JP2009143490A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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好洋 板津
Isao Namikawa
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Abstract

【課題】簡素な構成にて、ステアリング戻し制御の停止及び復帰時においても良好な操舵フィーリングを維持することのできる電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】マイコン21は、操舵角θsの異常を示す舵角異常信号S_stが「ON」となった場合には、ステアリング戻し制御を停止するとともに、該停止に伴う戻し方向の制御成分の消滅に合わせて、その演算する基本アシスト制御量Ias*を低減する。また、マイコン21は、基本アシスト制御量Ias*を演算する前段階において、該演算の基礎となる検出された操舵トルクτを、その操舵状態(ステアリング操作の状態)に応じて補正する機能を有している(操舵トルクシフト制御)。そして、上記操舵角θsの異常が検知され、且つ操舵状態が「切り戻し」であると判定した場合には、基本アシスト制御量Ias*が更に低減される方向に操舵トルクτを補正するような操舵トルクシフト制御を実行する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とした電動パワーステアリング装置(EPS)がある。そして、通常、こうしたEPSでは、より優れた操舵フィーリングを実現すべく様々な補償制御が行われている。
このような補償制御の一つとして、例えば、ステアリング中立位置(操舵角ゼロ、通常は直進方向に対応する)への円滑な復帰を実現するためのステアリング戻し制御(ハンドル戻し補償制御)がある。
即ち、EPSの場合、そのシステムの摩擦、例えば減速機構(ボール螺子やウォーム&ホイール等)の摩擦等によって、その中立位置まで円滑にステアリングが戻らない可能性がある。そこで、ステアリング中立方向に作用する補償成分(ステアリング戻し制御量)を演算し、これをパワーアシスト制御の基礎成分である基本アシスト制御量に重畳する。そして、これにより、速やかなステアリング中立位置への復帰を実現して良好なステアリング戻り性を確保することが可能になる(例えば、特許文献1参照)。
また、運転者によるステアリング操作の状態(操舵状態)には、大別すると、操舵角を増大させる「切り込み」、その操舵角を維持する「保舵」、及び操舵角を減少させる「切り戻し」の3つの操舵状態があるが、実際の操舵フィーリングは、これらの各操舵状態毎に変化する。そして、特に「保舵」及び「保舵からの移行」時は、その操舵フィーリングの変化がより顕著に現れる瞬間の一つである。
この点に着目し、例えば、特許文献2に記載のEPSは、上記基本アシスト制御量を演算する前段階において、その演算の基礎となる操舵トルクの値を、上記操舵状態に応じて補正する(操舵トルクシフト制御)。即ち、基本アシスト制御量を演算する前段階における操舵トルクを補正する構成とすることで、簡素な構成にて、その操舵状態に応じた異なるアシスト特性を実現することが可能になる。具体的には、「保舵」時及び「切り戻し」時には、その基本アシスト制御量(の絶対値)が大きくなるように、当該操舵トルクシフト制御を実行する。そして、これにより、「保舵」に要する運手者の負担を軽減するとともに、「保舵」から「切り戻し」への移行時における違和感の発生を抑えて、より良好な操舵フィーリングの実現を図る構成となっている。
特開2002−145094号公報 特開2006−142932号公報
ところで、上述のように、上記ステアリング戻し制御は、基本的に操舵角を常に「ゼロ」とするように、その制御量を出力する制御である。従って、当該ステアリング戻し制御には、その中点位置を検知可能な所謂ステアリングセンサ(ABZ相パルスセンサ等)により検出される操舵角を用いるのが一般的となっている。
しかしながら、このような構成では、当該ステアリングセンサの故障等を要因とする舵角異常の発生によりステアリング中立位置の検知ができなくなった場合には、その正確なステアリング戻し制御ができなくなるという問題がある。具体的には、その復帰位置が、本来の中立位置からずれることにより、車両偏向が生ずるおそれがある。そのため、このような舵角異常発生時には、多くの場合、上記特許文献1に記載のEPSのように、そのステアリング戻し制御の実行を停止する構成となっている。
さて、上記ステアリング戻し制御の停止に伴う戻し方向の制御成分の消滅により、見かけ上、そのアシスト力は過剰となってしまうことになる。つまり、その操舵フィーリングが変化、特に「切り込み」時においては、所謂「ステアリングが軽い」という印象を与えてしまうことになる。従って、こうしたステアリング戻し制御停止時には、その戻し方向の制御成分の消滅に合わせて、その基本アシスト制御量を低減するような補正制御を行うことが望ましい。
しかしながら、このようなステアリング戻し制御の停止に伴う基本アシスト制御量の補正は、多くの場合「切り込み」時に最適化したものとなっており、必ずしも「切り戻し」時において適切であるとはいえないのが実情である。
即ち、「切り戻し」時においては、その戻し方向の制御成分の消滅により、ステアリングの戻り性が悪くなる。このため、上記「ステアリングの軽さ」を抑制する程度のステアリング戻し制御量の低減では、比較的ゆっくりとした「切り戻し」時における良好な戻り性が確保できない。つまり、ステアリングが円滑に中立位置へと復帰しないという問題がある。そして、その良好な戻り性を確保すべく、単純に基本アシスト制御量の低減幅を拡大すれば、「切り込み」時におけるアシスト力が不足することによって、所謂「ステアリングの重さ」を感じさせるという相反する問題があり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、簡素な構成にて、ステアリング戻し制御の停止及び復帰時においても良好な操舵フィーリングを維持することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、該操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、検出される操舵トルクに基づき演算される基本アシスト成分に、ステアリングセンサにより検出される操舵角に基づき演算されるステアリング戻し成分を重畳することにより、前記操舵力補助装置に発生させるべき目標アシスト力を演算するとともに、前記モータの回転角速度及び前記操舵トルクに基づき判定される前記ステアリング操作の状態に応じて、前記基本アシスト成分の演算に用いる前記操舵トルクを補正する操舵トルクシフト制御を実行し、且つ前記検出される操舵角の異常を検知した際には、前記ステアリング戻し成分の重畳を停止するとともに前記演算される基本アシスト成分を低減する電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、前記検出される操舵トルクの方向及び前記回転角速度の方向が不一致である場合に、前記ステアリング操作の状態が切り戻しであると判定するものであって、前記操舵角の異常が検知され、且つ前記ステアリング操作の状態が切り戻しであると判定した場合には、前記基本アシスト成分が更に低減されるような前記操舵トルクシフト制御を実行すること、を要旨とする。
