JP5217741B2 - システム作動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、システム作動制御装置に係り、特に、システム電圧が供給されるシステムの全体の損失を最小としてシステム全体を作動させるシステム作動制御装置に関する。
回転電機を搭載する車両においては、2次電池の電圧を電圧変換器によって昇圧してシステム電圧とし、このシステム電圧でインバータおよび回転電機が作動する。回転電機が複数あっても同じシステム電圧が供給される。このように共通のシステム電圧が供給される複数の構成要素を含むシステムの場合、各構成要素の損失は必ずしも全部が最小となっているわけではない。つまり、ある構成要素の損失が最小となるようにシステム電圧を設定しても、他の構成要素はそのシステム電圧の下では効率が低く、損失が大きい場合が生じる。したがって、1つの構成要素の損失を最小にするシステム電圧の設定はさほど困難ではないことが多いが、複数の構成要素を含むシステムでは、全体の損失を最小にするのは、構成要素が多くなればなるほど困難になる。
例えば、特許文献1には、電動機駆動制御システムとして、候補システム電圧について、バッテリ損失、コンバータ損失、インバータ損失、モータジェネレータ損失をそれぞれ求め、これらの総和が最小となる候補システム電圧に基いて電圧指令値を設定することが開示されている。
また、特許文献2には、モータ駆動制御装置として、インバータとモータとが2つずつ設けられている場合に、それぞれのモータを駆動するためのインバータ入力電圧をそれぞれ求め、大きい方の電圧をインバータ入力電圧の目標電圧とする実施形態が述べられている。これは、インバータ入力電圧が最適値よりも小さい場合の方が大きい場合よりもロスが大きいためであると説明されている。
特開2007−325351号公報 再表特許2003−015254号公報
特許文献1の方法は、まず候補システム電圧を設定し、その候補システム電圧における各要素の損失の総和を求め、候補システム電圧を任意の電圧間隔で変更して、損失の総和をその都度求めて、損失総和が最小の候補システム電圧を求めるというものである。したがって、収束演算が必要で、演算負荷が重く、例えば車両搭載のマイクロプロセッサには適していない。
本発明の目的は、マイクロプロセッサに搭載可能な簡潔なロジックでシステムの損失を最小にするシステム電圧を求め、そのシステム電圧でシステムを作動制御するシステム作動制御装置を提供することである。
また、本発明に係るシステム作動制御装置は、共通のシステム電圧が供給される複数の構成要素を含むシステムの全体の損失を最小としてシステム全体を作動させるシステム作動制御装置であって、複数の構成要素のそれぞれの動作点条件について、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶する記憶手段と、各構成要素の動作点条件を取得する動作点条件取得手段と、各構成要素の動作点条件の下におけるそれぞれの損失傾き値の合計値がゼロとなるシステム電圧を、システム全体の損失を最小とする全体損失最小システム電圧として求め、全体損失最小システム電圧でシステム全体を作動させる損失最小制御手段と、を備え、損失最小制御手段は、複数の構成要素を含むシステム全体に対するシステム電圧フィードバック制御手段であって、システム全体に対するシステム電圧指令値を入力する入力部と、システム全体における現在のシステム電圧値を出力とする出力部と、出力部から出力されたシステム電圧値についての各構成要素の動作点条件におけるそれぞれの損失傾き値を記憶手段から読み出してそれぞれの損失傾き値の合計値である損失傾き合計値を取得する損失傾き合計取得部と、損失傾き合計値の符号を反転したものにフィードバックゲインを乗じてフィードバック電圧値に変換する変換部と、システム電圧指令値に対しフィードバック電圧値を反映してシステム電圧指令値を更新して、入力部に入力する更新処理部と、を有し、損失傾き合計値に応じてシステム電圧指令値を低くしてシステム電圧指令値を更新するフィードバックループによって、システム電圧指令値をフィードバック値がゼロとなるシステム電圧指令値に収束させ、収束したシステム電圧指令値の電圧を全体損失システム電圧としてシステム全体を作動させ、複数の構成要素は、第1回転電機と第2回転電機であって、記憶手段は、第1回転電機と第2回転電機の動作点条件としてのトルク値と回転数の組のそれぞれについて、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、損失傾き合計取得部は、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第1回転電機の動作点における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第2回転電機の動作点における損失傾き値とを記憶手段から読み出し、それぞれの損失傾き値を合計して損失傾き合計値を取得し、更新処理部は、第1回転電機または第2回転電機の損失特性に基いて予め定めた概算システム電圧値をシステム電圧指令値に対するフィードフォワード値とし、概算システム電圧値に対しフィードバック電圧値を反映してシステム電圧指令値とし、損失傾き合計値に応じてシステム電圧指令値を増減してシステム電圧指令値を更新するフィードバックループによって、システム電圧指令値をフィードバック値がゼロとなるシステム電圧指令値に収束させ、収束したシステム電圧指令値の電圧を全体損失システム電圧としてシステム全体を作動させ、さらに、システム電圧値に対応する第1回転電機または第2回転電機の動作点条件における損失傾き値がゼロとなるシステム電圧を概算システム電圧値として、更新処理部に出力するフィードフォワード部を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るシステム作動制御装置において、複数の構成要素は、さらに、電源電圧に対して昇降圧した電圧をシステム電圧としてシステム全体に供給する電圧変換器を含み、記憶手段は、さらに、電圧変換器の動作点条件としての電圧変換器に対する入力電流値または出力電流値のそれぞれについて、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、損失傾き合計取得部は、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第1回転電機の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第2回転電機の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する電圧変換器の動作点条件における損失傾き値を記憶手段から読み出し、それぞれの損失傾き値を合計して損失傾き合計値を取得することが好ましい。
