JP5217310B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
近年、車両用パワーステアリング装置として、モータを駆動源とする電動パワーステアリング装置(EPS)が広く採用されるようになっている。そして、こうしたEPSの多くでは、その補償制御の一つとして、ステアリングを中立位置に復帰させるためのステアリング戻し制御(ハンドル戻し補償制御)が行われている。
即ち、本来、走行中であれば、特段のステアリング操作を行わなくとも、ステアリングは、転舵輪に作用するセルフアライニングトルクによって、理論上、中立位置(操舵角ゼロ)まで復帰するはずである。しかしながら、EPSの場合、そのシステムの摩擦、例えば減速機構(ボール螺子やウォーム&ホイール等)の摩擦が、上記のような転舵輪に作用するセルフアライニングトルクを上回る場合があり、これにより、ステアリングが中立位置まで戻りきらない場合がある。
そこで、上記のようなステアリング戻し制御の実行により、ステアリング中立方向に作用する補償成分(ステアリング戻し補償量)を演算する。例えば、特許文献1に記載のEPSは、操舵角に基づき演算される操舵速度目標値と実際の操舵速度との偏差に基づくフィードバック制御の実行によりステアリング戻し制御を実行するための補償成分を演算する。そして、その補償成分をパワーアシスト制御の基礎成分である基本アシスト制御量に重畳することにより、ステアリングの速やかな中立位置への復帰を実現し、走行路面の状態に関わらず良好なステアリングの戻り性を確保することが可能となっている。
また、このEPSでは、車速の上昇とともにその値が増大する乗算係数が演算され、上記ステアリング戻し制御を実行するための補償成分は、その基礎制御量に当該乗算係数を乗ずることにより演算される(特許文献1参照、第5図)。即ち、通常操舵において、現実に発生する操舵角の範囲、即ち有効舵角範囲は、車速に応じて変化し、当該車速の上昇とともに狭小化する。つまり、高速走行時には、ごく小さな操舵角しか発生しないため、ステアリングの戻り性が悪くなりやすい。そこで、こうした高速走行時には、上記ステアリング戻し制御を強化することにより、そのステアリングの戻り性の改善を図る構成となっている。
特開2006−123827号公報
ところで、ステアリング戻し力として操舵系に付与するアシスト力(操舵反力)は、操舵角(の絶対値)が大きいほど大とするのが基本であるが、当然、その適切と考えられる値には上限がある。このため、通常、ステアリング戻し制御における補償成分(速度フィードバックを行う場合には、その操舵速度目標値)は、その適切な値の上限を超えないよう、操舵角の増大に伴う増加幅を徐々に縮小する(特許文献1、第4図参照)。或いは、図8に示すように、所定角度を超える大舵角領域においては、その上限値(−ω0又はω0)で一定とするのが一般的となっている(図8中、横軸は操舵角を、縦軸は操舵速度目標値を示す)。
しかしながら、上記従来例のように、車速とともに増大する乗算係数を演算し、これを基礎制御量に乗ずることにより、そのステアリング戻し制御を強化する構成では、上記のように車速に応じて有効舵角範囲が変化するにも関わらず、全ての操舵角領域において、その操舵速度目標値(ステアリング戻し補償量)の増大が行われることになる。そのため、図8に示すように、車速の上昇に伴い有効舵角範囲が狭小化した際には、その適切な値と考えられる上限値(−ω0又はω0)を上回る操舵速度目標値、即ちステアリング戻し補償量が演算されるという問題があり、ひいては、これが操舵フィーリングの悪化を招くおそれがある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車速や操舵角に関わらず良好なステアリングの戻り性及び操舵フィーリングを実現することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、アシスト力目標値に基づき前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段により演算される前記アシスト力目標値は、ステアリング戻し制御を実行するための補償成分を含み、該補償成分は、操舵角に基づき演算される操舵速度目標値と実際の操舵速度との偏差に基づくフィードバック制御の実行により演算されるものであって、前記制御手段は、車速に基づき前記操舵角及び前記操舵速度目標値の二軸座標系に表されるステアリング戻し特性を変更する電動パワーステアリング装置において、前記車速に基づく前記ステアリング戻し特性の変更は、該ステアリング戻し特性を表す前記二軸座標系における操舵角座標方向のみのスケーリングにより行われること、を要旨とする。
