JP5194756B2 - プラズマディスプレイ用前面フィルターおよびこれを用いたプラズマディスプレイ - Google Patents
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Description
また、プラズマディスプレイパネルは、外部が明るい条件、すなわち明室条件では、コントラストが不十分となり画像品質が低下するという問題があった。
さらに、プラズマディスプレイパネルは高輝度な表示特性が得られるものの、強度の電磁波を放出し、各種の計器類や人体に対して障害を及ぼすことが示唆されつつある。
このため、異なる機能を発現する層を1つの層に集約して構成する層の数を少なくすることが考えられる。しかし、例えば、近赤外線を遮蔽するための層とNe光を遮蔽するための層とを兼ねた近赤外線・Ne光遮蔽層を外光遮蔽層に設けて構成する層の数を少なくする場合、外光遮蔽層を構成する紫外線硬化型樹脂材料に含有される重合開始剤から発生するラジカルによって近赤外線やNe光を吸収するための色素が劣化するという問題があり、層構成が簡便で優れた機能を発現する前面フィルターに対する要望が高まっている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、良好な透明性を有し近赤外線やNe成分の発光等の遮蔽性に優れ、かつ、コントラスト向上に優れるコントラスト向上シートと、これらの機能とともに良好な電磁波遮蔽性を具備する前面フィルターと、画像品質に優れ製造コストの低減も可能なプラズマディスプレイを提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記バリア層は、真空成膜法により形成された無機薄膜であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記バリア層は、湿式塗布法により形成された有機薄膜、あるいは、ゾルゲル法により形成された有機−無機ハイブリット薄膜、または無機薄膜であるような構成とした。
また、本発明のプラズマディスプレイ用前面フィルターは、プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートと電磁波遮蔽層を備え、該電磁波遮蔽層側をプラズマディスプレイパネルに固着させて配設するためのプラズマディスプレイ用前面フィルターであって、前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートは、透明フィルム基材と、該透明フィルム基材の一方の面に順次積層された透明樹脂層と粘着層とを備え、該透明樹脂層は紫外線硬化型の樹脂組成物を用いて形成され前記該粘着層との界面側に溝部を備え、該溝部には紫外線硬化型の黒色樹脂組成物を用いて形成された黒色樹脂が充填されており、前記粘着層は前記透明樹脂層との界面側に位置するバリア粘着層と該バリア粘着層に積層された近赤外線・Ne光遮蔽粘着層とを有し、前記バリア粘着層は前記透明樹脂層や前記黒色樹脂を構成する成分が前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層へ移行するのを防止するものであり、前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層は粘着剤に少なくとも近赤外線吸収用の色素およびNe光吸収用の色素を含有したものであり、前記電磁波遮蔽層は、前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に固着されたものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記バリア粘着層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂の少なくともいずれか1種であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記透明樹脂層の前記溝部は、相互に平行な複数の溝部、あるいは、格子形状に形成された溝部であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記電磁波遮蔽層は、透明基材と、該透明基材上に設けられた導電体パターンを有し、前記透明基材の該導電体パターンが配設されている面が前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に固着されているような構成、前記導電体パターンは表面に導電性黒色被膜を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記電磁波遮蔽層は、透明基材と、該透明基材上に形成された誘電体膜と導電膜との複合膜を備え、前記複合膜が前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に固着されているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記透明フィルム基材上に反射防止層を最外層となるように有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記前面板と前記前面フィルターとの間に他の基材が介在するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基材は、前記前面板と空間を設けて配設されたガラス基板であるような構成とした。
