JP5213306B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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本発明は、カーボンブラックの含有量が互いに異なる少なくとも3種のブラックインクを有するインクセットを用いる画像形成方法に関する。
インクジェット記録方法は、インクの小滴を吐出して、紙等の記録媒体にインクを付与して記録を行うものである。特に、吐出エネルギー供給手段として電気熱変換体を用い、熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることにより液滴を発生する方式のインクジェット記録方法によれば、下記のような優れた効果が得られる。即ち、上記したサーマルインクジェット記録方法では、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化を容易に実現することができ、高解像度及び高品位の画像を高速で記録することができる(例えば、特許文献1乃至3参照)。
近年、これらのインクジェット記録技術は、より広範に利用されるようになってきており、様々な用途で使用可能なインクが求められている。特に、堅牢性を重視する用途では、色材としてカーボンブラック等の顔料を用いた顔料インクが利用されている。これら顔料インクの用途においても、単に美麗な有色画像を形成することに留まらず、モノクロ画像の階調性やハーフトーンを美麗に形成することも求められている。
上記したような要求を満たすために、カーボンブラックの含有量が段階的に異なる複数のブラックインクを用いることが提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。これにより、シャドー部等の暗色に対する色再現性や、グレーの階調性の向上、グレーバランスの安定性、更には、メタメリズム(分光反射率が異なる2つの色が特定の光源下で同じ色に見えること。条件等色ともいう)を解消できることが記載されている。
尚、本発明では、以後、カーボンブラックの含有量が通常であるインクをブラックインクと呼び、カーボンブラックの含有量が、通常のものよりも少ないインクをライトブラックインクと呼ぶ。
又、画像の帯赤色性や帯黄色性の低減、ゴールデングロス現象の低減、位相ずれ、更には、グレーバランスの安定性やメタメリズムの向上を目的として、顔料の含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクをセットとして用いる提案がある(例えば、特許文献6乃至9参照)。更に、2種以上のライトブラックインクを通常のインクセットに加えた提案においては、下記のような種々の形態のインクセットが記載され、上述の色味や色相に関する課題に対して改善する効果を得ていると記載されている。例えば、ブラックインクにカーボンブラック以外の別の色材を含ませたり、ライトシアンやライトマゼンタを加えた組み合わせとしたり、レッド・グリーン・バイオレット・オレンジの各色インクを加えた組み合わせとしたインクセットが記載されている。又、樹脂エマルジョンを加えたインクセットとすることが記載されている。
上記した従来技術において、通常のインクセットに2種以上のライトブラックインクを加えたインクセットとしたのは、下記の理由による。即ち、カーボンブラックの含有量に関して、インクセットに単に1種のライトブラックインクを加えた場合に比較して、更に1種を加えて全部で3種の異なる顔料の含有量である同色調のインクに分けられるため、これによって得られる画像の階調性の向上や、粒状性の低下に対してより有利であるとする思想に基づいている。そして、上記従来技術においては、3つの顔料の含有量に分けた場合のインク中における具体的なカーボンブラックの含有量の範囲は、それぞれ下記の範囲であることが好ましいと規定されている。先ず、カーボンブラックの含有量が最も少ないブラックインクでは、インクの全質量を基準として0.01質量%以上0.4質量%以下であることが好ましいとされている。又、カーボンブラックの含有量が中間である中間階調用ブラックインクでは、インクの全質量を基準として0.4質量%以上1.5質量%以下であることが好ましいとされている。又、カーボンブラックの含有量が最も高く、濃いブラックインクでは、インクの全質量を基準として1.5質量%以上10質量%以下の範囲であることが好ましいとされている。
特公昭61−59911号公報 特公昭61−59912号公報 特公昭61−59914号公報 特開平11−48502号公報 特開2003−238857号公報 特開2004−027127号公報 特開2004−099657号公報 特開2004−225036号公報 特開2004−250519号公報
本発明者らは、インク中におけるカーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクをインクセットとして用いて記録媒体に画像を形成することについて検討したところ、顔料インク特有の課題が生じることが分かった。即ち、本発明者らは、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種ブラックインクを組み合わせて画像を形成した際に、目視で確認できる程度の著しい光沢ムラが生じる場合があることを認識した。「光沢ムラ」とは、形成された画像部分において、光沢感が視覚的に異なって感じられる部分があることを言う。そこで本発明者らは、上記した課題の原因を追求することを目的として詳細に検討を行った。その結果、カーボンブラック含有量が異なる各ブラックインクにおけるカーボンブラックの含有量の関係と、各ブラックインクを記録媒体へ付与する順序が、形成した画像の光沢ムラの発生に大きな影響を及ぼすことを見いだした。本発明者らは、かかる知見を踏まえて、カーボンブラックの含有量が異なる3種以上のブラックインクを用いて画像を形成する際に発生する光沢ムラを低減する必要があり、かかる課題を解決し得るインクセットを開発すべきとの結論に至った。
先に述べたように、従来の技術においても、2種又は3種以上のブラックインクを有するインクセットが提案されており、これらのブラックインクにおける好ましい顔料の含有量の範囲が2段階や3段階に分類されている。しかし、これらの従来技術は、単にモノクロ画像の階調性の改善、黒濃度の実現に着目して規定しただけのものであった。即ち、これらの従来技術では、インクセットを構成する各ブラックインクを記録媒体へ付与する順序によって記録媒体にインクを付与した後の記録媒体上における顔料の凝集状態に大きな違いが生じること、これが画像の光沢ムラの発生に影響することについては、何らも認識されていない。
そのため、上記したような従来の技術では、顔料インクを用いたインクジェット記録における、インクを記録媒体に付与する順序によって形成した画像に生じる光沢ムラという課題を改善することはできない。
又、従来の3種以上のブラックインクの組み合わせを含んでなるインクセットの技術では、インクセットを構成する各インク中のカーボンブラックの含有量に着目し、これを光沢ムラの低減の達成に関連づけて検討した報告は全くなされていない。
更に、インク中のカーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のインクを有するインクセットにおいて、これまで、カーボンブラックの含有量が多いブラックインクに対する、カーボンブラックの含有量が少ないブラックインク及びカーボンブラックの含有量が中間であるブラックインクの、それぞれの含有量の関係について検討し、その結果を報告した例は知られていない。
したがって、本発明の目的は、ブラックインクを用いて画像を形成する際の従来からの課題であるモノクロ画像の階調性の改善は勿論、高い黒濃度の実現を達成すると同時に、更には、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを用いて画像を形成する際に生じる光沢ムラの発生という新たな課題を解決することができる画像形成方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。本発明の画像形成方法は、インク中におけるカーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを組み合わせて用いて記録媒体に画像を形成する画像形成方法において、前記記録媒体に前記少なくとも3種のブラックインクを付与する順番が、印字パスの往路及び復路で異なり、前記少なくとも3種のブラックインクが、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2、及び、カーボンブラックの含有量が前記ブラックインクBk1よりも少なく且つ前記ライトブラックインクLk2よりも多いライトブラックインクLk1であり、前記ブラックインクBk1、前記ライトブラックインクLk1、及び前記ライトブラックインクLk2が、それぞれ樹脂を含有し、前記ライトブラックインクLk1及び前記ライトブラックインクLk2が、それぞれ更に有機顔料を含有し、前記ブラックインクBk1及び前記ライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)が、3.5以上9.0以下であり、前記ブラックインクLk1及び前記ライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)が、2.0以上4.0以下であり、更に、前記ブラックインクBk1におけるカーボンブラックの含有量が、ブラックインクBk1全質量を基準として、2.5質量%以上4.5質量%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを用いて画像を形成することについて詳細に検討したところ判明した新たな課題、即ち、画像の光沢ムラという課題が解決される。又、本発明によれば、ブラックインクを用いて画像を形成する際の従来からの課題であるモノクロ画像の階調性の改善し、高い黒濃度の実現の達成、更には、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを用いて画像を形成する際に生じる光沢ムラという新たな課題を解決することができる画像形成方法を提供することができる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明者らは上記したような従来技術に対して、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを有するインクセットにおいて、顔料インクに特有である“凝集”という現象に対して検討を行った。この結果、カーボンブラックを用いた顔料インクは、インク中に微細な粒子が集まった2次粒子が存在するため、色材に有機顔料を用いたインクと比較して、記録媒体上におけるカーボンブラックの凝集状態をコントロールすることで光沢ムラを低減することが非常に困難であることがわかった。このため、カーボンブラックの含有量が異なる3種以上のブラックインクを組み合わせたインクセットを用いて画像を形成する際には、各ブラックインクにおけるカーボンブラックの含有量の関係を的確にコントロールする必要があると認識し、本発明を為すに至った。
尚、本発明者らの検討によれば、カーボンブラックの含有量が異なる3種以上のブラックインクを組み合わせたインクセットを用いて画像形成した場合に光沢ムラが発生する原因は、以下に説明する2種類の現象に分けられる。本発明においては、これらの2つの現象をまとめて「光沢ムラ」と呼ぶ。先ず、1点目の「光沢ムラ」とは、以下のことを言う。インクを構成する成分の記録媒体への浸透速度が大きいインクを記録媒体に最初に付与すると、記録媒体上におけるカーボンブラックの凝集状態が部分的に異なることにより、光沢性が不均一となり、画像に光沢性の違いとして目視で確認できる「もや状のもの」が発生する。又、2点目の「光沢ムラ」とは、以下のことを言う。例えば、図5(a)に示すような構成を有するヘッド、即ち非対称ヘッドを用いて画像を形成する際に、印字パスの往路と復路ではインクを記録媒体に付与する順序が異なる。このため、往路で形成した画像と復路で形成した画像において、光沢性が異なり、画像に光沢性の違いとして目視で確認できる「帯状のムラ」が発生する。これらの光沢ムラが発生するメカニズムについては後に詳細に説明する。
本発明者らは、上記「光沢ムラ」を解決し得るインクの構成に付いて鋭意検討を行った。この結果、カーボンブラックの含有量が異なる3種類以上のインクをセットで用いて画像形成した場合の「光沢ムラの発生の抑制」という新たな課題に対して、各ブラックインクに樹脂微粒子を添加することや該樹脂微粒子の含有量を調整するといった手段を採用することなく、各ブラックインク中におけるカーボンブラックの含有量の関係を最適化することだけで解決できるインクセットの構成を見いだした。更に、かかる構成のインクセットとすることで、従来からの課題であるモノクロ画像の階調性の改善や、高い黒濃度の実現までもが可能となることがわかった。