即ち、操舵角座標方向のみのスケーリングにより、操舵角の変化に対する操舵速度目標値の変化の割合が大となる、つまりその傾きは急峻となるものの、最大値自体は変化しない。従って、上記構成によれば、ステアリング戻り時に発生する操舵速度として適切と考えられる上限値を超える過大な操舵速度目標値の発生を防止しつつ、そのステアリング戻し制御を強化することができる。その結果、車速や操舵の如何に関わらず良好なステアリングの戻り性及び操舵フィーリングを実現することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、アシスト力目標値に基づき前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段により演算される前記アシスト力目標値は、ステアリング戻し制御を実行するための補償成分を含み、該補償成分は、操舵角に基づき演算されるものであって、前記制御手段は、車速に基づき前記操舵角及び前記補償成分の二軸座標系に表されるステアリング戻し特性を変更する電動パワーステアリング装置において、前記車速に基づく前記ステアリング戻し特性の変更は、該ステアリング戻し特性を表す前記二軸座標系における操舵角座標方向のみのスケーリングにより行われること、を要旨とする。
即ち、操舵角座標方向のみのスケーリングにより、操舵角の変化に対する補償成分の変化の割合が大となる、つまりその傾きは急峻となるものの、最大値自体は変化しない。従って、上記構成によれば、ステアリング戻り時に発生するステアリング戻し力として適切と考えられる上限値を超える過大な補償成分の発生を防止しつつ、そのステアリング戻し制御を強化することができる。その結果、車速や操舵の如何に関わらず良好なステアリングの戻り性及び操舵フィーリングを実現することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、前記スケーリングは、前記車速に応じた有効舵角範囲の変化に基づいて行われること、を要旨とする。即ち、適切と考えられる上限を超える過大な操舵速度目標値(補償成分)の発生は、車速の上昇に伴う有効舵角範囲の狭小化により顕在化する。従って、上記構成によれば、より効果的に当該過大な操舵速度目標値(補償成分)の発生を防止することができるようになる。
本発明によれば、 本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車速や操舵角に関わらず良好なステアリングの戻り性及び操舵フィーリングを実現することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により転舵輪6の舵角、即ち転舵角が可変することにより、車両の進行方向が変更されるようになっている。
EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えて構成される。
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、その駆動源であるモータ12がラック5と同軸に配置された所謂ラックアシスト型のEPSアクチュエータであり、モータ12が発生するモータトルクは、ボール送り機構(図示略)を介してラック5に伝達される。尚、本実施形態のモータ12は、ブラシレスモータであり、ECU11から三相(U,V,W)の駆動電力の供給を受けることにより回転する。
一方、ECU11には、トルクセンサ14や車速センサ15等、各種の状態量を検出するための複数のセンサが接続されており、同ECU11は、これらの各センサにより検出された状態量、即ち操舵トルクτ及び車速V(並びに後述する操舵角θs及び操舵速度ωs)等に基づいてアシスト力目標値(目標アシスト力)を演算する。そして、当該目標アシスト力をEPSアクチュエータ10に発生させるべく、その駆動源であるモータ12への駆動電力の供給を通じて、該EPSアクチュエータ10の作動、即ち操舵系に付与するアシスト力を制御する。
次に、本実施形態のEPSにおけるアシスト制御の態様について説明する。
図2に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するマイコン21と、そのモータ制御信号に基づいて、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12に駆動電力を供給する駆動回路22とを備えている。
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される実電流値Iを検出するための電流センサ23、及びモータ12の回転角θmを検出するための回転角センサ24が接続されている。そして、マイコン21は、これら各センサの出力信号に基づき検出されたモータ12の実電流値I及び回転角θm、並びに上記操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、駆動回路22にモータ制御信号を出力する。
