JP2006249335A - 水系インク、水系インクセット、並びにこれらを用いるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及び記録装置 - Google Patents

水系インク、水系インクセット、並びにこれらを用いるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及び記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光沢紙や半光沢紙への画像形成において、カーボンブラックの含有量が少なく、且つ、浸透性を改善するためのノニオン性界面活性剤を含む水系のライトブラックインクを用いて単色画像を形成させる際に生じるマイクロビーディング現象の抑制、及び、良好な定着性を実現できる水系インクの提供。
【解決手段】カーボンブラックを0.2〜1.5質量%と、ノニオン性界面活性剤を0.5〜3.0質量%とを含んでなり、更に、25℃(常温の意である、以下同様)において単体では固体である水溶性有機化合物、及び、25℃において単体では液体であって且つ25℃における単体での表面張力の値が35mN/m以上である水溶性有機化合物の少なくとも一方を含み、且つ、インク中における上記水溶性有機化合物の全量が30〜40質量%の範囲内であり、25℃における単体での表面張力の値が35mN/mよりも小さい水溶性有機化合物を含有しない水系インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、相対的に少ない量のカーボンブラックを含有してなる水系インク、及び該水系インクが組み合わされてなる水系インクセット、並びに、これらを用いるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及び記録装置に関する。
インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体(被記録材)にインクを付着させて記録を行うものである。特に、吐出エネルギー供給手段として電気熱変換体を用い、熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることにより液滴を発生させる方式のインクジェット記録方法(サーマルインクジェット記録方法)によれば、記録へッドの高密度マルチオリフィス化を容易に実現することができ、高解像度及び高品位の画像を高速で記録することができる(特許文献1〜3参照)。
近年、これらの技術を利用し、様々な用途で使用可能なインクが求められている。特に、画像の堅牢性を重視する用途では、色材として顔料を用いる顔料インクが利用されている。これら顔料インクの用途においても、単に美麗な有色画像を形成することに留まらず、モノクロ画像の階調性やハーフトーンを美麗に形成することも求められている。
これらの要求を満たすために、カーボンブラック濃度の異なる複数のブラックインクを用いることで、シャドー部等の暗色に対する色再現性やグレイの階調性の向上、グレイバランスの安定性、更には、メタメリズムを解消させる提案がされている(特許文献4及び5参照)。以後、カーボンブラック濃度の異なる複数のブラックインクのうち、インク中のカーボンブラック含有量が相対的に少ないブラックインクをライトブラックインクと呼ぶ。
又、ブラックインクとライトブラックインクを用いて画像を形成させた場合における幾つかの課題、及びその解決方法が提案されている。例えば、インクの浸透性と定着性を改善することを目的として、ライトブラックインクの表面張力をブラックインクの表面張力よりも低くさせるインクセットが提案されている。その際のインクの表面張力の調整には界面活性材が使用されている(特許文献6参照)。又、画像の発色性及び耐擦性を良好することを目的として、色材含有量の少ないインクにのみにポリマー微粒子を含有させることが提案されている(特許文献7参照)。更に、画像の色滲みやフェザリング、カラーブリーディングの発生を抑制することを目的として、色材含有量の少ないインクの少なくとも一つに、糖類を含有させることが提案されている(特許文献8参照)。
又、画像の、帯赤色性や帯黄色性の低減、ゴールデングロス現象の低減、位相ずれ、更には、グレイバランスの安定性やメタメリズム(等色条件)を目的として、少なくとも3種以上の濃度が異なるブラックインクをセットとして用いた提案がなされている(特許文献9〜12参照)。更に、2種以上のライトブラックインクを加えた提案においては、インク中にカーボンブラック以外に別の着色剤を含んだり、画像形成の際に組み合わせて使用するインクに、ライトシアン、ライトマゼンタを加えたインクセットとしたり、レッド・グリーン・バイオレット・オレンジの各インクを加えたインクセットや、インクに樹脂エマルジョンを加えたインクセットとすることにより、上述した色味や色相に関する課題に関して改善する効果を得ていると記載されている。
特公昭61−59911号公報 特公昭61−59912号公報 特公昭61−59914号公報 特開平11−48502号公報 特開2001−288390公報 特開2001−179956公報 特開2002−003768公報 特開2003−277653公報 特開2004−027127公報 特開2004−099657公報 特開2004−225036公報 特開2004−250519公報
本発明者らは、顔料がカーボンブラックであるライトブラックインクを用いた場合について検討していく過程で、被記録材に付与された後の顔料の凝集状態が、インク中に含まれる水溶性有機溶剤の特性や印字プロセスの変化によって大幅に左右され、これによって高品位画像の形成上問題となる新たな課題が生じるという知見を得た。具体的には、前述した技術で使用されている従来の、カーボンブラック含有量が相対的に少なく、且つ界面活性剤を含むライトブラックインクを用いて、光沢紙や半光沢紙に単色画像を形成した場合、ドットとドットが細かく繋がり、インクが付与されて、光沢紙や半光沢紙のインク受容層に定着する前の流動性を有している状態のときに、インクドットが、インク受容層表面の面方向へ不規則に移動し、隣接するドットと、その後に着弾するドットが集合体を形成し、形成した記録画像に、図5に示した如く、肉眼でも確認できるような濃度ムラを生じるという新たな現象を生じることを認識した。以後、この現象を、マイクロビーディング現象と呼ぶ。このマイクロビーディング現象は、比較的に低Dutyで印字した際に生じる現象であり、従来の、顔料ブラックインクを用いてマルチパス記録時に高Dutyで印字した際に、被記録材のインク受容層のインク吸収性に対してインク付与量が過剰になることによってインクが溢れたことによって生じる、所謂、ビーディング現象とは異なるものである。
本発明者らは、ライトブラックインクを用いて単色画像を形成させた時に現れる上記マイクロビーディングという現象に対して鋭意検討した結果、被記録材上での顔料の乾燥速度を遅くすることによって、この現象を緩和させることが可能となることが分かった。しかしながら、単に被記録材上での顔料の乾燥速度を遅らせるだけでは、被記録材上にインクを付与した後の定着性が大幅に悪化し、この場合は、画像品位が劣化してしまうことが起こる。そこで、本発明者らは、前記したライトブラックインクを用いて画像を形成させた時に起きるマイクロビーディング現象を抑制させながら、且つ、インクの定着性の悪化を引き起こさない水系インクを提供することが、大きな課題であることを認識した。特に、上記したような水系インクを得ることは、インクジェット記録方式で良好な画像を得るための大きな課題となる。
従って、本発明の目的は、光沢紙や半光沢紙への画像形成において、インク中におけるカーボンブラックの含有量が少なく、且つ、浸透性を改善するためのノニオン性界面活性剤を含む水系のライトブラックインクを用いて単色画像を形成させる際に生じるマイクロビーディング現象の抑制、及び、良好な定着性を実現できる水系インクを提供することである。
