JP4217077B2 - 隔膜型電極の安定化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料中の目的物質、即ち、酸化体又は還元体とされる測定対象ガス、例えば溶液中或いは気中の溶存酸素或いは溶存水素等の濃度を測定する隔膜型電極の安定化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、環境(河川、海水)水処理、発酵、養殖の分野では試料溶液中の溶存酸素(酸化体)の測定が重要であり、モニタリングやプロセス制御に溶存酸素計が広く使用されている。この溶存酸素計のセンサとして、酸素透過膜性の隔膜を使用した隔膜型電極、即ち、ポーラログラフ式隔膜型電極や、ガルバニ電池式隔膜型電極等が主に用いられている。又、原子力発電プラント等では溶存水素(還元体)の測定が重要であり、計器によるモニタリングが行われている。
【0003】
図2に、従来のガス透過性の隔膜を使用したポーラログラフ式の隔膜型電極(以下「ポーラログラフ式電極」という。)1Aを示す。図示するように、ポーラログラフ式電極1Aは、例えば中空円筒状の電極本体2の先端開口部に測定対象ガスを透過させるガス透過性の隔膜3が固定され、この隔膜3に近接して電極本体内部に作用極4が対向配置されている。この作用極4は電極本体2の内部に同軸的に配設された支持管5の先端に取り付けられている。
【0004】
作用極4は、隔膜3と僅かな間隔をもって対向対置されており、従って、作用極4と隔膜3との間に電解液6の薄層が存在することとなる。又、支持管5の外周部には対極7が取り付けられている。そして、この対極7と作用極4との間に、それらに接続されたリード線7a及び4aを介して電源8から所定の電解電圧を連続して印加し(通常は作用極4に負電圧を印加する)、電解電流の定常値を電流計9にて測定することによって試料溶液中の溶存ガス濃度を求めている。作用極4としては、一般に、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)が用いられ、対極7としては銀(Ag)、銀−塩化銀(Ag/AgCl)が用いられる。
【0005】
例えば、試料溶液中の溶存酸素の濃度を測定する場合、図2に示す構成において、作用極4に白金(Pt)、対極7に銀(Ag)、電解液6に塩化カリウム(KCl)溶液を使用すると、このポーラログラフ式電極1Aの電流−電圧特性は図4に示すようになる。即ち、対極7に対して作用極4に印加される負電圧がほぼ−0.3V〜−1.0Vの範囲において溶存酸素の定常電解電流が得られる。この電解電流が溶存酸素分圧に比例することを利用して、測定された電解電流値から溶存酸素濃度を求めている。本発明を適用し得るポーラログラフ式電極1Aの背景となる技術については、当業者に周知であるが、例えば、特許文献1に詳しい。
【0006】
又、図3にガルバニ電池式隔膜型電極(以下「ガルバニ電池式電極」)1Bを示す。このガルバニ電池式電極1Bは、上記図2に示すポーラログラフ式電極1Aと異なり、電源8を有していない。つまり、ガルバニ電池式電極1Bは、使用時に外部から電圧を印加する必要がなく、一般に、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)などから成る作用極4と、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)などから成る対極7とが組み合わされて使用される。そして、両電極を電解液6中にそれぞれ浸漬して回路を構成することにより、電極間に流れる電流を測定する。本発明を適用し得るガルバニ電池式電極1Bの背景となる技術については、当業者に周知である。
【0007】
【特許文献1】
特公昭43−2833号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ポーラログラフ式電極1A、ガルバニ電池式電極1B等の定電位電解式の電気化学センサは、上述のように作用極4及び対極7を備えて成り、作用極4での酸化或いは還元反応に伴って作用極4と対極7との間に流れる電流量を計測する。計測を行う場合、電解液6中で回路を形成し、両極が平衡した電位に達し、電極における反応が安定するまでの安定化時間(エージング時間)が必要であり、特に、低濃度の対象ガス濃度を測定する場合には、安定した残余電流に達するまで、数日(例えば3日)が必要となる場合がある。
