JP5208333B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、剛性が高く、更には表面硬度が高く摺動特性にも優れたポリアセタール樹脂組成物に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的特性、熱的特性、電気的特性、摺動性、成形性等において優れた特性を持っており、主に構造材料や機構部品等として電気機器、自動車部品、精密機械部品等に広く使用されている。しかし、ポリアセタール樹脂が利用される分野の拡大に伴い、要求特性は益々高度化、複合化、特殊化する傾向にある。その一例として、ポリアセタール樹脂が本来有する優れた成形性や表面状態等を維持しつつ、剛性、表面硬度、摺動特性等を一層向上させた材料の要求がある。このような要求に対し、剛性を向上させるための手段として、ポリアセタール樹脂に繊維状フィラーを充填する方法が一般的であるが、この方法では成形品の外観不良や摺動特性の低下等の問題がある。また、ポリアセタールコポリマーにおいては、共重合させるコモノマー量を減少させることにより剛性等が向上することが知られているが、この方法による剛性の向上は僅かであり、摺動特性については損なわれないまでも何ら改善されない一方で、ポリマーの熱安定性低下等の問題が生じ、必ずしも要求に応え得るものではなかった。
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明者は全く発想を変えて、ポリアセタール共重合体のポリマー骨格自体の変性とかかるポリマーを利用した樹脂組成物による剛性、表面硬度、摺動特性の改善に着目した。従来、ポリアセタール樹脂のポリマー骨格の変性に関する文献はいくつか見られるものの(例えば、特開平3−170526号公報)、上記のような発想に基づくポリアセタール樹脂の剛性、摺動特性の改善に関する知見は、殆ど存在しなかったと言っても過言ではない。
発明が解決しようとする課題
本発明の目的は、上記の如き課題を解決し、高剛性で、表面硬度、摺動特性にも優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者らは、前記目的を達成するために、ポリアセタール樹脂を基体とし、これにある種のグリシジル化合物を共重合することによって架橋構造を導入したポリアセタール共重合体を配合することにより、意外にも従来予期されなかったほどの剛性の向上、表面硬度の向上、摺動特性の改善が可能であることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち本発明は、ポリアセタール樹脂(A)100 重量部に対して、トリオキサン(a)100 重量部、1分子中に環状エーテル単位を2個以上有する化合物(b)0.0005〜2重量部及び1分子中に環状エーテル単位を1個有する化合物(c)0〜20重量部を共重合して得られ、総末端基量が15~150mmol/kgであるポリアセタール共重合体(B)0.01〜100 重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物である。
以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明において基体樹脂として用いるポリアセタール樹脂(A)は、オキシメチレン単位(-CH2O-)を主たる構成単位とする高分子化合物であり、ポリアセタールホモポリマー(例えば、米国デユポン社製、商品名「デルリン」等)、オキシメチレン基以外に他のコモノマー単位を有するポリアセタールコポリマー(例えば、ポリプラスチックス(株)製、商品名「ジュラコン」等)が含まれる。ポリアセタールコポリマーにおいて、コモノマー単位には炭素数2〜6程度(好ましくは炭素数2〜4程度)のオキシアルキレン単位(例えば、オキシエチレン基(-CH2CH2O-) 、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基等)が含まれる。また、コモノマー単位の含有量は、樹脂の結晶性を大幅に損なわない程度の量、例えばポリアセタール重合体の構成単位に占める割合として、一般的には0.01〜20モル%、好ましくは0.03〜10モル%、更に好ましくは0.1〜7モル%程度の範囲から選択できる。ポリアセタールコポリマーは、2成分で構成されたコポリマー、3成分で構成されたターポリマー等であってよい。ポリアセタールコポリマーは、ランダムコポリマーの他、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー等であってよい。また、このようなポリアセタール樹脂(A)の重合度も特に制限はなく、溶融成形可能であればよい。本発明において基体樹脂として使用するポリアセタール樹脂(A)としては、その熱安定性等の点で特にポリアセタールコポリマーが好ましい。またポリアセタール共重合体(B)の配合による剛性改善の効果も、基体樹脂がポリアセタールコポリマーである場合により顕著である。
次に、本発明の樹脂組成物において、上記ポリアセタール樹脂(A)に配合されるポリアセタール共重合体(B)は、トリオキサン(a)を主成分とし、1分子中に環状エーテル単位を2個以上有する化合物(b)、及び、必要に応じ、1分子中に環状エーテル単位を1個有する化合物を共重合して得られるものである。
