JPH07159367A - 参照電極 - Google Patents

参照電極

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JPH07159367A
JPH07159367A JP5307783A JP30778393A JPH07159367A JP H07159367 A JPH07159367 A JP H07159367A JP 5307783 A JP5307783 A JP 5307783A JP 30778393 A JP30778393 A JP 30778393A JP H07159367 A JPH07159367 A JP H07159367A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 この発明は寿命の長い小型の参照電極を提供
することを目的にする。 【効果】 この発明の参照電極は参照電極本体と外部電
解液とをイオン交換樹脂膜で隔絶してなることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は参照電極に関し、詳しく
は液絡部をイオン交換膜により形成することによって小
型で、安定化された参照電極に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】参照電極
は、照合電極、基準電極、基準半電池などと呼称される
こともあり、電極電位の相対値を測定するときの電位の
基準とする電極装置である。参照電極は、その性質上、
その電極電位が安定であり、再現性の高いことが要求さ
れる。
【0003】水溶液電解質に対する参照電極としては、
金属(銀、水銀)とその金属の難溶解性化合物(ハロゲ
ン化物、酸化物、硫化物)が実用的であることが知られ
ている(藤島、相沢、井上共著 電気化学測定法
(上)、p.89、技報堂出版、1986参照)。
【0004】これらの参照電極においては、その金属層
と微量に溶解するその金属イオンとが平衡な系を成して
いる。これらの金属イオンがその酸化還元電位(例え
ば、銀イオンは+0.799V、水銀イオンは+0.7
89V(いづれもSHEに対する電位である。)より低
い電位の電極においては還元されて析出する。このこと
が参照電極の安定性における大きな問題となっている。
【0005】ところで、液体中の電気化学的に活性な化
学種の濃度測定装置には、前記化学種を消費しない装置
(以下、平衡方式の装置と称する。)と前記化学種を不
可逆的に消費する装置(以下、非平衡方式の装置と称す
る。)とに分類される。前者の例としては、J.W.R
ossによる米国特許第3,260,656号やJ.
G.Conneryらによる特公昭56−51582号
公報(米国特許第4,076,596)にそれぞれ提案
されている装置、後者の例としてはクラークらによる米
国特許第2,913,386号に記載のクラークセルと
して有名な装置を挙げることができる。
【0006】前記平衡方式の装置は、流体から前記化学
種を選択的に透過しうる隔離膜の内部に電解液を有し、
前記隔離膜に接し、相互に接近した作用極と対極とが設
けられている。作用極は、膜を透過してきた化学種に対
し電極反応(還元または酸化)により、化学種を消失さ
せることができる一定電位に設定される。一方、対極
は、前記電極反応の生成物に対し逆の電極反応(酸化ま
たは還元)により、作用極で消費されたのに等しい化学
種を再生するような電位に調節されている。これらの調
節は、作用極と対極とに、さらに参照極を加えた三電極
をポテンシオスタットに接続することにより容易に行な
うことができる。
【0007】このような平衡方式の装置においては、前
記化学種に対する電極反応がその他の反応に比べて十分
に大きな反応速度を有するように、電解質および電極の