上記構成によれば、その操舵トルクシフト制御により、「切り戻し」時におけるステアリング戻り性を調節することで、ステアリング戻し制御の停止に伴う基本アシスト制御量の低減をその停止の影響が最も顕著となる「切り込み」時に最適化しつつ、「切り戻し」時には、当該「切り戻し」に合わせたその更なる低減が可能になる。その結果、「切り込み」時における所謂「ステアリングの重さ」を感じさせることなく、良好なステアリング戻り性を確保して、ステアリング戻し制御の停止時においても、優れた操舵フィーリングを実現することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、前記操舵トルクの値に基づくマップ演算より求められる基礎シフト量に基づいて前記操舵トルクシフト制御を実行するための補正量を演算するものであって、通常時に対応する第1のマップと、該第1のマップよりも小さな前記基礎シフト量が演算されるように設定された非通常時に対応する第2のマップとを有し、前記ステアリング戻し成分の重畳が停止された場合には、前記第2のマップに基づいて、前記基礎シフト量を演算すること、を要旨とする。
上記構成によれば、簡素な構成にて、ステアリング戻し制御が停止された際の「切り戻し」時における精度の高いアシスト力低減を行うことができる。
請求項3に記載の発明は、前記制御手段は、前記第1のマップに基づき演算される通常時基礎シフト量と前記第2のマップに基づき演算される非通常時基礎シフト量とを合成することにより前記基礎シフト量を演算するとともに、前記操舵角の異常が検知された場合には、前記合成する通常時基礎シフト量の比率を漸次低減し、及び前記非通常時基礎シフト量の比率を漸次増大すること、を要旨とする。
上記構成によれば、円滑に、その基礎シフト量演算に用いるマップ、即ち第1のマップと第2のマップとの切り替えを行うことができる。その結果、ステアリング戻し制御の停止時においても、より良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
請求項4に記載の発明は、前記ステアリング戻し成分の重畳停止は、前記操舵角の異常検知後、前記重畳するステアリング戻し成分を漸次低減することにより行われるものであって、前記合成する通常時基礎シフト量及び非通常時基礎シフト量の各比率の徐変は、前記重畳するステアリング戻し成分の漸次低減に対応して行われること、を要旨とする。
上記構成によれば、ステアリング戻し制御を停止する移行中においても、違和感を与えることなく、良好な操舵フィーリングを維持することができるようになる。
請求項5に記載の発明は、前記制御手段は、前記検出される操舵角が正常な値に復帰した場合には、前記ステアリング戻し成分の重畳を再開するものであって、前記操舵角の復帰時には、前記合成する非通常時基礎シフト量の比率を漸次低減し、及び前記通常時基礎シフト量の比率を漸次増大すること、を要旨とする。
上記構成によれば、上記請求項3の構成と同様、円滑に、その基礎シフト量演算に用いるマップ、即ち第1のマップと第2のマップとの切り替えを行うことができる。その結果、ステアリング戻し制御の復帰時においても、より良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
請求項6に記載の発明は、前記ステアリング戻し成分の重畳再開は、前記操舵角の復帰後、前記重畳するステアリング戻し成分を漸次増大することにより行われるものであって、前記合成する通常時基礎シフト量及び非通常時基礎シフト量の各比率の徐変は、前記重畳するステアリング戻し成分の漸次増大に対応して行われること、を要旨とする。
上記構成によれば、ステアリング戻し制御の復帰中においても、違和感を与えることなく、良好な操舵フィーリングを維持することができるようになる。
本発明によれば、簡素な構成にて、ステアリング戻し制御の停止及び復帰時においても良好な操舵フィーリングを維持することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により転舵輪6の舵角、即ち転舵角が可変することにより、車両の進行方向が変更されるようになっている。
EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、その駆動源であるモータ12がラック5と同軸に配置された所謂ラックアシスト型のEPSアクチュエータであり、モータ12が発生するモータトルクは、ボール送り機構(図示略)を介してラック5に伝達される。尚、本実施形態のモータ12は、ブラシレスモータであり、ECU11から三相(U,V,W)の駆動電力の供給を受けることにより回転する。
一方、ECU11には、トルクセンサ14、車速センサ15、及びステアリングセンサ(操舵角センサ)16が接続されており、同ECU11は、これらの各センサの出力信号に基づいて、操舵トルクτ及び車速V、並びに操舵角θs(及び操舵速度ωs)を検出する。尚、本実施形態のステアリングセンサ16には、周知のABZ相パルスセンサが採用されており、その出力信号に基づいてステアリング2の中立位置を検出することが可能となっている。また、操舵速度ωsは、その操舵角θsを微分することにより求められる。
そして、ECU11は、その検出される操舵トルクτ及び車速V、並びに操舵角θs(操舵速度ωs)に基づいて目標アシスト力を演算し、当該目標アシスト力をEPSアクチュエータ10に発生させるべく、その駆動源であるモータ12への駆動電力の供給を通じて、該EPSアクチュエータ10の作動、即ち操舵系に付与するアシスト力を制御する。
次に、本実施形態のEPSにおけるアシスト制御の態様について説明する。
図2は、本実施形態のEPSの制御ブロック図である。同図に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するマイコン21と、そのモータ制御信号に基づいて、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12に駆動電力を供給する駆動回路22とを備えて構成されている。
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される実電流値Iを検出するための電流センサ23、及びモータ12の回転角θを検出するための回転角センサ24が接続されている。そして、マイコン21は、これら各センサの出力信号に基づき検出されたモータ12の実電流値I及び回転角θ、並びに上記操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、駆動回路22にモータ制御信号を出力する。
尚、以下に示す制御ブロックは、マイコン21が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。そして、同マイコン21は、所定のサンプリング周期で上記各状態量を検出し、所定周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理を実行することにより、モータ制御信号を生成する。
詳述すると、本実施形態のマイコン21は、EPSアクチュエータ10に発生させるべき目標アシスト力に対応した電流指令値Iq*を演算する電流指令値演算部25と、電流指令値演算部25により算出された電流指令値Iq*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部26とを備えている。
