JP5197171B2 - 給電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車のスライドドア等に常時給電を行うべく、定荷重ばねを用いてワイヤハーネスの余長を吸収するようにした給電装置に関するものである。
図11(a)(b)は、従来の給電装置の一形態を示すものである(例えば特許文献1参照)。
この給電装置は、自動車のスライドドア41に縦置きに固定され、ワイヤハーネス43
を屈曲自在に収容する合成樹脂製のプロテクタ(ケース)50と、プロテクタ内でワイヤ
ハーネス43を上向きに付勢する金属製の板ばね44とを備え、プロテクタ50の垂直な
壁部53に沿って湾曲状の周壁54との間でワイヤハーネス43を板ばね44の力で持ち
上げてハーネス余長の吸収を行わせるものである。
ワイヤハーネス43は、プロテクタ50の長形の下部開口55から渡り空間46を経て
車両ボディ47のステップ部48の近傍のハーネス固定具60に車両前後方向揺動自在に
配索され、一方の電線部分43aがプロテクタ50の前部からスライドドア側に導出され
て、スライドドア側の電装品や補機等(図示せず)に常時給電を行う。
プロテクタ50はプロテクタベース51とプロテクタカバー52とで構成されている。
プロテクタベース51とプロテクタカバー52とはワイヤハーネス43や板ばね44を内
側に組み付けた後、相互に係止固定される。
板ばね44はワイヤハーネス43と共にプロテクタ50の前端下部側に固定され(固定
部を符号59で示す)、板ばね44の先端に合成樹脂製のキャップ49が固定され、キャ
ップ49でワイヤハーネス43を摺接自在に支持している。
このワイヤハーネス43は複数本の電線43aを合成樹脂製のコルゲートチューブ43
bで覆って構成され、コルゲートチューブ43bの前端下部がプロテクタ50にテープ巻
き等で固定されている。コルゲートチューブ43bは凹溝と凸条とを蛇腹状に交互に有し
て良好な屈曲性を発揮する。渡り空間46においてワイヤハーネス43の各電線43aが
コルゲートチューブ43bによって外部との干渉や水滴や塵等から安全に保護される。
図11(a)はスライドドア41の全閉状態、図11(b)は同じく全開間近の半開状態をそれぞれ示している。スライドドア41の全閉状態でワイヤハーネス43は後方へ引っ張られ、スライドドア41の全開状態でワイヤハーネス43は前方へ引っ張られ、特にスライドドア41の半開状態でワイヤハーネス43は下向きに弛もうとするが、板ばね44で上向きに付勢されて弛み(余長)が吸収され、垂れ下がりによる挟み込み等が防止される。
図12は、従来の給電装置の他の形態を示すものである(特許文献2参照)。
この給電装置61は、スライド量の大きな自動車のスライドドアやスライドシート(図
示せず)に常時給電を行うべく、細長のケース62と、ケース62の長形の第一のガイド
孔63に沿って進退するプーリ64と、ブロック部65を介してプーリ64を一方向に付
勢する長形の圧縮コイルばね66と、ケース62の長形の第二のガイド孔67に沿って進
退するスライダ68とを備え、ワイヤハーネス69の一方69aをケース62に固定しつ
つ外部に導出させ、ワイヤハーネス69の中間部をプーリ64に沿ってU字状に折り返し
、ワイヤハーネス69の他方69bをスライダ68から外部に導出させたものである。
例えば、給電装置61をスライドドアに縦置きに配置した場合、固定側のワイヤハーネ
ス69aがスライドドア側に配索され、スライダ側(可動側)のワイヤハーネス69bが
車両ボディ側に配索される。また、スライドシートに適用する場合は、給電装置61が車
両ボディのフロアに縦ないし横置きに配置され、固定側のワイヤハーネス69aが車両ボ
ディ側に配索され、スライダ側(可動側)のワイヤハーネス69bがスライドシート側に
配索される。
図12の給電装置と類似のもので、圧縮コイルばね66に代えて板ばねを波形状に屈曲させた圧縮ばねを用いた給電装置が特許文献3に記載されている。
特開2001−354085号公報(図4,図7) 特開2006−50841号公報(図2) 特開2006−320145号公報(図1)
しかしながら、上記従来の図11の給電装置42にあっては、例えば小型車両に適用する場合に、プロテクタ(ケース)50が大きなスペースを占めて、他の補機等のレイアウトの自由度が制限されたり、スライドドア41のスライドストロークが大きな場合(ハーネス余長が長い場合)にプロテクタ50が高さ方向に肥大化するという問題があった。
また、上記従来の図12の給電装置61やそれに類する給電装置にあっては、例えば比較的スライド量の小さなスライド構造体(スライドドアやスライドシート)に対応して、ケース62や圧縮ばね66を短めにした場合に、圧縮ばね66のストロークに伴うばね力の変化が大きくなるために、圧縮ばね66の伸縮の位置によっては、不必要に強いばね力が発生し、このばね力でワイヤハーネス69が強く押されて、ワイヤハーネス69の耐久性が低下し兼ねないという懸念があった。
また、この強いばね力がスライド構造体の負荷となり、スライド構造体の開閉操作力が
増加して、車両の商品価値が低下し兼ねないという懸念があった。また、これらの懸念を
解消するべく、圧縮ばね66のばね力の変化を小さくしようとすると、圧縮ばね66の全
長を長くせざるを得ず、この長い圧縮ばね66を収容するケース62が大型化して、車両
等への搭載が困難になるという問題を生じてしまう。
また、例えば上記図11や図12のばね44,66が万一破損した場合に、ばね44,66の切断部分がワイヤハーネス43の外装材である保護チューブ43b等を傷付け兼ねないという懸念があった。
本発明は、上記した点に鑑み、スライド構造体のスライド時における不必要に強いばね
力の発生をなくして、押圧される側のワイヤハーネスの耐久性を高めると共に、スライド
構造体の操作性を高め、加えて、構造を小型化することができ、あるいは必要に応じたば
ね力を容易に得ることができ、それに加えて、ばねの万一の破損時におけるワイヤハーネスの傷付きを防止することのできる給電装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る給電装置は、ケースの基板部の表面にハーネス支持部材が裏面を沿わせて進退自在に配置され、該ハーネス支持部材は一方の円弧状部と他方の矩形状部とを備え、円弧状部に沿ってワイヤハーネスが屈曲して配索され、該ワイヤハーネスの余長を吸収する方向に該ハーネス支持部材が定荷重ばねで付勢され、該矩形状部に定荷重ばね収納用の開口が基板部板厚方向に貫通して設けられ、該開口内に該定荷重ばねの巻き部が配置され、該巻き部の中心の軸部が該開口の側端部において支持され、該巻き部から繰り出された該定荷重ばねの伸長部が該定荷重ばね収納用の開口の裏側から該円弧状部の裏面を通過して一方へ伸び、該伸長部の先端が該ケースに固定されたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス支持部材が定荷重ばねの常に一定の力でワイヤハーネスを余