材料を選択することが必要であり、さらに、参照電極で
の電極反応生成物が作用極や対極と反応することを防止
することが重要である。
【0008】なぜならば、参照極から流出した金属イオ
ンは、還元反応を受け持つ電極に析出し易いからであ
る。作用極に析出した場合には、析出電流による暗電流
の増加や析出による被覆による感度の減少がおこる。一
方、対極に析出した場合には、析出被覆による逆反応の
低下や印加電圧の上昇による電極の損傷といった問題を
生じる。また、被膜が厚くなると、近接する作用極と対
極が短絡するに至る。
【0009】このように、参照電極よりイオン流出を抑
制または防止することが特に平衡方式の装置にとって重
要である。
【0010】一般に広く行なわれているイオン流出を抑
制または防止する手段として、厚い液絡部を設けるこ
と、液絡部を二重構造にすることなどの方法が広く用い
られている。
【0011】市販の典型的な銀−塩化銀電極の例を図2
に示した。図2に示す参照電極30においては、白金線
31の表面に銀を電着して形成された銀電極32にはそ
の表面にポーラスな塩化銀が形成され、電極反応により
塩化銀が消耗してもよいように、塩化銀結晶33がその
廻りに充填されている。液絡部は二重に設けられてお
り、内部液絡部34には厚さ1cm程度に多孔性のセラ
ミックまたはガラスが装填され、外部液絡部35には厚
さ2mm程度にグラスファイバーまたはセラミックが装
填される。なお、図2において、36で示されるのは前
記白金線31を挿通保持し、かつ電極用ガラス製筒状体
37を保持するホルダーであり、38a,38bで示さ
れるのはたとえば塩化カリウムもしくは塩化ナトリウム
などの飽和水溶液を組成とする内部電解液であり、39
で示されるのは前記塩化カリウムもしくは塩化ナトリウ
ムの結晶である。40で示すのは、一端部が前記ホルダ
ーに保持され、その全体が前記電極用ガラス製筒状体3
7の内部に装入され、先端部には前記内部液絡部34を
形成するための凹陥部41が形成され、その凹陥部41
内に前記白金線31の先端部を露出し、かつその凹陥部
41内には内部電解液38が充填されたガラス製ホルダ
ーである。
【0012】特に、銀−塩化銀電極では、流出するイオ
ンは銀イオンだけではなく、銀の塩素イオンとの錯イオ
ン(たとえばAgCl2 - 、AgCl3 2- 、AgCl4
3- など)としても流出する。平衡定数に基づいて算出
した具体的な濃度は、1Mの塩素イオンを添加した場合
には、銀イオン(Ag+ )が1.2×10-8Mと低濃度
であるのに対し、AgCl2 -は1.3×10-3M、Ag
Cl3 2- は1.3×10-3M、AgCl4 3- は2.4×
10-3Mであるように、このように錯イオンの濃度が高
い。
【0013】このことから、銀−塩化銀電極において
は、イオンの流出を防止または抑制するために特に厚い
液絡部を設けることが必要であり、さらに安定した電極
特性を維持するという意味での寿命の長期化を図るため
には、液絡部をさらに厚くすること、多重構造にするこ
となどの工夫が必要となり、電極の大型化が避けられな
い。
【0014】このことは、逆に参照電極の小型化を図る
ためには安定性の低下が避けられないことを意味し、小
型化にとって致命的な障害となっている。
【0015】イオン流出を抑制または防止する別の手段
として、塩化銀の量を最小限にとどめ、塩素イオンの添
加量を5mM前後の濃度にすることで、銀イオン、錯イ
オンの総量を最小値(たとえば2.3×10-5M)に設
定する方法が提案されている。
【0016】しかしながら、この手段では、参照電極に
対する外部雑音の影響が大きくなる問題がある。すなわ
ち、負の電位変動により、塩化銀が還元されて消滅しや
すく、その復帰に時間がかかる(反応;Ag+Cl-
AgCl+e- )。また、正の電位変動により塩化銀と
競合して、酸化銀(たとえばAg2 O、AgO)が生じ
