JP2004271234A - 定電位電解式酸性ガス検出器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容器の側壁に穿設された通孔に、少なくとも表面に貴金属の層を有する作用極3を設け、これの外側に被検ガス透過が可能で、かつ撥水性を備えた隔膜を液密となるように張設してセルを構成するとともに、セルに対極8を収容して沃素酸塩と、臭化物塩を含む溶液を電解液として収容した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性ガスを検出するための電気化学式ガス検出器、より詳細には酸性ガスを検出するのに適した電解液の組成に関する。
【0002】
【従来の技術】
三塩化フッ素やフッ化水素などの弱酸性ガスを検出する電気化学式ガスセンサは、特許文献1に見られるように沃化カリウム(KI)、沃素酸カリウム(KIO3)、及び水酸化カリウム、及び水素イオン濃度調整剤の溶液を電解液とし、一方の面が電解液に、他方が環境中に接する隔膜に金や、白金黒を蒸着して形成した作用極と、電解液中に浸漬された対極、必要に応じて基準極を形成した定電位電解型ガス検出器が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記定電位電解型ガス検出器は、通常の環境では十分な検出精度を示すものの、オキシダント(オゾンO3)に対しても感度を有するため、オゾンの濃度が比較的高い特殊な環境で使用した場合には目的ガスの検出精度が若干低下するという不都合がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、オキシダントが存在する環境においても酸性ガスを高い精度で検出することができる電気化学式ガス検出器を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明においては、容器の側壁に穿設された通孔に、少なくとも表面に貴金属の層を有する作用極を設け、これの外側に被検ガス透過が可能で、かつ撥水性を備えた隔膜を液密となるように張設してセルを構成するとともに、前記セルに対極を収容して沃素酸塩と、臭化物塩とを含む溶液を電解液として収容した。
【0005】
【作用】
オキシダントに対する感度が、従来の1/18程度となり実質的にオキシダントに不感応である一方、塩素、フッ化水素などの酸性ガスに対しては十分な感度を有するため、オキシダントが存在する環境でも塩素、フッ化水素などの酸性ガスを高い精度で検出することができる。
【0006】
【発明の実施の態様】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の定電位電解式酸性ガス検出器の一実施例を示すものであって、後述する電解液Eを収容するセル1は、その1つの面には通孔2が穿設されていてここに後述する作用極3が配置され、外側となる面には通気性と撥水性を備えた多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムなどの隔膜4を張設し、その外側をOリング等のパッキング5を介してガス導入口6を有する押さえ蓋7により固定されている。
【0007】
作用極3は、基板となる金属、例えば不錆鋼の薄板をエッチング等により一定ピッチで微細な、例えば0.5mm程度の通孔を密度80個/平方cmで穿設し、これの表面に検出すべきガスと反応して遊離する物質に対して活性を有する金属、この実施例ではAu(金)の層を形成して構成されている。また押え蓋7には作用極3の中央部に当接する凸部7aが形成されていて、作用極3の表面に沿って張設された隔膜4が、その中央部で凸部7aにより作用極3に密着状態を維持するように押圧されている。
【0008】
また、セル1内には作用極3から一定の距離を隔てて貴金属からなる対極8と、参照極9が設けられている。これら作用極3、対極8、及び参照極9は、セル1と液密状態を維持するようにして外部に引き出され、測定回路に接続できるように図示しないリード線に接続されている。なお、図中符号10は、電解液注入口、及び大気連通口を兼ねる通孔を示す。
【0009】
次に、本発明が特徴とする電解液について説明する。
精製水に沃素酸塩、例えば沃素酸カリウム(KIO3)を1.0mモル以上、飽和限界(使用下限温度、例えば0℃では20.0mモル)までの濃度で、また臭化物塩、例えば臭化カリウム(KBr)を、沃素酸イオンに対して5倍程度の濃度となるように5mモル以上の濃度で溶解させて電解液が調製されている。