また、本発明に係るシステム作動制御装置において、複数の構成要素は、さらに、第3回転電機を含み、記憶手段は、さらに、第3回転電機の動作点条件としてのトルク値と回転数の組のそれぞれについて、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、損失傾き合計取得部は、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第1回転電機の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第2回転電機の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する電圧変換器の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第3回転電機の動作点における損失傾き値と、を記憶手段から読み出し、それぞれの損失傾き値を合計して損失傾き合計値を取得することが好ましい。
本発明に係るシステム作動制御装置は、複数の構成要素のそれぞれの動作点条件について、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、各構成要素の動作点条件の下におけるそれぞれの損失傾き値の合計値がゼロとなるシステム電圧を、システム全体の損失を最小とする全体損失最小システム電圧として求め、全体損失最小システム電圧でシステム全体を作動させる。構成要素が複数あっても、システム電圧ごとの損失傾きを利用する方法によれば、各構成要素の損失傾きの合計がゼロのときのシステム電圧が損失最小のシステム電圧であるので、損失最小システム電圧を容易に求めることができ、演算量を大幅に削減できる。
また、システム作動制御装置において、損失最小制御手段は、複数の構成要素を含むシステム全体に対するシステム電圧フィードバック制御手段である。ここでは、各構成要素の動作点条件におけるそれぞれの損失傾き値の合計値である損失傾き合計値の符号を反転したものにフィードバックゲインを乗じてフィードバック電圧値に変換し、システム電圧指令値に対しフィードバック電圧値を反映してシステム電圧指令値を更新する。このように、損失傾き合計値に応じてシステム電圧指令値を低くしてシステム電圧指令値を更新するフィードバックループを用いることで、システム電圧指令値をフィードバック値がゼロとなるシステム電圧指令値に収束させ、収束したシステム電圧指令値の電圧を全体損失システム電圧としてシステム全体を作動させる。したがって、フィードバックループを構成するだけで、システム全体が全体損失最小システム電圧で作動し、特別な収束演算等を要しない。
また、システム作動制御装置において、複数の構成要素が第1回転電機と第2回転電機であり、第1回転電機と第2回転電機の動作点条件としてのトルク値と回転数の組のそれぞれについて、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、システム電圧値に対応する第1回転電機の動作点における損失傾き値と、第2回転電機の動作点における損失傾き値とを読み出して、それぞれの損失傾き値を合計して損失傾き合計値を取得する。このように、構成要素が2つの場合も、簡単にシステム電圧ごとの損失傾き合計値を取得することができる。また、システム作動制御装置において、第1回転電機または第2回転電機の損失特性に基いて予め定めた概算システム電圧値をシステム電圧指令値に対するフィードフォワード値とし、概算システム電圧値に対しフィードバック電圧値を反映してシステム電圧指令値とし、損失傾き合計値に応じてシステム電圧指令値を増減してシステム電圧指令値を更新する。概算システム電圧値は、システムが作動するシステム電圧の概算値であるので、損失最小システム電圧から大幅に相違することは少ない。したがって、フィードフォワード値として概算システム電圧値を与えることで、損失傾き合計値をゼロとする演算を迅速に完了させることができる。
また、システム作動制御装置において、複数の構成要素として、さらに、電圧変換器を含むときは、さらに、電圧変換器の動作点条件としての電圧変換器に対する入力電流値または出力電流値のそれぞれについて、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、システム電圧値に対応する第1回転電機の動作点条件における損失傾き値と、第2回転電機の動作点条件における損失傾き値と、電圧変換器の動作点条件における損失傾き値を読み出し、それぞれの損失傾き値を合計して損失傾き合計値を取得する。このように、構成要素が3つの場合も、簡単にシステム電圧ごとの損失傾き合計値を取得することができる。
また、システム作動制御装置において、複数の構成要素として、さらに、第3回転電機を含むときは、さらに、第3回転電機の動作点条件としてのトルク値と回転数の組のそれぞれについて、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、システム電圧値に対応する第1回転電機の動作点条件における損失傾き値と、第2回転電機の動作点条件における損失傾き値と、電圧変換器の動作点条件における損失傾き値と、第3回転電機の動作点における損失傾き値と、を読み出し、それぞれの損失傾き値を合計して損失傾き合計値を取得する。このように、構成要素が4つの場合も、簡単にシステム電圧ごとの損失傾き合計値を取得することができる。なお、さらに構成要素が多くなっても同様に、追加された構成要素のシステム電圧に対する損失傾き値を予め記憶しておくことで、これを読み出して順次反映して、システム全体としてのシステム電圧ごとの損失傾き合計値を容易に取得することができる。
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、電源装置に接続される回転電機として、1台でモータ機能と発電機機能とを有するモータ・ジェネレータを2台用いるものを代表例として説明するが、これをモータ機能のみを有する回転電機を1台、発電機機能のみを有する回転電機を1台用いるものとしてもよい。また、実施形態の中で説明するように、モータ・ジェネレータを1台用いるものとしてもよく、3台以上用いるものとしてもよい。