ると、電極反応の可逆性が消失する[ M.L.Teijero et a
l., J. Appl. Electrochem., 18,(1988),691参照 \。
【0017】以上に説明したとおり、従来においては、
参照電極はその安定性を維持しつつ小型化を図ることが
できなかった。また逆に安定性を向上させようとする
と、応答時間が遅くなるという別の問題が生じるという
問題があった。
【0018】本発明は前記事情に基づいて完成された。
すなわち、本発明の目的は、金属イオンの流出が少なく
て安定性に優れ、しかも小型化の可能な参照電極を提供
することにある。本発明の他の目的は、金属イオンの流
出および中性の溶解成分の流出が少なくて安定性に優
れ、しかも小型化の可能な参照電極を提供することにあ
る。
【0019】
【前記課題を解決するための手段】かかる事情に鑑みて
本発明者らが鋭意検討した結果、参照電極と外部電解液
とをイオン交換樹脂膜で隔絶することによって、金属イ
オンの流出が少なく、かつ安定性を長期間に渡って低下
させることなく、しかも小型化にすることのできる参照
電極が得られることを見出して、本発明を完成した。
【0020】すなわち、請求項1に記載の発明は、参照
電極本体と外部電解液とをイオン交換樹脂膜で隔絶して
なることを特徴とする参照電極である。
【0021】
【作用】本発明の参照電極を動作させると、参照電極本
体において電極反応が起こり、金属イオンやその錯イオ
ンが発生する。すなわち、発生した陽イオン(金属イオ
ン例えばAg+ )に着目すると、陽イオンが内部電解液
から拡散して外部電解液との境界に配置された陰イオン
交換樹脂膜に到達しても、陰イオン交換樹脂中の固定陽
イオン基から生じている正の膜電位により、陽イオンの
陰イオン交換樹脂膜透過が阻止される。換言すると、参
照電極の内部電解液中に発生した金属イオンの外部電解
液への流失が抑制される。したがって、通常の多孔質液
絡において問題になる金属塩としての沈殿(この沈殿
は、例えば金属イオンとカウンターイオンとの再結合に
よる。例えば、Ag+ +Cl- →AgCl)も抑制され
る。同様に、陰イオン(例えばAgCln -(n-1) などの
錯イオン)も陽イオン交換樹脂膜によって外部電解液へ
の流失が抑制される。
【0022】このように参照電極本体と外部電解液とが
イオン交換樹脂膜とで隔絶されていると、難溶解性塩の
生成がないので、参照電極の安定性が長期間に渡って保
証されることになる。また、イオン交換樹脂膜は薄膜で
あればよいのであるから、従来の参照電極におけるよう
に液絡部を厚みの大きな構造にする必要もなく、また液
絡部を多重構造にするなどの必要もなくなるので、その
分参照電極が小型になる。
【0023】また、これまでに説明した参照電極本体と
外部電解液とを隔絶するイオン交換樹脂膜に加えて、液
絡部に多孔質材料(例えばイオン交換樹脂膜と一体にな
った膜状物でも良い。)が装填されていると、中性の微
量溶解性分子例えばAg、AgClなどの透過を効果的
に抑制することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の参照電極を具体的かつ詳細に
説明する。
【0025】本発明において重要なことは、参照電極本
体と外部電解液とをイオン交換樹脂膜で隔絶することで
ある。
【0026】本発明における参照電極本体としては、電
極の動作において金属イオンが関与する限りいかなる構
造であっても良い。
【0027】参照電極本体としては、例えば、金属とそ
の金属のイオンとを有する電極、金属とその金属のハロ
ゲン化物とを有する電極(例;Hg/Hg2 Cl2 、A
g/AgClなど)、金属とその酸化物とを有する電極
(例;Hg/HgOなど)、金属とその硫化物とを有す
る電極、金属とその硫酸塩とを有する電極(例;Hg/