【0009】
従って、従来、隔膜型電極を、装置本体に装着した後直ちに使用可能とするために、予め、ショートプラグを用い回路を接続状態としたり、隔膜型電極を装置本体に接続したりして作動状態にし、エージング時間を確保する方法もある。
【0010】
しかしながら、このような方法では、電圧印加のための電源(電池等)を必要とし、基本的にエージング時間が短縮されたわけではなく、隔膜型電極を初めて使用する場合は一定の安定化時間を要する。
【0011】
又、対極7の材料として銀を用いた場合、反応に伴って対極7が絶縁物である塩化銀(AgCl)に覆われ、電極寿命が短くなるため、電極を使用する数日前(例えば3日前)にエージングを始めるなどの配慮が必要であった。
【0012】
例えば、ポーラログラフ式電極1Aでは、試料溶液中の溶存酸素の濃度を測定する場合、一般的に対極7に銀を用いるが、速やかに対極7が平衡状態になるように、予め対極7に塩化銀メッキを行う方法がある。これにより、対極7は比較的速く平衡状態に達するため、大気飽和水などの濃度の高い酸素の計測は可能である。しかし、μg/Lオーダーの酸素を計測する場合、残余電流が下がるのに数日(例えば3日程度)かかる場合がある。これは、作用極4の還元反応が平衡状態に達するのに要する時間が律速となっているためと考えられる。
【0013】
つまり、電解液6に塩化カリウム溶液を用いたポーラログラフ式電極1Aにおいて、対極7に銀を用いて、これに予め塩化銀メッキを施し、又作用極4に銀を用いた場合、薄い酸化又はハロゲン化物等の皮膜が作用極4に形成される。そして、作用極4は還元反応を行うため、作用極4に形成された酸化又はハロゲン化物等の被膜が還元されて平衡状態に達するのに時間を要するものと考えられる。
【0014】
例えば、一旦隔膜3を取り外した後、この被膜を硝酸で除去してから、電解液6を注入するとエージング時間はやや短縮される。又、塩化カリウム溶液中で電解処理し、予めこの被膜を還元することにより、同様にエージング時間は短縮される。これらの現象から、作用極4の還元状態がエージング時間に関与していることが分かる。
【0015】
しかしながら、上述のように予め硝酸による処理を行うのは、非常に手間がかかり、又硝酸による処理の後に直ちに電解液6を注入しなければ作用極4が酸化してしまうなど、操作性が悪く、しかも危険である。又、電解により還元するには、操作が煩雑で非常に手間がかかり、装置の複雑化を招く。
【0016】
従って、本発明の目的は、極を速く安定した電位に到達させ、エージング時間を短縮し、電極の保存状態に拘わらず短時間で測定可能な状態とし得る隔膜型電極の安定化方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、前処理等を行わずに、又電池等の電源を必要とせずに、作用極を速やかに還元状態に到達させることができ、電極の保存状態に拘わらず、短時間で電極の残余電流を下げて安定化することを可能とする隔膜型電極の安定化方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記諸問題を解決すべく本発明者は鋭意検討し、例えば、作用極に銀を用いるポーラログラフ式電極において、隔膜型電極の電解液中に銀イオンを補うことにより、前処理等を行わずに、又電池等の電源を必要とせずに、作用極を速やかに還元状態に到達させ得ることを見出した。
【0022】
つまり、上記目的は本発明に係る隔膜型電極の安定化方法にて達成される。要約すれば、本発明によれば、電極本体の一端に試料中の測定対象ガスを透過させる隔膜によって外部と区画された室を備え、この室内に作用極と対極とが配置され、前記作用極は銀から成り、前記作用極及び対極が電解液中に存在する状態で、隔膜を透過した測定対象ガスが作用極で反応することにより作用極と対極間に流れる電流を測定するための隔膜型電極の安定化方法であって、ハロゲン化銀を添加して、前記ハロゲン化銀を飽和濃度で含有する電解液を準備する工程と、前記電解液を前記室内に注入する工程と、を有することを特徴とする隔膜型電極の安定化方法が提供される。
【0023】