なお、沃素酸塩と臭化物塩との濃度比は、経験的に定められたもので、必要に応じて変更することも可能である。
【0010】
基準空気にそれぞれ塩素、オゾン、フッ化水素、及び塩化水素を単独で、それぞれ0.8ppm、1.0ppm、6ppm、及び10.0ppm含む4種類の標準ガスを用意した。
また電解液として沃素酸カリウム(KIO3)25mモルと、臭化カリウム(KBr)125mモルを含有する電解液(なお、水素イオン濃度はpH6.19であった。)を充填した定電位電解式酸性ガス検出器を用いて、上記それぞれの標準ガスを測定したところ表1に示す測定結果を得た(なお、出力値は、電解電流値を示す)。
【0011】
【表1】
塩素 1.2μA
オゾン 0.1μA
フッ化水素 6.3μA
塩化水素 9.0μA
【0012】
これに対して沃素酸カリウム(KIO3)0.05モルと、ヨウ化カリウム(KI)及び水溶液を基本組成(なお、ヨウ素の遊離を防止するために、水素イオン濃度調整剤として炭酸カリウム(K2CO3)や水酸化カリウム(KOH)0.5ミリモルを添加して中性よりもアルカリ側、例えばpH8.17に調整)とする電解液を使用した従来のセンサにより上記標準ガスを測定したところ表2のような測定結果を得た(なお、出力値は、電解電流値を示す)。
【0013】
【表2】
塩素 1.8μA
オゾン 1.8μA
フッ化水素 6.3μA
塩化水素 9.0μA
【0014】
以上のことから、本発明の電解液を用いた定電位電解式酸性ガス検出器は、オゾンに対する感度が、従来の1/18程度となり実質的にオゾンに不感応である一方、塩素、フッ化水素などの酸性ガスに対しては十分な感度を有することが確認できた。
これにより、本発明の定電位電解式酸性ガス検出器は、オキシダントが高い濃度で存在する環境に設置、使用された場合にでも、オキシダントによる電流の変化分がなく、塩素、フッ化水素、塩化水素の濃度に比例した信号を出力することになる。
【0015】
また、本発明の電気化学式センサの電解液に管の一端を浸漬して、他端から濃度1%の炭酸ガス(CO2)を吹き込んでバブリングして各時点で、塩素、フッ化水素、及び塩化水素をそれぞれ含む標準ガスに対する感度の変化、及びオゾンを含む標準ガスの検出感度を測定したところ、図2に示すような結果となった。なお、図2において曲線Aは本発明を、また曲線Bは従来の電解液を用いた定電位電解式酸性ガス検出器の出力を示す。
【0016】
このことから、空気中の炭酸ガスの作用を受けることなく、目的ガスを所定の感度で検出でき、またオゾンに対する感度に変化を来すことがないことが確認できた。
【0017】
なお、上述の実施例においては、沃素酸塩として沃素酸カリウムを、また臭化物塩として臭化カリウムを用いたが、他の物質、たとえば沃素酸塩として沃素酸ナトリウムや沃素酸リチウムの少なくとも一種、また臭化物塩として臭化ナトリウム、臭化リチウムの少なくとも一種、または混合物を使用しても、オゾンに対する感度を下げることができることを確認した。
【0018】
また、吸湿作用を利用して電解液の揮散(蒸発)を低減するためにエチレングリコールを添加する場合には、精製水に沃素酸カリウム(KIO3)と臭化カリウム(KBr)とを溶解させた後に添加するのが望ましい。すなわち、予めエチレングリコールが溶解していると、沃素酸カリウムや臭化カリウムが沈殿する恐れがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気化学式ガス検出器の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明と、従来の定電位電解式酸性ガス検出器の炭酸ガスバブリング時のセンサー出力の経時変化を示す線図である。
【符号の説明】
1 セル
2 通孔
3 作用極
4 隔膜
5 パッキング
6 ガス導入口
7 蓋
8 対極
9 参照極
Claims (2)
- 容器の側壁に穿設された通孔に、少なくとも表面に貴金属の層を有する作用極を設け、これの外側に被検ガス透過が可能で、かつ撥水性を備えた隔膜を液密となるように張設してセルを構成するとともに、前記セルに対極を収容して沃素酸塩と、臭化物塩とを含む溶液を電解液として収容した定電位電解式酸性ガス検出器。
- 沃素酸塩が、沃素酸カリウム、沃素酸ナトリウム、沃素酸リチウムの少なくとも一種、また臭化物塩が臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化リチウムの少なくとも一種を含む請求項1に記載の定電位電解式酸性ガス検出器。
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