JP5219599B2 - プロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板吸着方法、及び表示用パネル基板の製造方法 - Google Patents

プロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板吸着方法、及び表示用パネル基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、プロキシミティ方式を用いて基板の露光を行うプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板吸着方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に受け渡し位置で基板をチャックに搭載し、チャックを受け渡し位置からフォトマスクの下の露光位置へ移動し、露光位置において、フォトマスクと基板とのギャップ合わせを行って、フォトマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板吸着方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてフォトマスク(以下、「マスク」と称す)のパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
プロキシミティ露光装置でパターンの転写を高精度に行うためには、露光時に、基板を歪み無く平坦に保持しなければならない。プロキシミティ露光装置は、基板を真空吸着して保持するチャックを備え、チャックは、基板の移動及び位置決めを行うステージ上に搭載されている。チャックへの基板の供給及びチャックからの基板の回収は、通常、ロボット等のハンドリングアームにより行われる。基板をチャックに真空吸着する際、従来は、基板を平坦かつ確実に吸着するために、基板の中央部を最初に吸着し、基板の中央部から周辺部へ向けて時間差を設けて吸着を行っていた。この様な基板の吸着方法又吸着装置に関するものとして、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載のものがある。
特開平7−183366号公報 特開平9−80404号公報
従来、プロキシミティ露光装置には、マスクの下の露光位置で基板をチャックに搭載するものと、露光位置から離れた受け渡し位置で基板をチャックに搭載し、基板を搭載したチャックを受け渡し位置から露光位置へ移動するものとがあった。近年、基板を搭載する際に発生した塵埃がマスクと基板との間に浮遊するのを防止するため、露光位置から離れた受け渡し位置で基板をチャックに搭載するものが主流となっている。チャックへの基板の搭載は、通常、チャックに設けた複数の突き上げピンを介して行われる。突き上げピンは、チャックの表面より上昇して、基板をロボット等のハンドリングアームから受け取った後、再び下降して、基板をチャックの表面に載せる。
従来のプロキシミティ方式を用いた基板の露光では、チャックへの基板の搭載に要する時間、基板の真空吸着に要する時間、及びチャックの受け渡し位置から露光位置への移動に要する時間が、そのままタクトタイムに影響を与えていた。タクトタイムを短縮するためには、チャックへの基板の搭載を迅速に行い、またチャックに搭載した基板の真空吸着を迅速に行わなければならない。基板の搭載を迅速に行うためには、基板を載せた突き上げピンを高速で下降させる必要がある。しかしながら、基板が大型化すると、突き上げピンを高速で下降させた場合、基板とチャックとの間の空気が逃げ切れずに基板の中央部に残り、基板の中央部が逃げ残った空気により盛り上がる現象が発生する。そして、基板の真空吸着を行う際、基板の中央部に残った空気の吸引に時間が掛かり、基板の真空吸着に要する時間が長くなる。
本発明の課題は、プロキシミティ方式を用いた基板の露光において、タクトタイムを短縮することである。また、本発明の課題は、基板を歪み無く平坦に保持して、パターンの転写を高精度に行うことである。また、本発明の課題は、高品質な表示用パネル基板を高いスループットで製造することである。
本発明のプロキシミティ露光装置は、基板を保持するチャックと、チャックを移動するステージとを備え、受け渡し位置で基板をチャックに搭載し、チャックをステージにより受け渡し位置からマスクの下の露光位置へ移動し、露光位置において、マスクと基板とのギャップ合わせを行って、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、チャックが、露光位置側の周辺部に設けられた第1の真空区画と、第1の真空区画に設けられた第1の吸着機構と、中央部に設けられた第2の真空区画と、第2の真空区画に設けられた第2の吸着機構と、露光位置と反対側の周辺部に設けられた第3の真空区画と、第3の真空区画に設けられた第3の吸着機構とを有し、ステージがチャックを受け渡し位置から露光位置へ移動する前に、第1の吸着機構を用いて第1の真空区画の真空引きを行う第1の空気圧回路と、ステージがチャックを受け渡し位置から露光位置へ移動するのと並行して、第2の吸着機構を用いて第2の真空区画の真空引きを行う第2の空気圧回路と、第2の空気圧回路が第2の吸着機構を用いて第2の真空区画の真空引きを行った後、第3の吸着機構を用いて第3の真空区画の真空引きを行う第3の空気圧回路とを備えたものである。
