JPH08118820A - 印画紙 - Google Patents

印画紙

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JPH08118820A
JPH08118820A JP6261622A JP26162294A JPH08118820A JP H08118820 A JPH08118820 A JP H08118820A JP 6261622 A JP6261622 A JP 6261622A JP 26162294 A JP26162294 A JP 26162294A JP H08118820 A JPH08118820 A JP H08118820A
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フイ サム
Yoshinori Nakamura
吉徳 中村
Atsushi Ito
篤 伊藤
Hidemi Tomita
秀実 冨田
Yoshiyuki Kuromiya
美幸 黒宮
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 昇華型熱転写記録方法に使用する印画紙につ
いて、耐光性、暗退色性、耐皮脂性、耐可塑剤性等の保
存特性に優れた画像を形成することのできる印画紙を得
る。 【構成】 シート状基材と染料受容層とからなる印画紙
において、染料受容層に、ビニルフェノール系樹脂と染
着性樹脂とを含有させる。あるいは、染料受容層を、ビ
ニルフェノール系樹脂とブチラール樹脂と多官能イソシ
アネート化合物の重合体から形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、昇華型熱転写記録に適
した印画紙に関する。さらに詳しくは、印画紙の染料受
容層にビニルフェノール系樹脂を含有させるか、あるい
はビニルフェノール系樹脂、ブチラール樹脂及び多官能
イソシアネート化合物の重合体を含有させることによ
り、その染料受容層に形成される画像の耐皮脂性、耐可
塑剤性、耐光性等の保存性を向上させた印画紙に関す
る。
【0002】
【従来の技術】昇華性又は熱拡散性の染料からなるイン
ク層を有するインクリボンと、染料受容層を有する印画
紙とを重ね合わせ、そのインクリボンのインク層をサー
マルヘッド等により画像情報に応じて加熱し、インク層
から印画紙の染料受容層に染料を移行させて画像を形成
する昇華型熱転写記録方法が知られている。この方法に
よれば、連続的な階調のフルカラー画像を形成すること
ができるので、ビデオ画像をハードコピーする方法とし
て注目されている。
【0003】図1は、昇華型熱転写記録に使用される一
般的な印画紙1の断面図である。同図に示したように、
印画紙1はシート状基材2と染料受容層3との積層構造
をなしている。ここで、染料受容層3は、熱転写記録時
にインクリボンから移行してくる染料を受容し、それに
より形成された画像を保持する層である。このような染
料受容層3は、従来よりポリエステル、セルロースエス
テル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の染着性樹
脂から形成されている。
【0004】ところで、図1に示したような印画紙に
は、近年、高速化プリンターに対応できるように、次の
ような性質が要求されている。 (i) 染色性が高く、高濃度で光沢のある鮮明な画像を形
成できること、 (ii)画像の保存安定性がよいこと、即ち、(a) 耐指紋性
や耐皮脂性に優れていること、具体的には、手、指等の
人体の一部等に画像が接触した場合に、画像を形成する
染料が凝集や退色を起こさないこと、(b) 耐可塑剤性に
優れていること、具体的には、可塑剤を含むプラスチッ
ク消しゴムあるいはその消し屑に画像が接触した場合
に、画像を形成する染料が凝集や退色を起こさないこ
と、(c) 光に暴露した場合に画像の退色や変色が起こら
ないように高い耐光性を有すること、(d) 耐暗退色性に
も優れていること。
【0005】このような要求に応えるために、印画紙の
構成に対して種々の提案がなされている。例えば、特開
昭61−112933号公報には、ブチラール樹脂を染
料受容層の主成分とすることが開示されている。また、
特開平4−10339号公報には、ポリビニルアセター
ル樹脂を染料受容層の主成分とすることが開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、染料受
容層をポリエステル等の染着性樹脂から形成した従来の
印画紙では、そこに形成された画像の耐光性、耐暗退色
性、耐皮脂性、耐可塑剤性が十分でなく、したがって画
像の保存性が低いという問題があった。また、染料受容
層の主成分としてブチラール樹脂あるいはポリビニルア
セタール樹脂を使用した印画紙においても、保存性に関
しては十分とはいえず、さらに向上させることが望まれ
ていた。特に、インドアニリン系染料は高い転写感度を
得られるシアン系染料として有用であるが、このインド
アニリン系染料で形成された画像の耐光性が不十分とな
っていた。
【0007】このような保存性の問題に対しては、染料
受容層にUV吸収剤、酸化防止剤等の保存性向上剤を添
加することがなされているが、十分な効果は得られてい
ない。また、耐皮脂性や耐可塑剤性を向上させるため
に、画像が形成された印画紙の上にカバーフィルムをラ
ミネートすることもなされている。しかし、従来の熱転
写記録の画像形成工程に加えてラミネート工程を追加す
ることが必要となるという問題があり、またカバーフィ
ルムのラミネート後の外観や厚みについても問題をきた
している。
【0008】本発明はこのような従来技術の欠点を解消
しようとするものであり、インドアニリン系染料を含む
任意の染料で画像を形成した場合においても、耐光性、
耐暗退色性、耐皮脂性、耐可塑剤性等の保存特性に優れ
た画像を形成することのできる印画紙を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、印画紙の染
