以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、以下に説明する車両は自動二輪車10である。自動二輪車10は、骨格をなす車体フレーム11と、乗員が着座するシート16とを備えている。シート16に着座した乗員は、車体フレーム11を跨いで乗車する。なお、本発明において、車両の形状としては、図1に示したものに限定されず、また、車両の最高速度や排気量、車両の大小等も限定されない。また、本発明に係る車両は、シートの前方に燃料タンクが配置されているいわゆるモーターサイクル型の自動二輪車に限らず、他の型式の自動二輪車等であってもよい。また、自動二輪車に限らず、他の鞍乗型車両であってもよい。さらに、鞍乗型車両に限らず、2人乗りの四輪バギー等の他の車両であってもよい
以下の説明では、前後左右の方向は、シート16に着座した乗員から見た方向を言うものとする。車体フレーム11は、ステアリングヘッドパイプ12と、ステアリングヘッドパイプ12から後方斜め下向きに延びるメインフレーム13と、メインフレーム13の中途部から後方斜め上向きに延びる左右のシートレール14と、メインフレーム13の後端部とシートレール14の中途部とに接続された左右のシートピラーチューブ15とを備えている。
ステアリングヘッドパイプ12には、フロントフォーク18を介して前輪19が支持されている。シートレール14の上には、燃料タンク20およびシート16が支持されている。シート16は、燃料タンク20の上方からシートレール14の後端部に向かって延びている。燃料タンク20は、シートレール14の前半部の上方に配置されている。
メインフレーム13の後端部には、左右一対のリヤアームブラケット24が設けられている。なお、ここではメインフレーム13に設けられたリヤアームブラケット24等は、車体フレーム11の一部をなすものとする。
リヤアームブラケット24は、メインフレーム13の後端部から下向きに突出している。これらリヤアームブラケット24にはピボット軸38が設けられ、ピボット軸38にリヤアーム25の前端部が揺動自在に支持されている。リヤアーム25の後端部には後輪26が支持されている。
また、車体フレーム11には、後輪26を駆動するエンジンユニット28が支持されている。クランクケース35は、メインフレーム13に吊り下げられた状態で支持されている。なお、エンジンユニット28は、ガソリンエンジン(図示せず)を備えているが、エンジンユニット28が備えるエンジンはガソリンエンジン等の内燃機関に限定されず、モータエンジン等であってもよい。また、上記エンジンは、ガソリンエンジンとモータエンジンとを組み合わせたものであってもよい。
自動二輪車10は、フロントカウル33と、左右のレッグシールド34とを備えている。レッグシールド34は運転者の脚部の前方を覆うカバー部材である。
また、図1には示していないが、自動二輪車10の右側の下部には、ブレーキペダルが設けられている。上述したブレーキペダルは、後輪26を制動させるためのものである。また、前輪19は、ハンドル41の右グリップ41R(図2参照)近傍に設けられたブレーキレバー(図示せず)を操作することにより制動される。ハンドル41の左グリップ41Lの近傍にはクラッチレバー104が設けられている。ここでは、このクラッチレバー104を操作することでもクラッチを断続させることができるようになっている。
図2は、図1に示した自動二輪車の駆動系の構成図である。ハンドル41(図1も参照)の右グリップ41Rは、アクセルグリップを構成し、このアクセルグリップにはスロットル入力センサ42が装着されている。このスロットル入力センサ42は、乗員によるアクセル入力(スロットル開度入力)を検出する。また、ハンドル41の左グリップ41L側には、シフトスイッチ43が設けられている。シフトスイッチ43は、シフトアップスイッチ43aとシフトダウンスイッチ43bとからなり、手動操作によりシフトポジションをニュートラルから最高ギア段(ここでは6速ギア段)までの間で増加または減少させることができる。さらに、ハンドル41の中央部には、現在のシフトポジション等を表示するインジケータ45が設けられている。
吸気通路を構成するスロットル47にはスロットル弁46が装着されている。スロットル弁46の弁軸48の右側端部には、スロットル駆動アクチュエータ49が設けられるとともに、左側端部にはスロットル開度センサ50が設けられている。この弁軸48に装着されたスロットル駆動アクチュエータ49およびスロットル開度センサ50からDBW(ドライブバイワイヤ)51が構成されている。DBW51は、スロットル開度センサ50の検出結果に応じて、スロットル駆動アクチュエータ49によりスロットル47を開閉駆動するものである。
図示しないエンジンのクランク軸52の端部の右側には、エンジン回転数センサ53が設けられている。クランク軸52は、湿式多板式のクラッチ54を介してメイン軸55に連結されている。クラッチ54は、クラッチハウジング54aとクラッチボス54bとを備えている。クラッチハウジング54aには複数のフリクションプレート54cが取り付けられているとともに、クラッチボス54bには複数のクラッチプレート54dが取り付けられている。各クラッチプレート54dは、隣り合うフリクションプレート54c、54cの間に配置されている。なお、本発明において、摩擦クラッチは湿式多板式のクラッチに限定されず、例えば、乾式クラッチでもよく、単板式のクラッチでもよい。メイン軸55には、多段(図2では6段)の変速ギア57が装着されるとともに、メイン軸回転数センサ56が設置されている。メイン軸55に装着された各変速ギア57は、メイン軸55と平行に配置されたドライブ軸58上に装着された変速ギア59と噛み合っている。なお、図2では、説明の便宜上、変速ギア57と変速ギア59とを分離して示している。
