JP5212851B2 - 清掃工場の解体工法 - Google Patents

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Description

本発明は、清掃工場の解体工法に関する。
例えば家庭などからでた可燃廃棄物を焼却する清掃工場(本願において、「清掃工場」は、一つ以上の焼却炉をその内部空間に有する建屋を意味する。)が広く用いられている。清掃工場には、法定の耐用年数が決められており、それが作られてから一定の年月が経過すると解体が必要となる。
清掃工場の解体は簡単ではない。環境についての厳しい配慮が求められる近年においては、清掃工場を解体するときに、清掃工場が備える焼却炉に残留したダイオキシンが周囲に飛散することが厳しく禁止されている。特に都会部においては、清掃工場が民家のごく近くに存在することがあるため、そのような要求は益々強まる。
都会部の典型である東京都で用いられている清掃工場の解体工法として以下のものがある。
この解体工法では、まず、箱状の建屋の天井(屋上)部分に、建屋内の焼却炉を取出せる程度の大きさの孔を穿つとともに、その孔を覆う開閉自在の屋根を屋上の上に設ける。また、建屋の外部に大型のクレーンを載置する。
次いで、上記屋根を開状態にして、建屋の中からクレーンで必要に応じてガス切断した焼却炉を吊上げ、建屋の外に運び出す。焼却炉が複数あればこれを繰り返す。
そして、焼却炉が運びだされた後の建屋を解体する。建屋の解体は、建屋の外部に養生足場を設置し、屋根部を開放した状態のまま行う。そのままだと粉塵が飛散するので、散水処理を行うなどして粉塵の飛散を防止する。このような処理を建屋がすべて崩されるまで続けて、建屋は上から徐々に崩されていき、清掃工場は解体される。
上述の清掃工場の解体工法で、最初に焼却炉を建屋から取りだすのは、天井を支える柱が多数立っている建屋の中に、焼却炉を解体するための大型の重機を持ち込むこと、及びそのような限られたスペースの中で重機に作業させるのが難しいこと、が理由である。
しかしながら上述の清掃工場の解体工法は、開閉自在の屋根を建屋の屋上の上に取付けること、重機を載置すること、屋根を開閉させながら焼却炉を建屋外に取りだすことが必要であり、工期が長くなりがちである。
かかる解体工法に代わるものとして、本願出願人は、清掃工場の解体工法の1つとして、以下のものを行なっている。それは、清掃工場全体を仮設のテントで覆ってしまい、テント内に運び込んだ重機を用いて清掃工場全体を解体するというものである。
この清掃工場の解体工法は、最初に焼却炉を取り出す必要がなく、焼却炉と建屋とを重機でまとめて解体するものであるから工期が短いという利点を持つ。しかしながら、建物全体を覆う、高さ数十mにも及ぶ巨大なテントが必要であるという点で、若干コストが高くなる嫌いがある。
本願発明は、工期が短く、建物全体を覆うテントを用いる上記清掃工場の解体工法よりも費用が抑えられる清掃工場の解体工法を提供することをその課題とする。
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、焼却炉と、その周囲を囲む壁、天井、及び前記天井を支える柱をその内部空間に備えるものであり、その内部空間に焼却炉を備える建屋と、を有している清掃工場を解体する清掃工場の解体工法である。
そして、この清掃工場の解体工法(以下、単に「解体工法」と呼ぶ場合がある。)は、前記天井の上面である前記建屋の屋上のうちの所定の範囲である対象範囲を覆うことのできる形状、大きさのシートの縁部を前記建屋に固定するシート固定工程と、前記建屋の内部空間に重機を搬入する重機搬入工程と、前記重機で、前記焼却炉と、前記柱のうち少なくとも前記重機の動作を妨げるものとを解体する内部解体工程と、前記焼却炉と前記柱とを解体することによって生じた、前記焼却炉と前記柱と前記天井の瓦礫を前記建屋外に搬出する瓦礫搬出工程と、前記シートを前記建屋から除去するシート除去工程と、前記建屋の壁と前記柱のうち残ったものとを解体する建屋解体工程と、を含む。また、前記シート固定工程では、天井のうち、前記内部解体工程で解体されることが予定されている前記柱を解体した場合に崩れる範囲を前記対象範囲とする。