長吸収方向に押圧するから、従来の圧縮ばねの圧縮に伴う力の増大がなく、ワイヤハーネ
スが過大な力で押圧されることがなくなり、ワイヤハーネスの変形や傷み等が防止される
。また、例えばスライド構造体に給電装置を配置し、給電装置から固定構造体にワイヤハ
ーネスを配索し、スライド構造体をばね力に抗して閉じ方向にスライド操作する場合に、
ばね力が一定であるから、スライド構造体の閉じ操作性が良好である。これはスライド構造体の開き操作においても同様である。「定荷重ばね」とは、伸縮ストローク量に対して荷重変動が少ない(ほぼない)ばねのことである。また、定荷重ばねをハーネス支持部材と同様にケースの基板部に沿って配置したことで、構造が省スペース化される。これは特に定荷重ばねをハーネス支持部材の移動軌跡に沿って(内外問わず)配置した場合に顕著となる。
上記構成により、定荷重ばねが巻かれたことで繰り出し方向の一定のばね力を発揮し、
且つ巻取方向の一定の復元力を発揮する。定荷重ばねを配置したハーネス支持部材が定荷
重ばねの復元力で定荷重ばねの先端(固定側)に向けて引っ張られてケース内を移動しつ
つ、ワイヤハーネスの余長を吸収する。定荷重ばねは巻き部から繰り出した状態で省スペースに配索されるが、巻き部をハーネス支持部材の開口内に配設すれば、巻き部がハーネス支持部材内に吸収されて、ケース内の構造が一層省スペース化される。定荷重ばねの先端はケースに直接固定してもよく、プレート等の連結部材を介して固定してもよい。
請求項2に係る給電装置は、ケースの基板部の周囲に周壁と、ワイヤハーネスを導出させる開口とが設けられ、該基板部の表面にハーネス支持部材が裏面を沿わせて進退自在に配置され、該ハーネス支持部材の円弧面に沿ってワイヤハーネスが屈曲して配索され、該ワイヤハーネスの余長を吸収する方向に該ハーネス支持部材が定荷重ばねで付勢され、該定荷重ばねの巻き部が該ケースのハーネス収容空間とは分離して該円弧面に対向する方向のケース端部に配置され、該巻き部から繰り出された該定荷重ばねの伸長部が該基板部の裏面に沿って配置され、該伸長部に沿って該基板部にスリットが設けられ、該スリットに該ハーネス支持部材の脚部が移動自在に貫通し、該伸長部の先端が該基板部の裏面側において該脚部に連結固定されたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス支持部材が定荷重ばねの常に一定の力でワイヤハーネスを余長吸収方向に押圧するから、従来の圧縮ばねの圧縮に伴う力の増大がなく、ワイヤハーネスが過大な力で押圧されることがなくなり、ワイヤハーネスの変形や傷み等が防止される。また、例えばスライド構造体に給電装置を配置し、給電装置から固定構造体にワイヤハーネスを配索し、スライド構造体をばね力に抗して閉じ方向にスライド操作する場合に、ばね力が一定であるから、スライド構造体の閉じ操作性が良好である。これはスライド構造体の開き操作においても同様である。「定荷重ばね」とは、伸縮ストローク量に対して荷重変動が少ない(ほぼない)ばねのことである。また、定荷重ばねをハーネス支持部材と同様にケースの基板部に沿って配置したことで、構造が省スペース化される。これは特に定荷重ばねをハーネス支持部材の移動軌跡に沿って(内外問わず)配置した場合に顕著となる。
また、ケースの内側にワイヤハーネスが位置し、ケースの外側に定荷重ばねが位置し、定荷重ばねがワイヤハーネスから隔離されるから、万一、定荷重ばねが亀裂や破断等を生じても、ワイヤハーネスと何ら干渉することがなく、ワイヤハーネスの傷付きが防止される。
請求項に係る給電装置は、請求項1又は2記載の給電装置において、前記定荷重ばねが、帯状の鋼体を巻いたばねであることを特徴とする。
上記構成により、定荷重ばねが帯状に伸ばされてケース内に配置され、巻き戻し方向の
一定なばね力を発揮し、そのばね力でハーネス支持部材が移動してワイヤハーネスの余長
を吸収する。
請求項4に係る給電装置は、請求項1〜3の何れかに記載の給電装置において、前記定荷重ばねの前記伸長部が複数枚重ねて配索され、各定荷重ばねが別々に巻かれて、各巻き部が前記進退方向に並列に配置されたことを特徴とする。
上記構成により、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、例えば各定荷重ばねの幅とばね力を1/nにし、各定荷重ばねの数をnとすることで、定荷重ばねの幅と、定荷重ばねを配置するハーネス支持部材又はケースのばね収容部の幅とを略1/nにコンパクト化することができる。また、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を等しく設定した場合は、ハーネス支持部材又はケースのばね収容部の大きさはほぼそのままでばね力をn倍に高めることができる。
請求項に係る給電装置は、請求項1〜の何れかに記載の給電装置において、前記定荷重ばねが複数枚重ねて配索され、各定荷重ばねが一つに巻かれて配置されたことを特徴とする。
上記構成により、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力
を1/nにし、各定荷重ばねの数をnとすることで、定荷重ばねの幅と、定荷重ばねを配
置するハーネス支持部材又はケースのばね収容部の幅と長さ(進退方向の長さ)とを略1/nにコンパクト化することができる。また、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を等しく設定した場合は、ハーネス支持部材又はケースのばね収容部の大きさはほぼそのままでばね力をn倍に高めることができる。
請求項に係る給電装置は、請求項又は記載の給電装置において、請求項記載の定荷重ばねに較べて各定荷重ばねの幅とばね力がそれぞれ1/nで、各定荷重ばねの数がn倍であることを特徴とする。
上記構成により、請求項記載の発明においては、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を1/nにし、各定荷重ばねの数をnとすることで、定荷重ばねの幅と、定荷重ばねを配置するハーネス支持部材又はケースのばね収容部の幅とを略1/nにコンパクト化することができる。また、請求項記載の発明においては、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を1/nにし、各定荷重ばねの数をnとすることで、定荷重ばねの幅と、定荷重ばねを配置するハーネス支持部材又はケースのばね収容部の幅と長さ(進退方向の長さ)とを略1/nにコンパクト化することができる。
