JP5209965B2 - ポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法、それにより得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂およびその製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法、それにより得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法、詳細にはポリビニルアルコール系樹脂の後変性のためのエステル化剤を用いるエステル化方法に関し、さらには該エステル化方法により得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂に関するものである。
ポリビニルアルコール系樹脂にエステル基を導入する公知の方法としては、ポリビニルアルコール系樹脂のヒドロキシル基に、炭素数1〜22のカルボン酸と多価アルコールとのエステル化合物(特許文献1参照。)、有機酸無水物(特許文献2、3参照。)、ハロゲン化アルキルを持つカルボン酸ハライド(特許文献4参照。)を反応させる後変性方法、あるいはポリビニルアルコール樹脂の原料である酢酸ビニルの重合工程で、共重合モノマーとしてビニルエステルを一括或いは分割添加し、共重合せしめた後、けん化工程を経る方法がある。(特許文献5参照。)
特開2001−72710号公報(第2頁、請求の範囲1) 特開2000−239317号公報(第2頁、請求の範囲1) 特開2003−4729号公報(第2頁、請求の範囲1) 特開平5−345116号公報(第2頁、請求の範囲3) 特開昭55−94978号公報(第1頁、特許請求の範囲(1))
ポリビニルアルコール系樹脂にエステル基を導入する公知の方法としては、上記したように、アルキルエステル、カルボン酸無水物、カルボン酸ハライドのようなエステル化剤を、ポリビニルアルコール系樹脂のヒドロキシル基に反応させる後変性方法、あるいはビニルエステル単量体と酢酸ビニル単量体の2元共重合により得られたポリマーを水酸化ナトリウム等でけん化する方法がある。
それらが抱える問題点としては、前者の後変性方法においては、例えばメチルエステル(例えばパルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル)などのアルキルエステルをエステル化剤とするエステル交換反応の場合、平衡状態より更に反応率を向上させる為に、生成アルコール(メチルエステルの場合はメチルアルコール)を反応系外へ除去する操作(例えば反応蒸留プロセスの導入)が必要となり、反応装置および操作が複雑化してしまう問題点が挙げられる。
一方、後者のビニルエステル単量体と酢酸ビニル単量体との2元共重合を経由する方法においては、反応性2重結合を持つビニルエステル(例えばアクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、桂皮酸ビニル、p−メトキシ桂皮酸ビニル)の場合、一部で反応性2重結合との3元共重合が起こり、予定した重合度や変性度のポリマーを得ることが困難あるいは不可能となる。これについては変性度の低下や反応率の低下などにより対処可能な場合も有り得るが、経済的に不利となる場合が多く、また、たとえ予定した重合度、変性度のポリマーが得られた場合でも、後のけん化工程で重合時に導入された一部あるいは大部分のエステル基が脱離するため、コスト面での問題がより一層大きくなる。
本発明は、温和な反応条件且つ比較的シンプルな反応設備で、ポリビニルアルコール系樹脂を高反応率でエステル化でき、さらにはポリビニルアルコール系樹脂の重合度、けん化度などに制限されることなく幅広いポリビニルアルコール系樹脂に適用可能な新規なポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法を提供することを目的とする。また、本発明は、幅広い用途に適用できる、重合度や変性度の物性面に優れた変性ポリビニルアルコール系樹脂を提供することをも目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂に後変性のためのエステル化反応を行う際のエステル化剤としてビニルエステルを用いることにより、必要とされる重合度や変性度の物性面に優れた変性ポリビニルアルコール系樹脂が高い反応率で得られることを見出し、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕 エステル化剤を用いるエステル化反応によりポリビニルアルコール系樹脂をエステル化する方法において、エステル化剤としてビニルエステルを用いることを特徴とするポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法、
〔2〕 前記反応に溶媒として非プロトン性極性溶媒を用いることを特徴とする前項 〔1〕に記載のポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法、
〔3〕 前記反応においてポリビニルアルコール系樹脂を非プロトン性極性溶媒に完全溶解させることを特徴とする前項〔2〕に記載のポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法。
〔4〕 前記反応にエステル化触媒としてアルカリ金属化合物を用いることを特徴とする前項〔1〕または〔2〕に記載のポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法、
〔5〕 前記反応にエステル化触媒としてポリビニルアルコール系樹脂に予め含まれている酢酸ナトリウムを用いることを特徴とする前項〔1〕または〔2〕に記載のポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法、