ポリアセタール共重合体(B)の製造に用いられるトリオキサン(a)とは、ホルムアルデヒドの環状三量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルムアルデヒド水溶液を反応させることによって得られ、これを蒸留等の方法で精製して用いられる。重合に用いるトリオキサン(a)は、水、メタノール、蟻酸などの不純物を極力含まないものが好ましい。
次に、ポリアセタール共重合体(B)の製造に用いられる1分子中に環状エーテル単位を2個以上有する化合物(b)とは、1分子中に、エポキシ単位、グリシジル単位、1,3−ジオキンラン単位、1,4−ブタンジオールホルマール単位、ジエチレングリコールポルマール単位及び1,3,6−トリオキセパン単位等の環状エーテル単位を2個以上有する化合物を総称するものである。その中でも、環状エーテル単位を2個〜4個有する化合物が好ましく、特に好ましくは環状エーテル単位を3個又は4個有する化合物である。また、環状エーテル単位としてはグリシジル単位が好ましく、ジグリシジルエーテル化合物、トリグリシジルエーテル化合物及びテトラグリシジルエーテル化合物が好ましい化合物或いは特に好ましい化合物として挙げられる。その例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
特に、脂肪族系化合物である、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等が好ましい。これらの化合物は単独で又は2種以上を併用してトリオキサン(a)との共重合に供することができる。
これらの1分子中に環状エーテル単位を2個以上有する化合物(b)の共重合量は、トリオキサン(a)100 重量部に対して0.0005〜2重量部であり、好ましくは0.001 〜1.5 重量部、特に好ましくは0.005 〜1重量部である。(b)成分の共重合量がこれより過少では、目的とする特性を有する樹脂組成物を得るのが難しく、逆に過大の場合には、得られるポリアセタール共重合体(B)、さらにはこれを配合した組成物の成形性、耐衝撃性、表面特性が低下し、好ましくない。
本発明において用いられるポリアセタール共重合体(B)は、さらに1分子中に環状エーテル単位を1個有する化合物(c)を共重合成分として加え、共重合したものが好ましい。かかる環状エーテル単位1個の化合物(c)は、本発明の目的である剛性、表面硬度、摺動特性の改善のためには特に必須とするものではないが、ポリアセタール共重合体(B)を製造する際の重合反応を安定化させると共に、生成したポリアセタール共重合体(B)の熱安定性を高めるためには、かかる環状エーテル単位1個の化合物(c)を共重合成分として用いるのが極めて有効である。
1分子中に環状エーテル単位を1個有する化合物(c)としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピプロモヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキンラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。中でも、エチレンオキシド、1,3−ジオキンラン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマールが好ましい。
本発明で使用するポリアセタール共重合体(B)において、環状エーテル単位1個の化合物(c)の共重合量は、トリオキサン(a)100 重量部に対して0〜20重量部であり、好ましくは0.05〜15重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。環状エーテル単位1個の化合物(c)の共重合割合が過少では、共重合反応が不安定になると共に、生成するポリアセタール共重合体の熱安定性が劣るものとなり、逆に環状エーテル単位1個の化合物(c)の共重合割合が過大になると、本発明の目的特性である剛性、強度等の機械的物性が低下し不十分なものになる。
本発明において使用するポリアセタール共重合体(B)は、基本的には上記のトリオキサン(a)、1分子中に環状エーテル単位を2個以上有する化合物(b)、及び、必要に応じ、1分子中に環状エーテル単位を1個有する化合物(c)を用い、更に一般的には適量の分子量調整剤を添加して、カチオン重合触媒を用いて塊状重合を行う等の方法で得られる。
分子量調整剤としては、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテル等のアルコキシ基を有する低分子量アセタール化合物、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エステル化合物、酸化合物、水などが例示される。その中でも、アルコキシ基を有する低分子量アセタール化合物が特に好ましい。また、これらの分子量調整剤の使用により、本発明で使用するポリアセタール共重合体(B)の総末端基量を調整することが可能である。一般的には、分子量調整剤の増加に伴い、得られるポリアセタール共重合体の総末端基量は増加する。尚、実際の分子量調整剤の使用量の決定にあたっては、ポリアセタール共重合体の総末端基量に影響を及ぼす他の要因、例えば前記(b)成分の量や、モノマー中に含まれる水、メタノール等の不純物の量なども加味して、経験的に或いは予備重合テストにより、所望の総末端基量の範囲となるようにその添加量が決められる。