この解体工法では、建屋の屋上のうちの所定の範囲である対象範囲を覆う屋根を設け、その後建屋内に搬入した重機で、焼却炉と柱を解体する。柱をなくすことにより支えを失った、天井のうちの所定の範囲(これが天井の対象範囲である。)が崩れ落ちるが、解体された焼却炉から流出するダイオキシンは、建屋の屋上の対象範囲に相当する部分に開いた孔が予めシートにより覆われているので、建屋の天井に開いたその孔から周囲の環境に飛散することがない。言うなればこの解体工法は、建屋の壁(及び、場合によっては天井の一部)を、建屋全体を覆うテントを用いる場合の当該テントの一部として流用するものと言える。それ故、建物全体を覆うテントを用いる解体工法よりも、この清掃工場の解体工法はコストが低い。
またこの解体工法では、天井を落とすことを前提としており、屋上のうちの孔が開くことが予定された対象範囲を予め屋根で覆っているので、焼却炉を重機で解体する際に邪魔になる柱も、焼却炉とどちらを先に解体するかはともかく、焼却炉とともに解体することができる。したがって、この解体工法は、工期を短くすることができる。
本願発明による解体工法におけるシート固定工程では、天井のうち、前記内部解体工程で解体されることが予定されている前記柱を解体した場合に崩れる範囲を前記対象範囲とする。
内部解体工程で解体されることが予定されている柱は、建屋の柱の一部である場合もあるし、すべての場合もある。内部解体工程ですべての柱を解体するのであれば、天井も外周付近の一部を除いたほとんどすべてが崩れることも考えうる。そのような場合であれば、前記シート固定工程では、前記天井の略全面を前記対象範囲とする必要がある。
もっとも、対象範囲を天井の略全面としておけば、内部解体工程で柱を解体することによって天井が崩れることで天井に生じる孔の範囲がどのようなものであっても、その孔はシートに予め覆われているから、解体された焼却炉から流出するダイオキシンを建屋の外部に漏らさないようにすることができる。
重機は、建屋の内部空間に壁から入れる。壁に十分に大きな扉などの開口があれば、そこから重機を建屋の内部空間に入れることができる。また、建屋の壁に十分に大きな開口がないのであれば、本願発明は、前記建屋の壁に、前記内部空間に前記重機を搬入するための孔を穿つ工程を更に含んでも構わない。
孔を穿つ場合には、本願発明は、前記孔に開閉自在の扉を設ける工程を更に含んでも良い。孔は、主に、建屋に元々あった扉からは重機を搬入できないときに設けられるのであるから、大きい上にそれを塞ぐ扉などがないのが通常である。しかしながらその孔からは、重機による焼却炉の解体作業の途中などに、ダイオキシンなどを含んだ塵などが漏れ出すおそれがある。孔に開閉自在の扉を設けることで、そのおそれを小さくすることができる。
孔を穿つ場合には、本願発明は、前記孔の外側に、重機をそこに配置できる密閉された空間である密閉空間を設けるとともに、前記孔と前記密閉空間を遮る開閉自在の扉である第1扉と、前記密閉空間とその外部とを遮る開閉自在の扉である第2扉とを設ける工程を更に含んでもよい。密閉空間を設け、上述のような第1扉と第2扉を設けると、例えば重機の搬入や、重機又は重機での解体作業によって生じた瓦礫の搬出などの際に、第1扉と第2扉とを同時に開放しないようにすることにより、建屋の内部空間と外部の空間が直接連通することを避けられるようになる。これにより、ダイオキシンの流出の可能性がより小さくなる。例えば、建屋の内部空間から重機を搬出する場合であれば、第2扉を閉めた状態で第1扉を開け、建屋の内部空間から重機を密閉空間に移動させ、第1扉を閉め、次いで第2扉を開け、密閉空間から重機を外部に移すといった具合である。
なお、扉、第1扉、第2扉はいずれも、観音開きや、引き戸のようないわゆる扉でもよく、上下開閉式のシャッターでも良く、密閉を行えるのであればシート材によって構成された簡易なものでもよい。
また、密閉空間は例えばシートによってテント様に作ることができる。
また、建屋の内部空間に搬入する重機はどのようなものでも良く、また複数であっても構わない。