更に、本発明の別の目的は、上記水系インク、或いは該インクを他の水系インクと組み合わせてセットとして画像形成に用いることで、画像の均一性、更に、優れた定着性を実現できる画像形成が可能となるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、インクユニット及び記録装置を提供することである。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、カーボンブラックを0.2〜1.5質量%と、ノニオン性界面活性剤を0.5〜3.0質量%とを含んでなり、更に、25℃(常温の意である、以下同様)において単体では固体である水溶性有機化合物、及び、25℃において単体では液体であって且つ25℃における単体での表面張力の値が35mN/m以上である水溶性有機化合物の少なくとも一方を含み、且つ、インク中における上記水溶性有機化合物の全量が30〜40質量%の範囲内であり、更に、25℃における単体での表面張力の値が35mN/mよりも小さい水溶性有機化合物を含有しないことを特徴とする水系インクである。
又、上記水系インクの好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。上記ノニオン性界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤であること、上記25℃において単体では固体である水溶性有機化合物が、糖類ではないことが挙げられる。更に、好ましい形態としては、上記25℃において単体では固体である水溶性有機化合物が、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、及び平均分子量1,000以上のポリエチレングリコールであることが挙げられる。
又、本発明の別の実施形態は、上記何れかに記載の水系インクと、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、レッドインク、グリーンインク、ブルーインク、オレンジインク、及びバイオレットインクからなる群から選ばれる少なくとも1の水系インクとを組み合わせてなることを特徴とする水系インクセットである。
又、本発明の別の実施形態としては、下記のものが挙げられる。上記何れかに記載の水系インク、又は上記水系インクセットを構成する各水系インクをインクジェット記録方法で吐出する工程を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録方法。上記何れかに記載の水系インク、又は上記水系インクセットを構成する各水系インクが、個別に収容されてなることを特徴とするインクカートリッジ。上記何れかに記載の水系インク、又は上記水系インクセットを構成する各水系インクが個別に収容されてなるインク収容部と、該インクを吐出させるためのインクジェットヘッドとを具備してなることを特徴とする記録ユニット。上記何れかに記載の水系インク、又は上記水系インクセットを構成する各水系インクが個別に収容されてなるインク収容部と、該インクを吐出させるためのインクジェットヘッドとを具備してなることを特徴とするインクジェット記録装置。上記何れかに記載の水系インク、又は上記水系インクセットを構成する各水系インクを用いて、被記録材に画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
以上説明したように、本発明によれば、カーボンブラック含有量が相対的に少なく、且つ、浸透性を改善するためのノニオン性界面活性剤を含むライトブラックインクを用いて画像形成を行う際に生じるマイクロビーディング現象の発生を抑制でき、しかも、良好な定着性を達成できる水系のライトブラックインクが提供される。又、本発明によれば、上記のライトブラックインクを用いることによって、マイクロビーディング現象が低減し、しかも良好な定着性が実現された高品位画像の形成が可能となる水系インクセット、並びにそれを用いる記録方法、インクカートリッジ、インクユニット及び記録装置が提供される。
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明者らは、上記した従来技術の課題について鋭意検討した結果、インク組成、特に、水溶性有機化合物を制御することで、インク中のカーボンブラック含有量が少ないライトブラックインクを画像形成に用いた場合でも、被記録材に付与された後のカーボンブラックインクの存在形態を制御することができ、これによって、マイクロビーディング現象の抑制と、インクの定着性劣化の抑制と言った2つの課題を両立することが可能となることを見いだして、本発明に至った。
本発明者らは、本発明にかかる水系インクであるライトブラックインクを用いることで、上記優れた効果が得られ、従来の課題を解決することが可能となった理由を以下のように考えている。先ず、インク中のカーボンブラック含有量が少ないライトブラックインクを用いて、光沢紙や半光沢紙に単色画像形成する際に、顔料インク特有の新たな課題である低Dutyで生じるマイクロビーディング現象が、特にマルチパス記録時に生じる原因について考察する。
ここで、マルチパス記録とは、被記録材の記録領域に対して、各色のノズル列がn回スキャンして画像を形成する、所謂、マルチパス記録、分割記録のスキャン回数を記録パス数とし、パス数が増えると、それに合わせて1スキャンあたりの記録Dutyを減らし、n回で画像が完成するように各スキャンで補完しながら記録を行う記録方法である。
図4(a)は、被記録材90の断面に、1パス目のインク滴が着弾した後の様子を示す。このときインク中の顔料以外の成分92は被記録材中に浸透するが、カーボンブラック顔料91は、被記録材90の表面に形成されているインク受容層の細孔よりもサイズが大きいため、被記録材内部には浸透せず、被記録材90の表面上に存在する。
このとき、インク中のカーボンブラック含有量が多い(濃)ブラックインクに比べて、ライトブラックインクはインク中のカーボンブラック含有量が少ないため、インクが被記録材に着弾した際には、被記録材90の表面のカーボンブラック91の存在数も少ないことになる(図4(a)参照)。この存在数の少ないカーボンブラック91の集合体においては、被記録材90におけるカーボンブラック91が着弾した周辺や内部に存在する水や溶媒成分も少ないため、ライトブラックインクの1パス目のインク滴が着弾した際には、速い段階で乾燥することになる。一方、カーボンブラック91の含有量が多いインクの場合には、インクが被記録材90に着弾するとカーボンブラック91は多く重なりあって存在するため、カーボンブラック91の周辺や内部には、多くの水や溶媒成分が存在することになるので、ライトブラックインクが着弾した場合よりも乾燥速度は遅くなる。
上記したように、多パス印字においては、カーボンブラック91の含有量が少ないライトブラックインクでは1パス目のインク滴の乾燥が速く、その次の2パス目のインク滴93が着弾する前に水やインク溶剤の浸透・拡散により被記録材表面で乾燥してしまうため、その表面の細孔をカーボンブラック顔料粒子で塞いでしまう。
このようなメカニズムにより、ライトブラックインクを用いてのマルチパス画像形成時には、被記録材90の表面上のカーボンブラック91からなる薄い層があたかも「目止め」のようになってしまう部分が存在する。このため、これ以降のインク滴が着弾する際に、比較的低Dutyで、被記録材のインク受容層にはインクを吸収する余地を残しているにもかかわらず、これらのインクの吸収が阻害されてしまう部分と、そうでない部分のムラが発生すると考えられる。
