JPH0338691Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、発酵プロセスの管理等に好適に使用
される溶存酸素電極に関し、更に詳述すると、検
出端に一時的に高温が加わるような条件下で使用
した場合でもその損耗、劣化が良好に防止される
電極に関する。

従来の技術 従来、発酵プロセスの管理等に用いる隔膜型溶
存酸素電極として、第３図に示す構造のものが知
られている。

即ち、第３図において１は電極本体で、この本
体１は、支持管２の先端開口部を覆つてポリエチ
レン、テフロン等からなる溶存酸素に対して透過
率の高い隔膜３を配設することにより形成されて
いる。上記本体１内には水酸化ナトリウム水溶
液、塩化カリウム水溶液等から内部液４が封入さ
れ、かつこの内部液４に隔膜３に対向して配置さ
れた金、白金等からなる検知極（カソード）５と
鉛、錫、銀等からなる対極（アノード）６とがそ
れぞれ浸漬されている。また、７は指示計で、こ
の指示計７と上記検知極５及び対極６とはそれぞ
れリード線８及び９を介して連絡されている。な
お、１０は検知極５及び対極６と指示計７との間
に設けられた変換器で、この変換器１０によつて
電極出力（電流）を受け、指示計７に指示させる
ようになつている。

上記構成の電極は、本体１の先端を被測定液１
１に浸漬することにより、被測定液中の溶存酸素
量に比例した電流出力を得ることができるもので
ある。

考案が解決しようとする問題点 上記隔膜型溶存酸素電極を発酵プロセスの管理
に用いる場合、発酵槽内の電極に対して測定前に
120〜130℃、30分程度の蒸気殺菌が行なわれる。

しかしながら、上記電極においては、隔膜３の
酸素透過係数が通常３％程度の温度特性を有し、
出力が温度上昇に伴なつて増加するため、蒸気殺
菌によつて電極本体１に高温が加わつた場合、そ
の過程で電極の出力電流が著しく上昇し、この電
流によつて主に対極６及び内部液４の損耗、劣化
が急激に進行して電極の寿命が著しく短くなると
いう問題がある。

本考案は、上記事情に鑑みなされたもので、発
酵プロセスのような一時的に測定を要しない高温
が加わるような条件下で使用した場合でも、対極
や内部液等の損耗、劣化が良好に防止され、長期
間に亘つて安定に使用できる溶存酸素電極を提供
することを目的とする。

問題点を解決するための手段及び作用 即ち、本考案は上記目的を達成するため、支持
管の先端開口部を覆つて酸素ガスが透過可能な隔
膜を配設することにより形成された電極本体内に
内部液を封入し、かつこの内部液に上記隔膜と対
向して配置された検知極と対極とをそれぞれ浸漬
すると共に、上記検知極及び対極と指示計とをそ
れぞれリード線を介して連絡してなり、上記電極
本体を被測定液に浸漬することにより被測定液中
の溶存酸素量が指示計に指示されるようにした溶
存酸素電極において、上記検知極と指示計とを連
絡するリード線又は対極と指示計とを連絡するリ
ード線に温度変化に対応して開閉することが可能
な温度スイツチを介装して、上記電極本体に所定
温度以上の温度が加わつた時に上記温度スイツチ
が開いて指示計と検知極又は対極との連絡を解除
すると共に、電極本体に加わる温度が所定温度よ
り低くなつた時に温度スイツチが閉じて指示計と
検知極又は対極とを連絡するように構成したもの
である。

本考案電極は、上述した構成としたことによ
り、高温時には温度スイツチが開いて電極系がオ
ープンとなり、電極が休止状態となつて電極系に
電流が流れないため、高温時に急速に進行する対
極、内部液等の損耗、劣化が良好に防止されるも
のである。

次に実施例を示し、本考案を具体的に説明する
が、本考案は下記の実施例に限定されるものでは
ない。

実施例 第１図は本考案の一実施例に係る溶存酸素電極
を示すものである。なお、第１図において第３図
に示す電極と同一構成の部分には同一参照符号を
付してその説明を省略する。

