JP4429536B2 - ポリアセタール共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた耐衝撃性、剛性、耐クリープ特性等を有し、熱安定性も兼備したポリアセタール共重合体及びその安定な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール樹脂は、機械的性質、耐薬品性、摺動性等のバランスに優れ、且つ、その加工が容易であることにより、エンジニアリングプラスチックとして、電気・電子部品、自動車部品その他の各種機械部品を中心として広く利用されている。
【0003】
しかし、近年その利用範囲の拡大に伴い、次第により高度な特性が要求される傾向にある。例えば、ポリアセタール樹脂を薄肉部品等に使用する場合においては、ポリアセタール樹脂が本来有する流動性、成形性、熱安定性、摺動性を維持しつつ、高度の耐衝撃性、剛性、耐クリープ特性等が必要とされる場合が多い。
【0004】
しかしながら、これらの要求特性をバランス良く満足させることは極めて難しい。例えば、剛性や耐衝撃性改善のためにポリアセタール樹脂に繊維状等の充填材を配合する方法では、成形品の外観不良、摺動特性の低下、流動性の低下等が生じ、更に配合する充填材によっては熱安定性が低下することもある。また、ポリアセタールコポリマーにおいては、共重合させるコモノマーを減らすことにより剛性等が向上することが知られているが、この方法による剛性向上は十分なものではなく、一方、コモノマー量の減少によるポリマーの熱安定性の低下やこれに伴う流動性、成形性等への悪影響が生じる。
【0005】
このような実情に鑑み、本発明者は、ポリアセタール樹脂のポリマー骨格自身の変性による剛性、クリープ特性等の改善に着目して検討を行い、その改善法を提案してきた(例えば、特開2000−38429公報、特開2000−95829号公報、特開2000−95830号公報、特願平11−352249号、特願平11−352101号等)。これらの方法によれば、ポリアセタール樹脂が本来有する優れた流動性、成形性、摺動性等を維持しつつ、耐衝撃性、剛性、耐クリープ特性等を向上させることができる。
【0006】
上記の方法により得られるポリアセタール共重合体は、熱安定性の面でも基本的には良好なものであるが、その後の更なる検討の結果、その製造上、重合工程、末端安定化工程或いは安定剤等の配合物との溶融混練工程等の操作が不安定となったり、得られる共重合体の熱安定性が劣るものになる場合があり、その原因の解明と改善は、これらの方法によるポリアセタール共重合体を実用化する上での重要な課題であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた耐衝撃性、剛性、耐クリープ特性等を有し、流動性、成形性、摺動性、熱安定性等も兼備したポリアセタール共重合体と、その安定な製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、ポリアセタール重合体のポリマー骨格に分岐・架橋構造を形成させるために用いるグリシジル化合物中に含まれる含有水酸基量が課題解決の鍵を握る要因であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、(A) トリオキサン100 重量部、(B) トリオキサンと共重合可能な環状エーテル化合物0.05〜20重量部及び(C) グリシジル化合物0.001 〜5重量部を共重合してポリアセタール共重合体を製造するにあたり、含有水酸基量が5 mol/kg以下であるグリシジル化合物(C) を用いることを特徴とするポリアセタール共重合体の製造方法、及びこれによって得られるポリアセタール共重合体に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリアセタール共重合体とその製造方法について詳細に説明する。先ず、本発明において用いられるトリオキサン(A) とは、ホルムアルデヒドの環状三量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルムアルデヒド水溶液を反応させることによって得られ、これを蒸留等の方法で精製して用いられる。重合に用いるトリオキサン(A) は、水、メタノール、蟻酸などの不純物を極力含まないものが好ましい。
【0011】
次に、本発明のポリアセタール共重合体におけるトリオキサンと共重合可能な環状エーテル化合物(B) としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3,3 −ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3 −ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4 −ブタンジオールホルマール、1,5 −ペンタンジオールホルマール、1,6 −ヘキサンジオールホルマール等が挙げられ、中でもエチレンオキシド、1,3 −ジオキソランが好ましい。
