JP5217124B2 - 多結晶シリコン膜の製造方法及び製造装置 - Google Patents

多結晶シリコン膜の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、シリコン膜の酸化を防ぎ、良好な多結晶シリコン膜を得ることができる多結晶シリコン膜の製造方法及び製造装置並びに、そうした多結晶シリコン膜を有する薄膜トランジスタ基板に関する。
薄膜トランジスタやフォトダイオード等の半導体素子の材料としては、今日、シリコンが最も多用されている。例えば、多くの大規模集積回路では単結晶シリコン基板を利用した半導体素子が形成されており、アクティブマトリックス駆動型の表示パネル等では、ガラスや合成樹脂等からなる絶縁性基板上に設けられた非晶質シリコン膜又は多結晶シリコン膜を利用した半導体素子が形成されている。
高性能の半導体素子を形成するためには単結晶シリコンを利用することが好ましいが、耐熱性の低い絶縁性基板上に単結晶シリコン膜を形成することは困難であるので、このような絶縁性基板上に高性能の半導体素子を形成しようとする場合には、多結晶シリコン膜が利用される。
絶縁性基板上に高品質の多結晶シリコン膜を形成する方法としては、減圧化学的気相蒸着法(LPCVD)、プラズマCVD(PECVD)法、スパッタ法等によって先ず非晶質シリコン膜を成膜し、この非晶質シリコン膜に熱アニール又はレーザーアニールを施して多結晶化するという方法が知られている。絶縁性基板の耐熱温度が550℃程度より低い場合は、通常、絶縁性基板上にPECVD法又はスパッタ法によって非晶質シリコン膜を成膜し、この非晶質シリコン膜にレーザーアニールを施して多結晶化する方法が採用されている。
PECVD法で成膜される非晶質シリコン膜は、水素化非晶質シリコン膜であり、比較的多量の水素を含有している。この水素化非晶質シリコン膜は、水素によってダングリングボンドが終端されているので化学的に安定であるという点で好ましいものではあるが、レーザーアニール時に水素が放出されて膜表面があれるため、膜中の水素を放出させる脱水素処理を予め行うことが望まれる。この脱水素処理は、例えば、非酸化性雰囲気下で400℃〜500℃程度の熱アニールを施すことによって行われる。ただし、水素を放出した後の非晶質シリコン膜では、ダングリングボンドが終端されていないため、化学的活性が高くなる。一方、スパッタ法により成膜される非晶質シリコン膜は、ダングリングボンドが終端されていない化学的に活性な膜である。
化学的活性が高い非晶質シリコン膜を大気に曝すと、酸化が進行する。そして、酸化が進行した非晶質シリコン膜をレーザーアニールにより多結晶化すると、酸素原子の一部は結晶ドメインに残存し、その他は結晶粒界部分に偏析することになる。結晶ドメインに残存した酸素原子はシリコンに対してドナーとして働くので、多結晶シリコン膜の電気特性を著しく低下させる。また、結晶粒界部分に偏析した酸素は酸化シリコン膜を形成するので、多結晶シリコン膜の電気特性を劣化させる。
化学的活性の高い非晶質シリコン膜(ダングリングボンドが終端されていない非晶質シリコン膜)を多結晶化するにあたっては、この非晶質シリコン膜を結晶化装置(アニール装置)内まで搬送する過程で酸化が進行しないように、例えば非晶質シリコン膜の成膜装置又は脱水素処理装置と結晶化装置(アニール装置)とを真空ラインで結ぶ等の策がとられている(例えば特許文献1を参照)。
特開2005−64453号公報
しかしながら、非晶質シリコン膜の成膜装置又は脱水素処理装置と結晶化装置(アニール装置)とを真空ラインで結ぶためには多大の投資が必要であり、生産コストの上昇に繋がるという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シリコン膜の酸化を防ぎ、良好な特性を有する多結晶シリコン膜を得ることができると共に、絶縁性基板上に低コストで多結晶シリコン膜を形成することが可能な多結晶シリコン膜の製造方法及び製造装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の多結晶シリコン膜の製造方法は、絶縁性基板上に非晶質シリコン膜を非酸化性雰囲気下で形成する非晶質シリコン膜形成工程と、前記非晶質シリコン膜を非酸化性雰囲気下で多結晶化させる多結晶シリコン膜形成工程と、前記非晶質シリコン膜形成工程から前記多結晶シリコン膜形成工程に被処理基板を移行するときの工程であって、前記非晶質シリコン膜を形成した後に前記非晶質シリコン膜形成工程の非酸化性雰囲気を大気雰囲気又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に変化させ、その後、前記被処理基板を前記多結晶シリコン膜形成工程に移行して、当該多結晶シリコン膜形成工程内の雰囲気を非酸化性雰囲気に変化させる雰囲気制御工程とを有し、前記雰囲気制御工程は、前記非酸化性雰囲気以外の雰囲気が有する酸素分圧と当該雰囲気の保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御する制御手段を有することを特徴とする。
この発明は、ダングリングボンドを有する非晶質シリコン膜の酸化の度合いと、この非晶質シリコン膜を多結晶化して得られる多結晶シリコン膜の電気特性との関係について鋭意研究した結果得られたものであって、この発明によれば、非晶質シリコン膜形成工程から多結晶シリコン膜形成工程に被処理基板を移行するときの雰囲気制御工程が、非酸化性雰囲気以外の雰囲気が有する酸素分圧と非酸化性雰囲気以外の雰囲気保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御する制御手段を有するので、非晶質シリコン膜の酸化の進行が小さく、最終的に得られる多結晶シリコン膜中の酸素含有量が1×1019個/cm以上にならない。こうした非晶質シリコン膜は、特性が劣化する程度の過度の酸化状態ではないので、良好な特性を有する多結晶シリコン膜を製造することができる。また、雰囲気制御工程が上記のような制御手段を有するので、非晶質シリコン膜形成工程から多結晶シリコン膜形成工程に被処理基板を移行する工程を真空チャンバー内で行う必要がなく、多大の設備投資を抑えることができる。その結果、低コストで多結晶シリコン膜を製造することができる。
