JP5153159B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、膜電極接合体の両極に燃料ガスと酸化剤ガスを供給して発電する燃料電池に関し、特に膜電極接合体を構成する拡散層の構造に関する。
固体高分子型燃料電池は、複数のセルを積層した燃料電池スタックに、水素を含有する燃料ガスと酸素を含有する酸化剤ガスを供給して化学反応させることにより、電気エネルギーを発生させている。基本単位となるセルは、一般に、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を形成し、さらに拡散層で両面を挟んで一体化されたMEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ばれる膜電極接合体を備え、MEAの両側に燃料ガス側セパレータ、酸化剤ガス側セパレータを配設した構造となっている。MEAを挟持する燃料ガス側セパレータおよび酸化剤ガス側セパレータは、MEAの拡散層との間にそれぞれ燃料ガス流路および酸化剤ガス流路を形成している。
燃料電池の燃料電極では、供給される水素がイオン化し、電解質膜を透過して、酸化剤電極に移動する。酸化剤電極では、移動してきた水素が供給される酸素と反応して水を生成する。この発電反応により、起電力が発生する。ここで、発電性能を向上させるには、酸化剤電極側において発電反応により生成する水を、余剰のガスとともに拡散膜からガス流路へ効率よく排出することが必要となる。特に、水が溜まりやすいガス流路の出口側において、排水性を向上させることが要求されている。
一方、固体高分子電解質膜の機能維持には、ほぼ飽和状態に含水させることが望ましく、通常は反応ガスは加湿状態で供給されている。ところが、膜の乾燥を防止するために湿度を高めると、ガス流路の出口側において触媒層と拡散層の界面または拡散層内に水が溜まるフラッディングが生じやすくなり、ガス拡散が妨げられて出力が低下するおそれがある。逆に、フラッディングを防止するために湿度を低くすると、ガス流路の入口側において膜が乾燥するドライアップが生じ、膜の比抵抗が増大して出力が低下する不具合があった。
また、燃料電極においても、生成する水の一部が電解質膜を透過して移動することから、同様の問題が生じる。すなわち、水が溜まりやすいガス流路の出口側において電解質膜を透過する水分量が増加して、フラッディングが生じやすくなり、これを抑制しようとすると、ガス流路の入口側が乾燥するドライアップが生じやすくなる。
そこで、拡散層の材質や構造を検討することによって、排水性や含水量を制御する試みがなされている。従来技術として、例えば、特許文献1には、燃料電池のガス拡散部材を、粗層と密層の複層構造とし、密度が相対的に高くガス透過性が低い密層に、少なくともガス下流領域に微小透過穴を形成することが開示されている。また、特許文献2には、燃料電池の触媒層と拡散層の間に、フッ素樹脂とカーボンブラックからなる混合層を設け、反応ガス入口側と出口側とで、それぞれの水蒸気分圧に応じて、混合層の厚さや気孔率を変えることが記載されている。また、特許文献3には、燃料電池の拡散層における細孔径および撥水剤含有量のうちの少なくとも一方を、反応ガス中の水分供給量および排水量に応じて調整することが記載されている。具体的には、拡散層の撥水剤濃度を層の厚み方向および表面内で制御している。
特開2005−71941号公報 特開2001−135326号公報 特開2003−217599号公報
しかしながら、特許文献1のガス拡散部材は、粗層と密層とを所望の密度となるように積層形成した上、さらに下流側において密層の排水性を高めるために微小透過穴を形成する必要があり、製造工程数が多くなる。また、本発明者等が同様の方法で拡散層を形成して検討したところ、排水性向上に必ずしも十分な向上効果が見出せなかった。さらに、特許文献2の燃料電池は、触媒層と拡散層の間に形成される混合層の厚さ(または気孔率)がガス流れ方向に連続的に変化しており、混合層を設計通りに製造することが難しい。特許文献3の燃料電池は、拡散層における撥水剤の濃度を層の厚み方向で変更する必要があるため、製造工程数が増えてコストが高くなる。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、燃料電池の膜電極接合体において、ガス流路上流のガス入口側では電解質膜の乾燥を防止し、下流のガス出口側では触媒層と拡散層界面さらに拡散層内の水詰まりを防止することのできる拡散層構成を提供することにある。
