JP6510154B1 - 定電位電解式ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ化水素ガスに対する感度の経時変化が抑制された定電位電解式ガスセンサを提供する。【解決手段】定電位電解式ガスセンサは、フッ化水素ガスを検知するための定電位電解式ガスセンサ1であって、フッ化水素ガスを検知するための電極2として、反応極21と、銀を含む対極22と、参照極23とを備え、反応極21、対極22および参照極23が接触する電解液3として、ハロゲン化リチウムおよびハロゲン化銀を含む電解液3を備え、ハロゲン化銀が、電解液3中に0.025mol/L以上添加されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、定電位電解式ガスセンサに関する。
検知対象ガスを検知するためのセンサとして、たとえば、特許文献1に開示されるような定電位電解式ガスセンサが用いられる。定電位電解式ガスセンサは、一般的に、検知対象ガスを電気化学反応させる反応極と、反応極に対する対極と、反応極の電位の基準となる参照極と、反応極、対極および参照極に接触する電解液とを備えている。定電位電解式ガスセンサは、参照極に対する反応極の電位を一定に制御して、検知対象ガスの電気化学反応により反応極と対極との間に生じる電解電流を検出することで、検知対象ガスを検知することができる。
定電位電解式ガスセンサは、電極や電解液の種類、参照極に対する反応極の電位などを任意に選択することで、様々な種類の検知対象ガスを検知することができる。たとえば、定電位電解式ガスセンサは、対極材料として銀を用い、電解液として臭化リチウムなどのハロゲン化リチウム溶液を用いることで、フッ化水素ガスを検知することができる。
特開2014−98679号公報
ところが、定電位電解式ガスセンサは、対極材料として銀を用い、電解液としてハロゲン化リチウム溶液を用いることで、フッ化水素ガスを高感度で検出することができる一方で、フッ化水素ガスに対する感度が経時により大きく変化するという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化が抑制された定電位電解式ガスセンサを提供することを目的とする。
本発明の定電位電解式ガスセンサは、フッ化水素ガスを検知するための定電位電解式ガスセンサであって、フッ化水素ガスを検知するための電極として、反応極と、銀を含む対極と、参照極とを備え、前記反応極、前記対極および前記参照極が接触する電解液として、ハロゲン化リチウムおよびハロゲン化銀を含む電解液を備え、前記ハロゲン化銀が、前記電解液中に0.025mol/L以上添加されることを特徴とする。
本発明の定電位電解式ガスセンサは、フッ化水素ガスを検知するための定電位電解式ガスセンサであって、フッ化水素ガスを検知するための電極として、反応極と、銀を含む対極と、参照極とを備え、前記反応極、前記対極および前記参照極が接触する電解液として、ハロゲン化リチウムおよびハロゲン化銀を含む電解液を備え、前記電解液にハロゲン酸イオンが添加されることを特徴とする。
本発明によれば、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化が抑制された定電位電解式ガスセンサを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る定電位電解式ガスセンサの断面図である。 定電位電解式ガスセンサを用いて、電解液中への臭化銀の添加の有無によるフッ化水素ガスに対する応答特性の経時変化の違いを調べた結果を示しており、(a)は、電解液中に臭化銀を添加した実施例1についての結果を示し、(b)は、電解液中に臭化銀を添加していない比較例1についての結果を示す。 製造後1ヶ月経過後の対極表面から得られた走査型電子顕微鏡写真(1、000倍)であり、(a)は、電解液中に臭化銀を添加した実施例1で使用した対極表面の写真であり、(b)は、電解液中に臭化銀を添加していない比較例1で使用した対極表面の写真である。 異なる製造ロットで製造された複数の定電位電解式ガスセンサを用いて、電解液中への臭化銀の添加の有無によるフッ化水素ガスに対する応答特性の違いを調べた結果を示しており、(a)は、電解液中に臭化銀を添加した実施例2についての結果を示し、(b)は、電解液中に臭化銀を添加していない比較例2についての結果を示す。 定電位電解式ガスセンサを用いて、定電位電解式ガスセンサの設置環境が通常の湿度環境(相対湿度50%RH)から低湿環境(相対湿度30%RH)に変化したときの、フッ化水素ガスに対する応答特性の変化を調べた結果を示しており、(a)は、電解液中に臭化銀を添加した実施例3についての結果を示し、(b)は、電解液中に臭化銀を添加していない比較例3についての結果を示す。 