即ち、本発明は、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを有するインクセットを用いて画像を形成する際に、顔料インクに特有に生じる現象、即ち、各ブラックインクを記録媒体に付与した後の記録媒体上におけるカーボンブラックの凝集状態に着目して検討を行った結果、判明した知見に基づいてなされたものである。
尚、本発明のインクセットのカーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクについての主たる構成は、これらの各インクにおける下記の関係を十分に鑑みて、インクが記録媒体に付与された後のインクの定着のメカニズムに関して詳細に検討した結果得られたものである。即ち、本発明のインクセットを構成する3種のインクを、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクをBk1、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクをLk2、及び、カーボンブラックの含有量が上記ブラックインクBk1よりも少なく且つ上記ライトブラックインクLk2よりも多いライトブラックインクLk1とする。そして、この場合に、上記ブラックインクBk1におけるカーボンブラックの含有量が、該インクBk1全質量を基準として(インクBk1中に占めるカーボンブラックの質量%)、2.5質量%以上4.5質量%以下であるインクセットにおいて、該インクBk1及び上記ライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)の関係、更には、上記ライトブラックインクLk2及び上記ライトブラックインクLk1のカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)の関係を十分に鑑みて検討した結果得られたものである。
更に、本発明者らは、本発明のインクセットを用いて記録媒体上に画像を形成する際において、如何にすれば記録媒体上におけるカーボンブラックの凝集状態が適切となるかについて検討を行った。即ち、インクセットとする各インクの構成を如何に制御すれば、光沢ムラが低減された画像となり、優れた品位の画像を得ることが可能になるかについて検討を行った。その結果、上記した本発明の主たる構成のインクの組み合わせにおいて、各ブラックインクが、カーボンブラックと樹脂を共に含有することで、記録媒体上におけるカーボンブラックの凝集状態を的確にコントロールできることを知見し、本発明に至ったものである。
尚、本発明における“光沢ムラの低減”とは、画像に光沢性の違いとして目視で確認できる「もや状のもの」、及び、印字パスの往路と復路で画像の光沢性が高い部分と低い部分が明らかに生じ、目視で確認できる「帯状のムラ」、をそれぞれない状態にすること、をいう。
ここで、インクジェット記録方法によって画像を形成する際に用いるインクが、色材として染料を用いた染料インクである場合と比較して、顔料インクである場合、得られる画像の光沢性は劣るものとなる。これは、顔料インクを記録媒体に付与すると、インク中に分散されている顔料粒子が凝集した状態で記録媒体に定着するために、記録媒体上において凹凸が生じる結果、光が乱反射することが原因と考えられる。
先ず、図1(a)及び(b)を用いて、それぞれ顔料インク及び染料インクを用いて画像を形成した場合に、インクが記録媒体に付与されてから記録媒体に定着するまでの状態を説明する。図1(a)は、顔料インクがインクジェット記録方法によって記録媒体に付与されてから、記録媒体に定着するまでの様子の一例を示す模式図である。一方、図1(b)は、染料インクがインクジェット記録方法によって記録媒体に付与されてから、記録媒体に定着するまでの様子の一例を示す模式図である。ここでは、顔料がカーボンブラックを含有するインクを例にとって説明する。
図1(a)において、顔料インクの液滴101には、カーボンブラック102及びその他の水性媒体等の液体成分103が含まれている。そして、顔料インクの液滴101が記録媒体100に付与された後、顔料インクを構成する液体成分103は、記録媒体100のインク受容層の内部に浸透する。この際、カーボンブラック102の一部は液体成分103と同様に記録媒体100のインク受容層の内部に浸透するものもある。しかし、カーボンブラック102の大半は、記録媒体100のインク受容層の内部には浸透せずに、記録媒体100の表面上に凝集した状態で定着する。
一方、図1(b)において、染料インクの液滴104には、染料105が、インク中の水性媒体等の液体成分103中に均一に溶解している。そして、染料インクの液滴104が記録媒体100に付与された後、染料105及び液体成分103は記録媒体100のインク受容層の内部に共に浸透する。
この時、顔料インク及び染料インクをそれぞれ用いて形成した画像の光沢性は異なるものとなる。即ち、上記で図1(b)を用いて説明したように、染料インクの場合には、染料105はインク中に溶解した状態で存在する。このため、染料インクを記録媒体100に付与すると、記録媒体100上においては、図1(a)を用いて説明したカーボンブラックのように、記録媒体の表面上に凝集することはない。このため、画像の光沢性は、記録媒体100そのものが有する光沢性に近いものとなる。この場合、優れた光沢を有する記録媒体を用いると、画像の光沢性は優れたものとなる。
一方、図1(a)を用いて上記で説明したように、顔料インクの場合には、カーボンブラック102がインク中に分散した状態で存在する。このため、顔料インクを記録媒体100に付与すると、記録媒体100上において、その表面上に凝集した状態となる。これは、カーボンブラック102の粒子径が記録媒体100のインク受容層の細孔径と比較して相対的に大きく、したがって、カーボンブラック102の大半は記録媒体100のインク受容層の内部には浸透せずに、記録媒体100の表面上に凝集した状態で定着するからである。このため、画像の光沢性は、記録媒体100の表面上に定着したカーボンブラック102の凝集により生じる凹凸の度合いに依存する。この場合は、優れた光沢を有する記録媒体を用いても、画像の光沢性は劣ったものとなりやすい。
ここで、本発明のようにカーボンブラックの含有量が異なる複数のインクを用いて画像を形成した場合には、記録媒体100の表面上におけるカーボンブラックの凝集状態は、各インク中のカーボンブラックの含有量によってそれぞれ異なったものになる。そして、このことが画像の光沢ムラに影響すると考えられる。
図2(a)乃至(c)を用いて、カーボンブラックの含有量が異なる3種類のインクを、それぞれ単独で用いて画像を形成する場合に、インクが記録媒体に付与されてから記録媒体に定着するまでの状態を説明する。図2(a)は、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2がインクジェット記録方法によって記録媒体に付与されてから、記録媒体に定着するまでの様子の一例を示す模式図である。図2(b)は、カーボンブラックの含有量が中間であるライトブラックインクLk1がインクジェット記録方法によって記録媒体に付与されてから、記録媒体に定着するまでの様子の一例を示す模式図である。図2(c)は、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1がインクジェット記録方法によって記録媒体に付与されてから、記録媒体に定着するまでの様子の一例を示す模式図である。
図2(a)において、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2の液滴201には、カーボンブラック202及びその他の水性媒体等の液体成分203が含まれている。そして、ライトブラックインクLk2の液滴201が記録媒体200に付与された後、ライトブラックインクLk2を構成する液体成分203は記録媒体200のインク受容層の内部に浸透する。この際、カーボンブラック202は記録媒体200の表面上に凝集した状態で定着する。ここで、ライトブラックインクLk2はカーボンブラックの含有量が少ないため、インクの記録媒体への付与量が少ない場合には、画像の光沢性は記録媒体200そのものが有する光沢性に近いものとなる。又、インクの記録媒体への付与量が多くなるのにしたがって、記録媒体200の表面上に凝集した状態で定着するカーボンブラックの量は増えていく。しかし、ライトブラックインクLk2はカーボンブラックの含有量が少ないため、記録媒体200の表面上に定着したカーボンブラック202の凝集により生じる凹凸の度合いは低く抑えられる。その結果、画像の光沢性は記録媒体200そのものが有する光沢性よりは多少劣る程度のものが得られる。
図2(b)において、カーボンブラックの含有量が中間のライトブラックインクLk1の液滴204には、カーボンブラック202及びその他の水性媒体等の液体成分203が含まれている。尚、ライトブラックインクLk1のカーボンブラックの含有量は、前述のライトブラックインクLk2よりも多く、後述するブラックインクBk1よりも少ない。そして、ライトブラックインクLk1の液滴204が記録媒体200に付与された後、ライトブラックインクLk2を構成する液体成分203は記録媒体200のインク受容層の内部に浸透する。この際、カーボンブラック202は記録媒体200の表面上に凝集した状態で定着する。ここで、ライトブラックインクLk1はカーボンブラックの含有量がある程度少ないため、インクの記録媒体への付与量が少ない場合には、画像の光沢性は記録媒体200そのものが有する光沢性にある程度近いものとなる。又、インクの記録媒体への付与量が多くなるのにしたがって、記録媒体200の表面上に凝集した状態で定着するカーボンブラックの量は増えていく。しかし、ライトブラックインクLk1はカーボンブラックの含有量は少ないが、ライトブラックインクLk2のカーボンブラックの含有量よりは多い。このため、記録媒体200の表面上に定着したカーボンブラック202の凝集により生じる凹凸の度合いは、ライトブラックインクLk2を用いる場合よりはある程度高くなるが、後述するブラックインクBk1を用いる場合よりは低く抑えられる。その結果、画像の光沢性は記録媒体200そのものが有する光沢性よりは劣るが、ある程度の光沢性は得られる。
図2(c)において、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1の液滴205には、カーボンブラック202及びその他の水性媒体等の液体成分203が含まれている。ここで、ブラックインクBk1は、十分な画像濃度(黒濃度)の画像を得るために十分な量のカーボンブラックを含有するものとする必要がある。そして、ブラックインクBk1の液滴205が記録媒体200に付与された後、ブラックインクBk1を構成する液体成分203は記録媒体200のインク受容層の内部に浸透する。この際、カーボンブラック202は記録媒体200の表面上に凝集した状態で定着する。ここで、ブラックインクBk1は上記した理由により、カーボンブラックの含有量が多い。このため、インクの記録媒体への付与量が少ない場合であっても、記録媒体200の表面上に凝集した状態で定着するカーボンブラックの量は多く、更にはカーボンブラック同士が重なり合って凝集する。このため、記録媒体200の表面上に定着したカーボンブラック202の凝集により生じる凹凸の度合いは高くなり、光の散乱等が生じる。その結果、画像の光沢性は上記したライトブラックインクLk1やライトブラックインクLk2の場合と比較して、低くなる。
そのため、上記したような特徴を持ち、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを用いて画像を形成する際には、それぞれのブラックインクの特徴を十分考慮しなければならない。
更に、本発明者らは、これらのカーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを用いて画像を形成する際には、インクの付与順序や付与量の関係が、画像の光沢性に大きな影響を及ぼすという知見を得た。このことは、カーボンブラックの含有量が異なる各ブラックインクの定着の様子、即ち、インクを構成する水性媒体等の液体成分の記録媒体への浸透と、カーボンブラックの凝集の関係について詳細に検討した結果、得られたものである。
カーボンブラックの含有量が異なる3種以上のブラックインクを用いて画像を形成する際には、一般に、濃い黒の画像部分と薄い黒の画像部分、更には、ハーフトーンの画像を形成する際に用いるブラックインクは、以下のような組み合わせで用いて、モノクロ画像の十分な階調性を表現することが行われる。即ち、各ブラックインクを単独で用いる場合と、2種又は3種のブラックインクを組み合わせて用いる場合がある。しかし、カーボンブラックの含有量が異なる複数のブラックインクを用いて画像を形成した際に得られる画像の光沢性は、各インクを単独で用いて画像を形成した場合とは異なるものであり、更には、印字パスに起因する画像の光沢性も異なるものである。この現象は以下のように説明される。