回転電機に接続される電源回路の構成として、蓄電装置、電圧変換器、平滑コンデンサ、インバータを有するものとして説明するが、これらの要素以外の他の要素を適宜付加するものとしてもよい。例えば、DC/DCコンバータ、低電圧電源、システムメインリレー等を用いるものとしてもよい。また、蓄電装置を複数用いるものとしてもよく、この場合に電圧変換器を複数用いるものとしてもよい。また、インバータを複数用いるものとしてもよい。
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、回転電機を搭載する車両に用いられる車両用制御システム10の構成を説明する図である。この車両用制御システム10は、複数の構成要素を含む制御対象システム12と、制御対象システム12の作動を制御する制御装置30を備えて構成される。この車両用制御システム10は、回転電機を用いて車両を走行させる際の制御を行う機能を有するが、ここでは特に、制御対象システム12の全体損失を最小にするシステム電圧で、制御対象システムを作動させる制御を行う機能を有する。
制御対象システム12は、蓄電装置14と、電圧変換器16と、平滑コンデンサ18と、インバータ20と、2台の回転電機である回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24を含んで構成される。
蓄電装置14は充放電可能な高電圧用2次電池である。蓄電装置14としては、例えば、約200Vの端子電圧を有するリチウムイオン組電池あるいはニッケル水素組電池、またはキャパシタ等を用いることができる。
電圧変換器16は、蓄電装置14とインバータ20の間に配置され、電圧変換機能を有する回路である。電圧変換器16としては、リアクトルと制御装置30の制御の下で作動するスイッチング素子等を含んで構成することができる。電圧変換機能としては、蓄電装置側の電圧をリアクトルのエネルギ蓄積作用を利用して昇圧しインバータ側に供給する昇圧機能と、インバータ側からの電力を蓄電装置側に降圧して充電電力として供給する降圧機能とを有する。昇圧機能に着目するときは、電圧変換器16を昇圧回路と呼ぶことができる。
電圧変換器16は、蓄電装置14からの入力電流IBによって動作点条件を定めることができる。また、電圧変換器16と、インバータ20の間に設けられる1組の正極母線と負極母線との間の電圧は、インバータ20の作動直流電圧であり、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24の作動交流電圧と関係する電圧であり、制御対象システム12の作動状態を示す電圧である。そこで、この1組の正極母線と負極母線との間の電圧をシステム電圧と呼ぶことができる。一般的には、システム電圧は、蓄電装置14の電圧と比べて高電圧であるので、これをシステム電圧VHとして示し、蓄電装置14の電圧をVLとして示すことが多い。
電圧変換器16とインバータ20の間の1組の正極母線と負極母線との間に設けられる平滑コンデンサ18は、この1組の正極母線と負極母線との間における電圧、電流の変動を抑制し平滑化する機能を有する。
インバータ20は、交流電力と直流電力との間の電力変換を行う回路である。インバータ20は、制御装置30の制御の下で作動する複数のスイッチング素子を含んで構成される。図1では、1つのインバータ20として図示されているが、後述するように、実際には回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24は、用途も動作点条件も異なるので、インバータ20は、その内部で2つのインバータ回路で構成されている。2つのインバータ回路のうち1つは回転電機(MG1)22の作動用のインバータ回路であり、もう1つは回転電機(MG2)24の作動用のインバータ回路である。
後述のように、回転電機(MG1)22を発電機として機能させるときは、その作動用インバータ回路は、回転電機(MG1)22からの交流三相回生電力を直流電力に変換し、蓄電装置側に充電電流として供給する交直変換機能を有する。また、回転電機(MG2)24の作動用インバータ回路は、車両が力行のとき、蓄電装置側からの直流電力を交流三相駆動電力に変換し、回転電機(MG2)24に駆動電力として供給する直交変換機能と、車両が制動のとき、逆に回転電機(MG2)24からの交流三相回生電力を直流電力に変換し、蓄電装置側に充電電流として供給する交直変換機能とを有する。
回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24は、車両に搭載されるモータ・ジェネレータ(MG)であって、蓄電装置14から電力が供給されるときはモータとして機能し、図示されていないエンジンによる駆動時、あるいは車両の制動時には発電機として機能する三相同期型回転電機である。
回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24は区別しないで用いることもできるが、一方を蓄電装置14の充電のための発電機、他方を主として車両走行用としてのモータとして用いることができる。すなわち、例えば、図示されていないエンジンによって一方の回転電機(MG1)22を駆動して発電機として用い、発電された電力をインバータ20と電圧変換器16を介して蓄電装置14に供給するものとして用いる。また、他方の回転電機(MG2)24を車両走行のために用いて、力行時には蓄電装置14から直流電力の供給を受けて電圧変換器16とインバータ20を介して変換された交流電力によってモータとして機能して車両の車軸を駆動し、制動時には発電機として機能して回生エネルギを回収し、インバータ20、電圧変換器16を介して蓄電装置14に供給するものとできる。回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24の制御は、図示されていないMG−ECUを介して制御装置30によって行われる。
回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24の動作点条件は、トルクと、回転数で定めることができる。上記のように、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24とは用途が異なるので、動作点条件も異なる。上記のようにインバータ20は、システム電圧VHで作動するので、その内部の回転電機(MG1)22の作動用インバータ回路も、回転電機(MG2)24の作動用インバータ回路も、共通のシステム電圧VHで作動する。したがって、回転電機(MG1)22も回転電機(MG2)24も、共通のシステム電圧VHに基く共通の電圧振幅を有する交流電圧の下で作動することになる。