請求項1の発明は、電解質膜の両面に電極を構成する触媒層および拡散層を配設した膜電極接合体を備え、該膜電極接合体の一方の面側に燃料ガスが供給されるガス流路を形成するとともに、他方の面側に酸化剤ガスが供給されるガス流路を形成してなる燃料電池において、
上記拡散層の少なくとも触媒層側を撥水性微細多孔層にて形成し、かつ該撥水性微細多孔層の触媒層表面に開口する孔を設け、
該孔径は、上記ガス流路の上流領域では、上記触媒層から上記ガス流路側へ向けて孔径が小さくなるように形成し、
上記ガス流路の下流領域では、上記触媒層から上記ガス流路側へ向けて孔径が大きくなるように形成したものである。
拡散層を構成する撥水性微細多孔層内において、発電反応により生成した水や凝縮した液水は、孔径が大きくなる方へ移動する。このメカニズムを図8に示すと、多孔体の孔H内の水滴Wは、撥水性がある場合、接触角θが90°以上になるので、下記式で表される圧力Pはマイナス(孔から水を押し出す方向)となる。
圧力P=2rcosθ/R(r:水の表面張力、R:孔の半径)
式より、孔の半径(R)が大きいほど孔から水を押出圧力が大きくなるので、撥水性の多孔体中では、水は孔径が大きくなる方へ移動することになる。つまり、ガス流路入口に近い上流側では、ガス流路から触媒層へ向けて水が移動するので、電解質膜の乾燥を防止する効果が得られる。一方、ガス流路出口に近い下流側では、触媒層からガス流路へ向けて水が移動するので排水が促進され、触媒層と拡散層界面や拡散層内の水詰まりによるフラッディングを防止することができる。
請求項2の発明のように、上記拡散層は、具体的には、上記撥水性微細多孔層の所定位置に孔開けすることにより、所定形状の多数の孔を形成することができる。
より具体的には、請求項3の発明のように、上記拡散層を構成する上記撥水性微細多孔層に造孔材を埋め込み、熱処理することによって、所定径、深さ等に孔形状を制御することができる。
図1に、本発明の第1実施形態における燃料電池構成を示す。図1(a)は、燃料電池の主要部をなす燃料電池セルCの全体概略構成図、図1(b)はそのA−A線断面図であり、図1(c)は、燃料電池セルCを構成する膜電極接合体1の概略構成を示す断面図である。本発明の燃料電池を、例えば燃料電池自動車に適用する場合には、基本単位である燃料電池セルCを多数積層して電気的に直列接続した燃料電池スタックに、酸化剤ガス (例えば、空気)や燃料ガス(例えば、水素)を供給するための供給流路および排出流路、制御装置等を接続して燃料電池システムを構成し、自動車駆動用モータや各種補機類に必要な電力を供給する。
図1(a)、(b)に示すように、基本単位となる燃料電池セルCは、電解質膜11の両面に、電極21、22となる触媒層31、32および拡散層41、42が配置されたMEA(Membrane Electrode Assembly )と呼ばれる膜電極接合体1を備え、この膜電極接合体1を挟んで一方の面側に配設した燃料側セパレータ5により燃料ガスが供給される燃料ガス流路51を形成するとともに、他方の面側に配設した酸化剤側セパレータ6により酸化剤ガスが供給される酸化剤ガス流路61を形成している。
電解質膜11には、公知の構造の水素イオン伝導性固体高分子電解質膜を使用することができる。水素イオン伝導性固体高分子電解質膜としては、具体的には、パーフルオロスルホン系ポリマー、例えば、Nafion(デュポン社製:登録商標)等を膜状に成形したものが好適に使用される。電解質膜11の厚さ方向の一方の面には、燃料極21を構成する触媒層31および拡散層41が形成され、他方の面には、酸化剤極22を構成する触媒層32および拡散層42が形成されて一体化されている。