Hg2 SO4 など)等の電極を挙げることができる。こ
の中でも特に銀とハロゲン化銀とを有する電極を備えた
参照電極本体は、従来においては上述したように参照電
極の小型化が特に困難であったので、これを使用するこ
とにより参照電極を大幅に小型化できる意義は大きい。
【0028】前記イオン交換樹脂膜としては、特に制限
がなく各種のイオン交換樹脂膜を用いることができる。
ただし、参照電極の動作に伴って用いるイオン交換樹脂
膜を以下のように決定するのが好ましい。
【0029】すなわち、電極反応に関与するイオンが陽
イオンだけの場合には、イオン交換樹脂膜としては、そ
のイオンに対して透過性阻止能を有する陰イオン交換樹
脂膜でよく、電極反応に関与するイオンが陰イオンだけ
の場合には、そのイオンに対して透過性阻止能を有する
陽イオン交換樹脂膜を配置すれば良い。もっとも、いづ
れの場合にも両方のイオン交換樹脂膜を設けることもで
きる。電極反応に陽イオンと陰イオンとの両方が関与す
る場合には、両方のイオン交換膜が必要になり、また、
この場合には、両イオン交換樹脂膜の順序に限定はな
く、いづれの順序によっても同様な効果が得られる。
【0030】また、陽イオン交換樹脂膜または陰イオン
交換樹脂膜を、それぞれ複数用いることもできる。この
場合、ラミネーションにより多重膜にしてもよいし、間
に電解液を満たしてもよい。
【0031】前記陽イオン交換樹脂膜としては、カルボ
ン酸基やスルホン酸基を有する高分子膜を好ましく用い
ることができる。なかでも、塩素等の酸化作用に対する
耐性に優れるという点でフッ素系陽イオン交換樹脂膜を
特に好ましく用いることができる。
【0032】前記陰イオン交換樹脂膜としては、アミノ
基、クロロメチル基、第四アンモニウム基等を有する高
分子膜を挙げることができる。なかでも成膜性に優れる
と言う点で、塩化ビニル系の陰イオン交換樹脂膜を好ま
しく用いることができる。
【0033】イオン交換樹脂膜を設ける位置について
は、外部電解液と参照電極本体とを隔離することのでき
る限り制限はない。たとえば、参照電極本体の外周に直
接にイオン交換樹脂膜を設けても良く、参照電極本体の
表面とは接触しないようにしてイオン交換樹脂膜を設け
てもよい。
【0034】本発明においては、内部電解液は必須では
ない。つまり、参照電極本体にイオン交換樹脂膜を被覆
等によって直接固定することができる場合には、内部電
解液を要さない。
【0035】また、参照電極本体にイオン交換樹脂膜を
直接固定することができる場合には、液絡部を必ずしも
必要としない。もちろん液絡部を設けても良く、液絡部
を設けることによって、中性の溶解成分たとえば溶解し
ている銀分子および塩化銀分子などの流出を防止するこ
とができる。
【0036】この液絡部を形成する素材としては、たと
えばセラミックス、バイコールガラス、ヴィトリアス炭
素(Vitreous Carbon )、多孔質高分子膜、ガラスウー
ルなどを挙げることができる。
【0037】イオン交換樹脂膜は一層であっても多層で
あってもよい。イオン交換樹脂膜を多層にする場合、各
層が隙間なく積層された構造であっても良く、各層間に
電解質液が存在する積層構造であってもよい。
【0038】多層に形成されたイオン交換樹脂膜におい
ては、各層を構成するイオン交換樹脂膜の種類は同一で
あっても相違していてもよい。
【0039】上述したような本発明の構成を採用する限
り、本発明の参照電極は参照電極本体およびイオン交換
樹脂膜に加えて種々の部材を有していてもよい。
【0040】本発明の一例としての参照電極を図1に示
す。
【0041】図1に示すように、この一実施例としての
参照電極1は、ホルダー2、ガラス筒3、参照電極本体
4、内部電解液5、第1イオン交換樹脂膜6、石英ウー
ル7および第2イオン交換樹脂膜8を有する組み立て体
である。前記ガラス筒3は、端面円形に形成された開口