本実施形態では、電流指令値演算部25は、目標アシスト力の基礎的制御成分である基本アシスト制御量Ias*を演算する基本アシスト制御部27と、その補償成分として、ステアリング2を中立位置(θs=0)に復帰させるためのステアリング戻し成分、即ちステアリング戻し制御量Isb*を演算するステアリング戻し制御部28とを備えている。
基本アシスト制御部27には、操舵トルクτ(τ´)及び車速Vが入力されるようになっており、該基本アシスト制御部27は、これら操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、その操舵トルクτ(の絶対値)が大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きな基本アシスト制御量Ias*を演算する(同じく絶対値、図3参照)。
一方、本実施形態のステアリング戻し制御部28には、車速V、操舵角θs及び操舵速度ωsが入力される。そして、ステアリング戻し制御部28は、これらの各状態量に基づいて、上記ステアリング戻し制御量Isb*、即ちステアリング中立方向に作用するステアリング戻し力を発生させるための補償成分を演算する(ステアリング戻し制御)。
具体的には、本実施形態のステアリング戻し制御部28は、上記ステアリングセンサ16(図1参照)により検出される操舵角θsに基づき演算される操舵速度目標値ωs*に実際の操舵速度ωsを追従させるべくフィードバック制御の実行によりステアリング戻し制御量Isb*を演算する。
即ち、ステアリング戻し制御部28に入力された操舵角θsは、操舵速度目標値演算部29へと入力され、同操舵速度目標値演算部29において、その操舵角θsの絶対値が大きいほど(大舵角であるほど)、より大きな絶対値を有する操舵速度目標値ωs*が演算される(図4参照)。次に、その操舵速度目標値ωs*は、検出される操舵速度ωsとともに減算器30に入力され、同減算器30において、操舵速度目標値ωs*と実際の操舵速度ωsとの間の偏差Δωsが算出される。そして、F/B制御演算部31において、その偏差Δωsに所定のゲインを乗ずることにより、ステアリング戻し制御量Isb*の基礎成分である基礎制御量εsbが演算される。
また、車速Vは、車速ゲイン演算部32に入力され、同車速ゲイン演算部32において、その車速Vが大きいほど、より大きな車速ゲインKv1が演算される(図5参照)。そして、ステアリング戻し制御部28は、乗算器33において、上記F/B制御演算部31により演算された基礎制御量εsbに、その車速ゲインKv1を乗じた値をステアリング戻し制御量Isb*として出力する構成となっている。
上記基本アシスト制御部27において演算された基本アシスト制御量Ias*、及びステアリング戻し制御部28において演算されたステアリング戻し制御量Isb*は、加算器34へと入力される。そして、電流指令値演算部25は、この加算器34において基本アシスト制御量Ias*にステアリング戻し制御量Isb*を重畳することにより、目標アシスト力としての電流指令値Iq*を演算する。
モータ制御信号出力部26には、電流指令値演算部25により演算された電流指令値Iq*とともに、電流センサ23により検出された実電流値I、及び回転角センサ24により検出されたモータ12の回転角θが入力される。そして、モータ制御信号出力部26は、目標アシスト力に対応する電流指令値Iq*に実電流値Iを追従させるべく電流フィードバック制御を実行することによりモータ制御信号を演算する。
具体的には、本実施形態では、モータ制御信号出力部26は、実電流値Iとして検出されたモータ12の相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q座標系のd,q軸電流値に変換(d/q変換)することにより、上記電流フィードバック制御を行う。
即ち、電流指令値Iq*は、q軸電流指令値としてモータ制御信号出力部26に入力される。また、モータ制御信号出力部26は、回転角センサ24により検出された回転角θに基づいて相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q変換し、そのd,q軸電流値及びq軸電流指令値に基づいてd,q軸電圧指令値を演算する。そして、そのd,q軸電圧指令値をd/q逆変換することにより相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を演算し、当該相電圧指令値に基づいてモータ制御信号を生成する。
そして、本実施形態のECU11は、上記のように生成されたモータ制御信号をマイコン21が駆動回路22に出力し、該駆動回路22がそのモータ制御信号に基づく三相の駆動電力をモータ12に供給することにより、EPSアクチュエータ10の作動を制御する構成となっている。
[操舵トルクシフト制御]
次に、本実施形態のマイコン21(電流指令値演算部25)により実行される操舵トルクシフト制御の態様について説明する。
上述のように、実際の操舵フィーリングは、操舵角を増大させる「切り込み」、その操舵角を維持する「保舵」、及び操舵角を減少させる「切り戻し」の3つの操舵状態(ステアリング操作の状態)毎に変化する。この点を踏まえ、本実施形態のマイコン21は、上記基本アシスト制御量Ias*を演算する前段階において、該演算の基礎となる検出された操舵トルクτを、その操舵状態に応じて補正する機能を有している(操舵トルクシフト制御)。
詳述すると、本実施形態の電流指令値演算部25には、操舵トルクシフト制御部35が設けられており、同操舵トルクシフト制御部35には、操舵トルクτに加え、車速V、及びモータ12の回転角速度ωが入力される。そして、基本アシスト制御部27には、この操舵トルクシフト制御部35による操舵トルクシフト制御が実行された後の操舵トルクτ´が入力される構成となっている。
さらに詳述すると、本実施形態の操舵トルクシフト制御部35は、操舵トルクτに基づいて、その操舵トルクシフト制御の基礎成分である基礎シフト量εts_bの演算を行う基礎シフト演算部36を備えている。そして、同基礎シフト演算部36は、入力される操舵トルクτ(の絶対値)が大きいほど、より大きな絶対値を有する基礎シフト量εts_bを演算する(図6参照)。尚、本実施形態では、その基礎シフト演算は、操舵トルクτと基礎シフト量εts_bとが関連付けられたマップに基づくマップ演算により実行される。そして、この場合において、その入力される操舵トルクτと出力される基礎シフト量εts_bとは同一の符号を有する設定となっている。
また、操舵トルクシフト制御部35は、遷移係数Kssを演算する遷移係数演算部37を備えており、同遷移係数演算部37には、操舵トルクτ及びモータ12の回転角速度ωが入力される。そして、遷移係数演算部37は、その入力される操舵トルクτの方向及び回転角速度ωに基づいて、上記の各操舵状態にそれぞれ対応した遷移係数Kssを演算する。
具体的には、本実施形態の遷移係数演算部37は、図7(a)(b)に示されるような操舵トルクτの方向(τ>0,τ<0)及び回転角速度ωと遷移係数Kssとが関連付けられたマップ37aを用いたマップ演算の実行により遷移係数Kssを演算する。
より具体的には、図7(a)に示すように、上記マップ37aにおいて、操舵トルクτの符号が「正(τ>0)」である場合、モータ12の回転角速度ωが「0」近傍の所定速度「ω0」以上の領域が「切り込み」に対応する領域に設定され、所定速度「-ω0」以下の領域が「切り戻し」に対応する領域に設定されている。