本発明の多結晶シリコン膜の製造方法において、前記非結晶シリコン膜形成工程における非晶質シリコン膜の形成がスパッタリング法により行われることが好ましい。
また、本発明の多結晶シリコン膜の製造方法において、前記多結晶シリコン膜形成工程における非晶質シリコン膜の多結晶化がエキシマレーザーの照射により行われることが好ましい。
本発明の多結晶シリコン膜の製造方法において、前記非酸化性雰囲気以外の雰囲気が大気雰囲気であり、前記保持時間が60分以内であることを特徴とする。この発明によれは、非酸化性雰囲気以外の雰囲気が大気雰囲気である場合、良好な特性を有する多結晶シリコン膜を製造するためには、非酸化性雰囲気以外の雰囲気保持時間を60分以内とすることが好ましい。
本発明の薄膜トランジスタ基板は、上記本発明の多結晶シリコン膜の製造方法で得られた薄膜トランジスタ基板であって、前記多結晶シリコン膜中の酸素含有量が1×1019個/cm未満であることを特徴とする。
この発明によれば、多結晶シリコン膜中の酸素含有量が1×1019個/cm未満であるので、電気特性のよい多結晶シリコン膜を有する薄膜トランジスタ基板を提供することができる。
上記課題を解決するための本発明の多結晶シリコン膜の製造装置は、(1)絶縁性基板上に非晶質シリコン膜を非酸化性雰囲気下で形成する非晶質シリコン膜形成手段と、当該非晶質シリコン膜を形成した後の前記非酸化性雰囲気を大気雰囲気又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に変化させる第1雰囲気制御手段とを有する非晶質シリコン膜形成装置;(2)前記非晶質シリコン膜を非酸化性雰囲気下で多結晶化させる多結晶化手段と、当該多結晶化させる前に前記非酸化性雰囲気に変化させる第2雰囲気制御手段とを有する多結晶シリコン膜形成装置;及び、(3)前記非晶質シリコン膜形成装置から前記多結晶シリコン膜形成装置に被処理基板を移行する搬送装置;を有し、(4)前記第1及び第2雰囲気制御装置並びに前記搬送装置により被処理基板が搬送される雰囲気を制御する第3雰囲気制御装置は、前記搬送装置を駆動させて前記非晶質シリコン膜形成装置内から前記多結晶シリコン膜形成装置内に被処理基板を移行させるとき、前記被処理基板が曝される非酸化性雰囲気以外の雰囲気の酸素分圧と当該雰囲気の保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御することを特徴とする。
この発明によれば、非晶質シリコン膜形成装置から多結晶シリコン膜形成装置に被処理基板を移行するときの雰囲気が、第1〜第3雰囲気制御装置により、非酸化性雰囲気以外の雰囲気の酸素分圧とその雰囲気の保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御するので、この装置を用いれば、非晶質シリコン膜の酸化の進行を抑制でき、最終的に得られる多結晶シリコン膜中の酸素含有量が1×1019個/cm以上にならない。こうして形成された非晶質シリコン膜は特性が劣化する程度の過度の酸化状態ではないので、良好な特性を有する多結晶シリコン膜を製造することができる。したがって、非晶質シリコン膜形成装置から多結晶シリコン膜形成装置に被処理基板を移行する装置を、従来のような真空チャンバーとする必要がなく、多大の設備投資を抑えることができる。その結果、低コストで多結晶シリコン膜を製造することができる。
本発明の多結晶シリコン膜の製造装置において、前記非結晶シリコン膜形成装置が有する非晶質シリコン膜形成手段が、スパッタリング装置であることが好ましい。
本発明の多結晶シリコン膜の製造装置において、前記多結晶シリコン膜形成装置が有する多結晶化手段が、エキシマレーザー照射装置であることが好ましい。
本発明の多結晶シリコン膜の製造方法及び製造装置によれば、その雰囲気制御工程又は装置により、最終的に得られる多結晶シリコン膜中の酸素含有量が1×1019個/cm以上にならないので、被処理基板に形成された非晶質シリコン膜は、雰囲気制御工程内で、特性が劣化する程度の過度の酸化が生じない。その結果、良好な特性を有する多結晶シリコン膜を製造することができる。また、雰囲気制御工程が上記のような制御手段を有するので、非晶質シリコン膜形成工程から多結晶シリコン膜形成工程に被処理基板を移行する工程を真空チャンバー内で行う必要がなく、多大の設備投資を抑えることができる。その結果、低コストで多結晶シリコン膜を製造することができる。
以下、本発明の多結晶シリコン膜の製造方法及び製造装置並びに薄膜トランジスタ基板について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有する範囲において、以下の説明及び図面に限定されるものではない。
(薄膜トランジスタ基板)
最初に、本発明に係る多結晶シリコン膜の製造方法及び製造装置により形成される多結晶シリコン膜を有した薄膜トランジスタ基板について説明する。図1は、本発明の薄膜トランジスタ基板の一例を示す模式断面図である。図1の薄膜トランジスタ基板1は、多結晶シリコン膜を有するトップゲート・トップコンタクト構造からなる薄膜トランジスタ基板の一例であるが、本発明の薄膜トランジスタ基板は、図1の例に限定されず、本発明に係る多結晶シリコン膜の製造方法及び製造装置により形成されるものであれば、ボトムゲート・トップコンタクト構造、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造、トップゲート・ボトムコンタクト構造からなるものであってもよい。
