル
樹脂の原料として用いられる多価アルコール成分は、エ
チレンオキサイドによりエーテル化されたビスフェノー
ルと水素化ビスフェノールとを含有するものである。エ
チレンオキサイドによりエーテル化されたビスフェノー
ルとは、ビスフェノールにエチレンオキサイドがエーテ
ル結合したものであり、好ましくはビスフェノールA又
はビスフェノールFにエチレンオキサイド1〜5モルが
エーテル結合したものである。具体例としては、4,
4’−メチレンジフェノールのエチレンオキサイド付加
物のジオール成分、ビスフェノールAのエチレンオキサ
イド付加物のジオール成分、ビフェノールのエチレンオ
キサイド付加物のジオール成分等が挙げられる。中でも
芳香環を有するものが好ましく、特にビスフェノールA
のエチレンオキサイド付加物のジオール成分が好まし
い。水素化ビスフェノールは、ビスフェノールを水素化
して脂環族アルコールとしたもので、水素化ビスフェノ
ールA及び水素化ビスフェノールFが好ましい。
【0022】本発明のポリエステル樹脂には、多価アル
コール成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、
例えば、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロ
ールなどのグリセロール化合物、ソルビトール、グルコ
ース、マンニトール、ショ糖、ブドウ糖などの糖類、ジ
トリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメ
チロールブタン、ペンタエリスリトール等のメチロール
化合物などの3価以上のアルコール、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノー
ル、ネオペンチルアルコール、3−メチル−3−ペンタ
ノール、3−エチル−3−ペンタノール、2,3,3−
トリメチル−2−ブタノール、1−デカノール、ノニル
アルコールなどの1価アルコールを併用してもよい。そ
の許容使用量は、全多価アルコール成分中の通常5重量
%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重
量%以下である。
【0023】前記多価カルボン酸成分と多価アルコール
成分からなるモノマー成分を重縮合するにあたり、全多
価カルボン酸成分と全多価アルコール成分とを合計した
全モノマー中のアルコール性反応性基の水酸基価の総数
[X]が前記カルボン酸性反応性基の酸価の総数[Y]
よりも多い条件で行うことが、ポリエステルの分子量を
高くして、且つ水酸基価を高くする上で好適である。ア
ルコール性反応性基の水酸基価の総数[X]とカルボン
酸性反応性基の酸価の総数[Y]との割合は、[X]/
[Y]の当量比で、通常1.00以上、好ましくは1.
01〜1.20、より好ましくは1.02〜1.10の
範囲である。ここでアルコール性反応性基としては、エ
ステル結合を形成させるアルコール性の官能基を示し、
通常、ヒドロキシル基などが挙げられ、また、カルボン
酸性反応性基としては、エステル結合を形成させるカル
ボン酸性の官能基を示し、通常、カルボキシル基、エス
テル基、酸無水物などが挙げられる。
【0024】縮重合反応は、常法に従えばよく、例えば
反応温度が100〜300℃、好ましくは150〜28
0℃、更に好ましくは180〜240℃で行われ、特に
不活性ガスの存在下で行うのが好ましい。必要に応じ
て、トルエン、キシレンなどの水と共沸する非水溶性の
有機溶媒を使用してもよく、また反応を減圧下(通常、
0.1〜200mmHg、好ましくは0.5〜100m
mHg、より好ましくは1〜30mmHg)で行っても
よい。
【0025】また、エステル化縮重合反応時には、通
常、エステル化触媒が用いられる。エステル化触媒とし
ては、例えば、パラトルエンスルホン酸、硫酸、リン酸
などのブレンステッド酸、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、
酢酸マンガン、ステアリン酸亜鉛、アルキル錫オキサイ
ド、ジアルキル錫オキサイド、チタンアルコキサイドな
どの有機金属化合物、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化
チタン、酸化バナジウムなどの金属酸化物、などが挙げ
られ、得られたポリエステルの酸化安定性の点で周期律
表第IV族の有機金属化合物が好ましい。
【0026】〈活性エネルギー線硬化型架橋剤〉ブロッ
キングやプリント時のインクシートとの融着、スティッ
キングを防ぐために、熱転写記録用受容シートの染料受
容層の染着樹脂に架橋を施さなければならない。従来、
昇華熱転写染料受容シートの架橋反応に用いられていた
ものはイソシアネート化合物であるが、ポリエステル樹
脂とイソシアネート化合物との架橋反応には2つの問題
がある。一つは、ポリエステル樹脂の1分子あたりの架
橋点が、分子末端に2つしか存在しないため架橋密度が
低すぎること、もう一つは、イソシアネート化合物の反
応性が、周囲の水分によって著しく変化することであ
る。この2つの問題により、ポリエステル樹脂とイソシ
アネート化合物との架橋反応は、架橋密度の制御の点か
らも難しく、またブロッキングやインクシートとの融着
を完全に防ぐことができない場合がある。
【0027】上記の問題点を解決するために、単独、あ
るいは複数の活性エネルギー線硬化型架橋剤を用いて、
活性エネルギー線による架橋を施す方法に到達した。活
性エネルギー線により架橋を行うには、架橋剤として架
橋性基にアクリロイル基(以下、アクリレートという)
あるいはメタクリロイル基(以下、メタクリレートとい
う)を有するモノマー及びオリゴマーが好適に用いられ
る。活性エネルギー線硬化型架橋剤としてアクリレー
ト、メタクリレートを用いた場合は、1分子中のアクリ
ロイル、メタクリロイルの基の数のことである。
【0028】染料受容層の重量に対する架橋剤の使用量
は、10〜40重量%である。架橋剤の使用量が10重
量%未満の場合、ブロッキングやプリント時のスティッ
キングを完全に防ぐことが出来ず、逆に40重量%を超
えると、染料受容層全体に対する染着性熱可塑性樹脂の
比率が低下し、十分な染着濃度が得られない。
【0029】本発明に用いる活性エネルギー線硬化型架
橋剤の平均架橋可能点数は、下式(1)に従って計算し
た値が4〜6個の範囲にあることが望ましい。平均架橋
可能点数が4個未満の場合は、十分な架橋密度のものが
得られず、ブロッキング、インクシートとの融着などを
防ぐことが困難になる場合がある。一方、平均架橋可能
点数が6個より大きい場合は、逆に架橋密度が高くなり
