JP2024045843A - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低融点ながら、高い結晶化度を有するポリアセタール樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール重合体および環状のポリアセタール重合体を含む。前記環状のポリアセタール重合体の含有量は、ポリアセタール樹脂組成物の全質量に対して、8~90質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的物性、耐熱性、耐化学薬品性、電気的性質等に優れエンジニアリングプラスチックとして自動車部品、電機・電子部品、各種機械、建材、機能雑貨等の分野で幅広く利用されている材料である。
しかしながら、ポリアセタール樹脂は、融点が高く加工温度が非常に高くなる傾向にある。そのため、加工時にポリアセタール樹脂に含まれる成分が、分解してしまう等の不具合が生じることがあった。そこで、加工温度を低減したポリアセタール樹脂を製造するための検討が行われている。
たとえば、特許文献1では、耐熱性が低く、高温で加熱すると分解しやすいフォトクロミック色素を含むポリアセタール樹脂組成物が提案されている。特許文献1によると、融点が170℃以下のポリアセタール樹脂を用いることにより、溶融混練時に、フォトクロミック色素をより分解されにくくすることができるとされている。
特開2021-91832号公報
しかし、本発明者らが、特許文献1に記載のポリアセタール樹脂を用いて検討したところ、高温加熱による樹脂に含まれる成分の分解は抑制できたものの、ポリアセタール樹脂の融点の低下に伴い、結晶化度も低下してしまい、所望する機械的強度(引張強度、曲げ強度など)、耐薬品性等を維持できない場合があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、低融点でありながら、高い結晶化度を有するポリアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、以下の[1]~[6]の発明を完成させた。
[1] ポリアセタール重合体および環状のポリアセタール重合体を含む、ポリアセタール樹脂組成物。
[2] 前記環状のポリアセタール重合体の含有量は、ポリアセタール樹脂組成物の全質量に対して、8~90質量%である、[1]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[3] 前記ポリアセタール重合体は、ホモポリマーである、[1]または[2]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[4] 前記ポリアセタール重合体は、コポリマーである、[1]または[2]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[5] 前記ホモポリマーを含む、ポリアセタール樹脂組成物の融点は175℃未満であり、結晶化度は70%以上である、[3]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[6] 前記コポリマーを含む、ポリアセタール樹脂組成物の融点は171℃未満であり、結晶化度は65%以上である、[4]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
本発明によれば、低融点でありながら、高い結晶化度を有するポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
1.ポリアセタール樹脂組成物
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール重合体および環状のポリアセタール重合体を含むことを特徴とする。以下、各構成成分について説明する。
1-1.ポリアセタール重合体
本発明において、ポリアセタール重合体とは、ホモポリマー、またはコポリマーのことをいう。また、本発明における、「ポリアセタール重合体」とは、直鎖状または分岐状のポリアセタール重合体のことをいう。
[ホモポリマー]
ホモポリマーとは、単一のモノマーから構成される重合体のことをいい、ポリアセタール重合体におけるホモポリマーとは、オキシメチレン基(-OCH-)を主鎖に有する重合体のことをいう。
ホモポリマーは、ホルムアルデヒドを、重合触媒存在下で、アニオン重合することにより得ることができる。なお、重合工程で得られる粗ポリオキシメチレンの末端を、エーテル化剤、エステル化剤などを用いて安定化させることを要する。
本発明において、上記ホモポリマーは、上記方法で重合したホモポリマーを用いてもよいし、市販品を使用してもよい。上記市販品の例には、デルリン(デュポン(米国)社製、「デルリン」は同社の登録商標)、テナック(旭化成株式会社製、「テナック」は同社の登録商標)などが含まれる。
[コポリマー]
コポリマーとは、2以上のモノマーから構成される共重合体のことをいい、ポリアセタール重合体におけるコポリマーとは、オキシメチレン基(-OCH-)を主鎖に有し、かつ、分子中に炭素数が2以上のオキシアルキレン基を有する共重合体のことをいう。
コポリマーは、重合触媒存在下で、トリオキサンと、トリオキサンと共重合可能なコモノマーとを、共重合させることにより得ることができる。
(トリオキサン)
トリオキサンは、ホルムアルデヒドの環状三量体である。なお、トリオキサンは、一般的には酸性触媒の存在下で、ホルムアルデヒド水溶液を反応させることによって得られ、これを蒸留などの方法により精製されている。
(コモノマー)
コモノマーは、少なくとも1つの炭素-炭素結合を有する環状エーテルおよび環状ホルマールからなる群から選択されることが好ましい。
コモノマーの例には、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン等が含まれる。これらの中では、重合安定性の観点から、1,3-ジオキソランが好ましい。
