JP5196419B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電極、電解質膜および酸化剤電極を備える燃料電池に関する。
燃料電池は、水素含有ガスまたは有機アルコールなどと、酸素を含むガスとを電極に供給して、発電を行う発電機であり、通常、電解質膜を介して燃料電極と酸化剤電極とが対向して配置された基本構造を備える。このような基本構造において、燃料電極上で水素が酸化され、生成した水素イオンが電解質膜を伝導して酸化剤電極側に移動し、酸化剤電極において、移動してきた水素イオンと供給された酸素とが反応して水を生成するとともに、電子が外部回路を流通することで電気エネルギーが生成される。
燃料電池は、発電により排出物の環境に対する負荷が少なく、クリーンな発電システムとして注目されている。燃料電池のうち、電解質膜として水素イオン導電体を有する固体高分子膜を用いた固体高分子型燃料電池は、現在、宇宙用、車両用などの移動用電源としての用途が提案されている。
ここで、図11は、従来の典型的な燃料電池の一例として、たとえば特開2003−86192号公報(特許文献1)に開示されたような固体高分子型燃料電池101を模式的に示す断面図である。図11に示す例の固体高分子型燃料電池101は、たとえば電解質膜105を介して燃料電極103と酸化剤電極104とが対向して配置された発電素子102を備える。この発電素子102の両側にそれぞれ流路板106,107が配置されて、燃料電極103に燃料を供給するための燃料流路108と、酸化剤電極104に酸化剤を供給するための酸化剤流路109とが形成されている。
固体高分子型燃料電池の燃料としては現在、高エネルギー効率、高出力が得られるメタノールが有望視されている。一般には、燃料を水で1〜3mol/l程度に薄めた希釈燃料が用いられる。また、酸化剤としては、大気中に含まれる酸素を用いることが一般的である。燃料電極、酸化剤電極でそれぞれ生じる化学反応は、次に示す反応式(1)、(2)で表される。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- (1)
3/2O2+6H++6e-→3H2O (2)
図11に示すような固体高分子型燃料電池101においては、通常、燃料電極103と燃料流路板106との間に燃料拡散層110が介在され、この燃料拡散層110を通して液体燃料が燃料電極103に供給されるように構成される。同様に、酸化剤電極104と酸化剤流路板107との間には酸化剤拡散層111が介在され、この酸化剤拡散層111を通して酸化剤が酸化剤電極104に供給されるように構成される。ここで、図12は、図11に示した従来例の固体高分子型燃料電池101の燃料拡散層110近傍を一部拡大して示す図である。図11,12に示すような構成において、液体燃料が常に燃料電極103に供給されるためには、液体燃料が燃料流路108側から燃料電極103側に向かう方向の流れを有していることが望まれる。
しかしながら、図12に示すように、燃料流路108内の液体燃料は、燃料拡散層110に拡散しながら一方向(図12中、方向A)に流れていくため、燃料流路108内の圧力は、当該方向に沿った圧損により減少し、燃料拡散層110に透過する液体燃料の量は、当該方向の下流になるほど減少しやすくなる。このため、燃料電極103への液体燃料の供給が不均一となったり、液体燃料の供給が不足する部分が生じる可能性がある。燃料電極103への液体燃料の供給が不足している部分がある燃料電池には、十分な出力が得られないという問題が生じる。特に、より小さい容積に燃料電池をスタックしようとした場合、燃料流路の断面を小さくして、流路板を薄膜化する必要があるため、燃料流路内の上記圧損はより大きくなり、燃料電極への液体燃料の供給は不均一になり易い。
図11に示すような構造において、燃料電極103に十分な液体燃料を供給するために、外部に設置した燃料ポンプなどによって液体燃料を送り込むなどの方法も考えられる。しかしながら、この場合、燃料電池で発電した電力の一部がそれら燃料ポンプなどの稼動に使用され、燃料電池全体としての発電効率が悪化することに繋がる。
特開2003−86192号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、液体燃料を均一かつ効率よく供給でき、出力の向上を図ることができる燃料電池を提供することである。
本発明の燃料電池は、液体燃料から陽イオンを生成する燃料電極と、燃料電極に隣接して配置され、燃料電極からの陽イオンが透過する電解質膜と、電解質膜を介して燃料電極と対向して配置され、電解質膜を透過した陽イオンと酸化剤とを反応させる酸化剤電極と、燃料電極に液体燃料を供給するための燃料供給機構と、燃料電極と燃料供給機構との間に介在され、燃料供給機構側に配置された燃料拡散層および燃料電極側に配置された燃料吸収層とを備え、燃料吸収層が、厚み方向に関し液体燃料に対する濡れ性の異なる2以上の層を有し、燃料電極側に配置された層が燃料拡散層側に配置された層よりも濡れ性の高い材料で形成され、かつ、燃料拡散層よりも多くの液体燃料を内部に含浸できるように構成されていることを特徴とする。
本発明の燃料電池は、燃料吸収層が、燃料拡散層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されていることが好ましい。
また本発明の燃料電池は、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されていることが、好ましい。