【0012】
本発明において、環状エーテル化合物(B) の共重合量は、(A) 成分のトリオキサン100 重量部に対して0.05〜20重量部であり、好ましくは0.1 〜15重量部、特に好ましくは0.3 〜10重量部である。環状エーテル化合物(B) の共重合割合が過少では、重合反応が不安定になると共に、生成するポリアセタール共重合体の熱安定性が劣るものとなり、逆に環状エーテル化合物(B) の共重合割合が過大になると、強度、剛性等の機械的物性が低下する。
【0013】
次に、本発明のポリアセタール共重合体における(C) 成分のグリシジル化合物とは、分子中にグリシジル基を1個以上有する有機化合物を総称したものであり、トリオキサンとの共重合によりポリマー骨格に分岐又は架橋構造を形成し得る構造を有するものである。この点で、上記環状エーテル化合物(B) とは区別される。
【0014】
このようなグリシジル化合物(C) の例としては、グリシドール、脂肪族アルコール又は芳香族アルコール或いはこれらの(ポリ)アルキレングリコール付加物とグリシドールとからなるグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸或いはこれらの(ポリ)アルキレングリコール付加物とグリシドールとからなるグリシジルエステルが代表例として挙げられ、グリシジル基を1個有する単官能グリシジル化合物、グリシジル基を2個以上有する多官能グリシジル化合物の何れもが使用できる。好ましくはグリシジル基を2個以上有する化合物であり、特に好ましくはグリシジル基を3個以上有する化合物である。
【0015】
単官能グリシジル化合物の具体例としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、n−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル、グリシジルアセテート、グリシジルステアレート等のグリシジルエステルが挙げられる。
【0016】
また、グリシジル基を2個以上有する多官能グリシジル化合物としては、ジグリシジルエーテル化合物、トリグリシジルエーテル化合物及びテトラグリシジルエーテル化合物が好ましい化合物として挙げられる。グリシジル基を2個以上有する多官能グリシジル化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4 −ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0017】
(C) 成分のグリシジル化合物の共重合量は、(A) 成分のトリオキサン100 重量部に対して0.001 〜5重量部であり、好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.1 〜3重量部である。(C) 成分の共重合量がこれより過少では、剛性、耐衝撃性の改善効果が得られず、逆に過大になると流動性低下による成形性不良の問題等が生じ、更には得られる共重合体の結晶性の低下により強度、剛性等の機械的物性が低下する場合がある。
【0018】
また本発明においては、(C) グリシジル化合物として、分子量が100 〜1000のものを用いるのが好ましい。(C) グリシジル化合物の分子量が大きすぎると、その共重合によって生じるポリアセタール共重合体の分岐鎖・架橋鎖が長くなり、樹脂の結晶性等を乱してその基本的性質を損ねたり、本発明の目的である衝撃特性等に対しても好ましくない影響を生じるおそれがある。逆に、(C) 成分の分子量が小さすぎると、衝撃特性等に対する効果が極めて小さいものとなる。
【0019】
本発明は、かかるグリシジル化合物(C) として、含有水酸基量が5 mol/kg以下のものを用いることを特徴とするものであり、これにより熱安定性に優れ、耐衝撃性等を兼備したポリアセタール共重合体を安定して製造することが可能になる。好ましくは含有水酸基量が3 mol/kg以下のものであり、特に好ましくは含有水酸基量が1 mol/kg以下のものである。含有水酸基量の下限については特に制約はないが、かかるグリシジル化合物(C) の製造における経済性の観点から、含有水酸基量は0.05 mol/kg以上であることが好ましい。使用するグリシジル化合物(C) の含有水酸基量が5 mol/kgを超えると、重合工程、末端安定化工程、安定剤等の配合による製品化工程等の操作が不安定なものとなり、また得られるポリアセタール共重合体の熱安定性も劣るものとなる場合が多い。
【0020】