定電位電解式ガスセンサを用いて、定電位電解式ガスセンサの設置環境が通常の湿度環境(相対湿度50%RH)から高湿環境(相対湿度80%RH)に変化したときの、フッ化水素ガスに対する応答特性の変化を調べた結果を示し、(a)は、電解液中に臭化銀を添加した実施例3についての結果を示し、(b)は、電解液中に臭化銀を添加していない比較例3についての結果を示す。 製造後1ヶ月経過後の定電位電解式ガスセンサを用いて、電解液中への臭化銀の添加量に対する、フッ化水素ガスの応答特性の変化を調べた結果を示す。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る定電位電解式ガスセンサを説明する。ただし、以下に示す実施形態は一例であり、本発明の定電位電解式ガスセンサは以下の例に限定されることはない。
本実施形態の定電位電解式ガスセンサ1は、フッ化水素ガスを検知するために用いられる。定電位電解式ガスセンサ1は、図1に示されるように、フッ化水素ガスを検知するための電極2と、電極2と接触する電解液3とを備えている。定電位電解式ガスセンサ1は、フッ化水素ガスが関与する電気化学反応によって電極2に生じる電解電流を検知することにより、フッ化水素ガスを検知する。
定電位電解式ガスセンサ1は、本実施形態では、図1に示されるように、電極2および電解液3を収容する電解槽4を備えている。電解槽4は、電解液3を収容する電解液収容部41と、電解液収容部41に電解液3を供給するための電解液供給孔42と、フッ化水素ガスを含む測定対象ガスが電解槽4の外部から電解液収容部41内に流入するガス流入孔43と、電気化学反応で生じたガスや未反応の測定対象ガスなどの電解液3中のガスが電解液収容部41から電解槽4の外部に流出するガス流出孔44とを備えている。
ただし、電解槽は、電極および電解液を収容可能で、ガスが流入および流出可能に構成されていればよく、図示された構成に限定されることはない。電解槽を構成する材料もまた、特に限定されることはなく、たとえば、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの公知の樹脂材料を採用することができる。
定電位電解式ガスセンサ1は、図1に示されるように、フッ化水素ガスを検知するための電極2として、反応極21と、反応極21に対する、銀を含む対極22と、反応極21の電位の基準となる参照極23とを備えている。反応極21、対極22および参照極23は、電解液3に接触するように、電解槽4内に配置される。反応極21、対極22および参照極23は、たとえば、図示しない公知のポテンショスタットなどの制御手段にリード線を介して接続されて、所定の電圧が印加され、電気化学反応の結果として生じる電解電流が測定される。
反応極21は、参照極23の電位を基準として一定の電圧が印加されて、フッ化水素が関与する電気化学反応を生じさせる電極である。反応極21は、本実施形態では、図1に示されるように、ガス流入側ガス透過膜5上に、電極材料(たとえば、カーボン)により作製されたペーストが塗布・焼成されて、形成される。反応極21は、ガス流入側ガス透過膜5とともに、ガス流入孔43を液密に閉鎖するように配置される。より具体的には、積層された反応極21およびガス流入側ガス透過膜5は、反応極21が電解液収容部41に面し、ガス流入側ガス透過膜5がガス流入孔43に面するように配置されて、Oリング6などの公知の密封手段を介して、ガス流入側蓋部材7によって、電解液収容部41とガス流入孔43との間に固定される。反応極21に印加する電圧は、反応極21においてフッ化水素が関与する電気化学反応を生じさせるように、適宜設定することができる。
ガス流入側ガス透過膜5は、電解液収容部41内の電解液3がガス流入孔43を介して電解槽4の外部に流出するのを抑制する一方で、フッ化水素ガスを含む測定対象ガスが電解槽4の外部から電解液収容部41内に流入するのを許容する。ガス流入側ガス透過膜5は、電解液3の流出を抑制し、測定対象ガスの流入を許容するように構成されていればよく、特に限定されることはないが、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマーなどのフッ素樹脂材料を用いて多孔質に形成されたフィルムを用いることができる。
