JP5212306B2 - 隔膜式電気化学センサ - Google Patents

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Description

本発明は、残留塩素、溶存酸素(DO)、炭酸ガスなどの測定に用いられるポーラログラフ式又はガルバニ電池式の隔膜式電気化学センサに関するものである。
従来、例えば水道水などの残留塩素濃度を測定する方法として、DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)試薬による吸光光度法や電気化学測定法がある。残留塩素濃度を連続測定したい場合、吸光光度法では試薬を用いるため、試薬の供給混合の自動化が必要となり、高価とならざるを得ない。これに対して、電気化学測定法であるポーラログラフ式又はガルバニ電池式の酸化還元電流測定法では、無試薬で残留塩素濃度を測定することができる。即ち、ポーラログラフ式又はガルバニ電池式の酸化還元電流測定法では、測定対象成分の酸化還元反応がその表面で行われる作用極と、この作用極上での酸化還元反応に対応した酸化還元反応がその表面で行われる対極とを有する電気化学センサが用いられる。残留塩素センサとして一般に用いられているポーラログラフ式の電気化学センサは、作用極が直接被検液に接し、汚れるため、研磨剤などにより作用極を常に洗浄することなどが必要である。一方、作用極や対極が被検液中の妨害イオンなどに接触しないように、測定対象成分を透過するガス透過性隔膜を備えた隔膜式電気化学センサが広く用いられている。
図6は、ポーラログラフ式の隔膜式電気化学センサ(以下、単に「隔膜式センサ」ともいう。)の一例としての隔膜式残留塩素センサの概略構成を示す。隔膜式センサ1は、例えば中空円筒状のセンサ本体(電解液セル)2の先端開口部を塞ぐように固定された、測定対象成分(Cl2、HClOなどの遊離残留塩素)を透過させるガス透過性の隔膜3を有する。センサ本体2の隔膜3によって外部から区画された領域内に、一般に金(Au)又は白金(Pt)で形成される作用極4と、一般に銀(Ag)又は銀−塩化銀(Ag/AgCl)で形成される対極5とが配置される。又、センサ本体2の隔膜3によって外部から区画された領域内には、電解液6が収容される。電解液6としては、従来、KCl水溶液(例えば、0.5mol/L)が用いられている。作用極4は電解液6の薄層を介して隔膜3に隣接して配置され、対極5は電解液6に浸漬される。尚、図6の隔膜式センサ1は、測定用の電極として作用極と対極とを備えた2極式のものであるが、更に参照極を備えた3極式のものもある。
そして、センサ本体2を被検液に浸漬するとともに、作用極4と対極5との間に、これらに接続されたリード線9を介して電源7から所定の電解電圧を印加し、電解電流を電流計8で測定することで、被検液中の残留塩素濃度を測定する。
このように、隔膜式センサ1は、センサ本体2の内部に作用極4と対極5と電解液6とを有する構造である。作用極4はセンサ本体2内にあり、被検液に接することがないため、被検液に含まれる有機物等の成分により汚れるおそれはない。又、作用極4は、隔膜3を透過した成分と反応するため、妨害成分の影響を受け難いという特徴がある。この隔膜式センサ1の作用極4、対極5での主要な酸化還元反応の反応式は以下の通りである。
作用極 Cl2+2e→2Cl- (1)
対極 Ag→Ag++e (2)
上記式(1)に示すように、作用極4では、隔膜3を透過してきた塩素(Cl2)や次亜塩素酸(HClO)の還元反応が進行する。又、上記式(2)に示すように、対極5では酸化反応が進行する。
対極5の酸化反応は、対極5が銀の場合、Agが電解液に電解してAg+となることによって進み、対極5がKCl水溶液等の水系の電解液に接することによって、この反応は起こる。即ち、対極5での反応には、対極5を水系電解液に浸漬する等、対極5が水系電解液に接していることが必要不可欠である。
そして、この電気化学反応に伴って作用極4と対極5との間に流れる電解電流が、被検液中の残留塩素濃度との間に相関関係を有することを利用して、電解電流の測定値から被検液中の残留塩素濃度を求めることができる。