これら変速ギア57および変速ギア59は、選択されたギア以外は、いずれか一方または両方がメイン軸55またはドライブ軸58に対して空転状態で装着されている。したがって、メイン軸55からドライブ軸58への駆動力の伝達は、選択された一対の変速ギアのみを介して行われる。なお、一対の変速ギア57、59が、メイン軸55からドライブ軸58へ駆動力が伝達される状態で噛み合っている状態はギアイン状態である。
変速ギア57および変速ギア59を選択してギアチェンジを行う動作は、シフトカム79により行われる。シフトカム79には、複数(図2では3本)のカム溝60が形成され、各カム溝60にシフトフォーク61が装着される。各シフトフォーク61は、それぞれメイン軸55およびドライブ軸58の所定の変速ギア57、59に係合している。シフトカム79が回転することにより、シフトフォーク61がカム溝60に沿って軸方向に移動し、これに連動して、メイン軸55およびドライブ軸58に対してスプライン嵌合されている所定の変速ギア57、59が軸方向に移動する。そして、軸方向に移動した変速ギア57、59が、メイン軸55およびドライブ軸58に空転状態で装着されている他の変速ギア57、59と係合することにより、ギアチェンジが行われる。なお、これら変速ギア57、59およびシフトカム79により変速機80が構成される。
変速機80は、ドグクラッチ式変速機であり、図3に示すように、変速ギア57として、軸端面に係合突起57cが形成されている第1ギア57aと、係合突起57cと対向する軸端面に係合凹部57eが形成されている第2ギア57bとを備えている。変速機80は、複数の第1ギア57aおよび第2ギア57bを備えている。なお、変速機80は、変速ギア59として、係合突起が形成されている複数の第1ギア、および、係合凹部が形成されている複数の第2ギアを備えているが、それらは、それぞれ図3に示す第1ギア57aおよび第2ギア57bと同様の構成であるので説明を省略する。第1ギア57aには、3つの係合突起57cが形成されており、これら係合突起57cは、第1ギア57aの軸端面の外縁部に、周方向に均等に配置されている。また、第2ギア57bは、6つの係合凹部57eが形成されており、これら係合凹部57eも、周方向に均等に配置されている。
また、第1ギア57aの軸心部には、メイン軸55およびドライブ軸58に挿通される挿通孔57gが形成されており、この挿通孔57gの周面には、複数の溝57dが形成されている。この第1ギア57aは、メイン軸55およびドライブ軸58にスプライン嵌合される。一方、第2ギア57bにも、メイン軸55およびドライブ軸58に挿通される挿通孔57hが形成されているが、この挿通孔57hには、溝が形成されていない。したがって、第2ギア57bは、メイン軸55およびドライブ軸58に空転状態で装着される。
シフトカム79(図2参照)が回転することにより、シフトフォーク61がカム溝60に沿って移動し、これに連動して第1ギア57aがメイン軸55およびドライブ軸58のスプラインに沿って軸方向に移動する。そして、第1ギア57aの係合突起57cが、第2ギア57bの係合凹部57eに係合することにより、メイン軸55からドライブ軸58へ駆動力を伝達する変速ギア57、59の組み合わせが切り換えられ、ギアチェンジが行われる。
図2に示すように、クラッチ54および変速機80は、それぞれ、クラッチアクチュエータ63およびシフトアクチュエータ65により駆動される。クラッチアクチュエータ63は、油圧伝達機構64、ロッド71、レバー72、ピニオン73およびラック74を介してクラッチ54と接続されている。油圧伝達機構64は、油圧シリンダ64a、オイルタンク(図示せず)、ピストン(図示せず)等を備え、クラッチアクチュエータ63の駆動により油圧を発生させ、その油圧をロッド71に伝達させる機構である。クラッチアクチュエータ63の駆動によりロッド71が矢印Aのように往復動作し、レバー72が矢印Bのように回動し、これにより、クラッチ54がラック74の移動方向に応じて接続または切断される。なお、ここでは、クラッチアクチュエータ63として電動モータを採用しているが、本発明においてはこれに限定されず、例えば、ソレノイドや電磁弁等であってもよい。また、上述したクラッチ54、クラッチアクチュエータ63、油圧伝達機構64、ロッド71、レバー72、ピニオン73およびラック74とからなる自動クラッチ装置77、ならびに、変速機80、シフトアクチュエータ65、減速機構66、ロッド75、リンク機構76、および、クラッチアクチュエータ63とシフトアクチュエータ65との駆動制御を行うECU100(図4参照)から本発明にいう自動変速制御装置が構成されている。
シフトアクチュエータ65は、減速機構66、ロッド75およびリンク機構76を介してシフトカム79と接続されている。減速機構66は、複数の減速ギア(図示せず)を備えている。
ギアチェンジの際には、シフトアクチュエータ65の駆動によりロッド75が矢印Cのように往復運動し、リンク機構76を介してシフトカム79が所定角度だけ回転する。これによりカム溝60に沿ってシフトフォーク61が所定量だけ軸方向に移動し、一対の変速ギア57、59がそれぞれ、メイン軸55およびドライブ軸58に固定状態となり、メイン軸55からドライブ軸58に駆動力が伝達される。なお、ここでは、シフトアクチュエータ65として電動モータを採用しているが、本発明においてはこれに限定されず、例えば、ソレノイドや電磁弁等であってもよい。