本発明の燃料電池において、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、面方向に関し放射状に延びる繊維状材料を含むことが好ましい。この場合、繊維状材料は親水性を有するものであることがより好ましい。
本発明の燃料電池は、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層が、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層よりも小さな厚みを有することが好ましい。
また本発明の燃料電池は、厚み方向に貫通する1以上の孔を有することが好ましい。
また、本発明の燃料電池は、燃料吸収層の側面が、液体燃料に対し不透性の材料により覆われていることが好ましい。
本発明の燃料電池はまた、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層の表面に導電性膜が形成されていることが好ましい。
本発明の燃料電池によれば、燃料吸収層が燃料拡散層よりも多くの液体燃料を内部に含浸できるように構成されていることで、燃料拡散層または燃料流路から排出されてきた液体燃料を、燃料吸収層にて効率よく吸収し、燃料吸収層から燃料電極に必要な液体燃料を供給でき、これによって燃料電池の出力を向上させることができる。また、燃料吸収層が、厚み方向に関し液体燃料に対する濡れ性の異なる2以上の層を有し、燃料電極側に配置された層が燃料拡散層側に配置された層よりも濡れ性の高い材料で形成されていることにより、燃料吸収層内において、液体燃料の流れの方向を制御することができ、燃料電極への液体燃料の供給が不均一となったり、液体燃料の供給が不足する部分が生じない。これによって、液体燃料を均一かつ効率よく供給でき、出力の向上を図ることができる燃料電池が提供される。
図1は、本発明の好ましい一例の燃料電池1を模式的に示す断面図である。本発明の燃料電池1は、燃料電極3と、燃料電極3に隣接して配置された電解質膜4と、電解質膜4を介して燃料電極3と対向して配置された酸化剤電極5とで構成された発電素子2を基本的に備える。本発明の燃料電池1は、上述した基本構成に加え、燃料電極3に液体燃料を供給するための燃料供給機構(図1に示す例では、燃料電極3の電解質膜4と隣接する側とは反対側に設けられた、燃料流路7を有する燃料流路板6)を備え、この燃料供給機構と燃料電極3との間に、燃料供給機構側に配置された燃料拡散層8と、燃料電極3側に配置された燃料吸収層9とが介在された構成を備える。
本発明の燃料電池1における燃料電極3は、金属触媒を含む樹脂層にて実現されるが、従来公知の材料で作製でき、この金属触媒の一例として白金−ルテニウム合金などが用いられるが、その他に、白金と金、白金とオスミウム、白金とロジウムなど合金を用いることができる。また、燃料電極3の樹脂層としては、たとえばパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂が用いられる。
本発明の燃料電池1における電解質膜4は、プロトン伝導性の耐熱耐酸性の材料であれば有機材料、無機材料を問わず、従来公知の材料で作製でき、有機系の含フッ素高分子を骨格とするスルホン酸基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン117(デュポン社製))が用いられ得る。なお、本発明の燃料電池1における電解質膜4はプロトン伝導性の機能を有するのであれば、他の基材に電解質膜を埋め込んだ構造にて実現されていてもよい。
また本発明の燃料電池1における酸化剤電極5は、上述した燃料電極3と同様にたとえば、金属触媒を含む樹脂層にて実現されるが、これに限定されるものではなく当分野において従来より広く用いられている適宜の材料にて形成されたものを用いることができる。酸化剤電極5に用いられ得る金属触媒についても、特に限定されるものではなく、たとえば白金、白金−ルテニウム合金、白金−金合金、白金−オスミウム合金、白金−ロジウム合金などが好適に用いられるが、酸化剤電極側ではCOによる被毒の影響が少ないことから、白金で対応し得る。また、酸化剤電極5の形成に用いられる樹脂材料としては、特に限定されるものではなく、従来公知の材料で作製でき、たとえばパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂が用いられる。
本発明の燃料電池1において、上述した燃料電極3、電解質膜4および酸化剤電極5で構成された発電素子2は、以下のような燃料電池反応により発電する。まず、燃料流路板6から燃料拡散層8および燃料吸収層9を介して燃料電極3に液体燃料(たとえば、メタノール(CH3OH)と水(H2O)との混合物)が供給されると、燃料電極3において液体燃料から陽イオン(たとえば水素イオン(H+))が生成される。この際、陽イオンとともに、電子および排出ガスとしての二酸化炭素が生成する。燃料電極3で生成した陽イオンは、電解質膜4を透過して酸化剤電極5側へと移動する。一方、燃料電極3で生成した電子は、燃料電極3から外部回路(図示せず)を経由して、酸化剤電極5に導かれる。酸化剤電極5に移動した陽イオンは、酸化剤電極5において酸化剤(たとえば酸素(O2))および電子と反応して水を生成する。すなわち、たとえば、液体燃料がメタノール(CH3OH)と水(H2O)との混合物であり、燃料電極3で生成する陽イオンが水素イオン(H+)であり、酸化剤電極5に供給される酸化剤が酸素(O2)である場合には、以下の反応式(1)、(2)に示すような化学反応が起こることになる。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- (1)