尚、本発明に関連する技術として、特許文献1は、イオン液体の蒸気圧が極めて低いことに着目して、電解液の蒸発による減少を防止するためにイオン液体のみから成る電解液を用いる電気化学式ガスセンサを提案している。
特開2004−333163号公報
ここで、水道水の残留塩素レベルなどの低濃度の残留塩素濃度であれば、隔膜式センサ1は連続測定において電解液を交換することなく1年以上の使用が可能なことがあり、安価な構造で長時間測定が可能である。
一方、殺菌処理剤として残留塩素濃度(遊離残留塩素濃度)が高濃度(20〜100mg/L)の塩素溶液が用いられており、殺菌処理剤としての効果や安全性の確保といった観点から、この殺菌処理剤の残留塩素濃度を一定にコントロールすることが望まれる。このような高濃度の場合でも、低濃度の場合と同様に、隔膜式センサ1で被検液中の残留塩素濃度を測定することが可能である。
しかしながら、被検液中の残留塩素濃度が高くなるに従い、比較的短期間で応答値が小さくなる現象が現れ、電解液の交換が必要となり、隔膜式センサ1としての寿命が短くなる傾向があることが分かった。
このように寿命が短くなる原因は、次のように考えられる。作用極4の表面では、隔膜4を透過した遊離残留塩素成分(Cl2、HClOなど)の還元反応が進行する。一方、作用極4と接しない、作用極4の周囲の隔膜3の部分には、隔膜3を透過した遊離残留塩素成分が未反応のまま電解液6中に蓄積される。
このような未反応の遊離残留塩素成分が蓄積されてその濃度が高くなると、電解液6のpHは高くなる傾向にある。pHが高くなると、塩素(Cl2)や次亜塩素酸(HClO)は、次亜塩素酸イオン(ClO-)へと形態を変化させるが、残留塩素測定用に設定されたセンサにおいては、次亜塩素酸イオンの応答は得られない。この電気化学センサでは、隔膜3と作用極4との間に電解液層が存在し、隔膜3を透過した遊離残留塩素成分は電解液に触れることになる。従って、電解液のpHが高くなった状態で使用すると、隔膜3を透過してきた遊離残留塩素成分の一部が電解液のpHの影響により、応答しない次亜塩素酸イオンへと変化するため、結果として指示値が低下することになる。
例えば、図7に示すように、残留塩素濃度(遊離残留塩素濃度)が100mg/L程度で連続測定を行った場合、4日以降から指示値の低下がみられた。図7は、同じ被検液をDPD試薬による吸光光度法で測定した値を100%とした場合に、これに対する隔膜式センサ1による測定値の比を、連続測定における経過日数に対して示している。7日経過したときの隔膜式センサ1の電解液6を抽出して、DPD試薬による吸光光度法で残留塩素濃度を測定すると、80mg/Lであった。このとき、隔膜式センサ1の電解液6を交換すると、指示値は元の値(測定値比約100%)に回復し、隔膜式センサ1の電解液6の劣化(未反応の遊離残留塩素成分の蓄積、pH変動など)が測定値に影響したことが認められた。
このように、高濃度の残留塩素濃度を隔膜式センサ1で測定することは可能であるが、センサとしての寿命は短く、現状では実用化は困難である。
即ち、頻繁に電解液の交換が必要であるとすれば、連続測定において電解液の交換作業中の測定値が得られないことによる不都合が生じ得る。
尚、以上の説明では、隔膜式センサとして隔膜式残留塩素センサを例として従来の問題点について説明したが、電解液中に未反応成分などの測定値に影響する成分が蓄積することにより、使用に伴ってセンサの指示値が不安定化し、センサの寿命が短くなる問題は、溶存酸素(DO)、炭酸ガスなどの測定に用いられる隔膜式センサにおいても同様にある。
又、隔膜式センサとしては、ポーラログラフ式のセンサの他に、ガルバニ電池式のセンサも知られている。図8に示すように、ガルバニ電池式の隔膜式センサは、概して、電源を有さず、使用時に外部から電圧を印加しないことが、ポーラログラフ式の隔膜式センサと異なる。このようなガルバニ電池式の隔膜式センサにおいても、上記ポーラログラフ式の隔膜式センサと同様の問題が発生し得る。