料受容層にビニルフェノール系樹脂を特定の態様で使用
すること、即ち、p−ビニルフェノール重合体等のビニ
ルフェノール系樹脂をポリエステル等の従来の染着性樹
脂と共に用いて染料受容層を形成するか、あるいはp−
ビニルフェノール重合体等のビニルフェノール系樹脂と
ブチラール樹脂との多官能イソシアネートによる架橋重
合体を用いて染料受容層を形成することにより、その印
画紙に形成される画像の保存特性を大きく向上させられ
ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】即ち、本発明は、第1の発明として、シー
ト状基材と染料受容層とからなる印画紙において、該染
料受容層が、ビニルフェノール系樹脂と染着性樹脂とを
含有することを特徴とする印画紙を提供する。
【0011】また、第2の本発明として、シート状基材
と染料受容層とからなる印画紙において、該染料受容層
が、ビニルフェノール系樹脂、ブチラール樹脂及び多官
能イソシアネート化合物の重合体を含有することを特徴
とする印画紙を提供する。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】第1の発明及び第2の発明の印画紙は、共
に図1に示した印画紙と同様に、基本的にシート状基材
と染料受容層との積層構造を有する。
【0014】第1の発明及び第2の発明の印画紙は、そ
の染料受容層が構成成分としてビニルフェノール系樹脂
を含有する点で共通するが、第1の発明においては、更
に、従来の印画紙と同様の染着性樹脂を含有する。
【0015】ここで、ビニルフェノール系樹脂として
は、p−ビニルフェノールもしくはm−ビニルフェノー
ル等のビニルフェノールの単独重合体及びp−ビニルフ
ェノールもしくはm−ビニルフェノール等のビニルフェ
ノールと他のモノマーとの共重合体のいずれも使用する
ことができる。このようなビニルフェノールの単独重合
体あるいは共重合体は、その一方を使用してもよく、双
方を併用してもよい。工業的入手容易性の点からは、p
−ビニルフェノール重合体を使用することが好ましい。
【0016】ビニルフェノール共重合体について、その
共重合体を構成する他のモノマーとしては種々のモノマ
ーを使用することができるが、例えば、ハロゲン化p−
ビニルフェノール、スチレン、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。また、ビニ
ルフェノール系樹脂がビニルフェノールの単独重合体、
共重合体のいずれからなる場合でも、ビニルフェノール
系樹脂には、ビニルフェノールが還元されたシクロヘキ
サノールユニット、例えば、p−シクロヘキサノールユ
ニットが含まれていてもよい。ただし、ビニルフェノー
ル系樹脂におけるビニルフェノールユニットの割合は1
重量%以上とすることが好ましい。
【0017】ビニルフェノールの単独重合体あるいは共
重合体としては、その軟化点が低すぎるとブロッキング
やにじみの原因となり、高すぎると感度が低下するの
で、通常20〜120℃の軟化点を有するものが好まし
い。また、分子量に関しては、小さすぎると染料受容層
がもろくなり、大きすぎると感度が低下する場合がある
ので、通常1000〜200000の分子量を有するも
のが好ましい。
【0018】染料受容層におけるビニルフェノール系樹
脂の割合は、0.1〜99.9重量%が好ましい。な
お、ビニルフェノール系樹脂を染料受容層の形成に使用
することにより、染料受容層の表面がビニルフェノール
系樹脂で覆われるようになるので、染料受容層における
ビニルフェノール系樹脂の割合は0.1重量%という微
量でも耐皮脂性を向上させることが可能となる。
【0019】一方、第1の発明において、ビニルフェノ
ール系樹脂と共に染料受容層を形成する染着性樹脂とし
ては、セルロースアセテートブチレート、セルロースア
セテートプロピオネート、セルロースアセテート等のセ
ルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリ塩化ビニル等の染着性樹脂を使用することができ
る。これら染着性樹脂としては市販品を使用することが
でき、例えば、セルロースアセテートブチレートとして
は、CAB551−a01、CAB551−0.1、C
AB551−0.2、CAB531−1、CAB500
−1、CAB500−5、CAB553−0.4、CA
B381−0.1、CAB381−0.5、CAB38
1−0.5BP、CAB381−2、CAB381−2
BP、CAB381−20、CAB381−20BP、
CAB171−15S等、セルロースアセテートプロピ
オネートとしてはCAP482−0.5、CAP482
−20、CAP504−0.2等、セルロースアセテー
トとしては、CA−394−60S、CA−398−
3、CA−398−6、CA−398−10、CA−3
98−30(以上、イーストマンコダック社製)等を使
用することができる。また、飽和ポリエステル樹脂とし
ては、バイロン200、バイロン290、バイロン60
0等(以上、東洋紡社製)、UE3600、XA600
98、XA7026(以上、ユニチカ社製)、TP22
0、TP235(以上、日本合成社製)等を使用するこ
とができる。
【0020】第1の発明の印画紙の染料受容層には、上
記のビニルフェノール系樹脂及び染着性樹脂の他に、耐
光性や耐暗退色性をさらに向上させ、また染着性等も向
上させる化合物を含有させることができる。このような
化合物としては染着性樹脂と相溶性のものを使用するこ
とが好ましく、例えば、次のようなエステル化合物やウ
レタン化合物を含有させることができる。
【0021】エステル化合物としては、一般に可塑剤と
して使用されている多くの化合物を使用することがで
き、特に、常圧下の沸点が180℃以上のものが好まし
い。例えば、フタル酸やトリメリット酸等の芳香族多塩
基酸、コハク酸等の脂肪族多塩基酸又は脂環式多塩基酸
と、脂肪族アルコール、脂環式アルコール又はフェノー