本願発明の前記シート固定工程では、シートの縁部は、屋上に固定されても良いし、壁の外面に固定されても良い。屋上に固定すれば、シートの建屋への固定がより容易である。シートの縁部は、その全長にわたって建屋に固定されるのが好ましいが、必ずしもその限りではない。シートの縁部に適当な錘を適当な間隔で配置したり、シートの縁部に適当な間隔で杭を打ち込んだり、シートの縁部を接着テープで建屋に貼り付けるなどして、シートと建屋の固定をなすことができる。
また、前記シートの縁部以外の部分を、前記屋上から浮かせた状態で前記シートを前記建屋に固定しても良い。シートと屋上が例えばシートの全面で接触していると、天井を落としたときにシートに破損が生じる可能性がある。シートの縁部以外の部分を屋上から浮かせておけばその可能性を小さくできる。
本願発明の前記内部解体工程を実行する際に、前記建屋の内部空間を負圧化するようにしてもよい。こうすることによって、建屋の内部空間から建屋の外部にダイオキシンが流出する可能性をより小さくすることができる。
本発明の第1実施形態における清掃工場の解体工法によって解体される清掃工場を模式的に表す斜視図。 図1に示した清掃工場を出入り口を通る高さで水平に切った状態を示す断面図。 図1に示した清掃工場の屋上をシートで覆った状態を示す斜視図。 図1に示した清掃工場の壁に孔を穿った状態を模式的に表す斜視図。 図1に示した清掃工場の壁に密閉空間を作った状態を模式的に表す斜視図。 図1に示した清掃工場の内部の解体を行った状態を示す斜視図。 図1に示した清掃工場の屋上からシートを除去した状態を示す斜視図。 本発明の第2実施形態における清掃工場の解体工法によって解体される清掃工場を出入り口を通る高さで水平に切った状態を示す断面図。 図8に示した清掃工場の壁に密閉空間を作った状態を模式的に表す斜視図。 図8に示した清掃工場の内部の解体を行った状態を示す斜視図。
以下、本発明の好ましい第1、第2実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、両実施形態において同一の対象には同一の符号を付すこととし、重複する説明は場合により省略することとする。
≪第1実施形態≫
第1実施形態による、清掃工場の解体工法で解体される清掃工場の斜視図を図1に、平面断面図を図2にそれぞれ示す。
清掃工場は、建屋10を備えている。建屋10はこれには限られないが、この実施形態では箱状である。建屋10の内側に内部空間11がある。建屋10は四方を壁12で囲まれており、また天井を備えている。天井の上側の面が屋上13である。壁12、屋上13は、これには限られないが、この実施形態では矩形である。建屋10はまた柱14を備えている。この実施形態では、壁12と一体でない柱14のみを図示している。柱14は、内部空間11に立てられており、天井を支えている。
また、4つの壁12の、この実施形態では一つに、出入り口15が設けられている。出入り口15は、後述する焼却炉で焼却する廃棄物を建屋10内に搬入するなどの目的で使用されたものである。
また、内部空間11には焼却炉20が配されている。焼却炉20はこの実施形態では3つであるものとするが、3つである必要も、複数である必要ももちろんない。
図1、図2に示した清掃工場を解体する手順は、図3〜図7に示したとおりであり、具体的には、以下に述べる通りである。
なお、下記シート固定工程〜建屋解体工程のうち、シート固定工程と重機用出入口開設工程、及び瓦礫搬出工程とシート除去工程は順不同であり、ともに同時に行なわれても構わない。
[シート固定工程]
まず、建屋10の屋上13に仮設屋根30を取付ける(図3)。
仮設屋根30は、枠31と樹脂製のシート32とにより構成されている。
枠31はシート32を支えて、シート32の形状を維持するものであり、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、2本の支柱31Aと支柱31Aの間に渡された梁31Bとからなる。
シート32は、梁31Bの両側に位置することになる矩形の四角シート32Aと、それらの両端に取付けられている二等辺三角形の三角シート32Bとからなる。
シート32は、梁31Bにより支持されて屋上13から浮いた状態となる。シート32を屋上13から浮かせるための構造は、もちろん他のものであっても良い。