従って、本発明の目的は、隔膜式電気化学センサの電解液の交換頻度の低減を図ることのできる隔膜式電気化学センサを提供することである。
又、本発明の他の目的の一つは、隔膜式電気化学センサの寿命を延長することで、メンテナンス作業の間隔を長くすること及び連続測定における測定値の欠測を少なくすることができる隔膜式電気化学センサを提供することである。
上記目的は本発明に係る隔膜式電気化学センサにて達成される。要約すれば、本発明は、電解液収容部と、前記電解液収容部内に収容される電解液と、前記電解液収容部内の前記電解液の流出を妨げると共に前記電解液収容部内の前記電解液への測定対象成分の透過を許す隔膜と、前記電解液収容部内において前記隔膜に隣接して配置された作用極と、前記作用極よりも相対的に前記隔膜から遠位に配置され前記電解液を介して前記作用極と電気的に接続される対極と、を有する隔膜式電気化学センサにおいて、前記電解液は、その成分として水系電解液と疎水性のイオン液体とを含み、前記水系電解液と前記イオン液体とは、前記電解液収容部内で互いに接する前記水系電解液の領域と前記イオン液体の領域とに分かれており、前記イオン液体が前記作用極側にあり前記水系電解液が前記対極側にあることを特徴とする隔膜式電気化学センサである。
本発明の一実施態様によると、前記疎水性のイオン液体は、4級アンモニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる4級アンモニウム塩構造から成るものである。
本発明の隔膜式電気化学式センサは、ポーラログラフ式又はガルバニ電池式のものであってよい。
本発明によれば、隔膜式電気化学センサの電解液の交換頻度の低減を図ることができる。又、本発明によれば、隔膜式電気化学センサの寿命を延長することで、メンテナンス作業の間隔を長くすること及び連続測定における欠測を少なくすることができる。
本発明に係る隔膜式電気化学センサの一実施例の概略構成を示す模式図である。 本発明に従う隔膜式電気化学センサの指示値の安定性を示すグラフ図である。 本発明に従う隔膜式電気化学センサの指示値の線形性を示すグラフ図である。 (a)本発明に従う隔膜式電気化学センサの応答性、(b)従来の隔膜式センサの応答性を示すグラフ図である。 本発明に係る隔膜式電気化学センサの他の実施例の概略構成を示す模式図である。 従来の隔膜式電気化学センサの一例の概略構成を示す模式図である。 従来の隔膜式電気化学センサにおいて指示値が低下する様子を示すグラフ図である。 従来の隔膜式電気化学センサの他の例の概略構成を示す模式図である。
以下、本発明に係る隔膜式電気化学センサを図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1は、本発明に係る隔膜式電気化学センサの一実施例の概略構成を示す。本実施例では、隔膜式電気学センサは、ポーラログラフ式の隔膜式残留塩素センサである。図1に示すように、本実施例の隔膜式センサ1の全体的な構成は、図6を参照して説明した従来のものと同様である。従って、図1において、図6のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。本実施例では、電解液6が、従来のものとは異なる。
本実施例では、隔膜式センサ1は、中空円筒状のセンサ本体2の先端開口部2Aを塞ぐように固定されたガス透過性の隔膜3を有する。センサ本体2の隔膜3によって外部から区画された領域である電解液収容部2B内に、作用極4と、対極5とが配置される。又、電解液収容部2B内には、作用極4、対極5に接触するように電解液6が収容される。作用極4は電解液6(特に、後述するイオン液体6B)の薄層を介して隔膜3に隣接して配置され、対極5は電解液6(特に、後述する水系電解液6A)に浸漬される。対極5は、作用極4よりも相対的に隔膜3から遠位に配置され、電解液6を介して作用極4と電気的に接続される。