3/2O2+6H++6e-→3H2O (2)
本発明の燃料電池は、上述した燃料電極3に液体燃料を供給するための機構(燃料供給機構)をさらに備える。図1には、一例として、燃料電極3の電解質膜4に隣接する側とは反対側に配置された、燃料流路7を有する燃料流路板6で燃料供給機構を実現した場合が示されている。この場合、燃料流路板6としては、液体燃料に対し透過性を有しない適宜の基板であれば特に制限されるものではなく、たとえば金属基板、シリコン基板、ガラス基板、樹脂基板などを用いて実現することができる。中でも、量産性という観点からは、既存のシリコンデバイス作製プロセスと互換性のあるシリコン基板が好ましく、図1には、微細加工によって燃料流路7が形成されたシリコン基板にて燃料流路板6を実現した例が示されている。なお、燃料流路7は、燃料拡散層8に液体燃料が供給されるような流路を形成しているのであれば、その形状、大きさなどは特に制限されるものではない。また、本発明の燃料電池における燃料供給機構は、図1に示したような燃料流路7を有する燃料流路板6に限定されるものではなく、たとえば、液体燃料の貯蔵槽と隣接し、毛細管作用によって液体燃料を燃料拡散層8にまで運搬し得るような多孔質材料にて実現されていてもよい。
上述した燃料供給機構と燃料電極3との間の、燃料供給機構側に配置された燃料拡散層8には、たとえば、カーボンペーパー、カーボンの焼結体、多孔質シリコン、多孔質シリコン酸化物、ニッケルなどの焼結金属、発泡金属などの多孔質材が用いられる。中でも、化学的に安定で、かつ繊維上に触媒を担持することのできるカーボンペーパーにて燃料拡散層8が実現されるのが好ましい。燃料拡散層8は、通常、空孔率が70〜80%程度の材料が用いられる。
本発明の燃料電池1は、上述した燃料供給機構と燃料電極3との間の、燃料電極3側に配置された燃料吸収層9が、厚み方向に関し液体燃料に対する濡れ性の異なる2以上の層を有し、燃料電極3側に配置された層が燃料拡散層8側に配置された層よりも濡れ性の高い材料で形成され、かつ、燃料吸収層9の全体が燃料拡散層8よりも多くの液体燃料を内部に含浸できるように構成されていることをその大きな特徴とするものである。このような本発明の燃料電池1によれば、燃料吸収層9が燃料拡散層8よりも多くの液体燃料を内部に含浸できるように構成されていることで、燃料拡散層8または燃料流路7から排出されてきた液体燃料を、燃料吸収層9にて効率よく吸収し、燃料吸収層9から燃料電極3に必要な液体燃料を供給でき、これによって燃料電池の出力を向上させることができる。また、燃料吸収層9が厚み方向に関し液体燃料に対する濡れ性の異なる2以上の層を有し、燃料電極3側に配置された層が燃料拡散層8側に配置された層よりも濡れ性の高い材料で形成されていることにより、燃料吸収層9内において、液体燃料の流れの方向を制御することができ、燃料電極3への液体燃料の供給が不均一となったり、液体燃料の供給が不足する部分が生じない。これによって、液体燃料を均一かつ効率よく供給でき、出力の向上を図ることができる燃料電池1が提供される。
上述したように、燃料吸収層9は燃料拡散層8よりも多くの液体燃料を内部に含浸し得るように実現される。換言すれば、燃料吸収層9の形成には、液体燃料を吸収および浸透しやすい構造または材料が選択される。具体的には、燃料拡散層のメタノール吸収容量が1.66g/gであるのに対し、燃料吸収層のメタノール吸収容量が4.55g/gである場合が例示される。なお、燃料吸収層9が燃料拡散層8よりも多くの液体燃料を内部に含浸できることは、たとえば燃料吸収層と燃料拡散層に液体燃料を含浸させた前後の重量を測定することで確認することができる。
本発明の燃料電池は、燃料吸収層9は燃料拡散層8よりも液体燃料を含浸し得ることで、燃料拡散層8から不均一に排出されてきた液体燃料が燃料吸収層9により速やかに吸収され、燃料吸収層9に浸透する。また、通常、燃料拡散層8は燃料電極3よりも液体燃料を含浸し得るように構成されるため、燃料吸収層9はこの燃料電極3よりも液体燃料を含浸し得ることになる。これによって、燃料電極3は燃料吸収層9よりも液体燃料を浸透しにくく、液体燃料は一時的に燃料吸収層9内に十分な量蓄積されることになり、燃料電極3には、燃料吸収層9に一時的に含浸された液体燃料が供給されることになる。
ここで、図2は、本発明の燃料電池1の燃料吸収層9の近傍を一部拡大して示す図である。なお、図2には、便宜上、燃料吸収層9を1つの層として簡略化して示している。上述したように燃料吸収層9は、燃料拡散層8よりも液体燃料が浸透しやすく、また、燃料吸収層9内には一時的に液体燃料が蓄積される。このため、本発明の燃料電池1では、図11,12に示したような燃料吸収層を有しない従来例の燃料電池の場合とは異なり、図2に示すように、燃料流路7の流れの方向に沿った圧損による燃料拡散層8を透過する液体燃料の不均一さの影響を受けにくい。また、燃料電極3に隣接する燃料吸収層9に多くの液体燃料を含むことができるため、燃料電池が高出力で動作し、燃料電極3での反応により多くの液体燃料が消費される状況においても、局所的な液体燃料の供給不足を発生することなく、燃料電極3に均一に液体燃料を供給することができる。また、本発明の燃料電池1では、液体燃料を多く含浸する燃料吸収層9が、燃料拡散層8の燃料電極3側に隣接して設けられていることで、反応生成物であるCO2の排出が阻害されにくいという利点もある。