このように、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24とは、共通のシステム電圧VHの下で作動するが、動作点条件であるトルクと回転数は、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24とで相違することが多い。システム電圧と損失の関係の詳細については後述するが、損失は動作点条件とシステム電圧で定まるので、共通のシステム電圧VHの下で作動することから、回転電機(MG1)22の動作点条件における損失と、回転電機(MG2)24の動作点における損失とは、相互に異なることになり、いずれもが最小損失となることがない。いずれかが最小損失であっても、他方が最小損失でないことになり、あるいは、双方とも最小損失でないこともある。
制御装置30は、CPU32と記憶部34とを含んで構成される。制御装置30は、制御対象システム12を構成する各構成要素の動作を全体として制御する機能を有し、ここでは特に、制御対象システム12の全体損失を最小にするシステム電圧で、制御対象システムを作動させる制御を行う機能を有するシステム作動制御装置である。かかる制御装置30は、車両の搭載に適したコンピュータ、具体的には、メモリを備えるマイクロプロセッサで構成することができる。
記憶部34は、プログラム等を格納する機能を有するが、ここでは特に、回転電機(MG1)22、回転電機(MG2)24、電圧変換器16のそれぞれの動作点条件ごとに、システム電圧と損失傾きとの関係を示すマップ48を記憶する機能を有する。かかる記憶部34としては、マイクロプロセッサに内蔵可能な半導体メモリを用いることができる。マイクロプロセッサに一体として外付け増設される半導体メモリを記憶部34として用いてもよい。
ここで、制御対象システム12を構成する要素のシステム電圧VHと損失の関係、およびシステム電圧VHと損失傾きΔlossの関係について述べる。
図2は、回転電機について、システム電圧VHと損失の関係を示す図である。回転電機は、システム電圧VHが高いときはPWM制御、低いときは矩形波制御と呼ばれる駆動制御法が用いられる。PWM制御はパルスのデューティ比を変更して回転電機の出力を制御するものであり、その損失は、システム電圧VHと駆動電流によって定まる。システム電圧VHを上げてゆくと駆動電流が増加するので、結局、PWM制御における損失は、(VH2の関数形となる。
矩形波制御でもこの傾向は同じであるが、システム電圧VHを上げてゆくと増加する逆起電力を抑制するために、矩形波制御では弱め界磁技術を用いる。この弱め界磁のための電流はシステム電圧VHが低くなるほど大きくするので、その電流による損失はシステム電圧VHが小さいほど増加する。
このように、回転電機の損失は、システム電圧VHが高いところではシステム電圧VHが高くなるほど増大する一方で、システム電圧VHが低いところではシステム電圧VHが低くなるほど増大する。この2つの傾向のバランスで、回転電機の損失が最小となるシステム電圧VH0が存在する。
図3は、図2で説明した損失特性について、各システム電圧VHにおける損失傾きΔlossを求め、そのシステム電圧依存性を図示したものである。ここで、損失傾きΔlossは、各システム電圧における損失特性曲線の勾配を示し、Δloss=d(損失)/d(システム電圧)で示される。なお、図2には、損失特性の曲線についていくつかのシステム電圧における接線が示されているが、この接線の傾きの値が、損失傾き値である。
図3に示されるように、システム電圧VHと損失傾きΔlossの間の関係において、損失傾きΔlossは、最小損失となるシステム電圧VH0でゼロとなる。換言すれば、損失傾き値=0のときのシステム電圧を求めれば、そのときのシステム電圧が損失最小のシステム電圧VH0となる。したがって、現在のシステム電圧における損失傾き値を求め、その損失傾き値をゼロにする方向にシステム電圧を変更してゆけば、容易に損失最小のシステム電圧VH0を取得することができる。
図4は、回転電機の動作点条件ごとに、損失傾きのシステム電圧依存性特性を記憶部34に記憶する様子を説明する図である。回転電機は、トルクと回転数とで動作点条件を定めることができる。それぞれの動作点条件において、図2で説明した損失のシステム電圧依存性特性と、図3で説明した損失傾きのシステム電圧依存性特性が異なってくる。そこで、トルク−回転数の平面上の各動作点条件について、それぞれ損失傾きのシステム電圧依存性特性が、システム電圧と損失傾きとの関係を示すマップ48として記憶部34に記憶される。これによって、回転電機の動作点条件を検索キーとしてマップ48を検索することで1つの損失傾きのシステム電圧依存性特性を示す曲線または関数形が検索できる。そして、この曲線または関数形においてシステム電圧を入力すると、そのシステム電圧における損失傾き値を読み出すことができる。
図1で説明した制御対象システム12は、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24とを備えるが、この2つの回転電機は必ずしも全く同じ性能ではなく、用途に応じて異なる仕様のモータ・ジェネレータが用いられることがある。このような場合には、トルク−回転数の平面における動作点条件が同じとしても、損失傾きのシステム電圧依存性が2つの回転電機の間で異なることになる。図4では、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24が同じ回転電機であるとして、それぞれの動作点条件が異なるときの損失傾きのシステム依存性の曲線がどこに格納されているかが示されている。
この例では、回転電機(MG1)22の動作点条件が、トルク=T4、回転数=N3であるとし、回転電機(MG2)24の動作点条件が、トルク=T6、回転数=N5であるとする。この場合では、回転電機のトルク−回転数の平面で、トルク=T4、回転数=N3の点に格納されている損失傾きのシステム依存性の曲線74が回転電機(MG1)22に適用される。同様に、回転電機のトルク−回転数の平面で、トルク=T6、回転数=N5の点に格納されている損失傾きのシステム依存性の曲線76が回転電機(MG2)24に適用される。
図5は、リアクトルとスイッチング素子で構成される電圧変換器について、システム電圧VHと損失の関係を示す図である。電圧変換器の動作点条件はその入力電流またはその出力電流で定めることができる。図1では、蓄電装置14から電圧変換器16に供給される電流が入力電流IBとして示されている。これは電圧変換器16を昇圧回路として用いられる場合で、このときの出力電流は、電圧変換器16からインバータ20に供給される電流となる。電圧変換器16が降圧回路として用いられるときは、図1で示されるIBの方向が逆向きとなって、電圧変換器16から蓄電装置14に供給される出力電流となる。