尚、以下に示すマイコン21内の各制御ブロックは、同マイコン21の実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。そして、マイコン21は、所定のサンプリング周期で上記各状態量を検出し、所定周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理を実行することにより、モータ制御信号を生成する。
詳述すると、マイコン21は、EPSアクチュエータ10に発生させるべきアシスト力目標値(目標アシスト力)に対応した電流指令値Iq*を演算する電流指令値演算部25と、電流指令値演算部25により算出された電流指令値Iq*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部26とを備えている。
本実施形態の電流指令値演算部25は、目標アシスト力の基礎的制御成分である基本アシスト制御量Ias*を演算する基本アシスト制御部27と、その補償成分として、ステアリング2を中立位置(θs=0)に復帰させるためのステアリング戻し補償量Isb*を演算するステアリング戻し制御部28とを備えている。
本実施形態では、基本アシスト制御部27には、操舵トルクτ及び車速Vが入力されるようになっており、該基本アシスト制御部27は、これら操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、その操舵トルクτが大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きな基本アシスト制御量Ias*を演算する。
一方、ステアリング戻し制御部28には、車速V、操舵角θs及び操舵速度ωsが入力される。尚、本実施形態のマイコン21は、操舵角演算部29において、上記回転角センサ24により検出されるモータ12の回転角θmに基づき操舵角θsを演算するとともに、該演算された操舵角θsを微分することにより操舵速度ωsを演算する。そして、ステアリング戻し制御部28は、これらの各状態量に基づいて、上記ステアリング戻し補償量Isb*、即ちステアリング中立方向に作用するステアリング戻し力を発生させるための補償成分を演算する(ステアリング戻し制御)。
基本アシスト制御部27において演算された基本アシスト制御量Ias*、及びステアリング戻し制御部28において演算されたステアリング戻し補償量Isb*は、加算器30に入力される。そして、電流指令値演算部25は、この加算器30において基本アシスト制御量Ias*にステアリング戻し補償量Isb*を重畳することにより、目標アシスト力としての電流指令値Iq*を演算し、モータ制御信号出力部26に出力する。
モータ制御信号出力部26には、電流指令値演算部25が出力する電流指令値Iq*とともに、電流センサ23により検出された実電流値I、及び回転角センサ24により検出された回転角θmが入力される。そして、モータ制御信号出力部26は、目標アシスト力に対応する電流指令値Iq*に実電流値Iを追従させるべくフィードバック制御を実行することによりモータ制御信号を演算する。
具体的には、本実施形態では、モータ制御信号出力部26は、実電流値Iとして検出されたモータ12の相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q座標系のd,q軸電流値に変換(d/q変換)することにより、上記電流フィードバック制御を行う。
即ち、電流指令値Iq*は、q軸電流指令値としてモータ制御信号出力部26に入力され、モータ制御信号出力部26は、回転角センサ24により検出された回転角θmに基づいて相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q変換する。また、モータ制御信号出力部26は、そのd,q軸電流値及びq軸電流指令値に基づいてd,q軸電圧指令値を演算する。そして、そのd,q軸電圧指令値をd/q逆変換することにより相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を演算し、当該相電圧指令値に基づいてモータ制御信号を生成する。
そして、本実施形態のECU11は、上記のように生成されたモータ制御信号をマイコン21が駆動回路22に出力し、該駆動回路22がその当該モータ制御信号に基づく三相の駆動電力をモータ12に供給することにより、EPSアクチュエータ10の作動を制御する構成となっている。
[ステアリング戻し制御]
次に、本実施形態におけるステアリング戻し制御部の構成、及びそのステアリング戻し制御の態様について説明する。