又、吸収が阻害された部分のインク成分は、被記録材90のインク受容層表面の面方向へ不規則に移動し、隣接するドットと新たなドットの集合体を形成してしまう。これらの作用により、結果として、図4(b)に示すように、被記録材90表面上にカーボンブラック粒子91が寄り集まった部分と、そうでない部分との偏在を引き起こしてしまい、記録画像に細かな濃度ムラが生じてしまう。以上のプロセスによって、ライトブラックインクを用いてマルチパス印字を行った場合には、図5に示すように、形成画像には、肉眼でも確認できるような微細なまだら状の濃度ムラが現れる。即ち、この微細なまだら状の濃度ムラによってマイクロビーディング現象が生じ、画像品位の劣化が起こると推測している。
以上のようなマイクロビーディング現象は、高速定着性を重視し、界面活性剤や浸透系の有機溶剤等を用いてインクの表面張力を低下させた、浸透系インクにおいて、特に顕著となる。これは、上記のような浸透系インクにおいては、水及び有機溶剤の被記録材内部方向への浸透速度が早まることによって、顔料の乾燥が促進され、上記した被記録材表面の細孔を「目止め」する効果が大きくなってしまうためと考えている。
以上のことから、被記録材上での顔料の乾燥を遅くすることでマイクロビーディング現象を抑制できると考えられる。顔料の乾燥を遅くする具体的な方法としては、インク中の浸透剤となる材料の含有量を減らし表面張力を上げる方法や、インク中の不揮発性溶剤量を増加させ、インクが被記録材に着弾、付与された後の顔料近傍の溶剤成分の蒸発を遅くする方法等が考えられる。しかし、上記したような組成のインクを用いた場合は、マイクロビーディング現象は確かに抑制されるものの、インクが被記録材に付与された後の被記録材内部方向への水系成分の浸透が遅くなるため、色材が乾燥し、定着するまでに要する時間が長くなってしまい、定着性が損なわれる。
そこで、本発明者らは、マイクロビーディング現象の抑制と、良好な定着性の両立とを達成させるために、インク中の、浸透剤となる水溶性有機化合物及び界面活性剤といった構成成分として適宜なものを選択し、その量を最適化することによって、インクが被記録材に着弾した直後の顔料粒子の存在形態が制御され、この結果、上記目的の達成が可能になることを見出して本発明に至った。
ここで、本発明にかかる水系インクであるライトブラックインクが被記録材上に着弾して、被記録材の表面近傍で単色画像が形成されるまでの工程について説明する。図6(a)は、被記録材100の断面に、1パス目のインク滴が着弾した様子を示す。このときインク中の顔料以外の水系成分102の大半は被記録材内部に迅速に浸透する。しかし、本発明においてインクの構成成分となり得る、それ自身の表面張力が35mN/m以上と高い水溶性有機化合物は、インク中における含有量が30%〜40質量%の範囲である場合には、インク着弾直後は被記録材内部に浸透することなく顔料近傍に多く存在する。
又、本発明においてインクの構成成分となる、25℃において単体では固体である水溶性有機化合物は、インク滴の着弾後、水分蒸発による粘度上昇が急激に起こるため、これらの成分は通常のインク成分よりも表面上に残りやすく、インク着弾直後は被記録材に浸透することなく顔料近傍に多く存在する。特に、常温で固体である物質が保湿剤としての機能を有する物質、例えば、トリメチロールプロパン等の場合には、上記現象をより顕著に引き起こす。
本発明にかかる水系インクは、上記したような特性を有する水溶性有機化合物が含有されているため、インクが被記録材上に1パス目に着弾した場合、カーボンブラック顔料101は、その粒子近傍に、これらの被記録材中に浸透し難い水溶性有機化合物を主成分とするインク成分103を留めているため、2パス目のインク滴104の着弾時までの極端な乾燥が緩和される。このため、次の印字パスの際に、インクの吸収が阻害されてしまう部分が存在しないため、インク滴104もムラなく均一に浸透することが可能となる。このため図6(b)に示すように、顔料粒子は、被記録材表面上に、均一に偏在することなく存在することが可能となる。以上のプロセスによって、形成される単色画像は、図7に示すようなマイクロビーディング現象のない、均一な画像が形成される。
上記のような構成の本発明にかかる水系インクは、単純にインク中に含有させる界面活性剤の量を規定することで、インクの被記録材への浸透性を制御した場合とは異なる。例えば、インク中における界面活性剤量を減らし、インクの浸透を遅くすることで、マイクロビーディング現象を抑制することは可能であるが、この場合には、極端に定着性が低下してしまう。一方、界面活性剤量を増やした場合には、良好な定着性が得られても、マイクロビーディング現象が発生してしまう。
これに対して、本発明者らが鋭意検討した結果、インクを設計する場合に、上記で説明したような被記録材内部への浸透速度が遅い水溶性有機化合物と、浸透剤として機能するノニオン性界面活性剤のインク中における含有量を規定し最適化することで、マイクロビーディング現象の抑制と、良好な定着性を両立することが可能になることを突き止めて、本発明に至った。以下、本発明にかかる水系インクを構成する各成分について説明する。
<カーボンブラック含有量>
本発明にかかる水系インクは、インク中に含まれるカーボンブラック含有量が0.2〜1.5質量%であり、ライトブラックインクとして使用されるものである。カーボンブラックをこれ以上の濃度で含むインクの場合には、先に述べたように、着弾した場合にカーボンブラック粒子が被記録材上に多く存在することによって乾燥に要する時間が増加するため、本発明が問題としているマイクロビーディング現象は生じにくい。一方、画像形成の際にライトブラックインクを用いる利点であるシャドー部等の暗色に対する色再現性やグレイの階調性の向上、グレイバランスの安定性といった効果を得るためには、インク中に含まれるカーボンブラック含有量を0.2〜1.5質量%の範囲とすることが好適である。尚、本発明で使用するカーボンブラックについては、後述する。
<浸透速度が遅い水溶性有機化合物の含有量>
更に、本発明者らは、カーボンブラック含有量が0.2〜1.5質量%と少ないインクにおいて、マイクロビーディング現象の抑制と、良好な定着性の両立を達成するために、前記したような被記録材内部への浸透速度が遅い水溶性有機化合物をインク中に含有させることついて詳細な検討を行った。この結果、インク中に、25℃において単体では固体である水溶性有機化合物か、又は、25℃において単体では液体であり且つ25℃における単体での表面張力の値が35mN/m以上である水溶性有機化合物の何れか一方、又は両方を含有し、更に、これらの水溶性有機化合物の全量が30〜40質量%の範囲であるときに、本発明の効果が最も発揮され、マイクロビーディング現象の抑制と、良好な定着性の両立が高いレベルで達成できることがわかった。尚、本発明で使用する上記水溶性有機化合物の具体例については、後述する。
インクに含有させる水溶性有機化合物として、上記以外の、25℃において液体であるが、25℃における表面張力が35mN/m未満である水溶性有機化合物、つまり浸透系の溶剤がインク中に存在する場合には、インク適が着弾した際、顔料以外の水や水溶性有機化合物といった成分の被記録材内部方向への浸透性が高くなり過ぎることにより顔料の乾燥が促進され、マイクロビーディング現象による画像品位の低下が顕著になってしまい、好ましくない。
又、本発明で使用する前記した水溶性有機化合物のインク中における総量が30質量%未満の場合にも、顔料の乾燥が速いためマイクロビーディング現象が生じ易い。一方、本発明で使用する前記した水溶性有機化合物のインク中における総量が40質量%よりも多い場合には、良好な定着性が得られず、又、粘度上昇等により、特にインクジェット用インクとして用いる場合には、インク吐出不良等の弊害を生じやすいことからも好ましくない。
