JP4467669B2 - 分岐ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛性が高く、低速変形時の靱性に優れ、更には表面硬度が高く摺動特性にも優れた分岐ポリアセタール樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール樹脂は、機械的特性、熱的特性、電気的特性、摺動性、成形性等において優れた特性を持っており、主に構造材料や機構部品等として電気機器、自動車部品、精密機械部品等に広く使用されている。しかし、ポリアセタール樹脂が利用される分野の拡大に伴い、要求特性はますます高度化、複合化、特殊化する傾向にある。そのような要求特性として、ポリアセタール樹脂が本来有する優れた摺動性、外観等を維持したまま、剛性や靱性の一層の向上、特に低速変形時での剛性と靱性の向上が要求される場合がある。
このような要求に対し、単に剛性を向上させるだけの目的であれば、ポリアセタール樹脂に繊維状フィラー等を充填する方法が一般的であるが、この方法では、繊維状フィラー等の充填による成形品の外観不良や摺動特性の低下等の問題、更には靱性低下の問題がある。
また、ポリアセタールコポリマーにおいては、共重合させるコモノマー量を減少することにより、摺動性や外観を実質的に損なうことなく剛性が向上することが知られている。しかしながら、コモノマー減量の手法においては、靱性が低下するのみならずポリマーの熱安定性も低下する等の問題が生じ、必ずしも要求に応え得るものではなかった。
このような従来技術に鑑みて、本発明者は、ポリアセタール樹脂が本来有する優れた諸特性を維持しつつ、剛性、靱性を向上させるためには、ポリアセタール樹脂のポリマー骨格自体の変性とかかるポリマーを基体とする樹脂組成物の設計が、課題解決の重要な鍵を握るものと推測した。
このようなポリアセタール樹脂のポリマー骨格自体の変性に関して、特開平3−170526号公報等には、トリオキサンとエチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキセパン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカンから選ばれた少なくとも1種の環状エーテル化合物、及びグリシジルフェニルエーテル、スチレンオキシド、グリシジルナフチルエーテルから選ばれた少なくとも一つの化合物を共重合した変性ポリアセタール共重合体が開示されている。しかしながら、この変性ポリアセタール共重合体は、結晶化速度増大による成形性の改善、特にハイリサイクル性を目的としたものであり、他の特性の改善については殆ど開示されていない。
本発明者らが検討したところ、上記の変性ポリアセタール共重合体でも剛性は向上するものの、その効果は必ずしも満足できるものではなく、しかも、この変性ポリアセタール共重合体だけでは靱性改善には繋がらないことが判明した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の如き課題を解決し、ポリアセタールが有する優れた外観、摺動性等の諸特性を維持しつつ剛性及び靱性を改善した樹脂材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために、ポリアセタール樹脂の分子骨格或いは樹脂物性にまで踏み込んで詳細な検討を行った結果、目的達成に有効なポリマー骨格の変性とかかるポリマーへの有効な配合成分を見出し、本発明を完成するに到った。
即ち本発明は、オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、下記一般式(I)で示される分岐単位を有する分岐ポリアセタール共重合体(A) 100重量部に、結晶核剤(B) 0.002〜5重量部を配合してなる分岐ポリアセタール樹脂組成物である。
【0005】
【化5】
Figure 0004467669
【0006】
(式中、m、nは各々0〜5の整数を表し、かつm+nは1〜5である。Rは分子量が40〜1000の1価の有機基を表す。)
このように、分岐単位の導入によって変性した分岐ポリアセタール共重合体に結晶核剤を配合することによって、剛性だけでなく靱性までもが向上することは、全く予期せぬ驚くべきことであった。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明において基体樹脂として用いる分岐ポリアセタール共重合体(A)は、オキシメチレン基(-CH2-O-)を主たるくり返し単位とし、下記一般式(I)で示される分岐単位を有するものであり、かかる分岐単位の存在は、本発明の目的を達成するための重要な要素の1つである。分岐単位を有しない通常のポリアセタール樹脂を用いたのでは、後述する結晶核剤(B)を配合しても本発明の目的を達成することはできない。
【0008】
【化6】
Figure 0004467669
【0009】
(m,nは各々0〜5の整数を表し、かつm+nは1〜5である。Rは分子量が40〜1000の1価の有機基を表す。)