図2に示すように、本実施形態のステアリング戻し制御部28は、操舵速度目標値演算部31を備えており、同操舵速度目標値演算部31は、操舵角θs及び車速Vに基づいて操舵速度目標値ωs*を演算する。
具体的には、図3に示すように、本実施形態のステアリング戻し制御部28は、検出される操舵角θsの絶対値が大きいほど、より大きな絶対値を有し且つ当該操舵角θsとは符号の異なる操舵速度目標値ωs*を演算する(同図中、横軸は操舵角θsを、縦軸は操舵速度目標値ωs*を示す)。即ち、ステアリング中立方向の操舵速度目標値ωs*を演算する。
ここで、本実施形態では、ステアリング戻し制御部28の演算する操舵速度目標値ωs*には、上限値(−ω0又はω0)が設定されている。そして、所定の角度(θ0又は−θ0)を超える大舵角領域では、その値は該上限値(−ω0又はω0)で一定となっている。尚、この場合における上限値(−ω0又はω0)は、ステアリング戻り時に発生する操舵速度ωsとして適切と考えられる値の上限に対応して設定されている。そして、その操舵速度目標値ωs*が該上限値(−ω0又はω0)で一定となる大舵角領域に対応する所定の角度(θ0又は−θ0)は、通常操舵において、現実に発生する操舵角の範囲、即ち有効舵角範囲に対応して設定されている。
操舵速度目標値演算部31において演算された操舵速度目標値ωs*は、実際の操舵速度ωsとともに減算器32に入力され、同減算器32により演算されるその偏差Δωsは、F/B制御演算部33へと出力される。そして、F/B制御演算部33は、その入力される偏差Δωsに基づいて、操舵速度目標値ωs*に実際の操舵速度ωsを追従させるべくフィードバック制御演算を実行することにより、上記ステアリング戻し補償量Isb*の基礎成分となる基礎補償量ε_sbを演算する。
また、本実施形態のステアリング戻し制御部28には、車速ゲイン演算部34が設けられており、上記基礎補償量ε_sbには、この車速ゲインKvが乗ぜられる。尚、本実施形態の車速ゲイン演算部34は、車速Vが略「0」、即ち車両が停止状態にある場合には、基礎補償量ε_sb(即ちステアリング戻し補償量Isb*)を「0」とするような車速ゲインKvを演算する。また、本実施形態のステアリング戻し制御部28は、基礎補償量ε_sbに対して、更に、フィルタ処理部36におけるフィルタ処理、及びガード処理部37におけるガード処理を実行する。そして、これら各処理が施された後の基礎補償量ε_sb´を、ステアリング戻し補償量Isb*として上記加算器30へと出力する構成となっている。
(車速に基づくステアリング戻し特性の変更)
さて、上述のように、高速走行時には、ごく小さな操舵角しか発生しないため、ステアリングの戻り性が悪くなりがちである。従って、こうした高速走行時には、上記ステアリング戻し制御を強化することが望ましい。
しかしながら、上記従来例のように、車速とともに増大する乗算係数を演算し、これを基礎制御量に乗ずることにより、そのステアリング戻し制御を強化する構成では、上記のように車速に応じて有効舵角範囲が変化するにも関わらず、全ての操舵角領域において、その操舵速度目標値(ステアリング戻し補償量)の増大が行われることになる。そのため、車速の上昇に伴い有効舵角範囲が狭小化した際には、その適切な値と考えられる上限値(−ω0又はω0)を上回る操舵速度目標値、即ちステアリング戻し補償量が演算されてしまうという問題があった(図8参照)。
この点を踏まえ、本実施形態では、操舵角θs及び操舵速度目標値ωs*の二軸座標系に表されるステアリング戻し特性を変更することにより、その車速Vに応じたステアリング戻し制御の強化を実現する。そして、当該車速Vに基づくステアリング戻し特性の変更は、そのステアリング戻し特性を表す二軸座標系における操舵角座標方向のスケーリング(拡縮)により行われる。
具体的には、図4に示すように、車速Vに応じた有効舵角範囲の変化、即ち車速Vの上昇に伴い狭小化する有効舵角範囲に合わせて、上記二軸座標系に表されるステアリング戻し特性を操舵角座標方向(図3参照、同図中左右方向)に縮小する。
即ち、こうした操舵角座標方向のスケーリングにより、その適切と考えられる上限値(−ω0又はω0)で操舵速度目標値ωs*が一定となる角度(θ0又は−θ0)は、その車速Vが速いほど、ステアリング中立位置(θs=0)側へと移動する。そして、その間の領域、即ち操舵角θsに応じて操舵速度目標値ωs*が変化する舵角領域(−θ0≦θs≦θ0)では、その操舵角θsの変化に対する操舵速度目標値ωs*の変化の割合が大、即ちその傾きがより急峻なものへと変化する。
つまり、ステアリング特性を表す二軸座標系のうち、操舵角座標方向についてのみスケーリングを行うことで、操舵速度目標値ωs*の最大値自体は変化させることなく、そのステアリング戻し制御を強化することができる。そして、本実施形態では、これにより、ステアリング戻り時に発生する操舵速度ωsとして適切と考えられる上限値(−ω0又はω0)を超える過大な操舵速度目標値ωs*の発生を防止し、車速Vや操舵角θsの如何に関わらず良好なステアリングの戻り性及び操舵フィーリングの実現を図る構成となっている。