隔膜3としては、電解液収容部2Bからの電解液6の流出を妨げ、又被検液の電解液収容部2B内への侵入を妨げると共に、被検液中から電解液収容部2B内への測定対象成分(Cl2、HClOなどの遊離残留塩素)の透過を許すガス透過性膜として、利用可能な任意のものを使用することができる。隔膜3としては、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、ODPE(低密度ポリエチレン)、PTFE(四フッ化エチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシ)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)などを使用することができる。隔膜3は、好ましくは、フッ素樹脂製の薄膜である。本実施例では、PTFEを用いた。
作用極4としては、一般に、白金(Pt)、金(Au)などが用いられるが、本実施例では白金(Pt)を用いた。又、対極5としては、一般に、銀−塩化銀(Ag/AgCl)、銀(Ag)などが用いられるが、本実施例では銀−塩化銀(Ag/AgCl)を用いた。尚、作用極4は、ガラス、樹脂(エポキシ樹脂等)などの電気絶縁材料によって形成された円筒形状などとされる電極支持部材に封入して、その先端から少なくとも一部を露出するように設け、又、対極5は、作用極4よりも隔膜3から遠位の当該電極支持部材の外周に設けるような構成としてもよい。又、本実施例では、隔膜式センサ1は2極式のものであるが、更に参照極を備えた3極式のものであってもよい。
作用極4と対極5とは、リード線9を介して電源7に接続されている。又、電源7から所定の電解電圧を作用極4と対極5との間に印加しているときの電解電流を測定できるように電流計8が接続されている。
そして、測定時には、センサ本体2を被検液に浸漬するとともに、作用極4と対極5との間に電源7から所定の電解電圧を印加し、電解電流を電流計8で測定することで、被検液中の残留塩素濃度を測定する。このとき、隔膜式センサ1の作用極4、対極5では、主に前述の式(1)、(2)のような酸化還元反応が起こる。
前述のように、従来の隔膜式センサで残留塩素濃度(遊離残留塩素濃度)が高濃度(20〜100mg/L)の殺菌処理剤などの測定を行うと、隔膜式センサの寿命が短くなる傾向がある。これは、前述のように、従来用いられているKCl水溶液などとされる水系電解液中に未反応の遊離残留塩素成分(Cl2、HClOなど)が蓄積されていくことに起因して測定値が低下するためであると考えられる。
そこで、本実施例では、本発明に従って、隔膜式センサ1は、電解液6が、その成分として水系電解液6Aと疎水性のイオン液体6Bとを含み、水系電解液6Aとイオン液体6Bとが、電解液収容部2B内で界面Sにおいて互いに接する水系電解液6Aの領域(水系電解液相)とイオン液体6Bの領域(イオン液体相)とに分かれており、イオン液体6Aが作用極4側にあり水系電解液6Aが対極5側にある構成とする。
即ち、隔膜式センサ1の構造上、未反応の遊離残留塩素成分が電解液収容部2Bの内部に拡散してくることを防ぐことは困難である。そこで、侵入してきた遊離残留塩素成分を、水系電解液中に蓄積させるのでなく、イオン液体に抽出すれば一方的反応となり、水系電解液中の未反応の遊離残留塩素成分の濃度が上昇せず、指示値の低下を防止することができる。
即ち、反応の効率性等の理由から、通常の使用状態では、対極5の全部が水系電解液6Aに接触していることが好ましい。水系電解液6Aが対極5側にあることにより、対極5は水系電解液6Aに浸漬された状態となり、これによって対極5では、主に前述の式(2)のような酸化反応(Agの電解)が安定的に進むようになる。一方、未反応の遊離残留塩素成分を水系電解液6Aに浸入させない等の理由から、作用極4と隔膜3の接触部分を含めた隔膜3の全体がイオン液体6Bに接触していることが好ましい。
水系電解液6Aとしては、従来一般的に用いられているものなど、隔膜式センサ1の電解液として使用可能な任意の電解質水溶液を用いることができる。水系電解液6Aの電解質としては、KCl、NaCl、りん酸塩、フタル酸塩、クエン酸塩などが好適である。又、水系電解液6Aの電解質の濃度は、0.01〜1mol/Lとするのが好適である。