対極22は、銀を含み、反応極21でのフッ化水素が関与する電気化学反応に対応して、別の電気化学反応を生じさせる電極である。対極22は、本実施形態では、図1に示されるように、ガス流出側ガス透過膜8上に固定された銀線として構成される。対極22は、ガス流出側ガス透過膜8とともにガス流出孔44を液密に閉鎖するように、電解液3を介して反応極21に対向して配置される。
参照極23は、反応極21の電位の基準となる電極である。参照極23は、本実施形態では、図1に示されるように、対極22とともに、ガス流出側ガス透過膜8上に固定された銀線として構成される。参照極23は、ガス流出側ガス透過膜8とともにガス流出孔44を液密に閉鎖するように、電解液3を介して反応極21に対向して配置される。
ガス流出側ガス透過膜8は、電解液収容部41内の電解液3がガス流出孔44を介して電解槽4の外部に流出するのを抑制する一方で、電気化学反応で生じたガスや未反応の測定対象ガスなどの電解液3中のガスが電解液収容部41から電解槽4の外部に流出するのを許容する。ガス流出側ガス透過膜8は、図1に示されるように、対極22および参照極23が固定された面とは反対側の面がガス流出孔44に面するように配置されて、Oリング9などの公知の密封手段を介して、ガス流出側蓋部材10によって、電解液収容部41とガス流出孔44との間に固定される。ガス流出側ガス透過膜8は、電解液3の流出を抑制し、電解液3中のガスの流出を許容するように構成されていればよく、特に限定されることはないが、たとえば、ガス流入側ガス透過膜5と同様に、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマーなどのフッ素樹脂材料を用いて多孔質に形成されたフィルムを用いることができる。
定電位電解式ガスセンサ1では、反応極21に、参照極23の電位を基準として一定の電圧が印加され、参照極23との間に一定の電位差が付加される。参照極23との間に一定の電位差が付加された反応極21は、反応極21に接触する電解液3中に流入したフッ化水素が関与する電気化学反応を生じさせる。フッ化水素が関与する電気化学反応が生じると、その電気化学反応に対応して、対極22側においても別の電気化学反応が生じる。反応極21および対極22において生じる電気化学反応の結果として、反応極21と対極22との間に電解電圧が生じ、電解電流を検知することで、フッ化水素ガスを検知することができ、電解電流の大きさに応じてフッ化水素ガスの濃度を求めることができる。
定電位電解式ガスセンサ1は、反応極21、対極22および参照極23が接触する電解液3として、ハロゲン化リチウムを含む電解液3を備えている。反応極21、対極22および参照極23が接触する電解液3がハロゲン化リチウムを含むことにより、一定の電圧が印加された反応極21おいて、(1)電解液3中に流入したフッ化水素ガスの解離反応、(2)ハロゲンガスの生成反応、および(3)ハロゲンガスの還元反応が生じ、対極22において、反応極21における上述の電気化学反応に対応して、(4)ハロゲンイオンの酸化反応が生じる。なお、電解液3は、本実施形態では、反応極21における上述の(2)の反応を促進するために、ハロゲン酸イオンが添加される。以下に、ハロゲン化リチウムを含む電解液3にハロゲン酸イオンを添加した場合の上述の(1)〜(4)の反応式を示す。
(反応極)
(1)HF → H+ + F-
(2)6H+ + 5X- + XO3 - → 3X2 +3H2
(3)X2 + 2e- → 2X-
(対極)
(4)2Ag + 2X- → 2AgX + 2e-
ただし、Xはハロゲン元素を示す。
電解液3に含まれるハロゲン化リチウムの濃度は、特に限定されることはなく、反応極21および対極22において、フッ化水素ガスの解離反応を含む電気化学反応が生じるように、適宜設定することができる。また、ハロゲン化リチウムに含まれるハロゲン元素としては、いずれのハロゲン元素であっても適用可能であるが、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)を含む群から選択される1種以上であることが好ましく、臭素(Br)であることがさらに好ましい。電解液3へのハロゲン酸イオンの添加は、特に限定されることはないが、たとえばハロゲン酸カリウムの添加によって行なうことができる。ハロゲン酸カリウムに含まれるハロゲン元素としては、いずれのハロゲン元素であっても適用可能であるが、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)を含む群から選択される1種以上であることが好ましく、臭素(Br)であることがさらに好ましい。