クラッチアクチュエータ63に接続された油圧伝達機構64には、上記ピストンのストローク位置を検出することによってクラッチ位置(フリクションプレート54cとクラッチプレート54dとの距離)を検出するクラッチ位置センサ68が設置されている。なお、ここでは、クラッチ位置センサ68により、上記ピストンのストローク位置を検出することによって、クラッチ位置を検出するように構成されているが、これに限定されず、クラッチアクチュエータ63とクラッチ54との間に設けられている伝達機構の位置を検出するようにしてもよい。例えば、ロッド71や、ラック74の位置を検出するようにしてもよい。また、検出されたピストンのストローク位置から間接的にクラッチ位置を取得する場合に限定されず、フリクションプレート54cとクラッチプレート54dとの距離をセンサにより直接測定するようにしてもよい。また、ドライブ軸58には車速センサ69が設置されている。さらに、シフトカム79にはギアポジション(シフトカムの回転量)を検出するギアポジションセンサ70が設置されている。
シフトアップスイッチ43aまたはシフトダウンスイッチ43bの操作に応じて、後述するECU100(エンジン制御装置)が、クラッチアクチュエータ63およびシフトアクチュエータ65の駆動制御を行うことによってシフトチェンジが行われる。具体的には、走行中においては、クラッチアクチュエータ63によるクラッチ54の切断→シフトアクチュエータ65による変速ギア57、59のギアチェンジ→クラッチアクチュエータ63によるクラッチ54の接続の一連の動作が、所定のプログラムやマップに基づいて行われる。
図4は、自動二輪車10に搭載された制御システムの全体構成を示すブロック図である。ECU100が備えるメインマイコン90にはドライブ回路93を介して駆動系装置群110が接続されている。なお、ECU100は、本発明にいう制御装置に該当する。駆動系装置群110は、図5に示すように、スロットル駆動アクチュエータ49、インジケータ45、クラッチアクチュエータ63およびシフトアクチュエータ65(図2も参照)から構成されている。
ドライブ回路93は、メインマイコン90から供給されるドライブ信号に応じて、駆動系装置群110を構成する各装置に適正な電流をバッテリ97から供給する。また、メインマイコン90にはセンサ・スイッチ群120が接続されている。センサ・スイッチ群は、図6に示すように、スロットル入力センサ42、シフトスイッチ43、スロットル開度センサ50、エンジン回転数センサ53、メイン軸回転数センサ56、クラッチ位置センサ68、車速センサ69およびギアポジションセンサ70(図2も参照)から構成されており、これら各センサの検出結果がメインマイコン90に入力されるようになっている。メインマイコン90は、上記各センサから入力した検出結果に基づいて、駆動系装置群110を構成する各装置に対してドライブ信号を供給して駆動制御を行う。
メインマイコン90は、ROM91およびRAM92を備えている。ROM91には、クラッチアクチュエータ制御プログラム91aおよびシフトアクチュエータ制御プログラム91bが記憶されている。クラッチアクチュエータ制御プログラム91aは、クラッチアクチュエータ63の駆動制御を行うためのプログラムである。また、シフトアクチュエータ制御プログラム91bは、シフトアクチュエータ65の駆動制御を行うためのプログラムである。なお、ROM91に記憶されているこれらプログラムは消去不可能であるとともに、ROM91には新たなプログラム等を書き込むことも不可能である。
上述したクラッチアクチュエータ制御プログラム91aまたはシフトアクチュエータ制御プログラム91bが実行されるときには、RAM92に展開された後、メインマイコン90によって読み込まれる。そして、メインマイコン90は、RAM92に展開されたこれらプログラムに基づいて、クラッチアクチュエータ63およびシフトアクチュエータ65の駆動制御を行うのである。
バッテリ97と接続された電源回路98は、キースイッチ(図示せず)と連動してオン/オフが切り換えられるメインスイッチ96を備えている。メインスイッチ96がオンになると、電源回路98は、バッテリ97の電圧をメインマイコン90の駆動用電圧に変換してメインマイコン90に供給する。
次に、自動二輪車10の走行時のシフトチェンジ動作(シフトアップ動作またはシフトダウン動作)について説明する。図7は、走行時のシフトチェンジ制御処理を示すフローチャートである。この走行時シフトチェンジ処理は、車両の走行中にシフトチェンジ操作があったこと、すなわち、シフトアップスイッチ43aまたはシフトダウンスイッチ43bが操作されたことを受けて、予め実行されているメインルーチンから呼び出されて実行されるものである。
まず、ECU100は、クラッチの切断を開始する。この処理において、ECU100は、クラッチアクチュエータ63に駆動信号を供給し、クラッチアクチュエータ63にクラッチ54を切断させる。この処理が実行されると、クラッチ54が一定速度で切断される。
ステップS100の処理を実行すると、次に、ステップS110において、ギアチェンジを開始させる。この処理において、ECU100は、ステップS100におけるクラッチ54の切断開始から所定時間が経過するのを待って、シフトアクチュエータ65に駆動信号を供給し、シフトアクチュエータ65に変速ギア57、59のギアチェンジを開始させる。この処理が行われると、シフトカム79の回転が開始される。