本発明において(C) 成分として用いるグリシジルエーテル化合物は、一般的に水酸基含有化合物とエピクロルヒドリンとの反応により製造され、グリシジルエステル化合物は、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸或いはこれらの(ポリ)アルキレングリコール付加物とグリシドールとの反応により製造される。グリシジル化合物中の含有水酸基量は、グリシジル化合物原料の水酸基の未反応基および反応副生成物中の水酸基に由来する。経済性を考慮し汎用的に入手可能なグリシジル化合物中には、このような水酸基化合物が含まれており、これに由来する水酸基濃度を本発明においては含有水酸基量と称している。
【0021】
グリシジル化合物(C) に含有される水酸基量の測定法として、本発明においてはジメチルホルムアミド溶液にグリシジル化合物を溶解し、フェニルイソシアネートトルエン溶液とカプリル酸スズ触媒溶液を加え、加熱反応させた後、ジブチルアミントルエン溶液を加え、過剰のフェニルイソシアネートと反応させる、過塩素酸メチルセロソルブ溶液で滴定する方法を採用した。上記の数値規定は、この方法で測定される水酸基量によるものである。
【0022】
上記の水酸基量を満足するグリシジル化合物(C) を得る方法としては、例えば汎用的であり入手したグリシジル化合物の水酸基量が規定を超える場合、これを蒸留して規定を満足する留分を分取する方法が挙げられる。
【0023】
本発明のポリアセタール共重合体は、基本的にはトリオキサン(A) 、環状エーテル化合物(B) 及び特定性状のグリシジル化合物(C) を、必要に応じて適量の分子量調整剤を添加して、カチオン重合触媒を用いて塊状重合を行う等の方法で得られる。
【0024】
本発明において、より熱安定性に優れ、剛性、耐衝撃性等にも優れたポリアセタール共重合体とするためには、ポリアセタール共重合体の分子鎖中において環状エーテル化合物(B) 及びグリシジル化合物(C) に由来する構成単位が均一に分散していることが望ましく、このためには、重合によるポリアセタール共重合体の製造に際して、環状エーテル化合物(B) 及び触媒を均一混合しておき、これを別途あらかじめ均一混合しておいたグリシジル化合物(C) とトリオキサン(A) の均一混合液に添加して重合機に供給し重合させる方法が有効である。あらかじめ混合し均一溶液状態としておくことでグリシジル化合物に由来する分岐構造の分散状態が良好となり、耐衝撃性等の特性が向上するだけでなく、熱安定性も優れたものとなる。
【0025】
前記の如き構成成分からなる本発明のポリアセタール共重合体を製造するにあたり、重合装置は特に限定されるものではなく、公知の装置が使用され、バッチ式、連続式等、いずれの方法も可能である。また、重合温度は65〜135 ℃に保つことが好ましい。重合後の失活は、重合反応後、重合機より排出される反応生成物、あるいは、重合機中の反応生成物に塩基性化合物又はその水溶液等を加えて行う。
【0026】
本発明に使用するカチオン重合触媒としては、四塩化鉛、四塩化スズ、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三塩化バナジウム、三塩化アンチモン、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物、過塩素酸、アセチルパークロレート、t−ブチルパークロレート、ヒドロキシ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の無機及び有機酸、トリエチルオキソニウムテトラフロロボレート、トリフェニルメチルヘキサフロロアンチモネート、アリルジアゾニウムヘキサフロロホスフェート、アリルジアゾニウムテトラフロロボレート等の複合塩化合物、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド等のアルキル金属塩、ヘテロポリ酸、イソポリ酸等が挙げられる。その中でも特に三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物が好ましい。これらの触媒は有機溶剤等で予め希釈して用いることもできる。
【0027】
また、本発明のポリアセタール共重合体においては、上記成分の他に、分岐又は架橋構造を形成しうる化学成分を併用することも可能である。分岐又は架橋構造を形成しうる成分としては、例えば、グリセリン及びその誘導体、ペンタエリスリトール及びその誘導体等が挙げられる。
【0028】
本発明に使用する分子量調整剤としてはメチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテル等のアルコキシ基を有する低分子量アセタール化合物、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エステル化合物などが例示される。その中でも、アルコキシ基を有する低分子量アセタール化合物が特に好ましい。また、これらの分子量調整剤の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何ら限定されるものではない。