すぎて、十分な染着感度が得られなかったり、染料受容
層としてシート状に製膜したときに折り割れが発生した
りする。したがって、4官能性、5官能性、6官能性の
アクリレート、メタクリレートを単独で用いる場合は問
題ないが、他の官能基数のアクリレート、メタクリレー
トを混合して使用する場合は、平均架橋可能点数が4〜
6の範囲内になるように混合比を調整することが望まし
い。
【0030】 平均架橋可能点数=Σ(xi・wi)/Σ(wi) (1) xi;活性エネルギー線硬化型架橋剤i成分の1分子中
の架橋可能点数 wi;活性エネルギー線硬化型架橋剤i成分を添加した
重量部数
【0031】式(1)の定義に従えば、例えば2種類の
アクリレート、又はメタクリレートを用いた場合の平均
の架橋点数は次のようになる。一方の(メタ)アクリレ
ートの官能基数がxで、添加量がa重量部、もう一方の
(メタ)アクリレートの官能基数がyで、添加量がb重
量部とした場合は、平均架橋可能点数は、式1に従って
(x・a+y・b)/(a+b)となる。たとえば、6
官能アクリレートであるジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートを18部、2官能アクリレートである2,
2−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシフェニ
ル)プロパンを2部混合した場合、平均架橋可能点数は
5.6となる。もちろん、6官能性アクリレートを単独
で使用した場合は、平均架橋可能点数は6.0となる。
【0032】上記モノマー、オリゴマーで、1分子当た
りの架橋点が平均で4.0〜6.0個のものにするに
は、多官能性のアクリレート、又はメタクリレートを使
用する必要がある。多官能性モノマーの代表として、6
官能性のアクリレート、又はメタクリレートが一般的に
用いられている。具体的には、ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート(日本化薬(株)製:KAYARA
D DPHA)のほか、KAYARAD DPCA−2
0、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD
DPCA−60、KAYARAD DPCA−120
(いずれも日本化薬製)がある。この中でも特に、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレートが最も好まし
い。
【0033】上記のような6官能アクリレート、メタク
リレートを単独で使用しても良いし、他の1〜5官能の
アクリレート、メタクリレートと混合して用いても良
い。混合可能なアクリレート、メタクリレートとして
は、ポリエーテルアクリレートもしくはポリエーテルメ
タクリレート系(以下「アクリレートもしくはメタクリ
レート」を単に「(メタ)アクリレート」と略記す
る。)、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリオ
ール(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリ
レート系、アミドウレタン(メタ)アクリレート系、ウ
レタン(メタ)アクリレート系、スピロアセタール(メ
タ)アクリレート系、ポリブタジエン(メタ)アクリレ
ート系などのモノマー・オリゴマーを挙げることができ
る。
【0034】具体的には、1,2,6−ヘキサントリオ
ール/プロピレンオキシド/アクリル酸、トリメチロー
ルプロパン/プロピレンオキシド/アクリル酸から合成
されたポリエーテル(メタ)アクリレート;アジピン酸
/1,6−ヘキサンジオール/アクリル酸、コハク酸/
トリメチロールエタン/アクリル酸等から合成されたポ
リエステル(メタ)アクリレート;トリエチレングリコ
ールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジア
クリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、
1,4−ブタンジオールジメタクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチル
カルビトールアクリレート、トリメチロールプロパント
リアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレ
ート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ
ペンタエリスリトールペンタアクリレート、2,2−ビ
ス(4−アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシプロポキ
シフェニル)プロパン等の(メタ)アクリレート又はポ
リオール(メタ)アクリレート、
【0035】ジグリシジルエーテル化ビスフェノールA
/アクリル酸、ジグリシジルエーテル化ポリビスフェノ
ールA/アクリル酸、トリグリシジルエーテル化グリセ
リン/アクリル酸等のエポキシ(メタ)アクリレート;
γ−ブチロラクトン/N−メチルエタノールアミン/ビ
ス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン/2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、γ−ブチロラクトン/N
−メチルエタノールアミン/2,6−トリレンジイソシ
アネート/テトラエチレングリコール/2−ヒドロキシ
エチルアクリレート等のアミドウレタン(メタ)アクリ
レート;2,6−トリレンジイソシアネートジアクリレ
ート、イソホロンジイソシアネートジアクリレート、ヘ
キサメチレンジイソシアネートジアクリレート等のウレ
タンアクリレート;ジアリリデンペンタエリスリトール
/2−ヒドロキシエチルアクリレートから合成されたス
ピロアセタールアクリレート;エポキシ化ブタジエン/
2−ヒドロキシエチルアクリレートから合成されたアク
リル化ポリブタジエン等が挙げられる。これらの中でも
2,2−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシフェ
ニル)プロパンが特に好ましい。
【0036】活性エネルギー線として紫外線を用いる場
合は、さらに光重合開始剤を樹脂成分100重量部に対
して0.1〜10重量部添加することが好ましい。光重
合開始剤の具体例としては1−ヒドロキシシクロヘキシ
ルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピ
オフェノン、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられ
る。活性エネルギー線として電子線を用いる場合は、特
に開始剤などを用いる必要はなく、架橋剤のみを添加し
て硬化するのが一般的であり、架橋剤としては生産性な
どを考慮するとアクリロイルオキシ基を持つものが架橋
速度の面で好ましい。活性エネルギー線には、紫外線又
は電子線が用いられるが、光重合開始剤を用いずに硬化
ができる電子線の方が、架橋速度が速いこと、塗工液中
に開始剤がないために、ポットライフが長くなること等
の製造上の理由により好ましい。
【0037】〈染料受容層の製造〉本発明の熱転写記録
用受容シートに用いる基材シートとしては特に制限はな
く、知られているシート状基材の何れもが使用できる。
シート状基材の一般的な具体例を下記に挙げる。(1) 合
成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステ
ル系などの合成紙)、(2) 上質紙、アート紙、コート
紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂、
又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、
合成樹脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙、ポリオレフ
ィンコート紙(特にポリエチレンで両側を被覆した紙)
などの紙支持体、(3) ポリプロピレンやポリエチレン等
のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリスチレン、メタクリレート、ポリカー
ボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド
などのプラスチックフィルム又はシートとこのプラスチ
ックに白色反射性を与える処理をしたフィルム又はシー
トなど。又、上記基材シートの任意の組み合わせによる
積層体も使用できる。これらの基材シートの厚みは任意
でよく、例えば10〜300μm程度の厚みが一般的で
ある。基材シートの表面と染料受容層との密着力が乏し
い場合には、その表面にプライマー処理やコロナ放電処
理を施すのが好ましい。
【0038】また、本発明の記録用シートは、基材シー
トを適宜選択することにより、熱転写記録可能な連続又
は枚葉シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の
各種用途に適用することも出来る。更に、本発明の受像
シートは必要に応じて基材シートと染料受容層との間に
クッション層を設けることが出来、この様なクッション
層を設けることによって、印字時にノイズが少なく画像
情報に対応した画像を再現性良く転写記録することが出
来る。上記の如き本発明の熱転写記録用受容シートを使
用して熱転写を行う際に使用する熱転写シートは、紙や
ポリエステルフイルム上に染料を含む染料層を設けたも
のであり、従来公知の熱転写シートはいずれも本発明で
そのまま使用することが出来る。
【0039】上記基材シートの表面に形成する染料受容
層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形
成された画像を維持する為のものである。染料受容層を
形成するための樹脂としては、本発明で提案するポリエ
ステル樹脂が最も好ましい。染料受容層を形成する場
合、本発明のポリエステル樹脂を単独で使用してもよい
し、混合物としても使用することが出来、更に他の熱可
塑性樹脂、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン
系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリア
クリルエステル等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレ
フィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイ
オノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹
脂、ポリカーボネート等を併用することも出来る。この
樹脂混合物中での本発明によるポリエステル樹脂の比率
は好ましくは50〜100%、より好ましくは70〜1
00%である。
【0040】本発明では、染料受容層の耐候性をさらに
向上させる目的で、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含
有させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾ
フェノン系のものが好ましい。ベンゾフェノン系紫外線
吸収剤として公知のものが使用できる。具体例として
は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
ベンジルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキ
シ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’
−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒド
ロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジオクトキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジドデシ
ルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキ
シ−5−スルホベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0041】これらの紫外線吸収剤は、単独でも、2種
以上を混合しても使用することができる。使用量は、ポ
リエステル樹脂及び架橋性成分の合計100重量部に対
し、1〜10重量%である。使用量が1重量%未満で
は、未添加と耐候性レベルはほとんど変わらないし、ま
た10重量%より多いと、該紫外線吸収剤が染料受容層
表面にブリードアウトしてきたり、記録画像が経時的に
にじんできたりすることがある。
【0042】本発明の染料受容層に、ヒンダードアミン
系光安定剤を添加することもできる。この場合、紫外線
吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤とを組み合わせる
と耐候性向上に相乗効果が現れるという公知のことよ