ル類とのエステルを使用することができ、その他、多価
フェノールエステル、多価アルコールエステル、リン酸
エステル、炭酸エステル、種々のモノエステル等も使用
することができる。
【0022】より具体的には、例えば多価フェノールエ
ステルとして、カテコールジ酢酸エステル、カテコール
ジプロピオン酸エステル、カテコールジ酪酸エステル、
カテコールジ安息香酸エステル、カテコールジ−o−ト
ルイル酸エステル、カテコールジ−p−トルイル酸エス
テル、カテコールジクロトン酸エステル、カテコール酢
酸・安息香酸エステル、レゾルシンジ酢酸エステル、レ
ゾルシンジ酪酸エステル、レゾルシン酢酸・安息香酸エ
ステル、レゾルシンジ安息香酸エステル、ハイドロキノ
ンジ酢酸エステル、ハイドロキノン安息香酸エステル、
ハイドロキノンジカプロン酸エステル、ピロガロールト
リ酢酸エステル、ピロガロールトリ安息香酸エステル、
ビスフェノールA酪酸エステル、ビスフェノールA安息
香酸エステル、4,4´−メチレンビス−(2,6−ジ
−イソプロピル)ジ酢酸エステル、4,4´−チオビス
フェノール酪酸エステル等を使用することができる。
【0023】多価アルコールエステルとしては、エチレ
ングリコールジ安息香酸エステル、ジエチレングリコー
ルジ−p−トルイル酸エステル、グリセリントリ安息香
酸エステル、グリセリントリ酢酸エステル、ペンタエリ
スリトールテトラプロピオン酸エステル、ペンタエリス
リトールテトラ安息香酸エステル、水素添加ビスフェノ
ールAジ酢酸エステル、水素添加ビスフェノールAジ安
息香酸エステル、ジペンタエリスリトール安息香酸エス
テル等を使用することができる。
【0024】芳香族多塩基酸エステルとしては、トリメ
リット酸エステル類、例えばトリエチルトリメリット酸
エステル、トリベンジルトリメリット酸エステル、トリ
オクチルトリメリット酸エステル、テトラエチルピロメ
リット酸エステル、テトラシクロヘキシルピロメリット
酸エステル等や、フタル酸エステル類、例えば、ジメチ
ルフタル酸エステル、ジエチルフタル酸エステル、ジブ
チルフタル酸エステル、ジオクチルフタル酸エステル、
ジフェニルフタル酸エステル、ジクレジルフタル酸エス
テル、フェニルエチレンフタル酸エステル、ジベンゾル
フタル酸エステル、ジフェノキシエチルフタル酸エステ
ル、ジシクロヘキシルフタル酸エステル、ジメチルイソ
フタル酸エステル、ジフェニルイソフタル酸エステル、
ジベンジルイソフタル酸エステル、ジエチルテレフタル
酸エステル等を使用することができる。
【0025】脂環式カルボン酸エステルとしては、ジオ
クチルテトラヒドロフタル酸エステル、ジフェニルテト
ラヒドロフタル酸エステル、ジベンジルテトラヒドロフ
タル酸エステル等を使用することができる。
【0026】脂肪族多塩基酸エステルとしては、ジフェ
ニルコハク酸エステル、ジメチルコハク酸エステル、ジ
ベンジルコハク酸エステル、ジベンジルアジピン酸エス
テル、ジメチルアジピン酸エステル、ジエチルアゼライ
ン酸エステル、ジベンジルセバチン酸エステル、ジフェ
ニルセバチン酸エステル、ジエチルマレイン酸エステ
ル、ジベンジルマレイン酸エステル、ジフェニルマレイ
ン酸エステル、ジベンジルフマル酸エステル、ジフェニ
ルフマル酸エステル、トリベンジルクエン酸エステル、
アセチルトリベンジルクエン酸エステル、ジメチルイタ
コン酸エステル等を使用することができる。
【0027】リン酸エステルとしては、トリフェニルリ
ン酸エステル、トリベンジルリン酸エステル、クレジル
・ジフェニルリン酸エステル、トリヘキシルリン酸エス
テル、トリシクロヘキシルリン酸エステル、テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4´
−ビフェニルリン酸エステル等を使用することができ
る。
【0028】炭酸エステルとしては、ジフェニル炭酸エ
ステル、ジ−o−メチルフェニル炭酸エステル、ジ−p
−メチルフェニル炭酸エステル、ジナフチル炭酸エステ
ル、ジ−o−フェニルフェニル炭酸エステル、ジ−p−
フェニルフェニル炭酸エステル、ジオクチル炭酸エステ
ル等を使用することができる。
【0029】その他、モノエステルとしては、2,2,
4−トリメチル−ペンタンジオールモノフタル酸エステ
ル、フェニルモノフタル酸エステル、メチルステアリン
酸エステル、フェニルラウリン酸エステル、ベンジルサ
リチル酸エステル、プロピル−p−ヒドロキシ安息香酸
エステル、メトキシ安息香酸ベンンジルエステル、フェ
ノキシ安息香酸ブチルエステル等を使用することができ
る。
【0030】このようなエステル化合物のなかでも、染
着性、耐光性の点から、特にフタル酸エステルが好まし
い。
【0031】また、ウレタン化合物としては、1,6−
ヘキサメチレンジブチルウレタン、1,6−ヘキサメチ
レンジオクチルウレタン等の脂肪族ウレタン化合物や、
m−キシレンジブチルウレタン、p−キシレンジオクチ
ルウレタン、2,4−トルエンジヘキシルウレタン、
2,6−トルエンジベンジルウレタン、4,4´−ジフ
ェニルメタンジブチルウレタン、4,4´−ジフェニル
メタンジオクチルウレタン、エチレンジフェニルウレタ
ン、1,4−テトラメチレンジフェニルウレタン、1,
6−ヘキサメチレンジ−p−メチルフェニルウレタン、
p−キシレンジ−p−クロロフェニルウレタン、o−キ
シレンジブチルウレタン、m−キシレンジシクロヘキシ
ルウレタン等の芳香族ウレタン化合物を使用することが
できる。このようなウレタン化合物のなかでも、染着性
の点から、芳香族ウレタン化合物が好ましい。
【0032】以上のようなエステル化合物又はウレタン
化合物の染料受容層における比率は、染料受容層の形成
に使用するモノマー組成等にもよるが、一般に5〜40
重量%が好ましく、特に10〜20重量%が好ましい。
【0033】これらエステル化合物やウレタン化合物を
染料受容層に含有させる方法としては、染着性樹脂を含
有する溶液又は熱溶融物に混合すればよい。
【0034】また、第1の発明の印画紙の染料受容層