本電極においては、電極本体１内に存して検知
極５と指示計７とを連絡するリード線８に温度変
化に対応して開閉することが可能な温度スイツチ
１２が介装されており、これにより電極本体１に
所定温度（本実施例においては50℃）以上の温度
が加わつた時に上記温度スイツチ１２が開いて指
示計７と検知極５との連絡を解除すると共に、電
極本体１に加わる温度が上記所定温度より低くな
つた時に温度スイツチ１２が閉じて指示計と検知
極５とを連絡するようになつている。

従つて、本実施例の電極は発酵プロセスにおい
て蒸気殺菌を行なつた場合でも、電極本体１が高
温になると温度スイツチ１２が開いて電極が休止
状態となり、これにより高温時における対極、内
部液等の損耗、劣化が防止されるものである。な
お、蒸気殺菌終了後電極が所定温度よりも低くな
ると、温度スイツチ１２が閉じて電極は測定状態
となる。

本考案において、温度スイツチ１２の構造に特
に制限はないが、微小な電極出力を開閉するた
め、接触抵抗が少なく動作温度の安定なリードリ
レーと感温磁性材と組み合わせたものを用いるこ
とが好ましい。また、温度スイツチを開閉させる
温度に限定はないが、発酵プロセス用では通常50
〜55℃の範囲内で設定することが好適である。

なお、上記実施例においては温度スイツチ１２
を指示計７と検知極５とを連絡するリード線８に
介装したが、指示計７と対極６とを連絡するリー
ド線９に介装しても差支えない。また、上記実施
例においては電極をガルバニ方式に形成したが、
ポーラロ方式に形成してもよく、更にその他の構
成についても本考案の要旨を逸脱しない範囲で変
更することができる。

以下、実験例により本考案の効果を示す。

実験例 第１図に示した本考案溶存酸素電極に対して蒸
気殺菌を行なつた場合の電極の出力変化を調べ
た。また、比較のため第３図に示す従来の溶存酸
素電極を用いて同様の実験を行なつた。結果を第
２図に示す、なお第２図中ａは本考案電極、ｂは
従来の電極の結果を示す。

第２図の結果より、加熱中も電極を測定状態又
は出力シヨートにしたままで蒸気殺菌を実施した
場合（従来の電極、図中ｂ）は蒸気殺菌10回で使
用できない程度まで出力が低下したが、加熱中に
温度スイツチを開き、電極を休止状態にして蒸気
殺菌を実施した場合（本考案電極、図中ａ）は、
45〜50回程度まで使用可能であつた。

考案の効果 以上説明したように、本考案の溶存酸素電極に
おいては、電極に高温が加わつた場合における対
極、内部液等の損耗、劣化が良好に防止される。
従つて、本考案電極は電極に対して蒸気殺菌を行
なう発酵プロセスにおいて特に好適に使用され、
長期間に亘つて安定に用いられるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す一部断面概略
図、第２図は同例の電極及び従来の溶存酸素電極
を蒸気殺菌した場合の電極の出力変化を示すグラ
フ、第３図は従来の溶存酸素電極を示す一部断面
概略図である。 １……電極本体、２……支持管、３……隔膜、
４……内部液、５……検知極、６……対極、７…
…指示計、８……リード線、９……リード線、１
０……変換器、１１……被測定液、１２……温度
スイツチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 支持管の先端開口部を覆つて酸素ガスが透過可
   能な隔膜を配設することにより形成された電極本
   体内に内部液を封入し、かつこの内部液に上記隔
   膜と対向して配置された検知極と対極とをそれぞ
   れ浸漬すると共に、上記検知極及び対極と指示計
   とをそれぞれリード線を介して連絡してなり、上
   記電極本体を被測定液に浸漬することにより被測
   定液中の溶存酸素量が指示計に指示されるように
   した溶存酸素電極において、上記検知極と指示計
   とを連絡するリード線又は対極と指示計とを連絡
   するリード線に温度変化に対応して開閉すること
   が可能な温度スイツチを介装して、上記電極本体
   に所定温度以上の温度が加わつた時に上記温度ス
   イツチが開いて指示計と検知極又は対極との連絡
   を解除すると共に、電極本体に加わる温度が所定
   温度より低くなつた時に温度スイツチが閉じて指
   示計と検知極又は対極とを連絡するように構成し
   たことを特徴とする溶存酸素電極。