触媒層31、32は、触媒を含有し導電性の良好な材料で構成されており、例えば、白金触媒を担持したカーボン粒子と電解質膜11の構成材料を混合して、電解質膜11の表面に膜状に成形してなる。拡散層41、42は、導電性およびガス拡散性の良好な材料で構成され、さらに撥水性が付与された撥水性微細多孔層からなる。本発明では、撥水性微細多孔層の孔径を必要特性に応じて制御することで、膜電極接合体1の状態を最適に保持している。この拡散層41、42の構成は、本発明の特徴部分であり、詳細については後述する。
燃料側セパレータ5および酸化剤側セパレータ6は、例えばカーボン材または導電性金属よりなる板状部材からなる。燃料側セパレータ5の拡散層41側の表面には、燃料ガス流路51となる複数の溝が形成してあり、燃料ガス流路51はその一端側が図示しない燃料ガスの供給流路に、他端が図示しない排出流路にそれぞれ連通している。酸化剤側セパレータ6も同様の構成で、拡散層42側の表面には、酸化剤ガス流路61となる複数の溝が形成してあり、酸化剤ガス流路61は一端側が図示しない酸化剤ガスの供給流路に、他端は図示しない排出流路にそれぞれ連通している。
上記構成の燃料電池に、燃料ガスとして例えば水素が、酸化剤ガスとして例えば空気が供給されると、各燃料電池セルC内の燃料ガス流路51および酸化剤ガス流路61にそれぞれガスが導入され、膜電極接合体1の両電極21、22において下記(1)、(2)の電気化学反応が起こる。すなわち、燃料極21では拡散層41を経て触媒層31に達した水素が、水素イオンとなって電解質膜11を透過し、酸化剤極22にて拡散層42を経て触媒層32に達した酸素と反応して水を生成する。生成水は、未反応ガスとともに酸化剤ガス流路52または燃料ガス流路51から、図示しない排出流路へ排出される。
アノード電極反応(燃料極21) H →2H+2e・・・(1)
カソード電極反応(酸化剤極22) 2H+1/2O +2e→HO・・・(2)
ここで、上記発電反応を効率よく進めるには、電解質膜11を適度に含水させる必要があり、乾燥防止のために反応ガスは加湿状態でガス流路入口へ供給されることが望ましい。ただし、ガス流路入口側の加湿度を高くすると、反応ガス分圧が低下する上、生成水が排出されるガス流路出口側において液水が生じやすくなり、フラッディングをまねく。特に、酸化剤極22では発電反応により生成した水や結露による液水が膜電極接合体1の内外にて水詰まりを起こしやすく、触媒層42への反応ガスの拡散性を低下させるおそれがある。
このため、本実施形態では、図1(c)に示すように、拡散層41、42を撥水性微細多孔層4で構成し、かつ、ガス流路入口に近い上流側では、触媒層31、32からガス流路51、61側へ向けてその孔径が小さくなる多数の孔4aを形成し、ガス流路出口に近い下流側では、触媒層31、32からガス流路51、61側へ向けてその孔径が大きくなる多数の孔4bを形成する。水は、撥水性のある多孔体中では、孔径が大きくなる方へ移動する。本発明は、この性質を利用したもので、これら孔4a、孔4b形状により、上流側の乾燥を防止したい領域では生成水の排水が抑制され、下流側のフラッディングを防止したい領域では、生成水の排水が促進される。
拡散層41、42を構成する撥水性微細多孔層4は、導電性微繊維または微粒子と撥水性微粒子とを混合して、触媒層31、32の表面に膜状に成形してなる。導電性微繊維としては、カーボンナノチューブ(例えば、VGCF)等のカーボン繊維が挙げられ(通常、繊維径:0.05〜1μm、繊維長:10〜数100μm)、導電性微粒子としては、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラック、バルカン)等のカーボン微粒子やチタン(Ti)微粒子等の金属微粒子が挙げられる(通常、粒径:0.1〜10μm)。撥水性微粒子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;例えば、ディスパージョン)等のフッ素系樹脂粉末が挙げられる(通常、粒径:0.1〜10μm)。
これら導電性微繊維または微粒子の少なくとも1種類と、撥水性微粒子とは、通常、90:10〜50:50の範囲で適宜配合される。この混合物に、例えば適当な溶剤等を添加混合してペースト状としたものを熱処理することにより、粒子間に微細な気孔を有する撥水性微細多孔層4とする。撥水性微細多孔層4の平均粒径は、好適には1μm以下となるようにすると、気孔率が小さくなりガス流路上流側において乾燥を防止する効果が高い。多数の孔4aおよび多数の孔4bを形成した拡散層41、42の気孔率は、例えば50〜90%の範囲であり、ガス流れ方向の各領域で必要な拡散性または排水性等が得られるように適宜設定することができる。