請求項1記載の発明によれば、ハーネス支持部材が定荷重ばねの一定の力でワイヤハー
ネスを余長吸収方向に押圧することで、従来の圧縮ばねの圧縮に伴うような力の増大がな
く、ワイヤハーネスが過大な力で押圧されることがなくなり、ワイヤハーネスの変形や傷
み等が防止されて、ワイヤハーネスの耐久性が向上し、スライドドア等への常時給電の信
頼性が高まる。また、例えばスライドドアに給電装置を配置し、給電装置から車両ボディ
にワイヤハーネスを配索し、スライドドアをばね力に抗して閉じ方向にスライド操作する
場合に、ばね力が一定であるから、スライドドアの閉じ操作性が向上し、車両の商品価値
が高まる。また、定荷重ばねとハーネス支持部材とがケースの基板部に沿って配置されたことで、構造が省スペース化・小型化される。
また、定荷重ばねを引き出した状態において、従来の圧縮コイルばねを用いた場合に較べて構造が小型化・省スペース化され、定荷重ばねを収容するケースの小型化が可能となり、例えばスライドドア内への給電装置の搭載が他の部品の配置を邪魔することなく、スムーズに行われる。この効果は、定荷重ばねをハーネス支持部材の内部に配置することで、一層顕著に発揮される。
請求項記載の発明によれば、ハーネス支持部材が定荷重ばねの一定の力でワイヤハーネスを余長吸収方向に押圧することで、従来の圧縮ばねの圧縮に伴うような力の増大がなく、ワイヤハーネスが過大な力で押圧されることがなくなり、ワイヤハーネスの変形や傷み等が防止されて、ワイヤハーネスの耐久性が向上し、スライドドア等への常時給電の信頼性が高まる。また、例えばスライドドアに給電装置を配置し、給電装置から車両ボディにワイヤハーネスを配索し、スライドドアをばね力に抗して閉じ方向にスライド操作する場合に、ばね力が一定であるから、スライドドアの閉じ操作性が向上し、車両の商品価値が高まる。また、定荷重ばねとハーネス支持部材とがケースの基板部に沿って配置されたことで、構造が省スペース化・小型化される。
また、万一、定荷重ばねが亀裂や破断を生じた場合でも、ワイヤハーネスと何ら干渉することがないので、ワイヤハーネスの傷付きが確実に防止され、ワイヤハーネスによる電気的接続に不具合を生じることが回避される。
請求項記載の発明によれば、定荷重ばねが帯状に伸ばされることで、ワイヤハーネスの余長を吸収するための十分なばね力を発揮し、余長吸収を確実に行わせる。また、定荷重ばねが薄く帯状に伸ばされることで、従来の圧縮コイルばねに較べて小型化・省スペース化される。
請求項記載の発明によれば、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を1/nにし、各定荷重ばねの数をnとすることで、定荷重ばねの幅と、定荷重ばねを配置するハーネス支持部材又はケースのばね収容部の幅とを略1/nにコンパクト化することができる。これにより、ケースを含む給電装置のコンパクト化を図ることができる。また、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を等しく設定した場合は、ハーネス支持部材又はケースのばね収容部の大きさはほぼそのままでばね力をn倍に高めることができる。
請求項記載の発明によれば、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を1/nにし、各定荷重ばねの数をnとすることで、定荷重ばねの幅と、定荷重ばねを配置するハーネス支持部材又はケースのばね収容部の幅と長さ(進退方向の長さ)とを略1/nにコンパクト化することができる。これにより、ケースを含む給電装置の一層のコンパクト化を図ることができる。また、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を等しく設定した場合は、ハーネス支持部材又はケースのばね収容部の大きさはほぼそのままでばね力をn倍に高めることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明においては、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を1/nにし、各定荷重ばねの数をnとすることで、定荷重ばねの幅と、定荷重ばねを配置するハーネス支持部材又はケースのばね収容部の幅とを略1/nにコンパクト化することができる。これにより、ケースを含む給電装置のコンパクト化を図ることができる。また、請求項記載の発明においては、一枚の定荷重ばねを用いる場合に較べて、各定荷重ばねの幅とばね力を1/nにし、各定荷重ばねの数をnとすることで、定荷重ばねの幅と、定荷重ばねを配置するハーネス支持部材又はケースのばね収容部の幅と長さ(進退方向の長さ)とを略1/nにコンパクト化することができる。これにより、ケースを含む給電装置の一層のコンパクト化を図ることができる。
図1〜図2は、本発明に係る給電装置の一実施形態を示すものである。
この給電装置1は、ワイヤハーネス2を屈曲及び揺動自在に収容する合成樹脂製のケー
ス3と、ワイヤハーネス2を沿わせる円弧面7を有して、ケース3内に水平方向進退自在
に配置されたハーネス支持部材6と、ハーネス支持部材6を一方向(ハーネス余長吸収方
向)に付勢する定荷重ばね22とを備えるものである。
ケース3は、ベース部4とカバー部5(鎖線で示す)とで構成され、ベース部4とカバー部5とは係止手段(図示せず)で相互に固定され、ベース部4とカバー部5とで囲まれたハーネス収容空間34を有している。ベース部4がブラケット11等で自動車のスライドドアのドアインナパネル12に固定され、カバー部5の下端部は車室側に向けて湾曲し、その湾曲部13の内側においてベース部4との間に横長(長形)の下部開口14が設けられ、下部開口14からワイヤハーネス2が車両ボディ側のハーネス固定具15に向けて前後方向揺動自在に導出されている。
ベース部4の垂直な基板部16の高さ方向中央に水平方向のガイドレールとしての幅広のガイド溝17が設けられ、ガイド溝17にハーネス支持部材6のスライド部(スライダ)18がスライド自在に係合している。ガイド溝17は基板部16の前端側から基板部16の長手方向中間部まで形成されている。例えばガイド溝17の上下端17aは凹状に窪んでおり、その凹状部(図示せず)にスライド部18の上下端がスライド自在に係合している。
スライド部18は例えば矩形平板状に形成され、ガイド溝17の前端17bからガイド