一般式(I)で示される分岐単位において、分岐基であるRは分子量が40〜1000の1価の有機基である。Rの分子量が40未満では剛性向上は期待できず、分子量が1000を超えると結晶化度低下の問題がある。好ましくは、Rの分子量は50〜500 である。また、Rを形成する1価の有機基としては芳香環を有するものが好ましく、剛性向上に対して顕著な効果がある。
また、剛性及び靱性の向上と他の諸物性の維持の観点から、一般式(I)で示される分岐単位はポリマー骨格中にランダムに存在するのが好ましく、その割合は、オキシメチレン単位(-CH2O-) 100重量部に対して 0.001〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.01〜3重量部である。
【0010】
本発明において用いられる分岐ポリアセタール共重合体(A)は、その製造方法を特に限定されるものではないが、トリオキサン(a) 100重量部、単官能グリシジル化合物(b−1) 0.001〜10重量部及びトリオキサンと共重合可能な環状エーテル化合物(c)0〜20重量部を共重合して得られたものが好ましく、かかるモノマー成分からなる分岐ポリアセタール共重合体(A)は製造が容易で、得られた共重合体の性質が優れるという特徴を有する。
ここで用いられるトリオキサン(a)とは、ホルムアルデヒドの環状三量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルムアルデヒド水溶液を反応させることによって得られ、これを蒸留等の方法で精製して用いられる。重合に用いるトリオキサン(a)は、水、メタノール、蟻酸などの不純物を極力含まないものが好ましい。
次に、単官能グリシジル化合物(b−1)とは、分子中にグリシジル基を1個有する有機化合物を総称したものであり、例えば、グリシドール、脂肪族アルコール又は芳香族アルコール或いはこれらの(ポリ)アルキレングリコール付加物とグリシドールとからなるグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸或いはこれらの(ポリ)アルキレングリコール付加物とグリシドールとからなるグリシジルエステルが代表例として挙げられる。かかる単官能グリシジル化合物(b−1)は、本発明において使用する分岐ポリアセタール共重合体(A)の分岐構成成分として用いられる。
単官能グリシジル化合物(b−1)としては、前記一般式(II)、(III) 及び(IV)で示されるグリシジルエーテル化合物が好ましく、具体例としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、 sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、n−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、脂肪族アルコール又は芳香族アルコールの(ポリ)エチレングリコール付加物とグリシドールとからなるグリシジルエーテル等が挙げられる。また、グリシジルエステル化合物の具体例としては、グリシジルアセテート、グリシジルステアレート等が挙げられる。このような単官能グリシジル化合物の中で、好ましいのは、芳香環を有するものである。
中でも、前記一般式(II)及び(III) であって、オルト位に置換基R1又はR3を有するものが好ましい。かかる置換基としては、炭素数4以上のものが好ましく、特に好ましくは芳香環を有するものである。具体例としては、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明で使用する分岐ポリアセタール共重合体(A)の製造にあたり、単官能グリシジル化合物(b−1)の共重合量は、(a)成分のトリオキサン 100重量部に対して 0.001〜10重量部であり、好ましくは0.01〜10重量部、特に好ましくは 0.1〜5重量部である。(b−1)成分の共重合量がこれより過少では、本発明の主たる目的である物性の改善効果が得られず、逆に過大になると結晶性の低下による強度、剛性等の低下の問題、流動性低下による成形性の問題が生じるおそれがある。
また、単官能グリシジル化合物(b−1)として、分子量が 100〜1000のものを用いるのが好ましい。単官能グリシジル化合物(b−1)の分子量が大き過ぎると、その共重合によって生じる分岐ポリアセタール共重合体(A)の分岐鎖が長くなり、樹脂の結晶性等を乱してその基本的性質である摺動特性に対しても好ましくない影響が生じる恐れがある。逆に(b−1)成分の分子量が小さ過ぎると、本発明の目的である剛性向上と靱性向上に対する効果が極めて小さなものとなる。
【0011】
本発明において用いられる分岐ポリアセタール共重合体(A)は、さらにトリオキサンと共重合可能な環状エーテル化合物(c)を共重合成分として加え、共重合したものが好ましい。かかる環状エーテル化合物(c)は、本発明が目的とする剛性、靱性の改善のためには特に必須とするものではないが、分岐ポリアセタール共重合体(A)を製造する際の重合反応を安定化させると共に、生成した分岐ポリアセタール共重合体(A)の熱安定性を高めるためには、かかる環状エーテル化合物を共重合成分として用いるのが極めて有効である。