上記本発明の一実施態様によると、隔膜型電極の安定化方法は更に、前記電流が測定対象ガスの測定に関して許容し得る程度に安定するまで、前記電解液が前記室内に注入された前記隔膜型電極を放置するか、前記電解液が前記室内に注入された前記隔膜型電極の回路をショートプラグにより接続状態として維持するか、又は前記電解液が前記室内に注入された前記隔膜型電極を前記電流を測定する測定装置本体に接続して作動状態として維持する工程を有する。又、上記本発明の一実施態様によると、前記放置又は前記維持に必要とされる時間は、前記電解液の代わりに前記ハロゲン化銀を添加しないことを除いて該電解液と実質的に同一のものを用いた場合に必要とされる時間よりも短い。又、一実施態様によると、前記ハロゲン化銀は、塩化銀又は臭化銀である。又、一実施態様では、前記電解液は、少なくとも、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物と、前記ハロゲン化銀と、を含有する。又、一実施態様では、前記電解液は、前記アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物として塩化カリウム又は塩化ナトリウムを含有す
【0024】
記本発明の一実施態様によると、前記隔膜型電極の前記対極が銀−塩化銀から成る。
【0025】
又、上記各本発明の一実施態様では、前記隔膜型電極は、ポーラログラフ式隔膜型電極又はガルバニ電池式の隔膜型電極である。前記隔膜型電極は、隔膜型溶存酸素センサであってよく、例えば、200μg/L以下の溶存酸素濃度測定が可能なものにおいて、本発明は極めて有効である。或いは、前記隔膜型電極は、隔膜型酸素センサであってよく、例えば、2%以下の酸素濃度測定が可能なものにおいて、本発明は極めて有効である
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る隔膜型電極の安定化方法を図面に則して更に詳しく説明する。
【0027】
実施例1
本発明による隔膜型電極は、先に説明した図2に示すポーラログラフ式の隔膜型電極(ポーラログラフ式電極)及び図3に示すガルバニ電池式の隔膜型電極(ガルバニ電池式電極)に好適に具現化され得るが、本実施例では、溶存酸素ガスセンサとしての、図2に示すポーラログラフ式電極1Aに本発明を適用した場合について説明する。
【0028】
ポーラログラフ式電極1Aは、中空円筒状の電極本体2と、その先端開口部に固定されたガス透過性隔膜3と、この隔膜3に近接して電極本体2の内部に配置された作用極4と、この作用極4を支持する支持管5の内方外周部に取り付けられた対極7とを備え、電極本体2と支持管5との間には隔膜3によって外部と区画された室2aが形成され、この室2a内に電解液6が収容される。
【0029】
例えばガラスにて作製された支持管5は、電極内部に同軸的に配設され、その先端に上記作用極4が取り付けられている。隔膜3と作用極4との間には厚さが一定の僅かな間隙が形成され、一定の厚さの電解液6の層(電解液層)を形成している。
【0030】
作用極4及び対極7にはそれぞれリード線4a及び7aが接続され、これらリード線4a、7aは支持管5内を通って外部に導出され、電圧印加手段(直流電源)8に接続されている。又、隔膜3を透過した測定対象ガスは、作用極4の面で反応し、そのとき作用極4に流れる溶存ガスの電解電流は、電流計9で測定され、ポーラログラフ式電極1Aで検出した溶存ガス濃度を計測するように構成されている。計測結果は測定装置本体(図示せず)に設けた指示計に指示される。或いは、計測結果をプリントアウトするようにしてもよい。
【0031】
ここで、前述のように、ポーラログラフ式電極1Aは、作用極4での反応により作用極4と対極7との間に流れる電流量を計測するが、作用極4及び対極7における反応が平衡状態に達し安定するまでの安定化時間(エージング時間)が必要である。
【0032】
特に、例えばポーラログラフ式電極1Aが、本実施例におけるように液相中の溶存酸素ガス濃度を測定するための溶存酸素ガスセンサとして用いられる場合にあっては、μg/Lオーダーといった低濃度、より詳細には、200μg/L以下(0〜200μg/L)の濃度測定(気相中の酸素ガス濃度を測定するための酸素ガスセンサとして用いられる場合には2%以下(0〜2%)の濃度測定)をするには、確実に残余電流を低下させるために、従来は、時間と手間をかけなければならなかった。
【0033】