部となっている一端を有し、他端は球形に閉塞し、その
閉塞端に小径貫通孔3aを備えてなる円筒形をなす。前
記ホルダー2は、前記ガラス筒3および前記参照電極本
体4を保持する機能を有し、このホルダー2の一端面に
前記ガラス3を装着する。銀製の電線9が、このホルダ
ー2の他端面から一端面に貫通し、このホルダー2に装
着されたガラス筒3内に延在し、ヘアーピン状に折曲さ
れる。ヘアーピン状に折曲された電線9の表面には塩化
銀が被覆され、Ag/AgClの参照電極本体4が形成
される。ガラス筒3の閉塞端内部には石英ウール7が充
填されて液絡部が形成される。ガラス筒3内では、この
液絡部に接するようにして第1イオン交換樹脂膜6が所
定の厚みとなるように形成されている。この第1イオン
交換樹脂膜6は陰イオン交換樹脂で形成される。ガラス
筒3の球形閉塞端およびその球形閉塞端に連絡するガラ
ス筒3の外周には、第2イオン交換樹脂膜8が被覆形成
される。この第2イオン交換樹脂膜8は陽イオン交換樹
脂で形成される。
【0042】前記構成の参照電極は、たとえば次のよう
にして組み立てて製造される。
【0043】まず、ガラス筒3の底部に石英ウールを敷
き、次いで第1イオン交換樹脂の有機溶媒溶液を流し、
溶媒を蒸発乾固する。次いで、このガラス筒3の先端部
に、第2イオン交換樹脂の有機溶媒溶液を塗布し、乾燥
する。一方、ホルダ2に挿通してある銀線の表面に、ア
ノード電解法により塩化銀を被覆する。ガラス筒3内に
電解液を収容してから、ホルダー2にガラス筒3の開口
部を装着して参照電極を完成する。
【0044】以下、本発明の参照電極を具体例を用いて
詳細に説明する。
【0045】(実験例1)図1に模式的に示す銀−塩化
銀電極を試作した。この銀−塩化銀電極は陽イオンおよ
び陰イオンの両方が生じるので、陰イオン交換樹脂であ
る第1イオン交換樹脂膜6および陽イオン交換樹脂であ
る第2イオン交換樹脂膜8の二種が必要である。
【0046】参照電極本体4は、通常のアノード電解法
により、銀線9(直径0.4mm、長さ15mm)の表
面に塩化銀を総電気量が250mCとなるように形成し
た。この参照電極本体4をホルダー1に装着した。
【0047】Ag+ イオンの流出防止のために陰イオン
交換樹脂である第1イオン交換樹脂膜6を次に示す方法
により形成した。先ず、市販の強塩基性イオン交換膜
を、有機溶媒に浸漬し、1週間程度室温で撹拌すること
によって、樹脂溶解溶液を得た。この樹脂溶解溶液を、
ホルダー2の内側先端部に流し込み、真空乾燥して固定
した。乾燥後の第1イオン交換樹脂膜の厚さは約1mm
であった。なお、樹脂溶解溶液がホルダー2の穴(直径
0.5mm)から漏出しないように、石英ウールを敷き
込んだ。
【0048】次に、陽イオン交換樹脂膜である第2イオ
ン交換樹脂膜8を、錯イオン(アニオン)の流出防止の
ために次に示す方法により設けた。すなわち、Nafi
on(5%溶液、E.I.du Pont社製)にホル
ダー2を浸し、乾燥することによりホルダー2の外側先
端部に第2イオン交換樹脂膜を形成した。形成された膜
の厚さは約0.1mmであった。
【0049】上記の方法により得られた陽イオン交換樹
脂膜および陰イオン交換樹脂膜を有する参照電極を参照
電極とする。
【0050】参照電極の外に、比較のため、陽イオン
交換膜のみ形成した参照電極およびイオン交換膜を有
しない参照電極を作成した。
【0051】前記3種類の電極は形式的に以下のように
示すことができる。
【0052】参照電極;Ag/AgCl/電解液/第
1イオン交換樹脂膜/石英ウール/第2イオン交換樹脂
膜 参照電極;Ag/AgCl/電解液/石英ウール/第
2イオン交換樹脂膜 参照電極;Ag/AgCl/電解液/石英ウール ただし、石英ウールは厚さ約1mmであり、電解液は炭
酸ナトリウム(濃度1M)と塩化ナトリウム(濃度0.