り、ヒンダードアミン系光安定剤を使用する場合は、ベ
ンゾフェノン系紫外線吸収剤と組み合わせて用いること
が望ましい。また、ヒンダードアミン系光安定剤を添加
すると、耐候性はもちろんのこと耐皮脂性も向上する。
【0043】ここで耐皮脂性とは、手に付いている皮脂
成分に対する、染料受容層に染着した染料の退色の度合
いを指す。ヒンダードアミン系光安定剤を添加して、耐
皮脂性が良好になる理由は明らかではないが、一つの理
由として、手の皮脂は一般にpHが酸性側になってお
り、ヒンダードアミン系光安定剤の塩基性が皮脂成分の
酸性成分をトラップするために、耐皮脂性が向上してい
るものと考えられる。
【0044】ヒンダードアミン系光安定剤としては公知
のものが使用でき、具体的には、ビス(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(旭電化
製:LA77)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジル)セバケート(チバガイギー製:
TINUVIN 292)、1−{2−〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ニルオキシ〕エチル}−4−〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(三共
製:SANOLLS2626)、4−ベンゾイルオキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(三共製:
SANOL LS744)、8−アセチル−3−ドデシ
ル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリ
アザスピロ〔4,5〕デカン−2,4−ジオン(三共
製:SANOL LS440)、2−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル
マロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−ピペリジル)(チバガイギー製:TINUVIN 1
44)、
【0045】コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジニル)エステル(チバガイギー製:
TINUVIN 780FF)、コハク酸ジメチルと1
−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジンの重縮合物(チバ
ガイギー製:TINUVIN622LD)、ポリ{〔6
−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕
ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)イミノ〕}(チバガイギー製:CHIM
ASSORB 944LD)、N,N−ビス(3−アミ
ノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス〔N−ブ
チル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−
ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリ
アジンの重縮合物(チバガイギー製:CHIMASSO
RB 119FL)、HA−70G(三共製)、アデカ
スタブ LA−52、アデカスタブ LA−57、アデ
カスタブ LA−62、アデカスタブ LA−67、ア
デカスタブ LA−63、アデカスタブ LA−68、
アデカスタブ LA−82、アデカスタブ LA−87
(いずれも旭電化工業製)などが挙げられる。
【0046】上記ヒンダードアミン系光安定剤の添加量
は、染料受容層全体の重量に対して、1〜20重量%以
下で使用し、好ましくは5〜10重量%である。使用量
が1重量%未満では、未添加したものと耐候性、耐皮脂
性のほとんど変わらないし、一方20重量%を超える
と、架橋反応を施したときに十分に硬化反応が進行せ
ず、染料受容層表面がべとついたり、ブロッキングを起
こしたり、といった問題が生ずる。
【0047】本発明の熱転写記録用受容シートは、前記
の基材シートの少なくとも一方の面に、上記の如き樹脂
及び他の必要な添加剤、例えば、離型剤、硬化剤、触
媒、熱離型剤等を加えたものを、適当な有機溶剤に溶解
したり或いは有機溶剤や水に分散した分散体を、例え
ば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を
用いたリバースロールコーティング法等の形成手段によ
り塗布及び乾燥して染料受容層を形成することによって
得られる。上記染料受容層の形成に際しては、染料受容
層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高める
目的で、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸
カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を添加する
ことが出来る。以上の如く形成される染料受容層は任意
の厚さでよいが、一般に染料受容層の厚さは、0.5〜
50μm程度であることが好ましく、2〜10μmであ
ることがより好ましい。染料受容層の厚さが薄過ぎると
画像の濃度及び感度が低下し、塗工精度の制限から画像
の均一性が悪くなる。また、それが厚過ぎると得られる
染料受容層の作用効果が飽和し不経済であるばかりでな
く染料受容層の強度が低下する。また、この様な染料受
容層は連続被覆であるのが好ましいが、樹脂エマルジョ
ンや樹脂分散液を使用して、不連続の被覆として形成し
てもよい。
【0048】本発明では転写方法で前記染料受容層を形
成することも出来る。即ち、基材シートとして、例え
ば、パルプ紙等を用いる場合には、該基材は表面平滑性
が不足する場合があり、この場合には上記塗工方法では
形成される染料受容層に凹凸やピンホール等が発生する
場合があるが、転写方法によれば、この様な問題は発生
しない。転写方法は、例えば、ポリエステルフイルム等
の離型性のよいフイルム面に上記の染料受容層を形成
し、更にその表面に適当な粘着剤層又は接着剤層を形成
しておき、この粘着剤層を前記パルプ紙基材面に対向さ
せてラミネーター等で貼り合わせ、その後上記ポリエス
テルフイルムを剥離する方法である。又、予めパルプ紙
表面に中間層を形成しておいてもよいし、染料受容層表
面に保護層を設けておいてもよい。
【0049】本発明の染料受容層には、染料受容層と転