ステップS110の処理を実行すると、次に、ステップS120において、クラッチが切断状態になったか否かを判定する。この処理において、ECU100は、クラッチ位置センサ68(図2参照)の検出結果に基づいて、クラッチ54のクラッチ位置が切断状態となったか否かを判定する。クラッチ54が切断状態となっていないと判定した場合、処理をステップS120に戻して切断状態となるまで待機する。
一方、ステップS120においてクラッチが切断状態となったと判定した場合、次に、ステップS130において、クラッチ位置を保持する処理を行う。この処理において、ECU100は、ステップS120において切断状態となったと判定されたクラッチ位置を保持する処理を行う。この処理により、クラッチ54は切断状態のまま保持される。
ステップS130の処理を実行すると、次に、ステップS140においてギアチェンジが完了したか否かを判定する。この処理において、ECU100は、ギアポジションセンサ70の検出結果に基づいて、ギアチェンジが完了したか否かを判定する。ギアチェンジが完了していない場合、処理をステップS140に戻して、ギアチェンジの完了まで待機する。
一方、ステップS140においてギアチェンジが完了したと判定した場合、次に、ステップS150において、半クラッチ制御を行う。この半クラッチ制御については、後に図面(図8)を用いて説明する。
ステップS150の処理を実行すると、次に、ステップS160において、クラッチの接続を行う。この処理において、ECU100は、クラッチアクチュエータ63に対して駆動信号を供給し、クラッチアクチュエータ63にクラッチ54の接続を行わせる。この処理が実行されると、クラッチ54が一定速度で接続する。ステップS150の処理を実行すると、走行時シフトチェンジ制御処理を終了させる。
図8は、半クラッチ制御処理、すなわち、図7に示した走行時シフトチェンジ制御処理のステップS150において呼び出されて実行される処理を示すフローチャートである。半クラッチ制御処理が開始されると、まず、ステップS200において、スロットル開度を取得する処理を行う。この処理において、ECU100は、スロットル開度センサ50(図2参照)の検出結果を取得する。
ステップS200の処理を実行すると、次に、ステップS210において、クラッチ回転数差の減少率の目標値を設定する。なお、クラッチ回転数差とは、クラッチ54の駆動側(クラッチ54の駆動側部分またはクラッチ54よりも駆動側の動力伝達機構)の回転数(=駆動側回転数)と、クラッチ54の従動側(クラッチ54の従動側部分またはクラッチ54よりも従動側の動力伝達機構)の回転数(=従動側回転数)との差である。ここでは、クラッチ回転数差は、クラッチ54におけるクラッチハウジング54aの回転数とクラッチボス54bの回転数との差として規定される。この処理において、ECU100は、クラッチ回転数差の減少率の目標値(以下、単に目標値ともいう)を設定する処理を行う。ここでは、この目標値は、記憶装置に予め記憶されている目標値であり、具体的には、ROM91等に格納されている目標値設定テーブルに基づいて設定される。ただし、目標値は、テーブルに基づくものに限定されず、関数やマップ等によって設定されていてもよい。また、目標値は、変更できないように設定されていてもよく、逆に、外部からの操作等によって更新可能に設定されていてもよい。
図9は、上述した目標値設定テーブルの一例をグラフ化して示す図である。図9において、横軸はスロットル開度を示しており、縦軸は設定される目標値を示している。この図に示すように、自動二輪車10では、スロットル開度センサ50により検出されるスロットル開度が大きい程、上記目標値が大きい値として設定される。
ステップS210の処理を実行すると、次に、ステップS220においてエンジン回転数を取得する処理を行う。この処理において、ECU100は、エンジン回転数センサ53の検出結果を取得することによって、エンジン回転数(クランク軸52の回転数)を取得する。
ステップS220の処理を実行すると、次に、ステップS230において、ドライブ軸回転数を取得する処理を行う。この処理において、ECU100は、車速センサ69の検出結果を取得することによって、ドライブ軸58の回転数を取得する。
ステップS230の処理を実行すると、次に、ステップS240において、メイン軸回転数を算出する処理を行う。この処理において、ECU100は、上述したステップS230の処理により取得されたドライブ軸58の回転数と、現在の変速ギア段から得られる減速比とに基づいて、メイン軸55の回転数を算出する。
ステップS240の処理を実行すると、次に、ステップS250においてクラッチ回転数差を算出する処理を行う。この処理において、ECU100は、上述したステップS220の処理により取得されたエンジン回転数と、ステップS240の処理により算出されたメイン軸回転数とに基づいて、クラッチ回転数差を算出する処理を行う。なお、クラッチ回転数差は、エンジン回転数とメイン軸回転数との差を算出することにより得られる。
ステップS250の処理を実行すると、次に、ステップS260において実減少率を算出する。上記実減少率は、クラッチ回転数差の現実の減少率であり、エンジン回転数センサ53と車速センサ69との実際の検出結果に基づいて取得されるものである。この処理において、ECU100は、ステップS250の処理により算出されたクラッチ回転数差と、所定時間前に実行されたステップS250の処理により算出されたクラッチ回転数差とに基づいて、上記実減少率を算出する。