溝17内に進入係合している。スライド部18の上下端にスライド用の薄型の滑車等(図
示せず)を設けることも可能である。スライド部18はハーネス支持部材6の裏面側に一
体又は別体に突設され、ハーネス支持部材6の裏面はベース部4の基板部16に摺接自在となっている。
ハーネス支持部材6はワイヤハーネス2のコルゲートチューブ19と同程度の厚みの板
状のものであり、ハーネス支持部材6の前端側に円弧面7が半円状に形成され、円弧面7
の上端はハーネス支持部材6の上側の水平な真直面8に続き、円弧面7の下端はハーネス
支持部材6の下側の上向き(後上がり)の傾斜面9に続き、真直面8と傾斜面9とは後端側で交差している。
ハーネス支持部材6の上側の真直面8はワイヤハーネス2の上側部分19aを水平に沿
わせるものであり、ワイヤハーネス2の上側部分19aは、ケース3の例えば後端側の狭
い開口(図示せず)にテープやバンド等の固定手段で固定されてドアインナパネル12に
沿って配索されて、スライドドア側の補機等(図示せず)にコネクタ接続される。
図1の如く、ハーネス支持部材6の前側の円弧面7に沿ってワイヤハーネス2が略U字
状に折り返し屈曲され、固定側の上側のワイヤハーネス部分19aがハーネス屈曲部19
bを経て下側のワイヤハーネス部分19cに続き、図1〜図2の如く、下側のワイヤハー
ネス部分19cが車両ボディ側のハーネス固定具15との間でケース3の下部開口14に
沿って前後に揺動自在となっている。ワイヤハーネス部分はハーネス固定具15を経て車
両ボディ側のワイヤハーネス(図示せず)にコネクタ接続される。ハーネス支持部材6の
下側の傾斜面9はケース3の後端下部の上向き(後上がり)の傾斜形状20に沿ったものである。
ハーネス支持部材6の前半部に矩形状の開口(孔部)21が板厚方向に貫通して設けら
れ、開口21内に定荷重ばねユニット10が配設され、ばねユニット10において定荷重ばね22の巻き部22bから前向きに繰り出された帯状の真直部(伸長部)22aがガイド溝17の底面(ベース部4の基板部16の内面)に沿って配置され、真直部22aの板厚方向は基板部16の板厚方向に一致し(真直部22aの板幅方向は垂直であり)、真直部22aの先端(一端)22a’がガイド溝17の前端側17bで底面(符号17で代用)にねじ止めや引っ掛けフック等の固定手段(図示せず)で固定され、真直部22aがハーネス支持部材6の移動軌跡に沿って配索されている。本実施形態の定荷重ばね22は、帯状の鋼体を巻いたばね(所謂渦巻きばね)である。「定荷重ばね」とは、伸縮ストロークに対して荷重変動の少ない(ほぼない)ばねであると定義される。「ハーネス支持部材」を「ハーネスガイド部材」と呼称することも可能である。
図3にばねユニット10の一形態を示す如く、このばねユニット10は、合成樹脂製の
糸巻き状のリール23と、リール23に巻かれた金属製の定荷重ばね22とで構成され、
リール23は上下の円板23aと、上下の円板23aを連結する垂直な中心の軸部(図示
せず)とで構成されている。
定荷重ばね22の基端(他端)はリール23の軸部に固定され、定荷重ばね22の巻き部22bは軸部の周囲に渦巻き状に巻かれている。定荷重ばね22は自らの弾性力で渦巻き状に復元する性質をもっている。弾性力に抗して定荷重ばね22がリール23から帯状に長く引き出されて真直部22aを構成する。
図3で実線は定荷重ばね22を長く引き出した状態、鎖線は定荷重ばね22を短く引き
出した状態をそれぞれ示している。定荷重ばね22は引き出し長さによって弾性力が一定
(正確にはほぼ一定)であり、実線の如く長く引き出した状態でも、鎖線の如く短く引き
出した状態でも、復元力(又は引き出し力)が常に一定(正確にはほぼ一定)である。定荷重ばね22は自らのばね力でリール収容状態に復元する。
図1の如く、リール23の中心の軸部(図示せず)と一体又は別体に上下の垂直な軸部分24が上下の円板23から同軸に突出形成され、上下の軸部分24がハーネス支持部材10の開口21内の上下の水平な内壁21a(図2)に回動自在に支持されている。例えばハーネス支持部材6の垂直な正面壁25において開口21に続いて上下の軸受溝(図示せず)が設けられ、軸受溝に軸部分24を挿入した状態で溝蓋(図示せず)を閉じて軸部分24を軸受溝内に回動自在に保持する。
ばねユニット10のリール23がハーネス支持部材6の厚みよりも大径に形成された場
合は、ハーネス支持部材6の開口21からプロテクタ3のカバー部5側に向けて径方向
に少し突出してもよい。プロテクタ3のベース部4側においてばねユニット10のリー
ル23(図3)の外周面はガイド溝17内に位置してもよい。開口21の後側にスライド
部18が配置されている。スライド部18の前方で定荷重ばね22が伸ばされた状態でガ
イド溝17内に位置するから、定荷重ばね22の厚みが吸収されて構造が薄型化されると
共に、ハーネス支持部材6やそのスライド部18の摺動が何ら妨げられることなくスムー
ズに行われる。
本例においてワイヤハーネス2は、複数本の絶縁被覆電線(図示せず)を断面縦長の長
円形又は断面円形のコルゲートチューブ19で覆って構成されている。ハーネス保護チュ
ーブとして、コルゲートチューブ19に代えて網状チューブ等(図示せず)を用いたり、
保護チューブを用いずに複数本の電線を部分的に結束して用いることも可能である。
以下に、図1〜図3を用いて給電装置1の作用を説明する。
図1は、車両の左側のスライドドアを前方にスライドさせて全閉にした状態を示すもの
であり、ハーネス支持部材6はガイド溝17の後端側に位置し、定荷重ばね22は帯状に
長く伸長している。ワイヤハーネス2はハーネス支持部材6の前端側の円弧面7に沿って
折り返されて車両ボディ側のハーネス固定具15に向けて弛みなく真直に伸びている。
図1のスライドドアの全閉状態からスライドドアを後方にスライドさせて開くに伴って
、スライドドアの半開時に、図4の如く(実際には図4の状態になることはなく、図4は
説明のためのものである)、ワイヤハーネス2が大きく垂れ下がろうとするが、定荷重ば
ね22が伸びた状態から渦巻き状に復元しようとする力で、図2の如くハーネス支持部材
6がガイド溝17に沿って前方にスライド移動しつつ、ワイヤハーネス2を前端側の円弧
面7に沿って持ち上げることで、垂れ下がりが防止(吸収)される。図1の状態は、ケー
ス3に対してハーネス支持部材6を引張ばね(22)で前方に引っ張っている状態と見る
ことができる。
スライドドアの半開時に、ハーネス支持部材6はガイド溝17の長手方向のほぼ中間に
位置し(車両ボディ側のハーネス固定具15と最短の距離に位置し)、スライドドアが開
き方向に移動してもハーネス支持部材6の位置は定荷重ばね22の付勢力でほぼ一定に維