<ノニオン性界面活性剤の含有量>
本発明にかかる水系インクは、ノニオン性界面活性剤を、0.5〜3.0質量%の範囲内で含むが、エチレンオキサイド基を有するノニオン界面活性剤、特に、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の含有量が0.5質量%よりも少ない場合には良好な定着性が得られず、3.0質量%よりも多い場合には、特に、インクジェット記録用等とした際に、休止状態からのインク吐出性に弊害を生じるため、好ましくない。
[ノニオン性界面活性剤]
エチレンオキサイド基を有するノニオン性界面活性剤の例として、下記構造式(1)〜(4)の構造を有している化合物が挙げられる。
(但し、上記構造式(1)中、Rはアルキルを表し、nは整数を表す。)
上記構造式(1)中、Rは炭素数8〜21のアルキルであることが好ましい。Rは直鎖状でも分岐状でもよい。nは5〜40の整数であることが好ましい。R及び/又はnの値が異なる2種以上の化合物の混合物を使用することもできる。
(但し、上記構造式(2)中、Rはアルキル基を表し、nは整数を表す。)
上記構造式(2)中、Rは炭素数8〜21のアルキルであることが好ましい。Rは直鎖状でも分岐状でもよい。nは5〜40の整数であることが好ましい。R及び/又はnの値が異なる2種以上の化合物の混合物を使用することもできる。
(但し、上記構造式(3)中、Rは水素原子、又はアルキル基を表し、m及びnは、夫々整数を表す。)
上記構造式(3)中、mは1〜10の整数であることが好ましい。nは1〜10の整数であることが好ましい。尚、mはエチレンオキシドユニット数を、nはプロピレンオキシドユニット数を意味し、ブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体の何れでもよい。m及び/又はnの値が異なる2種以上の化合物の混合物を使用することもできる。
(但し、構造式(4)中、m及びnは、夫々整数を表わす。)
上記構造式(4)中、mは1〜10の整数であることが好ましい。nは1〜10の整数であることが好ましい。m及び/又はnの値が異なる2種以上の化合物の混合物を使用することもできる。
上記に列挙した構造式(1)〜(4)のエチレンオキサイド基を有するノニオン性界面活性剤を特定量で用いた場合には本発明の効果が十分得られるが、中でも上記構造式(4)で示される、アセチレングリコール系界面活性剤を用いた場合に、定着性において特に優れた効果が得られるため最も好ましい。更に、上記構造式(4)中のm+nの値が、3以上であるものが特に好ましい。m+nの値が3未満である場合には、疎水性が大きいため水系インクへの溶解度が低く、インク中で分離を生じやすいので、あまり好ましくない。
[水溶性有機化合物]
本発明にかかる水系インクは、カーボンブラックの分散媒体として水溶性有機媒体と水との混合媒体を含んでなるが、前記した理由から、水溶性有機媒体として、25℃において単体では固体である水溶性有機化合物か、又は、25℃において単体では液体であり、且つ25℃における単体での表面張力の値が35mN/m以上である水溶性有機化合物かの何れか一方、又は両方が含有されたものであることを要する。そして、更に、上記水溶性有機化合物の全量が30〜40質量%の範囲であることを要する。但し、上記水系インクは、25℃における単体での表面張力の値が35mN/mよりも小さい水溶性有機化合物を含有しない。
25℃で固体である水溶性有機化合物としては、尿素及びその誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分、糖類及びその誘導体等、及び平均分子量1,000以上のポリエチレングリコール等が挙げられる。これらはインクに対して0.1〜20.0質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは3.0〜10.0質量%の範囲である。
しかしながら、25℃において単体では固体である水溶性物質として糖類を用いた場合には、マイクロビーディング現象に関しては解決できるものの、別の問題を生じる場合があるので、あまり好ましくはない。即ち、本発明にかかるインクをインクジェットプリンターに使用した場合に、プリンターがある期間使用されないで放置されたとき、或いは、インクタンクとプリントヘッドが一体型の場合において、プリントヘッド自体がプリンターから外された状態で放置されたとき、或いは、インクタンクとプリントヘッドが分離可能な形態では、インクタンクがプリンターから外された状態で放置されたとき等、水分蒸発が生じることによってノズル先端部のインク中の色材や固体成分の濃度が相対的に増大し固着することにより目詰まりが発生する、所謂固着性の悪化がみられる場合があった。
これに対して、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、又は平均分子量1,000以上のポリエチレングリコールは、インク中に比較的多量に含有させても固着性等の信頼性を損ねることが少ない。よって、本発明にかかる水系インクを構成する25℃で固体である水溶性有機化合物としては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、又は平均分子量1,000以上のポリエチレングリコール等の保湿性に優れた化合物を使用することが特に好ましい。
本発明にかかる水系インクを構成する水溶性有機化合物として、25℃において単体で液体である水溶性有機化合物を選択して使用する場合には、その25℃における単体での表面張力の値が25℃で35mN/m以上である化合物を選択し、且つ前記した25℃で固体である水溶性有機化合物と併用する場合、或いは複数の上記した有機化合物を使用する場合には、これらの水溶性有機化合物の全量が本発明で規定する範囲内となるように、水溶性有機化合物を選択して適宜に配合し、インクを調製することが必要となる。
本発明にかかる水系インクに用いる水溶性有機溶剤は、以上の条件を満たす限り限定されず、その他、例えば、アルキルアルコール類;アミド類;ケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリアルキレングリコール類;アルキレングリコール類;グリセリン等の多価アルコール類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等を用いることができる。
又、本発明にかかる水系インクに用いる水としては、脱イオン水を使用することが望ましい。インクに含有される水の量は、インク全質量に対して、好ましくは40〜70質量%の範囲とすることが好ましい。
[カーボンブラック]
先に述べたように、本発明にかかる水系インクは、ライトブラックインクとして用いられるものであり、インク中に0.2〜1.5質量%のカーボンブラック顔料を含む。本発明において用いるカーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネスト法、又はサーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
具体的には、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上、コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、モナク2000、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上、キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等の市販品を使用することができる。又、本発明のために別途新たに調製されたカーボンブラックを使用することもできる。しかし、本発明は、これらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックを何れも使用することができる。