定電位電解式ガスセンサ1では、電極2から電解液3中に自然溶解する銀イオンとは別に、電解液3に銀イオンが添加されている。定電位電解式ガスセンサ1は、電解液3に銀イオンが添加されることで、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化を抑制することができる。それによって、定電位電解式ガスセンサ1を長寿命化することができる。これは、以下で詳しく述べるように、電解液3に銀イオンを添加することで、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化をもたらす炭酸リチウムや酸化リチウムが対極22上に析出するのを抑制することができるからであると考えられる。
ここで、参照極23を基準に一定の電圧が反応極21に印加されると、対極22上では、上述したように、対極22に含まれる銀と、電解液3中に含まれるハロゲンイオンとが反応して、ハロゲン化銀が生成する。このハロゲン化銀は、反応極21における電気化学反応に対応して生じる、ハロゲンイオンの電気化学反応(酸化反応)により生成するもので、非常に微量である。一方、対極22上では、電気化学反応により生じるハロゲン化銀とは別に、対極22から溶出する銀イオンと、電解液3中のハロゲンイオンとが化学的に反応することによっても、ハロゲン化銀が生成・析出する。この化学反応によって生成するハロゲン化銀は、電気化学反応により生成するハロゲン化銀よりも多い。化学反応により生成するハロゲン化銀が対極22上に析出すると、炭酸リチウムや酸化リチウムが対極22上に析出する(図3(b)参照)。これは、化学反応により表面に析出したハロゲン化銀が触媒となって、炭酸リチウムや酸化リチウムの析出が促進されるためだと考えられる。対極22上に析出した炭酸リチウムや酸化リチウムは、対極22上での電気化学反応を阻害するだけでなく、電解液3中に溶出して検知対象であるフッ化水素とも反応するため、フッ化水素ガスの検出を阻害する。このように、対極22上では、電気化学反応とは別に、対極22から溶出する銀イオンと電解液3中のハロゲンイオンとの化学反応が経時により進行し、それに伴って炭酸リチウムや酸化リチウムが表面に析出する。その結果、フッ化水素ガスに対する感度に経時変化が生じるものと考えられる。
それに対して、対極22から電解液3中に自然溶解する銀イオンとは別に、電解液3に銀イオンを添加することにより、炭酸リチウムや酸化リチウムの析出が抑制される(図3(a)参照)。これは、電解液3中に銀イオンを添加することで、対極22に含まれる銀が電解液3中に溶出するのが抑制され、対極22から溶出する銀イオンと、電解液3中のハロゲンイオンとの化学反応が抑制され、化学反応によるハロゲン化銀の生成・析出が抑制されるためだと考えられる。その結果、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化をもたらす炭酸リチウムや酸化リチウムが対極22上に析出するのが抑制され、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化を抑制することができるものと考えられる。
電解液3中への銀イオンの添加は、特に限定されることはないが、たとえばハロゲン化銀の添加によって行なうことができる。電解液3にハロゲン化銀が添加されることで、ハロゲン化銀が電解液3中で銀イオンとハロゲンイオンとに解離して、電解液3中に銀イオンを含有させることができる。
ハロゲン化銀は、特に限定されることはないが、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)およびヨウ化銀(AgI)を含む群から選択される1種以上であることが好ましく、臭化銀(AgBr)であることがさらに好ましい。また、添加されるハロゲン化銀の量は、特に限定されることはなく、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化を抑制するのに必要な銀イオンを添加するように、適宜設定することができる。たとえば、ハロゲン化銀は、電解液3中に0.025mol/L以上添加することができる。ハロゲン化銀を電解液3中に0.025mol/L以上添加することで、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化をより安定して抑制することができる。
本実施形態の定電位電解式ガスセンサ1ではさらに、電解液3中に銀イオンを添加することにより、フッ化水素ガスに対する感度の製造ロット間の固体差を低減することができる。これは、以下で詳しく述べるように、電解液3に銀イオンを添加することで、フッ化水素ガスに対する感度に経時変化をもたらす炭酸リチウムや酸化リチウムが対極22上に析出するのを抑制することができるからであると考えられる。