〔6〕 前項〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のエステル化方法により得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂、および
〔7〕 エステル化剤を用いるエステル化反応によりポリビニルアルコール系樹脂から変性ポリビニルアルコール系樹脂を製造する方法において、エステル化剤としてビニルエステルを用いることを特徴とする変性ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法、
に関する。
本発明のエステル化方法によれば、温和な反応条件且つ比較的シンプルな反応設備で、ポリビニルアルコール系樹脂を高反応率でエステル化することができる。さらに、本発明のエステル化方法は、該エステル化の対象となるポリビニルアルコール系樹脂の重合度、けん化度などに制限されることなく、幅広いポリビニルアルコール系樹脂のエステル化に適用することができる。
また、本発明の変性ポリビニルアルコール系樹脂は、重合度や変性度の物性面に優れており、幅広い用途に適用できる。
また、本発明の変性ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法は、上記のような変性ポリビニルアルコール系樹脂を、簡便かつ生産性良く製造することができ、さらに重合度やけん化度などに制限されることなく、幅広いポリビニルアルコール系樹脂を原料として製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、エステル化反応によりエステル化する対象となるポリビニルアルコール系樹脂としては、特に制限されるものではなく、広い範囲のポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。
したがって、本発明においては、種々のビニルエステル単量体を原料として製造されるポリビニルアルコール系樹脂を用いることができ、ポリビニルアルコール系樹脂の原料となるビニルエステル単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられる。中でも酢酸ビニルが工業的に望ましい。
また、本発明において用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ビニルエステル単量体と共重合可能な不飽和単量体が共重合されたものであってもよい。ビニルエステル単量体と共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等の不飽和二塩基酸モノアルキルエステル類、ダイアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等のアミド基含有単量体、ラウリルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、イソプロペニルアリルアルコール等のヒドロキシル基含有単量体、アリルアセテート、ジメチルアリルアセテート、イソプロペニルアリルアセテート等のアセチル基含有単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル、トリメトキシビニルシラン、トリブチルビニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン等のビニルシラン類、エチレン、プロピレン等のアルファオレフィン類、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン基含有単量体、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸−2−エチルへキシル、アクリル酸−n−ブチル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のアクリル酸系単量体、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等のオキシアルキレン基含有単量体等が挙げられるが、これらに限らない。
本発明において用いられるポリビニルアルコール系樹脂を製造するにあたっては、常法に従ってよい。ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられるが、中でもメチルアルコール等の溶剤中で、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酢酸、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート等のアゾ系または過酸化物系の開始剤を用いて重合する方法が一般的である。重合の際には、2−メルカプトエタノール等の重合度調整用の連鎖移動剤を用いたり、重合終了の際には、ハイドロキノン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、メタ−ジニトロベンゼン等の重合禁止剤・重合用抑制剤等を用いたりしてもよい。また、未反応の単量体の除去方法及びけん化、乾燥、粉砕方法等も公知の方法でよく、特に制限は無い。例えば、前記重合方法により得られたビニルエステル重合体あるいは共重合体をジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒に溶解し、未反応重合単量体の除去およびけん化を行うことで得られるポリビニルアルコール溶液をそのままエステル化反応に供してもよい。この場合、通常のポリビニルアルコール樹脂の製造に要する洗浄・乾燥・粉砕工程や、通常のポリビニルアルコール樹脂をエステル化反応に供する際の溶解工程を省略できるので、生産性やコストの面で有利となる。