トリオキサンと共重合可能な環状エーテル化合物(c)としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。中でも、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。本発明で使用する分岐ポリアセタール共重合体(A)において、環状エーテル化合物(c)の共重合量は、(a)成分のトリオキサン 100重量部に対して0〜20重量部であり、好ましくは0.05〜15重量部、特に好ましくは 0.1〜10重量部である。環状エーテル化合物(c)の共重合割合が過少では、共重合反応が不安定になると共に、生成する分岐ポリアセタール共重合体の熱安定性が劣るものとなり、逆に環状エーテル化合物(c)の共重合割合が過大になると、本発明の目的特性の1つである剛性、強度等の機械的物性が低下し不十分なものになる。
【0012】
本発明において使用する分岐ポリアセタール共重合体(A)は、基本的には上記のトリオキサン(a)、単官能グリシジル化合物(b−1)及び環状エーテル化合物(c)を、必要に応じて適量の分子量調節剤を添加して、カチオン重合触媒を用いて塊状重合を行う等の方法で得られる。
分子量調整剤としては、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテル等のアルコキシ基を有する低分子量アセタール化合物、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エステル化合物などが例示される。その中でも、アルコキシ基を有する低分子量アセタール化合物が特に好ましい。また、これらの分子量調整剤の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何ら限定されるものではない。
【0013】
また、カチオン重合触媒としては、四塩化鉛、四塩化スズ、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三塩化バナジウム、三塩化アンチモン、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物、過塩素酸、アセチルパークロレート、t−ブチルパークロレート、ヒドロキシ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の無機及び有機酸、トリエチルオキソニウムテトラフロロボレート、トリフェニルメチルヘキサフロロアンチモネート、アリルジアゾニウムヘキサフロロホスフェート、アリルジアゾニウムテトラフロロボレート等の複合塩化合物、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド等のアルキル金属塩、ヘテロポリ酸、イソポリ酸等が挙げられる。その中でも特に三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物が好ましい。これらの触媒は有機溶剤等で予め希釈して用いることもできる。
【0014】
また、本発明で用いる分岐ポリアセタール共重合体(A)は、ポリアセタール共重合体の分子鎖中において単官能グリシジル化合物(b−1)及び環状エーテル化合物(c)に由来する構成単位が均一に分散していることが望ましく、このためには、重合によるポリアセタール共重合体(A)の製造に際して、あらかじめグリシジル化合物(b−1)、環状エーテル化合物(c)及び触媒を均一混合しておき、これを別途重合機に供給されるトリオキサン(a)の溶融物に添加して重合させる方法或いは前記均一混合物を更にトリオキサン(a)と混合した後、重合機に供給して重合する方法が有効である。特にグリシジル化合物(b−1)の反応速度は他の(a)、(c)成分のそれより遅い場合が多く、(b−1)成分と触媒を予め混合しておくことは極めて有効である。このように、予め混合し均一溶液状態としておくことでグリシジル化合物に由来する分岐構造の分散状態が良好となり、後述する結晶核剤による均一な結晶構造による靱性向上効果の優れたものになる。
【0015】
本発明で使用するポリアセタール共重合体(A)を製造するにあたり、重合装置は特に限定されるものではなく、公知の装置が使用され、バッチ式、連続式等、いずれの方法も可能である。また、重合温度は65〜 135℃に保つことが好ましい。重合後の失活は、重合反応後、重合機より排出される生成反応物、あるいは、重合機中の反応生成物に塩基性化合物、あるいは、その水溶液等を加えて行う。
【0016】
重合触媒を中和し失活するための塩基性化合物としては、アンモニア、或いは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン等のアミン類、或いは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物塩類、その他公知の触媒失活剤が用いられる。また、重合反応後、生成物にこれらの水溶液を速やかに加え、失活させることが好ましい。かかる重合方法及び失活方法の後、必要に応じて更に、洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を従来公知の方法にて行う。