本発明において、上記したカーボンブラックは、分散剤等によって水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインク中に添加されるのが好ましい。
この際に使用される顔料分散液としては、分散剤として界面活性剤の使用や、カーボンブラック粒子の表面に、分散に寄与する親水性基を導入することによって表面を改質させたカーボンブラックを分散させる方法によって得られるものが挙げられるが、樹脂分散又は/及びマイクロカプセル化されたものであることが好ましい。即ち、樹脂を含む顔料分散液を用いることにより、光沢紙に画像を形成した場合に光沢の均一化と、十分な画像濃度の確保の両立が可能になる。このような効果は、インク中におけるカーボンブラックの濃度と、分散に寄与する分散剤としての樹脂成分やマイクロカプセル化した場合に使用する樹脂成分等との関係によって得られたものと考えられる。
本発明において好適に使用できる顔料分散液について説明する。先ず、樹脂分散剤を用いてカーボンブラックを分散してなる顔料分散液について説明する。この際に使用する樹脂分散剤としては、天然高分子も使用可能であるが、更に好ましい例として合成高分子が挙げられ、より具体的には水溶性高分子化合物が挙げられる。樹脂分散剤として利用できる水溶性高分子化合物の製造方法は、特に限定されず、例えば、イオン性基を有するモノマーと、他の重合しうるモノマーとを、非反応性溶媒中で、触媒の存在下、又は不存在下で反応させることにより製造できる。
より具体的な樹脂分散剤としては、例えば、スチレン及びその誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体、フマール酸及びその誘導体、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つの単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体、並びにこれらの塩等を挙げることができる。ここで、好適な一例としては、イオン性基を有するモノマーと、スチレンモノマーとを必須成分として重合させることによって得られるスチレン/アクリル系高分子化合物、又はイオン性基を有するモノマーと、炭素原子の個数が5以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとを必須成分として重合させることによって得られるイオン性基含有アクリル系高分子化合物から選ばれる樹脂分散剤が挙げられる。これらの樹脂分散剤を用いると、良好な結果となることが明らかとなっているが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記したような樹脂分散剤によってカーボンブラックを分散させる際には、得られる顔料分散体が特にアニオン性基を有することを目的とする場合には、アニオン性の分散剤を、一方、得られる顔料分散体が特にカチオン性基を有することを目的とする場合には、カチオン性基を有するか、或いはノニオン性の分散剤を、それぞれ選択することが望ましい。
本発明で用いられることのできるカーボンブラック顔料の分散方法としては、例えば、ペイントシェイカー、サンドミル、アジテーターミル、3本ロールミル等の分散機やマイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルチマイザー等の高圧ホモジナイザー、超音波分散機等、それぞれの色材に一般的に用いられる分散方法であれば、どのような手法でも制限されない。
更に、本発明においてはカーボンブラック自体の分散性を高めて分散剤等を用いることなく分散可能とした、マイクロカプセル型構成の顔料も好適に用いられる。カーボンブラックを有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法等が挙げられる。具体的には、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法、酸析法、転相乳化法等が挙げられる。
マイクロカプセルの壁膜物質を構成する材料として使用される有機高分子類としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体、又は共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミン等が挙げられる。
これらの中では、カルボン酸基、又はスルホン酸基等のアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。又、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、又はそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体等が挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており、特に好ましい。
マイクロカプセル化の方法として転相法、又は酸析法を選択する場合は、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類としては、アニオン性有機高分子類を使用する。転相法は、水に対して自己分散能、又は溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、分散性を有した顔料との複合物、又は複合体、或いは分散性を有した顔料、硬化剤及びアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、或いは水中に該有機溶媒相を投入して、自己分散(転相乳化)化しながらマイクロカプセル化する方法である。上記転相法において、有機溶媒相中に、インクに用いられる水溶性有機溶剤や添加剤を混入させて製造しても何等問題はない。特に、直接インク用の分散液を製造できることからいえば、インクの液媒体を混入させる方がより好ましい。
一方、酸析法は、アニオン性基含有有機高分子類のアニオン性基の一部、又は全部を塩基性化合物で中和し、分散性を有する顔料と、水性媒体中で混練する工程及び酸性化合物でpHを中性、又は酸性にしてアニオン性基含有有機高分子類を析出させて、顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部、又は全部を中和することによりマイクロカプセル化する方法である。このようにすることによって、微細で顔料を多く含むアニオン性マイクロカプセル化顔料を製造することができる。
又、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロール等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、二塩化エチレン等の塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等が挙げられる。尚、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離、又は濾過等によりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水及び必要な溶剤とともに撹拌、再分散を行い、目的とするマイクロカプセル型顔料とすることもできる。