本発明において用いられるポリビニルアルコール系樹脂のけん化度および重合度には特に制限は無く、目的・用途に応じて自由に選択できる。
本発明において、ポリビニル系アルコール樹脂は単独で用いても、2種以上を組み合わせても用いてもよく、例えば前記方法にて得られたポリビニルアルコール系樹脂の1種または2種以上を用いることができる。
本発明においては、エステル化剤を用いるエステル化反応によりポリビニルアルコール系樹脂をエステル化するが、該エステル化剤としてビニルエステルを用いることが重要である。一般的にエステル交換反応は平衡反応であるため、カルボン酸エステルをエステル化剤に用いてポリビニルアルコール系樹脂をエステル化する場合、通常は目的物を効率良く得るべく、脱離した副生アルコールを反応蒸留装置により系外に取り除く方法が採られており、その結果プラントのコストが高く、運転操作も複雑なものとなっている。これに対して本発明では、エステル化剤としてビニルエステルを用いることにより、エステル化反応時に脱離するビニルアルコールはすぐさま化学的に安定な異性体であるアセトアルデヒドに変化し、このアセトアルデヒドは平衡反応に寄与せず、かつ低沸点ゆえ系外への除去が容易である。このため、本発明の方法は、ビニルエステル以外のエステル化剤を用いる方法と比較して、目的物を生成するエステル化反応の反応率が高いという点において優れ、コストや操作性の点でも有利な方法である。
本発明においてポリビニルアルコール系樹脂のエステル化剤として用いられるビニルエステルとしては、例えば、有機カルボン酸のビニルエステルが挙げられ、該有機カルボン酸は、脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸は、飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸のいずれであってもよく、また、直鎖状や分岐状および環状のいずれであってもよい。さらに、これらカルボン酸は分子内にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アリール基、アミノ基、置換アミノ基などの置換基を有していてもよい。
前記ビニルエステルの具体例としては、例えば、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ステアリン酸ビニル、桂皮酸ビニル、オクチル酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、パラ−ジメチルアミノ安息香酸ビニル、パラ−メトキシ桂皮酸ビニル、2,2−ジメチルペンタン酸ビニル、2,2−ジメチルブタン酸ビニル、2−エチル−2−メチルブタン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタ−メトキシ安息香酸ビニル、p−メチル安息香酸ビニル、パラ−ヒドロキシ安息香酸ビニル、酢酸ビニル、イソ酪酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、1−ナフトエ酸ビニル、2−ナフトエ酸ビニル、モノブロモ酢酸ビニル、ビフェニル−4−カルボン酸ビニル、吉草酸ビニル、イソ吉草酸ビニル、2−メチル酪酸ビニル、アジピン酸モノビニル、メタ−ヒドロキシ安息香酸ビニル、セバシン酸ジビニル、セバシン酸メチルビニル、パラ−t−ブチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、ベヘン酸ビニル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記ビニルエステルはそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもかまわない。また、エステル化剤としてのビニルエステルの使用量には特に制限は無く、当該ビニルエステルの反応性および反応条件によって適宜設定することができる。例えば要求されるエステル化度の1.0〜2.5倍量、好ましくは1.1〜1.5倍量のビニルエステルをエステル化剤として使用することができる。
本発明におけるエステル化反応の反応方法としては、前記エステル化剤を用いさえすれば特に制限は無く、該エステル化反応の目的物である変性ポリビニルアルコール系樹脂の要求特性によって自由に選択可能であり、例えば、次に説明する均一系の反応方法や、不均一系の反応方法が挙げられる。
均一系の反応方法は、ポリビニルアルコール系樹脂を例えばジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒に溶解し、これにエステル化剤を添加することにより行うことができ、高エステル化(例えば10モル%以上)変性ポリビニルアルコール系樹脂を得る場合に好ましい方法である。
不均一系の反応方法としては、固液不均一系の反応方法が挙げられ、例えば、エステル化剤としてのビニルエステル中、またはエステル化反応に用いる溶媒(例えばジメチルホルムアミド等)中でポリビニルアルコール系樹脂を分散させながら、あるいは、ニーダー等で固体もしくは半固体状のポリビニルアルコール系樹脂を攪拌しながら、エステル化剤を一括もしくは分割添加することにより行うことができる。固液不均一系の反応方法は、ポリビニルアルコール系樹脂の一部をエステル化する場合に好ましい方法である。
また、固液不均一系の反応方法においては、DMSO等の非プロトン性極性溶媒を適量加えてもよく、それによってポリビニルアルコール系樹脂の粒子表面を膨潤させて、反応効率をより高めることができる。
前記の反応方法は、均一系、不均一系を問わず、何ら特殊な反応設備を必要とするものではない。したがって、本発明におけるエステル化反応のための反応設備としては、公知の反応設備を用いることができ、一般的な温調・攪拌機・還流冷却装置を備えるものであれば十分である。なお、モノクロロ酢酸ビニルを用いる場合には、これと接触する反応設備の部分にSUS316相当の材質を用いることが望ましい。