炭酸リチウムや酸化リチウムは、すでに述べたように、対極22上での化学反応によるハロゲン化銀の生成に伴って、ハロゲン化銀の触媒作用により対極22上に析出するものと考えられる。対極22上での電気化学反応は、参照極23に対する電位によって制御されるが、対極22上での化学反応は、対極22表面の性状、対極22の純度(不純物濃度)、電解液の純度(不純物の種類、濃度)、電解液の濃度などに影響される。そして、対極22表面の性状などは、製造ロット間で変動する。つまり、化学反応によるハロゲン化銀の生成や、それに伴う炭酸リチウムや酸化リチウムの析出は、対極22表面の性状などに影響され、対極22の製造ロット間の変動の影響を受ける。したがって、対極22の製造ロット間の変動によって、炭酸リチウムや酸化リチウムの析出が変動し、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化が変動する。しかし、対極22の表面性状などに製造ロット間の変動があったとしても、電解液3に銀イオンを添加することで、炭酸リチウムや酸化リチウムの析出そのものを抑制することができるので、製造ロット間の変動による炭酸リチウムや酸化リチウムの析出の変動を抑制でき、フッ化水素ガスに対する感度の製造ロット間の固体差を低減することができるものと考えられる。
本実施形態の定電位電解式ガスセンサ1ではさらに、電解液3中に銀イオンを添加することで、定電位電解式ガスセンサ1の設置環境における湿度変化によるフッ化水素ガスに対する感度の変動を抑制することができる。一般的に、定電位電解式ガスセンサを通常の湿度環境から異なる湿度環境に移すと、電解液の濃度が変化する。このとき、本実施形態のように、銀を含む対極を用いている場合には、電解液中の銀イオンの溶解度も変化するので、対極からの銀イオンの溶出量も変化することになる。これによって、電解液中のハロゲンイオンとの間で生じる化学反応の量も変動することになり、フッ化水素ガスに対する感度の変動をもたらす。それに対して、本実施形態の定電位電解式ガスセンサ1では、電解液3に銀イオンが添加されているので、対極22からの銀イオンの溶出が抑制される。したがって、定電位電解式ガスセンサ1の設置環境における湿度が変化しても、対極22からの銀イオンの溶出そのものが抑制されるので、銀イオンの溶出の変動が抑制されて、フッ化水素ガスに対する感度の変動が抑制される。
以下において、実施例をもとに本実施形態の定電位電解式ガスセンサの優れた効果を説明する。ただし、本発明の定電位電解式ガスセンサは、以下の実施例に限定されるものではない。
(定電位電解式ガスセンサ)
図1に示される定電位電解式ガスセンサを、公知の方法により作製した。定電位電解式ガスセンサの電解液を除く基本構成は、以下の通りとした。
反応極:カーボン
対極:銀線
参照極:銀線
透過膜:ポリテトラフルオロエチレン製多孔質膜
(電解液)
定電位電解式ガスセンサにおいて用いる実施例の電解液として、電解液(8mol/L臭化リチウム(LiBr)+0.4mol/L臭素酸カリウム(KBrO3))に、ハロゲン化銀である臭化銀(AgBr)を添加したものを用いた。比較例の電解液として、臭化銀(AgBr)を添加しない電解液(8mol/L臭化リチウム(LiBr)+0.4mol/L臭素酸カリウム(KBrO3))を用いた。
(応答特性測定)
定電位電解式ガスセンサを公知のポテンショスタットに接続し、参照極23を基準にして反応極21に一定電圧を一定時間(300秒)印加し、反応極21と対極22との間に生じる電解電流を測定した。
(測定対象ガス)
測定対象ガスは、大気中に3.2ppmのフッ化水素ガスを混入したものを用いた。測定対象ガスは、反応極21への一定電圧印加後60秒から240秒に亘って、定電位電解式ガスセンサ1に供給した。
(経時条件)
実施例および比較例の電解液がそれぞれ収容された状態の定電位電解式ガスセンサを、温度が20±3℃、湿度が44〜73%RHの環境で、通電状態を維持した状態で所定期間放置した。
(実施例1)