更に、本発明で使用する顔料分散液としては、カーボンブラック自体の分散性を高めた、分散剤等を用いることなく分散可能としたポリマー結合型自己分散顔料の分散液も使用可能である。この分散剤を用いないポリマー結合型自己分散顔料は、カーボンブラックの表面に、直接若しくは他の原子団を介して化学的に結合されている官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体との反応物を含むものを用いることが好ましい。即ち、このような構造を有するものを使用すれば、表面を改質する場合に用いる共重合体の形成材料であるイオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合比率を適宜に変化させることができ、これによって改質されたカーボンブラックの親水性を適宜に調整できるので好適である。又、使用するイオン性モノマー及び疎水性モノマーの種類や、両者の組み合わせを適宜に変化させることができるため、カーボンブラック表面に様々な特性を付与することもでき、この点からも好適である。
カーボンブラックを上述した方法にて顔料分散液とする過程において得られる粒径は、好ましくは、分散粒径が0.01μm以上0.5μm以下(10nm以上500nm以下)の範囲、特に好ましくは、0.03μm以上0.3μm以下(30nm以上300nm以下)の範囲に分散する。この過程での分散粒径は、得られる分散性顔料の分散粒径に大きく影響する。着色力や画像の耐候性の観点、及び分散安定性の観点から、上記の範囲が好ましい。
[その他の成分]
本発明にかかる水系インクには、上記成分以外にも必要に応じて、前記した以外の界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤等の、種々の添加剤を含有させてもよい。
即ち、界面活性剤としては、本発明で必須とする、例えば、エチレンオキサイド基を有するノニオン性界面活性剤等以外にも、これらと併用して、表面張力調整や、吐出性を改善するために、他の界面活性剤を用いてもよい。上記したような添加剤の水系インク中の総含有量は、水系インク全質量に対して0.05〜5質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜2質量%である。
[インク特性]
上記で説明したような構成成分からなる本発明にかかる水系インクは、特にインクジェット記録用として好適である。このような場合には、インクジェット記録ヘッドから良好に吐出できる特性を有するインクとすることが好ましい。このため、インクジェット記録ヘッドからの吐出性という観点からは、インクの特性が、例えば、その粘度が1〜15mPa・s、表面張力が25mN/m以上、更には、粘度が1〜5mPa・s、表面張力が25〜50mN/mとすることが好ましい。
即ち、インクの粘度が上記範囲内であると、インクジェット記録において正常な吐出が可能であり、又、その粘度抵抗により被記録材への浸透が早く、定着性の面からも問題がなく、好ましい。表面張力が上記範囲にあるとき、インクジェット記録において液滴が吐出した後、メニスカスを引き戻そうとする力が強いか、或いは逆にメニスカスが突出した際に、引き戻す力が比較的強いため、泡を抱き込んだり、オリフィス部が濡れてヨレの原因となるといった問題が起こらない。
[インクセット]
本発明にかかる水系インクは、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、レッドインク、グリーンインク、ブルーインク、オレンジインク、及びバイオレットインクからなる群から選ばれる少なくとも1の水系インクとを組み合わせて、水系インクセットとして、インクジェット記録に使用することが特に好ましい。
具体的には、本発明にかかる水系インクであるカーボンブラック濃度が相対的に低いライトブラックインクと、例えば、相対的にカーボンブラック濃度の高いブラックインク、更に、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク、ブルーインク、オレンジインク、バイオレットインク等の種々の可能な各色カラーインクから選択したカラーインクを組み合わせてなるものが挙げられる。
本発明にかかるインクセットとしては、上記した夫々のインクを個別に収納したインクタンクが組み合わされてなるもの、いくつかのインクを個別に収納してなるインクタンクを組み合わして一体としたインクタンク、又はヘッドつきインクタンクで構成されるインクセット、又は、記録装置に対し個別のインクタンクがそれぞれに脱着可能であるように構成されたもの等が挙げられる。本発明では、本発明にかかる水系インクと共に他のインクを組み合わせて、複数のインクを用いる状態のことを実質的にインクセットと称する。いずれにしても、本発明においては、本発明にかかるインクセットとする場合に使用される(プリンター内で或いはインクタンクとして)他のインクに限定されることなく、本発明にかかる水系インクが組み合わされてなるものであれば、上記形態に限らず、どのような変形の形態のものであってもよい。
[記録方法及び記録装置]
本発明にかかる水系インクは、後述するようなインクジェット記録装置にて被記録材上に画像を形成した場合に、特に良好な効果が得られる。この際に使用する被記録材は、インクジェット記録可能などのようなものでも制限なく用いることができる。
本発明にかかる水系インクは、インクジェット吐出方式のヘッドに好適に用いられ、又、そのインクが収納されているインクタンクとしても、或いは、その充填用のインクとしても有効である。特に、本発明にかかる水系インクは、インクジェット記録方式の中でもバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッド、記録ユニット、記録装置で使用された場合に、優れた効果をもたらすものである。
インクジェット吐出方式の代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である。特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し、インク内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つのインク滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路、又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成のインクジェット吐出方式で使用するインクとしても、本発明にかかる水系インクは有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通すると吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59−123670号公報等)に対しても有効である。更に、記録装置が記録できる最大被記録材の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成の何れでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。具体的には、図1に、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は、供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は、廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。尚、インクカートリッジは、インク収容部とヘッド部を一体として備えた構成としてもよい。
(インクカートリッジ)
本発明にかかる水系インクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジとしては、これらのインクが収容されるインク収容部を有するインクカートリッジが挙げられる。