本発明におけるエステル化反応は、エステル化触媒の存在下に行われることが好ましい。かかるエステル化触媒としては、特に制限されるものではなく、公知のエステル化触媒を用いることができる。エステル化触媒としては、アルカリ金属化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、チタン化合物やスズ化合物等の金属化合物、またはリパーゼ等が挙げられ、中でもアルカリ金属化合物が好ましい。
前記エステル化触媒としては、ポリビニルアルコール系樹脂中に予め含まれている酢酸ナトリウムが反応率および経済性の面からより好ましい。エステル化触媒としてポリビニルアルコール系樹脂中に予め含まれている酢酸ナトリウムを用いる場合、ポリビニルアルコール系樹脂中の酢酸ナトリウムの含有率としては、0.1重量%以上が好ましく、0.5〜1.0重量%がより好ましい。もっとも、0.1重量%未満の場合や、さらに反応速度の向上を図る場合などには、必要に応じて酢酸ナトリウムを後添加して構わない。
本発明において、エステル化反応に用いる溶媒(以下、「反応溶媒」という)としては、非プロトン性極性溶媒が好ましい。反応溶媒としての非プロトン性極性溶媒としては、ポリビニルアルコール系樹脂の溶解性またはエステル化剤としてのビニルエステルの溶解性が高い非プロトン性極性溶媒であればよいが、ポリビニルアルコール系樹脂の溶解性および前記ビニルエステルの溶解性のいずれもが高い非プロトン性極性溶媒が反応効率のうえで好ましく、具体的にはDMSOが特に好ましい。DMSOのような前記いずれの溶解性もが高い非プロトン性極性溶媒を用い、ポリビニルアルコール系樹脂を完全溶解させることにより、先に簡単に説明した均一系の反応方法を行うことができる。
ただし、本発明において、反応溶媒は必ずしも非プロトン性極性溶媒でなくてもよい。反応溶媒の種類により、あるいは反応に供するポリビニルアルコール系樹脂の重合度やけん化度により、ポリビニルアルコール系樹脂が溶解しない不均一系の反応となる場合であっても、攪拌等によって当該ポリビニルアルコール系樹脂とエステル化剤であるビニルエステルとが十分に接触できる条件であれば、エステル化反応は十分に進行し得る。
なお、反応溶媒の使用量は特に限定されず、公知のエステル化反応に準じて適宜設定すればよく、また、エステル化剤としてのビニルエステルが反応溶媒を兼ねていてもよい。
本発明においてエステル化反応を行う好ましい方法についてより具体的に説明すると、酢酸ナトリウムを含有するポリビニルアルコール系樹脂をDMSO等の非プロトン性極性溶媒とともに適当な反応容器に投入して加熱・攪拌して溶解もしくは分散、より好ましくは完全溶解させ、必要であれば反応触媒を追加投入する。そして、所定の反応温度に保った状態でエステル化触媒としての所定量のビニルエステルを添加することにより反応を開始し、所定の反応時間経過後に反応を終了させる。
エステル化反応の反応温度としては、他の条件にもよるが、均一系、不均一系を問わず、通常30〜120℃程度でよく、中でも40〜100℃の範囲が好適である。また、エステル化反応の反応温度としては、エステル化剤としてのビニルエステルの反応性および目標の反応率にもよるが、通常1〜24時間程度の反応時間でよく、この範囲でエステル化反応を十分に進行させることができる。
本発明のポリビニル系アルコール樹脂のエステル化方法は、以上説明したようなエステル化反応により行なわれ、その結果物として変性ポリビニルアルコール系樹脂が得られる。そのような、本発明のエステル化反応により得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂もまた本発明のひとつである。また、本発明においては、前記したエステル化剤としてビニルエステルを用いるエステル化反応により、ポリビニルアルコール系樹脂から変性ポリビニル系アルコール系樹脂を製造することができるので、新規な変性ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法が提供される。そのような製造方法もまた本発明のひとつである。
前記のエステル化反応後に、変性ポリビニルアルコール系樹脂を取り出す方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法に準じて行なうことができる。
例えば、エステル化反応がポリビニルアルコール系樹脂をDMSO溶液として行なうような均一系の場合は、反応後の溶液(反応液)からメチルアルコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどの貧溶媒を用いた再沈処理により変性ポリビニルアルコール系樹脂を析出させて樹脂固形物を得る。このとき、ミキサー(例えば、SILVERSON社製のハイシアミキサー)を使用して反応液/貧溶媒の混合と析出した樹脂の切断とを同時的に行うことによるスラリー化や、乾湿式紡糸装置による方法を採用することができる。あるいは、スプレードライ法による微粉化、または流延法やダイ等から押し出して製膜する方法を採用することもできる。さらに、析出した樹脂組成物の精製方法としては、例えば前記のスラリー化を採用した場合であれば、得られたスラリーを遠心ろ過器などで分離し、必要に応じてアセトン、メチルアルコールなどの有機溶剤で洗浄した後、送風乾燥器などで乾燥し、所望により粉砕機で粉末状にすればよい。
また、例えば、エステル化反応が固液不均一系の場合は、反応後に遠心ろ過器などで変性ポリビニルアルコール系樹脂を分離し、必要に応じて洗浄、乾燥、粉砕などの操作を適宜選択して行なえばよい。