図3(a)及び(b)を用いて、従来のカーボンブラックの含有量が異なる3種のブラックインクを用いて画像を形成する場合に、インクが記録媒体に付与されてから記録媒体に定着するまでの状態を説明する。尚、図3(a)及び(b)において、カーボンブラック302の含有量が最も少ないライトブラックインクLk2を301、カーボンブラック302の含有量が最も多いブラックインクBk1を305、カーボンブラック302の含有量が中間であるライトブラックインクLk1を304として示す。
尚、ここで、「従来のカーボンブラックの含有量が異なる3種のブラックインク」とは、3種のブラックインクの組み合わせが、下記の(1)乃至(3)の少なくとも何れか1つの条件を満たさないことをいう。これは即ち、本発明のインクセットの主たる構成を満たしていないことを意味する。
(1)カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1において、カーボンブラックの含有量が2.5質量%以上4.5質量%以下であること。
(2)カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1と、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2のカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)が3.5以上9.0以下であること。
(3)カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2と、カーボンブラックの含有量が前記ブラックインクBk1よりも少なく且つ前記ライトブラックインクLk2よりも多いライトブラックインクLk1の、インク中におけるカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)が、2.0以上4.0以下であること。
図3(a)は、インクの液滴を記録媒体に付与する順序を、先ず、ライトブラックインクLk2の液滴301、次に、ライトブラックインクLk1の液滴304、最後に、ブラックインクBk1の液滴305、として画像を形成した様子の一例を示す模式図である。又、図3(b)は、インクの液滴を記録媒体に付与する順序を、先ず、ブラックインクBk1の液滴305、次に、ライトブラックインクLk1の液滴304、最後に、ライトブラックインクLk2の液滴301、として画像を形成した様子の一例を示す模式図である。
図3(a)において、先ず、ライトブラックインクLk2の液滴301、次に、ライトブラックインクLk1の液滴304、最後に、ブラックインクBk1の液滴305、の順序で各ブラックインクの液滴を記録媒体に付与する場合、以下に述べるような状態となる。最初に記録媒体303に付与されたライトブラックインクLk1の液滴301を構成する液体成分303は、記録媒体300のインク受容層の内部に素早く浸透し、カーボンブラック302と液体成分303との分離が素早く行われ、カーボンブラック302が記録媒体300の表面上に凝集した状態で定着する。そして、記録媒体300に定着したカーボンブラック302は早い段階で乾燥した状態となり、その結果、インク受容層を塞ぐような状態になると考えられる。このため、ライトブラックインクLk2の後に記録媒体300に付与されたライトブラックインクLk1の液滴304及びブラックインクBk1の液滴305を構成する液体成分303は、記録媒体300のインク受容層の内部への浸透が起きにくくなる。その結果、カーボンブラック302は、記録媒体300の表面上への定着の際に均一な凝集状態が得られず、部分的に凹凸が生じ易い。この部分的に生じた凹凸の度合いによって、光沢性の高い部分と光沢性の低い部分が存在するようになる、即ち、光沢ムラが生じる。
一方、図3(b)において、先ず、ブラックインクBk1の液滴305、次に、ライトブラックインクLk1の液滴304、最後に、ライトブラックインクLk2の液滴301、の順序で各ブラックインクの液滴を記録媒体に付与する場合、以下に述べるような状態となる。最初に記録媒体303に付与されたブラックインクBk1の液滴305を構成する液体成分303は、記録媒体300のインク受容層の内部に浸透し、カーボンブラック302と液体成分303との分離が行われ、カーボンブラック302が記録媒体300の表面上に凝集した状態で定着する。そして、記録媒体に定着したカーボンブラック302は早い段階で乾燥した状態となり、その結果、インク受容層を塞ぐような状態になると考えられる。このとき、ブラックインクBk1を先に記録媒体に付与する場合は、上記図3(a)で説明したライトブラックインク301を先に記録媒体に付与する場合と比較して、記録媒体300のインク受容層の内部に浸透する速度が遅い。そのため、ブラックインクBk1の液滴305を構成するカーボンブラック302が、記録媒体300のインク受容層を塞ぐような状態は起きにくくなる。このため、ブラックインクBk1の後に記録媒体300に付与されたライトブラックインクLk1の液滴304及びライトブラックインクLk2の液滴301を構成する液体成分303は、記録媒体300のインク受容層の内部へ浸透しやすい。その結果、カーボンブラック302は、記録媒体300の表面上への定着の際に、上記図3(a)の場合と比較して、均一な凝集状態がある程度得られやすい。しかし、色材として顔料であるカーボンブラックを用いたインクで形成された画像であるため、画像の光沢性は全体的にあまり高くない。
図3(a)と(b)との比較から、同じ3種のブラックインクを用いて、該3種のブラックインクを記録媒体に付与する順序を変更するだけであるにもかかわらず、両画像は、記録媒体300の表面上におけるカーボンブラックの凝集状態は大きく異なることがわかる。この結果、カーボンブラックの含有量が異なる3種のインクを記録媒体に付与する順序によって、画像の光沢性に大きく違いが生じることも分かる。更に、光沢を有する記録媒体のように、記録媒体のインク受容層の細孔径が、カーボンブラックの粒子径よりも十分に小さい場合には、最初に記録媒体に付与されたインクと、次に記録媒体に付与されたインクとでは、インク中の液体成分の浸透速度に違いが生じ、その結果、記録媒体の表面上におけるカーボンブラックの凝集状態に違いが生じる。
このように、画像を形成する際に、階調性の向上等を目的としてカーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを用いる場合、各ブラックインクを記録媒体に付与する順序は上記で説明した図3(a)及び図3(b)の他に幾つかの順序が考えられる。しかし、何れにせよ各ブラックインクを記録媒体に付与する順序によって、得られる画像の光沢性に差が生じてしまう。上記したような現象は、非対称ヘッド(図6(a)参照)を用いて画像を形成する場合、印字パスの往路と復路で記録媒体にインクを付与する順番が変わるため、図3(c)に示すような帯状に光沢性が異なる状態として顕著に現れる。
ここで、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを用いて画像を形成する際に、各ブラックインクを記録媒体に付与する順序が変わることにより発生する光沢ムラは、例えば、図6(b)に示すような構成のヘッド、即ち、対称ヘッドを用いることで対応することもできる。図6(b)に示したような対称ヘッドを用いれば、印字パスの往路及び復路においてインクを記録媒体に付与する順序を常に同じ順序にすることが可能となる。しかし、本発明の構成を満足する少なくとも3種のブラックインクの組み合わせとすることで、図6(a)に示すような非対称ヘッドを用いる場合であっても(つまり、記録媒体に対するインクの付与順が印字パスの往路及び復路で異なる場合であっても)、光沢ムラが十分に低減された画像を得ることができる。尚、図6(a)及び(b)においては、各ブラックインクの吐出口列が1つのチップに搭載された例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。又、各ブラックインクの吐出口列の並び順に関しても、図6(a)及び(b)に限定されるものではない。
図4(a)は、カーボンブラックの含有量が異なる3種のブラックインクが、記録媒体に浸透する速度を示すグラフである。尚、図4(a)において、横軸は時間[単位ms]、縦軸は転移量[mL/m2]である。尚、転移量とは記録媒体に対するインクを構成する液体成分の転移量のことである。インク中におけるカーボンブラックの含有量と、各インクを構成する液体成分が記録媒体に浸透する速度の関係は、カーボンブラックの含有量が異なる複数のブラックインクが、記録媒体に浸透する速度をそれぞれに測定することにより示される。浸透速度の測定にはブリストウ法を、又、記録媒体は、光沢性を有する記録媒体であるスーパーフォトペーパーSP−101(キヤノン製)を用いた。
図4(a)においては、カーボンブラックの含有量をそれぞれ、2.5質量%、0.80質量%及び0.25質量%として、その他のインク構成成分を同じにした3種のインクを例にとって比較した。尚、これら3種のインク間におけるカーボンブラックの含有量の関係は、本発明の構成を満足しないものである。図4(a)において、401(■)は、カーボンブラックの含有量が最も少ない0.25質量%のインク(ライトブラックインクLk2に相当する)の浸透速度を示す。又、図中の402(▲)は、カーボンブラックの含有量が3種のインクの中間である0.8質量%のインク(ライトブラックインクLk1に相当する)の浸透速度を示す。又、図中の403(●)は、カーボンブラックの含有量が最も多い2.5質量%のインク(ブラックインクBk1)の浸透速度を示す。ブリストウ法を用いて測定したインクの転移量及び時間との関係から、各ブラックインクの記録媒体への浸透速度がわかる。図4(a)をみると、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインク401(■)の浸透速度が、3種のインク中では最も大きく、カーボンブラックの含有量が、最も多いブラックインク403(●)の浸透速度が、3種のインク中では最も小さいことがわかる。
図4(b)は、インクセットを構成する3種のブラックインクのうち、浸透速度の差が最も大きいブラックインクBk1とライトブラックインクLk2とのカーボンブラック含有量の関係が、本発明で規定するBk1/Lk2の値を満たすものと満たさないものを比較したグラフである。図4(b)において、401(■)は、カーボンブラックの含有量が最も少ない0.25質量%のインク(ライトブラックインクLk2に相当する)の浸透速度を示す。404(◇)は、カーボンブラックの含有量が0.4質量%のインク(ライトブラックインクLk2に相当する)の浸透速度を示す。又、図中の403(●)は、3種のインクのそれぞれの組み合わせで使用したカーボンブラックの含有量が2.5質量%と、3種のインク中で最も多いインク(ブラックインクBk1に相当する)の浸透速度を示す。ここで、カーボンブラックの含有量が0.4質量%であるライトブラックインクLk2(◇)は、2.5質量%であるブラックインクBk1(●)に対する関係でBk1/Lk2の値が本発明の構成を満たしている。又、カーボンブラックの含有量が0.25質量%であるライトブラックインクLk2(■)は、2.5質量%であるブラックインクBk1(●)に対する関係で、Bk1/Lk2の値が本発明の構成を満たさない。図4(b)で、Bk1/Lk2の値が本発明の構成を満たすものと満たさないものを比較すると、本発明の構成を満たす場合は、ブラックインクBk1とライトブラックインクLk2との浸透速度の差が小さくなることがわかる。
本発明者らは、上記したようなインクの記録媒体への浸透速度と、記録媒体の表面上へのカーボンブラックの凝集状態の関係について検討した。その結果、インクセットを構成するブラックインクのうち、浸透速度の差が最も大きいブラックインクBk1と、ライトブラックインクLk2との関連において、両者におけるブラックインクの記録媒体への浸透速度の差を小さくすることで、カーボンブラックの凝集速度の差を小さくできることを知見した。更には、凝集速度の差を緩和することで、各ブラックインクの記録媒体への付与順の違いによらずに、より均一なカーボンブラックの凝集状態を得ることができることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、前述したような構成とすることで、従来の、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを有するインクセットでは達成し得なかった、画像の光沢ムラの低減を実現したものである。