以下に本発明の水系インクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジの具体例を示す。図2は、本発明の水系インクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジである液体収納容器の概略説明図であり、断面図である。図2に示したように、液体収納容器(インクタンク)は、上部で大気連通口112を介して大気に連通し、且つ下部でインク供給口に連通しており、その内部は、負圧発生部材を収容する負圧発生部材収納室134と、液体のインクを収容する実質的に密閉された液体収納室136とに、仕切壁138でもって仕切られている。そして、負圧発生部材収納室134と液体収納室136とは、液体収納容器(インクタンク)底部付近で、仕切壁138に形成された連通孔140及び液体供給動作時に液体収納室への大気の導入を促進するための大気導入溝(大気導入路)150を介してのみ連通されている。負圧発生部材収納室134を画成する液体収納容器(インクタンク)の上壁には、内部に突出する形態で複数個のリブが一体に成形され、負圧発生部材収納室134に圧縮状態で収容される負圧発生部材と当接している。このリブにより、上壁と負圧発生部材の上面との間にエアバッファ室が形成されている。
又、液体供給口114を備えたインク供給筒には、負圧発生部材より毛管力が高く且つ物理的強度の強い圧接体146が設けられており、負圧発生部材と圧接している。図示した例では、負圧発生部材収納室内に、負圧発生部材として、ポリエチレン等オレフィン系樹脂の繊維からなる第一の負圧発生部材132B、及び第二の負圧発生部材132Aの2つの毛管力発生型負圧発生部材が収納されている。132Cは、この2つの負圧発生部材の境界層であり、境界層132Cの仕切壁138との交差部分は、連通部を下方にした液体収納容器の使用時の姿勢において大気導入溝(大気導入路)150の上端部より上方に存在している。又、負圧発生部材内に収容されているインクは、インクの液面Lで示されるように、上記境界層132Cよりも上方まで存在している。
(記録ユニット)
本発明にかかかる記録ユニットは、本発明にかかる水系インク或いは、該インクを含む複数のインクが組み合わされてなるインクセットを構成するインクを収容しているインク収容部と、該インクを吐出させるためのインクジェットヘッドとを具備してなる。該記録ユニットとしては、上述のようにヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図3に示すような、それらが一体になったものにも好適に用いられる。図3において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタン又はポリプロピレンを用いることが好ましい。又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。
又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
[被記録材]
本発明にかかる水系インク或いはインクセットを用いることを特徴とする画像形成方法においては、使用する被記録材としては勿論限定されるものではないが、紙、樹脂フィルム等各種基材の少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材等を好ましく使用できる。特に、表面にコーティング層を持つ被記録材であり、光沢性を発現するよう構成された光沢紙や半光沢紙を用いた場合に好ましい効果が得られる。このような被記録材としては、少なくとも親水性ポリマー及び/又は無機多孔質体を含有した少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材が挙げられ、画像を形成した場合に、特に優れた効果が発揮される。
インクを受容するコーティング層を有する被記録材としては、表面状態、コーティング層の厚みやインクを吸収する細孔の大きさ、インク吸収層を構成する材料の違い、更には、基材の種類等により多種多様なものが存在し所望のものを用いればよい。例えば、表面光沢が高い光沢紙や光沢フィルム、表面光沢を加工等によって調整した微光沢紙や半光沢紙等が挙げられる。本発明においては、上述した被記録材の中でも光沢性を十分確保した光沢紙や、表面を絹目等の処理を施した半光沢紙等を好適に用いることができる。
上記した被記録材のインク受容層を構成する親水性ポリマーとしては、従来公知の物質を使用することができる。例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋型ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリスチレンスルホン酸、4級ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアミン、水性ウレタン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ化合物、水溶性ポリエステル等を挙げることができる。又、上記ポリマーの変性物、例えば、カチオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルピロリドン等のイオン変性物等も適宜使用することができる。更に、上記被記録材のインク受容層を構成するために用いられる無機多孔質体としては、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト及び多孔質ガラス等を挙げることができる。
本発明に用いられる光沢紙や半光沢紙においてインクの吸収速度及び吸収能が十分なものとしては、上述した材料を組み合わせて作られた細孔を有する隙間タイプのものが好適に用いられる。即ち、所望の光沢性を被記録材表面に有して十分なインク吸収能を得るためには微細、且つ、インクを吸収するのに十分なインク受容層の膜厚を有する被記録材が好適である。このような被記録材として、細孔半径としては一般に例えば10〜50nmであり、20nm以下であることが好ましい。インク受容層の膜厚は10μm以上40μmが好ましい。ここで示される細孔半径、即ち被記録材の細孔のサイズは本発明に用いられるカーボンブラックよりも小さいため、インク中の溶媒成分はその細孔より浸透により入り込んでいくが、カーボンブラック自体は表面に残り、配列することになる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
[カーボンブラック分散液の調製]
比表面積が210m2/g、DBP吸油量が74ml/100gであるカーボンブラック10部と、酸価200、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体の10%水酸化ナトリウム中和水溶液20部と、更にイオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散させた。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去し、更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、カーボンブラック濃度が10%のブラック顔料分散液を得た。
[水溶性有機化合物]
次に、実施例及び比較例で使用した各水溶性有機化合物について、25℃の単体での存在形態と、それらのうち液体であるものについては、単体での25℃での表面張力を測定した。その結果を表1に示す。尚、表面張力の測定には、自動表面張力測定装置[商品名:CPVP−Z;協和界面化学(株)社製]を使用した。
[実施例1〜15、比較例1〜6]