持されつつ、スライドドアの開き動作でハーネス余長が吸収される。このため、余長吸収
のためのばね力はほぼ一定でよく、定荷重ばね22の使用が好適となる。これは、スライ
ドドアを全開から全閉に移動させる場合においても同様である。
図2はスライドドアの全開状態(ないし全開間近の状態)を示し、ハーネス支持部材6
はガイド溝17の前端側に位置し、定荷重ばね22はリール23にほぼ巻き取られて短く
前方に突出している。定荷重ばね22の巻き取り動作は自らの復元力で自然に行われる。
定荷重ばね22は前端22a’をケース3に固定されているので、ワイヤハーネス2の自重に抗してハーネス支持部材6を前進させる力(弾性力)を有している。
図1のスライドドアの全閉状態から図2のスライドドアの全開状態に至るまでの間で、
定荷重ばね22の弾性力は一定であるから、スライドドアの開き操作力はほぼ一定で良好
な開き操作性が発揮される。自動で開く場合はドア駆動モータ(図示せず)の力が少なく
て済み、ドア駆動モータの小型化が可能となる。また、図1〜図2の間でハーネス支持部
材6の円弧面7が一定の力でワイヤハーネス2の屈曲部分19bを前方に押すから、ワイ
ヤハーネス2に過大な押し力が作用せず、ワイヤハーネス2の変形や傷みが防止される。
同様に、図2のスライドドアの全開状態から図1のスライドドアの全閉状態に至るまで
の間で、定荷重ばね22の弾性力は一定であるから、スライドドアの閉じ操作力はほぼ一
定で良好な閉じ操作性が発揮される。自動で閉じる場合はドア駆動モータの力が少なくて
済み、ドア駆動モータの小型化が可能となる。また、図2〜図1の間でワイヤハーネス2
の屈曲部分19bがハーネス支持部材6の前端側の円弧面7を一定の力で後向きに押すか
ら、ワイヤハーネス2に過大な押し力が作用せず、ワイヤハーネス2の変形や傷みが防止
される。
なお、上記実施形態においては、ばねユニット10にリール23(図3)を用いたが、
リール23を用いずにケース3内に定荷重ばね22を渦巻き状に収容することも可能であ
る。また、リール23の円板部23aは排除して一本の軸部(24)を用い、軸部に定荷重ばね22の巻き部22bの基端を固定してもよい。
また、上記実施形態においては、帯状に伸びる定荷重ばね22を用いたが、定荷重ばね
として、例えば線状に伸びるコイル巻きばね等(図示せず)を用いることも可能である。
この場合、線状のばねは形状記憶性を有してリール23等の軸部の外周に自らの弾性で巻き取られる。
また、上記実施形態においては、ハーネス支持部材6として、略おむすび形状のものを
用いたが、ハーネス支持部材6の形状はこれに限るものではなく、例えば、円形のものや
、半円形のものや、前半が半円で後半が矩形状のもの等を用いることも可能である。円形
の場合は外周側の図示しないリング部分(ハーネス受け面)をプーリ状に回動自在とする
ことも可能である。
また、上記実施形態においては、自動車のスライドドアに適用した給電装置1として説
明したが、上記給電装置1を自動車以外の車両のスライドドアや、車両以外の装置等のス
ライドドア等に適用することも可能である。また、上記給電装置1をスライドドア以外に
例えば自動車のスライドシート(図示せず)に適用することも可能である。スライドドア
やスライドシートをスライド構造体と総称し、車両ボディや上記装置の本体等を固定構造
体と総称する。
給電装置1をスライドシートに適用する場合、例えばケース3は車両ボディのフロア(
図示せず)に水平(横置き)に配置され、図1で上側(固定側)のワイヤハーネス部分1
9aが車両ボディ側のワイヤハーネス(図示せず)にコネクタ接続され、下側(可動側)
のワイヤハーネス部分19cがスライドシート側の補機等にコネクタ接続される。
ケース3の長形の開口14は例えばカバー部5の基板部(符号16で代用)に設け、
例えば図12の従来例のように、長形の開口(長孔)67(図9)にスライダ68をスライド自在に係合させ、可動側のワイヤハーネス部分19cをスライダ68から外部に導出させる。ケース3を縦置き(垂直)に配置する場合は、図1の給電装置1を上下反転し、図12の従来例のように、長形の開口(長孔)67をケース3の上側の幅狭の壁部に設け、長形の開口(長孔)67にスライダ68をスライド自在に係合させ、可動側のワイヤハーネス部分19cをスライダ68から外部に導出させる。
また、図12の従来例において、圧縮コイルばね66を定荷重ばね22等の定荷重ばねに代えることも可能である。この場合、図9のブロック部65にばねユニット10が固定され、ばねユニット10から定荷重ばね22が図9の圧縮コイルばね66とは180°反対方向にケース62の前側の壁部70に向けて帯状に導出される。
また、図1の実施形態においては、ばねユニット10をハーネス支持部材6に設けたが
、ばねユニット10をケース3の前端側に固定し、ばねユニット10から定荷重ばね22
を後方のハーネス支持部材6にかけて帯状に伸ばして、定荷重ばね22の先端22a’を
ハーネス支持部材6に固定することも可能である。この場合、ローラ(プーリ)状のハー
ネス支持部材(6)を中心の回転軸(図示せず)でケース3の長形のガイド孔(図示せず
)にスライド且つ回転自在に支持させ、回転軸に定荷重ばね22の先端22a’を貫通固
定させることも可能である。これらによっても上記図1〜図4と同様の作用が得られる。
但し、図1の形態においてハーネス支持部材6の内部のスペースを有効活用して、ばねユ
ニット10を省スペースで配置した効果は削減される。
また、図1のケース3やハーネス支持部材6の上下方向の幅寸法を極力小さく設定し、そのケース(3)を垂直ではなく水平に車両ボディ側に配置し、車両ボディ側からスライドドア側にワイヤハーネス2を配索することも可能である。また、上記した本発明の構成は、給電装置1の他に、給電構造やハーネス配索構造等としても有効なものである。
図5〜図7は、上記図1の給電装置1におけるハーネス支持部材6の形態や定荷重ばね
22(ばねユニット10)の形態を種々に変化させた実施例を示すものである。これら定
荷重ばね221〜223はばねユニット101〜103の形でハーネス支持部材61〜63に装
着され、各ハーネス支持部材61〜63と各ばねユニット101〜103とで給電装置1の余
長吸収部261〜263が構成される。
図5(a)(b)に示す余長吸収部261は、ハーネス支持部材61を平面視で横長半円
状に形成し、定荷重ばね221の幅をハーネス支持部材61の幅H1よりも少し小さく設定
して構成されている。
ハーネス支持部材61は、前半の半円状部271とそれに一体に続く後方の矩形状部28
1とで成り、半円状部271は、円弧状に湾曲した周壁27aと、周壁27aの一側端に直