本発明においては、前記エステル化剤として用いるビニルエステルの種類を適宜選択することにより、本発明の変性ポリビニルアルコール系樹脂に様々な特性を付与することができ、それに応じて様々な用途で利用可能な変性ポリビニルアルコール系樹脂を得ることができる。
例えばステアリン酸ビニル、ラウリン酸ビニルのような長鎖アルキル基を有するビニルエステルによりエステル化して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂は、内部可塑性を有する為、溶融成型などの用途が期待できる。また、変性度によってはチクソ性が付与された高粘度の変性ポリビニルアルコールを得ることが可能である。
例えばアクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、桂皮酸ビニル、p−メトキシ桂皮酸ビニルのような反応性2重結合を持つビニルエステルによりエステル化して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂は、その水溶液に過硫酸アンモニウム等の熱重合開始剤を添加してゲル化させることが可能であり、含水ゲルとして利用することができる。また、光重合開始剤(例えばチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGACURE754)等を加えることで感光性樹脂としての用途(例えばフォトレジストやUV硬化型塗料)に利用可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、実施例1、6、12および比較例1におけるエステル化度の測定方法はJIS K-6726(けん化度)に準じてエステル化反応前の樹脂の酢酸基の量m(モル%)およびエステル化反応後の樹脂の酢酸基の量m(モル%)をそれぞれ求め、mからmを減じた値をエステル化度とした。
また、実施例8(エステル化剤にモノクロロ酢酸ビニルを使用)におけるエステル化度は、ダイアインスツルメンツ社製塩素分析装置(TS−300CL型)を用いて得られた全塩素分析値から算出した。
また、実施例2〜5、実施例7および実施例9〜11におけるエステル化度は、ガスクロマトグラフ(SHIMADZU社製GC−14B)を用い、エステル化反応終了直後の反応液中に残存するエステル化剤として用いたビニルエステルの量を測定し、該ビニルエステルの消費量からエステル化度を算出するという簡便法により求めた。
(実施例1)
攪拌器、還流冷却器を備えた1000mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度99.5モル%、酢酸ナトリウム含有率0.5重量%)50gおよびDMSO 450gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度65℃において酢酸ビニル9.7g(対ポリビニルアルコール10.0モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。エステル化剤添加1時間後および30時間後に反応液を採取し、それぞれの反応液からアセトン浴再沈法により樹脂固形物を別々に得た。それぞれの樹脂固形物にさらにソックスレー抽出装置で24時間メチルアルコール洗浄を行い、スチーム送風乾燥器にて溶剤分を除去後、卓上ミルで粉砕し粉末状樹脂を変性ポリビニルアルコール系樹脂としてそれぞれ得た。得られたそれぞれの変性ポリビニルアルコール系樹脂のエステル化度を測定したところ、エステル化剤添加1時間後の反応液から得られた樹脂のエステル化度は9.2モル%、エステル化剤添加30時間後の反応液から得られた樹脂のエステル化度は9.6モル%であった(表1参照)。
(実施例2)
攪拌器、還流冷却器を備えた1000mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度4500、けん化度92.3モル%、酢酸ナトリウム含有率0.5重量%)50gおよびDMSO 450gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度70℃において酢酸ビニル118.5g(対ポリビニルアルコール130モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。48時間後に反応を終了し、採取した反応液のガスクロ分析値からエステル化度を算出したところ94.2モル%であった(表1参照)。
(実施例3)
攪拌器、還流冷却器を備えた1000mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度99.5モル%、酢酸ナトリウム含有率0.5重量%)20gおよびDMSO 180gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度65℃において酪酸ビニル15.5g(対ポリビニルアルコール30.0モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。24時間後に反応を終了し、採取した反応液のガスクロ分析値からエステル化度を算出したところ27.9モル%であった(表1参照)。
(実施例4)
攪拌器、還流冷却器を備えた500mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度550、けん化度98.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0重量%)20gおよびDMSO 180gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度60℃においてラウリン酸ビニル0.5g(対ポリビニルアルコール0.5モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。14時間後に反応を終了し、採取した反応液のガスクロ分析値からエステル化度を算出したところ0.3モル%であった(表1参照)。