また、シート32の縁部は、屋上13の周縁部付近で建屋10に固定されている。より詳しくは、シート32の縁部は、屋上13の周縁部付近で壁12の外面又は屋上13に固定されている。この実施形態では、シート32の縁部の全長にわたって、屋上13への固定がなされている。この実施形態では、本願でいう対象範囲は天井の略全面であり、シート32は天井の反対側の面である屋上13の略全面を覆っている。
シート32と屋上13の間の固定は、内部空間11内で後述のように解体される焼却炉20から出たダイオキシンを含む塵が、シート32と屋上13の間から、許容できる量以上は漏れ出さないように行なわれるのであれば、周知のどのような方法を採用しても構わない。シート32には、重機や重機によって解体される建屋などから力が加わることもないので、シート32の縁部に適当な錘を適当な間隔で配置したり、シート32の縁部に適当な間隔で杭を打ち込んだり、シート32の縁部を接着テープで建屋10に貼り付けるなどして、シート32と屋上13の固定をなす。
同様にシート32の四角シート32A同士の繋ぎ目、四角シート32Aと三角シート32Bの繋ぎ目、また、シート32それ自体の素材も、ダイオキシンを含む塵が許容できる量以上は漏れ出ないように適宜選択される。
[重機用出入口開設工程]
次いで、重機を建屋10の内部空間に搬入するための孔16を壁12のうちの適当なものに穿ち(図4)、その前に密閉空間17を形成するための仮設テント18を建てる(図5)。この実施形態では、出入り口15を拡大するように孔16を穿つこととしているが、もちろんこの限りではない。
孔16の大きさ、形状は、重機の搬入が出来れば特に制限がない。もともと壁12に開いていた孔(例えば出入り口)が、重機の搬入を許容するのであれば、孔16を穿つ必要もない。
孔16の前に立てられる仮設テント18は、その中に重機を入れられる程度の大きさとする。仮設テント18は、ダイオキシンを含む塵が漏れ出さない程度の密閉性を持つ。
また、孔16に第1扉16Aを、仮設テント18の一面に第2扉18Aをそれぞれ設ける。これには限られないが、第1扉16Aと、第2扉18Aはこの実施形態では共にシャッターである。第1扉16Aと、第2扉18Aは開閉自在であり、閉状態のときにダイオキシンを含む塵が漏れ出さない程度の密閉性を持つのであればその構成は特に問わない。シャッター以外では、第1扉16Aと、第2扉18Aは、観音開きの扉、引き戸、シートなどにより構成される場合がある。
[重機搬入工程]
次いで、図示を省略するが、孔16から、建屋10の内部空間11に重機を入れる。重機を建屋10の内部空間11に入れる場合には、第1扉16Aと、第2扉18Aを同時に開放しないようにし、第1扉16Aを閉じた状態で第2扉18Aを開けて仮設テント18内の密閉空間17に入れた重機を、第2扉18Aを閉めてから第1扉16Aを開けて建屋10の内部空間11に入れる。その後、第1扉16Aを閉める。
重機は、柱14と焼却炉20の解体を行えるものとする。柱14と焼却炉20以外のものが内部空間11に存在するのであれば、重機はそれも解体できるものから選択する。
[内部解体工程]
そして、重機で、内部空間11に存在する柱14と焼却炉20と、解体が必要なものがあればそれとを解体する。
柱14が失われると、柱14に支持されていた天井が落ち、天井14に略天井一杯の孔である天井孔19が開く(図6)。ただし、そうであっても、仮設屋根30があるから、天井孔19からダイオキシンを含んだ塵が外部に漏れ出すことがない。また、柱14がなくなっていれば、焼却炉20の解体を行うにスペース的な問題が生じないから、焼却炉20の解体を重機を用いて円滑に行うことができる。
[瓦礫搬出工程]
次いで、図示を省略するが、塵が収まってから、重機で解体された柱14、焼却炉20などから生じた瓦礫を、孔16から建屋10の外部に取り出す。このときも、第1扉16Aと、第2扉18Aを同時に開放しないようにする。
[シート除去工程]
次いで、仮設屋根30、仮設テント18、第1扉16A、第2扉18Aを建屋10から取外す(図7)。
[建屋解体工程]
次いで、残った建屋10を解体する。建屋10は略壁12しか残っていない状態であり、その解体は周知技術で容易に行うことができる。
以上のようにして、清掃工場の解体が終了する。
≪第2実施形態≫
第2実施形態による、清掃工場の解体工法は、第1実施形態における清掃工場の解体工法と概ね同じである。