ステップS260の処理を実行すると、次に、ステップS270においてクラッチ接続速度を設定する処理を行う。この処理において、ECU100は、ステップS210の処理により設定された目標値と、ステップS260の処理により算出された実減少率と、ROM91等に格納されている接続速度設定テーブルとに基づいて、クラッチ54の接続速度を設定する。
図10は、上記接続速度設定テーブルの一例を示す図である。図10において、横軸は、ステップS210の処理により設定された上記目標値と、ステップS260の処理により算出された実減少率との差を示しており、縦軸は、クラッチ54の接続速度を示している。この図に示すように、自動二輪車10では、上記目標値と実減少率との差が大きい程、クラッチ接続速度が大きい値として設定される。
ステップS270の処理を実行すると、次に、ステップS280において、クラッチの接続を開始させる。この処理において、ECU100は、クラッチアクチュエータ63に対して駆動信号を供給し、ステップS270の処理により設定されたクラッチ接続速度でクラッチアクチュエータ63にクラッチ54の接続を行わせる。この処理が実行されると、ステップS270の処理により設定されたクラッチ接続速度で、クラッチ54の接続が開始される。
ステップS280の処理を実行すると、次に、ステップS290において、クラッチ回転数差が所定値以下になったか否かを判定する。この処理において、ECU100は、ステップS250の処理により算出されたクラッチ回転数差が所定値以下になったか否かを判定する。クラッチ回転数差が所定値以下になっていないと判定した場合、処理をステップS200に戻し、再度、ステップS200〜S280の処理を実行する。一方、クラッチ回転数差が所定値以下になったと判定した場合、半クラッチ制御処理を終了させる。
図8に示したように、この半クラッチ制御処理では、クラッチ回転数差の減少率の目標値と、クラッチ回転数差の実減少率との差に基づいて、クラッチ接続速度が設定され、設定されたクラッチ接続速度に基づいてクラッチ54が接続される制御が、所定時間毎に繰り返される。そして、クラッチ回転数差が所定値以下になると、半クラッチ制御が終了し、クラッチの接続工程に移行されるのである(図7のステップS160参照)。
図11は、図7に示した走行時シフトチェンジ制御処理、および、図8に示した半クラッチ制御処理が実行されているときのクラッチ位置、エンジン回転数およびクラッチ回転数差の時間推移を示す図である。なお、図11では、シフトチェンジ中にスロットル47(図2参照)が閉じた状態である場合を示している。図11(a)には、シフトチェンジの開始から終了までのクラッチ位置が示されている。また、図11(b)には、シフトチェンジの開始から終了までの間のエンジン回転数の時間推移が示されている。また、図11(c)には、シフトチェンジの開始から終了までの間のクラッチ回転数差の時間推移が示されている。
シフトチェンジが開始されると、まず、クラッチ54が高速で切断され、クラッチ54が切断状態となったときに、そのクラッチ位置で保持される。そして、クラッチ位置が切断状態で保持されているときにギアポジションセンサ70によりギアチェンジの完了が検出されると、次に、半クラッチ制御が行われる。
半クラッチ制御において、クラッチオフ領域から半クラッチ領域にクラッチ位置が移行する際には、メイン軸55に伝達されるエンジン駆動力が小さいため、エンジン回転数は上昇する。このとき、クラッチ回転数差も上昇する。このとき、上述したようにスロットル開度は変化しないため、上記目標値は一定値であるが(図9参照)、クラッチ回転数差が上昇しているため、上記実減少率としては小さい値(負数)となる。なお、上記実減少率は、クラッチ回転数差が減少しているときには正値となり、クラッチ回転数差が上昇しているときには負値となるものである。そのため、上記目標値と上記実減少率との差は、大きな値となるため、クラッチ接続速度が大きい値として設定される(図10参照)。そのため、半クラッチの開始時(図中、A領域)においては、クラッチ54が急速に接続されることとなる。そして、半クラッチ制御中にクラッチ回転数差が減少していき、実減少率が上記目標値と略等しくなると、上記目標値と上記実減少率の差としては略0となるため、クラッチ接続速度も略0に設定される(図10参照)。そのため、半クラッチの終了時(図中、B領域)においては、クラッチ位置が略一定となるように保持される。
このように、自動二輪車10では、クラッチ回転数差の実減少率が目標値に近づくようにクラッチ54の接続速度が制御されるため、半クラッチ工程においてクラッチ54を滑らかに接続させることが可能となる。その結果、乗車フィーリングを向上させることが可能となる。
図12では、自動二輪車10の使用等により、クラッチ54が磨耗した場合を示している。図12(a)に示すように、クラッチ54が磨耗すると、クラッチ領域と半クラッチ領域との境界がクラッチ接続側(図中、下側)にずれる。なお、図12(a)では、クラッチ54が新品であるときのクラッチ位置の時間推移を2点鎖線にて示している。
クラッチ領域と半クラッチ領域との境界がクラッチ接続側にずれると、半クラッチ領域に達するまでのクラッチ54の接続距離が大きくなり、その分、エンジン回転数が大きく上昇する。このとき、上記実減少率は小さい値(負数)となるため、上記目標値と上記実減少率との差は大きな値となり、クラッチ接続速度が大きい値として設定される(図10参照)。すなわち、クラッチ54の磨耗時には、磨耗時の上記境界に達するまでの間(図中、C領域)において、クラッチ54が急速に接続されることとなる。