本発明の薄膜トランジスタ基板1は、図1に示すように、絶縁性基板10と、絶縁性基板10上に形成された多結晶シリコン膜13(ソース側拡散膜13s、チャネル膜13c及びドレイン側拡散膜13d)と、多結晶シリコン膜13上に形成されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上に、又はゲート絶縁膜14のコンタクトホールを介して形成された電極15(ソース電極15s、ゲート電極15g及びドレイン電極15d)と、電極15等を覆う保護膜18とを有している。なお、図1に示すように、絶縁性基板10と多結晶シリコン膜13との間には、密着性等を向上させるための下地膜11や、非晶質シリコン膜を多結晶化する際のレーザー照射時の熱を緩衝する緩衝膜12等が任意に設けられているものであってもよい。
(多結晶シリコン膜の製造方法)
図2及び図3は、図1に示す薄膜トランジスタ基板1の製造工程の一部である、多結晶シリコン膜の製造工程の一例を示す説明図である。本発明の多結晶シリコン膜の製造方法は、図2及び図3に示すように、絶縁性基板10上に非晶質シリコン膜21aを非酸化性雰囲気下で形成する非晶質シリコン膜形成工程(図2(C)参照)と、非晶質シリコン膜21aを非酸化性雰囲気下で多結晶化させる多結晶シリコン膜形成工程(図2(D)参照)と、非晶質シリコン膜形成工程から多結晶シリコン膜形成工程に被処理基板2を移行するときの工程であって、非晶質シリコン膜21aを形成した後に非晶質シリコン膜形成工程の非酸化性雰囲気を大気雰囲気又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に変化させ、その後、被処理基板2を多結晶シリコン膜形成工程に移行して、多結晶シリコン膜形成工程内の雰囲気を非酸化性雰囲気に変化させる雰囲気制御工程とを有する方法である。
本発明の特徴は、雰囲気制御工程が、最終的に得られる多結晶シリコン膜の酸素含有量が1×1019個/cm以上にならないように、非酸化性雰囲気以外の雰囲気が有する酸素分圧と、その雰囲気の保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御する制御手段を有することにある。以下、各工程を順次説明する。
(非晶質シリコン膜形成工程)
非晶質シリコン膜形成工程は、絶縁性基板10上に非晶質シリコン膜21aを非酸化性雰囲気下で形成する工程である。絶縁性基板10としては、石英、単成分ガラス、多成分ガラス、樹脂(プラスチック)等からなる絶縁性の基板を用いることができる。どのような材質の絶縁性基板を用いるかは、未終端非晶質シリコン膜21aの形成方法や製造コスト、又は、製造しようとする多結晶シリコン膜13やその多結晶シリコン膜13を有する薄膜トランジスタ基板1の用途等を考慮して適宜選択される。多結晶シリコン膜13の製造コストや、その多結晶シリコン膜13を有する薄膜トランジスタ基板1の製造コストを抑えるという観点からは、耐熱温度が300℃程度の多成分ガラス又は樹脂によって形成された絶縁性基板を用いることが好ましい。
絶縁性基板10の形態は、製造しようとする多結晶シリコン膜13の用途等に応じて、板状、シート状、フィルム状等、適宜選定可能である、本発明においては、絶縁性材料によって形成された板状物の他に、絶縁性材料によって形成されたシート状物やフィルム状物等も「絶縁性基板」と称するものとする。
また、樹脂製の絶縁性基板10としては、例えば、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、又は熱可塑性ポリイミド等からなる有機基材、又はそれらの複合基材を挙げることができる。
絶縁性基板10上には、図2(A)(B)に示すように、密着性等を向上させるための下地膜11や、非晶質シリコン膜21aを多結晶化する際のレーザー照射時の熱を緩衝する緩衝膜12等を任意に設けることができる。こうした下地膜11や緩衝膜12は、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法等のスパッタリング法、プラズマCVD法等の各種の方法で形成することができるが、実際には、膜を構成する材質に応じた好ましい方法が採用される。通常は、DCスパッタリング法やRFマグネトロンスパッタリング法等のスパッタリング法が好ましく用いられる。
下地膜11や緩衝膜12が任意に設けられた絶縁性基板10上には、図2(C)に示すように、ノンドープの非晶質シリコン膜21aを形成する。この非晶質シリコン膜21aは、ダングリングボンドを有する非晶質シリコン膜21a(以下、この非晶質シリコン膜を「未終端非晶質シリコン膜21a」という。)である。
未終端非晶質シリコン膜21aの成膜方法としては、例えばLPCVD法やPECVD法等のCVD法により、ダングリングボンドが水素によって終端された水素化非晶質シリコン膜を成膜した後、この水素化非晶質シリコン膜に400〜500℃程度の熱アニールを非酸化性雰囲気下で施して水素を放出させる脱水素処理を施すことによって、未終端非晶質シリコン膜21aを成膜することができる。また、スパッタ法や真空蒸着法等の物理的気相蒸着法(PVD法)によって直接成膜することもできる。また、耐熱温度が300℃程度以下の絶縁性基板10上に成膜する場合には、スパッタ法や真空蒸着法等、成膜時の基板温度を低温にすることが可能なPVD法によって、未終端非晶質シリコン膜21aを直接形成することが好ましい。未終端非晶質シリコン膜21aの膜厚は、製造しようとする多結晶シリコン膜13の用途等に応じて、0.01〜1.0μm程度の範囲内で適宜選定可能である。
なお、非晶質シリコン膜が未終端非晶質シリコン膜21aであるか否かは、ESR測定を行うことによって確認することができる。