一方、図7(b)に示すように、上記マップ37aにおいて、操舵トルクτの符号が「負(τ<0)」である場合は、反対に、モータ12の回転角速度ωが「0」近傍の所定速度「ω0」以上の領域が「切り戻し」に対応する領域に設定され、所定速度「-ω0」以下の領域が「切り込み」に対応する領域に設定されている。
即ち、本実施形態の遷移係数演算部37は、基本的に、操舵トルクτの方向(符号)とモータ12の回転角速度ωの方向(符号)とが一致する場合を「切り込み」、不一致である場合を「切り戻し」とし、「ω=0」近傍の所定範囲(-ω0<ω<ω0)を「保舵」として判定する。
そして、上記のように構成されたマップ37aに基づいて、その入力される回転角速度ωが「切り込み」に対応する領域にある場合(τ>0且つω≧ω0、又はτ<0且つω≦-ω0)には「0」を、「切り戻し」に対応する領域にある場合(τ>0且つω≦-ω0、又はτ<0且つω≧ω0)には「1」を、遷移係数Kssとして演算する構成となっている。
尚、回転角速度ωが「保舵」に対応する領域にある場合(-ω0<ω<ω0)、遷移係数Kssは、その回転角速度ωに応じ、「切り戻し」側から「切り込み」側に向かって、「1」から「0」へと減少する方向に変化するように設定されている。
本実施形態では、上記基礎シフト演算部36により演算された基礎シフト量εts_b、及び遷移係数演算部37により演算された遷移係数Kssは、乗算器38に入力される。また、この乗算器38には、車速ゲイン演算部39により演算された車速ゲインKv2が入力される。尚、本実施形態の車速ゲイン演算部39は、入力される車速Vが大きいほど、より大きな車速ゲインKv2を演算する構成となっている(図8参照)。
即ち、本実施形態では、この乗算器38において、上記基礎シフト量εts_b、遷移係数Kss、及び車速ゲインKv2を乗算することにより、操舵トルクシフト制御を実行するための補正量である操舵トルクシフト制御量εtsが演算される。そして、操舵トルクシフト制御部35は、加算器40において、この操舵トルクシフト制御量εtsを操舵トルクτに重畳することにより、操舵トルクシフト制御を実行し、当該操舵トルクシフト制御実行後の操舵トルクτ´を基本アシスト制御部27へと出力する構成となっている。
つまり、本実施形態では、通常時、操舵状態が「保舵」又は「切り戻し」である場合には、その重畳により基本アシスト制御量Ias*を増加するような操舵トルクシフト制御量εtsが演算される。そして、その操舵状態が「切り込み」である場合には、操舵トルクシフト制御量εtsは「0」となり、これにより、過剰アシストの発生による所謂「ステアリングの軽さ」の発生を抑制する構成となっている。
[ステアリング戻し制御停止/復帰時におけるアシスト補正制御]
次に、本実施形態における上記ステアリング戻し制御の停止時、及びその復帰時におけるアシスト補正制御の態様について説明する。
上述のように、舵角異常の発生によりステアリング中立位置の検知ができなくなった場合、正確なステアリング戻し制御ができなくなることから、このような場合には、そのステアリング戻し制御を停止することが望ましい。
これに対応すべく、本実施形態のEPS1においても、そのECU11(マイコン21)には、そのステアリングセンサ16の異常、即ち当該ステアリングセンサ16により検出される操舵角θsの異常を示す舵角異常信号S_stが入力されるようになっている(図1及び図2参照)。そして、当該舵角異常信号S_stが「ON」となった場合には、マイコン21が、そのステアリング戻し制御を停止する構成となっている。
尚、本実施形態では、ステアリング戻し制御の停止時には、ステアリング戻し制御部28は、その演算するステアリング戻し制御量Isb*をゼロ(Isb*=0)まで漸次低減する。そして、これにより、基本アシスト制御量Ias*に対するステアリング戻し制御量Isb*の重畳を徐々に停止する構成となっている。
また、こうしたステアリング戻し制御の停止時には、その戻し方向の制御成分の消滅により、見かけ上、そのアシスト力は過剰となってしまうことになる。つまり、その操舵フィーリングが変化、特に「切り込み」時においては、所謂「ステアリングが軽い」という印象を与えてしまうことになる。従って、こうしたステアリング戻し制御の停止時には、その戻し方向の制御成分の消滅に合わせて、その基本アシスト制御量Ias*を低減するような補正制御を行うことが望ましい。
そこで、本実施形態では、その基本アシスト制御部27には、その基本アシスト制御演算に用いるマップとして、通常時に対応する第1制御マップ41と、ステアリング戻し制御停止時に対応する第2制御マップ42とが備えられている(図2参照)。また、本実施形態の基本アシスト制御部27には、舵角異常信号S_stが入力されるようになっている(図1及び図2参照)。そして、基本アシスト制御部27は、当該入力される舵角異常信号S_stが「ON」となった場合には、その基本アシスト制御に用いるマップを、上記第1制御マップ41から第2制御マップ42へと切り替える。
具体的には、上述の図3に示される設定は、第1制御マップ41のものであり、第2制御マップ42は、同一の値を有する操舵トルクτ及び車速Vであっても、上記第1制御マップ41との比較において、より小さな絶対値を有する基本アシスト制御量Ias*が演算されるように設定されている(図9参照)。
尚、図9は、車速Vがともに所定車速V0である場合(V=V0)において両者を比較したものであり、同図中、実線に示される曲線Lが第1制御マップ41の設定、破線に示される曲線Mが第2制御マップ42の設定を示すものとなっている。
そして、ステアリング戻し制御の停止時には、上記第2制御マップ42に基づいて、基本アシスト制御量Ias*を演算することにより、その戻し方向の制御成分の消滅に合わせた基本アシスト制御量Ias*の低減を実行する構成となっている。
しかしながら、こうしたステアリング戻し制御の停止に伴う基本アシスト制御量Ias*の低減を「切り込み」時に最適化した場合、「切り戻し」時、特に比較的ゆっくりとした「切り戻し」時におけるステアリングの戻り性が悪くなり、その良好な戻り性が確保できない、即ちステアリングが円滑に中立位置へと復帰しないという問題がある。そして、「切り戻し」時に合わせて、単純に基本アシスト制御量Ias*の低減幅を拡大すれば、「切り込み」時におけるアシスト力の不足によって、所謂「ステアリングの重さ」を感じさせるという相反する問題がある。
この点を踏まえ、ステアリングセンサ16により検出された操舵角θsの異常が検知され、且つその操舵状態(ステアリング操作の状態)が「切り戻し」である場合には、上記操舵トルクシフト制御により、その「切り戻し」時におけるステアリング戻り性を調節する。具体的には、その基本アシスト制御量Ias*が更に低減されるような操舵トルクシフト制御を実行する。そして、これにより、「切り込み」時における所謂「ステアリングの重さ」を感じさせることなく、良好なステアリング戻り性を確保して、ステアリング戻し制御の停止時においても、優れた操舵フィーリングの実現を図る構成となっている。
詳述すると、図10に示すように、本実施形態の操舵トルクシフト制御部35における基礎シフト演算部36は(図2参照)、その基礎シフト量εts_bのマップ演算に用いるマップとして、通常時に対応する第1のマップとしての第1制御マップ51と、非通常時に対応する第2のマップとしての第2制御マップ52とを備えている。