【0029】
また、重合触媒を中和し失活するための塩基性化合物としては、アンモニア、或いは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン等のアミン類、或いは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物塩類、その他公知の触媒失活剤が用いられる。また、重合反応後、生成物にこれらの水溶液を速やかに加え、失活させることが好ましい。かかる重合方法および失活方法の後、必要に応じて更に、洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を従来公知の方法にて行う。
【0030】
更に、不安定末端部の分解除去又は安定物質による不安定末端の封止等、必要に応じて公知の方法で安定化処理を行い、必要な各種安定剤を配合する。ここで用いられる安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、カルボン酸塩等のいずれか1種または2種以上を挙げることができる。更に、本発明を阻害しない限り、必要に応じて、熱可塑性樹脂に対する一般的な添加剤、例えば染料、顔料等の着色剤、滑剤、核剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、或いは、有機高分子材料、無機または有機の繊維状、粉体状、板状の充填剤等を1種または2種以上添加することができる。
【0031】
本発明のポリアセタール共重合体の重合度等については特に制約はなく、その使用目的や成形手段に応じた重合度等の調整が可能であるが、成形用に供する場合、温度 190℃、荷重2.06kgにおいて測定されるメルトインデックス(MI)が1〜100 g/10分であることが好ましく、特に好ましくは2〜90g/10分である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の方法により、熱安定性に優れ、剛性、耐衝撃性等を兼備したポリアセタール共重合体を得ることができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
尚、実施例における特性評価項目及びその測定方法は以下の通りである。
[水酸基量]
グリシジル化合物1gをジメチルホルムアミド25mlに溶解し、1Mフェニルイソシアネートトルエン溶液20mlとカプリル酸スズ触媒溶液1mlを加え撹拌混合し反応させ、反応後2Mジブチルアミントルエン溶液20mlを加え混合し15分間放置して過剰のフェニルイソシアネートを反応させ、次にメチルセロソルブ100 mlとブロムクレゾールグリーン指示薬0.5 mlとを加え、過剰のアミンを評定済の0.5 N過塩素酸メチルセロソルブ溶液で滴定し、水酸基量を算出した。
[メルトインデックス(MI)]
失活処理後の重合体(粉粒状)について、 190℃、荷重2.06kgで測定したメルトインデックス(g/10分)を示す。即ち、メルトインデックスが低いほど分子量が大きい。但し、測定時の分解を防ぐため、一定の安定剤(チバガイギー社製イルガノツクス1010(0.5 重量%)及びメラミン(0.1 重量%))を添加し、よく混合して測定した。
[アルカリ分解率(不安定末端の存在量)]
失活処理した粗重合体粉末の1gを0.5 %のアンモニアを含む50%メタノール水溶液100 mlに入れ、密閉容器中で180 ℃、45分間加熱した後、液中に分解溶出したホルムアルデヒドの量を定量分析し、重合物に対する重量%で示した。
[耐衝撃性]
東芝成形機IS80にて、シリンダー温度190 ℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、ISO法に準拠してシャルピー衝撃試験を行った。尚、評価はノッチ付きについて行った。
[引張強度]
射出成形機を用いてダンベル型試験片を成形し、ISO法に準じて測定を行った。
[曲げ弾性率]
射出成形機を用いてダンベル型試験片を成形し、ISO法に準じて測定を行った。
[ロックウエル硬度測定]
射出成形機を用いて試験片を成形し、ロックウェル硬度Mスケールを測定した。
実施例1〜14