また、本発明のプラズマディスプレイは、電磁波、近赤外線およびNe光の放出が抑制され、かつ、明室条件でのコントラストが高く画像品質に優れるものである。そして、使用する前面フィルターが最外層に反射防止層を備える場合には、外光の影響を抑制して、より高品質の画像表示が可能となる。
[コントラスト向上シート]
(第1の実施形態)
図1は、本発明のプラズマディスプレイ用のコントラスト向上シートの一実施形態を示す部分断面図である。図1において、コントラスト向上シート1は、透明フィルム基材2と、この透明フィルム基材2の一方の面2aに順次積層された透明樹脂層3、バリア層6、近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7と、この近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7に剥離可能に配設された離型性基材8を備えたものである。また、コントラスト向上シート1を構成する透明樹脂層3は、バリア層6との界面側の面3aに溝部4を備えており、この溝部4には、黒色樹脂5が充填されている。
本発明のコントラスト向上シート1を構成するバリア層6は、透明樹脂層3や黒色樹脂5を構成する成分が近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7へ移行するのを防止するものである。すなわち、透明樹脂層3や黒色樹脂5に含有される重合開始剤から発生するラジカルによって、近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7に含有される近赤外線やNe光を吸収するための色素が劣化するのを防止するものである。
また、バリア層6を、湿式塗布法により形成された有機薄膜、あるいは、ゾルゲル法により形成された有機−無機ハイブリット薄膜、無機薄膜とすることもできる。上記の有機薄膜としては、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、4−メチルペンテン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリレート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、もしくはマレイン酸樹脂等を挙げることができる。また、有機−無機ハイブリッド薄膜としては、ポリシロキサンオリゴマー等と有機ポリマー等とからなるゾルゲル材料、無機薄膜としてはポリシロキサンオリゴマー等からなるゾルゲル材料等を挙げることができる。このようなバリア層6の厚みは、例えば、0.5〜10μm程度の範囲で適宜設定することができる。
本発明のコントラスト向上シート1を構成する近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7は、粘着剤に少なくとも近赤外線吸収用の色素およびNe光吸収用の色素を含有したものである。
近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7に使用する粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
また、Ne光吸収用の色素は、Neの発光スペクトル帯域である570〜600nmの波長領域に吸収極大を有する色素を使用することができ、例えば、アザポルフィリン系、シアニン系、アゾ系等を挙げることができる。このようなNe光吸収用の色素の近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7における含有量は、例えば、0.01〜4重量%の範囲で適宜設定することができる。
このような近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7の厚みは、例えば、5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲で適宜設定することができる。
このようなコントラスト向上シート1は、透明樹脂層3の溝部4に位置する黒色樹脂5が、外部からの入射光を有効に吸収してプラズマディスプレイのコントラストを向上させる機能を発現するとともに、従来の前面フィルターでは個々の層として存在していた近赤外線を遮蔽するための層とNe光を遮蔽するための層と粘着層とが、1つの層(近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7)に集約されて形成されているので、構成する層の数が少なく、したがって、光透過率が高く、同時に、製造コストの低減が可能となる。また、バリア層6が透明樹脂層3や黒色樹脂5から近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7へのラジカルの移行を阻害するので、近赤外線やNe光を吸収するための色素の劣化が防止され、近赤外線・Ne光遮蔽機能を安定して発現することができる。