第2実施形態の清掃工場の解体工法で解体される清掃工場の平面断面図を図8に示す。
清掃工場は、建屋10を備えている。第2実施形態における建屋10は、概ね第1実施形態における建屋10と同じであり、箱状とされ、その内側に内部空間11を持つ。建屋10は四方を壁12で囲まれており、また天井を備えている。天井の上側の面が屋上13である。壁12、屋上13は、これには限られないが、この実施形態では矩形である。建屋10は柱14を備えている。柱14は、壁12に沿って、或いは壁から離れて内部空間11に立てられており、天井を支えている。
また、4つの壁12の、この実施形態では一つに、出入り口15が設けられている。
また、内部空間11には焼却炉20が配されている。焼却炉20はこの実施形態では2つであるものとする。
この実施形態では、内部空間11にある柱14のうち、2つの焼却炉20を解体する際に重機が動くのに必要な範囲である点線P1に囲まれた範囲に含まれる柱14のみを、以下に説明する内部解体工程で解体する。点線P1に囲まれた範囲に含まれる3本の柱14のみを解体した場合、それら3本の柱14にて支えられた天井は崩れる。天井が崩れる範囲は、点線P1のすぐ外側にある9本の柱14を点線P1に沿う線で結んだ範囲となるが、この実施形態では、多少の余裕を見て、点線P2で囲まれた範囲の天井が崩れ落ちる可能性があるとする。天井或いは屋上13を平面視した場合における点線P2で囲まれた範囲に対応する範囲を、この実施形態では対象範囲とする。
図8に示した清掃工場を解体する手順は、図9、図10に示したとおりであり、具体的には、以下に述べる通りである。
なお、下記シート固定工程〜建屋解体工程のうち、シート固定工程と重機用出入口開設工程と付帯設備製造工程、及び瓦礫搬出工程とシート除去工程は順不同であり、ともに同時に行なわれても構わない。
[シート固定工程]
まず、建屋10の屋上13に仮設屋根30を取付ける(図9)。
仮設屋根30は、第1実施形態の場合と同様に枠31と樹脂製のシート32とにより構成されている。シート32の屋上13への固定の仕方は第1実施形態と同様で良い。
第2実施形態における仮設屋根30は、上述のように設定された対象範囲を覆えるような大きさ、形状となっている。この仮設屋根30は、屋上13の略全部を覆えるようなものとされていても良いが、この実施形態ではそうされていない。
[重機用出入口開設工程]
第2実施形態におけるこの工程は、第1実施形態と変わらない。
[付帯設備製造工程]
付帯設備として、作業員が出入りするための作業員出入口40と、建屋10の内部空間11を負圧化するための負圧化設備50を建屋10に付設して設ける(図9)。
作業員出入口40は、壁12に孔41を穿つことによって作られる。孔41は重機を出入りさせるものではないから、小さくても良い。孔41の外側にはテント42が設けられる。孔41には内部空間11とテント42の内部とを区切る開閉自在の扉41Aが設けられる。またテント42にはテント42の内部と外部とを区切る開閉自在の扉42Aが設けられる。作業員は、扉41Aと扉42Aの双方を同時に開けないようにして建屋10を出入りする。これにより無用のダイオキシンの環境中への放出を防止できる。テント42内にエアシャワーを設けておき、建屋10の内部空間11から外部に出る作業員がそれを用いるようにしておくことにより、作業員の体や衣服に付着したダイオキシンが環境中に持ち出されることも抑制できる。なお、孔41と扉41Aは、元々建屋10に設けられているのであればそれを流用しても良い。
負圧化設備50は、建屋に隣接して設けられた例えばプレハブの建築物である。負圧化設備50の内部には、図示を省略の空気ポンプが設けられている。空気ポンプは、壁12を貫通して建屋10の内部空間11と連通するパイプと接続されており、これにより内部空間11の空気を引くようになっている。特に、後述の内部解体工程が開始された後に内部空間11の空気を引いておけば、第1扉16Aと、第2扉18A、或いは扉41A、42Aを開閉した場合や、或いは建屋10の一部に外部環境と連通する部分があった場合にも、ダイオキシンが環境中に放出されることを抑制できる。負圧化設備50は、ダイオキシンを回収するための設備を設け、負圧化設備50から環境中に放出される空気からダイオキシンを除くようにすることもできる。また、負圧化設備50内に、或いはそれとは別に、ダイオキシンを含んだ水からダイオキシンを除去するための水処理設備を設けることができる。後述の内部解体工程が実施される場合には、ダイオキシンを含む水が生じることがあるが、それからダイオキシンを除去することで、水を介してのダイオキシンの外部環境への放出を抑制することができるようになる。