また、コモノマーとして、ブタンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテルやジホルマールのような2個の重合性環状エーテル基または環状ホルマール基を有する化合物、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の3個以上の重合性環状エーテル基または環状ホルマール基を有する化合物を用いることもできる。これらのコモノマーを用いることによって、分岐構造や架橋構造が形成されたポリアセタール共重合体を得ることができる。
なお、コモノマーの含有量は、トリオキサン100質量部に対して0.01~20質量部であることが好ましく、0.05~6質量部であることがより好ましい。
(重合触媒)
トリオキサンと、トリオキサンと共重合可能なコモノマーとを、共重合させる際の重合触媒は、カチオン重合触媒であることが好ましい。カチオン重合触媒の例には、ルイス酸、プロトン酸が含まれる。
<ルイス酸>
ルイス酸の例には、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモンおよびその錯化合物または塩が含まれる。
<プロトン酸>
プロトン酸の例には、パーフルオロアルカンスルホン酸、ヘテロポリ酸、イソポリ酸等が含まれる。
パーフルオロアルカンスルホン酸の例には、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸、ペンタデカフルオロへプタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸が含まれる。
ヘテロポリ酸の例には、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステントバナジン酸が含まれる。
イソポリ酸の例には、パラタングステン酸、メタタングステン酸、パラモリブデン酸、メタモリブデン酸、メタポリバナジウム酸、イソポリバナジウム酸が含まれる。
重合触媒の含有量は特に限定されるものでないが、全モノマーの合計に対して0.1ppm以上50ppm以下であることが好ましく、0.1ppm以上30ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以上10ppm以下であることがさらに好ましい(以下、単位のppmはすべて質量基準である)。
(製造方法)
コポリマーの製造方法は、上述のカチオン重合触媒の存在下で、1,3,5-トリオキサンと、上述のコモノマー(例えば、1,3-ジオキソラン)とを共重合させる方法があり、バッチ式、連続式などの公知の方法および重合装置を用いて行うことができる。
上記重合装置において、バッチ式では、一般に用いられる撹拌機付きの反応槽などを使用することができる。また、連続式では、コニーダー、二軸スクリュー式連続押出混合機、二軸パドルスクリュー押出機型、ベント付き二軸押出機などを使用することができる。工業的に好ましい製造方法は連続式である。
本発明のコポリマーは、例えば、加熱用または冷却用の媒体を通すためのジャケットを有する連続二軸パドルスクリュー押出機型重合反応装置に、1,3,5-トリオキサン、上述のコモノマー、任意の重合反応用の添加剤、重合触媒を含有する混合液を連続的に供給し、所定の時間重合させることで得ることができる。
本発明において、コポリマーは、上記方法で重合したコモノマーを用いてもよいし、市販品を使用してもよい。上記市販品の例には、ジュラコン(ポリプラスチックス株式会社製、「ジュラコン」は同社の登録商標)などが含まれる。
1-2.環状のポリアセタール重合体
本発明において、環状のポリアセタール重合体とは、トリオキサンを重合してなる環状の重合体のことをいう。
環状のポリアセタール重合体の製造方法は、重合触媒存在下で、1,3,5-トリオキサンを重合させた後に、塩基性環境下で直鎖成分を分解除去する方法である。なお、環状のポリアセタール重合体は、特開平2-55712号公報に記載の方法に準ずる方法で製造することができる。
環状のポリアセタール重合体の含有量は、ポリアセタール樹脂組成物の全質量に対して、8~90質量%であることが好ましく、16~90質量%であることがより好ましい。環状のポリアセタール重合体の含有量が8~90質量%であることにより、ポリアセタール樹脂組成物の結晶化度を維持したまま、融点のみを下げることができる。これにより、上記環状の重合体を含まないポリアセタール樹脂組成物と比較して、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度(引張強度、曲げ強度など)、耐薬品性等をより向上させることができる。
1-3.ポリアセタール樹脂組成物
上述したように、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール重合体および環状のポリアセタール重合体を含むことを特徴とする。ここで、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、具体的には、ホモポリマーおよび環状のポリアセタール重合体を含むポリアセタール樹脂組成物(以下、「ホモポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物」ともいう)、コポリマーおよび環状のポリアセタール重合体を含むポリアセタール樹脂組成物(以下、「コポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物」ともいう)のことをいう。
(ホモポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物)