【0017】
上記のようにして得られ、本発明で使用するポリアセタール共重合体(A)の重合度等については特に制約はなく、その使用目的や成形手段に応じた重合度等の調整が可能であるが、成形用に供する場合、温度 190℃、荷重2.06kgにおいて測定されるメルトインデックス(MI)が1〜 100g/10分であることが好ましく、特に好ましくは2〜90g/10分である。
【0018】
なお、上記のポリアセタール共重合体(A)の製法、モノマー構成において、単官能グリシジル化合物(b−1)に代えて分岐形成可能な環状ホルマール化合物(b−2)を用いることも可能であり、上記同様に、好ましいポリアセタール共重合体(A)が得られる。
【0019】
分岐形成可能な環状ホルマール化合物(b−2)としては、4−メチル−1,3−ジオキソラン、4−エチル−1,3−ジオキソラン、4−イソプロピルジオキソラン、4−フェニル−1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
【0020】
次に、本発明の特徴成分である結晶核剤(B)について説明する。
本発明の樹脂組成物は、上記の如き分岐ポリアセタール共重合体(A)に結晶核剤(B)を配合したことを特徴とする。単に分岐構造を導入して変性した分岐ポリアセタール共重合体だけでは、剛性は向上するもののその効果は必ずしも十分ではなく、しかも靱性については全く改善効果が期待できない。このような分岐ポリアセタール共重合体に結晶核剤(B)を配合することにより靱性が向上し、剛性と靱性を兼備した優れた樹脂組成物が得られることは全く予期せぬ驚くべきことであり、本発明者が鋭意検討した結果、初めて見出したものである。
【0021】
本発明で使用する結晶核剤(B)は均一な結晶構造を得るためのものであり、公知の有機核剤、無機核剤のいずれも使用する事が出来る。有機核剤としては、架橋構造を形成しうる化学成分を併用して重合した架橋ポリアセタール樹脂を代表とする。架橋構造を形成しうる成分としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン及びその誘導体、ペンタエリスリトール及びその誘導体等の多官能化合物が挙げられる。また、他の有機核剤としては、ベンジリデンソルビトール類化合物、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、フタル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの有機塩類、耐熱性の高分子、耐熱性高分子の架橋物などを使用することができる。
無機核剤としては、例えばZn粉末、Al粉末、グラファイト、カーボンブラックなどの単体や、ZnO 、MgO 、Al2O3 、TiO2、MnO2、SiO2、Fe3O4 などの金属酸化物、ボロンナイトライドなどの窒化物、Na2CO3、CaCO3 、MgCO3 、CaSO4 、CaSiO3、BaSO4 、Ca3(PO4)3 などの無機塩、シリカ、タルク、カオリン、クレー、白土などが挙げられる。特に好ましいものは架橋ポリアセタール樹脂、或いはタルク、CaCO3 、ボロンナイトライト、マイカ、珪酸塩等である。
本発明において、結晶核剤(B)の配合量は、分岐ポリアセタール共重合体(A) 100重量部に対して 0.002〜5重量部であれば十分であり、好ましくは0.02〜3重量部である。 0.002重量部より過小の場合は靱性効果が十分でない。
【0022】
本発明における分岐ポリアセタール共重合体(A)と結晶核剤(B)からなる樹脂組成物が優れた剛性と靱性を兼備する機構については定かでないが、ポリアセタール共重合体に分岐構造を導入したことによる分子の絡み合い効果、分岐構造による樹脂の結晶構造の乱れ・不均一性に伴う効果阻害要因及び結晶核剤の配合による結晶構造の均一化効果等がうまくバランスした結果として効果が生じているものと推測される。これは、分岐ポリアセタール共重合体(A)と結晶核剤(B)という選択的な組み合わせにより初めて生じる効果である。
【0023】
また、上記の如き本発明の樹脂組成物には、必要に応じて選択される各種の安定剤を配合するのが好ましい。安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、カルボン酸塩等のいずれか1種又は2種以上を挙げることができる。更に、本発明の樹脂組成物には、その目的・効果を阻害しない限り、必要に応じて、熱可塑性樹脂に対する一般的な添加剤、例えば染料、顔料等の着色剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、或いは、有機高分子材料、無機又は有機の繊維状、粉体状、板状の充填剤等を1種又は2種以上添加することができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、評価は次の方法で行った。
〔機械的特性〕