また、本発明のプロキシミティ露光装置の基板吸着方法は、受け渡し位置で基板をチャックに搭載し、チャックを受け渡し位置からマスクの下の露光位置へ移動し、露光位置において、マスクと基板とのギャップ合わせを行って、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置の基板吸着方法において、チャックの露光位置側の周辺部に第1の真空区画を設け、チャックの中央部に第2の真空区画を設け、チャックの露光位置と反対側の周辺部に第3の真空区画を設け、受け渡し位置で、基板をチャックに搭載し、第1の真空区画の真空引きを行った後、チャックを受け渡し位置から露光位置へ移動するのと並行して、第2の真空区画の真空引きを行い、第2の真空区画の真空引きを行った後、第3の真空区画の真空引きを行うものである。
チャックの露光位置側の周辺部に第1の真空区画を設け、受け渡し位置で、基板をチャックに搭載し、第1の真空区画の真空引きを行った後、チャックを受け渡し位置から露光位置へ移動する。移動中は、基板の移動方向側の周辺部が第1の真空区画により真空吸着されているので、基板とチャックとの間に空気が流れ込んで基板が歪むことがない。そして、チャックを受け渡し位置から露光位置へ移動するのと並行して、チャックの中央部に設けた第2の真空区画の真空引きを行う。従来は、基板全体の真空吸着を行った後に、チャックの受け渡し位置から露光位置への移動を行っていたので、基板全体の真空吸着に要する時間とチャックの移動時間の両方が、タクトタイムに含まれていた。本発明では、チャックの受け渡し位置から露光位置への移動と第2の真空区画の真空引きとを平行して行うので、チャックの移動時間又は第2の真空区画の真空引きに要する時間のいずれかが、タクトタイムに含まれなくなる。そして、チャックを受け渡し位置から露光位置へ移動する間に、基板の中央部に残った空気を吸引する時間が確保され、突き上げピンを高速で下降させることが可能となる。第2の真空区画の真空引きを行った後、チャックの露光位置と反対側の周辺部に設けた第3の真空区画の真空引きを行う。基板の中央部が残った空気で盛り上がったまま基板の周辺部が固定されることがなく、基板に真空吸着時の歪みが発生しないので、露光時にパターンの転写が高精度に行われる。
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記プロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、上記プロキシミティ露光装置の基板吸着方法を用いて基板をチャックで保持し、基板の露光を行うものである。タクトタイムが短縮され、パターンの転写が高精度に行われるので、高品質な表示用パネル基板が高いスループットで製造される。
本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の基板吸着方法によれば、チャックの受け渡し位置から露光位置への移動時間と、チャックの中央部に設けた第2の真空区画の真空引きの時間のいずれかを、タクトタイムから削ることができ、また突き上げピンを高速で下降させることが可能となるので、タクトタイムを短縮することができる。また、基板を歪み無く平坦に保持して、パターンの転写を高精度に行うことができる。
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、タクトタイムを短縮することができ、パターンの転写を高精度に行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を高いスループットで製造することができる。
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。プロキシミティ露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック支持台9、チャック10、及びマスクホルダ20を含んで構成されている。なお、プロキシミティ露光装置は、これらの他に、露光光を照射する照射光学系、チャック10へ基板1を供給する供給ユニット、チャック10から基板1を回収する回収ユニット、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
図1において、チャック10は、基板1の受け渡しを行う受け渡し位置にある。受け渡し位置において、図示しない供給ユニットにより基板1がチャック10へ供給され、また図示しない回収ユニットにより基板1がチャック10から回収される。
基板1の露光を行う露光位置の上空には、マスク2を保持するマスクホルダ20が設置されている。マスクホルダ20は、マスク2の周辺部を真空吸着して保持する。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、図示しない照射光学系が配置されている。露光時、照射光学系からの露光光がマスク2を透過して基板1へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板1の表面に転写され、基板1上にパターンが形成される。
チャック10は、チャック支持台9を介してθステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向(図面横方向)へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向(図面奥行き方向)へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台9は、θステージ8に搭載され、チャック10を支持する。