に、これらエステル化合物やウレタン化合物を含有させ
るに際しては、エステル化合物やウレタン化合物のモノ
マーを混合してもよく、オリゴマーを混合してもよい。
このようなオリゴマーとしては、例えば、二塩基酸とグ
リコールのオリゴポリエステル、環状エステルの閉環オ
リゴエステル、ビニルエステルの低分子重合体、グリコ
ールとジイソシアネートから得られるオリゴウレタン
(グリコール成分過剰)等を使用することができ、より
具体的には、ポリテトラアジペート、ポリヘキサメチレ
ンサクシネート、ポリ−m−キシレングリコールセバケ
ート、ポリカプロラクトン、ポリ安息香酸ビニル、ヘキ
サメチレンジイソシアネート2モルとテトラメチレング
リコール3モルを反応させたオリゴウレタン、m−キシ
レンジイソシアネート2モルとオクタメチレングリコー
ル3モルとを反応させたオリゴウレタン等を使用するこ
とができる。このようなオリゴマーの重合度は5以下と
することが好ましい。
【0035】この他、第1の発明の印画紙の染料受容層
には、必要に応じて、さらに他の樹脂も含有させること
ができる。例えば、エステル結合を有する樹脂(ポリア
クリル酸エステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン
アクリレート樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂
等)、ポリウレタン樹脂(分子末端に水酸基をもったポ
リエーテルあるいはポリエステルとイソシアネートから
得られるエーテル型ポリウレタン、エステル型ポリウレ
タン等)、ポリアミド樹脂(ナイロン、その他、分枝基
をもったジアミンとダイマー酸等から得られるポリアミ
ド等)、尿素樹脂(ジアミン酸とジイソシアネートとの
反応物、尿素とアルデヒドとの反応物等)、ポリカプロ
ラクトン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニト
リル及びその共重合体等を使用することができる。
【0036】また、第1の発明の印画紙の染料受容層に
は、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができ
る。例えば、染料受容層の白色度を向上させて転写画像
の鮮明度を高め、また画像表面に筆記性を付与し、さら
にまた転写画像の再転写を防止するために、蛍光増白剤
(蛍光染料)や白色顔料を含有させることができる。こ
のような蛍光増白剤としては、チバガイギ社製のユビテ
ックスOB等の市販品を使用することができる。また、
白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、
クレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等を含有させる
ことができる。これらは単独で又は複数種を併せて使用
することができる。
【0037】また、染料受容層には、転写画像の耐光性
をより向上させるために、紫外線吸収剤、光安定剤、酸
化防止剤、表面改質剤等も一種又は複数種を使用するこ
とができる。
【0038】また、染料受容層には、熱転写時のインク
リボンとの離型性を向上させるために離型剤を含有させ
ることができる。離型剤としては、ポリエチレンワック
ス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワック
ス類、フッ素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリ
コーンオイル、高融点シリコーンワックス等を使用する
ことができる。なかでも、離型性、耐久性の点からシリ
コーンオイルを使用することが好ましい。
【0039】この場合、シリコーンオイルとしては、油
状のものも反応(硬化)型のものも、適宜選択して使用
することができる。ここで、反応(硬化)型シリコーン
オイルとしては、アルコール変性シリコーンオイルとイ
ソシアネートとの反応硬化物、エポキシ変性シリコーン
オイル(エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイ
ル)とカルボキシ変性シリコーンオイル(カルボキシ・
ポリエーテル変性シリコーンオイル)との反応硬化物、
アミノ変性シリコーンオイル(アミノ・ポリエーテル変
性シリコーンオイル)とカルボキシ変性シリコーンオイ
ル(カルボキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル)
との反応硬化物等を使用することができる。
【0040】さらに染料受容層には、印画紙の加工工程
あるいはプリンター内での走行時における静電気の発生
を抑制するために、帯電防止剤を含有させることができ
る。帯電防止剤としては、陽イオン型界面活性剤(第4
級アンモニウム塩、ポリアミン等)、陰イオン型界面活
性剤(アルキルベンゼンスルホネート、アルキル硫酸エ
ステルナトリウム塩等)、両性イオン型界面活性剤、非
イオン型界面活性剤等の種々の界面活性剤を使用するこ
とができる。なお、このような帯電防止剤は、染料受容
層内に含有させる他、染料受容層の表面にコーティング
等により塗布してもよい。
【0041】染料受容層の形成方法としては、染料受容
層を形成する各成分を、必要に応じて溶剤と共に均一に
混合して塗料を調製し、その塗料をシート状基材に塗布
するか、あるいは各成分の熱溶融物をシート状基材上に
塗布し、キュアリングを行うことにより形成することが
できる。
【0042】一方、第2の発明においては、印画紙の染
料受容層が、ビニルフェノール系樹脂、ブチラール樹脂
及び多官能イソシアネート化合物の重合体を含有してい
ることを特徴としている。この重合体は、ビニルフェノ
ール系樹脂と多官能イソシアネート化合物との高い反応
性により得られるものであり、ビニルフェノール系樹脂
とブチラール樹脂とが多官能イソシアネート化合物によ
り架橋重合されたものである。このような重合体を染料
受容層の主成分として使用することにより、染料受容層