まず、透明フィルム基材2上に透明樹脂層用の放射線硬化型の樹脂組成物を塗布して透明樹脂塗膜3′を形成し、この透明樹脂塗膜3′に溝部形成用の金型9を押圧する(図3(A))。この状態で透明フィルム基材2側から放射線を照射して透明樹脂塗膜3′を硬化させ、その後、金型9を取り外して、複数の溝部4を備えた透明樹脂層3を形成する(図3(B))。
次いで、透明樹脂層3上に放射線硬化型の黒色樹脂組成物を塗布し、ドクターで余分な黒色樹脂組成物を掻き取って、溝部4に黒色樹脂組成物を充填し、その後、放射線を照射して硬化させる。これにより、黒色樹脂5が、断面楔形の溝部4に充填される。次に、この透明樹脂層3上に、真空成膜法、湿式塗布法、あるいは、ゾルゲル法によりバリア層6を形成する(図3(C))。
図4は、本発明のプラズマディスプレイ用のコントラスト向上シートの他の実施形態を示す部分断面図である。図4において、コントラスト向上シート11は、透明フィルム基材12と、この透明フィルム基材12の一方の面12aに順次積層された透明樹脂層13、粘着層17と、この粘着層17に剥離可能に配設された離型性基材18を備えたものである。また、コントラスト向上シート1を構成する透明樹脂層13は、粘着層17との界面側の面13aに溝部14を備えており、この溝部14には、黒色樹脂15が充填されている。また、粘着層17は、透明樹脂層13との界面側に位置するバリア粘着層17Aと、このバリア粘着層17Aに積層された近赤外線・Ne光遮蔽粘着層17Bとからなっている。
本発明のコントラスト向上シート11を構成するバリア粘着層17Aは、透明樹脂層13や黒色樹脂15を構成する成分が近赤外線・Ne光遮蔽粘着層17Bへ移行するのを防止するものである。すなわち、透明樹脂層13や黒色樹脂15に含有される重合開始剤から発生するラジカルによって、近赤外線・Ne光遮蔽粘着層17Bに含有される近赤外線やNe光を吸収するための色素が劣化するのを防止するものである。
このようなコントラスト向上シート11は、透明樹脂層13の溝部14に位置する黒色樹脂15が、外部からの入射光を有効に吸収してプラズマディスプレイのコントラストを向上させる機能を発現するとともに、従来の前面フィルターでは個々の層として存在していた近赤外線を遮蔽するための層とNe光を遮蔽するための層と粘着層とが、1つの層(近赤外線・Ne光遮蔽粘着層17B)に集約されて形成されているので、構成する層の数が少なく、したがって、光透過率が高く、同時に、製造コストの低減が可能となる。また、バリア粘着層17Aが透明樹脂層13や黒色樹脂15から近赤外線・Ne光遮蔽粘着層17Bへのラジカルの移行を阻害するので、近赤外線やNe光を吸収するための色素の劣化が防止され、近赤外線・Ne光遮蔽機能を安定して発現することができる。
まず、上述のコントラスト向上シート1の製造と同様にして、透明フィルム基材2上に、溝部14を備えた透明樹脂層13を形成する(図5(A))。
次いで、透明樹脂層13上に放射線硬化型の黒色樹脂組成物を塗布し、ドクターで余分な黒色樹脂組成物を掻き取って、溝部14に黒色樹脂組成物を充填し、その後、放射線を照射して硬化させる。これにより、黒色樹脂15が、断面楔形の溝部14に充填される(図5(B))。
次いで、上記のシートのバリア粘着層17Aを透明樹脂層13に密着するようにラミネートすることにより、本発明のコントラスト向上シート11が得られる(図5(D))。
上述のコントラスト向上シートは例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
本実施形態の前面フィルターは、本発明のコントラスト向上シートの透明フィルム基材に電磁波遮蔽層を有するものである。
図6は、このような前面フィルターの一実施形態を示す部分断面図である。図6において、前面フィルター21は、本発明のプラズマディスプレイ用コントラスト向上シート1の透明フィルム基材2に、粘着層23を介して電磁波遮蔽層22を備えるものである。
前面フィルター21を構成する電磁波遮蔽層22は、十分な電磁波遮蔽機能を発現するために、そのシート抵抗は0.001〜2Ω/□の範囲であることが好ましい。尚、シート抵抗は三菱化学(株)製ロレスタを用いて4端子法により測定する。
また、粘着層23は、透明フィルム基材2と電磁波遮蔽層22とを固着できるものであれば、その種類等には特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を使用することができる。
本実施形態の前面フィルターも、上述の実施形態と同様に、本発明のコントラスト向上シートの透明フィルム基材に電磁波遮蔽層を有するものである。
図7は、このような前面フィルターの実施形態を示す部分断面図である。図7において、前面フィルター31は、本発明のプラズマディスプレイ用コントラスト向上シート11の透明フィルム基材12に、粘着層33を介して電磁波遮蔽層32を備えるものである。