(実施例5)
攪拌器、還流冷却器を備えた500mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度550、けん化度98.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0重量%)20gおよびDMSO 180gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度70℃においてラウリン酸ビニル131.9g(対ポリビニルアルコール130モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。48時間後に反応を終了し、採取した反応液のガスクロ分析値からエステル化度を算出したところ58.6モル%であった(表1参照)。
(実施例6)
攪拌器、還流冷却器を備えた1000mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度560、けん化度98.3モル%、酢酸ナトリウム含有率0.8重量%)50gおよびDMSO 450gを投入し70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度50℃においてメタクリル酸ビニル3.8g(対ポリビニルアルコール3.0モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。8時間後に反応を終了し、採取した反応液からアセトン浴再沈法により樹脂固形物を得た。さらにソックスレー抽出装置で24時間メチルアルコール洗浄を行い、スチーム送風乾燥器にて溶剤分を除去後、卓上ミルで粉砕することにより粉末状樹脂を変性ポリビニルアルコール系樹脂として得た。得られた変性ポリビニルアルコール系樹脂のエステル化度を測定したところ、エステル化度は2.6モル%であった(表1参照)。この変性ポリビニルアルコール系樹脂について、さらには以下の検証を行った。
(実施例6の検証)
実施例6で得られた変性ポリビニルアルコール系樹脂につき、Nicolet社製フーリエ変換赤外分光光度計(MAGNA−IR560)を用い、赤外吸光スペクトルの測定を行った。得られた赤外吸光スペクトルから1710cm−1(エステル由来のカルボニル基)の増加、および1635cm−1(不飽和炭素結合)の吸光を確認した。さらに、該変性ポリビニルアルコール系樹脂を熱水に溶解して10%水溶液を調製し、これに過硫酸カリウム(重合開始剤)1重量%を加えて加熱したところゲル化が進行したことから、該変性ポリビニルアルコール樹脂に反応性2重結合が存在することが確認された。このことから、実施例6で本発明方法により得られた変性ポリビニルアルコール系樹脂は、反応性2重結合を有しており、本エステル化により、若干ビニル化も生じていることが分かる。
(実施例7)
攪拌器、還流冷却器を備えた500mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度160、けん化度65.0モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0重量%)20gおよびDMSO 180gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度50℃においてクロトン酸ビニル0.8g(対ポリビニルアルコール2.0モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。8時間後に反応を終了し、採取した反応液のガスクロ分析値からエステル化度を算出したところ1.7モル%であった(表1参照)。
(実施例8)
攪拌器、還流冷却器を備えた500mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度1780、けん化度98.6モル%、酢酸ナトリウム含有率0.6重量%)20gおよびDMSO 180gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度65℃においてモノクロロ酸ビニル8.1g(対ポリビニルアルコール15モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。14時間後に反応を終了し、採取した反応液からアセトン浴再沈法により樹脂固形物を得た。さらにソックスレー抽出装置を用い24時間メチルアルコール洗浄を行い、スチーム送風乾燥器にて溶剤分を除去後、卓上ミルで粉砕し粉末状樹脂を変性ポリビニルアルコール系樹脂として得た。この変性ポリビニルアルコール系樹脂中のトータル塩素量から算出したエステル化度は12.7モル%であった(表1参照)。
(実施例9)
攪拌器、還流冷却器を備えた500mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度1690、けん化度99.2モル%、酢酸ナトリウム含有率0.5重量%)20gおよびDMSO 180gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度65℃においてパラ−t−ブチル安息香酸ビニル2.8g(対ポリビニルアルコール3.0モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。8時間後に反応を終了し、採取した反応液のガスクロ分析値からエステル化度を算出したところ1.6モル%であった(表1参照)。
(実施例10)