写シートの離型性をさらに向上させる目的で離型剤を含
有させることが好ましい。離型剤としては、シリコン系
界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ポリオルガノシロキ
サンを幹又は枝とするグラフトポリマー、シリコン系あ
るいは含フッ素系の架橋構造をとり得る化合物、例えば
アミノ変性シリコンとエポキシ変性シリコンの組み合わ
せなどを挙げることができ、これら離型剤を単独又は併
用して使用することができる。離型剤の使用量は特に限
定はされないが、ポリエステル樹脂及び架橋性成分の合
計100重量部に対し、0.01〜10重量部含有させ
ることが望ましい。
【0050】さらに、本発明の染料受容層には、使用目
的によって、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸
化亜鉛などの無機充填剤あるいは、染料受容層の色調を
調節する蛍光染料や、ブルー、バイオレットなどの染料
も必要に応じて染料受容層に添加することも可能であ
る。
【0051】熱転写記録用受容シートがプリンター内で
走行する際に静電気が発生し、走行トラブルとなること
を防ぐために、帯電防止剤を染料受容層内に添加する
か、又はそれを含むバックコートを配置するなどの方法
で含有させてもよい。帯電防止剤としてはカチオン系親
水性高分子が良く用いられる。
【0052】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。これらの例中の部及び%は、特に断わりがない限り
重量基準である。また、各評価の方法は以下のとおりで
ある。
【0053】〈ポリエステル樹脂の評価方法〉 (1)重量平均分子量 ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法に従っ
て、標準ポリスチレン換算量として算出した。 (2)水酸基価 ポリエステル樹脂の水酸基価(OHV)は、無水酢酸を
用いてアセチル化を行った後、水酸化カリウムのエタノ
ール溶液で滴定して求めた。 (3)ガラス転移温度(Tg) ポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱
量計(DSC)法に従って測定した。
【0054】〈熱転写記録用受容シートの評価方法〉 (1)感度(染料染着濃度) 市販のカラービデオプリンター(松下電器産業製:NV
−MPX300C)でイエロー、マゼンタ、シアンそれ
ぞれの3色重ねのブラックを室温下(20℃、65%R
H)で濃度ステップパターンを印字したものを、そのス
テップ10における染着濃度をマクベス濃度計(サカタ
インクス製:RD−914、Aフィルター使用)で評価
した。 (2)耐候性 上記と同一条件でステップ印字した試料をキセノンアー
クフェードオメーター(アトラス製:Ci35、硼珪酸
ガラスフィルター/ソーダライムガラスフィルター使
用)中で370W/m2 、温度63℃、湿度50%RH
中で72時間処理後、初期染料濃度値が1.0付近の染
料残存率をマクベス濃度計(サカタインクス製:RD−
914、Aフィルター使用)で測定した。 (3)耐皮脂性 上記と同一条件でステップ印字した試料の初期染料濃度
値が1.0付近の印字部分に、印字後速やかに手の皮脂
成分を擦り付け、室温下(20℃、65%RH)に3日
間放置し、染料残存率をマクベス濃度計(サカタインク
ス製:RD−914、Aフィルター使用)で測定した。
【0055】(4)静摩擦係数 ブロッキングや重送の起こし易さの指標として静摩擦係
数を測定した。装置は表面性測定器(新東科学社製:ト
ライボギアType14DR)を用いて、染料受容層表
面の染料熱転写画像転写シートの裏面との静摩擦係数を
測定した。用いた染料熱転写画像転写シートの裏面は、
上記市販のカラービデオプリンター用の市販紙(松下電
器産業製:VW−MPC25)の裏面である。測定条件
はASTM規格にしたがって測定した。すなわち、荷重
200g、測定速度150mm/分で行った。温度は5
0℃で行った。 (静摩擦係数の評価基準)0.35以下は◎、0.35
を超え0.50以下は○、0.50を超え1.00以下
は△、1.00を超えるものは×とした。
【0056】(5)ブロッキング試験 染料受容層表面に市販紙(松下電器産業製:VW−MP
C25)の裏面をあてて、50℃の雰囲気下中で250
g/cm2となるように加重をかけて2日間置いた後の
染料受容層表面と市販紙裏面との貼り付き感を調べた。 (ブロッキング試験の評価基準)全く貼り付かないもの
は○、若干貼り付いているが容易に剥がれるものは△、
染料受容層表面と市販紙裏面が完全に貼り付いてしまっ
たものは×とした。 (6)インクシートとの融着現象の有無 室温下におけるステップ印字の際に、インクシートとの
融着現象の有無を確認した。 (インクシートとの融着評価基準)融着現象が全く起こ
らなかったものは○、染料染着濃度の高い部分のみ融着
した場合は△、全体的に染料受容層とインクシートとが
貼り付いたものは×とした。
【0057】(ポリエステル樹脂の合成) 合成実施例1 攪拌機、温度計、還流冷却管、分水管及び窒素ガス導入
管を備えた1リットル四つ口フラスコに、コハク酸(S
A)109.2g、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸(CHDA)146.9g、ビスフェノールAエチレ
ンオキサイド付加物(BA−2、竹本油脂製、水酸基価
352mgKOH/g)466.5g、水素化ビスフェ
ノールA(H−BPA,水酸基価460mgKOH/
g)88.5g及び触媒としてモノブチルスズオキサイ
ド0.20gを仕込んだ。反応成分モル比はSA/CH
DA=52/48及びBA−2/H−BPA=80/2
0であり、官能性基比は[X]/[Y]=1.02であ
る。窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、反応中に生成
する水及び未反応のジオールを除去しながら、180℃
から200℃まで7時間を要して昇温した。その後1m
mHgの減圧下で脱水を行いながら、220℃から24
0℃まで3時間を要して昇温し、更に4時間反応を続
け、ポリエステル樹脂Aを得た。示差走査熱量計によっ
て測定したTgは55.2℃、GPCによって測定した
Mwはポリスチレン換算で26,740であった。
【0058】合成実施例2 コハク酸(SA)115.5g、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸(CHDA)137.7g、ビスフェノ
ールAエチレンオキサイド付加物(BA−2)437.