詳述すると、図2に示すように、本実施形態の操舵速度目標値演算部31は、予め設定された所定の車速(図5参照、設定車速V0〜V6)毎に、該各車速に応じた二軸座標系における操舵角θsと操舵速度目標値ωs*との関係が記憶された複数のマップ40(図5参照、マップ番号m0〜m6)を有している。即ち、各マップ40には、上記のような操舵角座標方向のスケーリングにより求められた、各設定車速V0〜V6における最適なステアリング特性が記憶されている(図5参照)。そして、本実施形態の操舵速度目標値演算部31は、これら各マップ40及び入力される車速Vに基づいた補間演算(線形補間)を実行する。
具体的には、図5に示すように、例えば、検出された車速Vが、マップ番号m1の設定車速V1とマップ番号m2の設定車速V2の間の車速Vaである場合には、これら二つのマップを選択する。そして、下記(1)式により車速補間比αを演算し、さらに当該車速補間比αを用いた(2)式を解くことにより、その時点における操舵速度ωs及び車速Vに応じた最適な操舵速度目標値ωs*を演算する構成となっている。
α=(V−V_Lo)/(V_Hi−V_Lo) ・・・(1)
ωs*=ωs*_Lo+(ωs*_Lo−ωs*_Hi)×α ・・・(2)
但し、V_Lo:低車速側設定車速、V_Hi:高車速側設定車速、ωs*_Lo:低車速側検索値、ωs*_Hi:高車速側検索値。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)ステアリング戻し制御部28は、操舵速度目標値ωs*と実際の操舵速度ωsとの偏差Δωsに基づくフィードバック制御の実行により、ステアリング戻し補償量Isb*の基礎成分となる基礎補償量ε_sbを演算する。また、ステアリング戻し制御部28は、車速Vに基づいて、操舵角θs及び操舵速度目標値ωs*の二軸座標系に表されるステアリング戻し特性を変更する。そして、その車速Vに基づくステアリング戻し特性の変更は、当該ステアリング戻し特性を表す二軸座標系のうち、操舵角座標方向におけるスケーリング(拡縮)により行われる。
即ち、操舵角座標方向のスケーリングにより、操舵角θsの変化に対する操舵速度目標値ωs*の変化の割合が大となる、つまりその傾きは急峻となるものの、その最大値自体は変化しない。従って、上記構成によれば、ステアリング戻り時に発生する操舵速度ωsとして適切と考えられる上限値(−ω0又はω0)を超える過大な操舵速度目標値ωs*の発生を防止しつつ、そのステアリング戻し制御を強化することができる。その結果、車速Vや操舵角θsの如何に関わらず良好なステアリングの戻り性及び操舵フィーリングを実現することができるようになる。
(2)スケーリングは、前記車速に応じた有効舵角範囲の変化に基づいて行われる。即ち、上記適切と考えられる上限を超える過大な操舵速度目標値ωs*の発生は、車速の上昇に伴う有効舵角範囲の狭小化により顕在化する。従って、上記構成によれば、より効果的に当該過大な操舵速度目標値ωs*の発生を防止することができるようになる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、本発明を、操舵速度目標値ωs*と実際の操舵速度ωsとの偏差Δωsに基づくフィードバック制御の実行により、ステアリング戻し制御を実行するための補償成分であるステアリング戻し補償量Isb*(基礎補償量ε_sb)を演算する構成に適用した。しかし、これに限らず、本発明は、例えば、図6に示すように、操舵速度フィードバック制御を実行することなく、操舵角θsに基づき直接的にステアリング戻し補償量Isb*を演算するものに適用してもよい。
尚、同図中、横軸は操舵角θsを、縦軸はステアリング戻し補償量Isb*を示す。そして、縦軸上の「Isb0(−Isb0)」は、ステアリング戻り時に発生する操舵速度ωsとして適切と考えられる上限値(−ω0又はω0)に相当するステアリング戻し補償量Isb*を示している。
即ち、車速Vに応じて、操舵角θs及びステアリング戻し補償量Isb*の二軸座標系に表されるステアリング戻し特性を変更する。そして、そのステアリング戻し特性の変更は、当該ステアリング戻し特性を表す二軸座標系における操舵角座標方向のスケーリングにより行われる構成としてもよい。尚、この場合におけるステアリング戻し補償量Isb*は、その基礎成分、即ち本実施形態における基礎補償量ε_sbに相当するものであってもよいことはいうまでもない。