本発明のインクセットおいて、上記したような効果が得られる理由は明らかでないが、本発明者らは以下のように推測している。即ち、カーボンブラックの含有量が異なる3種類以上のブラックインクの組み合わせを、以下に挙げる全ての要件を満足したものとすることによって初めて、画像の光沢ムラの低減という効果が顕著に実現できたものと考えている。先ず、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを有するインクセットにおいて、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1と、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2と、カーボンブラックの含有量が前記ブラックインクBk1よりも少なく且つ前記ライトブラックインクLk2よりも多いライトブラックインクLk1の少なくとも3種のブラックインクを有する組み合わせとする。更に、上記の、ブラックインクBk1、ライトブラックインクLk1、及びライトブラックインクLk2を、それぞれ樹脂を含有してなるインクとする。更に、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1と、インク中におけるカーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2との関係を、インク中におけるそれぞれのカーボンブラックの含有量の比率(Bk1/Lk2)が、3.5以上9.0以下となるようにする。上記した各要件について、以下に詳しく説明する。
先ず、3種のインクの中で、最も記録媒体への浸透速度の差が大きいインクの組み合わせである、ライトブラックインクLk2とブラックインクBk1の構成が以下のようになるようにする。即ち、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2と、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1との関係が、両インク中におけるそれぞれのカーボンブラックの含有量の比率(Bk1/Lk2)を求めた場合に、3.5以上9.0以下となるようにする。このような関係にある2種類のインクを使用することにより、これらのインクの何れかが、最初に又は最後に、記録媒体に付与される場合においても、インクの記録媒体への浸透状態の差を緩和することができる。その結果、インクが記録媒体に付与された後の、記録媒体の表面上におけるカーボンブラックの凝集状態の差が緩和される。この結果、インクの記録媒体への付与順序によるカーボンブラックの凝集状態の違いが生じにくくなるものと考えられる。
これに対して、前記したカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)が3.5よりも小さい場合、モノクロ画像の階調性の改善が十分に達成できないことがある。カーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)が小さいことは、これらのブラックインクにおける、カーボンブラックの含有量の幅が狭くなることを意味している。この場合、複数のインクを用いても、それぞれのブラックインクにおけるカーボンブラックの含有量が近いため、モノクロ画像の階調性の改善を期待することができない。一方、前記したカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)が9.0よりも大きい場合、これらのブラックインクの記録媒体への浸透速度の差が大きくなり、その結果、画像の光沢ムラが発生する。特に、記録媒体への浸透速度が大きいライトブラックインクLk2が先に記録媒体に付与された場合に、このような現象が顕著に生じる。
更に、本発明のインクセットを構成する少なくとも3種のブラックインクが、それぞれ樹脂を含有することにより、記録媒体の表面上におけるカーボンブラックの凝集状態を的確にコントロールすることができる。これは各ブラックインクが含有する樹脂が、カーボンブラック同士の「つなぎ」の役割を果たし、この結果、カーボンブラックを均一な状態で凝集させることにより、画像部分の凹凸を少なくすることができるものと考えられる。したがって、インクセットを構成する上記した3種のブラックインクのうち、1種のブラックインクでも樹脂を含有しない場合、上記したような効果は得られない。例えば、カーボンブラックの分散剤として樹脂を用いることで、上記した要件を満たすことができる。尚、本発明のインクセットを構成するブラックインクとして、自己分散型カーボンブラックを含有するブラックインクを用いる場合は、インクが更に樹脂を含有すればよい。
又、本発明のインクセットでは、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1のカーボンブラックの含有量(質量%)が、特定の範囲内になるようにすることを要す。即ち、ブラックインクBk1全質量を基準として、カーボンブラックが、2.5質量%以上4.5質量%以下の範囲でインク中に含有されるようにすることが必要である。本発明者らの検討によれば、上記した要件を満足するインクセットとすることで、ブラックインクを用いて画像を形成する際の従来からの課題であるモノクロ画像の階調性の改善、高い黒濃度の実現を達成することができる。これに対して、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1において、カーボンブラックの含有量が2.5質量%より少ない場合、特に黒のベタ部が多い画像において十分な黒濃度が得られず、又、深みのあるモノクロ画像が得られないことがある。一方、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1において、カーボンブラックの含有量が4.5質量%よりも大きい場合には、上記で述べた、樹脂の「つなぎ」の効果が十分得られないことがあり、光沢ムラが十分に低減できないことがある。更に、本発明においては、ブラックインクBk1におけるカーボンブラックの含有量が、2.5質量%以上4.0質量%以下であることが特に好ましい。
本発明では、更に、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2と、カーボンブラックの含有量が中間であるライトブラックインクLk1との関係が、これらのインク中におけるカーボンブラックの含有量の比率(Lk1/Lk2)が2.0以上4.0以下の範囲になるようにする。本発明者らの検討によれば、このことによって、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクの記録媒体への付与量や付与順を変えた場合においても、ライトブラックインクLk1が何れかの順番で付与されることにより、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2の記録媒体への浸透性のバランスを保つことができるようになる。その結果、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1を記録媒体に付与する際の、印字パスの違い、即ち、カーボンブラックの含有量の違いによるインクの浸透性の差から生じる、記録媒体の表面上におけるカーボンブラックの凝集状態の違いによる光沢ムラを低減することができる。
上記に対して、前記したカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)が2.0より小さい場合、光沢ムラの低減が不十分になる場合がある。これは、液体成分の浸透速度の差が最も大きいブラックインクBk1とライトブラックインクLk2の2種のインクに対して、上記の場合には、ライトブラックインクLk1による、上記の2種のインクの浸透速度の差を緩和する効果が十分に得られないためである。一方、前記したカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)が4.0より大きい場合は、これら2種のインクを組み合わせて用いても、特に、薄い黒の画像部分からハーフトーンの画像部分において、十分な階調性が得られない場合がある。
尚、本発明のインクセットを構成するブラックインクが4種以上である場合には、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1及びカーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2は、それぞれ1種のインクとする。そして、カーボンブラックの含有量が中間であるライトブラックインクLk1が複数存在するものとして考える。
組成が未知のインクにおけるカーボンブラックの含有量は、以下のようにして確認できる。先ず、含有量が既知である種々のカーボンブラック分散液を用いて吸光度の測定を行い、カーボンブラックの含有量と吸光度との関係の基準を作成する。これをもとに、確認すべきカーボンブラックを含有するインクの吸光度を測定し、予め準備した基準と比較してカーボンブラックの含有量を算出する。ここで、吸光度の測定には市販の装置を用いることができ、例えば、U−3300型日立自記分光光度計(日立ハイテクノロジーズ製)等を用いることができる。
図5(a)及び(b)を用いて、本発明が規定する要件を満足するカーボンブラックの含有量が異なる3種のブラックインクからなるインクセットを用いて画像を形成する場合に、インクが記録媒体に付与されてから記録媒体に定着するまでの状態を説明する。尚、図5(a)及び(b)において、カーボンブラック502の含有量が最も少ないライトブラックインクLk2を501、カーボンブラック502の含有量が最も多いブラックインクBk1を505、カーボンブラック502の含有量が中間であるライトブラックインクLk1を504として示す。
図5(a)は、インクの液滴を記録媒体に付与する順序を、先ず、ライトブラックインクLk2の液滴501、次に、ライトブラックインクLk1の液滴504、最後に、ブラックインクBk1の液滴505、として画像を形成した様子の一例を示す模式図である。又、図5(b)は、インクの液滴を記録媒体に付与する順序を、先ず、ブラックインクBk1の液滴505、次に、ライトブラックインクLk1の液滴504、最後に、ライトブラックインクLk2の液滴501、として画像を形成した様子の一例を示す模式図である。
図5(a)及び図5(b)の何れの場合も、先に図3によって説明した従来のブラックインクを用いて画像を形成する場合と比較して、カーボンブラック502の記録媒体500の表面上への定着の際に均一な凝集状態が得られる。又、図5(a)及び図5(b)における、記録媒体500の表面上へのカーボンブラック502の定着の際における凝集状態の差も少ない。これは、上記でも述べたように、本発明が規定する要件を満足するカーボンブラックの含有量が異なる3種のブラックインクを用いて画像を形成することで、各ブラックインクを構成するカーボンブラック502及び液体成分501の状態が的確にコントロールされるためである。そのため、インクジェット記録方法に特有の、光沢ムラも低減する。
このように、画像を形成する際に、本発明のインクセットを用いる場合、各ブラックインクを記録媒体に付与する順序は、上記で説明した図5(a)及び図5(b)の他に幾つかの順序が考えられる。しかし、本発明のインクセットを用いる場合、各ブラックインクを記録媒体に付与する順序がどのようなものであっても、画像の光沢性の差を低減することができる。このため、印字パス、特に、双方向印字を行う場合、得られる画像を観察しても、図5(c)に示すように、光沢ムラ(特には印字パスに起因する光沢ムラ)は生じない。
[ブラックインク]
本発明のインクセットは、カーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを組み合わせて用い、これらのブラックインクにおけるカーボンブラックの含有量をそれぞれ上記で説明した構成とすることを特徴とする。それ以外の各ブラックインクの構成は、従来のインク、特にインクジェット用のインクと同様の構成とすればよい。下記に、本発明で用いるインクを構成する各成分について説明する。
<色材>