図5に示されるように、電圧変換器の損失は、入力電流IBを一定として、システム電圧VHが高くなるほど直線的に増加する特性となる。この損失特性は、入力電流IBを大きくすれば、それに応じて増加する。
図6は電圧変換器における損失傾きのシステム電圧依存性を示す図である。図5に示されるように、損失傾きは、入力電流IBを与えたときのシステム電圧に応じて直線的に増加する損失特性のその直線の傾きである。したがって、損失傾きΔlossは、入力電流IBが一定のときは、システム電圧VHに依存しない一定値となる。そして、この一定値の損失傾きΔlossは、入力電流IBが大きくなるにつれ増大することになる。
このように、制御対象システム12を構成する各構成要素の特性に応じて、その損失傾きのシステム依存性が、その構成要素の動作点条件ごとに予め求めることができる。上記では、回転電機と電圧変換器について説明したが、同様にインバータについてもその特性に従った損失傾きのシステム電圧依存性を予め求めることができる。
再び図1に戻り、記憶部34には、複数の構成要素のそれぞれの動作点条件について、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値がシステム電圧VHごとに記憶される。ここでは、システム電圧VHと損失傾きΔlossとの関係を示すマップ48として記憶されているが、マップ以外の形式、例えば、システム電圧VHと損失傾きΔlossとの関係を示すルックアップテーブル、あるいは、システム電圧VHを入力することで損失傾き値が出力される関数形の形式で記憶されるものとしてもよい。また、上記では構成要素の動作点条件を離散的なものとして説明したが、動作点条件を関数形に繰り入れて、連続的な動作点条件について、システム電圧VHと損失傾きΔlossとの関係を読み出せるものとしてもよい。これらの記憶形式は、マイクロプロセッサの演算処理能力、およびメモリ容量等を考慮して設定することができる。
図1において制御装置30のCPU32は、制御対象システム12を構成する各構成要素の動作を全体として制御する機能を有し、ここでは、特に制御対象システム12の全体損失を最小にするシステム電圧で、制御対象システムを作動させる制御を行う機能を有する。具体的には、制御対象システム12の一般的動作を制御する機能を有する作動制御部36と、制御対象システム12の全体損失を最小にするシステム電圧VHを求めて、作動制御部36に供給するVH制御部40を含んで構成される。VH制御部40は、制御対象システム12を構成する各構成要素の動作点条件を取得する動作点条件取得モジュール42と、記憶部34からマップ48の内容を読み出して、各構成要素の動作点条件の下での損失傾きを取得し、現在のシステム電圧の下での各構成要素の損失傾きを合計した損失傾き合計値を取得する損失傾き合計値取得モジュール44と、フィードバック技術を用いて全体損失最小のシステム電圧VHを取得する全体損失最小VH取得モジュール46を含んで構成される。
かかる機能は、ソフトウェアによって実現でき、具体的には、システム作動制御プログラムの中の全体損失最小処理プログラムを実行することで実現できる。かかる機能の一部または全部をハードウェアで実現するものとしてもよい。例えば、以下に述べるフィードバック技術等を用いて実現することができる。
図7は、全体損失最小のシステム電圧VHを自動的に設定する手段としてのフィードバック技術を説明するブロック図60である。ここでは、簡単な例として、制御対象システム12が1つの回転電機で構成される回転電機システムであるとする。ここでは、制御対象システム12と、フィードバックブロック62と、比例制御ゲインを与える変換器64と、更新処理を行う更新処理部66とでシステム電圧に関するフィードバックループが形成される。
すなわち、制御対象システム12には、システム電圧指令値Vh(com)が入力され、制御対象システム12から出力される現在のシステム電圧に対し、フィードバックブロック62においてマップ引きによって損失傾き値が読み出され、その符号が反転された後、変換器64で電圧値のフィードバック値Vh(fb)に変換され、システム電圧指令値Vh(com)にフィードバック値Vh(fb)を反映して、システム電圧指令値Vh(com)が更新される。更新されたシステム電圧指令値Vh(com)は制御対象システム12に入力され、その結果出力されたシステム電圧が再びフィードバックブロック62に入力され、以下同様の処理が繰り返される。ここでは、更新処理部66において、Vh(com)=Vh(fb)として更新が行われることになる。
フィードバックブロック62では、回転電機の動作点条件として、トルクと回転数が取得される。この手順は、制御装置30のVH制御部40における動作点条件取得モジュール42の機能によって実行される。そして、取得された回転電機の動作点条件を検索キーとして記憶部34を検索し、該当するマップ48を読み出し、入力されたシステム電圧VHに対応する損失傾き値を取得する処理が行われる。この処理を損失傾きマップ引きと呼ぶことができる。上記のように、マップ引きとは、関数形を用いて損失傾きちを取得する形式で処理されてもよい。この手順は、VH制御部40の損失傾き合計値取得モジュール44の機能によって実行される。なお、図7の例では、制御対象システム12の構成要素が1つの場合であるので、損失傾き値の合計を行わず、マップ引きされた損失傾き値がそのまま以後の処理に用いられる。
取得された損失傾き値はその符号が反転されて変換器64に入力される。損失傾き値の符号を反転するのは、フィードバックループにおいて、フィードバックを繰り返すことで損失傾き値を減少するようにするためである。これによって、フィードバックによって損失傾き値を自動的にゼロに収束させることができる。符号反転の機能はフィードバックブロック62の機能としてもよく、別に独立の符号反転器を設けるものとしてもよく、次の変換器64の機能としてもよい。
変換器64は、−Δlossとして(損失/電圧)の次元を有する値に適当なフィードバックゲインを有する変換定数を乗じて、電圧の次元に変換する機能を有する演算器である。具体的には、比例積分制御のための演算処理が実行される。すなわち、(−Δloss)を入力とし、Vh(fb)=KP(−Δloss)+Σ{KI(−Δloss)}の演算処理を行って、フィードバック値Vh(fb)を出力する。ここで、KPは比例制御のためのゲイン、KIは積分制御のためのゲイン、Σは、積分演算処理を行うことを示している。なお、比例積分微分制御(PID制御)を行うこともでき、その場合には、さらに微分制御のためのゲインを用いて演算が実行される。