交して続く背面壁27bとを有している。周壁27aと背面壁27bとは矩形状部281
の中間壁28aに続き、中間壁28aと周壁27aと背面壁27bとで囲まれた空間27
cを構成している。
図1の実施形態と同様に、半円状部271の周壁27aに沿ってワイヤハーネス2(図
1)がU字状に屈曲され、矩形状部281の上下の壁部28b,28cに沿ってワイヤハ
ーネス2(図1)の屈曲部19b(図1)に続く上下のハーネス部分19a,19c(図
1)が配索される。
矩形状部281は、中間壁28aと後壁28dと上下両側の厚肉の壁部28b,28c
とで囲まれた矩形状の貫通空間291を有し、この空間291内にばねユニット101が収
容されている。上下の壁部28b,28cは前後の壁部28a,28dよりも深く延長さ
れ、上下の壁部28b,28cの高さの範囲内でばねユニット101が配置されている。上下の壁部28b,28cに図1のケース3のガイド溝17に係合する鍔状のスライド部(図示せず)が形成されている。上下の壁部28b,28cの正面側にばねユニット101の上下の軸部241を挿入する溝部301が鈎状に前向きに屈曲して設けられている。
軸部241はリール231の上下の円板23aの中心から外側に突設され、両円板23a
を連結する内側の軸部(図示せず)に定荷重ばね221の基端(図示せず)が固定されて
いる。この内側の軸部に代えて、あるいは内側の軸部を排除して、定荷重ばね221の基
端を上下に突出させて上下の壁部28b,28cの内面側に固定することも可能である。
矩形状部281の中間壁28aと同一垂直面上において上下の壁部28b,28cの延
長部分の前方に開口311が設けられ、定荷重ばね221は開口311から半円状部271
背面壁27bに沿って前方に導出される(ばね付勢に抗して引き出される)。定荷重ばね
221の先端部にはプレート321がねじ締め等で固定され、定荷重ばね221の先端部は
プレート321の裏面側に位置している。プレート321は図1のケース3の基板部16の
ガイド溝17内の前端側に熱溶着等で固定される。図5では定荷重ばね221が巻き取ら
れ、プレート321が開口311から背面壁27bにかけて位置している。
図5の定荷重ばね221は一枚であるが、図6(a)(b)に示す余長吸収部262は、
図5のハーネス支持部材61の高さH1を減少させてコンパクト化するべく、図5の定荷重
ばね221の半分の幅の定荷重ばね222をそれぞれ一枚ずつ有する二本のばねユニット1
2を前後に近接して並列に配置し、二枚の定荷重ばね222を板厚方向に重ねて用いるこ
とで、図5の定荷重ばね221と同じ強さのばね力を発揮させている。
ばねユニット102の各リール232の径や定荷重ばね222の径すなわち長さは図5の
実施形態におけると同じである(前側のばねユニットの定荷重ばねの長さは後側のばねユ
ニットの定荷重ばねの長さよりもやや短い)。
ハーネス支持部材62は、前側の半円状部272と中間から後側にかけての矩形状部28
2とで成り、半円状部272は周壁27aと背面壁27bとを有し(符号の小文字2は省略
する)、矩形状部282はばねユニット102を収容する貫通した空間292を有し、空間
292の前後の壁部28a,28dよりも上下両側の壁部28b,28cが延長されて、
延長側の前部開口312から二枚の定荷重ばね222が重なって前方に導出されている。ハ
ーネス支持部材62の基本構成は図5の実施形態と同様である。上下の壁部28b,28
cに各リール232の軸部242を挿入する鈎状の溝部302が設けられ、上下の壁部28
b,28cの深さの範囲で各ばねユニット102が空間292内に収容されている。
図6の実施形態では、矩形状部282の中間部分の上下に凹部28eが形成され、ワイ
ヤハーネス2(図1参照)が半円状部272から小さな接触面積で矩形状部282の上下面
に沿って配索される。矩形状部282の前後部分に図1のガイド溝17に係合するスライ
ド部(図示せず)が形成されている。二枚の定荷重ばね222ばねの先端部にプレート3
2が固定され、各ばね222の先端部はプレート322の裏面側に位置し、半円状部272
の背面壁27bにはプレート322の孔部を仮止めする突起33が設けられている。ケー
ス3(図1)に余長吸収部262を組み付ける際に、突起33からプレート322を外して
各ばね222を重ねた状態で引き伸ばして基板部16(図1)に固定する。
図6のハーネス支持部材62の前後方向長さL2は、図5のハーネス支持部材61の前後
方向長さL1と同程度かやや長いが、図7(a)(b)に示す余長吸収部263のハーネス
支持部材63は、図6のハーネス支持部材62よりも長さを短くして、図5のハーネス支持
部材61に較べて高さ及び長さ方向のコンパクト化を図るべく、二枚の定荷重ばね223
板厚方向に重ねた状態で一本のリール233に巻き取っている。
ハーネス支持部材63の基本構成は図5のものと同様であり、前半の半円状部273と後
半の矩形状部283とで構成され、矩形状部283に一つのばねユニット103を収容する
貫通した空間293を有している。矩形状部283の上下両側の壁部28b,28c(符号
の小文字3は省略する)にリール233の外側の中心軸部243を挿入する溝部303や、図
1のガイド溝17に係合するスライド部(図示せず)が設けられ、上下の壁部28b,2
8cの深さの範囲でばねユニット103が収容されている。
半円状部273の周壁27aと背面壁27bとは矩形状部283の前側の壁部28aに続
き、前後の壁部28a,28dは平行に対向し、前側の壁部28aと同一垂直面の開口3
3から定荷重ばね223が二枚重ねて導出される。二枚の定荷重ばね223の先端部はプ
レート323の裏面側に固定され、プレート323は背面壁27b側に仮固定され、その状
態からリール233に巻かれた定荷重ばね223が二枚重ねて開口313から前方にスムー
ズに導出される(ばね力による巻き込み時もスムーズに導入される)。
二枚の定荷重ばね223の基端(図示せず)は例えばリール233の内側の中心軸部(図
示せず)又はリール233の円板23aの内面側に固定されている。図7の実施形態によ
れば、図5の余長吸収部261に較べて高さと長さの両方をコンパクト化することができ
る。
図6の実施形態において、各リール232を収容する長方形の空間292を前方に円弧状部27 2の内側まで延長すれば、ハーネス支持部材62の長さを図5のハーネス支持部材61の長さと同等ないしそれ以下にすることが可能である。
図5〜図7の各実施形態において、ハーネス支持部材61〜63の背面壁27bが図1の