具体的には、上述の図6に示される設定(操舵トルクτと基礎シフト量εts_b(通常時基礎シフト量εts_ba)との関連付け)は、通常時に対応する第1制御マップ51のものであり、第2制御マップ52は、これに比して、より小さな絶対値を有する基礎シフト量εts_b(非通常時基礎シフト量εts_bb)が演算されるように設定されている。
また、本実施形態の基礎シフト演算部36には、上記操舵トルクτとともに、舵角異常信号S_stが入力されるようになっている。そして、本実施形態の操舵トルクシフト制御部35は、当該入力される舵角異常信号S_stに基づきステアリング戻し制御が停止された場合には、非通常時に対応する第2制御マップ52に基づいて、基礎シフト量εts_bを演算する。
つまり、基本アシスト制御量Ias*に対するステアリング戻し制御量Isb*の重畳が停止された場合には、この第2制御マップ52に基づいて、より小さな絶対値を有する基礎シフト量εts_b(非通常時基礎シフト量εts_bb)が演算される。そして、この基礎シフト量εts_bに対して「切り戻し」に対応する遷移係数Kss、即ち「1」(及び車速ゲインKv2)が乗ぜられることにより、通常時と符号は同一であるが、その絶対値が低減された操舵トルクシフト制御量εtsが演算される。
そして、ステアリング戻し制御の停止時には、この非通常時に対応する第2制御マップ52を用いて演算された操舵トルクシフト制御量εtsが、入力された操舵トルクτに重畳されることにより、その補正後の操舵トルクτ´の絶対値が小さくなる。即ち、当該補正後の操舵トルクτ´に基づき演算される基本アシスト制御量Ias*(の絶対値)が、更に低減されるような操舵トルクシフト制御が行われる構成となっている。
さらに詳述すると、本実施形態では、上記第1制御マップ51に基づき演算される通常時基礎シフト量εts_ba及び第2制御マップ52に基づき演算される非通常時基礎シフト量εts_bbは、ともに切替制御部53に入力され、同切替制御部53は、次の(1)式に基づいて、これら通常時基礎シフト量εts_ba及び非通常時基礎シフト量εts_bbを合成する。そして、基礎シフト演算部36は、この切替制御部53において合成された値を基礎シフト量εts_bとして出力する構成となっている。
εts_b=(εts_ba×(1−α))+(εts_bb×α) ・・・(1)
尚、「α」は、通常時基礎シフト量εts_ba及び非通常時基礎シフト量εts_bbの合成比率を規定する切替係数である。
具体的には、切替制御部53は、その入力される舵角異常信号S_stが「ON」となった場合には、上記(1)式中の切替係数αを「1」まで増大させることにより、第2制御マップ52に基づき演算される非通常時基礎シフト量εts_bbを基礎シフト量εts_bとして出力する。
つまり、本実施形態の切替制御部53は、操舵角θsの異常が検知された場合には、その合成する通常時基礎シフト量εts_baの比率を漸次低減し、及び非通常時基礎シフト量εts_bbの比率を漸次増大する。そして、これにより、円滑に、その基礎シフト量演算に用いるマップの切り替えを行う構成となっている。
より具体的には、図11に示すように、本実施形態のステアリング戻し制御部28は、その入力される舵角異常信号S_stが「OFF」から「ON」に切り替わると、その演算するステアリング戻し制御量Isb*をゼロ(Isb*=0)まで漸次低減する。そして、本実施形態の操舵トルクシフト制御部35は、このステアリング戻し制御量Isb*の漸次低減に合わせて(対応するように)、上記切替係数αを漸次増大させる、即ち通常時基礎シフト量εts_ba及び非通常時基礎シフト量εts_bbの比率を徐々に変更(徐変)する。
また、本実施形態では、舵角異常信号S_stが「ON」から「OFF」に切り替わった場合、即ちステアリングセンサ16により検出される操舵角θsが正常な値に復帰した場合には、そのステアリング戻し制御量Isb*の重畳を再開、即ちステアリング戻し制御を復帰させる。そして、この復帰時においては、その基礎シフト量演算に用いるマップを、停止時に用いた第2制御マップ52から、再び通常時に対応する第1制御マップ51へと切り替える。
具体的には、本実施形態の切替制御部53は、操舵角θsの正常復帰が検知された場合には、異常検出時とは反対に、その合成する非通常時基礎シフト量εts_bbの比率を漸次低減し、及び通常時基礎シフト量εts_baの比率を漸次増大する。そして、これにより、円滑に、その基礎シフト量演算に用いるマップの切り替えを行う構成となっている。
より具体的には、図12に示すように、本実施形態のステアリング戻し制御部28は、その入力される舵角異常信号S_stが「ON」から「OFF」に切り替わると、その演算するステアリング戻し制御量Isb*を漸次増大する(通常時の出力レベルまで)。そして、本実施形態の操舵トルクシフト制御部35は、このステアリング戻し制御量Isb*の漸次増大に合わせて(対応するように)、上記切替係数αを漸次低減させる、即ち通常時基礎シフト量εts_ba及び非通常時基礎シフト量εts_bbの比率を徐々に変更(徐変)する。
そして、これにより、ステアリング戻し制御の停止時及びその復帰時においても、その良好な操舵フィーリングを維持することが可能となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)マイコン21は、操舵角θsの異常を示す舵角異常信号S_stが「ON」となった場合には、ステアリング戻し制御を停止するとともに、該停止に伴う戻し方向の制御成分の消滅に合わせて、その演算する基本アシスト制御量Ias*を低減する。また、マイコン21は、基本アシスト制御量Ias*を演算する前段階において、該演算の基礎となる検出された操舵トルクτを、その操舵状態(ステアリング操作の状態)に応じて補正する機能を有している(操舵トルクシフト制御)。そして、上記操舵角θsの異常が検知され、且つ操舵状態が「切り戻し」であると判定した場合には、基本アシスト制御量Ias*が更に低減される方向に操舵トルクτを補正するような操舵トルクシフト制御を実行する。
上記構成によれば、その操舵トルクシフト制御により、「切り戻し」時におけるステアリング戻り性を調節することで、ステアリング戻し制御の停止に伴う基本アシスト制御量Ias*の低減をその停止の影響が最も顕著となる「切り込み」時に最適化しつつ、「切り戻し」時には、該「切り戻し」に合わせた更なる低減が可能になる。その結果、「切り込み」時における所謂「ステアリングの重さ」を感じさせることなく、良好なステアリング戻り性を確保して、ステアリング戻し制御の停止時においても、優れた操舵フィーリングを実現することができるようになる。
(2)操舵トルクシフト制御部35は、通常時に対応する第1制御マップ51と、該第1制御マップ51を用いた場合(通常時基礎シフト量εts_ba)よりも絶対値の小さな基礎シフト量εts_b(非通常時基礎シフト量εts_bb)が演算されるように設定された非通常時に対応する第2制御マップ52とを有する。そして、基本アシスト制御量Ias*に対するステアリング戻し制御量Isb*の重畳が停止された場合には、上記第2制御マップ52に基づいて、基礎シフト量εts_bを演算する。
上記構成によれば、簡素な構成にて、ステアリング戻し制御が停止された際の「切り戻し」時における精度の高いアシスト力低減を行うことができる。
(3)基礎シフト演算部36(切替制御部53)は、通常時基礎シフト量εts_ba及び非通常時基礎シフト量εts_bbを合成した値を基礎シフト量εts_bとして出力する。そして、切替制御部53は、舵角異常信号S_stが「OFF」から「ON」、即ち操舵角θsの異常が検知された場合には、その合成する通常時基礎シフト量εts_baの比率を漸次低減し、及び非通常時基礎シフト量εts_bbの比率を漸次増大する。