の耐油性が大きく向上し、したがって、印画紙の耐皮脂
性や耐可塑性が大きく向上したものとなる。
【0043】ここで、ビニルフェノール系樹脂として
は、p−ビニルフェノール又はm−ビニルフェノールの
単独重合体を好ましく使用することができる。また、p
−ビニルフェノールもしくはm−ビニルフェノールと他
のモノマーとの共重合体も好ましく使用することができ
る。さらに、これらを併用してもよい。工業的入手容易
性の点からは、p−ビニルフェノール重合体を使用する
ことが好ましい。
【0044】ビニルフェノール共重合体について、その
共重合体を構成する他のモノマーとしては種々のモノマ
ーを使用することができるが、例えば、ハロゲン化p−
ビニルフェノール、スチレン、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。また、ビニ
ルフェノールの単独重合体、共重合体のいずれにおいて
もビニルフェノール重合体には、ビニルフェノールが還
元されたシクロヘキサノールユニット、例えば、p−シ
クロヘキサノールユニットが含まれていてもよい。ただ
し、ビニルフェノール重合体におけるビニルフェノール
ユニットの割合は1重量%以上とすることが好ましい。
【0045】このようなビニルフェノール系樹脂として
は、その軟化点が低すぎるとブロッキングやにじみの原
因となり、高すぎると感度が低下するので、通常20〜
120℃の軟化点を有するものが好ましい。また、分子
量に関しては、小さすぎると染料受容層がもろくなり、
大きすぎると感度が低下する場合があるので、通常10
00〜500000程度の分子量を有するものが好まし
い。
【0046】ブチラール樹脂としては、ブチラール化度
50モル%以上、好ましくは55〜75%のものが好ま
しい。また、ブチラール樹脂は次式(1)のように部分
的にアセチル化されていてもよい。
【0047】
【化1】 この場合、アセチル化度は3%以下が好ましい。また、
ブチラール樹脂の分子量(重量平均Mw)としては、溶
解性、作業性等の点から、10000〜500000程
度が好ましい。
【0048】多官能イソシアネート化合物としては、無
黄変タイプのものが好ましい。例えば、ヘキサメチレン
ジイソシアネート(HDI)、ビウレット等の脂肪族ポ
リイソシアネートや、トルエンジイソシアネート(TD
I)、キシレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族
ポリイソシアネートを好ましく使用することができる。
これらは、単独で使用してもよく複数種を併用してもよ
い。
【0049】第2の発明の重合体において、上述したビ
ニルフェノール系樹脂、ブチラール樹脂及び多官能イソ
シアネート化合物の配合割合については、ブチラール樹
脂100重量部に対してビニルフェノール系樹脂を1〜
100重量部とすることが好ましい。ブチラール樹脂に
対するビニルフェノール樹脂の割合が多すぎると染着感
度が低下し、逆に少なすぎると保存性が低下して本発明
の効果が得られなくなるので好ましくない。また、ビニ
ルフェノール系樹脂とブチラール樹脂の合計の100重
量部に対して多官能イソシアネート化合物を1〜50重
量部とすることが好ましい。多官能イソシアネート化合
物の配合割合が多すぎると、染料受容層を形成するため
にこれらを混合調製した塗料のポットライフが短くな
り、逆に少なすぎると架橋密度が低下して本発明の効果
が得られなくなるので好ましくない。
【0050】染料受容層を以上のようなビニルフェノー
ル系樹脂、ブチラール樹脂及び多官能イソシアネート化
合物の重合体から形成する方法としては、ビニルフェノ
ール系樹脂、ブチラール樹脂及び多官能イソシアネート
化合物を必要に応じて溶剤と共に均一に混合して塗料を
調製し、その塗料をシート状基材に塗布するか、あるい
は各成分の熱溶融物をシート状基材に塗布し、キュアリ
ングを行うことにより形成することができる。この場
合、耐光性、耐暗退色性、染着性をより向上させるた
め、塗料中に第1の発明の染料受容層と同様に種々のエ
ステル化合物やウレタン化合物を配合することができ
る。
【0051】また、第1の発明と同様に、蛍光増白剤、
白色顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面
改質剤、離型剤、帯電防止剤等の各種添加剤を配合する
ことができる。
【0052】第1の発明及び第2の発明において、シー
ト状基材としては、上質紙、コート紙等の紙類、種々の
プラスチックシート、あるいはこれらの複合シート等を
使用することができる。
【0053】また、シート状基材の染料受容層と反対側
の面には、印画紙のプリンター内での走行性を向上さ
せ、また印画紙の重送を防止するために、アクリル樹
脂、シリコーン樹脂等からなるバックコート層を形成し
てもよい。
【0054】本発明の印画紙に対する画像形成方法には
特に制限はなく、例えば、昇華型熱転写記録用インクリ
ボンを使用し、市販のビデオプリンター等により、昇華
型熱転写記録を行うことができる。
【0055】
【作用】第1の本発明の印画紙においては、染料受容層
が、染着性樹脂の他にビニルフェノール系樹脂を含有
し、また、第2の本発明の印画紙においては、染料受容
層が、ビニルフェノール系樹脂及びブチラール系樹脂の
多官能イソシアネート化合物による架橋重合体を含有す
るので、染料受容層に形成された画像の耐光性、耐暗退
色性、耐皮脂性、耐可塑剤性等の保存特性が著しく向上
する。
【0056】なお、ビニルフェノール系樹脂が画像の耐
光性や耐暗退色性を向上させる理由としては、ビニルフ
ェノール系樹脂が染料受容層に形成された染料画像の酸
化防止剤として機能するので、画像を形成している染料
の分解が抑制されるためと考えられる。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0058】実施例1〜19、比較例1〜6 シート状基材として、150μm厚の合成紙(王子油化
(株)製、FPG−150)を用意し、この表面に乾燥