これに対して、本発明によれば、極めて簡便に、且つ、迅速に残余電流を低下させて、作用極4及び対極7を平衡状態とすることができる。以下、詳しく説明する。
【0034】
本発明によれば、ポーラログラフ式電極1Aの室2aに収容させる電解液6に、作用極4を構成する金属と同種の金属のイオン、又は作用極4を構成する金属と同種の金属を含む金属錯体若しくは金属化合物を含有させる。
【0035】
電解液6のベースは、従来用いられているものと何ら変わるところはない。つまり、斯界にて一般に用いられているように、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物を用いることができる。他の適当な電解質溶液も許容される。例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどが実用上好適である。これらのベースとなる電解液6の濃度は、電極の機能を発揮するのに適した任意の濃度とし得るが、一般に、0.5mol/L程度とするのが斯界にて一般的である。
【0036】
より具体的には、本実施例では、作用極4に銀(Ag)を用い、対極7に銀−塩化銀(Ag/AgCl)(塩化銀メッキを施した銀)を用いた。この場合、電解液6としては、少なくとも、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物と、ハロゲン化銀と、を含有するものが、実用上好ましく用いられる。上記アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、塩化カリウム、塩化ナトリウムが実用上好適である。又、ハロゲン化銀としては、塩化銀、臭化銀が実用上好適である。
【0037】
本実施例では、電解液6として、塩化カリウム溶液に、作用極4と同種の金属イオンである銀イオン(Ag+)を含有させたものを用いた。銀イオンは、塩化銀を溶解させることで供給した。
【0038】
本発明の目的に適えば、電解液6中に添加する塩化銀の濃度は任意であるが、本実施例では、塩化カリウム水溶液に塩化銀を飽和させた液を電解液6とした。即ち、ここでは、所定濃度の塩化カリウム溶液に適当量の塩化銀粉末を過剰量加えて撹拌した後静置し、その上澄み液を分取して、電解液6として用いた。
【0039】
塩化銀は難溶性であるが、例えば上記方法により電解液6中に提供された銀イオンの量で、本発明は好適に作用することが確認された。尚、例えば塩化カリウム溶液とされる電解液6中では、塩化銀は、純水に対するよりも多く溶解する。
【0040】
但し、上記電解液6の調製方法は、難溶性の塩化銀の飽和溶液を簡易に調製し得る点で好適であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば調製する電解液6の量に応じて、所定量の塩化銀を電解液6に計り入れることも当然可能である。又、本発明の目的に適えば、銀イオンは、より少量(低濃度)であってもよい。
【0041】
こうして、電解液6中に銀イオンを予め補充することで、電極の安定化時間を飛躍的に短縮することができる。特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、これは、作用極4が電解液6中の銀イオンを還元し、速やかに平衡状態に達するためと考えられる。
【0042】
この時、作用極4の表面に薄い酸化又はハロゲン化物等の皮膜が形成されている場合、これらと共に若しくは重ねて銀が析出するものと思われる。
【0043】
このように、電解液6中の銀イオンは、還元されることにより作用極4の材質と同じ金属銀となるため、作用極4の材質が変化することはない。又、本実施例では、作用極4及び対極7に銀を用いているため、電解液6に塩化銀を添加しても、計測に必要な作用極4、対極7での反応を阻害することなく、安定化時間を短縮することができる。
【0044】
ポーラログラフ式電極1Aは、室2aに電解液6を注入し、作用極4、対極7が電解液6中に存在した状態とすることで、極及び電解液が消耗する。従って、ポーラログラフ式電極1Aは、初めて使用する前にエージング時間を確保して電解液6を室2aに注入するのが望ましい。又、ポーラログラフ式電極1Aのメンテナンス等の目的で、電解液6を交換することがある。
【0045】