本発明のインクセットを構成する各ブラックインクに用いる色材について説明する。本発明のインクセットを構成するブラックインクBk1、ライトブラックインクLk1及びライトブラックインクLk2は、それぞれ少なくとも色材としてカーボンブラックを含有するものである。本発明におけるカーボンブラックとは、樹脂等を分散剤として用いて水性媒体にカーボンブラックを分散してなる樹脂分散型カーボンブラックは勿論のこと、自己分散型カーボンブラックや、マイクロカプセル型カーボンブラックも含むものである。尚、前記したように、自己分散型カーボンブラックを用いる場合は、インク中に更に樹脂を含有させればよい。更に、本発明のインクセットを構成する少なくとも3種のブラックインクにおける、それぞれのカーボンブラックの含有量は、上記で述べた本発明の構成を満たすものである必要がある。即ち、少なくとも3種のブラックインクを、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1と、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2と、カーボンブラックの含有量が、前記ブラックインクBk1よりも少なく且つ前記ライトブラックインクLk2よりも多いライトブラックインクLk1とする。そして、前記ブラックインクBk1及びライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)を、3.5以上9.0以下とする。又、前記ライトブラックインクLk1及び前記ライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)を、2.0以上4.0以下とする。更に、前記ブラックインクBk1におけるカーボンブラックの含有量(質量%)を、ブラックインクBk1全質量を基準として、2.5質量%以上4.5質量%以下とする。本発明においては、上記した構成を満たし、更に、前記ライトブラックインクLk1におけるカーボンブラックの含有量(質量%)が、0.56質量%以上4.5質量%未満であることや、前記ライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量(質量%)が、0.28質量%以上1.29質量%未満であることが、特に好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、例えば、コンタクト法、ファーネスト法、又はサーマル法等の公知の方法によって製造されたものを用いることができる。具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
レイヴァン(Raven):1170、1190ULTRA−II、1200、1250、1255、1500、2000、3500、5000ULTRA、5250、5750、7000、(以上、コロンビア製);
ブラックパールズ(Black Pearls)L;
リーガル(Regal):330R、400R、660R;
モウグル(Mogul)L;
モナク(Monarch):700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000;
ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上、キャボット製)。
カラーブラック(Color Black)FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170;
プリンテックス(Printex):35、U、V、140U、140V;
スペシャルブラック(Special Black):4、4A、5、6(以上、デグッサ製)。
No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300;
MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)。
しかし、本発明は、これらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックを何れも用いることができる。又、本発明のために別途新たに調製されたカーボンブラックを用いることもできる。
(有機顔料)
本発明のインクセットを構成する各ブラックインクのうち、特に、ライトブラックインクLk1及びライトブラックインクLk2は、上記したカーボンブラックに加えて、有機顔料を含有させてなることが特に好ましい。このことにより、光沢ムラを特に効果的に低減することができる。これは、ライトブラックインクが、カーボンブラックに加えて有機顔料を含有することで、ライトブラックインクLk1及びライトブラックインクLk2と、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1との、カーボンブラックの凝集状態の差が緩和されるからである。その結果、記録媒体の表面上に生じる凹凸の度合いがほぼ等しくなり、光沢ムラが特に効果的に低減される。上記したような効果が得られるメカニズムは十分には解明されていないが、1種のインクが、カーボンブラック及び有機顔料という異なる種類の顔料を共に含有することで、記録媒体の表面上における顔料の凝集状態がより均一な状態になりやすいためであると推測される。上記した効果は、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2が有機顔料を含有する場合や、ライトブラックインクLk1及びライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量が共に少ない場合に、両者のライトブラックインクが有機顔料を含有する場合に、特に顕著に得られる。
ここで、ライトブラックインクLk1及びライトブラックインクLk2における、有機顔料の好ましい含有量は、本発明の効果が得られ、且つ、所望の色相が得られるものであれば特に限定されるものではない。本発明のインクセットを構成するライトブラックインクLk1及びライトブラックインクLk2における、カーボンブラック及び有機顔料(複数の有機顔料を用いる場合は含有量の合計)の含有量比(カーボンブラック/有機顔料)は、質量基準で、1.0以上20.0以下であることが好ましい。尚、本発明においては、ブラックインクBk1、ライトブラックインクLk1及びライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量、及びこれらの含有量比(Bk1/Lk2及びLk1/Lk2)の算出にあたっては、有機顔料の含有量を含まない値とする。これは、光沢ムラという本発明が解決しようとする課題が、主としてカーボンブラックの凝集状態に依存して発生するものであり、本発明においては該カーボンブラックの含有量のみを考慮すれば十分であるためである。
又、本発明においては、インクセットを構成する各ブラックインクにおいて、前記したカーボンブラックに加えて、更に、調色等の目的のために、マゼンタ、イエロー、シアン、レッド、グリーン、オレンジ、ブルー、バイオレット等の色相を有する有機顔料を適宜組み合わせて用いることもできる。有機顔料は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料;
リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の水溶性アゾ顔料;
アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;
フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料;
キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料;
ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料;
イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料;
ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料;
ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料;
インジゴ系顔料;
縮合アゾ系顔料;
チオインジゴ系顔料;
フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料等。
又、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、例えば、以下のものを用いることができる。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168等;
C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71等;
C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240等;
C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50等;
C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64等;
C.I.ピグメントグリーン:7、36等;
C.I.ピグメントブラウン:23、25、26等。
<カーボンブラック分散液>
上記に列挙したカーボンブラックは、樹脂等を分散剤として用いて水性媒体にカーボンブラックを分散してなるカーボンブラック分散液としてインクに添加されることが好ましい。以下に、本発明において用いることができるカーボンブラック分散液について説明する。
本発明で用いるカーボンブラックは、樹脂によって分散された樹脂分散型カーボンブラックや、マイクロカプセル型カーボンブラックであることが好ましい。又、界面活性剤を分散剤として用いて水性媒体に分散された界面活性剤分散型カーボンブラックや、カーボンブラック粒子の表面に親水性基等を導入して分散性を付与した自己分散型カーボンブラックに、樹脂を添加するものとしてもよい。本発明のインクセットを構成する各ブラックインクにおける樹脂の含有量は、各ブラックインクにおけるカーボンブラックの含有量に対して、即ち、樹脂の含有量/カーボンブラックの含有量が、質量基準で、0.5倍以上1.0倍以下であることが好ましい。上記した範囲とすることで、カーボンブラックの分散安定性が保たれることは勿論、本発明の課題である光沢ムラを効果的に低減することができる。
(樹脂分散型カーボンブラック)
先ず、樹脂分散型カーボンブラックについて説明する。尚、以下に記載する樹脂は、分散剤として用いることも、又、前記した界面活性剤分散型カーボンブラックや自己分散型カーボンブラックに添加する樹脂として用いることもできる。ここで、樹脂は、天然高分子及び合成高分子の何れも用いることができる。本発明においては、水溶性高分子等の合成高分子を用いることが好ましい。合成高分子の製造方法は、特に限定されず、例えば、イオン性基を有するモノマー及び他の重合しうるモノマーを、非反応性溶媒中で、必要に応じて触媒を用いて反応させることにより製造することができる。
樹脂は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
スチレン及びその誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体、フマール酸及びその誘導体、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つの単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体、並びにこれらの塩等が挙げられる。本発明においては、特に、イオン性基を有するモノマー及びスチレンモノマーを必須成分として重合することによって得られるスチレン/アクリル系高分子化合物、並びに、イオン性基を有するモノマー及び炭素原子の個数が5以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを必須成分として重合することによって得られるイオン性基含有アクリル系高分子化合物、からなる群から選ばれる分散剤を用いることが特に好ましい。
本発明においては、カーボンブラックの分散には、例えば、ペイントシェイカー、サンドミル、アジテーターミル、3本ロールミル等の分散機やマイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルチマイザー等の高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を用いることができる。勿論、一般的に用いられる分散方法であれば、どのような手法でも用いることができる。
(マイクロカプセル型カーボンブラック)
マイクロカプセル型カーボンブラックについて説明する。カーボンブラックを有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法には、化学的製法、物理的製法、物理化学的製法、機械的製法等が挙げられる。具体的には、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法、酸析法、転相乳化法等が挙げられる。
マイクロカプセルの壁膜物質を構成する材料には、有機高分子類やノニオン性有機高分子を用いることができる。有機高分子類は、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂;
多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム;
カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン;
セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース;
ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体;
アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミン等が挙げられる。これらの中でも、カルボン酸基又はスルホン酸基等のアニオン性基を有する有機高分子類を用いることが好ましい。
又、ノニオン性有機高分子は、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート又はそれらの(共)重合体、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコールの完全ケン化物は水溶性が低く、熱水には溶けやすいが冷水には溶けにくいという性質を有するために好ましい。
マイクロカプセル化の方法として転相法又は酸析法を選択する場合は、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類は、アニオン性有機高分子類を用いる。
転相法は、水に対する自己分散能又は溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、分散性を有する色材との複合物又は複合体、又は分散性を有する色材、硬化剤及びアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相として、該有機溶媒相に水を投入するか又は水に該有機溶媒相を投入して、自己分散化(転相乳化)しながらマイクロカプセル化する方法である。尚、転相法において、有機溶媒相中に、インクに用いる水溶性有機溶剤や添加剤等を添加してマイクロカプセルを製造しても問題ない。特に、直接インクに用いる分散液を直接製造できることから、インクに用いる水溶性有機溶剤を添加することが好ましい。
酸析法は、アニオン性基を含有する有機高分子類のアニオン性基の一部又は全部を塩基性化合物で中和したものと分散性を有する色材とを水性媒体中で混練する工程、及び酸性化合物で混合物のpHを中性又は酸性にしてアニオン性基を含有する有機高分子類を析出させて、顔料に固着させる工程と、を含む製法によって含水ケーキを得る。そしてこの含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部又は全部を中和することによりマイクロカプセル化する方法である。酸析法によれば、微細で色材を多く含有するアニオン性マイクロカプセル型色材を製造することができる。
又、上記に挙げたようなマイクロカプセル型色材の作製の際に用いる水溶性有機溶剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルキルアルコール類;
ベンゾール、トリオール、キシロール等の芳香族炭化水素類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;
クロロホルム、二塩化エチレン等の塩素化炭化水素類;
アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等が挙げられる。
上記したような方法により作製したマイクロカプセル型色材に対して遠心分離又はろ過等を行うことにより、前記水溶性有機溶剤と分離して、更に、水及び必要な水溶性有機溶剤と混合して、撹拌、再分散を行うことにより、目的とするマイクロカプセル型色材とすることもできる。
(ポリマー結合型自己分散型カーボンブラック)
ポリマー結合型自己分散型カーボンブラックについて説明する。ポリマー結合型自己分散型カーボンブラックは、カーボンブラック粒子の表面に、直接又は他の原子団を介して化学的に結合した官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体との反応物を含有するものを用いることが好ましい。これは、表面を改質する際に用いる共重合体の材料であるイオン性モノマー及び疎水性モノマーとの共重合比率を適宜に変えることができ、これによって改質されたカーボンブラックの親水性を任意に調整することができるためである。又、イオン性モノマー及び疎水性モノマーの種類や、両者の組み合わせを任意に変えることができるため、カーボンブラック粒子の表面に様々な特性を付与することができるためである。
上記で説明したような方法により作製するカーボンブラック分散液中のカーボンブラックの分散粒径は、10nm以上500nm以下、特には30nm以上300nm以下であることが好ましい。分散粒径を前記した範囲とすることで、安定した分散安定性等が得られる。
<水性媒体>
本発明のインクセットを構成するブラックインクにおいては、カーボンブラックの分散媒体が水性媒体であり、更には、水性媒体が水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1乃至4のアルキルアルコール類;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;
アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を含有するアルキレングリコール類;
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;
グリセリン;
エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;
N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
又、水は、脱イオン水を用いることが好ましい。
本発明のインクセットを構成するブラックインク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、ブラックインク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。又、本発明のインクセットを構成するブラックインクインク中の水の含有量(質量%)は、ブラックインク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下とすることが好ましい。勿論、本発明はこれらに限られるものではない。
<その他の成分>
本発明のインクセットを構成するブラックインクは、保湿性維持のために、上記した成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分を含有してもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等の、保湿性固形分のブラックインク中の含有量(質量%)は、一般には、ブラックインク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、更には、3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
更に、本発明のインクセットを構成するブラックインクは、上記した成分の他にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤等の、種々の添加剤を含有させてもよい。
界面活性剤は、表面張力の調整や、吐出性を改善するために、ノニオン系の界面活性剤を用いることが好ましい。
<インク特性>
上記で説明したような構成成分を有する本発明のインクセットを構成するブラックインクは、特にインクジェット記録方法に用いる場合、記録ヘッドから良好に吐出できる特性を有するものであることが好ましい。このため、ブラックインクの特性が、例えば、粘度が1mPa・s以上15mPa・s以下、更には1mPa・s以上5mPa・s以下、又、表面張力が25mN/m以上、更には、25mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。
ブラックインクの粘度が上記した範囲内であると、インクジェット記録において正常な吐出が可能であり、又、その粘度抵抗により記録媒体への浸透が速く、定着性の面からも問題がないために好ましい。又、ブラックインクの表面張力が上記した範囲であると、インクジェット記録においてインクの液滴を吐出した後、メニスカスを引き戻そうとする力が強いか、又は逆にメニスカスが突出した際に、引き戻す力が比較的強いため、泡を抱き込むことや、オリフィス部が濡れてヨレの原因となるといった問題が起こらないために好ましい。
<インクセット>
本発明のインクセットは、インク中におけるカーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクが組み合わされてなるものである。本発明においては更に、前記した少なくとも3種のブラックインク以外に、その他の、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレット等、種々の色相を有するインクが組み合わされてなるものであってもよい。各インクはそれぞれ独立したインクカートリッジに収容された構成でセットとして用いてもよく、又、各インクを収納したインクカートリッジを複数個組み合わせて一体としたインクタンクの構成で用いてもよい。本発明においては、上記した構成或いは更にヘッド付きインクカートリッジで構成されたインクセット、又は、インクジェット記録装置に対して個別のインクカートリッジが脱着可能で有るように構成されたインクセットとして用いられることを実質的に「インクセット」と称する。何れにしても、本発明においては、インク中におけるカーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを組み合わせて用いることができるように構成されていればよく(インクジェット記録装置において、又はインクカートリッジとして)、上記した形態に限らず、どのような変形の形態であってもよい。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクセットは、インクジェット方式の記録ヘッドに用いられ、又、各インクを収容するインクカートリッジとしても、或いは、その充填用のインクをセットとしたものであっても有効である。特に、本発明のインクセットを用いることによる効果は、インクジェット記録方式の中でも特に、バブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッド、記録ユニット、インクジェット記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
インクジェット方式の代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用することができる。中でも特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し、インク内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つの液滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号は、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成は、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成にも本発明は有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通すると吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59−123670号公報等)に対しても、本発明は有効である。更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドは、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成の何れでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、又は記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧又は吸引手段、電気熱変換体又はこれとは別の加熱素子又はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
<記録媒体>