また、未終端非晶質シリコン膜21aには、必要に応じて、ドナー又はアクセプタとして機能する不純物が添加されていてもよい。このような未終端非晶質シリコン膜21aは、例えば、上記の不純物を含有したシリコン化合物を蒸着材料やターゲット等として用いた一元のPVD法により、又は、シリコンと上記の不純物とを蒸着材料やターゲット等として別々に用いた多元のPVD法により、成膜することが可能である。
この非晶質シリコン膜形成工程は、未終端非晶質シリコン膜21aの成膜が非酸化性雰囲気中で行われる。具体的には、上記の各成膜方法のように、酸素分圧が1×10−4Pa程度の非酸化性雰囲気下で行われる。
未終端非晶質シリコン膜21a上には、酸化シリコン膜(図示しない)を形成することが好ましい。この酸化シリコン膜は、例えばRFマグネトロンスパッタリング法で厚さ10〜200nm程度で形成され、後述のレーザー照射、レジストプロセス、イオン注入、レジストアッシング、レーザー活性化等の工程において非晶質シリコン膜21a又は多結晶シリコン膜21pを保護するように作用する。なお、この酸化シリコン膜(図示しない)は、少なくとも後述の多結晶シリコン膜13の欠陥処理工程前に、例えば2%HF溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。
(多結晶シリコン膜形成工程)
多結晶シリコン膜形成工程は、図2(D)に示すように、非晶質シリコン膜21aを非酸化性雰囲気下で多結晶化させて多結晶シリコン膜13を形成する工程である。未終端非晶質シリコン膜21aの多結晶化は、絶縁性基板10の耐熱温度を考慮し、熱アニール、レーザーアニール(レーザー照射)、又は電子線アニール等によって行うことができる。
熱アニールでは、未終端非晶質シリコン膜21aを550℃程度以上に加熱することが望まれるので、絶縁性基板10の耐熱温度が熱アニールでの加熱温度に満たない場合には、レーザーアニール又は電子線アニールによって未終端非晶質シリコン膜21aを多結晶化することが好ましい。これらレーザーアニール又は電子線アニールによれば、絶縁性基板10の耐熱温度が400℃程度以下であっても、未終端非晶質シリコン膜21aを多結晶化させて多結晶シリコン膜21pとすることができる。
レーザーアニールとしては、レーザー媒質としてXeClガス又はKrFガス等を用いたエキシマパルスレーザ光を照射する方法を好ましく挙げることができる。具体的には、XeClエキシマレーザー、CW(Continuous Wave)レーザー等の種々のレーザーを用いて行うことができ、例えばXeClエキシマレーザーを照射して結晶化を行う場合には、一例として、パルス幅:30nsec、エネルギー密度:400mJ/cm、室温の条件下で行うことができる。上記の緩衝膜12は、この工程で加わるレーザー照射時の熱を緩衝させるのに顕著な効果があり、このレーザー照射時の熱に基づいて絶縁性基板10との間の界面剥離を防ぐことができる。こうしたレーザーアニールを行うことにより、未終端非晶質シリコン膜21aへの照射エネルギーの制御が容易になり、その結果として、結晶品質の高い多結晶シリコン膜21pを容易に得ることができる。
この多結晶シリコン膜形成工程は、未終端非晶質シリコン膜21aの多結晶化が非酸化性雰囲気中で行われる。具体的には、酸素分圧が1×10−2Pa程度の非酸化性雰囲気下で行われる。
なお、多結晶シリコン膜形成工程には、必要に応じて、イオン注入法等によって未終端非晶質シリコン膜21aにドナー又はアクセプタを添加するサブ工程を含ませることができる。このサブ工程を含ませる場合には、当該サブ工程を行った後に未終端非晶質シリコン膜(ドナー又はアクセプタが添加されたもの)に上述のアニールを施して、添加した不純物(ドナー又はアクセプタ)の活性化とシリコン膜の多結晶化とを行う。
(雰囲気制御工程)
雰囲気制御工程は、例えば図2(C)に示す非晶質シリコン膜形成工程から図2(D)に示す多結晶シリコン膜形成工程に被処理基板2を移行するときの工程である。具体的には、雰囲気制御工程は、非晶質シリコン膜21aを形成した後に非晶質シリコン膜形成工程の非酸化性雰囲気を、大気雰囲気に解放するか、又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に変化させ、その後、被処理基板2を多結晶シリコン膜形成工程に移行して、多結晶シリコン膜形成工程内の雰囲気を非酸化性雰囲気に変化させる工程である。
したがって、非晶質シリコン膜形成工程と多結晶シリコン膜形成工程とは不連続の非酸化性雰囲気下で行われる工程である。そして、雰囲気制御工程は、その二つの工程間に設けられる工程であって、非晶質シリコン膜形成工程から多結晶シリコン膜形成工程に被処理基板2を移行するための工程である。この雰囲気制御工程では、酸化によって最終的に得られる多結晶シリコン膜の酸素含有量が1×1018個/cm以上にならないように、非酸化性雰囲気以外の雰囲気が有する酸素分圧と雰囲気保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御する制御手段を有している。
制御手段は、具体的には、非晶質シリコン膜形成工程を大気雰囲気に解放するか、又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に変化させる第1制御工程と、多結晶シリコン膜形成工程の雰囲気を非酸化性雰囲気に変化させる第2制御工程とを有している。非晶質シリコン膜21aが形成された被処理基板は、第1制御工程開始後から第2制御工程が終了するまで、大気雰囲気又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に曝されることになるが、本発明では、それらの雰囲気が有する酸素分圧と保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御している。ただし、それらの雰囲気はいずれも1.013×10Pa(1気圧)以下であり、加圧雰囲気ではないことが望ましい。