なお、付帯設備製造工程は、公知のものでよく、また、第1実施形態にももちろん適用することができる。
[重機搬入工程]
第2実施形態の重機搬入工程は、第1実施形態の場合と同様である。
[内部解体工程]
第2実施形態の内部解体工程は、略第1実施形態の場合と同様である。ただし、第2実施形態の内部解体工程では、上述のように点線P1に囲まれた範囲に含まれる3本の柱14と焼却炉20のみを解体する。
3本の柱14が失われると、それら柱14に支持されていた部分の天井が落ち、天井14に点線P2に対応した範囲かそれよりやや小さい範囲の孔である天井孔19が開く(図10)。
[瓦礫搬出工程]
第2実施形態の瓦礫搬出工程は、第1実施形態の場合と同様である。
[シート除去工程]
第2実施形態のシート除去工程は、第1実施形態の場合と同様である。
[建屋解体工程]
第2実施形態の建屋解体工程は、第1実施形態の場合と略同様である。ただし、第2実施形態の建屋解体工程では、壁12に加えて、残っている柱14も解体する。
以上のようにして、清掃工場の解体が終了する。
10 建屋
11 内部空間
12 壁
13 屋上
14 柱
15 出入り口
16 孔
16A 第1扉
18 仮設テント
18A 第2扉
19 天井孔
20 焼却炉
30 仮設屋根
31 枠
32 シート

Claims (8)

  1. 焼却炉と、その周囲を囲む壁、天井、及び前記天井を支える柱をその内部空間に備えるものであり、その内部空間に焼却炉を備える建屋と、を有している清掃工場を解体する清掃工場の解体工法であって、
    前記天井の上面である前記建屋の屋上のうちの所定の範囲である対象範囲を覆うことのできる形状、大きさのシートの縁部を前記建屋に固定するシート固定工程と、
    前記建屋の内部空間に重機を搬入する重機搬入工程と、
    前記重機で、前記焼却炉と、前記柱のうち少なくとも前記重機の動作を妨げるものとを解体するとともに、解体された柱で支えられていた天井を落とす内部解体工程と、
    前記焼却炉と前記柱とを解体することによって生じた、前記焼却炉と前記柱と前記天井の瓦礫を前記建屋外に搬出する瓦礫搬出工程と、
    前記シートを前記建屋から除去するシート除去工程と、
    前記建屋の壁と前記柱のうち残ったものとを解体する建屋解体工程と、
    を含み、
    前記シート固定工程では、天井のうち、前記内部解体工程で解体されることが予定されている前記柱を解体した場合に崩れ、落とされる範囲を前記対象範囲とする、
    清掃工場の解体工法。
  2. 前記シート固定工程では、前記天井の略全面を前記対象範囲とする、
    請求項1記載の清掃工場の解体工法。
  3. 前記建屋の壁に、前記内部空間に前記重機を搬入するための孔を穿つ工程を更に含む、
    請求項1記載の清掃工場の解体工法。
  4. 前記孔に、開閉自在の扉を設ける工程を更に含む、
    請求項3記載の清掃工場の解体工法。
  5. 前記孔の外側に、重機をそこに配置できる密閉された空間である密閉空間を設けるとともに、前記孔と前記密閉空間を遮る開閉自在の扉である第1扉と、前記密閉空間とその外部とを遮る開閉自在の扉である第2扉とを設ける工程を更に含む、
    請求項3記載の清掃工場の解体工法。
  6. 前記シート固定工程では、前記シートの縁部を、前記屋上に固定する、
    請求項1記載の清掃工場の解体工法。
  7. 前記シート固定工程では、前記シートの縁部以外の部分を、前記屋上から浮かせた状態で前記シートを前記建屋に固定する、
    請求項1記載の清掃工場の解体工法。
  8. 前記内部解体工程を実行する際に、前記建屋の内部空間を負圧化する、
    請求項1記載の清掃工場の解体工法。
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