ここで、図3は、本発明のように燃料吸収層を設けた場合(図中、実線)と、従来例のように燃料吸収層を設けない場合(図中、破線)とについて、燃料電池の出力特性を比較して示すグラフであり、縦軸は出力(a.u.)、横軸は電流(mA)である。図3から、本発明の燃料電池のように燃料吸収層を設けた構成とすることで、燃料電極への液体燃料の均一な供給が実現され、従来例のように燃料吸収層を設けない場合と比較して高い出力が得られることが分かる。なお、図3には、たとえば従来公知で一般的に用いられてなる電流源、電圧計から構成される電池特性測定回路、および液体燃料供給ポンプ(ISMATEC社製)、空気流量調整用のマスフローコントローラ(STEC社製)を用いて測定した結果を示している。
また、燃料拡散層と燃料電極との間に、燃料拡散層よりも多くの液体燃料を内部に含浸できる燃料吸収層が設けられていたとしても、この燃料吸収層が1層のみである場合には、燃料拡散層側から燃料電極側へと向かう方向の液体燃料の安定した流れを得ることが困難である。そこで、本発明の燃料電池では、上述したように、燃料吸収層9が、厚み方向に関し液体燃料に対する濡れ性の異なる2以上の層を有し、燃料電極3側に配置された層が燃料拡散層8側に配置された層よりも濡れ性の高い材料で形成されている。
ここで、図4は、本発明の燃料電池1における燃料吸収層9の近傍を一部拡大して示す図である。図4には、燃料吸収層9が、燃料供給機構側に配置された第1吸収層11と、燃料電極3側に配置された第2吸収層12との2層で実現された場合を示している。なお、本発明における燃料吸収層は、2以上の層であればよく、図4に示すような2層構造に限定されるものではない。図4に示す例では、燃料拡散層8から排出された液体燃料は、まず、燃料拡散層8側に配置された第1吸収層11を透過した後、燃料電極3側に配置された第2吸収層12を透過し、燃料電極3へと運ばれる。この際、第1吸収層が第2吸収層よりも高い濡れ性を有する場合には、第1吸収層から第2吸収層へと液体燃料が透過しにくく、場合によっては第1吸収層から燃料拡散層に液体燃料が逆戻りしてしまうことになる。本発明の燃料電池では、燃料電極3側に配置された第2吸収層12が燃料拡散層8側に配置された第1吸収層11よりも高い濡れ性を有するように構成されるため、第1吸収層11から第2吸収層12へと液体燃料が透過しやすい。また、燃料拡散層8には燃料流路7から液体燃料が送り込まれていることから、通常、燃料拡散層8内は燃料吸収層9内よりも高い圧力に保たれており、第2吸収層12内の圧力が十分に高圧力の状態となることはないため、液体燃料が燃料拡散層8側へと逆戻りすることはない。これにより、液体燃料を、燃料電極3に隣接する燃料吸収層9に効率よく保持することができ、安定した電池出力を有する燃料電池1を実現することができる。さらには、上述のように液体燃料が逆戻りしにくい性質を有することにより、燃料電池を使用する際の設置方向に対する出力依存が少なくなり、燃料電極側を上下のいずれに配置して設置した場合でも一定の出力を得ることができるという利点もある。
これに対し、燃料拡散層と燃料電極との間に、厚み方向に関し液体燃料に対する濡れ性の異なる2以上の層を有していた場合であっても、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層が燃料電極側に配置された層よりも液体燃料に対する濡れ性が大きい場合には、液体燃料が、燃料拡散層側に配置された層に保持され、燃料電極側に配置された層に吸収されにくくなってしまうため、燃料電極の直近での液体燃料の量が不足し、電池出力が低下してしまう。また、この場合、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層は、液体燃料の燃料拡散層への逆流を抑制する機能を果たすことができず、たとえばこれを防止すべく燃料拡散層と燃料流路との界面で液体燃料の逆流を阻止するための層を形成したとしても、液体燃料は燃料拡散層内にまで逆流することになるので、燃料吸収層内に含まれる液体燃料の量が不足してしまう可能性がある。また、燃料拡散層の燃料吸収層と隣接する側の表面に、上述した液体燃料の逆流を抑制するための層を形成することも考えられるが、燃料拡散層は通常、燃料吸収層よりも密な構造を有しており、このため、このような層を形成すると、燃料拡散層から燃料吸収層への液体燃料の移動も阻害されてしまうという問題が生じる。したがって、本発明の燃料電池のように、燃料電極3側に配置された層が燃料拡散層8側に配置された層よりも濡れ性の高い材料で形成されるように燃料吸収層を実現することで、簡便な構成でしかも不具合も起こることなく、上述した効果を発揮できる。
なお、上述した燃料吸収層の液体燃料に対する「濡れ性」とは、所定量の水滴を水平に設置した当該材料表面に接触させた際の水滴と材料表面とが形成する接触角で一般に評価される(液滴法)性質を指す。すなわち、当該液滴法にて測定された接触角が小さいほど、濡れ性が高いと評価される。本発明の燃料電池1は、燃料電極3側に配置された層が燃料拡散層8側に配置された層よりも濡れ性の高い材料で形成されるように燃料吸収層を実現することによる上述した効果が確実に得られることから、燃料吸収層9において、燃料拡散層8側に配置された第1吸収層11が疎水性を有し、燃料電極3側に配置された第2吸収層12が親水性を有することが、好ましい。ここで、本発明における「親水性」とは、上述した液滴法により測定された接触角が40度以下であることを指し、「疎水性」とは、同様に測定された接触角が90度以上であることを指すものとする。特に好適な場合として、第1吸収層11を接触角100度程度の疎水性の材料(たとえばポリプロピレン、ポリエチレンからなる繊維質材料表面に、疎水性の膜が形成された素材など)にて形成し、第2吸収層12を接触角10度以下の超親水性の材料(たとえばセルロースを主体とする高吸収の繊維質材料など)にて形成する例が挙げられる。