このように、現在のシステム電圧指令値に対応する現在のシステム電圧における損失傾き値の符号を反転し比例積分制御のゲインによって電圧に変換してこれを現在のシステム電圧指令値に反映してシステム電圧を更新するフィードバックループを形成する。このようにすることで、損失傾き合計値に応じてシステム電圧指令値を低くしてシステム電圧指令値が更新される。そして、この処理をフィードバックループによって自動的におこなわせることで、システム電圧指令値はフィードバック値がゼロとなるシステム電圧指令値に収束する。この収束したシステム電圧指令値の電圧は、損失傾きがゼロ、すなわち、損失が最小となるシステム電圧VH0である。このようにして、損失最小となるシステム電圧が取得されるが、これらの手順は、VH制御部40の全体損失最小VH取得モジュール46の機能によって実行される。
フィードバック技術によって、制御対象システム12に対し損失最小となるシステム電圧VH0が設定されると、そのシステム電圧VH0の下で制御対象システム12の作動制御が行われる。例えば、フィードバックループを開放した状態で、制御装置30の作動制御部36の機能によって、制御対象システム12の作動制御が実行される。
図8と図9は、制御対象システム12として、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24とを考え、フィードバック技術によって、これら2つの構成要素の合計損失を全体として最小にするようにシステム電圧が自動的に設定される様子を説明する図である。
図8は、図7と同様のブロック図70で、ここでは制御対象システム12が2つの回転電機で構成されるシステムとすることに応じて、フィードバックブロック72には、回転電機(MG1)22の動作点条件として、(T,N)MG1と、回転電機(MG2)24動作点条件として、(T,N)MG2が入力される。そして、フィードバックブロック72では、マップ引き処理によって、回転電機(MG1)22の損失傾きΔloss1と、回転電機(MG2)24の損失傾きΔloss2とがそれぞれ取得され、その合計である損失傾き合計値として、Σloss=(Δloss1+Δloss2)が演算される。
演算された損失傾き合計値Σlossは、その符号が反転された後、変換器64において比例積分演算が行われ、損失傾き合計値Σlossに対応するフィードバック値Vh(com)が出力される。このフィードバック値Vh(com)を用いて、現在のシステム電圧指令値が更新される。
図9は、回転電機(MG1)22の損失傾きΔloss1と、回転電機(MG2)24の損失傾きΔloss2と、これらを合計した損失傾き合計値(Δloss1+Δloss2)について、それぞれがゼロとなるシステム電圧の様子を示す図である。ここでは、回転電機(MG1)22の損失傾きΔloss1がゼロとなるシステム電圧は、VH1で示される。これに対し、回転電機(MG2)24の損失傾きΔloss2がゼロとなるシステム電圧は、VH2で示される。上記のように、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24とは、性能も動作点条件も異なるので、その動作点条件の下における損失傾きのシステム電圧依存性も異なる。したがって、VH1とVH2とは異なる値となる。
図9において、最下段の図は、回転電機(MG1)22の損失傾きのシステム電圧依存性の曲線74と、回転電機(MG2)24の損失傾きのシステム電圧依存性の曲線76とを合成した曲線78の様子を示す図である。図9に示されるように、損失傾き合計値である(Δloss1+Δloss2)を示す曲線78がゼロとなるシステム電圧はVH3で示され、上記のVH1ともVH2とも異なる値である。このVH3が、回転電機(MG1)22の損失と回転電機(MG2)24の損失との合計である全体損失を最小にするシステム電圧である。このように、フィードバック技術を用いることで、構成要素が2つの場合のシステム全体について、その全体損失を最小にするシステム電圧が自動的に設定される。
図10と図11は、制御対象システム12として、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24と電圧変換器16を考え、フィードバック技術によって、これら3つの構成要素の合計損失を全体として最小にするようにシステム電圧が自動的に設定される様子を説明する図である。
図10は、図8と同様のブロック図80で、ここでは制御対象システム12が2つの回転電機にさらに電圧変換器16を加えたもので構成されるシステムとすることに応じて、フィードバックブロック82には、さらに電圧変換器16の動作点条件として、IBが入力される。そして、フィードバックブロック82では、マップ引き処理によって、回転電機(MG1)22の損失傾きΔloss1と、回転電機(MG2)24の損失傾きΔloss2に加え、さらに、電圧変換器16の損失傾きΔloss3が取得され、その合計である損失傾き合計値として、Σloss=(Δloss1+Δloss2+Δloss3)が演算される。
演算された損失傾き合計値Σlossは、その符号が反転された後、変換器64において比例積分演算が行われ、損失傾き合計値Σlossに対応するフィードバック値Vh(com)が出力される。このフィードバック値Vh(com)を用いて、現在のシステム電圧指令値が更新される。
図11は、回転電機(MG1)22の損失傾きΔloss1と、回転電機(MG2)24の損失傾きΔloss2と、電圧変換器16の損失傾きΔloss3と、これらを合計した損失傾き合計値(Δloss1+Δloss2+Δloss3)について、それぞれがゼロとなるシステム電圧の様子を示す図である。図6で説明したように、電圧変換器16の損失傾きΔloss3は、システム電圧によって依存しない一定値である。
図11において、最下段の図は、回転電機(MG1)22の損失傾きのシステム電圧依存性の曲線74と、回転電機(MG2)24の損失傾きのシステム電圧依存性の曲線76と、電圧変換器16の損失傾きの直線84とを合成した曲線86の様子を示す図である。図11に示されるように、損失傾き合計値である(Δloss1+Δloss2+Δloss3)を示す曲線86がゼロとなるシステム電圧はVH4で示され、図9で説明したVH1ともVH2ともVH3とも異なる値である。このVH4が、回転電機(MG1)22の損失と回転電機(MG2)24の損失と電圧変換器16の損失の合計である全体損失を最小にするシステム電圧である。このように、フィードバック技術を用いることで、構成要素が3つの場合のシステム全体について、その全体損失を最小にするシステム電圧が自動的に設定される。