本発明のインクセットを用いる画像形成方法においては、これに限定されるものではないが、紙、樹脂フィルム等の各種基材の少なくとも一方の面にインクを受容層としてコーティング層を持つ記録媒体等用いることが好ましい。特に、表面にコーティング層を持つ記録媒体であり、光沢性を発現するよう構成された光沢紙や半光沢紙を用いた場合に顕著な効果が得られる。このような記録媒体は、少なくとも親水性ポリマー及び/又は無機多孔質体を含有した少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ記録媒体が挙げられる。本発明においては、JIS−K−5400に準拠した20°光沢度が3以上、更には15以上である記録媒体を用いることにより、本発明の効果が特に顕著に発揮されるため、好ましい。
インクを受容するコーティング層を有する記録媒体は、表面状態、コーティング層の厚みやインクを吸収する細孔の大きさ、インク吸収層を構成する材料の違い、更には、基材の種類等により多種多様なものが存在する。例えば、表面光沢が高い光沢紙や光沢フィルム、表面光沢を加工等によって調整した微光沢紙や半光沢紙等が挙げられる。本発明においては、上記した記録媒体の中でも光沢性を十分確保した光沢紙や、表面を絹目等の処理を施した半光沢紙等を用いることにより、本発明の効果が特に顕著に発揮されるため、好ましい。
上記した記録媒体のインク受容層は、親水性ポリマーや無機多孔質体を用いることができる。親水性ポリマーは、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。デンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋型ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリスチレンスルホン酸、4級ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアミン、水性ウレタン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ化合物、水溶性ポリエステル等が挙げられる。又、前記ポリマーの変性物、例えば、カチオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルピロリドン等のイオン変性物等も用いることができる。又、無機多孔質体は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。シリカゲル、アルミナ、ゼオライト及び多孔質ガラス等が挙げられる。
本発明においては、光沢紙や半光沢紙の中でも、インクの浸透速度及びインク吸収能が十分なものとして、上記した材料を組み合わせて作製された細孔を有する、所謂隙間タイプの記録媒体を用いることが好ましい。又、優れた画像の光沢性を得るためには、十分なインク吸収能を有することが必要であり、したがって、微細で且つインクを吸収するのに十分なインク受容層の厚さを有する記録媒体を用いることが好ましい。このような特性を有する記録媒体は、インク受容層の細孔半径が10nm以上50nm以下、更には20nm以下であり、又、インク受容層の厚さが10μm以上40μm以下であるものが好ましい。前記した記録媒体のインク受容層の細孔半径は、本発明で用いるカーボンブラックよりも一般に小さい。このため、インクが記録媒体に付与されると、インク中の液体成分は記録媒体、即ち、インク受容層の細孔、に浸透するが、カーボンブラックは記録媒体の表面上で凝集することになる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。又、残部とあるのは、水で調整して全体を100部としたことを意味する。
参考例1〜11及び比較例1〜11>
(カーボンブラック分散液1の調製)
・カーボンブラック 10部
・グリセリン 6部
・樹脂 10部
・水 残部
上記した組成の混合液を、金田理化工業製のサンドミルを用いて、1,500rpm、5時間の条件で分散することにより、カーボンブラック分散液1(カーボンブラック含有量10質量%)を得た。尚、サンドミルの分散条件は、ジルコニアビーズ径:0.6mm、ポット内充填率:70%とした。カーボンブラックは、Black Pearls 880(米国Cabot製)を用い、又、樹脂には、共重合比70:30、重量平均分子量8,000、酸価170のスチレン−アクリル系樹脂を酸価と当量の水酸化カリウムで中和したものを用いた。
(インク1〜39の調製)
上記で得られたカーボンブラック分散液1(カーボンブラック含有量10質量%)を用いて、カーボンブラックの含有量がそれぞれに異なるインク1〜39を調製した。各インクは、下記表1に示した各成分を混合し、充分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行って調製した。
Figure 0005213306
参考例1〜11及び比較例1〜11のインクセットの作製)
上記で得られたインク1〜39を、下記表2に示した組み合わせで用いて、参考例1〜11のインクセット、及び比較例1〜11のインクセットとした。各インクセットは、表2に記載するように、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1、これよりも少ないライトブラックインクLk1と、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2の、それぞれ3種のインクの組み合わせからなる。各インクセットを構成する上記3種のインクの各カーボンブラックの含有量(質量%)を表2にまとめて示した。又、ブラックインクBk1とライトブラックインクLk2のインク中のカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)と、ライトブラックインクLk2とライトブラックインクLk1のインク中のカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)を表2にまとめて示した。
Figure 0005213306
Figure 0005213306
(評価)
上記で得られた各インクセットを用いて、インクジェット記録装置及び記録媒体を用いて画像を形成し、光沢ムラの低減、階調性及び黒濃度について評価を行った。インクジェット記録装置は、熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出するBJF−900(キヤノン製)を用い、8パス双方向で印字した。尚、インクジェット記録装置へのインクセットを構成する各インクの充填は、インクジェット記録装置に向かって左側から、ブラックインクBk1、ライトブラックインクLk1及びライトブラックインクLk2を順に並べて用いた。又、記録媒体は、光沢性を有する記録媒体である、スーパーフォトペーパーSP−101(キヤノン製)を用いた。
(1)光沢ムラの低減
上記で得られた各インクセットをインクジェット記録装置に充填して、記録媒体に白から黒への階調パターンを有するグレースケールの画像を形成した。画像の形成に当たっては、階調を17等分(印字デューティが40%乃至200%までの10%刻み)となるように、又、印字デューティをそれぞれ3等分して各インクを付与するように設定を行った。得られた画像について、光沢ムラの状態を目視で確認して、視覚的評価を行った。光沢ムラの低減の評価基準は以下の通りである。結果を表3に示した。
AA:何れの階調においてももや状の光沢ムラがなく、印字パスに起因する光沢ムラも見られない。
A:何れの階調においてももや状の光沢ムラが殆どなく、印字パスに起因する光沢ムラも殆ど見られない。
B:何れの階調においてももや状の光沢ムラが殆どないが、印字パスに起因する光沢ムラがわずかに見られる。
C:いくつかの階調においてもや状の光沢ムラが見られ、印字パスに起因する光沢ムラが見られる。
D:いくつかの階調においてもや状の光沢ムラが見られ、印字パスに起因する光沢ムラが著しい。
(2)階調性
上記で得られた画像について、階調性の状態を目視で確認して、視覚的評価を行った。階調性の評価基準は以下の通りである。結果を表3に示した。
A:何れの階調においても、十分になめらかな階調性が得られる。
B:殆どの階調において、十分になめらかな階調性が得られる。
C:なめらかなグレーの階調性が得られない。
(3)黒濃度
上記で得られた画像について、印字デューティが150%の部分の光学濃度をRD−918(マクベス製)で測定して、評価を行った。黒濃度の評価基準は以下の通りである。結果を表5に示した。
A:光学濃度が2.2以上である。
B:光学濃度が2.0以上2.2未満である。
C:光学濃度が2.0未満である。
Figure 0005213306
Figure 0005213306
参考例12>
参考例は、カーボンブラックにマイクロカプセル型カーボンブラックを使用した場合の例である。
(カーボンブラック分散液2の調製)
n−ブチルメタクリレート175部、n−ブチルアクリレート10.5部、β−ヒドロキシエチルメタクリレート37.5部、メタクリル酸26.8部及びtert−ブチルパーオキシオクトエート20部の組成の混合液を作製した。メチルエチルケトン250部を窒素雰囲気下で撹拌しながら75℃に加熱し、これに上記で得られた混合液を2時間かけて滴下した。更に、溶液の温度を75℃に維持して15時間反応を行い、樹脂溶液を作製した。得られた樹脂溶液11.6部、ジエタノールアミン1.6部及びカーボンブラック(米国Cabot製Black Pearls 880)30部に水を加えて総量を150部とした。この混合液に平均粒径0.5mmのジルコニアビーズ500gを加えて、ペイントシェイカーで4時間混練した。その後、ジルコニアビーズを濾別して樹脂とカーボンブラックを含有する分散液を得た。得られた分散液に、更に純水を加えて2倍に希釈した。更に、撹拌下で1規定の塩酸を加えていき、カーボンブラック粒子に樹脂が被覆してマイクロカプセル化するまで塩酸を滴下した。尚、この時の液体のpHは3乃至5であった。次いで、吸引ろ過を行い、塩を水洗して含水ケーキを得た。液体のpHが8.5乃至9.5となるように10%ジエタノールアミン水溶液を加えた。更にこの液体を1時間撹拌した後に、カーボンブラックの含有量が10質量%となるように水を加えて調整して、カーボンブラック粒子がマイクロカプセル化した状態のカーボンブラック分散液2(カーボンブラック含有量10質量%)を得た。
(インク40〜42の調製)
上記で得られたカーボンブラック分散液2(カーボンブラック含有量10質量%)を用いて、インク40〜42を調製した。各インクは、下記表4に示した各成分を混合し、充分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行うことで得た。
Figure 0005213306
参考例12のインクセットの作製、及び評価)
上記で得られたインク40〜42を組み合わせて用いて、参考例12のインクセットとした。該インクセットは、表5に記載するように、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1、これよりも少ないライトブラックインクLk1と、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2の、3種のインクの組み合わせからなる。インクセットを構成する上記3種のインクの各カーボンブラックの含有量(質量%)を表5にまとめて示した。又、ブラックインクBk1とライトブラックインクLk2のインク中におけるカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)と、ライトブラックインクLk2とライトブラックインクLk1のインク中におけるカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)を表5に合わせて示した。更に、上記で得られた本参考例のインクセットを用いて、前記した参考例1〜11の場合と同様にして、光沢ムラの低減、階調性及び黒濃度の評価を行った。評価結果を表5に示した。
Figure 0005213306
参考例13>
本実施例は、カーボンブラックの含有量がそれぞれに異なる4種類のインクを組み合わせてなるインクセットの例である。
参考例13のインクセットの作製、及び評価)
先に述べたようにして得たインク5、17、24及び35を下記表6に示した組み合わせで用いて、実施例13のインクセットとした。該インクセットは、表6に記載するように、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2、及びカーボンブラックの含有量がブラックインクBk1よりも少なく、且つライトブラックインクLk2よりも多い2種のライトブラックインクLk1の、4種のインクの組み合わせからなる。インクセットを構成する上記4種のインクの各カーボンブラックの含有量(質量%)を表6にまとめて示した。又、ブラックインクBk1とライトブラックインクLk2のインク中におけるカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)と、ライトブラックインクLk2とライトブラックインクLk1のインク中におけるカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)を表6に合わせて示した。更に、上記で得られた本実施例のインクセットを用いて、前記した参考例1〜11の場合と同様にして、光沢ムラの低減、階調性及び黒濃度の評価を行った。尚、各インクは印字デューティをそれぞれ4等分して付与するように設定を行った。評価結果を表6に示した。