撥水性微細多孔層4の上流側に形成される多数の孔4aは、触媒層31、32に接する拡散層41、42表面に開口し、ガス流路51、61側へ向けてその孔径が徐々に小さくなる形状を有する。ここでは、多数の孔4aの孔長さを、撥水性微細多孔層4の厚さの約半分程度とし、最小径側がガス流路51、61側の拡散層41、42に到達しない構成とする。これにより、生成水や液水を孔径がより大きくなる触媒層41、42側へ移動させ、ガス流路51、61側への生成水や液水の移動を抑制して、電解質膜11の乾燥を抑制する効果を高めることができる。
撥水性微細多孔層4の下流側に形成される多数の孔4bは、触媒層31、32に接する拡散層41、42表面に開口し、ガス流路51、61側へ向けてその孔径が徐々に大きくなる形状を有する。ここでは、多数の孔4aが撥水性微細多孔層4を貫通して、最大径側がガス流路51、61側の拡散層41、42表面に開口するように形成している(すなわち孔長さは、撥水性微細多孔層4の厚さ)。これにより、生成水や液水を孔径がより大きくなるガス流路51、61側へ移動させ、ガス流路出口への生成水や液水の移動を促進して排水性を高め、フラッディングを抑制する効果を高めることができる。
撥水性微細多孔層4に形成される多数の孔4aおよび多数の孔4bは、触媒層31、32側表面における開口端部の孔径が、例えば0.1〜100μm、好適には1〜50μmとなるようにそれぞれ形成される。孔長方向に対する勾配は、例えば10〜45°の範囲となるようにし、上流側の多数の孔4aは、開口端部からガス流路51、61側へ向けて孔径が小さくなることで、気孔率の増加を抑制しつつ触媒層31、32側への水移動を促す。一方、下流側の多数の孔4bは開口端部からガス流路51、61側へ向けて孔径が大きくなることで、触媒層31、32側からガス流路51、61側への水移動を促し、気孔率を増大させて水詰まりを抑制する。好適には、上流側の多数の孔4aの開口端部径が、下流側の多数の孔4bの開口端部径よりも小さくなるように形成すると、上流側の乾燥を防止し、下流側の排水性を向上させる効果が得やすい。
図2に第2の実施形態として示すように、燃料電池セルCの膜電極接合体1は、電解質膜11の両面に触媒層31、32および拡散層41、42を形成し、さらに第2の拡散層43を形成した構成とすることもできる。第2の拡散層43は、拡散層41、42とガス流路51、61との間に位置し、ガス流路51、61を流通する反応ガスを拡散により触媒層31、32へ供給する。第2の拡散層43の材質は、拡散層41、42と同様とすることができる。
あるいは、図3に第3の実施形態として示すように、燃料電池セルCの膜電極接合体1は、電解質膜11の両面に触媒層31、32および拡散層41、42を形成し、さらにガス流路52、62となる多孔体44を形成した構成とすることもできる。多孔体44は、気孔率を十分大きくしてガス流れを妨げないようにすることが望ましい。
このように、本発明は図1に示す基本構造に限らず、種々の燃料電池セルC構成にも適用可能である。いずれの実施形態に示す構成においても、ガス流路51、61のガス入口側と出口側とで水蒸気分圧が大きく異なる場合、反応ガスのストイキ比が2.0以下(利用率50%以上)の場合に有利である。第2の実施形態に示す構成は、例えば、燃料側セパレータ5、酸化剤側セパレータ6にガス流路が形成されている場合に使用され、第3の実施形態に示す構成は、多孔体をガス流路として利用する場合に使用される。
次に、拡散層41、42となる撥水性微細多孔層4に、多数の孔4aまたは多数の孔4bを形成する方法について説明する。撥水性微細多孔層4の孔径を厚み方向に徐々に変える方法としては、I)造孔剤を用いる方法と、II)レーザ加工による方法がある。これを、図4、5に示す。