イオン液体とは、一般に、有機カチオンとアニオンとからなる、室温で液体であって、イオン伝導性を有する塩であり、常温溶融塩とも呼ばれるものである。一般に、イオン液体は、空気中で安定、不燃性、不揮発性、高耐熱性、電位窓が広いといった特徴を有する。代表的なイオン液体としては、アルキルイミダゾリウムイオン及びアルキルピリジニウムイオンのような窒素含有芳香族カチオンと各種アニオンとの組み合わせからなる塩がある。又、脂肪族4級アンモニウムイオン、脂肪族スルホニウムイオンなどの脂肪族オニウムカチオンとトリフルオロスルホニルイミドアニオンとから構成される塩などがある。
イオン液体は様々なイオンから構成され得るものである。例えば−30℃〜300℃の範囲で液体であるものもあるが、本発明においては、少なくとも隔膜式センサ1の通常の使用温度、例えば、−10℃〜50℃で液体であればよい。又、本発明においては、イオン液体は、疎水性(水に不溶)で、水系電解液と混合しても混和せずに相分離を起こすものである必要がある。又、本発明においては、イオン液体は、水系電解液と共に使用したときに、隔膜式センサの電解液として十分の電気伝導性を示す必要がある。
本発明において好適に用い得るイオン液体は次の通りである。
水系電解液6Aとイオン液体6Bとが、電解液収容部2B内で界面Sにおいて互いに接する水系電解液相とイオン液体相とに分かれるようにするために、本発明に用いる疎水性のイオン液体6Bとしては、4級アンモニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる4級アンモニウム塩構造から成るイオン液体が好ましい。4級アンモニウムカチオンとフッ素原子含有アニオンとから成る塩構造とは、4級アンモニウム塩構造及び重合性官能基を含む単量体の塩構造であって、脂肪族、脂環族、芳香族、或いは複素環の4級アンモニウムカチオンとフッ素原子含有のアニオンとからなる塩構造である。ここでいう「4級アンモニウムカチオン」とは、窒素のオニウムカチオンを意味し、イミダゾリウムのような複素環オニウムイオンを含む。
カチオンの具体例として、アンモニウムカチオンの場合は、脂肪族4級アンモニウムイオンとして、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムイオンなどが挙げられる。又、カチオンの具体例として、イミダゾリウムカチオンの場合は、1,3−ジアリルイミダゾリウム、1−アリル−3−アルキルイミダゾリウムイオン、1−アルキル−3−アリルイミダゾリウムイオン、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられる。又、カチオンの具体例として、ピロリジニウムカチオンの場合は、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムイオンなどが挙げられる。更に、カチオンの具体例として、ピペリジニウムカチオンの場合は、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオンなどが挙げられる。
一方、アニオンの具体例としては、トリフルオロメタンスルホニルイミドイオンなどが挙げられる。
水系電解液6Aとイオン液体6Bとの割合は、対極3が水系電解液6Aに接触した状態で水系電解液6Aとイオン液体6Bから成る2相構造を維持する等の理由から、1:0.2〜1:2とするのが好ましい。又、典型的には、電解液収容部2B内において、電解液6が水系電解液6Aとイオン液体6Bの各相に分離して、イオン液体6Bが鉛直方向下側である作用極4側にきて、水系電解液6Aが鉛直方向上側である対極側5にくるように、即ち、隔膜式センサ1の通常の使用状態において水系電解液6Aとイオン液体6Bとの界面Sが、当該界面と交差する方向(典型的には略垂直方向)において作用極4の位置と対極5の位置との間の位置にくるように、水系電解液6Aとイオン液体6Bとの混合割合を設定することが好ましい。