本発明の燃料電池1はまた、燃料吸収層9が、燃料拡散層8よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されていることが好ましい。本発明において、液体燃料に対する「面方向に関する吸収速度」とは、燃料吸収層9の厚み方向に対し垂直な平面に沿った方向に関する液体燃料の吸収速度を指す。なお、燃料吸収層が、燃料拡散層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されていることは、たとえば2.3cm×0.5cm角の乾燥した燃料拡散層および燃料吸収層の一部をメタノールと接触させ、燃料拡散層および燃料吸収層の全面がメタノールで満たされるまでに要した時間を測定することで確認することができる。具体的には、このようにして測定された時間が燃料拡散層では1分18秒であったのに対し、燃料吸収層では0分2秒であった場合が例示される。このような液体燃料に対する面方向に関する吸収速度の差は、たとえばそれらの層を構成する繊維状材料に濡れ性の異なるものを用いる、異なる形状の繊維状材料を用いる、などすることで調整することができる。
図5は、燃料吸収層9が燃料拡散層8よりも液体燃料に対する吸収速度が大きくなるように構成された場合の、燃料吸収層9の近傍を一部拡大して示す図である。なお、図5には、便宜上、燃料吸収層9を1つの層として簡略化して示している。燃料流路7内の圧力は、燃料流路7の液体燃料の流れに沿った圧損により減少するため、燃料拡散層8を通過する液体燃料の量は、上記方向に関する下流になるほど減少することは上述した。この際、燃料吸収層9が、燃料拡散層8よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されていることで、図5に示すように、燃料拡散層8への燃料供給が不均一であっても、燃料拡散層8から多くの燃料を排出させ、液体燃料を素早く燃料吸収層9の面方向に関し均一に吸収させることができる。これによって、燃料電極3の面方向に関し均一に液体燃料を供給することができるようになり、燃料電極3での反応により多くの液体燃料が消費される状況においても、素早く燃料電極3の面方向に関して均一に液体燃料を供給することができる。
ここで、図6は、燃料吸収層が、燃料拡散層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されている場合(図中、実線)と、燃料吸収層と燃料拡散層との液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が同等である場合(図中、破線)とについて、燃料電池の出力特性を比較して示すグラフであり、縦軸は出力(a.u.)、横軸は電流(mA)である。図6から、燃料吸収層が燃料拡散層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されている場合には、燃料吸収層と燃料拡散層との液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が同等である場合と比較して、高い出力が得られていることが分かる。なお、図6には、たとえば従来公知で一般的に用いられる電流源、電圧計から構成される電池特性測定回路、および液体燃料供給ポンプ(ISMATEC社製)、空気流量調整用のマスフローコントローラ(STEC社製)を用いて測定した結果を示している。
また本発明の燃料電池は、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されていることが、好ましい。これによって、燃料吸収層内の燃料拡散層側に配置された層から燃料電極側に配置された層へと液体燃料が供給される領域が限定されていた場合であっても、部分的に液体燃料が通過した部分から、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層の面方向に関し素早く均一に液体燃料が拡散され、当該燃料電極側に配置された層に液体燃料を確実に吸収させ、保持させることができるという効果が奏される。なお、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されていることは、上述の燃料吸収層と燃料拡散層との場合についてと同様に、全面がメタノールで満たされるまでに要した時間を測定することで確認することができる。このような液体燃料に対する面方向に関する吸収速度の差は、たとえばそれらの層を構成する繊維状材料に濡れ性の異なるものを用いる、異なる形状の繊維状材料を用いる、などすることで調整することができる。
本発明の燃料電池はまた、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、面方向に関し放射状に延びる繊維状材料を含むことが好ましい。ここで、図7は、本発明の燃料電池における燃料吸収層の燃料電極側に配置された側に含まれ得る繊維状材料16を模式的に示す図である。上述した燃料吸収層の燃料電極側に配置された層に含まれ得る繊維状材料16は、図7に示されるように、放射状に延びる形状を有しており、この放射状に延びる方向が、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層の厚み方向に対し略垂直な平面に平行となるように配置されて、当該燃料吸収層の燃料電極側に配置された層に含まれる。このようにして繊維状材料16が含まれることで、放射状に延びる繊維状材料16によって液体燃料を運搬することができ、当該燃料電極側に配置された層の面方向に関し、より速く液体燃料を拡散することができるようになる。