3g、水素化ビスフェノールA(H−BPA)110.
6g及び触媒としてモノブチルスズオキサイド 0.2
0gとしたほかは合成実施例1と同様にして反応を行っ
た。反応成分モル比はSA/CHDA=55/45及び
BA−2/H−BPA=75/25であり、官能性基比
は[X]/[Y]=1.02である。得られたポリエス
テル樹脂BのTgは58.7℃、Mwは27,050で
あった。
【0059】合成比較例1 コハク酸(SA)14.8g、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸(CHDA)50.0g、ビスフェノール
Aエチレンオキサイド付加物(BA−2)107.1
g、水素化ビスフェノールA(H−BPA)20.3
g、モノブチルスズオキサイド 0.22gとした他は
合成実施例1と同様に反応を行った。反応成分モル比は
SA/CHDA=30/70及びBA−2/H−BPA
=20/80であり、官能性基比は[X]/[Y]=
1.02である。得られたポリエステル樹脂CのTgは
67.3℃、Mwは19,030であった。
【0060】合成比較例2 合成実施例1と同じ装置に、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸 100.0g、ビスフェノールAエチレン
オキサイド付加物(BA−2)160.7g、ジメチロ
ールヘプタン14.3g、触媒モノブチルスズオキサイ
ド 0.22gを仕込んだ他は合成実施例1と同様に反
応を行った。官能性基比は[X]/[Y]=1.02で
ある。得られたポリエステル樹脂DのTgは49.6
℃、Mwは28,130であった。
【0061】合成比較例3 合成実施例1と同じ装置に、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸50.0g、テレフタル酸52.2g、ビス
フェノールAエチレンオキサイド付加物156.2g、
水素化ビスフェノールA29.7g、触媒モノブチルス
ズオキサイド0.22gを仕込んだ他は合成実施例1と
同様に反応を行った。官能性基比は[X]/[Y]=
1.02である。 以下、得られたポリエステル樹脂E
のTgは57.0℃、Mwは41,420であった。
【0062】合成比較例4 合成実施例1と同じ装置に、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸 146.9g、コハク酸109.2g、ビ
スフェノールAエチレンオキサイド付加物(BA−2)
376.0g、水素化ビスフェノールA154.9g、
モノブチルスズオキサイド 0.24gを仕込んだ
([X]/[Y]=1.02)。以下、合成例1と同様
に反応を行い、ポリエステル樹脂Fを得た。示差走査熱
量計によって測定したTgは72.3℃、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーによって測定したMwはポ
リスチレン換算で21,870であった。合成したポリ
エステル樹脂のモノマー組成を表1に示す(単位はモル
部)。
【0063】
【表1】
【0064】注 *1)1,4−CHDC; 1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸 *2)BA−2; ビスフェノールAエチレンオキサイ
ド付加物 *3)H−BPA; 水素化ビスフェノールA
【0065】<実施例1>基材シートとして厚さ150
μmの合成紙(商標:ユポFPG−150、王子油化合
成紙社製)を用い、この一方の面に下記の組成の塗工液
を#12のワイヤーバーにより乾燥時4.0μmになる
ように塗布し、120℃で1分間乾燥させた後、加速電
圧175kV、ビーム電流6mAでカーテン式電子線加
速装置を用いて8Mradの照射量で架橋を行い、熱転
写記録用受容シートを得た。 (塗工液組成) ポリエステル樹脂A 80部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート (日本化薬:KAYARAD−DPHA) 18部 2,2−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン (荒川化学工業製:ビームセット750) 1部 シリコーンオイル(信越化学製:KP−366) 1部 トルエン/MEK(重量比1/1) 400部 (MEKはメチルエチルケトンを示す。以下同様。)
【0066】<実施例2>実施例1の塗工液組成におい
て、ポリエステル樹脂A80部の代わりに、ポリエステ
ル樹脂B80部を用いた以外は、実施例1と同様の操作
により熱転写記録用受容シートを得た。
【0067】<実施例3>実施例1の塗工液組成に、ベ
ンゾフェノン系紫外線吸収剤である2−ヒドロキシ−4
−オクトキシベンゾフェノン(旭電化製:アデカスタブ
1413)を5部添加し、トルエン/MEKを420部
に変更した以外は、実施例1と同様の操作により熱転写
記録用受容シートを得た。
【0068】<実施例4>実施例1の塗工液組成に、ヒ
ンダードアミン系光安定剤(チバガイギー製:TINU
VIN 292)を10部添加し、トルエン/MEKを