Xステージ5のX方向への移動により、チャック10は、受け渡し位置と露光位置との間を移動される。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10に保持された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。そして、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、露光時の基板1の位置決めが行われる。また、図示しないZ−チルト機構によりマスクホルダ20をZ方向(図面上下方向)へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。
なお、本実施の形態では、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、チャック支持台9の代わりにZ−チルト機構を設けて、チャック10をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。
図2は、基板を搭載したチャックの上面図である。チャック10の表面には、凸部11、土手12、吸着孔13、及び突き上げピン14が通る貫通孔が設けられている。凸部11は、ピン形状であり、チャック10の表面に所定の間隔で複数設けられている。チャック10に基板1が搭載されたとき、凸部11は、基板1を複数の点で支持する。このとき、チャック10の表面の凸部11以外の部分と基板1との間には、空間が形成される。土手12は、所定の幅の連続した壁であり、チャック10の表面の凸部11以外の部分と基板1との間に形成された空間を、複数の真空区画に分ける。
図3は、チャックの真空区画を示す図である。本実施の形態では、チャック10の表面が、土手12によって、5つの真空区画10a,10b,10c,10d,10eに分けられている。本実施の形態において、基板1は、図2及び図3に実線で示した横長の状態でチャック10に搭載される。第1の真空区画10aは、受け渡し位置にあるチャック10の露光位置側の周辺部に設けられている。第2の真空区画10bは、受け渡し位置にあるチャック10の中央部に設けられている。第3の真空区画10cは、受け渡し位置にあるチャック10の露光位置と反対側の周辺部に設けられている。真空区画10d,10eは、本実施の形態では使用されず、基板1を図3に破線で示した縦長の状態で搭載する場合に使用される。
なお、本実施の形態では、第2の真空区画10bをチャック10の中央部に1つだけ設けているが、第2の真空区画10bをさらに複数の真空区画に分割してもよい。
図2において、チャック10の表面には、突き上げピン14が通る複数の貫通孔が設けられており、各突き上げピン14は、チャック10の裏面から各貫通孔へ挿入されている。図4は、突き上げピンの動作を説明する図である。図4(a),(b),(c)のチャック10は、図2のA−A部の断面を示したものである。複数の突き上げピン14は、共通の突き上げフレーム15に取り付けられている。突き上げフレーム15が下降した状態にあるとき、図4(a)に示す様に、突き上げピン14の先端は、チャック10に設けた貫通孔の内部に位置する。突き上げフレーム15を上昇することにより、図4(b)に示す様に、突き上げピン14の先端は、貫通孔から突き出てチャック10の表面より高い位置に来る。この状態で、突き上げピン14は、基板1を図示しない供給ユニットのハンドリングアームから受け取る。そして、突き上げフレーム15を再び下降することにより、図4(c)に示す様に、突き上げピン14が下降して、基板1がチャック10に搭載される。このとき、突き上げピン14を高速で下降させると、基板1とチャック10との間の空気が逃げ切れずに基板1の中央部に残り、図4(c)に示す様に、基板1の中央部が逃げ残った空気により盛り上がる。
図2において、各真空区画10a,10b,10c,10d,10eには、複数の吸着孔13が設けられている。チャック10の裏面において、吸着孔13には空気圧回路が接続されている。図5は、空気圧回路の構成を示す図である。図5のチャック10は、図2のB−B部の断面を示したものである。
第1の真空区画10aに設けられた吸着孔13には、管継手30a、配管31a、電磁弁32a、レギュレータ33a、流量調節器34a、電磁弁35a及びレギュレータ36aを含む第1の空気圧回路が接続されている。吸着孔13に管継手30aを介して接続された配管31aは、二股に分岐しており、その一方には、電磁弁32a及びレギュレータ33aを介して真空設備が接続されている。他方には、流量調節器34a、電磁弁35a及びレギュレータ36aを介して、空気供給設備が接続されている。
電磁弁35aを閉じた状態で電磁弁32aを開くと、第1の真空区画10a内の空気が、吸着孔13から管継手30a、配管31a、電磁弁32a及びレギュレータ33aを介して真空設備へ吸引され、第1の真空区画10aの真空引きが行われる。レギュレータ33aは、第1の真空区画10a内の空気を所定の圧力に調節する。