I)の造孔剤を用いる方法では、図4の(1)工程に示すように、まず、撥水性微細多孔層4を構成するカーボン粒子、PTFE粒子、溶剤等を混合したペーストを塗布して、ペースト状態の撥水性微細多孔層4を形成する。次いで(2)工程にて、ペースト状態の撥水性微細多孔層4の表面に、形成したい孔径と同じ大きさの造孔材を散布する。造孔材は、例えば、300℃以上の高温で揮発する有機物を略球状に成形したもので、(3)工程にて、造孔材をローラーまたは板で押圧して、撥水性微細多孔層4に埋め込む。ここでは、例えば造孔材の下半部が、撥水性微細多孔層4の厚みの半分程度の深さまで埋め込まれるようにしている。その後、(4)工程にて、造孔材が揮発する温度以上の高温で熱処理することにより、撥水性微細多孔層4の固化、乾燥と、孔開けを同時に行うことができる。
図4に示した方法では、造孔材の揮発により撥水性微細多孔層4の上表面に開口し、下方へ向けて徐々に孔径が小さくなる、撥水性微細多孔層4を貫通しない孔が形成される。このような孔は、例えば、上記図1の拡散層41、42においてガス流路の上流側に形成される多数の孔4aとして、使用することができる。また、使用する造孔剤の大きさや散布・押圧方法等を調整することにより、所望の形状の孔を形成することができる。例えば、孔径は造孔剤の直径、孔数は造孔剤の散布密度、孔深さはローラーの高さ位置またはスペーサを設置することで制御することができる。よって、これらの変更により、上記図1の拡散層41、42においてガス流路の下流側に形成される多数の孔4bを形成することができ、さらにこれら多数の孔4a、4bの孔径、孔数、孔深さ等を、要求される特性に応じて領域ごとに、あるいは領域内で段階的に変更することも可能である。
II)のレーザ加工による方法では、撥水性微細多孔層4に厚み方向からレーザを照射して孔を形成する。レーザの出力特性が、図5(a)に示す分布を有していることから、レーザにより開けた孔はテーパ状となる。また、図5の(b)に示すように、孔径はレーザの絞り、孔の深さはレーザの出力と照射回数によって制御することができることが、実験的に確認されている。これらI)の造孔剤を用いる方法、II)のレーザ加工による方法によって、0.1〜100μmの範囲で孔径を制御することができる。
図6に、本発明に適用可能な第4の形態において、燃料電池セルCの主要部である膜電極接合体1を構成する拡散層45の構成を示す。本形態においても基本単位となる燃料電池セルCの構造は上記各実施形態と同様であり、以下、相違点を中心に説明する。本形態では、上記実施形態のように撥水性微細多孔層4に多数の孔4a、4bを形成する代わりに、膜電極接合体1の電極を構成する拡散層45を、比較的粒径の大きい微粒子を焼結した微細多孔層全体を撥水処理した撥水性微細多孔層4’を用いて形成するとともに、ガス流路下流側のフラッディングを防止したい領域には、触媒層31、32側の表面(図の下面)に、焼結した微粒子よりも細かい撥水性微細多孔層としての微粒子層46を形成する。
形態においても、撥水性微細多孔層4’の構成材料は、上記各実施形態と同様であり、例えば、導電性微繊維または微粒子、撥水性微粒子等を使用することができる。この時、使用する微粒子の平均粒径を1μm以上、好適には、平均粒径が1〜20μmとなるようにするとよく、粒子間に排水経路となる十分な隙間を形成する。微粒子層46としても同様の構成材料を使用することができる。平均粒径は、撥水性微細多孔層4’の構成材料より小さくし、好適には1μm以下となるようにするとよい。
具体的には、平均粒径が1〜20μmの金属微粒子、例えばTi微粒子を焼結した微細多孔層を形成し、その下流側の表面に、金属微粒子より細かいカーボン粒子、PTFE粒子等を混合したペーストを塗布して、200〜400℃で焼成・乾燥させ、微粒子層46を形成する。さらに全体に撥水処理を行って、拡散層45とする。撥水処理としては、例えば、プラズマCVD処理、撥水材に漬け込む、撥水材をスプレーで吹き付ける、または、はけで塗布した後、乾燥させる、といった処理を行うことができる。
このようにして形成された拡散層45は、ガス流路の上流側では、撥水性微細多孔層4’の比較的大きい微粒子同士が結合した状態であり、孔4cを有する形状となる。一方、ガス流路の下流側では、撥水性微細多孔層4’の触媒層31、32側の表面に、より細かい微粒子からなる微粒子層46を形成しており、ガス流路51、61側は比較的大きい微粒子同士が結合した状態であるので、孔4d径は触媒層31、32側からガス流路51、61側へ向けて徐々に大きくなる形状となる。