Figure 0005213306
参考例14、比較例12及び13>
参考例は、カーボンブラックに自己分散型カーボンブラックを使用してなるインクセットの例である。
(カーボンブラック分散液3の調製)
・カーボンブラック 10部
・グリセリン 6部
・水 残部
上記した組成の混合液を、金田理化工業製のサンドミルを用いて、1,500rpm、5時間の条件で分散することにより、カーボンブラック分散液3(カーボンブラック含有量10質量%)を得た。尚、サンドミルの分散条件は、ジルコニアビーズ径:0.6mm、ポット内充填率:70%とした。カーボンブラックは、CaboJet200(Cabot製)を用いた。このカーボンブラックは、その表面に親水性基を結合することで分散可能にした自己分散型カーボンブラックである。
(インク43〜48の調製)
上記で得られたカーボンブラック分散液3(カーボンブラック含有量10質量%)を用いて、インク43〜48を調製した。各インクは、下記表7に示した各成分を混合し、充分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行うことで得た。尚、下記表7において、樹脂には、カーボンブラック分散液1の調製に用いたものと同じものを用いた。即ち、共重合比70:30、重量平均分子量8,000、酸価170のスチレン−アクリル酸系樹脂を酸価と当量の水酸化カリウムで中和したものを用いた。
Figure 0005213306
参考例14及び比較例12、13のインクセットの作製、及び評価)
上記で得られたインク43〜48、並びに前記したインク21及び30を、下記表8に示した組み合わせで用いて、参考例14のインクセット、並びに比較例12及び13のインクセットとした。各インクセットは、表8に記載するように、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1、これよりも少ないライトブラックインクLk1と、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2の、それぞれ3種のインクの組み合わせからなる。各インクセットを構成する上記3種のインクの各カーボンブラックの含有量(質量%)を表8にまとめて示した。又、ブラックインクBk1とライトブラックインクLk2のインク中におけるカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)と、ライトブラックインクLk2とライトブラックインクLk1のインク中におけるカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)を表8に合わせて示した。上記で得られた各インクセットを用いて、前記した参考例1〜11の場合と同様にして、光沢ムラの低減、階調性及び黒濃度の評価を行った。評価結果を表8に示した。
Figure 0005213306
参考例15及び実施例16>
参考例15及び実施例16は、いずれも、ライトブラックインクLk1及び/又はライトブラックインクLk2の色材として、前記したカーボンブラック分散液1に加え、下記で調製した有機顔料の分散液を用いたインクを組み合わせてなるインクセットの例である。
(シアン顔料分散液の調製)
・C.I.ピグメントブルー15:3 10部
・グリセリン 6部
・樹脂 10部
・水 残部
(マゼンタ顔料分散液の調製)
・C.I.ピグメントレッド122 10部
・グリセリン 6部
・樹脂 10部
・水 残部
上記した組成の混合液をそれぞれ、金田理化工業製のサンドミルを用いて、1,500rpm、5時間の条件で分散することにより、シアン顔料分散液(顔料含有量10質量%)及びマゼンタ顔料分散液(顔料含有量10質量%)を得た。尚、サンドミルの分散条件は、ジルコニアビーズ径:0.6mm、ポット内充填率:70%とした。又、上記樹脂には、カーボンブラック分散液1の調製で用いたと同様のものを使用した。
(インク49〜51の調製)
上記で得られたシアン顔料分散液(顔料含有量10質量%)及びマゼンタ顔料分散液(顔料含有量10質量%)、更には、先に調製したカーボンブラック分散液1(カーボンブラック含有量10質量%)を色材に用いてインク49〜51を調製した。各インクは、下記表9に示した各成分を混合し、充分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過することで得た。カーボンブラック分散液1は、先に述べた通り、カーボンブラックにBlack Pearls 880(米国Cabot製)を用い、又、樹脂には、共重合比70:30、重量平均分子量8,000、酸価170のスチレン−アクリル系樹脂を酸価と当量の水酸化カリウムで中和したものを用いて得られたものである。
Figure 0005213306
参考例15及び実施例16のインクセットの作製、及び評価)
上記で得られたインク49〜51、並びに、先に調製したインク2及び21を、下記表10に示した組み合わせで用いて、参考例15及び実施例16のインクセットとした。各インクセットは、表10に記載するように、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1、これよりも少ないライトブラックインクLk1と、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2の、それぞれ3種のインクの組み合わせからなる。各インクセットを構成する上記3種のインクの各カーボンブラックの含有量(質量%)を表10にまとめて示した。又、ブラックインクBk1とライトブラックインクLk2のインク中におけるカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)と、ライトブラックインクLk2とライトブラックインクLk1のインク中におけるカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)を表10に合わせて示した。尚、カーボンブラックの含有量の算出に当たっては、有機顔料の含有量を含まない値とした。上記で得られた各インクセットを用いて、前記した参考例1〜11の場合と同様にして、光沢ムラの低減、階調性及び黒濃度の評価を行った。評価結果を表10に示した。
Figure 0005213306
インクジェット記録方法によって顔料インク及び染料インクを記録媒体に付与し、インクが記録媒体に定着する様子の一例を示す模式図である。 カーボンブラックの含有量が異なる3種のインクをそれぞれ単独で用いて画像を形成する際に、インクが記録媒体に定着する様子を示す模式図である。 従来のカーボンブラックの含有量が異なる3種のブラックインクを用いて画像を形成する際に、インクが記録媒体に定着する様子を示す模式図である。 カーボンブラックの含有量が異なるブラックインクが、記録媒体に浸透する速度の一例を示すグラフである。 本発明におけるカーボンブラックの含有量が異なる3種のブラックインクを用いて画像を形成する際に、インクが記録媒体に定着する様子を示す模式図である。 記録ヘッドの構成の一例を示す模式図である。
符号の説明
100、200、300、500:記録媒体
101:顔料インクの液滴
201、301、501:カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクの液滴
204、304、504:カーボンブラックの含有量が中間であるライトブラックインクの液滴
205、305、505:カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクの液滴
102:202、302、502:カーボンブラック
103、203:303、503:液体成分
104:染料インクの液滴
105:染料
401:カーボンブラックの含有量が0.25質量%であるブラックインクの浸透速度
402:カーボンブラックの含有量が0.8質量%であるブラックインクの浸透速度
403:カーボンブラックの含有量が2.5質量%であるブラックインクの浸透速度
404:カーボンブラックの含有量が0.4質量%であるブラックインクの浸透速度

Claims (10)

  1. インク中におけるカーボンブラックの含有量が異なる少なくとも3種のブラックインクを組み合わせて用い、これらのインクを記録媒体に付与して画像を形成する画像形成方法において、
    前記記録媒体に前記少なくとも3種のブラックインクを付与する順番が、印字パスの往路及び復路で異なり、
    前記少なくとも3種のブラックインクが、カーボンブラックの含有量が最も多いブラックインクBk1、カーボンブラックの含有量が最も少ないライトブラックインクLk2、及び、カーボンブラックの含有量が前記ブラックインクBk1よりも少なく且つ前記ライトブラックインクLk2よりも多いライトブラックインクLk1であり、
    前記ブラックインクBk1、前記ライトブラックインクLk1、及び前記ライトブラックインクLk2が、それぞれ樹脂を含有し、
    前記ライトブラックインクLk1及び前記ライトブラックインクLk2が、それぞれ更に有機顔料を含有し、
    前記ブラックインクBk1及び前記ライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)が、3.5以上9.0以下であり、
    前記ブラックインクLk1及び前記ライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)が、2.0以上4.0以下であり、
    更に、前記ブラックインクBk1におけるカーボンブラックの含有量が、ブラックインクBk1全質量を基準として、2.5質量%以上4.5質量%以下であることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記ブラックインクBk1中におけるカーボンブラックの含有量が、ブラックインクBk1全質量を基準として、2.5質量%以上4.0質量%以下である請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記ブラックインクBk1及び前記ライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量比(Bk1/Lk2)が、3.5以上7.5以下である請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 前記ライトブラックインクLk1及び前記ライトブラックインクLk2におけるカーボンブラックの含有量比(Lk1/Lk2)が、2.0以上3.0以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記ライトブラックインクLk1中におけるカーボンブラックの含有量が、ライトブラックインクLk1全質量を基準として、0.56質量%以上4.5質量%未満である請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記ライトブラックインクLk2中におけるカーボンブラックの含有量が、ライトブラックインクLk2全質量を基準として、0.28質量%以上1.29質量%未満である請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成方法。
  7. 前記少なくとも3種のブラックインク中における樹脂の含有量が、前記ブラックインク中におけるカーボンブラックの含有量に対して、0.5倍以上1.0倍以下である請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成方法。
  8. 前記少なくとも3種のブラックインク中のカーボンブラックが、樹脂分散型カーボンブラック及びマイクロカプセル型カーボンブラックの少なくとも一方である請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成方法。
  9. 前記少なくとも3種のブラックインクを非対称ヘッドから記録媒体に付与することで画像を形成する請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成方法。
  10. 前記少なくとも3種のインクをインクジェット記録方式で吐出し、記録媒体に付与して記録を行う請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成方法。
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