このように、自動二輪車10では、クラッチ54が磨耗した場合であっても、半クラッチ領域に達するまではクラッチ54を急速に接続するように構成されている。そのため、クラッチ54が磨耗したときの半クラッチ制御中に、車両の空走を少なくすることができ、クラッチ54を滑らかに接続させることが可能となる。その結果、乗車フィーリングを向上させることが可能となる。
図13では、半クラッチ制御中にアクセル操作が行われ、スロットル開度が上昇した場合を示している。図13(a)には、シフトチェンジの開始から終了までの間のクラッチ位置の時間推移が示されている。また、図13(b)には、シフトチェンジの開始から終了までの間のスロットル開度の時間推移が示されている。また、図13(c)には、シフトチェンジの開始から終了までの間のエンジン回転数の時間推移が示されている。さらに、図13(d)には、シフトチェンジの開始から終了までの間のクラッチ回転数差の時間推移が示されている。
半クラッチ制御中にアクセル操作が行われ、スロットル開度が上昇すると、それに伴ってエンジン回転数も上昇する。エンジン回転数が上昇すると、それに伴って、クラッチ回転数差も上昇する。このとき、スロットル開度が上昇するため、アクセル操作を行わない場合と比較して、上記目標値として高い値が設定される(図9参照)。また、クラッチ回転数差が上昇するため、クラッチ回転数差の実減少率は、小さい値(負数)となる。その結果、上記目標値と実減少率との差が大きな値となるため、クラッチ接続速度が大きい値として設定される(図10参照)。そのため、アクセル操作が行われ、エンジン回転数が上昇している間(図中、D領域)においては、クラッチ54が急速に接続されることとなる。
このように、自動二輪車10では、半クラッチ制御中にアクセル操作が行われ、スロットル開度が大きくなったときに、クラッチ54を急速に接続するように構成されている。そのため、アクセル操作に対する車速の追従が良好になる。その結果、乗車フィーリングが向上する。
以上説明したように、自動二輪車10では、半クラッチ制御において、クラッチ回転数差の実減少率が目標値に近づくようにクラッチ54の接続速度が設定されるため、クラッチ54を滑らかに接続させることができ、乗車フィーリングを向上させることが可能となる。
また、自動二輪車10では、クラッチ回転数差の減少率の目標値と、クラッチ回転数差の実減少率との差が大きい程、クラッチ54の接続速度が大きな値として設定される。そのため、クラッチ54が磨耗した場合や、クラッチ54に個体差がある場合等であっても、クラッチ54を滑らかに接続させることができ、乗車フィーリングを向上させることが可能となる。
また、自動二輪車10では、スロットル開度センサ50により検出されたスロットル開度が大きい程、上記目標値が高い値として設定される。そのため、半クラッチ制御中にアクセル操作が行われた場合に、アクセル操作に対する車速の追従が良好になり、その結果、乗車フィーリングが向上する。
なお、ここでは、エンジン回転数センサ53により検出されたエンジン回転数と、車速センサ69の検出結果に基づいて算出されたメイン軸回転数とに基づいて実減少率を算出する場合について説明したが、実減少率の算出方法については、上述の態様に限定されない。
例えば、駆動輪としての後輪26のホイールにホイール回転数を検出するホイール回転数センサ(図示せず)を設け、このホイール回転数センサにより検出されるホイール回転数と、現在の変速ギア段から得られる減速比と、ドライブ軸58と後輪28との間の減速比とに基づいて、メイン軸回転数を算出するようにしてもよい。そして、この算出されたメイン軸回転数とエンジン回転数センサ53により検出されたエンジン回転数とに基づいてクラッチ回転数差を算出し、このクラッチ回転数差に基づいて実減少率を算出するようにしてもよい。なお、この場合、ドライブ軸58と後輪28との間の減速比については、予め測定しておき、ROM91等に記憶させておくことができる。このように、ドライブ軸58と後輪28との間の減速比は一定であるので、メイン軸回転数は、実質的には、ホイール回転数と現在の変速ギア段から得られる減速比とに基づいて算出される。
また、例えば、エンジン回転数センサ53により検出されたエンジン回転数と、メイン軸回転数センサ56により検出されたメイン軸回転数とに基づいて、エンジン回転数とメイン軸回転数の差を算出することによりクラッチ回転数差を算出し、このクラッチ回転数差に基づいて実減少率を算出するように構成されていてもよい。
なお、上述のように、車速センサ69の検出結果からメイン軸回転数を算出するようにした場合、メイン軸回転数センサ56を省略することができるという効果が得られる。また、エンジン回転数の増減は、クラッチ回転数差の増減と略一致するため(図11〜図13参照)、エンジン回転数センサ53の検出結果のみに基づいて実減少率を取得するように構成されていてもよい。
また、ここでは、目標値設定テーブルは、スロットル開度と目標値との関係を規定するものであり、自動二輪車10は、スロットル開度に基づいて目標値が設定されるように構成されている場合について説明したが、本発明ではこれに限定されない。本発明においては、例えば、目標値設定テーブルが、エンジン回転数と目標値との関係を規定するものであり、エンジン回転数に基づいて目標値が設定されるように鞍乗型車両が構成されていてもよい。