よって、本形態の下流側の構成について、上述した各実施形態と同様の効果が得られ、上述した各実施形態において、本形態の下流側の構成を適用すれば、ガス流路の上流側では、ガス流路51、61側へ向けて孔径が小さくなることで、触媒層31、32側への水移動を促して、乾燥を防止し、一方、下流側では、ガス流路51、61側へ向けて孔径が大きくなることで、触媒層31、32側からガス流路51、61側への水移動を促して、排水性を向上させ、フラッディングを防止することができる。
図7は、本発明の効果を確認するために行った試験結果を示す図である。試験は、上記図1の第1実施形態に示した拡散層に多数の孔を形成した構成において行い、下流側に形成した孔径を触媒層側(孔径約1μm)からガス流路側(孔径約100μm)に向けて厚み方向で孔径を変えたもの(実施例)と、出力特性を調べたと、厚み方向で孔径が同じであるもの(比較例)とで、出力特性を比較した。図に明らかなように、高負荷側で出力が大幅に向上しており、出口側における排水性が良好となって水詰まりが改善され、反応ガスの拡散性が向上した結果と判断される。
上記各実施形態では、拡散層の孔径を上流側と下流側とで変えているが、ガス流路形状その他、燃料電池セルC構造に応じて、必要な特性が得られるように、乾燥を防止したい領域やフラッディングを防止したい領域を任意に設定することができる。また、乾燥を防止したい領域やフラッディングを防止したい領域において、孔径や孔数を段階的に変更したり、孔を設けない領域を設けたりしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明が適用される燃料電池は、上記図示の構成に限定されるものではなく、通常公知の燃料電池システムに用いられる種々の構成に適用することが可能である。
(a)は本発明の第1の実施形態における燃料電池セルの概略構成図、(b)は、(a)のA−A線断面図であり、(c)は燃料電池セルを形成する膜電極接合体の構成を示す部分概略断面図である。 本発明の第2の実施形態における燃料電池の主要部である膜電極接合体の構成を示す部分概略断面図である。 本発明の第3実施形態における燃料電池の主要部である膜電極接合体の構成を示す部分概略断面図である。 本発明の第1の実施形態において、膜電極接合体の拡散層への孔形成工程を示す概略断面図である。 本発明の第1の実施形態において、膜電極接合体の拡散層への孔形成方法の他の例を示す概略断面図である。 第4の形態における燃料電池の主要部である膜電極接合体の構成を示す部分概略断面図である。 本発明の効果を説明するための燃料電池の出力特性図である。 本発明おいて孔内を水が移動するメカニズムを説明するための図である。
符号の説明
C 燃料電池セル
1 膜電極接合体
11 電解質膜
21 燃料極
22 酸化剤極
31、32 触媒層
4 撥水性微細多孔層
41、42 拡散層
4a、4b 孔
5 燃料側セパレータ
51 燃料ガス流路
6 酸化剤側セパレータ
61 酸化剤ガス流路

Claims (3)

  1. 電解質膜の両面に電極を構成する触媒層および拡散層を配設した膜電極接合体を備え、該膜電極接合体の一方の面側に燃料ガスが供給されるガス流路を形成するとともに、他方の面側に酸化剤ガスが供給されるガス流路を形成してなる燃料電池において、
    上記拡散層の少なくとも触媒層側を撥水性微細多孔層にて形成し、かつ該撥水性微細多孔層の触媒層表面に開口する孔を設け、
    該孔径は、上記ガス流路の上流領域では、上記触媒層から上記ガス流路側へ向けて孔径が小さくなるように形成し、
    上記ガス流路の下流領域では、上記触媒層から上記ガス流路側へ向けて孔径が大きくなるように形成したことを特徴とする燃料電池。
  2. 上記拡散層は、上記撥水性微細多孔層の所定位置に孔開けすることにより、所定形状の多数の孔を形成する請求項1記載の燃料電池。
  3. 上記拡散層は、上記撥水性微細多孔層に造孔材を埋め込み、熱処理することによって孔形状を制御する請求項2記載の燃料電池。
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