斯かる場合において、本発明によれば、隔膜3によって外部と区画された室2aに、上述のような作用極4を構成する金属と同種の金属のイオン、又は作用極4を構成する金属と同種の金属を含む金属錯体又は金属化合物を添加した電解液6を注入することを含んで成る隔膜型電極の安定化方法を適用することで、作用極4及び対極7における計測時の反応を阻害することなく、極を簡便、且つ、迅速に平衡状態とすることができる。
【0046】
エージング時に、ポーラロ式電極1Aをショートプラグを用いて回路を接続状態としたり、或いは測定本体に接続して作動状態としてもよいが、これらを行わずに単に室2a内に上述の本発明に従う電解液6を注入して放置することによって、従来と比べて飛躍的にエージング時間を短縮することができることが確認された。
【0047】
尚、電解液6等の消耗などの観点から許容し得るのならば、ポーラログラフ式電極1Aは、初めて使用する前に、作用極4を構成する金属と同種の金属のイオン、又は作用極4を構成する金属と同種の金属を含む金属錯体、金属化合物を予め含有した電解液6が室2aに収容され、作用極4、対極7がこの電解液6中に存在する状態で提供することもできる。
【0048】
(試験例)
次に、ポーラログラフ式電極1Aのエージング時間について、本実施例と従来例とで比較した一試験例の結果を示す。
【0049】
ポーラログラフ式電極1Aは、電解液6を除いて、作用極4及び対極6の面積、材料等は本実施例と従来例とで同じとした。諸要素の詳細設定は、以下のようなものであった。
【0050】
・作用極:Ag
外径 φ5mm
・対極:Ag/AgCl(メッキ)
外径 φ12mm
軸線方向長さ 15mm
・印加電圧: −900mV(作用極−対極間)
・電解液:
本実施例 0.5mol/LのKCl、飽和AgCl
従来例 0.5mol/LのKCl
【0051】
上記構成の本実施例及び従来例のポーラログラフ式電極1Aを装置本体に接続して、作動状態とし、残余電流の推移を経時的に測定した。結果を図1に示す。
【0052】
図1に示すように、本実施例のポーラログラフ式電極1Aでは、1日足らずで安定化した。一方、従来例では、安定化するのにほぼ5日〜6日を要した。この結果から明らかなように、本実施例に従えば、従来例に比べて極めて短時間で残余電流が下がり、安定状態に達する。
【0053】
尚、ここでは、残余電流測定の便宜上、ポーラログラフ式電極1Aを装置本体に接続して作動状態にしてエージングを行ったが、上述のように、従来の電解液に替えて本実施例に従う電解液6を室2aに単に注入するだけで、エージング時間は飛躍的に短縮される。
【0054】
以上説明したように、本発明によれば、極を速く安定した電位に到達させ、エージング時間を短縮し、電極の保存状態に拘わらず短時間で測定可能な状態とすることができる。上述のように、本発明によれば、前処理等を行わずに、又電池等の電源を必要とせずに、作用極を速やかに還元状態に到達させることができ、又、ショートプラグを用いて電極を作動状態にして、エージング時間を確保する従来の方式と異なり、対極への塩化銀生成により電極寿命を短くすることがなく、電解液に銀イオンを溶解させるだけで、電極の保存状態に拘わらず短時間で安定化し、残余電流を下げることができる。上述のように、特に、確実に残余電流を低下させることが必要とされる低濃度測定用の隔膜型電極において、本発明は非常に有用である。
【0055】
尚、上記説明は、本発明をポーラログラフ式の隔膜型電極(ポーラログラフ式電極)1Aに具現化した場合について説明したが、図3に示すようなガルバニ電池式の隔膜型電極(ガルバニ電池式電極)1Bにも等しく適用することができ、同じ作用効果を得ることができる。
【0056】
又、上記説明では、作用極4として銀を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。作用極4として白金(Pt)、金(Au)を用いる場合にも、作用極4を構成する金属と同種の金属イオン、又は作用極4を構成する金属と同種の金属を含む金属錯体又は金属化合物を電解液6に添加することで、上記同様の効果を得ることができる。
【0057】