第2の真空区画10bに設けられた吸着孔13には、管継手30b、配管31b、電磁弁32b、レギュレータ33b、流量調節器34b、電磁弁35b及びレギュレータ36bを含む第2の空気圧回路が接続されている。吸着孔13に管継手30bを介して接続された配管31bは、二股に分岐しており、その一方には、電磁弁32b及びレギュレータ33bを介して真空設備が接続されている。他方には、流量調節器34b、電磁弁35b及びレギュレータ36bを介して、空気供給設備が接続されている。
電磁弁35bを閉じた状態で電磁弁32bを開くと、第2の真空区画10b内の空気が、吸着孔13から管継手30b、配管31b、電磁弁32b及びレギュレータ33bを介して真空設備へ吸引され、第2の真空区画10bの真空引きが行われる。レギュレータ33bは、第2の真空区画10b内の空気を所定の圧力に調節する。
第3の真空区画10cに設けられた吸着孔13には、管継手30c、配管31c、電磁弁32c、レギュレータ33c、流量調節器34c、電磁弁35c及びレギュレータ36cを含む第3の空気圧回路が接続されている。吸着孔13に管継手30cを介して接続された配管31cは、二股に分岐しており、その一方には、電磁弁32c及びレギュレータ33cを介して真空設備が接続されている。他方には、流量調節器34c、電磁弁35c及びレギュレータ36cを介して、空気供給設備が接続されている。
電磁弁35cを閉じた状態で電磁弁32cを開くと、第3の真空区画10c内の空気が、吸着孔13から管継手30c、配管31c、電磁弁32c及びレギュレータ33cを介して真空設備へ吸引され、第3の真空区画10cの真空引きが行われる。レギュレータ33cは、第3の真空区画10c内の空気を所定の圧力に調節する。
基板1の真空吸着を解除する場合、電磁弁32a,32b,32cを閉じて電磁弁35a,35b,35cを開くと、空気供給設備からの空気が、レギュレータ36a,36b,36c、電磁弁35a,35b,35c、流量調節器34a,34b,34c、配管31a,31b,31c及び管継手30a,30b,30cを介して吸着孔13へ供給され、真空区画10a,10b,10cへエアブローが行われる。レギュレータ36a,36b,36cは、空気供給設備からの空気を所定の圧力に調節し、また流量調節器34a,34b,34cは、空気供給設備からの空気を所定の流量に調節する。
以下、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の基板吸着方法について説明する。図6は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の基板吸着方法を説明する図である。図6(a),(b),(c)のチャック10は、図2のB−B部の断面を示したものである。図6(a)において、チャック10は、受け渡し位置にある。受け渡し位置において、基板1をチャック10に搭載した後、チャック10を受け渡し位置から露光位置へ移動する前に、第1の空気圧回路により、チャック10の露光位置側の周辺部に設けた第1の真空区画10aの真空引きを行う。第1の真空区画10a内の空気が所定の圧力に達した後、チャック10の受け渡し位置から露光位置への移動を開始する。
図6(b),(c)において、チャック10は、受け渡し位置から露光位置への移動中である。移動中は、基板1の移動方向側の周辺部が第1の真空区画10aにより真空吸着されているので、基板1とチャック10との間に空気が流れ込んで基板1が歪むことがない。
図6(b)において、チャック10を受け渡し位置から露光位置へ移動するのと並行して、第2の空気圧回路により、チャック10の中央部に設けた第2の真空区画10bの真空引きを行う。従来は、基板全体の真空吸着を行った後に、チャックの受け渡し位置から露光位置への移動を行っていたので、基板全体の真空吸着に要する時間とチャックの移動時間の両方が、タクトタイムに含まれていた。本実施の形態では、チャック10の受け渡し位置から露光位置への移動と第2の真空区画10bの真空引きとを平行して行うので、チャック10の移動時間又は第2の真空区画10bの真空引きに要する時間のいずれかが、タクトタイムに含まれなくなる。そして、チャック10を受け渡し位置から露光位置へ移動する間に、基板1の中央部に残った空気を吸引する時間が確保され、突き上げピン14を高速で下降させることが可能となる。
図6(c)において、第2の真空区画10b内の空気が所定の圧力に達した後、第3の空気圧回路により、チャック10の露光位置と反対側の周辺部に設けた第3の真空区画10cの真空引きを行う。基板1の中央部が残った空気で盛り上がったまま基板1の周辺部が固定されることがなく、基板1に真空吸着時の歪みが発生しないので、露光時にパターンの転写が高精度に行われる。
図7は、チャックを露光位置へ移動した状態を示す図である。図6に示した実施の形態では、第2の真空区画10bの真空引きに要する時間がチャック10の受け渡し位置から露光位置への移動時間よりも短く、チャック10の移動中に第3の真空区画10cの真空引きを開始している。第2の真空区画10bの真空引きに要する時間がチャック10の移動時間よりも長い場合は、チャック10を露光位置へ移動した後も第2の真空区画10bの真空引きを続け、第2の真空区画10b内の空気が所定の圧力に達した後に、第3の真空区画10cの真空引きを開始する。