本発明のホモポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物において、環状のポリアセタール重合体の分子量は、1500~7000であることが好ましく、2000~5000であることがより好ましく、2000~4000であることがさらに好ましい。ポリアセタール樹脂組成物が、ホモポリマーおよび上記分子量を有する環状の重合体を含むことにより、ポリアセタール樹脂組成物の結晶化度を高い状態を維持できるので、結晶化していない部分に薬品等が染み込むことを抑制し、優れた耐薬品性を発揮することができる。
ホモポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物の融点は、175℃未満であることが好ましく、160~172℃であることがより好ましい。また、上記ポリアセタール樹脂組成物の結晶化度は70%以上であることが好ましく、74%以上であることがより好ましい。ホモポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物の融点が175℃未満であることにより、成形加工時の温度が低下することから、成形加工時のポリアセタール樹脂およびポリアセタール樹脂に含まれる成分の分解を抑制することができる。
本発明のホモポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物は、上記環状のポリアセタール重合体を含むことにより、上記環状のポリアセタール重合体を含まないポリアセタール樹脂組成物(ホモポリマーのみからなる樹脂組成物)よりも低い融点でありながら、高い結晶化度を維持できるので、高い機械的強度(引張強度、曲げ強度など)、耐薬品性等を有することができる。
(コポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物)
本発明のコポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物において、環状のポリアセタール重合体の分子量は、1500~4000であることが好ましく、2000~3500であることがより好ましい。ポリアセタール樹脂組成物が、コポリマーおよび上記分子量を有する環状の重合体を含むことにより、ポリアセタール樹脂組成物の結晶化度を高い状態で維持できるので、結晶化していない部分に薬品等が染み込むことを抑制し、優れた耐薬品性を発揮することができる。
コポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物の融点は、171℃未満であることが好ましく、160~170℃であることがより好ましい。また、上記ポリアセタール樹脂組成物の結晶化度は65%以上であることが好ましく、66%以上であることがより好ましい。ホモポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物の融点が167℃未満であることにより、成形加工時の温度が低下することから、成形加工時のポリアセタール樹脂およびポリアセタール樹脂に含まれる成分の分解を抑制することができる。
本発明のコポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物は、上記環状のポリアセタール重合体を含むことにより、上記環状のポリアセタール重合体を含まないポリアセタール樹脂組成物(コポリマー単体、またはコポリマーと環状構造以外の樹脂との組み合わせからなる樹脂組成物)よりも低い融点でありながら、高い結晶化度を維持できるので、高い機械的強度(引張強度、曲げ強度など)、耐薬品性等を有することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.ポリアセタール重合体の製造
ポリアセタール重合体の製造方法について、以下に説明する。
1-1.ホモポリマー
本発明では、ホモポリマーは、市販品である「テナック4010」(旭化成株式会社製)を用いた。
1-2.コポリマー
以下の重合装置を用いて、コポリマー1および2を製造した。
(重合装置)
重合装置としては、連続二軸パドルスクリュー押出機型を用いた。上記押出機型は胴体部の外側に加熱用または冷却用の媒体を通すためのジャケットを備える。また、上記胴体部は上下分割構造であり、上部開放が可能な構造となっている。上記押出機型の内部には撹拌、推進用の多数のバドルを付した2本の回転軸が長手方向に設けられている。
(コポリマー1)
80℃の媒体をジャケットに通じ加熱した上記重合装置に、単位時間当たり、100質量部の1,3,5-トリオキサンと、4.0質量部の1,3-ジオキソランと、所定量のメチラールと、を含有する混合液を連続的に供給するとともに、モノマーの全質量に対して5ppmのリンタングステン酸を供給し、重合反応を行った。なお、上記リンタングステン酸は、0.2質量%ギ酸メチル溶液として使用した。次いで、上記重合装置の吐出口より得られた粗重合体に、粗重合体の質量に対して15ppmの炭酸ナトリウムと0.1質量%のメラミンおよび0.3質量%のIRGANOX 1010(BASF社製、「IRGANOX」は同社の登録商標)を添加し、連続的にベント付き二軸押出機を用いて、220℃、ベント部の真空度が5mmHgの条件下で溶融混錬して押し出し、コポリマー1のペレットを得た。
なお、上記メチラールの添加量は、得られる共重合体のメルトフローレート(MFR)が9g/10分となるよう調整された量である。上記MFRは、ISO1133に準拠し、メルトインデクサ L220型(株式会社立山科学ハイテクノロジーズ製)を用いて、荷重2.16kg、温度190℃、吐出樹脂取得時間7分の条件で測定した。
(コポリマー2)
1,3-ジオキソランの配合量を4.0質量部から6.0質量部に変更した以外は、コポリマー1と同様の方法で製造することにより、コポリマー2のペレットを得た。
1-3.環状のポリアセタール重合体の製造
以下のようにして、環状のポリアセタール重合体1~3を製造した。
(環状のポリアセタール重合体1)