また、ここでは、1種類の接続速度設定テーブルが記憶されている場合について説明したが、本発明では、複数種類の接続速度設定テーブルが記憶されていてもよい。例えば、シフトチェンジする先の変速ギア段に対応した複数種類の接続速度設定テーブルが記憶されていてもよいし、シフトアップまたはシフトダウンの別に応じた2種類の接続速度設定テーブルが記憶されていてもよい。
<実施形態>
本実施形態では、半クラッチ制御において、エンジン回転数の実減少率(以下、実回転数減少率ともいう)と、エンジン回転数の減少率の目標値(以下、単に目標値ともいう)とに基づいて、クラッチ接続速度が設定される場合について説明する。
図14は、本実施形態に係る半クラッチ制御処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態に係る自動二輪車を構成する各種の装置や部材は、前述の自動二輪車10と同様であるので、その説明を省略する。本実施形態に係る半クラッチ制御処理が開始されると、まず、ステップS300において、スロットル開度を取得する処理を行う。この処理は、図8に示した半クラッチ制御処理のステップS200の処理と同様であるので説明を省略する。
ステップS300の処理を実行すると、次に、ステップS310において、エンジン回転数の減少率の目標値を設定する。この処理において、ECU100は、エンジンユニット28が有するエンジンの回転数の減少率の目標値を設定する処理を行う。この目標値は、ROM91等に格納されている目標値設定テーブルに基づいて設定される。
図15は、ステップS310の処理において参照される目標値設定テーブルの一例を示す図である。図15において、横軸はスロットル開度を示しており、縦軸は設定される目標値を示している。この図に示すように、スロットル開度センサ50により検出されるスロットル開度が大きい程、上記目標値が大きい値として設定される。
ステップS310の処理を実行すると、次に、ステップS320においてエンジン回転数を取得する処理を行う。この処理は、図8に示したフローチャートのステップS220の処理と同様であるのでその説明を省略する。
ステップS320の処理を実行すると、次に、ステップS330において実回転数減少率を算出する。上記実回転数減少率は、エンジン回転数の現実の減少率であり、エンジン回転数センサ53の実際の検出結果に基づいて取得されるものである。この処理において、ECU100は、ステップS320の処理により取得されたエンジン回転数と、所定時間前に実行されたステップS320の処理により取得されたエンジン回転数とに基づいて、上記実回転数減少率を算出する。
ステップS330の処理を実行すると、次に、ステップS340においてクラッチ接続速度を設定する処理を行う。この処理において、ECU100は、ステップS310の処理により設定された目標値と、ステップS330の処理により算出された実回転数減少率と、ROM91等に格納されている接続速度設定テーブルとに基づいて、クラッチ54の接続速度を設定する。
図16は、上記接続速度設定テーブルの一例を示す図である。図16において、横軸は、ステップS310の処理により設定された目標値とステップS330の処理により算出された実回転数減少率との差を示しており、縦軸は、クラッチ54の接続速度を示している。この図に示すように、第2実施形態に係る自動二輪車では、目標値と実回転数減少率との差が大きい程、クラッチ接続速度が大きい値として設定される。
ステップS340の処理を実行すると、次に、ステップS350においてクラッチの接続を開始させる。この処理において、ECU100は、ステップS340の処理により設定されたクラッチ接続速度でクラッチアクチュエータ63にクラッチ54の接続を行わせる。
ステップS350の処理を実行すると、次に、ステップS360において、所定の半クラッチ状態が所定時間継続しているか否かを判定する。ここでは、上記所定の半クラッチ状態は、上記目標値と実回転数減少率との差が所定範囲内であり、且つ、クラッチ回転数差の減少率が所定値以下である状態に設定されている。この処理において、ECU100は、上記半クラッチ状態が所定時間にわたって続いているか否かを判定し、半クラッチ状態が所定時間継続していると判定した場合、半クラッチ制御処理を終了させる。
なお、半クラッチ状態の継続の判定は、経過時間に基づくものに限定されず、時間と等価な物理量に基づくものであってもよい。また、事象の進行に伴って一義的に変化する物理量等に基づくものであってもよい。例えば、半クラッチ状態の継続の判定は、エンジン回転数の積算値等に基づくものであってもよい。エンジン回転数の積算値が同一であっても、エンジン回転数が大きい場合には経過時間は短くなり、逆に、エンジン回転数が小さい場合には経過時間は長くなる。そのため、エンジン回転数の積算値と経過時間とは必ずしも一致するものではないが、ここでいう「継続」とは、そのようなエンジン回転数の積算値等に基づくものであってよい。
一方、ステップS360において半クラッチ状態が所定時間継続していると判定しなかった場合、次に、ステップS370において、クラッチ回転数差が所定値以下になったか否かを判定する。クラッチ回転数差が所定値以下になっていないと判定した場合、処理をステップS300に戻す。一方、クラッチ回転数差が所定値以下になったと判定した場合、半クラッチ制御処理を終了させる。
以上説明したように、本実施形態に係る自動二輪車によれば、半クラッチ制御において、エンジン回転数の減少率が目標値に近づくようにクラッチ54の接続速度が設定されるため、クラッチ54を滑らかに接続させることができ、乗車フィーリングを向上させることができるという効果を享受することが可能となる。