440部に変更した以外は、実施例1と同様の操作によ
り熱転写記録用受容シートを得た。
【0069】<実施例5>実施例1の塗工液組成に、ベ
ンゾフェノン系紫外線吸収剤である2−ヒドロキシ−4
−オクトキシベンゾフェノン(旭電化製:アデカスタブ
1413)を5部、ヒンダードアミン系光安定剤(チバ
ガイギー製:TINUVIN 292)を10部、トル
エン/MEKを460部に変更した以外は、実施例1と
同様の操作により熱転写記録用受容シートを得た。
【0070】<実施例6>実施例1の塗工液組成におい
て、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート18部
から7.6部に、2,2−ビス(4−アクリロイルオキ
シジエトキシフェニル)プロパンを1部から11.4部
に変更した以外は、実施例1と同様の操作により熱転写
記録用受容シートを得た。この場合の平均架橋可能点数
は、3.6である。
【0071】<比較例1>実施例1の塗工液組成におい
て、ポリエステル樹脂A80部の代わりに、ポリエステ
ル樹脂C80部を用いた以外は、実施例1と同様の操作
により熱転写記録用受容シートを得た。
【0072】<比較例2>実施例1の塗工液組成におい
て、ポリエステル樹脂A80部の代わりに、ポリエステ
ル樹脂D80部を用いた以外は、実施例1と同様の操作
により熱転写記録用受容シートを得た。
【0073】<比較例3>実施例1の塗工液組成におい
て、ポリエステル樹脂A80部の代わりに、ポリエステ
ル樹脂E80部を用いた以外は、実施例1と同様の操作
により熱転写記録用受容シートを得た。
【0074】<比較例4>実施例1の塗工液組成におい
て、ポリエステル樹脂A80部の代わりに、ポリエステ
ル樹脂F80部を用いた以外は、実施例1と同様の操作
により熱転写記録用受容シートを得た。
【0075】<比較例5>実施例1の塗工液組成におい
て、ポリエステル樹脂Aの添加量を80部から95部
に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの添加
量を18部から3.8部に、2,2−ビス(4−アクリ
ロイルオキシジエトキシフェニル)プロパンの添加量を
1部から0.2部に変更した以外は、実施例1と同様の
操作により熱転写記録用受容シートを得た。この場合の
平均架橋可能点数は、実施例1〜4と変わらない。
【0076】<比較例6>実施例1の塗工液組成におい
て、ポリエステル樹脂Aの添加量を80部から50部
に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの添加
量を18部から46.4部に、2,2−ビス(4−アク
リロイルオキシジエトキシフェニル)プロパンの添加量
を1部から2.6部に変更した以外は、実施例1と同様
の操作により熱転写記録用受容シートを得た。この場合
の平均架橋可能点数は、実施例1〜4と変わらない。
【0077】<比較例7>実施例1と同様な基材シート
の片面に、下記の組成の塗工液を#12のワイヤーバー
により乾燥時4.0μmになるように塗布し、120℃
で1分間乾燥させた後、50℃の雰囲気下中に置いて熱
架橋を施し、熱転写記録用受容シートを得た。 (塗工液組成) ポリエステル樹脂A 80部 イソシアネート(日本ポリウレタン工業製:コロネートL) 17部 シリコーンオイル(信越化学製:KP−366) 3部 トルエン/MEK(重量比1/1) 400部
【0078】
【表2】
【0079】表2において、 *1)NEとは、Not Estimatedの略であ
る。比較例5は完全に融着したために、感度、耐候性、
耐皮脂性の見積もりが不可能であった。比較例7は、イ
ンクシートとの融着現象が、染料染着濃度の高い部分で
起きたため、ステップ10付近の染料染着濃度は測定で
きなかったが、濃度1.0付近の部分は融着しなかった
ため、耐候性、耐皮脂性の試験は可能であった。 *2) イソシアネートによる架橋のため、平均架橋可
能点数は評価しなかった。
【0080】本発明の熱転写記録用受容シートである実
施例1は、感度、耐候性、耐皮脂性に優れ、かつ静摩擦
係数が低く、ブロッキングやインクシートとの融着現象
も起こすことがない。また、ベンゾフェノン系紫外線吸
収剤を含有させた実施例2では耐候性の改善が、ヒンダ
ードアミン系光安定剤を加えた実施例3、4では耐候
性、耐皮脂性のさらなる改善が観られた。また、平均架
橋可能点数の小さい実施例6においては、摩擦係数がや
や劣るものの、基本的な性能は実施例1〜5とそれほど
変わらない。
【0081】本発明の範囲を逸脱しているモノマー組成
を有するポリエステル樹脂を使用した比較例1〜4で
は、実施例1〜6と比較して耐候性、耐皮脂性に劣る。
また、ポリエステル樹脂と活性エネルギー線硬化型架橋
剤との割合が本発明の範囲を逸脱している比較例5及び
6において、比較例5では硬化不良のためにインクシー
トとの融着が起き、比較例6では染着性樹脂であるポリ
エステル樹脂組成の相対的な低下により感度の低下を招
き、適切ではない。また、本発明の範囲外の架橋方法で
ある比較例7においても、静摩擦係数の上昇、ブロッキ