雰囲気が有する酸素分圧と保持時間との積の上限である12.76×10Pa・分について説明する。非晶質シリコン膜形成工程を大気雰囲気(1気圧:酸素分圧=1.013×10Pa×0.21=0.2127×10Pa)に解放した場合には、雰囲気制御工程を60分以下とすることが望ましい。ここで、非晶質シリコン膜21aの酸化速度は膜中への酸素ガスの浸透速度に依存しており、この浸透速度は雰囲気の酸素分圧に比例する。したがって、雰囲気の酸素分圧が大気での酸素分圧と違う場合には、この雰囲気での酸素分圧と非晶質シリコン膜21aの暴露時間との積が、大気に非晶質シリコン膜21aを暴露したときに許容される酸素分圧と暴露時間との積(12.76×10Pa・分)以下となるように暴露時間を設定すればよいことが分かる。したがって、例えば大気雰囲気を減圧して酸素分圧をさらに低下させた場合には、60分よりも長い時間がかかってもよいが、酸素分圧と保持時間との積の上限としては12.76×10Pa・分であることが好ましい。
なお、非晶質シリコン膜形成工程内で、非酸化性雰囲気から大気雰囲気又は所定の酸素分圧にした後に、被処理基板2を多結晶シリコン膜形成工程内に載置し、所定の非酸化性雰囲気下にするまでの雰囲気が段階的に異なる場合は、それぞれの酸素分圧と保持時間の積の総和が上記12.76×10Pa・分以下となればよい。例えば、非晶質シリコン膜形成工程内ではAPa×a分であり、非晶質シリコン膜形成工程と多結晶シリコン膜形成工程の間ではBPa×b分であり、多結晶シリコン膜形成工程内ではCPa×c分である場合は、APa×a分+BPa×b分+CPa×c分=12.76×10Pa・分以下となればよい。
(その他の工程)
以下に、本発明の主要な構成である多結晶シリコン膜形成工程後について説明する。多結晶シリコン膜形成工程後においては、図2(E)に示すように、多結晶シリコン膜21p上にレジスト膜23を形成し、その後レジスト膜23をパターニングし、その後、イオン注入24を行い、多結晶シリコン膜21pにソース側拡散膜13s及びドレイン側拡散膜13dを形成し、さらに両膜13s,13dの間に、チャネル膜13cを形成する。ここで、レジスト膜23は、多結晶シリコン膜21pの所定領域に添加される不純物イオンを遮蔽するためのレジスト膜であり、例えば上市されている各種のポジ型フォトレジスト等が好ましく用いられる。また、イオン注入24は、例えば、リン(P)を所定の注入電圧下で所定のドープレベルとなるように注入する。
次に、図2(F)に示すように、レジスト膜23をプラズマアッシング法により除去する。プラズマアッシング法は、プラズマ化した酸素ガスとレジスト膜23とを反応させ、有機物であるレジスト膜23を炭酸ガスや水に分解(灰化)して除去する方法である。プラズマアッシング法は、プラズマアッシャと呼ばれる市販の装置(図示しない)を用いて行うことができ、具体的には、チャンバー内を所定の酸素ガス雰囲気とした後、カソード電極板上にTFT素子作製工程中の基板を載せ、そのカソード電極板と、対向するアノード電極との間にRF発信器で高周波電圧を印加することにより、酸素プラズマを発生させる装置を用いる。
次に、図2(G)に示すように、形成されたソース側拡散膜13s及びドレイン側拡散膜13dにエネルギービーム25を照射して両膜13s,13dを活性化する。エネルギービーム25としては、上記と同様のXeClエキシマレーザーを用いることができる。また、非晶質シリコン膜21a上に形成される酸化シリコン膜(図示しない)は、この活性化処理後で下記の欠陥処理工程前に、ウエットエッチングにより除去される。この活性化処理の後には、通常、多結晶シリコン膜21pの欠陥を低減処理するための酸素プラズマによる欠陥処理が施される。
次に、図3(H)に示すように、ドライエッチングを施してアイランドを形成した後、図3(I)に示すように、ソース側拡散膜13s、チャネル膜13c及びドレイン側拡散膜13dを含む全面にゲート絶縁膜14を形成する。ゲート絶縁膜14の形成方法は、例えばRFマグネトロンスパッタリング装置を用いて行う。
次に、図3(J)に示すように、ソース側拡散膜13s及びドレイン側拡散膜13d上のゲート絶縁膜14をレジストプロセスを用いて選択的にエッチングすることにより、コンタクトホール26,26を形成する。例えば、ゲート絶縁膜14上にレジスト膜を形成した後、フォトマスクを用いたレジストプロセスにより露光・現像してレジスト膜をパターニングする。そのパターニングにより露出したコンタクトホール形成部のゲート絶縁膜14を、例えば2%HF溶液を用いてウエットエッチングしてコンタクトホール26,26を形成し、その後、上記同様のプラズマアッシング法によりレジスト膜を除去する。
次に、図3(K)に示すように、全面に例えば厚さ200nmのアルミニウム(Al)膜を蒸着した後、ウエットエッチングによりパターニングして、ソース電極15s、ドレイン電極15d及びゲート電極15gを形成する。なお、電極材料は、Cu、その他の導電性材料であってもよく、スパッタリング等の他の成膜プロセスにより形成してもよい。次に、図3(L)に示すように、素子全体を覆うように保護膜18を形成する。保護膜18としては、酸化ケイ素膜を好ましく挙げることができる。保護膜18は、例えばRFマグネトロンスパッタリングにより、約20nm程度の厚さで形成することが好ましい。
最後に、図3(M)に示すように、水素プラズマ28による処理を行って多結晶シリコン膜のシリコンの欠陥をターミネートする。例えば、水素プラズマ処理により、シリコン表面のダングリングボンドをなくし、ポリシリコン13とゲート絶縁膜14との界面のリークパスをなくす方法がとられる。こうして図3(M)に示す一態様の薄膜トランジスタが製造される。
(多結晶シリコン膜の製造装置)