前面フィルター31を構成する電磁波遮蔽層32は、十分な電磁波遮蔽機能を発現するために、そのシート抵抗は0.001〜2Ω/□の範囲であることが好ましい。
また、粘着層33は、上述の粘着層23と同様とすることができる。
本実施形態の前面フィルターは、本発明のコントラスト向上シートの近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に電磁波遮蔽層を固着して備えるものである。
図8は、このような前面フィルターの実施形態を示す部分断面図である。図8において、前面フィルター41は、本発明のプラズマディスプレイ用コントラスト向上シート1の近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7に電磁波遮蔽層42を備えるものである。
前面フィルター41を構成する電磁波遮蔽層42は、十分な電磁波遮蔽機能を発現するために、そのシート抵抗は0.001〜2Ω/□の範囲であることが好ましい。
本実施形態の前面フィルターも、上述の第3の実施形態と同様に、本発明のコントラスト向上シートの近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に電磁波遮蔽層を固着して備えるものである。
図9は、このような前面フィルターの実施形態を示す部分断面図である。図9において、前面フィルター51は、本発明のプラズマディスプレイ用コントラスト向上シート11の近赤外線・Ne光遮蔽粘着層17Bに電磁波遮蔽層52を備えるものである。
前面フィルター51を構成する電磁波遮蔽層52は、十分な電磁波遮蔽機能を発現するために、そのシート抵抗は0.001〜2Ω/□の範囲であることが好ましい。
次に、上述の前面フィルター21、31、41、51を構成する電磁波遮蔽層22、32、42、52について説明する
電磁波遮蔽層22を構成する透明基材24は、適度な透明性と耐熱性を有していることが必要であり、例えば、透明フィルム基材2と同様の材料を使用することができ、厚みは、例えば、20〜200μmの範囲で適宜設定することができる。また、導電体パターン25は、格子形状、相互に平行は複数のストライプ形状等とすることができ、導電体パターン25の幅W2は5〜50μm、好ましくは10〜30μm、また、ピッチP2は100〜500μm、好ましくは150〜350μmの範囲で適宜設定することができる。
導電体パターン25は、例えば、透明基材24上の導電体層を形成し、この導電体層上に所望のレジストパターンを設け、次いで、このレジストパターンをマスクとして導電体層をエッチングし、レジストパターンを剥離することにより形成することができる。また、形成した導電体パターン25上に黒色電気めっきにより導電性黒色被膜を形成してもよい。
また、導電体パターン25は、透明基材24上に、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、電子印刷等の印刷法により無電解めっき用の触媒を所望のパターンで印刷し、このパターン上に無電解めっきにより金属を析出することにより形成することができる。この場合も、形成した導電体パターン25上に黒色電気めっきにより導電性黒色被膜を形成してもよい。
さらに、導電体パターン25は、透明基材24上に、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、スズ、ニッケル等の導電性微粒子を含有させた導電性インクを所望のパターンで印刷し、その後、焼成により有機成分を除去することにより形成することができる。この導電性インクの導電性が不十分な場合には、さらに電気めっきにより銅等の導電性金属被膜を形成してもよい。さらに、このように形成した導電体パターン25上に黒色電気めっきにより導電性黒色被膜を形成してもよい。
電磁波遮蔽層32を構成する透明基材34は、適度な透明性と耐熱性を有していることが必要であり、例えば、透明フィルム基材2と同様の材料を使用することができ、厚みは、例えば、50〜300μmの範囲で適宜設定することができる。また、透明樹脂層35は、適度な透明性と耐熱性を有していることが必要であり、例えば、上述の透明樹脂層3と同様の材料を使用することができ、厚みは、例えば、50〜500μmの範囲で適宜設定することができる。また、溝部35の深さD3は75〜300μm、好ましくは100〜150μm、幅W3は10〜80μm、好ましくは15〜40μm、ピッチP3は50〜300μm、好ましくは50〜100μmの範囲で適宜設定することができる。さらに、溝部36の断面形状は、図示例では台形であるが、これに限定されるものではなく、例えば、楔形であってもよく、さらに、図2(B)、図2(C)に示されるような溝部4と同様の断面形状であってもよい。
まず、透明基材34上に透明樹脂層用の放射線硬化型の樹脂組成物を塗布して透明樹脂塗膜35′を形成する(図12(A))。次に、この透明樹脂塗膜35′に溝部形成用の金型39を押圧し、この状態で透明基材34側から放射線を照射して透明樹脂塗膜35′を硬化させ(図12(B))、その後、金型39を取り外して、複数の溝部36を備えた透明樹脂層35を形成する(図12(C))。