更に、上記実施例では、本発明を溶存酸素ガスセンサであるとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、気相の酸素ガスセンサ、オゾンガスセンサ、二酸化塩素ガスセンサなどとして使用される電極にも好適に具現化し得るものである。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、極を速く安定した電位に到達させ、エージング時間を短縮し、電極の保存状態に拘わらず短時間で測定可能な状態とすることができる。又、本発明によれば、前処理等を行わずに、又電池等の電源を必要とせずに、作用極を速やかに還元状態に到達させることができ、電極の保存状態に拘わらず、短時間で電極の残余電流を下げて安定化することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る隔膜型電極の効果を示すグラフである。
【図2】本発明を適用し得るポーラログラフ式隔膜型電極の概略構成断面図である。
【図3】本発明を適用し得るガルバニ電池式隔膜型電極の概略構成断面図である。
【図4】隔膜型電極の作用を説明するためのグラフ図である。
【符号の説明】
1 隔膜型電極
2 電極本体
3 隔膜
4 作用極
5 支持管
6 電解液
7 対極
8 電源
9 電流計

Claims (12)

  1. 電極本体の一端に試料中の測定対象ガスを透過させる隔膜によって外部と区画された室を備え、この室内に作用極と対極とが配置され、前記作用極は銀から成り、前記作用極及び対極が電解液中に存在する状態で、隔膜を透過した測定対象ガスが作用極で反応することにより作用極と対極間に流れる電流を測定するための隔膜型電極の安定化方法であって、
    ハロゲン化銀を添加して、前記ハロゲン化銀を飽和濃度で含有する電解液を準備する工程と、
    前記電解液を前記室内に注入する工程と
    有することを特徴とする隔膜型電極の安定化方法。
  2. 更に、前記電流が測定対象ガスの測定に関して許容し得る程度に安定するまで、前記電解液が前記室内に注入された前記隔膜型電極を放置するか、前記電解液が前記室内に注入された前記隔膜型電極の回路をショートプラグにより接続状態として維持するか、又は前記電解液が前記室内に注入された前記隔膜型電極を前記電流を測定する測定装置本体に接続して作動状態として維持する工程を有することを特徴とする請求項1の隔膜型電極の安定化方法。
  3. 前記放置又は前記維持に必要とされる時間は、前記電解液の代わりに前記ハロゲン化銀を添加しないことを除いて該電解液と実質的に同一のものを用いた場合に必要とされる時間よりも短いことを特徴とする請求項の隔膜型電極の安定化方法。
  4. 前記ハロゲン化銀は、塩化銀又は臭化銀であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の隔膜型電極の安定化方法。
  5. 前記電解液は、少なくとも、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物と、前記ハロゲン化銀と、を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の隔膜型電極の安定化方法。
  6. 前記電解液は、前記アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物として塩化カリウム又は塩化ナトリウムを含有することを特徴とする請求項5の隔膜型電極の安定化方法。
  7. 前記隔膜型電極の前記対極は銀−塩化銀から成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の隔膜形電極の安定化方法。
  8. 前記隔膜型電極は、ポーラログラフ式隔膜型電極又はガルバニ電池式隔膜型電極であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の隔膜型電極の安定化方法。
  9. 前記隔膜型電極は、隔膜型溶存酸素センサであることを特徴とする請求項8の隔膜型電極の安定化方法。
  10. 前記隔膜型電極は、200μg/L以下の溶存酸素濃度測定が可能であることを特徴とする請求項9の隔膜型電極の安定化方法。
  11. 前記隔膜型電極は、隔膜型酸素センサであることを特徴とする請求項請求項8の隔膜型電極の安定化方法。
  12. 前記隔膜型電極は、2%以下の酸素濃度測定が可能であることを特徴とする請求項11の隔膜型電極の安定化方法。
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