ここで、本発明で使用するポリアセタール共重合体(B)は、その重量平均分子量が10000 〜500000であることが好ましく、特に好ましくは20000 〜150000である。また、本発明で使用するポリアセタール共重合体(B)は、1H−NMRにより検出される総末端基量が15〜150mmol/kgのものである。特に総末端基量は20〜100mmol/kgが好ましい。総末端基量が過少の場合には、流動性が著しく悪く、これを配合した組成物の射出成形等の加工が非常に困難となり、表面荒れが顕著となる。また、総末端基量が過多の場合には、溶融粘度が著しく低下し、これを配合した組成物の押出し等による製造工程においてペレット化することが不可能となる場合もあり、又、著しい靱性の低下が生じ、好ましくない。また、ポリアセタール共重合体(B)は、そのヘミホルマール末端基量が4mmol/kg 以下であることが好ましく、特に好ましくは0〜2mmol/kg である。ヘミホルマール末端基量が4mmol/kgを越える場合には、成形時にポリマー分解に伴う発泡等の問題が生じるおそれがある。ヘミホルマール末端基量を上記範囲に制御するためには、重合に供するモノマー、コモノマー総量中の不純物、特に水分を20ppm 以下にするのが好ましく、特に好ましくは10ppm 以下である。
また、カチオン重合触媒としては、四塩化鉛、四塩化スズ、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三塩化バナジウム、三塩化アンチモン、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物、過塩素酸、アセチルパークロレート、t−ブチルパークロレート、ヒドロキシ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の無機及び有機酸、トリエチルオキソニウムテトラフロロボレート、トリフェニルメチルヘキサフロロアンチモネート、アリルジアゾニウムヘキサフロロホスフェート、アリルジアゾニウムテトラフロロボレート等の複合塩化合物、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド等のアルキル金属塩、ヘテロポリ酸、イソポリ酸等が挙げられる。その中でも特に三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物が好ましい。これらの触媒は有機溶剤等で予め希釈して用いることもできる。
本発明で使用するポリアセタール共重合体(B)を製造するにあたり、重合装置は特に限定されるものではなく、公知の装置が使用され、バッチ式、連続式等、いずれの方法も可能である。また、重合温度は65〜 135℃に保つことが好ましい。重合後の失活は、重合反応後、重合機より排出される生成反応物、あるいは、重合機中の反応生成物に塩基性化合物、あるいは、その水溶液等を加えて行う。
重合触媒を中和し失活するための塩基性化合物としては、アンモニア、或いは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン等のアミン類、或いは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物塩類、その他公知の触媒失活剤が用いられる。また、重合反応後、生成物にこれらの水溶液を速やかに加え、失活させることが好ましい。かかる重合方法及び失活方法の後、必要に応じて更に、洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を従来公知の方法にて行う。
本発明において、上記ポリアセタール共重合体(B)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100 重量部に対して0.01〜100 重量部、好ましくは1〜80重量部である。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて選択される各種の安定剤を配合するのが好ましい。安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、カルボン酸塩等のいずれか1種又は2種以上を挙げることができる。更に、本発明の目的・効果を阻害しない限り、必要に応じて、熱可塑性樹脂に対する一般的な添加剤、例えば染料、顔料等の着色剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、或いは、有機高分子材料、無機または有機の繊維状、粉体状、板状の充填剤等を1種又は2種以上添加することができる。
本発明の組成物の調製は、従来の樹脂組成物調製法として一般に用いられている公知の方法により容易に調製される。例えば、各成分を混合した後、押出機により練り込み押出してペレットを調製し、そのペレットを所定量混合して成形に供し成形後に目的組成の成形品を得る方法、成形機に各成分の1または2以上を直接仕込む方法等、何れも使用できる。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、評価は次の方法で行った。