ケース3のベース部4の基板部16に沿って位置し、定荷重ばね221〜223は基板部16と背面壁27bとの間を通り、定荷重ばね221〜223の先端側がベース部4(図1)の前端側に固定される。図1のハーネス支持部材6のスライド部18に対応する部分は、図5〜図7の各ハーネス支持部材61〜63の矩形状部281〜283に一体に設けられる。
図6の余長吸収部262を使用することで、図1のケース3を高さ方向に小型化するこ
とができ、図7の余長吸収部263を使用することで、図1のケース3を高さ方向と長さ
方向に小型化することができる。図5の余長吸収部261のハーネス支持部材61も図1の
ものに較べて傾斜面9を有する後方延長部分がないから、その分小型化されて、ケース3
の長さ方向の小型化が可能となる。
なお、上記図6の実施形態においては、定荷重ばね222を二枚用いて二つのリール2
2を前後に並列に配置したが、定荷重ばね222を三枚ないしそれ以上用い、リール23
2を三つないしそれ以上の数で前後方向に並列に配置することも可能である。複数の定荷
重ばね222の数をnとすると、各定荷重ばね222の幅やばね力は図5の定荷重ばね22
1の1/nとなる。
同様に、図7の実施形態においては、二枚の定荷重ばね223を一つのリール233に重
ねて巻いて用いたが、三枚ないしそれ以上の定荷重ばね223を一つのリール233に重ね
て巻いて用いることも可能である。複数の定荷重ばね223の数をnとすると、各定荷重
ばね223の幅やばね力は図5の定荷重ばね221の1/nとなる。
また、図5〜図7の実施形態において、上下に円板23aを有するリール231〜233
に代えて、内側の軸部(図示せず)と外側の軸部241〜243のみを有するリール(図示
せず)を用いることも可能である。
また、上記図6,図7の実施形態においては、コンパクト化を目的として図5の実施形
態よりも定荷重ばね222,223の幅寸法を短くしたが、ばね力の強化を目的として、図
6,図7の実施形態において、図5の実施形態と同程度の幅の定荷重ばね222,223
二枚ないしそれ以上の数で重ねて用いることも可能である。この場合、ハーネス支持部材
2,63の大きさも当然に図5の実施形態と同程度ないしそれ以上に大きくなる。
図8〜図10は、本発明に係る給電装置の他の実施形態を示すものである。
この給電装置71は、図1の実施形態の定荷重ばね22がワイヤハーネス2と共にケース3の内側に配置されたのに対し、定荷重ばね22を合成樹脂製のケース72の外側に配置して、内側のワイヤハーネス2とは分離(隔離)したことを特徴とするものである。
図8はケース72の内側を示し(手前側のカバー部74を鎖線で示す)、図9はケース72の外側すなわちベース部73の外面側を示している。図8において、ベース部73の垂直な基板部75の高さ方向ほぼ中央に水平な一対のスリット76が平行に前後方向に延長して設けられ、半円状のハーネス支持部材77の脚部78が各スリット76を貫通して、図9のベース部73の外面側で例えば垂直な連結板79で相互に連結され、連結板79に定荷重ばね22の先端22a’が固定され、定荷重ばね22の巻き部22bはベース部73の前端側に配置され、ベース部73の前端側における水平な上下の隔壁80aに垂直な軸部24(図10)で支持されている。
図10(a)(b)にも示す如く、上下の隔壁80aは左右の垂直な隔壁80bと一体に矩形の枠状部80を構成し、枠状部80はベース部73の前側の壁部81に一体に形成され、枠状部内に定荷重ばね22の巻き部22bが収容されている。
枠状部80はケース72のハーネス収容空間82内のワイヤハーネス2の邪魔にならないように、前側の壁部81から前方に突出し、前側の壁部81の下半側は前方に傾斜して傾斜状のハーネス案内壁81aを成し、前側の壁部81の前側にベース部73又はカバー部74の垂直な前端の壁部83が隙間を存して一体形成され、前端の壁部81が枠状部80に交差して枠状部80を補強し(ベース部73の前端の壁部83の場合)、隙間内の底壁(基板部)に固定用の孔部84が設けられ、上下の他の孔部85と共にスライドドア(図示せず)への固定部を成している。前側の壁部83は上側の壁部86と後側の壁部87と共にベース部73の外周の周壁を成し、後端の孔部85の周囲の環状のハーネス停止壁88と前端の傾斜状のハーネス案内壁81aとの間に横長のハーネス導出用の下部開口89が形成されている。
図1の実施形態では、ハーネス支持部材6の内側に定荷重ばね22の巻き部22bを配置して省スペース化を図っているが、図8の実施形態においては、定荷重ばね22を収容する枠状部80を傾斜状のハーネス案内壁81aの傾斜範囲内に設定して外側(前方)への枠状部80の突出を抑止して極力省スペース化を図っている。
ハーネス支持部材77は、半円形(円弧状)の周壁77aと、周壁77aの後端を相互に連結する垂直な基壁77bとを備える支持部材本体(符号77で代用)と、基壁77bから(ないし基壁77bと周壁77aとを連結しつつ)垂設された水平な一対の脚板78とを少なくとも備えている。一対の脚板78はベース部73の一対のスリット76を貫通してスリット76にスライド自在に係合し、支持部材本体はベース73の基板部75の内面75aに沿って摺接自在に配置され、一対の脚板78に直接あるいは連結板79を介して定荷重ばね22の先端22a’がねじ締め手段や引っ掛け手段等で固定されている。抜け止め用の鍔部を有する脚板78はスリット76の後端側の幅広部76aからスリット内に挿入される。
支持部材本体(77)の形状は半円状に限らず円形であっても、滑車状に回動自在なものであってもよい。ワイヤハーネス2を滑らかに屈曲させる円弧面(符号77aで代用)を外側に有していればよい。滑車形状の場合は、例えばスリット76を一本とし、回転用の軸部(図示せず)をスリット76にスライド自在に係合させ、軸部の基端に連結した連結板79に定荷重ばね22の先端22a’を固定する。図8の例でスリット76を二本としたのは、支持部材本体(77)のスライド動作を安定して行わせるためであるが、スリット76が一本であっても、支持部材本体(77)のスライドを安定して行え、且つ支持部材本体(77)の裏側に定荷重ばね22の先端22a’を安定に固定することができれば、何ら問題はない。
図9の如く、ベース部73の垂直な外面(裏面)75bすなわちスライドドアのドアインナパネルに近接する面に沿って(図10の如く外面75bとは若干の隙間を存して近接ないし対向して)、定荷重ばね22の真直部(伸長部)22aが水平に配索されている。真直部22aの板厚方向はベース部73の垂直な基板部75の板厚方向に一致し、真直部22aの板幅方向はベース部73の高さ方向に一致している。真直部22aはハーネス支持部材77の移動軌跡に沿ってベース部73の外面75b側に配索されている。