定電位電解式ガスセンサを用いて、定電位電解式ガスセンサの製造後から経過する期間(製造後から1ヶ月経過以降)に亘る、フッ化水素ガスに対する応答特性の変化を調べた。電解液としては、上述した実施例の電解液(実施例1)および比較例の電解液(比較例1)を用い、実施例の電解液で添加した臭化銀の量は、0.05mol/Lとした。定電位電解式ガスセンサとしては、実施例1および比較例1ともに、同じ製造ロットで作製した異なる4つの定電位電解式ガスセンサを用いた。実施例1について得られた結果を図2(a)に、比較例1について得られた結果を図2(b)に示す。図中のグラフでは、横軸を、製造後からの経過日数とし、縦軸を、製造後1ヶ月経過後の定電位電解式ガスセンサで得られた電流値の絶対値に対する比とした。図2を見ると、臭化銀を添加していない電解液を用いた比較例1では(図2(b))、製造後1ヶ月経過後からの期間の経過に伴って、同一の製造ロットで製造されたいずれの定電位電解式センサも変化量が大きく変化しているのに対して、臭化銀を添加した電解液を用いた実施例1では(図2(a))、製造後からの期間に亘って、同一の製造ロットで製造されたいずれの定電位電解式センサも変化量がほぼ一定の値を示している。このことから、臭化リチウムを含む電解液に臭化銀によって銀イオンを添加することにより、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化を抑制することができることが分かる。
図3に、定電位電解式ガスセンサの製造後1ヶ月経過後の対極の表面から得られた走査型電子顕微鏡写真(1、000倍)を示す。図3を見ると、臭化銀を添加していない電解液を用いた比較例1の対極表面には、柱状の粒子が多数観察されているが(図3(b))、臭化銀を添加した電解液を用いた実施例1の対極表面には、そのような柱状の粒子が観察されていない(図3(a))。この柱状の粒子は、他の分析結果から、炭酸リチウムであることが確認されている。このことから、臭化リチウムを含む電解液に臭化銀によって銀イオンを添加することにより、対極上への炭酸リチウムの析出を抑制することができることが分かる。
以上の結果から、臭化リチウムを含む電解液に臭化銀によって銀イオンを添加することにより、定電位電解式ガスセンサのフッ化水素ガスに対する感度の経時変化を抑制することができることが分かる。そして、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化の抑制は、対極上への炭酸リチウムの析出が抑制されることによるものと考えられる。
(実施例2)
製造ロットの異なる定電位電解式ガスセンサを複数用いて、フッ化水素ガスに対する応答特性の製造ロット間の違いと、同じ製造ロット内でのセンサ間の違いを調べた。電解液としては、上述した実施例の電解液(実施例2)および比較例の電解液(比較例2)を用い、実施例の電解液で添加した臭化銀の量は、0.05mol/Lとした。定電位電解式ガスセンサとしては、実施例2および比較例2ともに、異なる4回の製造ロットにおいてそれぞれ作製された異なる4つの定電位電解式ガスセンサを用いた。実施例2について得られた結果を図4(a)に、比較例2について得られた結果を図4(b)に示す。図4を見ると、臭化銀を添加していない電解液を用いた比較例2では(図4(b))、製造ロットの違いに応じて、また、同じ製造ロットで製造されたセンサ間でも、電流値が大きく異なり、応答特性が大きく異なっている。それに対して、臭化銀を添加した電解液を用いた実施例2では(図4(a))、製造ロットが違っても、また、同じ製造ロットで製造されたセンサ間でも、電流値がほぼ同じであり、応答特性がほぼ同じである。このことから、臭化リチウムを含む電解液に臭化銀によって銀イオンを添加することにより、フッ化水素ガスに対する感度の製造ロット差および同じ製造ロット内の固体差を低減することができることが分かる。これは、上でも述べたように、対極からの銀イオンの溶出は、対極の性状などに大きく影響を受けるために、製造ロット間や、同一製造ロット内の異なるセンサ間での対極の性状などの違いによる影響を大きく受けるが、電解液中に銀イオンが添加されることで、対極からの銀イオンの溶出そのものが抑制されて、銀イオンの溶出の変動が抑制されるためだと考えられる。
(実施例3)
定電位電解式ガスセンサの設置環境が通常の湿度環境(相対湿度50%RH)から低湿環境(相対湿度30%RH)または高湿環境(相対湿度80%RH)に変化したときの、フッ化水素ガスに対する応答特性の変化を調べた。電解液としては、上述した実施例の電解液(実施例3)および比較例の電解液(比較例3)を用い、実施例の電解液で添加した臭化銀の量は、0.05mol/Lとした。低湿環境への変化について得られた結果を図5に、高湿環境への変化について得られた結果を図6に示す。