上記構成によれば、円滑に、その基礎シフト量演算に用いるマップ、即ち第1制御マップ51と第2制御マップ52との切り替えを行うことができる。その結果、ステアリング戻し制御の停止時においても、より良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
(4)マイコン21(ステアリング戻し制御部28)は、舵角異常信号S_stが「OFF」から「ON」に切り替わると、その演算するステアリング戻し制御量Isb*をゼロ(Isb*=0)まで漸次低減する。そして、操舵トルクシフト制御部35(切替制御部53)は、そのステアリング戻し制御量Isb*の漸次低減と対応するように、上記切替係数αを漸次増大させる、即ち通常時基礎シフト量εts_ba及び非通常時基礎シフト量εts_bbの比率を徐変(徐々に変更)する。
上記構成によれば、ステアリング戻し制御を停止する移行中においても、違和感を与えることなく、良好な操舵フィーリングを維持することができるようになる。
(5)マイコン21は、舵角異常信号S_stが「ON」から「OFF」に切り替わった場合、即ちステアリングセンサ16により検出される操舵角θsが正常な値に復帰した場合には、そのステアリング戻し制御量Isb*の重畳を再開する。そして、舵角異常信号S_stが「ON」から「OFF」、即ちステアリングセンサ16により検出される操舵角θsが正常な値に復帰した場合には、その合成する非通常時基礎シフト量εts_bbの比率を漸次低減し、及び通常時基礎シフト量の比率を漸次増大する。
上記構成によれば、上記(3)と同様、円滑に、その基礎シフト量演算に用いるマップ、即ち第1制御マップ51と第2制御マップ52との切り替えを行うことができる。その結果、ステアリング戻し制御の復帰時においても、より良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
(6)ステアリング戻し制御部28は、舵角異常信号S_stが「ON」から「OFF」に切り替わると、その演算するステアリング戻し制御量Isb*を漸次増大する。そして、操舵トルクシフト制御部35は、このステアリング戻し制御量Isb*の漸次増大に合わせて(対応するように)、上記切替係数αを漸次低減させる。即ち、通常時基礎シフト量εts_ba及び非通常時基礎シフト量εts_bbの比率を徐変(徐々に変更)する。
上記構成によれば、ステアリング戻し制御の復帰中においても、違和感を与えることなく、良好な操舵フィーリングを維持することができるようになる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。
尚、本実施形態と上記第1の実施形態との主たる相違点は、上記ステアリング戻し制御の停止時、及びその復帰時におけるアシスト補正制御の態様についてのみである。このため、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
上述のように、ステアリング戻し制御を停止した場合、その戻し方向の制御成分の消滅に合わせて基本アシスト制御量Ias*を低減し、その過剰アシストに起因した「切り込み」時における所謂「ステアリングの軽さ」の発生を抑制することが望ましい。そこで、上記第1の実施形態では、その基本アシスト制御部27に、通常時に対応する第1制御マップ41と、ステアリング戻し制御停止時に対応する第2制御マップ42とを設け、当該ステアリング戻し制御停止時には、その基本アシスト制御に用いるマップを、上記第1制御マップ41から第2制御マップへと切り替える構成とした。
しかしながら、このような正常時と異常時とで基本アシスト制御演算の態様を変更する構成とした場合には、膨大な記憶容量、或いは高い演算能力が必要になり、これらコストを押し上げる要因になってしまうという問題がある。そして、通常時と同様に演算された基本アシスト制御量Ias*に対して、単純に補正係数を乗ずるような補正では、その良好な操舵フィーリングを維持することができないという問題がある。
この点を踏まえ、本実施形態では、ステアリング戻し制御の停止及びその復帰時、その戻し方向の制御成分の消滅/復帰に対応するアシスト補正について、上記第1の実施形態のような基本アシスト制御部27におけるマップ切替によらず、その操舵トルクシフト制御により実行する。
具体的には、舵角異常信号S_stが「ON」且つその操舵状態が「切り込み」である場合には、基本アシスト制御量Ias*が低減される方向に操舵トルクτを補正するような操舵トルクシフト制御を実行し、舵角異常信号S_stが「オフ」となった場合(復帰時)には、そのステアリング戻し制御停止時に対応する操舵トルクシフト制御を解除する。そして、これにより、構成の複雑化や大型化を招くことなく、高度なアシスト補正を実現して、その良好な操舵フィーリングの維持を図る構成となっている。
詳述すると、図13に示すように、本実施形態の操舵トルクシフト制御部35における遷移係数演算部37は(図2参照)、その遷移係数Kssのマップ演算に用いるマップ37aとして、切り込み時における遷移係数Kssが「0」に設定された通常時に対応する第1のマップとしての第1制御マップ61と、非通常時に対応する第2のマップとしての第2制御マップ62とを備えている。尚、上述の図7(a)(b)に示される設定(操舵トルクτ及び回転角速度ωと遷移係数Kss(通常時遷移係数Kss_a)との関連付け)は、通常時に対応する第1制御マップ61のものである。また、本実施形態の遷移係数演算部37には、上記操舵トルクτ及びモータ12の回転角速度ωとともに、舵角異常信号S_stが入力されるようになっている。そして、本実施形態の操舵トルクシフト制御部35は、当該入力される舵角異常信号S_stに基づきステアリング戻し制御が停止された場合には、非通常時に対応する第2制御マップ62に基づいて、遷移係数Kssを演算する。
そして、基本アシスト制御量Ias*に対するステアリング戻し制御量Isb*の重畳が停止された場合には、この第2制御マップ62に基づき演算される遷移係数Kssにより、基本アシスト制御量Ias*が低減される方向に操舵トルクτを補正するような操舵トルクシフト制御量εtsが演算される構成となっている。
さらに詳述すると、図14(a)(b)に示すように、本実施形態の第2制御マップ62においては、その「切り込み」時(τ>0且つω≧ω0、又はτ<0且つω≦-ω0)に対応する遷移係数(非通常時遷移係数Kss_b)の値が「−1」、即ち「負」の値となるように設定されている。つまり、第2制御マップ62に基づき演算された遷移係数Kss(−1)を用いることにより、操舵トルクシフト制御量εtsは、検出される操舵トルクτとは、反対の符号を有するものとなる。
尚、回転角速度ωが「保舵」に対応する領域にある場合(-ω0<ω<ω0)、遷移係数Kssは、その回転角速度ωに応じ、「切り戻し」側から「切り込み」側に向かって、「1」から「−1」へと減少する方向に変化するように設定されている。
図13に示すように、本実施形態では、上記第1制御マップ61に基づき演算される通常時遷移係数Kss_a及び第2制御マップ62に基づき演算される非通常時遷移係数Kss_bは、ともに切替制御部63に入力され、同切替制御部63は、次の(2)式に基づいて、これら通常時遷移係数Kss_a及び非通常時遷移係数Kss_bを合成する。そして、遷移係数演算部37は、この切替制御部63において合成された値を遷移係数Kssとして出力する構成となっている。