図4は、本発明の多結晶シリコン膜の製造装置の一例を示す模式図である。本発明の多結晶シリコン膜の製造装置40は、図4に示すように、(1)絶縁性基板10上に非晶質シリコン膜21aを非酸化性雰囲気下で形成する非晶質シリコン膜形成手段(図示しない)と、非晶質シリコン膜21aを形成した後に、非酸化性雰囲気を大気雰囲気又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に変化させる第1雰囲気制御手段411とを有する非晶質シリコン膜形成装置41;(2)非晶質シリコン膜21aを非酸化性雰囲気下で多結晶化させる多結晶化手段(図示しない)と、多結晶化させる前に非酸化性雰囲気に変化させる第2雰囲気制御手段421とを有する多結晶シリコン膜形成装置42;及び、(3)非晶質シリコン膜形成装置41から多結晶シリコン膜形成装置42に被処理基板2を移行する搬送装置43;を有している。
そして、(4)第1及び第2雰囲気制御装置411,421並びに搬送装置43により被処理基板2が搬送される雰囲気を制御する第3雰囲気制御装置431は、搬送装置43を駆動させて非晶質シリコン膜形成装置41内から多結晶シリコン膜形成装置42内に被処理基板2を移行させるとき、被処理基板2が曝される非酸化性雰囲気以外の雰囲気の酸素分圧と当該雰囲気の保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御する。
非晶質シリコン膜形成装置41は、絶縁性基板10上に非晶質シリコン膜21aを非酸化性雰囲気下で形成する工程(図2(C)参照)を行うための装置であり、通常、酸素分圧が1×10−4Paの非酸化性雰囲気に制御すると共に、非晶質シリコン膜21aを形成した後に、非酸化性雰囲気を大気雰囲気又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に変化させる第1雰囲気制御手段411と、絶縁性基板10上に非晶質シリコン膜21aを非酸化性雰囲気下で形成する非晶質シリコン膜形成手段(図示しない)とを有している。
非晶質シリコン膜形成手段(図示しない)は、絶縁性基板10上に非晶質シリコン膜21aを形成するための成膜装置であって、従来公知の成膜装置、例えばLPCVD装置やPECVD装置等のCVD装置、スパッタリング装置、真空蒸着装置等を挙げることができる。なお、スパッタリング装置は低温領域で非晶質シリコン膜の成膜が可能であるので好ましく適用される。
第1雰囲気制御手段411は、上記の非晶質シリコン膜形成手段に応じた酸素分圧が1×10−4Pa等の非酸化性の成膜雰囲気を制御する装置であると共に、非晶質シリコン膜21aを形成した後に、非酸化性雰囲気を大気雰囲気又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に変化させる装置であり、例えば、ロータリーポンプ、拡散ポンプ、ターボポンプ等の真空ポンプ、反応性ガス又は不活性ガス等を供給するガス供給制御装置、その制御バルブ、装置内を大気環境に解放する解放バルブ等を任意に有する装置である。
多結晶シリコン膜形成装置42は、レーザー照射等により非晶質シリコン膜21aを非酸化性雰囲気下で多結晶化させる工程(図2(D)参照)を行うための装置であり、通常、非晶質シリコン膜21aを多結晶化させる前に非酸化性雰囲気に変化させる第2雰囲気制御手段421と、非晶質シリコン膜21aをその非酸化性雰囲気下で多結晶化させる多結晶化手段(図示しない)とを有している。
第2雰囲気制御手段421は、搬送装置43を駆動させて非晶質シリコン膜形成装置41内から多結晶シリコン膜形成装置42内に被処理基板2を移行させる際に、大気雰囲気又は所定の酸素分圧を有する雰囲気に保持する装置であると共に、多結晶シリコン膜13に変化させる際に酸素分圧が1×10−2Pa等の非酸化性の雰囲気を制御する装置であり、例えば、ロータリーポンプ、拡散ポンプ、ターボポンプ等の真空ポンプ、反応性ガス又は不活性ガス等を供給するガス供給制御装置、その制御バルブ、装置内を大気環境に解放する解放バルブ等を任意に有する装置である。
多結晶化手段(図示しない)は、非晶質シリコン膜21aを多結晶化させるための装置であり、従来公知の多結晶化装置、例えば熱アニール、レーザーアニール又は電子線アニール等の多結晶化装置を挙げることができる。なお、レーザーアニールで多結晶化を行う場合、レーザー媒質としてXeClガス又はKrFガス等を用い、XeClエキシマレーザー、CW(Continuous Wave)レーザー等の種々のレーザーを用いて行うことができる。なお、エキシマレーザー照射装置は非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜への多結晶化を制御し易いので好ましく適用される。
搬送装置43は、非晶質シリコン膜形成装置41から多結晶シリコン膜形成装置42に被処理基板2を移行する装置であり、例えば従来公知の、被処理基板2を搭載するアームを備えた搬送ロボット等を挙げることができる。本発明においては、この搬送装置43は、第3雰囲気制御装置431により所定の雰囲気に制御されている。
この第3雰囲気制御装置431も上記第1及び第2雰囲気制御装置と同様、雰囲気を制御する装置であり、例えば、ロータリーポンプ、拡散ポンプ、ターボポンプ等の真空ポンプ、不活性ガス等を供給するガス供給制御装置、その制御バルブ、装置内を大気環境に解放する解放バルブ等を任意に有する装置である。又は、単に装置内を大気環境に解放する解放バルブ等を任意に有する装置であってもよい。