以上説明した実施の形態によれば、チャック10の受け渡し位置から露光位置への移動時間と、チャック10の中央部に設けた第2の真空区画10bの真空引きの時間のいずれかを、タクトタイムから削ることができ、また突き上げピン14を高速で下降させることが可能となるので、タクトタイムを短縮することができる。また、基板1を歪み無く平坦に保持して、パターンの転写を高精度に行うことができる。
本発明のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置の基板吸着方法を用いて基板をチャックで保持し、基板の露光を行うことにより、タクトタイムを短縮することができ、パターンの転写を高精度に行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を高いスループットで製造することができる。
例えば、図8は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
また、図9は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
図8に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図9に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の露光処理において、本発明のプロキシミティ露光装置又は本発明のプロキシミティ露光装置の基板吸着方法を適用することができる。
本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。 基板を搭載したチャックの上面図である。 チャックの真空区画を示す図である。 突き上げピンの動作を説明する図である。 空気圧回路の構成を示す図である。 本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の基板吸着方法を説明する図である。 チャックを露光位置へ移動した状態を示す図である。 液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。 液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 チャック支持台
10 チャック
10a,10b,10c,10d,10e 真空区画
11 凸部
12 土手
13 吸着孔
14 突き上げピン
15 突き上げフレーム
20 マスクホルダ
30a,30b,30c 管継手
31a,31b,31c 配管
32a,32b,32c,35a,35b,35c 電磁弁
33a,33b,33c,36a,36b,36c レギュレータ
34a,34b,34c 流量調節器

Claims (4)

  1. 基板を保持するチャックと、前記チャックを移動するステージとを備え、受け渡し位置で基板を前記チャックに搭載し、前記チャックを前記ステージにより受け渡し位置からフォトマスクの下の露光位置へ移動し、露光位置において、フォトマスクと基板とのギャップ合わせを行って、フォトマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、
    前記チャックは、露光位置側の周辺部に設けられた第1の真空区画と、該第1の真空区画に設けられた第1の吸着機構と、中央部に設けられた第2の真空区画と、該第2の真空区画に設けられた第2の吸着機構と、露光位置と反対側の周辺部に設けられた第3の真空区画と、該第3の真空区画に設けられた第3の吸着機構とを有し、
    前記ステージが前記チャックを受け渡し位置から露光位置へ移動する前に、前記第1の吸着機構を用いて前記第1の真空区画の真空引きを行う第1の空気圧回路と、
    前記ステージが前記チャックを受け渡し位置から露光位置へ移動するのと並行して、前記第2の吸着機構を用いて前記第2の真空区画の真空引きを行う第2の空気圧回路と、
    前記第2の空気圧回路が前記第2の吸着機構を用いて前記第2の真空区画の真空引きを行った後、前記第3の吸着機構を用いて前記第3の真空区画の真空引きを行う第3の空気圧回路とを備えたことを特徴とするプロキシミティ露光装置。
  2. 受け渡し位置で基板をチャックに搭載し、チャックを受け渡し位置からフォトマスクの下の露光位置へ移動し、露光位置において、フォトマスクと基板とのギャップ合わせを行って、フォトマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置の基板吸着方法において、
    チャックの露光位置側の周辺部に第1の真空区画を設け、チャックの中央部に第2の真空区画を設け、チャックの露光位置と反対側の周辺部に第3の真空区画を設け、
    受け渡し位置で、基板をチャックに搭載し、第1の真空区画の真空引きを行った後、
    チャックを受け渡し位置から露光位置へ移動するのと並行して、第2の真空区画の真空引きを行い、
    第2の真空区画の真空引きを行った後、第3の真空区画の真空引きを行うことを特徴とするプロキシミティ露光装置の基板吸着方法。
  3. 請求項1に記載のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
  4. 請求項2に記載のプロキシミティ露光装置の基板吸着方法を用いて基板をチャックで保持し、基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
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