ところで、図14〜図16を用いて説明したように、実回転数減少率を参照しながらクラッチ接続速度の制御を行う場合、実回転数減少率が目標値と近くなっている場合であっても、車両の状態によっては、エンジン回転数が減少しているにも拘らず、それに伴ってクラッチ回転数差が減少しない事態が発生し得る。
このような事態の一例として、上り坂でアクセルを吹かしながらシフトアップ操作を行った直後に急ブレーキをした場合について説明する。急ブレーキの後、実回転数減少率は、目標値に近づくように緩やかに増加していく(エンジン回転数が減少していく)一方で、車速は急低下する。その結果、エンジン回転数の減少速度よりも、メイン軸回転数の減少速度が大きくなってしまうため、クラッチ回転数差は増加してしまう。すなわち、エンジン回転数が減少していくにも拘らず、クラッチ回転数差が増加してしまう状態となってしまう。この状態においては、実回転数減少率が目標値と略等しくなってクラッチ接続速度が略0(図16参照)になり、クラッチ位置が保持されている状態で、クラッチ回転数差が増加してしまうため、クラッチ接続工程(図7のステップS160参照)に移行しないで半クラッチ状態が延々と続いてしまうことになる。
しかし、本実施形態では、図14に示した半クラッチ制御処理におけるステップS360の処理によって、半クラッチ状態が所定時間継続しているか否かを、エンジン回転数の減少率とクラッチ回転数差の減少率とから判定し、半クラッチ状態が所定時間継続していると判定した場合には、半クラッチ制御を終了させ、クラッチ接続工程(図7、ステップS160参照)に移行させるように構成されている。そのため、エンジン回転数が減少しているにも拘らず、半クラッチ状態が延々と続いてしまうことを防止することができる。なお、半クラッチ状態が所定時間継続していると判定された後のクラッチ接続工程においては、クラッチ54を低速で接続させることが望ましい。クラッチ接続時のショックを低減させることができるからである。
ここでは、1種類の接続速度設定テーブルが記憶されている場合について説明したが、複数種類の接続速度設定テーブルが記憶されていてもよい。例えば、シフトチェンジする先の変速ギア段に対応した複数種類の接続速度設定テーブルが記憶されていてもよいし、シフトアップまたはシフトダウンの別に応じた2種類の接続速度設定テーブルが記憶されていてもよい。
<その他の発明>
(第1の発明)
駆動側動力伝達機構と従動側動力伝達機構との間に介在する摩擦クラッチと、
変速機と、
電動式のアクチュエータを有し、前記摩擦クラッチの断続および前記変速機のギアチェンジを行う自動変速装置と、
前記摩擦クラッチの駆動側部分または前記駆動側動力伝達機構の回転数である駆動側回転数と、前記摩擦クラッチの従動側部分または前記従動側動力伝達機構の回転数である従動側回転数との差で定義されるクラッチ回転数差の減少率を取得する減少率取得装置と、
前記減少率取得装置により取得されたクラッチ回転数差の減少率が所定の目標値になるように、前記摩擦クラッチの接続速度を設定する接続速度設定装置と、
前記接続速度設定装置によって設定された接続速度で前記摩擦クラッチを接続させるように、前記アクチュエータの駆動制御を行う制御装置と、
を備えた自動変速制御装置。
(第2の発明)
前記接続速度設定装置は、前記目標値と前記減少率取得装置により取得されたクラッチ回転数差の減少率との差が大きい程、前記摩擦クラッチの接続速度を大きく設定する、第1の発明に係る自動変速制御装置。
(第3の発明)
スロットル開度を検出するスロットル開度検出装置を備え、
前記目標値は、前記スロットル開度検出装置により検出されたスロットル開度に応じて設定される、第1の発明に係る自動変速制御装置。
(第4の発明)
前記スロットル開度検出装置により検出されたスロットル開度が大きい程、前記目標値が高く設定される、第3の発明に係る自動変速制御装置。
(第5の発明)
前記摩擦クラッチの駆動側にエンジンが設けられ、前記摩擦クラッチの従動側にメイン軸が設けられ、
エンジン回転数を取得するエンジン回転数取得装置と、
メイン軸回転数を取得するメイン軸回転数取得装置と、を備え、
前記減少率取得装置は、前記エンジン回転数取得装置により取得されたエンジン回転数と、前記メイン軸回転数取得装置により取得されたメイン軸回転数とに基づいて、クラッチ回転数差の減少率を算出する、第1の発明に係る自動変速制御装置。
(第6の発明)
前記エンジンはクランク軸を備え、
前記エンジン回転数取得装置は、前記エンジンのクランク軸の回転数を検出するエンジン回転数センサである、第5の発明に係る自動変速制御装置。
(第7の発明)
前記メイン軸回転数取得装置は、メイン軸に設けられたメイン軸回転数センサである、第5の発明に係る自動変速制御装置。
(第8の発明)
前記メイン軸には、前記変速機を介してドライブ軸が連結され、
前記メイン軸回転数取得装置は、前記ドライブ軸に設けられた車速センサを備え、前記車速センサにより検出されるドライブ軸回転数と前記変速機におけるギア段とに基づいてメイン軸回転数を算出する、第5の発明に係る自動変速制御装置。
(第9の発明)
駆動輪を有する車両に搭載され、
前記メイン軸回転数取得装置は、前記駆動輪の回転数を検出する駆動輪回転数センサを備え、前記駆動輪回転数センサにより検出される駆動輪の回転数と前記変速機におけるギア段とに基づいてメイン軸回転数を算出する、第5の発明に係る自動変速制御装置。