熱媒を通すことのできるジャケットと撹拌羽根を有する密閉オートクレーブ中に、100質量部の1,3,5-トリオキサン(東京化成工業株式会社製)を入れ、ジャケットに70℃の温水を通して約70℃に保った後、三フッ化ホウ素ジブチルエーテル錯体(BF・O(C)をトリオキサンに対して三フッ化ホウ素の量として20ppm添加して重合を開始した。5分後に、トリブチルアミン0.1%水溶液300部を加えて反応を停止し、内容物を取り出して200メッシュ以下に粉砕し、アセトン洗浄および乾燥を行うことにより、ポリアセタール粗重合体を得た。次に、この粗重合体100部を1100質量部のジメチルスルホキシドに加えて、DBU(ジアザビシクロウンデセン)を1.0質量部添加し、165℃で10分間加熱した後、常温まで冷却した。析出したポリアセタール重合体をフィルター濾過により回収し、アセトン洗浄および真空乾燥を行った。
得られたポリアセタール重合体10mgを0.6mLの1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール-dに溶解させた後に、45℃にて1H-NMR測定を実施したところ、4.97ppmに-CHO-に基づくプロトンのシグナルが観測されるのみであり、末端基に由来するプロトンのシグナルは検出されなかったため、環状構造を有するポリアセタール重合体と判断した。得られた環状のポリアセタール重合体の分子量は2300であった。
得られた環状のポリアセタール重合体の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィ測定(溶離液:1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール)により求めた。なお、分子量はポリメチルメタクリレート標準サンプルを使用した検量線を用いて決定した。
(環状のポリアセタール重合体2)
ジャケットに通す温水を70℃から80℃に変更した以外は、環状のポリアセタール重合体1と同様の方法で、環状のポリアセタール重合体2を得た。このときの、環状のポリアセタール重合体2の分子量は2600であった。
(環状のポリアセタール重合体3)
ジャケットに通す温水を70℃から100℃に変更した以外は、環状のポリアセタール重合体1と同様の方法で、環状のポリアセタール重合体3を得た。このときの、環状のポリアセタール重合体3の分子量は3100であった。
1-4.ポリアセタール樹脂組成物
上述のホモポリマー、コポリマーおよび環状のポリアセタール重合体を、表1および2に示す割合で配合し、ポリアセタール樹脂組成物を製造した。なお、表1および2に記載のポリエチレングリコールは、PEG6000S(三洋化成工業株式会社製)である。
2.評価
[ポリアセタール樹脂組成物の物性]
上記製造方法で得たポリアセタール樹脂組成物について、融点および結晶化度を測定した。その結果を表1および2に示す。
(測定方法)
ポリアセタール樹脂組成物の融点および結晶化度は、示差走査熱量測定装置「DSC8000」(パーキンエルマー社製)を用いて、サンプル量7.0mgで溶融時吸熱ピークから融点を決定し、結晶化度を算出した。
(測定条件)
(1)50℃から10℃/minで200℃まで昇温させた後、50℃まで降温させて3分間保持し、10℃/minで200℃まで再度昇温する。
(2)2回目の昇温時に見られる吸熱ピークから融点、結晶化度を以下のように算出した。
融点はピークトップ温度を選択し、結晶化度は以下の式で算出した。なお、式中のポリアセタール結晶の溶融熱量は248J/gとした。これは、C. F. Hammer, T. A. Koch, J. F. Whitney, J. Appl. Polym. Sci., 1, 169 (1959) を参照した数値である。
式:(ピーク面積(J/g)/ポリアセタール結晶の溶融熱量(J/g))×100
Figure 2024045843000001
Figure 2024045843000002
表1および2に示される融点および結晶化度から、環状のポリアセタール重合体を含むことによりポリアセタール樹脂組成物の、融点は下がるものの結晶化度は高い状態を維持できることがわかった。これにより、加工時の温度を低減できることから、ポリアセタール樹脂に含まれる成分が、分解してしまう等の不具合が生じることを抑制できるようになった。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、従来のポリアセタール樹脂組成物よりも、低融点でありながら、高い結晶化度を有する。そのため、ポチアセタール樹脂組成物を用いる分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。

Claims (6)

  1. ポリアセタール重合体および環状のポリアセタール重合体を含む、ポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記環状のポリアセタール重合体の含有量は、ポリアセタール樹脂組成物の全質量に対して、8~90質量%である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記ポリアセタール重合体は、ホモポリマーである、請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 前記ポリアセタール重合体は、コポリマーである、請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 前記ホモポリマーを含む、ポリアセタール樹脂組成物の融点は175℃未満であり、結晶化度は70%以上である、請求項3に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 前記コポリマーを含む、ポリアセタール樹脂組成物の融点は171℃未満であり、結晶化度は65%以上である、請求項4に記載のポリアセタール樹脂組成物。
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