本実施例では、電解液6として、従来の隔膜式センサにおいて一般的に用いられている0.1mol/L KCl水溶液である水系電解液6Aと、疎水性のイオン液体6Bとを1:1で混合したものを用いた。疎水性のイオン液体6Bとしては、1,3−ジアリルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた。
本実施例で用いた上記イオン液体6Bは、イオン導電性があるが、水にほとんど溶けずに、CO、CO2、NOx、SOx、HClなど多くの各種成分を抽出する性質がある。又、このイオン液体6Bは水より比重が大きいため、電解液6は、通常の使用状態では、略鉛直方向に配向される円筒形状の電解液収容部2B内において水系電解液6Aとイオン液体6Bとの2相に分かれて、隔膜3側、即ち、作用極4側にイオン液体6Bの相が配置され、対極5側に水相が配置される。
作用極4の表面では、前述の式(1)のような、隔膜3を透過し拡散してきた遊離残留塩素成分(Cl2、HClOなど)の還元反応が進行する。一方、対極5では、前述の式(2)のような、酸化反応が進行する。
隔膜3を透過してきた未反応の遊離残留塩素成分は、対極5側の水系電解液6Aの相には到達せず、作用極4側のイオン液体6Bの相に抽出される。イオン液体6Bの抽出能について検討するため、イオン液体6Bの溶液を5ml、残留塩素濃度200mg/Lの水溶液を2mLそれぞれ用意して、混合抽出後に水溶液の残留塩素濃度をDPD試薬による吸光光度法で測定した。その結果、本実施例で用いたイオン液体6Bの場合、イオン液体6Bの容量5mLで、残留塩素濃度が200mg/Lである水溶液の2mLから、遊離残留塩素成分をすべて抽出することが可能であった。このことは、作用極4と隔膜3との間にイオン液体が存在しても、測定の支障とならないことを示している。従って、従来の隔膜式電気化学センサと異なり、水系電解液6Aへの未反応の遊離残留塩素成分の汚染が無く、その性状を長時間維持できること、或いは作用極4と隔膜3の周辺がイオン液体6Bに浸漬されることによって、作用極4上での安定した反応条件を維持できるようになり、従来の隔膜式電気化学センサに比べてはるかに長時間の測定が可能となる。
次に、本実施例の隔膜式センサの指示値の安定性を調べた結果について説明する。図2は、同じ被検液をDPD試薬による吸光光度法で測定した値を100%とした場合に、これに対する本実施例の隔膜式センサ1による測定値の比を、連続測定における結果日数に対して示している。図2に示すように、残留塩素濃度(遊離残留塩素濃度)が100mg/L程度で連続測定した場合であっても、2か月以上の測定が可能であった。図7を参照して前述したように、電解液として水系電解液のみを用いる従来の隔膜式センサでは、同様の条件での実験で、4日以降から指示値の低下が見られた。従って、本実施例の隔膜式センサ1では、電解液6の交換頻度を著しく低減することができ、センサの寿命を飛躍的に延長することができることが分かる。
又、図3に示すように、本実施例の隔膜式センサ1の残留塩素濃度に対する電解電流の測定値の直線性は良好であった。
更に、図4に示すように、本実施例の隔膜式センサ1の応答特性(図4(a))は、電解液として水系電解液のみを用いた従来の隔膜式センサの応答性(図4(b))よりも良好であった。水系電解液では、隔膜と作用極との間に未反応の遊離残留塩素成分が残っており、これが電解液中を拡散してゆき、やがて平衡状態になって一定濃度に落ち着くことによって測定することができるものと推察される。平衡状態になるまでに未反応の遊離残留塩素成分が作用極で消費されるため、この分の電流値も検出されることから一定の電流値になるまで時間がかかって応答性が悪くなるものと考えられる。それに対し、イオン液体では、未反応の遊離残留塩素成分は最初からないためこれによる影響を全く受けず、被検液から隔膜を介して透過した塩素を直接的に電流値として検出することができるため、応答性が良くすぐに一定の電流値に到達するものと考えられる。
尚、図4(a)、図4(b)の結果は、次のような実験を行うことで得られたものである。すなわち、段階的に希釈して塩素濃度が異なる水溶液を幾つか用意し、塩素濃度が低い方から順次測定していった。図4に示すように、図4(a)では、数字が(1)から(10)へと増えるに従い、また、図4(b)では、数字が(1)から(7)へと増えるに従い、塩素濃度が高くなるようにした。