〔曲げ弾性率〕
射出成形機を用いて試験片を成形し、ISO法に準じて測定を行った。
〔引張強度〕
射出成形機を用いてダンベル型試験片を成形し、ISO法に準じて測定を行った。
〔ロックウェル硬度〕
射出成形機を用いて試験片を成形し、ASTM法に準じて測定を行った。
〔摺動性評価〕
評価すべき樹脂組成物を用いて、射出成形により円筒状の鈴木式試験片(外径25.6mm、内径20mm)2を成形する。次に、鈴木式摩擦摩耗試験機(オリエンテック(株)製、EFM−III−EN)を用い、SUS304製丸棒(φ5mm×5mm)1を相手材として、図1に示す如く、荷重98N、線速度5cm/sec の条件で円筒状の鈴木式試験片2との揺動を行い、摩擦トルクが初期トルクの120 %となる時間を検出し、摺動表面の破壊寿命とした(破壊寿命は、丸棒1と鈴木式試験片2の繰り返し接触回転に換算して表記した)。
実施例1〜7
外側に熱(冷)媒を通すジャケットが付き、断面が2つの円が一部重なる形状を有するバレルと、パドル付き回転軸で構成される連続式混合反応機を用い、パドルを付した2本の回転軸をそれぞれ150rpmで回転させながら、トリオキサン(a)、1分子中に環状エーテル単位を2個以上有する化合物(b)、1分子中に環状エーテル単位を1個有する化合物(c)を表1に示す割合で加え、更に分子量調整剤としてメチラールを連続的に供給し、触媒の三フッ化ホウ素をトリオキサンに対して0.005 重量%、連続的に添加供給し塊状重合を行った。重合機から排出された反応生成物は速やかに破砕機に通しながら、トリエチルアミンを0.05重量%含有する60℃の水溶液に加え触媒を失活した。さらに、分離、洗浄、乾燥後、粗ポリアセタール共重合体を得た。
次いで、この粗ポリアセタール共重合体100重量部に対して、トリエチルアミン5重量%水溶液を4重量%、ペンタエリスリチルーテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を0.3重量%添加し、2軸押出機にて210℃で溶融混練し不安是部分を除去した。得られたポリアセタール共重合体は、ヘキサフルオロイソプロパノールd2を溶媒とするH−NMR測定により、その共重合組成を確認し、又、各末端に対応するピーク面積より定量し、総末端基量及びヘミホルマール末端基量を求めた。
次に、ポリアセタール樹脂(A)(ポリプラスチックス(株)製、ジュラコンM90)に、上記の方法で得たポリアセタール共重合体(B)を表1に示す割合で配合し、2軸押出機にて210℃で溶融混練し、ペレット状のポリアセタール樹脂組成物を得た。前述の方法で物性を評価した結果を表1に示す。
比較例1〜5
ポリアセタール共重合体(B)を配合しない場合、1分子中に環状エーテル単 位を2個以上有する化合物(b)を使用せずに調製されたポリアセタール共重合体(B)を配合した場合等について、実施例と同様にしてペレット状の組成物を調製し評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005208333
(b)成分
BDGE:ブタンジオールジグリシジルエーテル
TMPTGE:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
GTGE:グリセロールトリグリシジルエーテル
PETGE:ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル
(c)成分
DO:1,3−ジオキソラン
EO:エチレンオキシド
実施例における摺動性評価の試験状況を示す図である。
1 SUS304製丸棒
2 鈴木式試験片

Claims (3)

  1. オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、コモノマー単位として炭素数2〜6のオキシアルキレン単位を重合体の構成単位に占める割合として0.03〜10モル%含有するポリアセタールコポリマーであるポリアセタール樹脂(A)100 重量部に対して、
    トリオキサン(a)100 重量部、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上の1分子中に環状エーテル単位を3個以上有する化合物(b)0.0005〜2重量部及び1分子中に環状エーテル単位を1個有する化合物(c)0.05〜15重量部を共重合して得られ、4mmol/kg 以下のヘミホルマール末端基量を有し、総末端基量が20〜100mmol/kgであるポリアセタール共重合体(B)1〜80重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物。
  2. 1分子中に環状エーテル単位を1個有する化合物(c)が、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール及びジエチレングリコールホルマールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. ポリアセタール共重合体(B)の総末端基量が48〜63mmol/kgである請求項1又は2記載のポリアセタール樹脂組成物。
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