Kss=(Kss_a×(1−α))+(Kss_b×α) ・・・(2)
尚、「α」は、上記第1の実施形態と同様の切替係数であり、これにより通常時遷移係数Kss_a及び非通常時遷移係数Kss_bの合成比率が規定される。
ここで、図13に示すように、本実施形態の切替制御部63には、上記通常時遷移係数Kss_a及び非通常時遷移係数Kss_bとともに、舵角異常信号S_stが入力されるようになっている。そして、切替制御部63は、その入力される舵角異常信号S_stが「ON」となった場合には、上記(2)式中の切替係数αを「1」まで増大させることにより、第2制御マップ62に基づき演算される非通常時遷移係数Kss_bを遷移係数Kssとして出力する。
つまり、本実施形態の切替制御部63は、操舵角θsの異常が検知された場合には、その合成する通常時遷移係数Kss_aの比率を漸次低減し、及び非通常時遷移係数Kss_bの比率を漸次増大する。そして、これにより、円滑に、その遷移係数演算に用いるマップ37aの切り替えを行う構成となっている。
具体的には、図11に示すように、舵角異常信号S_stが「OFF」から「ON」に切り替わり、その演算されるステアリング戻し制御量Isb*がゼロ(Isb*=0)まで漸次低減されると、操舵トルクシフト制御部35は、そのステアリング戻し制御量Isb*の漸次低減に合わせて(対応するように)、上記切替係数αを漸次増大させる。
一方、舵角異常信号S_stが「ON」から「OFF」に切り替わった場合、即ちステアリングセンサ16により検出される操舵角θsが正常な値に復帰した場合、遷移係数演算部37は、その遷移係数演算に用いるマップ37aを、停止時に用いた第2制御マップ62から、再び通常時に対応する第1制御マップ61へと切り替える。
具体的には、図12に示すように、舵角異常信号S_stが「ON」から「OFF」に切り替わり、その演算されるステアリング戻し制御量Isb*が漸次増大されると、操舵トルクシフト制御部35は、そのステアリング戻し制御量Isb*の漸次増大に合わせて、上記切替係数αを漸次減少させる。即ち、ステアリング戻し制御復帰時には、その合成する非通常時遷移係数Kss_bの比率を漸次低減し、及び通常時遷移係数Kss_aの比率を漸次増大する。
このように、本実施形態においても、通常時遷移係数Kss_a及び非通常時遷移係数Kss_bの合成比率の徐変は、ステアリング戻し制御量Isb*の漸次減少及び漸次増大に合わせて(対応するように)行われる。そして、これにより、円滑に、その遷移係数演算に用いるマップ37a(第1制御マップ61と第2制御マップ62と)の切り替えを実行し、ステアリング戻し制御の停止時及びその復帰時においても、優れた操舵フィーリングを維持することが可能となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)操舵トルクシフト制御部35は、操舵角θsの異常が検知され、且つ操舵状態が「切り込み」であると判定した場合には、基本アシスト制御量Ias*が低減される方向に操舵トルクτを補正するような操舵トルクシフト制御を実行する。
上記構成によれば、基本アシスト制御演算においての対応、即ち二組の三次元マップを保持する等、正常時と異常時とで基本アシスト制御演算の態様を変更する構成とした場合よりも、その要求される記憶容量や演算処理能力が大幅に小さくなる。そして、通常時と同様に演算された基本アシスト制御量Ias*に対して単純に補正係数を乗ずるような補正を行う場合よりも極めて高度な補正が可能である。また、特に、ステアリング戻し制御の停止に伴う戻し方向の制御成分の消滅に起因した所謂「ステアリングの軽さ」を感じやすい「切り込み」時に最適化したアシスト力の低減を行うことが可能であることから、「保舵」時における運転者の負担増を招くこともない。その結果、簡素な構成にて、ステアリング戻し制御の停止時においても良好な操舵フィーリングを維持することができるようになる。
(2)操舵トルクシフト制御部35は、操舵トルクτの方向(符号)及びモータ12の回転角速度ωに基づくマップ演算より求められる遷移係数Kssに、当該操舵トルクシフト制御の基礎成分である基礎シフト量εts_bを乗ずることにより、その操舵トルクシフト制御を実行するための補正量である操舵トルクシフト制御量εtsを演算する。また、操舵トルクシフト制御部35は、「切り込み」時における遷移係数Kssが「0」に設定された通常時に対応する第1制御マップ61と、同じく「切り込み」時における遷移係数Kssが「負の値(−1)」に設定された非通常時に対応する第2制御マップ62とを有する。そして、操舵トルクシフト制御部35は、基本アシスト制御量Ias*に対するステアリング戻し制御量Isb*の重畳が停止された場合には、この第2制御マップ62に基づいて遷移係数Kssの演算を実行する。
上記構成によれば、簡素な構成にて、ステアリング戻し制御が停止された際の「切り込み」時において、精度の高いアシスト力の低減を行うことができる。
(3)操舵トルクシフト制御部35は、第1制御マップ61に基づき演算される通常時遷移係数Kss_aと第2制御マップ62に基づき演算される非通常時遷移係数Kss_bとを合成した値を遷移係数Kssとして出力する。そして、操舵トルクシフト制御部35(切替制御部63)は、舵角異常信号S_stが「OFF」から「ON」、即ち操舵角θsの異常が検知された場合には、その合成する通常時遷移係数Kss_aの比率を漸次低減し、及び非通常時遷移係数Kss_bの比率を漸次増大する。
上記構成によれば、円滑に、その遷移係数演算に用いるマップ、即ち第1制御マップ61と第2制御マップ62との切り替えを行うことができる。その結果、ステアリング戻し制御の停止時においても、より良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
(4)操舵トルクシフト制御部35は、舵角異常信号S_stが「OFF」から「ON」に切り替わり、その演算するステアリング戻し制御量Isb*がゼロ(Isb*=0)まで漸次低減されると、当該ステアリング戻し制御量Isb*の漸次低減と対応するように、上記通常時遷移係数Kss_a及び非通常時遷移係数Kss_bの比率を徐変(徐々に変更)する。
上記構成によれば、ステアリング戻し制御を停止する移行中においても、違和感を与えることなく、良好な操舵フィーリングを維持することができるようになる。
(5)操舵トルクシフト制御部35(切替制御部63)は、舵角異常信号S_stが「ON」から「OFF」、即ち操舵角θsの正常復帰が検知され、ステアリング戻し制御量Isb*の重畳が再開された場合には、異常検出時とは反対に、その合成する非通常時遷移係数Kss_bの比率を漸次低減し、及び通常時遷移係数Kss_aの比率を漸次増大する。
上記構成によれば、上記(3)と同様、円滑に、その遷移係数演算に用いるマップ、即ち第1制御マップ61と第2制御マップ62との切り替えを行うことができる。その結果、ステアリング戻し制御の復帰時においても、より良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
(6)操舵トルクシフト制御部35は、操舵角θsの正常復帰に伴うステアリング戻し制御量Isb*の漸次増大に合わせて(対応するように)、上記切替係数αを漸次低減させる、即ち通常時遷移係数Kss_a及び非通常時遷移係数Kss_bの比率を徐変(徐々に変更)する。