以上説明したように、本実施例によれば、隔膜式センサ1の電解液6の交換頻度の低減を図ることができる。又、本実施例によれば、隔膜式センサ1の寿命を延長することで、メンテナンス作業の間隔を長くすること及び連続測定における欠測を少なくすることができる。
尚、本実施例では、隔膜式センサ1は隔膜式残留塩素センサであるものとして説明したが、本発明は、溶存酸素(DO)、炭酸ガスなどの測定に用いられる隔膜式センサにも適用できる。本発明を適用することによって、これらのセンサにおける電解液中に未反応成分などの測定値に影響する成分が蓄積することによる前述のような問題を解消することができる。
又、本実施例では、隔膜式センサはポーラログラフ式のセンサであるものとして説明したが、本発明は、ガルバニ電池式の隔膜式センサにも適用できるものである。図5に示すように、ガルバニ電池式の隔膜式センサは、概して、電源を有さず、使用時に外部から電圧を印加しないことが、ポーラログラフ式の隔膜式センサと異なる。更に説明すれば、ガルバニ電池式の隔膜式センサ1は、内部に消耗性の電極を有し、それ自体が電池として働くようになっており、電源を必要としない。作用極(カソード)4としては金又は白金などが用いられ、消耗性の対極(アノード)5として鉛が用いられる。このようなガルバニ電池式の隔膜式センサにおいても、本発明を適用して、電解液6が、その成分として水系電解液6Aと疎水性のイオン液体6Bとを含み、水系電解液6Aとイオン液体6Bとが、電解液収容部2B内で互いに接する水系電解液6Aの領域とイオン液体6Bの領域とに分かれており、イオン液体6Bが作用極4側にあり水系電解液6Aが対極5側にあるようにする。これによって、上記ポーラログラフ式の隔膜式センサと同様の問題を解消することができる。
更に、本発明は、隔膜式センサとして、ポーラログラフ式又はガルバニ電池式の他に、窒素酸化物(NOx)、二酸化硫黄(SO2)、一酸化炭素(CO)等の被検ガスを検知し、その量を測定するのに用いられる定電位電解式ガスセンサにも適用することができる。このガスセンサの場合、作用極は隔膜に直接形成することが多く、前記被検ガスが隔膜を通過して一部作用極表面に残存して妨害成分ガスとなり得るが、本発明により、イオン液体が妨害ガス成分を抽出して、センサの寿命を延長することが可能となる。
1 隔膜式電気化学センサ(隔膜式センサ)
2 センサ本体
2A 開口部
2B 電解液収容部
3 隔膜
4 作用極
5 対極
6 電解液
6A 水系電解液
6B イオン液体
S 界面

Claims (3)

  1. 電解液収容部と、前記電解液収容部内に収容される電解液と、前記電解液収容部内の前記電解液の流出を妨げると共に前記電解液収容部内の前記電解液への測定対象成分の透過を許す隔膜と、前記電解液収容部内において前記隔膜に隣接して配置された作用極と、前記作用極よりも相対的に前記隔膜から遠位に配置され前記電解液を介して前記作用極と電気的に接続される対極と、を有する隔膜式電気化学センサにおいて、
    前記電解液は、その成分として水系電解液と疎水性のイオン液体とを含み、前記水系電解液と前記イオン液体とは、前記電解液収容部内で互いに接する前記水系電解液の領域と前記イオン液体の領域とに分かれており、前記イオン液体が前記作用極側にあり前記水系電解液が前記対極側にあることを特徴とする隔膜式電気化学センサ。
  2. 前記疎水性のイオン液体は、4級アンモニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる4級アンモニウム塩構造から成るものであることを特徴とする請求項1に記載の隔膜式電気化学センサ。
  3. ポーラログラフ式又はガルバニ電池式のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の隔膜式電気化学センサ。
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