図5を見ると、設置環境が通常の湿度環境から低湿環境に変化したときの電流値の変化率は、臭化銀が添加されていない電解液を用いた比較例3(図5(b))と比べて、臭化銀を添加した電解液を用いた実施例3(図5(a))の方が小さい。この結果から、電解液に銀イオンを添加することにより、設置環境が低湿環境に変化したとしても、電流値の変化率を小さく抑えることができることが分かる。そもそも、設置環境が低湿環境に変化すると、電解液の濃度が変化するが、その濃度変化による電流値の絶対値の増加量は、臭化銀を添加した電解液を用いた実施例3(図5(a))と、臭化銀が添加されていない電解液を用いた比較例3(図5(b))とで、ほぼ同じである。その一方で、実施例2の結果や、後述する実施例4の結果からも分かるように、電解液に銀イオンを添加することで、電流値の絶対値が増加する。つまり、もともと高い電流値の絶対値を有する実施例3と、もともと低い電流値の絶対値を有する比較例3とを比べたときに、設置環境が低湿環境に変化して両者でほぼ同じ量だけ電流値の絶対値が増加した場合、もともと高い電流値の絶対値を有する実施例3の電流値の絶対値の増加率の方が小さくなる。このことが、図5に示される結果の要因であると考えられる。
つぎに、図6を見ると、設置環境が通常の湿度環境から高湿環境に変化したときの電流値の絶対値の変化率は、臭化銀が添加されていない電解液を用いた比較例3(図6(b))と比べて、臭化銀を添加した電解液を用いた実施例3(図6(a))の方が小さい。この結果から、電解液に銀イオンを添加することにより、設置環境が高湿環境に変化したとしても、電流値の絶対値の変化率を小さく抑えることができることが分かる。これは、設置環境が高湿環境に変化することで、電解液中の臭化銀の溶解度が低下することと関連していると考えられる。溶解度が低下した電解液に臭化銀を添加することで、電解液中で臭化銀は溶解度に対して多く溶けている状態になるため、電解液に臭化銀を添加する効果がより大きくなり、設置環境が高湿環境に変化することによる電流値の絶対値の低下が抑制されるものと考えられる。
(実施例4)
電解液(8mol/L臭化リチウム(LiBr)+0.4mol/L臭素酸カリウム(KBrO3))中に添加する臭化銀の添加量を変化させたときの、フッ化水素ガスに対する応答特性の変化を調べた。臭化銀の添加量は、0、0.01、0.025、0.05、0.1、0.2mol/Lとした。フッ化水素ガスに対する応答特性としては、製造後1ヶ月経過後の定電位電解式ガスセンサを用いて、反応極と対極との間に生じる電解電流を測定した。得られた結果を図7に示す。図7を見ると、臭化銀の添加量が0〜0.025mol/Lの範囲では、臭化銀の添加量の増加に伴って電流値の絶対値が増加し、臭化銀の添加量が0.025mol/L以上では、臭化銀の添加量の増加に対して電流値がほぼ一定である。この結果は、臭化銀の添加量が0mol/Lでは、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化の影響を受けて電流値の絶対値が小さく、臭化銀の添加量の増加に伴って、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化の影響が低減されて電流値の絶対値が増加し、臭化銀の添加量が0.025mol/L以上になると、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化の影響がほぼ消失して電流値の絶対値が最も高い値(正常値)でほぼ一定となることを示している。以上の結果から、臭化リチウムを含む電解液に臭化銀によって銀イオンを添加することにより、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化を抑制することができ、添加量を0.025mol/L以上にすることにより、フッ化水素ガスに対する感度の経時変化をより安定して抑制することができることが分かる。
1 定電位電解式ガスセンサ
2 電極
21 反応極
22 対極
23 参照極
3 電解液
4 電解槽
41 電解液収容部
42 電解液供給孔
43 ガス流入孔
44 ガス流出孔
5 ガス流入側ガス透過膜
6 Oリング
7 ガス流入側蓋部材
8 ガス流出側ガス透過膜
9 Oリング
10 ガス流出側蓋部材

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  1. フッ化水素ガスを検知するための定電位電解式ガスセンサであって、
    フッ化水素ガスを検知するための電極として、反応極と、銀を含む対極と、参照極とを備え、
    前記反応極、前記対極および前記参照極が接触する電解液として、ハロゲン化リチウムおよびハロゲン化銀を含む電解液を備え、
    前記電解液にハロゲン酸イオンが添加されることを特徴とする定電位電解式ガスセンサ。
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