外側に熱(冷)媒を通すジャケットが付き、断面が2つの円が一部重なる形状を有するバレルと、パドル付き回転軸で構成される連続式混合反応機を用い、パドルを付した2本の回転軸をそれぞれ150rpmで回転させながら、トリオキサン(A) 、環状エーテル化合物(B) 、グリシジル化合物(C) を表1に示す割合で加え、更に分子量調整剤としてメチラールを連続的に供給し、触媒の三フッ化ホウ素ガスをトリオキサンに対して三フッ化ホウ素換算で0.005 重量%となる様に混合した均一混合物を連続的に添加供給し塊状重合を行った。重合機から排出された反応生成物は速やかに破砕機に通しながら、トリエチルアミンを0.05重量%含有する60℃の水溶液に加え触媒を失活した。さらに、分離、洗浄、乾燥後、粗ポリアセタール共重合体を得た。
【0035】
次いで、この粗ポリアセタール共重合体100 重量部に対して、トリエチルアミン5重量%水溶液を4重量%、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5 −ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を0.3 重量%添加し、2軸押出機にて210 ℃で溶融混練し不安定部分を除去した。得られたポリアセタール共重合体は、ヘキサフルオロイソプロパノールd2を溶媒とする 1H−NMR測定により、その構造及び共重合組成を確認した。
【0036】
上記の方法で得た分岐又は架橋ポリアセタール共重合体100 重量部に、更に安定剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5 −ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を0.03重量部およびメラミン0.15重量部を添加し、2軸押出機にて 210℃で溶融混練し、ペレット状の分岐ポリアセタール共重合体を得た。前述方法で評価した結果を表1に示す。
比較例1〜7
表2に示すように、グリシジル化合物(C) を使用せずに調製した分岐又は架橋構造を持たないポリアセタール共重合体、グリシジル化合物(C) の水酸基量、組成比が本発明規定外である場合等について、実施例と同様にしたペレット状ポリアセタール共重合体を得て評価した結果を表2に示す。
【0037】
尚、表1〜2で記載した各成分の略号は以下の意味を示す。
(B) 成分
DO;1,3 −ジオキソラン
EO;エチレンオキシド
(C) 成分
BGE;ブチルグリシジルエーテル
PPG−DGE11;ポリプロピレングリコール[-(CH2(CH3)CH2O)11-]ジグリシジルエーテル
PPG−DGE66;ポリプロピレングリコール[-(CH2(CH3)CH2O)66-]ジグリシジルエーテル
2EHGE;2−エチルヘキシルグリシジルエーテル
PGE;フェニルグリシジルエーテル
CGE;クレジルグリシジルエーテル
OPPG;o−フェニルフェノールグリシジルエーテル
BDGE;ブタンジオールジグリシジルエーテル
HDGE;1,6 −ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
TMPGE;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
GLG;グリセロールトリグリシジルエーテル
PETGE;ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
Claims (6)
- (A) トリオキサン100 重量部、(B) トリオキサンと共重合可能な環状エーテル化合物0.05〜20重量部及び(C) グリシジル化合物0.001 〜5重量部を共重合してポリアセタール共重合体を製造するにあたり、含有水酸基量が5 mol/kg以下であるグリシジル化合物(C) を用いることを特徴とするポリアセタール共重合体の製造方法。
- トリオキサンと共重合可能な環状エーテル化合物(B) が、エチレンオキシド又は1,3 −ジオキソランである請求項1記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- グリシジル化合物(C) が、100 〜1000の分子量を有するグリシジルエーテルもしくはグリシジルエステルからなる群から選ばれた化合物である請求項1又は2記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- グリシジル化合物(C) が、グリシジル基を2個以上有するものである請求項1〜3の何れか1項記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- グリシジル化合物(C) が、グリシジル基を3個以上有するものである請求項1〜3の何れか1項記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
- 請求項1〜5の何れか1項記載のポリアセタール共重合体の製造方法によって得られるポリアセタール共重合体。
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