・本実施形態では、基礎補償量ε_sbに乗ぜられる車速ゲインKvは、車両が停止状態(略V=0)にある場合には、基礎補償量ε_sb(即ちステアリング戻し補償量Isb*)を「0」とするものであることとした。しかし、これに限らず、例えば、図7に示すように、低車速時には、大きな値(絶対値)を有するステアリング戻し補償量Isb*が出力されるように、また、高車速時には、その値(絶対値)が小さなステアリング戻し補償量Isb*が出力されるように基礎補償量ε_sbを補正する車速ゲインKvを演算する構成としてもよい。
・本実施形態では、操舵角θs及び操舵速度ωsは、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12の回転角θmに基づき演算されることとしたが、ステアリング近傍に設けられた所謂ステアリングセンサにより検出されるものであってもよい。
・本実施形態では、所定の角度(θ0又は−θ0)を超える大舵角領域では、操舵速度目標値ωs*の値がステアリング戻り時に発生する操舵速度ωsとして適切と考えられる上限値(−ω0又はω0)で一定となる構成とした(図3参照)。しかし、これに限らず、例えば、上記特許文献1(第4図)に記載のように、上限を超えないよう、操舵角の増大に伴う増加幅を徐々に縮小する構成としてもよい。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 EPSの制御ブロック図。 操舵角及び操舵速度目標値の二軸座標系に表されるステアリング戻し特性の説明図。 二軸座標系における操舵角座標方向のスケーリングによるステアリング戻し特性の変更の態様を示す説明図。 車速に基づく補間演算(線形補間)の態様を示す説明図。 操舵角及びステアリング戻し補償量の二軸座標系に表されるステアリング戻し特性の説明図。 別例の車速ゲインの特性を示す波形図。 車速の上昇に伴う有効舵角範囲の狭小化に起因する過大な操舵速度目標値の発生を示す説明図。
符号の説明
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ステアリング、6…転舵輪、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、21…マイコン、22…駆動回路、25…電流指令値演算部、27…基本アシスト制御部、28…ステアリング戻し制御部、30…加算器、31…操舵速度目標値演算部、32…減算器、33…F/B制御演算部、Iq*…電流指令値、Ias*…基本アシスト制御量、Isb*…ステアリング戻し補償量、ε_sb,ε_sb´…基礎制御量、V…車速、θs…操舵角、ωs…操舵速度、ωs*…操舵速度目標値、Δωs…偏差、ω0(−ω0)…上限値。

Claims (3)

  1. 操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、アシスト力目標値に基づき前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段により演算される前記アシスト力目標値は、ステアリング戻し制御を実行するための補償成分を含み、該補償成分は、操舵角に基づき演算される操舵速度目標値と実際の操舵速度との偏差に基づくフィードバック制御の実行により演算されるものであって、前記制御手段は、車速に基づき前記操舵角及び前記操舵速度目標値の二軸座標系に表されるステアリング戻し特性を変更する電動パワーステアリング装置において、
    前記車速に基づく前記ステアリング戻し特性の変更は、該ステアリング戻し特性を表す前記二軸座標系における操舵角座標方向のみのスケーリングにより行われること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、アシスト力目標値に基づき前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段により演算される前記アシスト力目標値は、ステアリング戻し制御を実行するための補償成分を含み、該補償成分は、操舵角に基づき演算されるものであって、前記制御手段は、車速に基づき前記操舵角及び前記補償成分の二軸座標系に表されるステアリング戻し特性を変更する電動パワーステアリング装置において、
    前記車速に基づく前記ステアリング戻し特性の変更は、該ステアリング戻し特性を表す前記二軸座標系における操舵角座標方向のみのスケーリングにより行われること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記スケーリングは、前記車速に応じた有効舵角範囲の変化に基づいて行われること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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