膜厚が3〜6μmとなるように表1〜表3の組成の染料
受容層形成用塗料を塗布し、50℃で48時間キュアリ
ングを行うことにより印画紙を作製した。
【0059】
【表1】 (重量部) 実施例 1 2 3 4 5 6 7 8 9 セルロースエステル (*1) 20 20 20 20 20 20 20 20 20 〃 (*2) − − − − − − − − −ホ゜リエステル (*3) − − − − − − − − − p-ヒ゛ニルフェノール重合体(*4) 1 10 − − 5 − − − − 〃 (*5) − − 5 − − − − − − 〃 (*6) − − − 5 − − − − − 〃 (*7) − − − − 5 5 10 20 − 〃 (*8) − − − − − − − − 5 酸化防止剤(*9) − − − − − − − − − 〃 (*10) − − − − − − − − − 〃 (*11) − − − − − − − − − (*1)セルロースアセテートブチレート:CAB500−5、コダック社製 (*2)セルロースアセテートプロピオネート:CAP482.05、コダック社製 (*3)バイロン#200、東洋紡社製 (*4)p−ビニルフェノールホモポリマー (分子量1600〜2400、軟化点143℃): マルカリンカーM、丸善石油化学(株)製 (*5)p−ビニルフェノールホモポリマーの還元処理体 (分子量4000〜6000、軟化点190℃): マルカリンカーPHM−C、丸善石油化学(株)製 (*6)p−ビニルフェノールとスチレンの共重合体 (pVP/ST=約15/85 、分子量7000〜10000 、軟化点120 ℃): マルカリンカーCST15、丸善石油化学(株)製 (*7)p−ビニルフェノールとアクリル酸ブチルの共重合体 (pVP/BA=約30〜60/ 70〜40、分子量10000 〜30000 、軟化点30〜100 ℃): マルカリンカーCBA、丸善石油化学(株)製 (*8)p−ビニルフェノールとメタクリル酸メチルの共重合体 (pVP/MM=約 1/1 、分子量8000〜12000 、軟化点180 ℃): マルカリンカーCMM、丸善石油化学(株)製 (*9)Sumilizer TM−4048、住友化学(株)製 (*10) Viosorb 80、共同薬品(株)製 (*11) Viosorb 130、共同薬品(株)製
【0060】
【表2】 (重量部) 実施例 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 セルロースエステル (*1) − − − − − − − − − − 〃 (*2) 20 20 20 20 20 − − − − −ホ゜リエステル (*3) − − − − − 20 20 20 20 20 p-ヒ゛ニルフェノール重合体(*4) 5 − − − − 5 − − − − 〃 (*5) − 5 − − − − 5 − − − 〃 (*6) − − 5 − − − − 5 − − 〃 (*7) − − − 5 − − − − 5 − 〃 (*8) − − − − 5 − − − − 5 酸化防止剤(*9) − − − − − − − − − − 〃 (*10) − − − − − − − − − − 〃 (*11) − − − − − − − − − −
【0061】
【表3】 (評価)作製した印画紙に対し、イエロー(Y)、マゼ
ンタ(M)、シアン(C)の各色の昇華型熱転写インク
リボン(VPM−P、ソニー(株)製)を使用し、カラ
ービデオプリンター(CVP−G500、ソニー(株)
製)で12階調のステアステップ印画と黒ベタ印画を行
った。そして、得られた画像の耐光性、暗退色性、耐皮
脂性、染料移行性、耐可塑剤性を次のように評価した。
この結果を表4〜表7に示す。 (i) 耐光性 印画紙に形成した画像を、キセノンフェードメーター
(スガ試験機製)で72時間にわたって合計で9000
0KJ/m照射し(30℃、65%RH)、この場合
の照射前後の光学濃度をマクベス反射濃度計(TR−9
24)を使用して測定し、染料残存率を次の式にしたが
って算出した。この結果を表4、表5に示す。
【0062】染料残存率(%)=(照射後の光学濃度/
照射前の光学濃度)×100 (ii)耐暗退色性 画像を形成した印画紙を恒温槽(60℃、85%RH)
に14日間保存し、この場合の保存前後の画像の光学濃
度を、上記と同様に測定し、染料残存率を求めた。この
結果を表4、表5に示す。 (iii) 耐皮脂性 印画紙に形成した画像の上に人工皮脂を1滴滴下し、3
5℃で10分間放置した後ふきとり、この場合の人工皮
脂滴下前と人工皮脂ふきとり後の画像の光学濃度を上記
と同様に測定し、染料残存率を求めた。この結果を表
4、表5に示す。 (iv)染料移行性 印画紙に形成した画像上に合成紙(王子油化(株)製、
FPG−150)を重ね、60℃、40g/cm荷重
下で48時間放置し、この場合の放置前後の合成紙の光
学濃度を測定し、その差(ΔOD)を求めた。この結果
を表6、表7に示す。 (v) 耐可塑剤性 印画紙に形成した画像上に汎用可塑剤を含有する塩化ビ
ニルシートを重ね、50℃、40g/cm荷重下で2
4時間放置し、この場合の放置前後の塩化ビニルシート
の光学濃度を測定し、その差(ΔOD)を求めた。この
結果を表6、表7に示す。
【0063】