調製した樹脂組成物を用いて射出成形により試験片を作成し、ASTM D638 の方法に準拠し、変形速度5mm/min 及び50mm/min の条件で引張強度・伸度を測定した。
実施例1〜12
外側に熱(冷)媒を通すジャケットが付き、断面が2つの円が一部重なる形状を有するバレルと、パドル付き回転軸で構成される連続式混合反応機を用い、パドルを付した2本の回転軸をそれぞれ150rpmで回転させながら、トリオキサン(a)、単官能グリシジル化合物(b)、環状エーテル化合物(c)を表1に示す割合で加え、更に分子量調節剤としてメチラールを連続的に供給し、触媒の三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートのジブチルエーテル溶液をトリオキサンに対して三フッ化ホウ素換算で0.08重量%となる様に混合した均一混合物を連続的に添加供給し塊状重合を行った。重合機から排出された反応生成物は速やかに破砕機に通しながら、トリエチルアミンを0.05重量%含有する60℃の水溶液に加え触媒を失活した。さらに、分離、洗浄、乾燥後、粗ポリアセタール共重合体を得た。次いで、この粗ポリアセタール共重合体 100重量部に対して、トリエチルアミン5重量%水溶液を4重量%、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を 0.3重量%添加し、2軸押出機にて 210℃で溶融混練し不安定部分を除去した。得られたポリアセタール共重合体は、ヘキサフルオロイソプロパノールd2 を溶媒とする 1H−NMR測定により、その構造及び共重合組成を確認した。
上記の方法で得た分岐ポリアセタール共重合体100 重量部に、表1に示す結晶核剤を添加し、更に安定剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.03重量部及びメラミン0.15重量部を添加し、2軸押出機にて 210℃で溶融混練し、ペレット状の分岐ポリアセタール樹脂組成物を得た。
前述の方法で評価した評価結果を表1に示す。
【0025】
比較例1〜7
単官能グリシジル化合物(b)を使用せずに調製され分岐構造を持たないポリアセタール共重合体を基体樹脂とした場合、及び分岐ポリアセタール共重合体を用い結晶核剤を配合しなかった場合について、実施例と同様にしてペレット状の組成物を調製し評価した。
結果を表1に併記する。
【0026】
【表1】
Figure 0004467669
【0027】
b−1−1:ブチルグリシジルエーテル
b−1−2:2−エチルヘキシルグリシジルエーテル
b−1−3:フェニルグリシジルエーテル
b−1−4:o−フェニルフェノールグリシジルエーテル
b−1−5:グリシジルステアレート
c−1:1,3−ジオキソラン
c−2:エチレンオキシド
B1:架橋ポリアセタール樹脂(トリオキサン 100重量部/1,3−ジオキソラン3重量部/ブタンジオールジグリシジルエーテル 0.1重量部の共重合体)
B2:タルク
B3:炭酸カルシウム

Claims (3)

  1. オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、下記一般式(I)で示される分岐単位を有する分岐ポリアセタール共重合体(A)100重量部に、結晶核剤(B)0.002〜5重量部を配合してなる分岐ポリアセタール樹脂組成物であって、
    該分岐ポリアセタール共重合体(A)は、トリオキサン(a)100重量部、下記一般式(IV)で示されるグリシジルエーテル化合物から選ばれた単官能グリシジル化合物(b−1)0.001〜10重量部及びトリオキサンと共重合可能な環状エーテル化合物(c)0.1〜20重量部を共重合して得られたものであり、結晶核剤(B)は架橋ポリアセタール樹脂である分岐ポリアセタール樹脂組成物。
    Figure 0004467669
    (式中、m、nは、その何れか一方が1、他方が0を示す。−Rは、−CH−O−(R−O)−Rで示される分子量が40〜1000の1価の有機基であり、R4 は炭素数1〜30のアルキレン基、pは0〜20の整数を表し、R5は炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくはアルキニル基を示す。)
    Figure 0004467669
    (式中、R4 は炭素数1〜30のアルキレン基、pは0〜20の整数を表し、R5は炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくはアルキニル基を示す。)
  2. 単官能グリシジル化合物(b−1)が、100〜1000の分子量を有するグリシジルエーテル化合物である請求項1記載の分岐ポリアセタール樹脂組成物。
  3. トリオキサンと共重合可能な環状エーテル化合物(c)が、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール及び1,4−ブタンジオールホルマールから選ばれたものである請求項1又は2記載の分岐ポリアセタール樹脂組成物。
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