こうした多結晶シリコン膜の製造装置40は、非晶質シリコン膜形成装置41から多結晶シリコン膜形成装置42に被処理基板2を移行するときの雰囲気が、第1〜第3雰囲気制御装置411,421,431により、非酸化性雰囲気以外の雰囲気の酸素分圧とその雰囲気の保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御するので、この装置を用いれば、非晶質シリコン膜21aの酸化の進行を抑制でき、最終的に得られる多結晶シリコン膜中の酸素含有量が1×1018個/cm以上にならない。こうして形成された非晶質シリコン膜21aは特性が劣化する程度の過度の酸化状態ではないので、良好な特性を有する多結晶シリコン膜13を製造することができる。したがって、非晶質シリコン膜形成装置41から多結晶シリコン膜形成装置42に被処理基板2を移行する装置を、従来のような真空チャンバーとする必要がなく、多大の設備投資を抑えることができる。その結果、低コストで多結晶シリコン膜を製造することができる。
以下、実施例と比較例により本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
まず、絶縁性基板10として厚さ1.1mmの青板ガラス(ソーダライムガラス板)を用意し、この青板ガラスの片面に熱緩衝膜12として膜厚500nmの酸化シリコン膜をRFマグネトロンスパッタ法により成膜した。酸化シリコン膜の成膜にあたっては、酸化シリコンをターゲットとして用い、成膜雰囲気はアルゴン(Ar)ガスと酸素(O)ガスとの混合雰囲気(酸素ガスの割合は25体積%)とした。また、成膜圧力は0.5Paとし、投入電力は2.0kWとし、基板温度は室温とした。
次に、酸化シリコン膜が形成された絶縁性基板10をスパッタ装置から取り出すことなく、かつスパッタ装置の成膜チャンバー内を非酸化性雰囲気に保ったまま、そのスパッタ装置を非晶質シリコン膜形成装置(図4の符号41)としてシリコン製ターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタ法により上記の酸化シリコン膜上に膜厚50nmの未終端非晶質シリコン膜21aを成膜した。このとき、成膜雰囲気は非酸化性のArガス雰囲気とし、成膜圧力0.2Pa、投入電力2.0kW、基板温度室温の条件の下に成膜を行った。
次いで、非酸化性のArガス雰囲気の非晶質シリコン膜形成装置41内を大気解放し、未終端非晶質シリコン膜21aが成膜された被処理基板2を非晶質シリコン膜形成装置41から取り出し、この被処理基板2を大気環境下で搬送装置43でレーザーアニールにより多結晶化を行う多結晶シリコン膜形成装置42内に搬送した。その後、多結晶シリコン膜形成装置42内を所定の非酸化性雰囲気(真空雰囲気)にした。非晶質シリコン膜21aを形成した非晶質シリコン膜形成装置41を大気解放してから、被処理基板2を多結晶シリコン膜形成装置42内に設置し、その装置内を真空引きするまでの所要時間は30分であった。
この後、多結晶シリコン膜形成装置42により未終端非晶質シリコン膜21aに脱ガス処理及び多結晶化処理を順次施して、多結晶シリコン膜13を得た。上記の脱ガス処理は、1パルスのエネルギー密度が平均130mJ/cm で、パルス幅が30n秒であるXeClエキシマパルスレーザ光を用いて、1照射スポット当たり5パルスのレーザー光を照射することにより行った。また、上記の多結晶化処理は、1パルスのエネルギー密度が平均250mJ/cm で、パルス幅が30n秒であるXeClエキシマパルスレーザ光を用いて、1照射スポット当たり5パルスのレーザー光を照射することにより行った。なお、脱ガス処理は、未終端非晶質シリコン膜21aに含有されている不活性ガス(スパッタ時の成膜雰囲気に由来するArガス)成分を放散させるための処理である。
このようにして得られた多結晶シリコン膜13は、表面に白濁が認められない良好な膜であり、反射率から求めたその結晶化率は80%であった。また、得られた多結晶シリコン膜の酸素含有量は、二次イオン質量分析装置(SIMS)(ULVAC社製、型式:ADEPT 1010)により測定した結果、8.5×1018個/cmであった。
(実施例2)
実施例1において、非晶質シリコン膜21aを形成した非晶質シリコン膜形成装置41を大気解放してから、被処理基板2を多結晶シリコン膜形成装置42内に設置し、その装置内を真空引きするまでの所要時間を60分とした以外は、実施例1と同様にして多結晶シリコン膜を形成した。このようにして得られた多結晶シリコン膜13は、表面に白濁が認められない良好な膜であり、反射率から求めたその結晶化率は79%であった。また、得られた多結晶シリコン膜の酸素含有量は、実施例と同様の装置で測定した結果、1.0×1019個/cmであった。
(実施例3)
実施例1において、非晶質シリコン膜21aを形成した非晶質シリコン膜形成装置41を酸素分圧0.02×10Paにした後、その酸素分圧と同じ雰囲気に保持された環境下に設置された搬送装置43を用いて、被処理基板2を多結晶シリコン膜形成装置42(この装置内も前記と同じ酸素分圧)に設置し、その装置内を真空引きするまでの所要時間を300分とした以外は、実施例1と同様にして多結晶シリコン膜を形成した。このようにして得られた多結晶シリコン膜13は、表面に白濁が認められない良好な膜であり、反射率から求めたその結晶化率は80%であった。また、得られた多結晶シリコン膜の酸素含有量は、実施例と同様の装置で測定した結果、8.8×1018個/cmであった。
(実施例4)
実施例1と同じ条件の下に絶縁性基板10上に熱緩衝膜12及び未終端非晶質シリコン膜21aを順次成膜し、この未終端非晶質シリコン膜21aまで成膜した被処理基板2を非晶質シリコン膜形成装置41(スパッタ装置)から取り出した後、直ちに、窒素ガスで置換された容器(図示しない)に収容した。2時間経過後に被処理基板2を容器から取り出し、この被処理基板2を大気中設置された搬送装置43で搬送して多結晶シリコン膜形成装置42(レーザーアニール装置)に装着してから、多結晶シリコン膜形成装置42内を真空引きした。非晶質シリコン膜形成装置41から被処理基板2を取り出して上記の容器に収容するまでの所要時間と、上記の容器から被処理基板2を取り出して多結晶シリコン膜形成装置42を真空引きするまでの所要時間との合計は、10分であった。