図12は、制御対象システム12として、回転電機(MG1)22と回転電機(MG2)24と電圧変換器16にさらに、後輪駆動用の回転電機(MGR)を考え、フィードバック技術によって、これら4つの構成要素の合計損失を全体として最小にするようにシステム電圧が自動的に設定される様子を説明する図である。
図12は、図10と同様のブロック図90で、ここでは制御対象システム92が2つの回転電機と電圧変換器16にさらに回転電機(MGR)を加えたもので構成されるシステムとすることに応じて、フィードバックブロック94には、さらに回転電機(MGR)の動作点条件として、(T,N)MGRが入力される。また、記憶部34のマップ48には、回転電機(MGR)の損失傾きに関するデータが追加される。回転電機(MGR)の損失傾きのシステム電圧依存性は、回転電機(MG1)22のものと同様のものである。
そして、フィードバックブロック94では、マップ引き処理によって、回転電機(MG1)22の損失傾きΔloss1と、回転電機(MG2)24の損失傾きΔloss2と電圧変換器16の損失傾きΔloss3に加え、さらに、回転電機(MGR)の損失傾きΔloss4が取得される。そして、その合計である損失傾き合計値として、Σloss=(Δloss1+Δloss2+Δloss3+Δloss4)が演算される。
演算された損失傾き合計値Σlossは、その符号が反転された後、変換器64において比例積分演算が行われ、損失傾き合計値Σlossに対応するフィードバック値Vh(com)が出力される。このフィードバック値Vh(com)を用いて、現在のシステム電圧指令値が更新される。以下、図11等で説明したように、フィードバック技術を用いることで、構成要素が4つの場合のシステム全体について、その全体損失を最小にするシステム電圧が自動的に設定される。
図13は、図12のブロック図90に、さらにフィードフォワード要素を追加したブロック図100である。図7、図8、図10、図12においては、現在のシステム電圧指令値をフィードバックによって順次更新するものとしているので、処理の最初においては、任意のシステム電圧指令値を入力することになる。この処理の最初のシステム電圧指令値の設定の内容によって、損失傾き合計値がゼロに収束するまでの処理に時間がかかることがありえる。図13では、第2回転電機(MG2)24の損失特性に基いて予め定めた概算システム電圧値を、システム電圧指令値に対するフィードフォワード値Vh(ff)として与えるものである。ここでは、フィードフォワード部102において、回転電機(MG2)24の動作点条件を入力して、その動作点条件における概略システム電圧値を出力して更新処理部104に与えるものとして示されている。
図13では、概算システム電圧値を回転電機(MG2)24の損失特性に基いて予め定めた値とした。具体的には、図8で説明した回転電機(MG2)24における損失傾きがゼロとなるシステム電圧VH2を用いることができる。このシステム電圧VH2は、図8でも理解できるように、システム全体の損失を最小にするシステム電圧VH3から余り離れていない電圧値である。このようなシステム電圧VH2を処理の最初のシステム電圧指令値として用いることで、システム傾き合計値をゼロにする演算処理を迅速に収束させることができる。
なお、概算システム電圧値として、回転電機(MG1)22の損失特性に基いて予め定めた値を用いるものとしてもよい。例えば、図8で説明したシステム電圧VH1を概算システム電圧値としてもよい。また、回転電機(MG1)22の仕様上のパワーと回転電機(MG2)24の仕様上のパワーと比較し、パワーの大きい方の損失特性に基いて予め定めた値を用いるものとしてもよい。また、これ以外の任意の値を概算システム電圧値として用いてもよい。例えば、別途に、システム全体の損失を最小にする状態に近いシステム電圧が概略値で分かっているようなときは、その値を概算システム電圧値として用いることがよい。
そして、更新処理部104では、Vh(com)=Vh(ff)−Vh(fb)の更新処理が行われる。このように、概算システム電圧値に対しフィードバック電圧値を反映してシステム電圧指令値とし、損失傾き合計値に応じてシステム電圧指令値を増減してシステム電圧指令値を更新するフィードバックループによって、システム電圧指令値をフィードバック値がゼロとなるシステム電圧指令値に迅速に収束させることができる。
本発明に係る実施の形態のシステム作動装置が適用される車両の制御システムの構成を説明する図である。 本発明に係る実施の形態において、回転電機についてシステム電圧と損失の関係を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、回転電機における損失傾きのシステム電圧依存性を図示したものである。 本発明に係る実施の形態において、回転電機の動作点条件ごとに、損失傾きのシステム電圧依存性特性を記憶部に記憶する様子を説明する図である。 本発明に係る実施の形態において、電圧変換器についてシステム電圧と損失の関係を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、電圧変換器における損失傾きのシステム電圧依存性を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、全体損失最小のシステム電圧を自動的に設定する手段としてのフィードバック技術を説明するブロック図である。 本発明に係る実施の形態において、制御対象システムが2つの回転電機で構成されるシステムについてのフィードバック技術を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態において、2つの回転電機の損失傾きを合計した損失傾き合計値がゼロとなるシステム電圧の様子を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、制御対象システムが2つの回転電機と電圧変換器で構成されるシステムについてのフィードバック技術を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態において、2つの回転電機と電圧変換器の損失傾きを合計した損失傾き合計値がゼロとなるシステム電圧の様子を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、制御対象システムが3つの回転電機と電圧変換器で構成されるシステムについてのフィードバック技術を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態において、フィードフォワードとフィードバックとを組み合わせたときのブロック図を示す図である。