ここで、図8は、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、面方向に関し放射状に延びる繊維状材料を含む場合(図中、実線)と、当該繊維状材料を含まない場合(図中、破線)とについて、燃料電池の出力特性を比較して示すグラフであり、縦軸は出力(a.u.)、横軸は電流(mA)である。図8から、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、面方向に関し放射状に延びる繊維状材料を含む場合には、当該繊維状材料を含まない場合と比較して、高い出力が得られていることが分かる。これは、上述のように繊維状材料により、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が面方向に関し、液体燃料を均一に素早く吸収することができ、燃料電極への液体燃料の供給が促進されたことに起因するものと考えられる。なお、図8には、たとえば従来公知で一般的に用いられる電流源、電圧計から構成される電池特性測定回路、および液体燃料供給ポンプ(ISMATEC社製)、空気流量調整用のマスフローコントローラ(STEC社製)を用いて測定した結果を示している。
また本発明の燃料電池においては、上述した繊維状材料16が親水性を有していることが好ましい。ここで、「親水性」とは、上述と同様、液滴法により測定された接触角が40度以下であることを指す。このように親水性を有する上記繊維状材料16が燃料吸収層の燃料電極側に配置された層に含まれていることによって、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層と燃料電極側に配置された層とが全面ではなく部分的に接しているような状態であっても、当該繊維状材料16の表面を液体燃料が伝播しやすいため、燃料拡散層側に配置された層から燃料電極側に配置された層へと液体燃料を円滑に運搬することができる。
上述した燃料吸収層の燃料電極側に配置された層に含まれ得る(好ましくは親水性を有する)繊維状材料としては、具体的には、セルロースを主体とする高吸収の繊維状材料を用いることが好ましい。このような繊維状材料は、たとえば、上述した材料にて形成された細い繊維を複数本束ねることによって形成することができる。なお、繊維状材料は、表面に繊維方向に沿った微細な凹凸部を有していることが好ましく、このような凹凸部を有していることで、液体燃料が溝のように凹部に沿って運搬され得、液体燃料の吸収がさらに円滑となる。
また本発明の燃料電池は、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層が、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層よりも小さな厚みを有することが、好ましい。燃料吸収層の燃料電極側に配置された層は、液体燃料を含浸できればよいが、厚みが大きい方がより多くの液体燃料を保持でき、多くの液体燃料が保持できることは電池として高出力につながる。燃料吸収層の燃料電極側に配置された層の好ましい厚みは50μm以上である。燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層は、燃料電極側に配置された層と比較して液体燃料に対する濡れ性が低いことで、厚みが小さくとも、液体燃料の逆流を防止する機能を果たすことができる。また、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層は、厚みが過剰であると、燃料の透過が困難となる。一例として、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層の層厚としては5μm以上50μm未満などが挙げられる。たとえば微細なデバイスに用いられる燃料電池の一例としては、燃料吸収層として使用可能な厚みが200μm以下であることから、燃料吸収層として使用可能な厚みが限定されるような燃料電池に適用する場合には、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層の厚みを小さくすることで、限られた厚みを効率よく使用することができる。
また本発明の燃料電池は、燃料吸収層が厚み方向に貫通する1以上の孔を有することが好ましい。図1には、燃料吸収層9が燃料拡散層8側に配置された第1吸収層11と燃料電極3側に配置された第2吸収層12と、当該第2吸収層12の表面に形成された導電性膜26(後述)を有し、さらに、燃料吸収層9を厚み方向に貫通する複数の貫通孔21が形成された例が示されている。上述したように、燃料電極3での反応では二酸化炭素が発生するが、この二酸化炭素は、上述した貫通孔が形成されていない場合には、燃料吸収層の空隙(たとえば燃料吸収層を形成する繊維状材料の隙間)などから排出されることになる。図1に示す構成では、燃料吸収層9に上述した貫通孔21が形成されていることで、当該貫通孔21を通して排出口(図示せず)から燃料電池外に二酸化炭素を多量に排出しやすくなる。これによって、上述した貫通孔が形成されていない場合とは異なり、高電流で電池を動作させ、生成する二酸化炭素の量が増えても、二酸化炭素を滞りなく排出できるという利点がある。