1M)とを溶解する水溶液であり、参照電極〜のい
ずれにおいても各部の寸法を同一にし、また電解液の容
積を0.03cm3 にした。中性塩濃度(塩化ナトリウ
ム濃度)は、M.Cappadoniaらによる「Na
fionによる陰イオン阻止能を保持するためには、電
解液のイオン濃度をNafion内部の固定陰イオン濃
度(0.6±0.1M)以下にする必要がある」という
報告(M.Cappadonia et al.,
J.Colloid and Interface S
cience,143,1,p221(1991))に
基づき、通常の飽和濃度に比べ低濃度(0.1M)に設
定した。
【0053】試作した参照電極を評価するため、サイク
リックボルタンメトリイ測定を行なった。作成した参照
電極をポテンシオスタットの作用極に接続し、対極には
白金(0.02cm2 )電極を、参照電極には市販の銀
−塩化銀電極を接続した。作用極と対極とは小型容器
(容積0.3cm3 )に収納し、ピンホールの液絡部に
より参照電極本体の収納されたガラス容器3と連絡し
た。
【0054】作用電極を市販の銀−塩化銀電極に対し
て、−100mVから+300mVの範囲について5m
V/sの掃引測定を行なった。結果は表1に示すよう
に、いずれの電極も良好な可逆性を示し、レストポテン
シャルも安定していた。すなわち、陰陽両イオン交換樹
脂膜を配置した参照電極も、イオン交換樹脂膜を配置
していない参照電極とほとんど変わらないレストポテ
ンシャルを示した。さらに、参照電極の発生電流値も
参照電極の1/20に減少したものの、実用的な値例
えば10μAのオーダーを保持することができた。
【0055】このように、本発明の参照電極は液絡部液
間電位、膜電位、中性塩濃度の違いなどにより、銀−塩
化銀(飽和塩化カリウム)電極と一定の差を生じるが、
実際の利用に際して、その一定値を補正して用いるので
問題はない。
【0056】
【表1】
【0057】(実験例2)前記実験例1における参照電
極におけるイオン流出防止の効果を確認するために、
前記J.G.Conneryらによる特公昭56−51
582号公報(米国特許第4,076,596)で提案
された平衡方式の酸素電極の内で、微小量の内部電解液
が可能な平面クシ型電極(作用極および対極が交互に並
び、それらの電極幅および間隔が10μm、長さが6m
m、各40本、材質が共に白金である。)を製作した。
今回の参照電極と平面クシ型電極とを容器(電解液容積
0.2cm2 )に入れて、作用電極に−500mVを印
加して、銀の析出を検討した。
【0058】酸素の選択的透過膜としては、フッ素系高
分子膜(厚さ10μm)をクシ型電極表面に近接(10
μm前後)するように容器に固定した。
【0059】参照電極の場合、大気に対して20μA
の還元電流が400時間に渡って測定され、EPMA
(X線マイクロアナライザー)分析によると作用極上に
銀の析出がなかった。また、標準参照電極に対してのレ
ストポテンシャルの変化は6mVであって良好な安定性
を示した。他方、参照電極については、印加開始時に
は20μAの還元電流を示すものの、10時間後に40
μAと急激な上昇を起こし、用いることは不可能であっ
た。
【0060】このように、本発明の参照電極はイオン交
換樹脂膜を用いることにより参照電極の小型化を達成す
ると同時に、安定した性能を有する。
【0061】
【効果】本発明によるとイオン交換樹脂膜を用いるので
小型化を達成すると共に安定した性能を有する参照電極
を提供することができる。また、液絡部に多孔質材料を
備えた参照電極にすると、参照電極本体と外部電解液と
をイオン交換樹脂膜で隔絶した構造にすることと相俟
て、更に安定した性能の持続する参照電極を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の一実施例である参照電極を示
す断面説明図である。
【図2】図2は従来の参照電極の一例を示す断面説明図
である。
【符号の説明】
1・・・参照電極、2・・・ホルダー、3・・・ガラス
筒、3a・・・小径貫通孔、4・・・参照電極本体、5
・・・内部電解液、6・・・第1イオン交換樹脂膜、7
・・・石英ウール、8・・・第2イオン交換樹脂膜、9
・・・銀製の電線

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 参照電極本体と電解液とをイオン交換樹
    脂膜で隔絶してなることを特徴とする参照電極。
JP30778393A 1993-12-08 1993-12-08 参照電極 Expired - Lifetime JP3684244B2 (ja)

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