符号の説明
10 車両用制御システム、12,92 制御対象システム、14 蓄電装置、16 電圧変換器、18 平滑コンデンサ、20 インバータ、22 回転電機(MG1)、24 回転電機(MG2)、30 制御装置、32 CPU、34 記憶部、36 作動制御部、40 VH制御部、42 動作点条件取得モジュール、44 損失傾き合計値取得モジュール、46 全体損失最小VH取得モジュール、48 マップ、60,70,80,90,100 ブロック図、62,72,82,94 フィードバックブロック、64 変換器、66,104 更新処理部、74,76,78,86 曲線、84 直線、102 フィードフォワード部。

Claims (3)

  1. 共通のシステム電圧が供給される複数の構成要素を含むシステムの全体の損失を最小としてシステム全体を作動させるシステム作動制御装置であって、
    複数の構成要素のそれぞれの動作点条件について、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶する記憶手段と、
    各構成要素の動作点条件を取得する動作点条件取得手段と、
    各構成要素の動作点条件の下におけるそれぞれの損失傾き値の合計値がゼロとなるシステム電圧を、システム全体の損失を最小とする全体損失最小システム電圧として求め、全体損失最小システム電圧でシステム全体を作動させる損失最小制御手段と、
    を備え、
    損失最小制御手段は、複数の構成要素を含むシステム全体に対するシステム電圧フィードバック制御手段であって、
    システム全体に対するシステム電圧指令値を入力する入力部と、
    システム全体における現在のシステム電圧値を出力とする出力部と、
    出力部から出力されたシステム電圧値についての各構成要素の動作点条件におけるそれぞれの損失傾き値を記憶手段から読み出してそれぞれの損失傾き値の合計値である損失傾き合計値を取得する損失傾き合計取得部と、
    損失傾き合計値の符号を反転したものにフィードバックゲインを乗じてフィードバック電圧値に変換する変換部と、
    システム電圧指令値に対しフィードバック電圧値を反映してシステム電圧指令値を更新して、入力部に入力する更新処理部と、
    を有し、損失傾き合計値に応じてシステム電圧指令値を低くしてシステム電圧指令値を更新するフィードバックループによって、システム電圧指令値をフィードバック値がゼロとなるシステム電圧指令値に収束させ、収束したシステム電圧指令値の電圧を全体損失システム電圧としてシステム全体を作動させ、
    複数の構成要素は、第1回転電機と第2回転電機であって、
    記憶手段は、
    第1回転電機と第2回転電機の動作点条件としてのトルク値と回転数の組のそれぞれについて、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、
    損失傾き合計取得部は、
    出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第1回転電機の動作点における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第2回転電機の動作点における損失傾き値とを記憶手段から読み出し、それぞれの損失傾き値を合計して損失傾き合計値を取得し、
    更新処理部は、
    第1回転電機または第2回転電機の損失特性に基いて予め定めた概算システム電圧値をシステム電圧指令値に対するフィードフォワード値とし、概算システム電圧値に対しフィードバック電圧値を反映してシステム電圧指令値とし、
    損失傾き合計値に応じてシステム電圧指令値を増減してシステム電圧指令値を更新するフィードバックループによって、システム電圧指令値をフィードバック値がゼロとなるシステム電圧指令値に収束させ、収束したシステム電圧指令値の電圧を全体損失システム電圧としてシステム全体を作動させ、
    さらに、システム電圧値に対応する第1回転電機または第2回転電機の動作点条件における損失傾き値がゼロとなるシステム電圧を概算システム電圧値として、更新処理部に出力するフィードフォワード部を備えることを特徴とするシステム作動制御装置。
  2. 請求項1に記載のシステム作動制御装置において、
    複数の構成要素は、さらに、電源電圧に対して昇降圧した電圧をシステム電圧としてシステム全体に供給する電圧変換器を含み、
    記憶手段は、さらに、
    電圧変換器の動作点条件としての電圧変換器に対する入力電流値または出力電流値のそれぞれについて、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、
    損失傾き合計取得部は、
    出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第1回転電機の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第2回転電機の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する電圧変換器の動作点条件における損失傾き値を記憶手段から読み出し、それぞれの損失傾き値を合計して損失傾き合計値を取得することを特徴とするシステム作動制御装置。
  3. 請求項2に記載のシステム作動制御装置において、
    複数の構成要素は、さらに、第3回転電機を含み、
    記憶手段は、さらに、
    第3回転電機の動作点条件としてのトルク値と回転数の組のそれぞれについて、システム電圧に対する損失特性におけるd(損失)/d(システム電圧)の値である損失傾き値をシステム電圧ごとに記憶し、
    損失傾き合計取得部は、
    出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第1回転電機の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第2回転電機の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する電圧変換器の動作点条件における損失傾き値と、出力部から出力されたシステム電圧値に対応する第3回転電機の動作点における損失傾き値と、を記憶手段から読み出し、それぞれの損失傾き値を合計して損失傾き合計値を取得することを特徴とするシステム作動制御装置。
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