本発明の燃料電池はまた、燃料吸収層の側面が、液体燃料に対し不透性の材料により覆われていることが好ましい。上述してきたように燃料吸収層は多くの量の液体燃料を含むが、このため燃料吸収層の側面側から液体燃料が漏れてしまう可能性がある。この場合、液体燃料の利用効率が下がるだけでなく、燃料電極周辺から電解質膜内への液体燃料のクロスオーバーの原因となる。燃料吸収層の側面が液体燃料に対し不透性の材料により覆われていることで、このような液体燃料の漏れを防止することができるようになる。なお、燃料吸収層の側面を覆う材料としては、液体燃料に対し不透性であれば特に制限されないが、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)、フルオロカーボンなどが挙げられ、これらの材料で形成された層状物または膜状物にて燃料吸収層の側面を覆うようにすることが好ましい。
さらに、本発明の燃料電池は、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層の表面に導電性膜が形成されていることが好ましい。上述したように図1には、燃料吸収層9の燃料電極3側に配置された第2吸収層12の表面に導電性膜26が形成された例が示されている。従来の燃料電池では、燃料電池反応によって生成した電荷は、燃料拡散層または燃料電極を利用、または導電性のメッシュを燃料電極上に導入することによって集電されているのが現状である。しかしながら、通常用いられるカーボンシートなどによる燃料拡散層、燃料電極では電気抵抗値が高いという問題がある。また、導電性のメッシュを導入すると、燃料電極と燃料拡散層との接触が悪くなり、液体燃料の供給が妨げられるなどの問題が考えられる。このため、図1の例のように、燃料吸収層9の燃料電極3側に配置された層(第2吸収層12)の表面に導電性膜26が形成してなることで、当該導電性膜26が燃料電池反応によって生成した電荷を集める集電極の役割を果たすことができ、上述したような不具合を生じることはない。
導電性膜26を形成する材料としては、膜状に形成し得る導電性を有する材料であれば特に制限されるものではないが、たとえばAu、Pt、Ru、Rh、Irなどの貴金属材料、またはこれらの合金、またはこれらの金属元素の導電性酸化物を用いることで、特に長期的に特性の安定した導電性膜を得ることができ、燃料電池の性能の安定に寄与し得るため、好ましい。なお、導電性膜26の厚みについては特に制限されないが、導電性膜が微視的には、燃料吸収層を構成する繊維表面を覆うように形成されており、導電性膜が厚くなるほど、液体燃料の吸収容量が減少する可能性があることから、導電性膜の層厚は燃料吸収層厚の半分以下であることが好ましい。
本発明の燃料電池は、上述してきたように、燃料拡散層と燃料電極との間に特定の燃料吸収層を介在させてなる構成に特徴を有するものであり、当該特徴以外の構成については特に制限されるものではなく、従来公知の適宜の構成を採用することができる。たとえば、図1には、酸化剤電極5の電解質膜4と隣接する側とは反対の側は、酸化剤を供給する機構(酸化剤供給機構)として酸化剤流路32が形成された酸化剤流路板31が、酸化剤拡散層33を介して設けられた例の燃料電池1が示されている。
酸化剤流路板31としては、金属基板、シリコン基板、ガラス基板、樹脂基板など液体および酸化剤である酸素に対する透過性を有しない材料が使用可能であり、たとえば上述した燃料流路板6と同様に、酸化剤流路32を微細加工により形成したシリコン基板を好適に用いることができる。また、酸化剤流路を有さず、大気が透過できる空孔が形成された板状物を酸化剤供給機構として用いても勿論よい。
また酸化剤拡散層33としては、上述した燃料拡散層8と同様、カーボンペーパー、カーボンの焼結体、多孔質シリコン、多孔質シリコン酸化物、ニッケルなどの焼結金属、発泡金属などの多孔質材を用いることができるが、これらに制限されるものではない。なお、上述した燃料電池反応で酸化剤電極5において生成した水は、この酸化剤拡散層33内を拡散し、排出口(図示せず)から燃料電池外に排出される。
本発明の燃料電池は、上述したような特徴を有するものであれば、その製造方法は特に制限されるものではない。ここで、図9は、燃料流路板6を作製する方法を段階的に示す図である。本発明の燃料電池に用いられる燃料流路板6および酸化剤流路板31は、燃料流路板6についての例を図9に示すように、適宜の基板材料41(図9(a))に、公知のフォトリソグラフィおよびDeep−RIE法を用いて微細加工を施して燃料流路7(または酸化剤流路32)を形成する(図9(b))ことで、作製することができる。
また図10は、図1に示した燃料吸収層9を作製する方法を段階的に示す図である。燃料吸収層9の燃料拡散層8側に配置される層(図1に示す例では第1吸収層11)は、たとえばポリプロピレン、ポリエチレンなどからなる繊維質材料を用いて形成することができる。また燃料吸収層9の燃料電極3側に配置される層(図1に示す例では第2吸収層12)は、セルロースを主体とした材料からなる繊維質材料を用いて形成される。これらの層を、たとえば特開平8−066425号公報(参考文献1)などに記載された公知の方法を用いて積層させる(図10(a))。次に、第1吸収層11と第2吸収層12との積層体に、公知のレーザアブレーション法、パンチング、ドリルなどの機械的穿孔手段を用いて厚み方向に貫通する1以上の貫通孔21を形成する(図10(b))。さらに、第2吸収層12の表面に、たとえはAuなどの導電性を有する材料を公知のスパッタリング法などによって堆積させて導電性膜26を形成する(図10(c))。なお、第2吸収層12を形成する繊維材料は、導電性膜26を形成する表面の密度が内部よりも高いことが好ましく、これによってスパッタされた金属粒子が必要以上に繊維質材料の奥深くまで入り込むのを阻止しつつ、高い導電性が得られるという利点がある。