【表4】 耐光性 耐暗退色性 耐皮脂性 (染料残存率%) (染料残存率%) (染料残存率%) Y M C Y M C Y M C 実施例1 85 90 80 92 89 90 92 89 85 実施例2 84 88 79 90 85 95 95 92 90 実施例3 85 89 85 95 90 90 95 90 92 実施例4 87 86 82 91 93 89 90 89 87 実施例5 86 92 83 93 90 92 95 92 93 実施例6 83 90 80 94 92 90 95 91 92 実施例7 85 92 85 95 92 90 93 92 95 実施例8 83 90 82 90 92 89 92 91 93 実施例9 82 91 80 90 92 93 89 90 93 実施例10 85 92 78 90 93 95 93 90 89 実施例11 87 91 85 94 89 92 93 89 93 実施例12 83 90 82 95 93 89 94 90 90 実施例13 82 89 83 94 92 90 92 89 92 実施例14 82 90 80 93 90 92 89 91 92 実施例15 89 90 79 95 97 95 92 93 90 実施例16 92 93 80 95 95 97 90 92 93 実施例17 90 91 83 93 90 95 90 89 95 実施例18 92 89 85 95 97 90 89 90 93 実施例19 93 90 83 92 95 95 90 92 91
【0064】
【表5】 耐光性 耐暗退色性 耐皮脂性 (染料残存率%) (染料残存率%) (染料残存率%) Y M C Y M C Y M C 比較例1 75 81 50 84 80 74 50 45 40 比較例2 78 80 52 84 80 72 52 40 35 比較例3 80 78 38 88 84 80 60 65 57 比較例4 78 85 56 80 75 70 50 46 42 比較例5 81 84 57 79 78 71 51 40 37 比較例6 87 85 42 88 87 85 62 63 60
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】 表4、表5から、染料受容層にビニルフェノール系樹脂
を含有する本発明の実施例の印画紙は、ビニルフェノー
ル系樹脂を含有することなく酸化防止剤を含有する比較
例の印画紙に比べて、耐光性、暗退色性、耐皮脂性のす
べての評価項目において染料残存率が高く、画像保存性
に優れていることがわかる。また、表6、表7から、本
発明の実施例の印画紙では、画像に重ねた合成紙や可塑
剤を含有する塩化ビニルシートに移行する染料が著しく
少なく、したがって染料移行性が低く、耐可塑剤性に優
れていることがわかる。
【0067】実施例20〜32、比較例7〜12 シート状基材として、150μm厚の合成紙(王子油化
(株)製、FPG−150)を用意し、この表面に乾燥
膜厚が3〜6μmとなるように表8〜表9の組成の染料
受容層形成用塗料を塗布し、50℃で48時間キュアリ
ングを行うことにより印画紙を作製した。
【0068】
【表8】 (重量部) 実施例 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 ブチラール樹脂(*12)100 100 100 100 100 − − − − − − − − 〃 (*13) − − − − − 100 100 100 − − − − − 〃 (*14) − − − − − − − − 100 100 100 100 100ヒ゛ニルフェノール 系樹脂(*4) 5 − − − − 5 10 10 − − − − − 〃 (*5) − 5 − − − − − − 5 − − − − 〃 (*6) − − 5 − − − − − − 5 − − − 〃 (*7) − − − 5 − − − − − − 5 − − 〃 (*8) − − − − 5 − − − − − − 5 20イソシアネート 化合物(*15) 5 5 5 5 5 5 5 − − − − − − 〃 (*16) − − − − − − − 5 5 5 5 5 5 (*12) 高重合度タイプブチラール樹脂、Tg58℃:エスレックBH−S、セキ スイ(株)製 (*13) 中高重合度タイプブチラール樹脂、Tg57℃:エスレックBM−S、セ キスイ(株)製 (*14) 低高重合度タイプブチラール樹脂、Tg54℃:エスレックBL−S、セ キスイ(株)製 (*4)p−ビニルフェノールホモポリマー (分子量1600〜2400、軟化点143℃): マルカリンカーM、丸善石油化学(株)製 (*5)p−ビニルフェノールホモポリマーの還元処理体 (分子量4000〜6000、軟化点190℃): マルカリンカーPHM−C、丸善石油化学(株)製 (*6)p−ビニルフェノールとスチレンの共重合体 (pVP/ST=約15/85 、分子量7000〜10000 、軟化点120 ℃): マルカリンカーCST15、丸善石油化学(株)製 (*7)p−ビニルフェノールとアクリル酸ブチルの共重合体 (pVP/BA=約30〜60/ 70〜40、分子量10000 〜30000 、軟化点55℃): マルカリンカーCBA、丸善石油化学(株)製 (*8)p−ビニルフェノールとメタクリル酸メチルの共重合体 (pVP/MM=約 1/1 、分子量8000〜12000 、軟化点180 ℃): マルカリンカーCMM、丸善石油化学(株)製 (*15) 無黄変XDIタイプ:タケネートD−110N、武田薬品工業(株)製 (*16) 無黄変HDIアダクトタイプ:タケネートD−160N、武田薬品工業( 株)製
【0069】
【表9】 (*17) 塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重
合樹脂:エスレックA、セキスイ化学(株)製 (評価)作製した印画紙に対し、イエロー(Y)、マゼ
ンタ(M)、シアン(C)の各色の昇華型熱転写インク
リボン(UP7000、ソニー(株)製)を使用し、マ
チレス(株)製標準試験プリンターでパルス幅5mse
c/lineで12階調のステアステップ印画と黒ベタ
印画を行った。そして、前記と同様に、得られた画像の
耐光性、暗退色性、耐皮脂性、染料移行性、耐可塑剤性
を評価した。この結果を表10〜表13に示す。
【0070】