上記構成によれば、ステアリング戻し制御の復帰中においても、違和感を与えることなく、良好な操舵フィーリングを維持することができるようになる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、本発明をラックアシスト型のEPSに具体化したが、所謂コラムアシスト型等、その他型式のEPSに適用してもよい。
・上記各実施形態では、ステアリング戻し制御部28は、操舵速度目標値ωs*に実際の操舵速度ωsを追従させるべくフィードバック制御の実行によりステアリング戻し制御量Isb*を演算することとした(操舵速度F/B)。しかし、これに限らず、例えば、操舵角θsに基づき直接的にステアリング戻し制御量Isb*を演算するもの等、操舵速度F/B以外の手法によりステアリング戻し制御を実行する構成に適用してもよい。
・上記各実施形態では、「ω=0」近傍の所定範囲(-ω0<ω<ω0)を「保舵」として判定するとした。しかしながら、この所定範囲は、検出誤差の範囲としての取り扱いであり、実質的には、検出される操舵トルクτの方向及びモータ12の回転角速度ωの方向が一致する場合に「切り込み」、不一致である場合に「切り戻し」と取り扱ってよいことはいうまでもない。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 EPSの制御ブロック図。 基本アシスト制御演算の態様を示す説明図。 操舵速度目標値演算の態様を示す説明図。 車速ゲイン演算の態様を示す説明図。 通常時における基礎シフト量演算の態様を示す説明図。 (a)(b)遷移係数演算に用いるマップ(第1制御マップ)の形態を示す説明図。 車速ゲイン演算の態様を示す説明図。 ステアリング戻し制御停止時の基本アシスト制御演算部におけるマップ切替の態様を説明する説明図。 基礎シフト演算部の概略構成図。 ステアリング戻し制御の停止移行時における舵角異常信号、ステアリング戻し制御量、及び切替係数の推移を示すタイムチャート。 ステアリング戻し制御の復帰移行時における舵角異常信号、ステアリング戻し制御量、及び切替係数の推移を示すタイムチャート。 第2の実施形態における遷移係数演算部の概略構成図。 (a)(b)第2の実施形態における遷移係数演算に用いる第2制御マップの形態を示す説明図。
符号の説明
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ステアリング、6…転舵輪、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、14…トルクセンサ、15…車速センサ、16…ステアリングセンサ、21…マイコン、22…駆動回路、25…電流指令値演算部、27…基本アシスト制御部、28…ステアリング戻し制御部、34…加算器、35…操舵トルクシフト制御部、36…基礎シフト演算部、37…遷移係数演算部、37a…マップ、38…乗算器、41,51…第1制御マップ、42,52…第2制御マップ、53…切替制御部、τ,τ´…操舵トルク、θs…操舵角、Ias*…基本アシスト制御量、Isb*…ステアリング戻し制御量、εts…操舵トルクシフト制御量、εts_b…基礎シフト量、Kss…遷移係数、Kss_a…通常時遷移係数、Kss_b…非通常時遷移係数、S_st…舵角異常信号、α…切替係数。

Claims (6)

  1. モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、該操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、検出される操舵トルクに基づき演算される基本アシスト成分に、ステアリングセンサにより検出される操舵角に基づき演算されるステアリング戻し成分を重畳することにより、前記操舵力補助装置に発生させるべき目標アシスト力を演算するとともに、前記モータの回転角速度及び前記操舵トルクに基づき判定される前記ステアリング操作の状態に応じて、前記基本アシスト成分の演算に用いる前記操舵トルクを補正する操舵トルクシフト制御を実行し、且つ前記検出される操舵角の異常を検知した際には、前記ステアリング戻し成分の重畳を停止するとともに前記演算される基本アシスト成分を低減する電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記検出される操舵トルクの方向及び前記回転角速度の方向が不一致である場合に、前記ステアリング操作の状態が切り戻しであると判定するものであって、
    前記操舵角の異常が検知され、且つ前記ステアリング操作の状態が切り戻しであると判定した場合には、前記基本アシスト成分が更に低減されるような前記操舵トルクシフト制御を実行すること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記操舵トルクの値に基づくマップ演算より求められる基礎シフト量に基づいて前記操舵トルクシフト制御を実行するための補正量を演算するものであって、
    通常時に対応する第1のマップと、該第1のマップよりも小さな前記基礎シフト量が演算されるように設定された非通常時に対応する第2のマップとを有し、
    前記ステアリング戻し成分の重畳が停止された場合には、前記第2のマップに基づいて、前記基礎シフト量を演算すること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記第1のマップに基づき演算される通常時基礎シフト量と前記第2のマップに基づき演算される非通常時基礎シフト量とを合成することにより前記基礎シフト量を演算するとともに、
    前記操舵角の異常が検知された場合には、前記合成する通常時基礎シフト量の比率を漸次低減し、及び前記非通常時基礎シフト量の比率を漸次増大すること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項3に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記ステアリング戻し成分の重畳停止は、前記操舵角の異常検知後、前記重畳するステアリング戻し成分を漸次低減することにより行われるものであって、
    前記合成する通常時基礎シフト量及び非通常時基礎シフト量の各比率の徐変は、前記重畳するステアリング戻し成分の漸次低減に対応して行われること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記検出される操舵角が正常な値に復帰した場合には、前記ステアリング戻し成分の重畳を再開するものであって、
    前記操舵角の復帰時には、前記合成する非通常時基礎シフト量の比率を漸次低減し、及び前記通常時基礎シフト量の比率を漸次増大すること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項5に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記ステアリング戻し成分の重畳再開は、前記操舵角の復帰後、前記重畳するステアリング戻し成分を漸次増大することにより行われるものであって、
    前記合成する通常時基礎シフト量及び非通常時基礎シフト量の各比率の徐変は、前記重畳するステアリング戻し成分の漸次増大に対応して行われること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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