攪拌器、還流冷却器を備えた500mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度1690、けん化度99.2モル%、酢酸ナトリウム含有率0.5重量%)20gおよびDMSO 180gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度65℃においてピバリン酸ビニル8.7g(対ポリビニルアルコール15.0モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。14時間後に反応を終了し、採取した反応液のガスクロ分析値からエステル化度を算出したところ12.1モル%であった(表1参照)。
(実施例11)
攪拌器、還流冷却器を備えた500mlの三ツ口丸底フラスコに、ポリビニルアルコール(重合度1690、けん化度99.2モル%、酢酸ナトリウム含有率0.5重量%)20gおよびDMSO 180gを投入し、70℃に加熱・攪拌することによりポリビニルアルコールを完全溶解させた後、反応温度65℃においてプロピオン酸ビニル27.1g(対ポリビニルアルコール60.0モル%相当)をエステル化剤として添加することによりエステル化反応を開始した。24時間後に反応を終了し、採取した反応液のガスクロ分析値からエステル化度を算出したところ53.4モル%であった(表1参照)。
(実施例12)
実施例1におけるポリビニルアルコールに代えて、ソックスレー抽出装置を用いて該ポリビニルアルコールを予めメチルアルコールで12時間洗浄し酢酸ナトリウム含有率を0.08重量%としておいたものを一連の操作に供すること以外は、実施例1と同じ操作を行った。エステル化反応開始から1時間後と30時間後それぞれの反応溶液から得られた変性ポリビニルアルコール系樹脂のエステル化度は、0.8モル%および2.5モル%であった(表1参照)。
(比較例1)
実施例1における酢酸ビニル9.7gに代えて、酢酸メチル41.9g(対ポリビニルアルコール50.0モル%相当)を添加すること以外は、実施例1と同じ操作を行うことにより、エステル化剤添加1時間後および30時間後に採取した反応液から変性ポリビニルアルコール樹脂をそれぞれ得た。エステル化剤添加1時間後の反応液から得られた樹脂のエステル化度は0.6モル%、エステル化剤添加30時間後の反応液から得られた樹脂のエステル化度は1.2モル%であった(表1参照)。
(比較例2)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、圧力計を備えた反応器を窒素置換した後、脱酸素した酢酸ビニル単量体2800g、メチルアルコール1000gを仕込み、攪拌下で昇温を開始し内温が60℃となったところで別途メチルアルコール50gに重合開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル1.5gを溶解したものを添加して重合を開始した。続けてメタクリル酸ビニル単量体100gを連続的に添加していたところ、途中でゲル状物の生成が進行したため重合を中止した。
なお、前記の実施例1〜12および比較例1において使用したポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール)、エステル化剤(ビニルエステル)とその使用量、反応温度および反応時間、ならびにエステル化反応の結果達成されたエステル化度および反応率をまとめて下記表1に示す。
Figure 0005209965
PVA:ポリビニルアルコール
反応率(%)=(エステル化度/エステル化剤)×100
上記の結果から、ビニルエステルをエステル化剤に用いた本発明の実施例では、エステル化剤として酢酸メチルを用いた比較例1よりも反応率が大きく向上していることがわかる。
本発明により、温和な反応条件且つ比較的シンプルな反応設備で、ポリビニルアルコール系樹脂を高反応率でエステル化でき、さらにはポリビニルアルコール系樹脂を、その重合度、けん化度などに制限されることなく原料として用いることが可能なポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法を提供できる。また、本発明により、幅広い用途に適用できる、重合度や変性度の物性面に優れた変性ポリビニルアルコール系樹脂を提供できる。

Claims (6)

  1. エステル化剤を用いるエステル化反応によりポリビニルアルコール系樹脂をエステル化する方法において、エステル化剤としてビニルエステルを用いることを特徴とするポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法。
  2. 前記反応に溶媒として非プロトン性極性溶媒を用いることを特徴とする請求1に記載のポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法。
  3. 前記反応においてポリビニルアルコール系樹脂を非プロトン性極性溶媒に完全溶解させることを特徴とする請求2に記載のポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法。
  4. 前記反応にエステル化触媒としてアルカリ金属化合物を用いることを特徴とする請求1または2に記載のポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法。
  5. 前記反応にエステル化触媒としてポリビニルアルコール系樹脂に予め含まれている酢酸ナトリウムを用いることを特徴とする請求1または2に記載のポリビニルアルコール系樹脂のエステル化方法。
  6. エステル化剤を用いるエステル化反応によりポリビニルアルコール系樹脂から変性ポリビニルアルコール系樹脂を製造する方法において、エステル化剤としてビニルエステルを用いることを特徴とする変性ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法。
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