この後、実施例1と同じ条件の下で、未終端非晶質シリコン膜21aに脱ガス処理及び多結晶化処理を施して、多結晶シリコン膜13を得た。このようにして得られた多結晶シリコン膜13は、実施例1で得られた多結晶シリコン膜と同様に、表面に白濁が認められない良好な膜であり、反射率から求めたその結晶化率は80%であった。また、得られた多結晶シリコン膜の酸素含有量は、実施例と同様の装置で測定した結果、8.9×1018個/cmであった。
(比較例1)
実施例1と同じ条件の下に絶縁性基板10上に緩衝膜12及び未終端非晶質シリコン膜21aを順次成膜し、この未終端非晶質シリコン膜21aまで成膜した被処理基板2を非晶質シリコン膜形成装置41から取り出した後、大気中に2時間放置した。その後、この被処理基板2を多結晶シリコン膜形成装置42に装着して真空引きを行ってから、実施例1と同じ条件の下に未終端非晶質シリコン膜21aに脱ガス処理及び多結晶化処理を施して、多結晶シリコン膜13を得た。このようにして得られた多結晶シリコン膜13は、表面の粗面化に起因する白濁が認められるものであり、良好な膜とは言い難い膜であった。
本発明の薄膜トランジスタ基板の一例を示す模式断面図である。 本発明の薄膜トランジスタ基板の製造工程を示す説明図である。 本発明の薄膜トランジスタ基板の製造工程を示す説明図である。 本発明の多結晶シリコン膜の製造装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 薄膜トランジスタ基板
10 プラスチック基材
11 下地膜
12 緩衝膜
13 多結晶シリコン膜
13s ソース側拡散膜
13c チャネル膜
13d ドレイン側拡散膜
14 ゲート絶縁膜
15s ソース電極
15g ゲート電極
15d ドレイン電極
16 絶縁膜
18 保護膜
21a 非晶質シリコン膜21a
21p 多結晶シリコン膜
22 レーザーアニール
23 レジスト膜
24 イオン注入
25 エネルギービーム
26 コンタクトホール
28 水素プラズマ
40 多結晶シリコン膜の製造装置
41 非晶質シリコン膜形成装置
411 第1雰囲気制御手段
42 多結晶シリコン膜形成装置
421 第2雰囲気制御装置
43 搬送装置
431 第3雰囲気制御装置

Claims (7)

  1. 絶縁性基板上に非晶質シリコン膜を非酸化性雰囲気下で形成する非晶質シリコン膜形成工程と、
    前記非晶質シリコン膜を非酸化性雰囲気下で多結晶化させる多結晶シリコン膜形成工程と、
    前記非晶質シリコン膜形成工程から前記多結晶シリコン膜形成工程に被処理基板を移行するときの工程であって、前記非晶質シリコン膜を形成した後に前記非晶質シリコン膜形成工程の非酸化性雰囲気を大気雰囲気又は0.02×10 Pa以上の酸素分圧を有する雰囲気に変化させ、その後、前記被処理基板を前記多結晶シリコン膜形成工程に移行して、当該多結晶シリコン膜形成工程内の雰囲気を非酸化性雰囲気に変化させる雰囲気制御工程と、を有し、
    前記雰囲気制御工程は、前記非酸化性雰囲気以外の雰囲気が有する酸素分圧と当該雰囲気の保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御する制御手段を有することを特徴とする多結晶シリコン膜の製造方法。
  2. 前記非結晶シリコン膜形成工程における非晶質シリコン膜の形成が、スパッタリング法により行われることを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコン膜の製造方法。
  3. 前記多結晶シリコン膜形成工程における非晶質シリコン膜の多結晶化が、エキシマレーザーの照射により行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の多結晶シリコン膜の製造方法。
  4. 前記非酸化性雰囲気以外の雰囲気が大気雰囲気であり、前記保持時間が60分以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多結晶シリコン膜の製造方法。
  5. 絶縁性基板上に非晶質シリコン膜を非酸化性雰囲気下で形成する非晶質シリコン膜形成手段と、当該非晶質シリコン膜を形成した後の前記非酸化性雰囲気を大気雰囲気又は0.02×10 Pa以上の酸素分圧を有する雰囲気に変化させる第1雰囲気制御手段とを有する非晶質シリコン膜形成装置、
    前記非晶質シリコン膜を非酸化性雰囲気下で多結晶化させる多結晶化手段と、当該多結晶化させる前に前記非酸化性雰囲気に変化させる第2雰囲気制御手段とを有する多結晶シリコン膜形成装置、及び、
    前記非晶質シリコン膜形成装置から前記多結晶シリコン膜形成装置に被処理基板を移行する搬送装置、を有し、
    前記第1及び第2雰囲気制御装置並びに前記搬送装置により被処理基板が搬送される雰囲気を制御する第3雰囲気制御装置は、前記搬送装置を駆動させて前記非晶質シリコン膜形成装置内から前記多結晶シリコン膜形成装置内に被処理基板を移行させるとき、前記被処理基板が曝される非酸化性雰囲気以外の雰囲気の酸素分圧と当該雰囲気の保持時間との積を12.76×10Pa・分以下に制御することを特徴とする多結晶シリコン膜の製造装置。
  6. 前記非結晶シリコン膜形成装置が有する非晶質シリコン膜形成手段が、スパッタリング装置であることを特徴とする請求項に記載の多結晶シリコン膜の製造装置。
  7. 前記多結晶シリコン膜形成装置が有する多結晶化手段が、エキシマレーザー照射装置であることを特徴とする請求項5又は6に記載の多結晶シリコン膜の製造装置。
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