図8,図9の状態はスライドドアの全閉時におけるものであり、スライドドアの全開時には定荷重ばね22の復元力で真直部22aが巻き取られてハーネス支持部材77をスリット76の前端側に移動する。定荷重ばね22の作用は図1の例と同様である。
なお、図1の例でも同様であるが、スライドドアの半開時に定荷重ばね22の復元力で真直部22aを巻き取ってハーネス支持部材77をスリット76の前端側に移動させ(図2の状態)、スライドドアの全開時に図2の状態からケース72へのワイヤハーネス2の固定端2aを支点に定荷重ばね22の付勢に抗してハーネス支持部材77をワイヤハーネス2の屈曲部19bで後方へ押圧移動させるようにすることも可能である。但しこの場合は、ワイヤハーネス2の屈曲部19bによる押圧動作でハーネス支持部材77がスムーズに移動するようにスリット76(図8)やスライド部18(図1)との摺動抵抗を低く抑える必要がある。
図1の例では定荷重ばね22の先端(固定端)22a’をケース3の前端側に配置し、巻き部22bをハーネス支持部材6内に配置したが、図8の例ではこれとは前後180°逆に、定荷重ばね22の先端(固定端)22a’をハーネス支持部材77に配置し、巻き部22bをケース72の前端側に配置している。作用的には図1の例も図8の例も同様である。
図8の例のスリット76は定荷重ばね22の先端22a’とハーネス支持部材77とを連結するために必要であるが、例えば図1の例のようにハーネス支持部材77をスライドさせるための水平なガイド溝(17)を設け、ガイド溝の底部に一本の水平なスリット76を設けて、スリット76を経て脚部78等でハーネス支持部材77と定荷重ばね22の先端22a’とを連結させることも可能である。
ワイヤハーネス2や車両ボディ側のハーネス支持具15は図1の例と同様のものであり、ワイヤハーネス2は複数本の電線をコルゲートチューブや網状チューブ等の保護チューブ19で覆って構成されている。ケース72を縦配置に限らず横配置としたり、スライドドア以外のスライド構造体に使用可能であることも図1の例と同じである。定荷重ばね22の材質等も図1の例と同じである。定荷重ばね22をリール23(図3)を用いたばねユニット10として構成してもよい。
また、図8の例に図5〜図7の構造を適用し、定荷重ばね22を複数枚重ねて配索し、各定荷重ばね22をケース72の枠状部(ばね収容部)80において別々に巻いて前記進退方向に並列に配置したり、定荷重ばね22を複数枚重ねて配索し、各定荷重ばね22を枠状部80において一つに巻いて配置したり、基本となる定荷重ばね22に較べて各定荷重ばねの幅とばね力をそれぞれ1/nで、各定荷重ばねの数をn倍とすることも有効である。
図8の実施形態によれば、ワイヤハーネス2と定荷重ばね22とがケース72の内外に分離されているから、万一、定荷重ばね22が破損した場合でも、ワイヤハーネス2が定荷重ばね22の亀裂部や破断部に干渉することがなく、ワイヤハーネス2の傷付きが確実に防止される。
本発明に係る給電装置の一実施形態を示す斜視図である。 同じく給電装置を示すハーネス余長吸収状態の斜視図である。 定荷重ばねユニットの一形態を示す斜視図である。 給電装置におけるワイヤハーネスの垂れ下がりを意図的に示す斜視図である。 給電装置におけるハーネス支持部材と定加重ばねの一実施形態を示す、(a)は正面図、(b)は横断面図である。 ハーネス支持部材と定加重ばねの他の実施形態を示す、(a)は正面図、(b)は横断面図である。 ハーネス支持部材と定加重ばねのその他の実施形態を示す、(a)は正面図、(b)は横断面図(円内は拡大図)である。 本発明に係る給電装置の他の実施形態を示す斜視図である。 同じく給電装置を裏面側から見た斜視図である。 (a)は図8のA−A断面図、(b)は定荷重ばねの巻き部を示す正面図である。 (a)(b)は従来の給電装置の一形態を示す斜視図である。 従来の給電装置の他の形態を示す斜視図である。
符号の説明
1,71 給電装置
2 ワイヤハーネス
3,72 ケース
6,61〜63,77 ハーネス支持部材
10,101〜103 ばねユニット
16,75 基板部
22,221〜223 定荷重ばね
22a’ 先端
22b 巻き部
34,82 ハーネス収容空間

Claims (6)

  1. ケースの基板部の表面にハーネス支持部材が裏面を沿わせて進退自在に配置され、該ハーネス支持部材は一方の円弧状部と他方の矩形状部とを備え、円弧状部に沿ってワイヤハーネスが屈曲して配索され、該ワイヤハーネスの余長を吸収する方向に該ハーネス支持部材が定荷重ばねで付勢され、該矩形状部に定荷重ばね収納用の開口が基板部板厚方向に貫通して設けられ、該開口内に該定荷重ばねの巻き部が配置され、該巻き部の中心の軸部が該開口の側端部において支持され、該巻き部から繰り出された該定荷重ばねの伸長部が該定荷重ばね収納用の開口の裏側から該円弧状部の裏面を通過して一方へ伸び、該伸長部の先端が該ケースに固定されたことを特徴とする給電装置。
  2. ケースの基板部の周囲に周壁と、ワイヤハーネスを導出させる開口とが設けられ、該基板部の表面にハーネス支持部材が裏面を沿わせて進退自在に配置され、該ハーネス支持部材の円弧面に沿ってワイヤハーネスが屈曲して配索され、該ワイヤハーネスの余長を吸収する方向に該ハーネス支持部材が定荷重ばねで付勢され、該定荷重ばねの巻き部が該ケースのハーネス収容空間とは分離して該円弧面に対向する方向のケース端部に配置され、該巻き部から繰り出された該定荷重ばねの伸長部が該基板部の裏面に沿って配置され、該伸長部に沿って該基板部にスリットが設けられ、該スリットに該ハーネス支持部材の脚部が移動自在に貫通し、該伸長部の先端が該基板部の裏面側において該脚部に連結固定されたことを特徴とする給電装置。
  3. 前記定荷重ばねが、帯状の鋼体を巻いたばねであることを特徴とする請求項1又は2記載の給電装置。
  4. 前記定荷重ばねの前記伸長部が複数枚重ねて配索され、各定荷重ばねが別々に巻かれて、各巻き部が前記進退方向に並列に配置されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の給電装置。
  5. 前記定荷重ばねが複数枚重ねて配索され、各定荷重ばねが一つに巻かれて配置されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の給電装置。
  6. 請求項3記載の定荷重ばねに較べて各定荷重ばねの幅とばね力がそれぞれ1/nで、各定荷重ばねの数がn倍であることを特徴とする請求項4又は5記載の給電装置。
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