ング、インクシートとの融着が発生する。
【0082】
【発明の効果】表2の結果から明らかなように、直鎖脂
肪族カルボン酸が50モル%より多くと脂環族ジカルボ
ン酸が50モル%未満からなる多価カルボン酸成分と多
価アルコール成分とを重縮合してなる、重量平均分子量
(Mw)が10,000〜100,000、ガラス転移
温度45〜70℃のポリエステル樹脂は受容層を形成す
る材料として非常に好適であり、該ポリエステル樹脂6
0〜90重量%と、前記式(1)によって定義した平均
架橋可能点数が4〜6個である活性エネルギー線硬化型
架橋剤10〜40重量%からなる混合物に活性エネルギ
ー線を照射して架橋反応を施すことによって、感度、耐
候性、耐皮脂性に優れ、かつブロッキングやインクシー
トとの融着現象が発生しない熱転写記録用受容シートを
得ることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 283/02 B41M 5/26 101H (72)発明者 神野 文夫 東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製 紙株式会社東雲研究センター内 (72)発明者 北原 静夫 神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 Fターム(参考) 2H111 AA09 AA16 AA27 AA33 CA03 CA30 CA33 CA37 CA41 CA48 4J011 AC04 PA27 PA36 PA43 PA88 PB24 PC02 QA03 QA12 QA13 QA16 QA18 QA23 QA24 QA34 QB05 QB14 QB16 QB19 QB20 QB24 RA07 SA16 SA54 SA58 UA01 UA03 VA01 WA01 4J026 AB07 BA27 BA28 BA30 BA50 BB01 BB02 DB36 FA05 FA09 GA08 4J029 AA03 AB01 AB07 AC02 AD01 AD07 AE03 BD10 BF26 CA02 CA03 CA04 CA05 CA06 CA09 CD03 HA01 HB01 JB153 JC043 JC233 JC283 JE182 KB02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直鎖脂肪族ジカルボン酸が50モル%よ
    り多くと脂環族ジカルボン酸が50モル%未満からなる
    多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを重縮合し
    てなる、重量平均分子量(Mw)が10,000〜10
    0,000、ガラス転移温度45〜70℃であることを
    特徴とするポリエステル樹脂。
  2. 【請求項2】 上記ポリエステル樹脂において、多価ア
    ルコール成分がエチレンオキサイドによりエーテル化さ
    れたビスフェノール50モル%以上と水素化ビスフェノ
    ール50モル%以下とを含むことを特徴とする請求項1
    記載のポリエステル樹脂。
  3. 【請求項3】 基材シートと、該基材シートの少なくと
    も一方の面に設けられた樹脂を主体とする染料受容層か
    らなる熱転写記録用受容シートにおいて該染料受容層
    は、前記請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂を染
    料受容層乾燥重量の60〜90重量%及び活性エネルギ
    ー線硬化型架橋剤を10〜40重量%含有する層に活性
    エネルギー線を照射することによって形成されている層
    であることを特徴とする熱転写記録用受容シート。
  4. 【請求項4】 前記熱転写記録用受容シートの染料受容
    層に用いられる活性エネルギー線硬化型架橋剤が、下式
    (1)によって定義される平均架橋可能点数が4.0〜
    6.0である単独、又は複数の活性エネルギー線硬化型
    架橋剤であることを特徴とする請求項3記載の熱転写記
    録用受容シート。 平均架橋可能点数=Σ(xi・wi)/Σ(wi) (1) xi:活性エネルギー線硬化型架橋剤i成分の一分子中
    の架橋可能点数 wi:活性エネルギー線硬化型架橋剤i成分を添加した
    重量部数
  5. 【請求項5】 前記熱転写記録用受容シートの染料受容
    層中に、さらにベンゾフェノン系紫外線吸収剤を1〜1
    0重量%含有することを特徴とする請求項3又は4に記
    載の熱転写記録用受容シート。
  6. 【請求項6】 前記熱転写記録用受容シートの染料受容
    層中に、さらにヒンダードアミン系光安定剤を1〜20
    重量%含有することを特徴とする請求項3、4又は5に
    記載の熱転写記録用受容シート。
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Cited By (7)

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