【表10】 耐光性 耐暗退色性 耐皮脂性 (染料残存率%) (染料残存率%) (染料残存率%) Y M C Y M C Y M C 実施例20 85 89 85 95 90 90 92 90 90 実施例21 86 92 83 93 90 92 95 93 94 実施例22 87 92 85 94 90 93 94 90 95 実施例23 92 93 95 95 97 95 95 94 92 実施例24 89 91 94 96 95 90 94 92 90 実施例25 86 90 92 95 90 90 94 93 93 実施例26 87 90 91 94 89 92 95 94 96 実施例27 89 93 95 92 90 93 94 93 94 実施例28 98 92 87 92 91 90 93 94 90 実施例29 90 92 88 91 94 93 94 91 92 実施例30 91 93 91 95 94 93 95 92 91 実施例31 90 93 95 93 92 93 92 92 91 実施例32 92 95 95 94 92 92 95 96 96
【0071】
【表11】 耐光性 耐暗退色性 耐皮脂性 (染料残存率%) (染料残存率%) (染料残存率%) Y M C Y M C Y M C 比較例 7 76 75 70 85 84 80 50 45 51 比較例 8 74 77 78 82 80 78 52 44 49 比較例 9 72 76 73 82 81 83 55 53 49 比較例10 69 75 70 84 83 79 55 50 53 比較例11 73 75 71 81 79 82 52 50 52 比較例12 68 75 69 85 84 79 54 49 53
【0072】
【表12】
【0073】
【表13】 表10、表11から、染料受容層にビニルフェノール系
樹脂、ブチラール樹脂及び多官能イソシアネート系化合
物の重合体を含有する本発明の実施例の印画紙は、ビニ
ルフェノール系樹脂を含有しない比較例の印画紙に比べ
て、耐光性、耐暗退色性、耐皮脂性のすべての評価項目
において染料残存率が高く、画像保存性に優れているこ
とがわかる。また、表12、表13から、本発明の実施
例の印画紙では、画像に重ねた合成紙や可塑剤を含有す
る塩化ビニルシートに移行する染料が著しく少なく、し
たがって染料移行性が低く、耐可塑剤性に優れているこ
とがわかる。
【0074】
【発明の効果】本発明の印画紙によれば、耐光性、暗退
色性、耐皮脂性、耐可塑剤性等の保存特性に優れた画像
を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な印画紙の断面図である。
【符号の説明】
1 印画紙 2 シート状基材 3 染料受容層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨田 秀実 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 黒宮 美幸 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状基材と染料受容層とからなる印
    画紙において、該染料受容層が、ビニルフェノール系樹
    脂と染着性樹脂とを含有することを特徴とする印画紙。
  2. 【請求項2】 ビニルフェノール系樹脂が、p−ビニル
    フェノールもしくはm−ビニルフェノールの単独重合
    体、又はp−ビニルフェノールもしくはm−ビニルフェ
    ノールと他のモノマーとの共重合体である請求項1記載
    の印画紙。
  3. 【請求項3】 ビニルフェノール系樹脂が、p−ビニル
    フェノールの単独重合体又は共重合体である請求項2記
    載の印画紙。
  4. 【請求項4】 ビニルフェノール系樹脂におけるビニル
    フェノールユニットの割合が1重量%以上である請求項
    1〜3のいずれかに記載の印画紙。
  5. 【請求項5】 染料受容層におけるビニルフェノール系
    樹脂の割合が0.1〜99.9重量%である請求項1〜
    4のいずれかに記載の印画紙。
  6. 【請求項6】 染着性樹脂が、ポリエステルまたはセル
    ロースエステルである請求項1〜5のいずれかに記載の
    印画紙。
  7. 【請求項7】 シート状基材と染料受容層とからなる印
    画紙において、該染料受容層が、ビニルフェノール系樹
    脂、ブチラール樹脂及び多官能イソシアネート化合物の
    重合体を含有することを特徴とする印画紙。
  8. 【請求項8】 ビニルフェノール系樹脂が、p−ビニル
    フェノールもしくはm−ビニルフェノールの単独重合
    体、又はp−ビニルフェノールもしくはm−ビニルフェ
    ノールと他のモノマーとの共重合体である請求項7記載
    の印画紙。
  9. 【請求項9】 多官能イソシアネート化合物が脂肪族ジ
    イソシアネートである請求項7又は8に記載の印画紙。
  10. 【請求項10】 前記重合体におけるビニルフェノール
    系樹脂とブチラール樹脂との配合量が、ブチラール樹脂
    100重量部に対してビニルフェノール系樹脂1〜10
    0重量部である請求項7〜9のいずれかに記載の印画
    紙。
  11. 【請求項11】 前記重合体におけるビニルフェノール
    系樹脂、ブチラール樹脂及び多官能イソシアネート化合
    物の配合量が、ビニルフェノール系樹脂とブチラール樹
    脂の合計の100重量部に対して多官能イソシアネート
    化合物1〜50重量部である請求項7〜10のいずれか
    に記載の印画紙。
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JP2014069480A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Toppan Forms Co Ltd 積層体、データ受送信体及び通信機器
JP2017177414A (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 大日本印刷株式会社 カード
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