なお、上述したような金属材料を層状に形成してそれぞれ形成した燃料電極3および酸化剤電極5を、電解質膜4を介して対向するように配置して積層させて発電素子2を作製し、さらに、上述のように作製された燃料吸収層9、一般的なカーボンペーパーなどを用いて形成した燃料拡散層8および酸化剤拡散層33、上述のように作製された燃料流路板6および酸化剤流路板31を順次積層することで、図1に示したような本発明の燃料電池1を製造することができる。
本発明の好ましい一例の燃料電池1を模式的に示す断面図である。 本発明の燃料電池1の燃料吸収層9の近傍を一部拡大して示す図である。 本発明のように燃料吸収層を設けた場合(図中、実線)と、従来例のように燃料吸収層を設けない場合(図中、破線)とについて、燃料電池の出力特性を比較して示すグラフであり、縦軸は出力(a.u.)、横軸は電流(mA)である。 本発明の燃料電池1の燃料吸収層9の近傍を一部拡大して示す図である。 燃料吸収層9が燃料拡散層8よりも液体燃料に対する吸収速度が大きくなるように構成された場合の、燃料吸収層9の近傍を一部拡大して示す図である。 燃料吸収層が、燃料拡散層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されている場合(図中、実線)と、燃料吸収層と燃料拡散層との液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が同等でるある場合(図中、破線)とについて、燃料電池の出力特性を比較して示すグラフであり、縦軸は出力(a.u.)、横軸は電流(mA)である。 本発明の燃料電池における燃料吸収層の燃料電極側に配置された側に含まれ得る繊維状材料16を模式的に示す図である。 燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、面方向に関し放射状に延びる繊維状材料を含む場合(図中、実線)と、当該繊維状材料を含まない場合(図中、破線)とについて、燃料電池の出力特性を比較して示すグラフであり、縦軸は出力(a.u.)、横軸は電流(mA)である。 燃料流路板6を作製する方法を段階的に示す図である。 図1に示した燃料吸収層9を作製する方法を段階的に示す図である。 従来の典型的な燃料電池の一例として、たとえば特開2003−86192号公報に開示されたような固体高分子型燃料電池101を模式的に示す断面図である。 図11に示した従来例の固体高分子型燃料電池101の燃料拡散層110近傍を一部拡大して示す図である。
符号の説明
1 燃料電池、2 発電素子、3 燃料電極、4 電解質膜、5 酸化剤電極、6 燃料流路板、7 燃料流路、8 燃料拡散層、9 燃料吸収層、11 第1吸収層、12 第2吸収層、16 繊維状材料、21 貫通孔、26 導電性膜、31 酸化剤流路板、32 酸化剤流路、33 酸化剤拡散層。

Claims (9)

  1. 液体燃料から陽イオンを生成する燃料電極と、
    燃料電極に隣接して配置され、燃料電極からの陽イオンが透過する電解質膜と、
    電解質膜を介して燃料電極と対向して配置され、電解質膜を透過した陽イオンと酸化剤とを反応させる酸化剤電極と、
    燃料電極に液体燃料を供給するための燃料供給機構と、
    燃料電極と燃料供給機構との間に介在され、燃料供給機構側に配置された燃料拡散層および燃料電極側に配置された燃料吸収層とを備え、
    燃料吸収層が、厚み方向に関して液体燃料に対する濡れ性の異なる2以上の層を有し、燃料電極側に配置された層が燃料拡散層側に配置された層よりも濡れ性の高い材料で形成され、かつ、燃料拡散層よりも多くの液体燃料を内部に含浸できるように構成されている、燃料電池。
  2. 燃料吸収層が、燃料拡散層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されている、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層よりも液体燃料に対する面方向に関する吸収速度が大きくなるように構成されている、請求項1または2に記載の燃料電池。
  4. 燃料吸収層の燃料電極側に配置された層が、面方向に関し放射状に延びる繊維状材料を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
  5. 繊維状材料が親水性を有する、請求項4に記載の燃料電池。
  6. 燃料吸収層の燃料拡散層側に配置された層は、燃料吸収層の燃料電極側に配置された層よりも小さな厚みを有する、請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池。
  7. 燃料吸収層が、厚み方向に貫通する1以上の孔を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池。
  8. 燃料吸収層の側面が、液体燃料に対し不透性の材料により覆われている、請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池。
  9. 燃料吸収層の燃料電極側に配置された層の表面に導電性膜が形成されている、請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池。
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