上記で作製したカーボンブラック分散液と、表1に記載した水溶性有機化合物から選択した成分を用い、これらを含む表2又は表3に記載した組成となるように各成分を秤量後、これらの成分を十分に溶解し攪拌させた。その後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して、実施例1〜15及び比較例1〜6の各ライトブラックインクを調製した。表2中の値は、各成分の部数を示し、残部とあるのは、全体を純水で調整して100部としたことを意味する。尚、カーボンブラック分散液中のカーボンブラック濃度は10質量%であるので、インク中におけるカーボンブラック含有量は、カーボンブラック分散液の10分の1となる。
[評価]
これら実施例及び比較例のライトブラックインクを用いて単色画像を形成し、評価を行った。評価は、記録信号に応じて熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF−900を用いて画像形成することによって行った。
(マイクロビーディング現象の発生)
上記各ライトブラックインクと、上記したインクジェット記録装置を用いて、キヤノン社製インクジェット用紙SG−101に、100%の打ち込み量となる単色画像のパターンを印字した。そして、各形成画像におけるマイクロビーディング現象の発生の有無を目視で観察し、以下の基準で評価した。評価結果は表4にまとめて示した。
AA:マイクロビーディング現象が目視でも、10倍に拡大しても確認できず、形成画像が均一である。
A:マイクロビーディング現象が目視では確認できないが10倍に拡大すると視認できるレベルであり、形成画像は画像性能上問題ないレベルである。
B:マイクロビーディング現象による画像の微細な色ムラが視認できる。
C:マイクロビーディング現象の発生が目視でも目立ち、形成画像が不均一で色ムラが目立つ。
(定着性)
上記各ライトブラックインクと、前記したインクジェット記録装置を用いて、キヤノン社製インクジェット用紙SG−101に、100%の打ち込み量となる単色画像のパターンを印字した。そして、印字の10秒後に印字部をろ紙(商品名:No.5C;東洋ろ紙(株)社製)で擦り、その後の印字物の様子を目視で観察し、定着性を評価した。評価は以下の基準で行った。評価結果は表4にまとめて示した。
A:印字部の汚れ、尾引きが全く認められない。
B:印字部の表面状態に微小な変化を生じるが画像性能上問題ないレベルであり、尾引きは認められない。
C:印字部の汚れ、尾引きが生じる。
(固着性)
実施例1と実施例15の各ライトブラックインクと、前記したインクジェット記録装置を用いて、記録ヘッドに上記ライトブラックインクを収納したタンクを取り付け、この記録ヘッドを本体から外した状態で、気温35℃、湿度15%の環境下に2週間放置した。その後、この記録ヘッドを上記の記録装置に取り付けて印字を行い、インクの固着性の評価を以下の基準で行った。評価結果を表5に示した。
A:吸引回復動作3回以内で、全てのノズルが正常に吐出した。
B:吸引回復動作3回から5回で、全てのノズルが正常に吐出した。
C:吸引回復動作5回以内では、全てのノズルが正常に吐出せず、ノズル詰まりによるインクの不吐や、飛翔のヨレが認められた。
インクカートリッジの縦断面図である。 本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジである液体収納容器の概略説明である。 記録ユニットの一例を示す斜視図である。 ライトブラックインクが被記録材に着弾しマイクロビーディング現象を生じるとき、断面から観察した様子を模式的に説明するための図である。 図4のプロセスによって形成された画像である。 本発明のインク滴が被記録材に着弾したときの断面から観察した様子を模式的に説明するための図である。 図6のプロセスにより形成された単色画像である。
符号の説明
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通口
90:被記録材
91:カーボンブラック顔料
92:インク中のカーボンブラック顔料以外の水系成分
93:インク滴
100:被記録材
101:カーボンブラック顔料
102:水を主成分とする水系成分
103:本発明に用いられる水溶性有機化合物を主成分とする水系成分
104:インク滴
112:大気連通口
114:液体供給口
132A:第二の負圧発生部材
132B:第一の負圧発生部材
132C:第一の負圧発生部材と第二の負圧発生部材の境界層
134:負圧発生部材収納室
136:液体収納室
138:仕切壁
140:連通孔
146:圧接体
150:大気導入溝(大気導入路)
L:液体−気体界面

Claims (10)

  1. カーボンブラックを0.2〜1.5質量%と、ノニオン性界面活性剤を0.5〜3.0質量%とを含んでなり、更に、25℃において単体では固体である水溶性有機化合物、及び、25℃において単体では液体であって且つ25℃における単体での表面張力の値が35mN/m以上である水溶性有機化合物の少なくとも一方を含み、且つ、インク中における上記水溶性有機化合物の全量が30〜40質量%の範囲内であり、更に、25℃における単体での表面張力の値が35mN/mよりも小さい水溶性有機化合物を含有しないことを特徴とする水系インク。
  2. 前記ノニオン性界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤である請求項1に記載の水系インク。
  3. 前記25℃において単体では固体である水溶性有機化合物が、糖類ではない請求項1又は2に記載の水系インク。
  4. 前記25℃において単体では固体である水溶性有機化合物が、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、及び平均分子量1,000以上のポリエチレングリコールからなる群から選ばれる請求項1〜3の何れか1項に記載の水系インク。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の水系インクと、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、レッドインク、グリーンインク、ブルーインク、オレンジインク、及びバイオレットインクからなる群から選ばれる少なくとも1の水系インクとを組み合わせてなることを特徴とする水系インクセット。
  6. 請求項1〜4の何れか1項に記載の水系インク、又は請求項5に記載のインクセットを構成する各水系インクをインクジェット記録方法で吐出する工程を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. 請求項1〜4の何れか1項に記載の水系インク、又は請求項5に記載のインクセットを構成する各水系インクが個別に収容されてなることを特徴とするインクカートリッジ。
  8. 請求項1〜4の何れか1項に記載の水系インク、又は請求項5に記載のインクセットを構成する各水系インクが個別に収容されてなるインク収容部と、該インクを吐出させるためのインクジェットヘッドとを具備してなることを特徴とする記録ユニット。
  9. 請求項1〜4の何れか1項に記載の水系インク、又は請求項5に記載のインクセットを構成する各水系インクが個別に収容されてなるインク収容部と、該インクを吐出させるためのインクジェットヘッドとを具備してなることを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. 請求項1〜4の何れか1項に記載の水系インク、又は請求項5に記載のインクセットを構成する各水系インクを用いて、被記録材に画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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