次いで、透明樹脂層35上に導電性ペーストを塗布し、ドクターで余分な導電性ペーストを掻き取って、溝部36内に導電性ペーストを充填し、その後、焼成処理を施して有機成分を除去して導電材37とすることにより、電磁波遮蔽層32が得られる(図12(E))。
電磁波遮蔽層42を構成する透明基材44は、上述の透明基材34と同様とすることができる。また、複合膜45は、導電膜46a,46bと誘電体膜47a,47bとが交互に積層されたものであり、例えば、導電膜46a,46bとして銀、銅、アルミ等の薄膜、誘電体膜46a,46bとしてインジウム錫酸化膜(ITO)等の薄膜を用いることができる。このような導電膜46a,46bと誘電体膜47a,47bは、スパッタリング法等の真空成膜法により形成することができ、透明性と電磁波遮蔽性を考慮して積層する薄膜の数、積層順序を設定することができる。また、導電膜46a,46bや誘電体膜47a,47bの個々の薄膜の厚みは、例えば、0.01〜0.1μm程度、複合膜44の厚みは0.02〜1μm程度とすることができる。
紫外線吸収層としては、例えば、紫外線吸収剤を分散含有する紫外線吸収フィルムであってよく、従来公知の紫外線吸収剤を含有するポリエチレンテレフタレートフィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリウレタン系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、シリコーン系フィルム等を使用することができる。
本発明のプラズマディスプレイは、プラズマディスプレイパネルの前面板に本発明の前面フィルターを備えたものである。
図14は、本発明のプラズマディスプレイの一例を示す概略構成図であり、プラズマディスプレイ61は、プラズマディスプレイパネル62の前面板側に、図6に示される本発明の前面フィルター21を、その近赤外線・Ne光遮蔽粘着層7を固着させることにより配設したものである。同様に、図7に示される本発明の前面フィルター31の近赤外線・Ne光遮蔽粘着層17Bを、プラズマディスプレイパネル62の前面板側に固着して配設することにより、本発明のプラズマディスプレイとすることができる。
本発明のプラズマディスプレイ61,71に使用するプラズマディスプレイパネル62,72は、平行に対向して配設された前面板および背面板と、この前面板と背面板との間に形成された多数のセルとを有するものであり、従来公知のAC型プラズマディスプレイパネル、DC型プラズマディスプレイパネルを使用することができる。また、粘着層73はプラズマディスプレイパネル72と前面フィルター51とを固着でき光透過性の高いものであれば、その種類等には特に制限はない。
また、本発明のプラズマディスプレイは、プラズマディスプレイパネルの前面板と前面フィルターとの間に他の基材が介在するものであってもよい。このような基材としては、例えば、プラズマディスプレイパネルの前面板と空間を設けて配設されたガラス基板であってよく、また、調色層等であってもよい。
尚、上述の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
[実施例1]
透明フィルム基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーT−60、厚み188μm)を準備し、この透明フィルム基材の一方の面に、紫外線硬化型の樹脂組成物(JSR(株)製 オプトマー)をダイコーターで塗布して透明樹脂塗膜(厚み200μm)を形成した。
次に、この透明樹脂塗膜に溝部形成用の金型を押圧し、この状態で透明フィルム基材側から放射線を照射して透明樹脂塗膜を硬化させ、その後、金型を取り外して、複数の溝部を平行に備えた透明樹脂層(厚み180μm)を形成した。使用した溝部形成用の金型は、断面が楔形(底辺が20μm、高さ105μm)の連続凸状体が平板上に75μmのピッチで相互に平行に配設されたものであり、形成された溝部は、この金型の楔形の連続凸状体の形状を反映したものであった。すなわち、溝部は、深さが105μm、幅が20μm、ピッチが75μmの断面楔形をなすものであった。
次に、透明樹脂層上にスパッタリング法により酸化窒化シリコン膜からなる薄膜を形成してバリア層(厚み150nm)とした。
(近赤外線・Ne光遮蔽粘着層用の組成物)
・アクリル樹脂PTR−2500T(日本化薬(株)製) …120.0重量部
(粘着剤)
・IRG068(日本化薬(株)製)(NIR吸収色素) … 1.0重量部
・TAP−2(山田化学工業(株)製)(Ne光吸収色素) … 0.1重量部
次いで、透明樹脂層上のバリア層に近赤外線・Ne光遮蔽粘着層を固着するようにしてラミネートして本発明のコントラスト向上シートを得た。
実施例1のバリア層形成に替えて、バリア層用ゾルゲル材料(日本触媒(株)製 FX−C310L)をダイコーターにより透明樹脂層上に塗布し、120℃、10分間の加熱処理を施してバリア層(厚み1μm)を形成した他は、実施例1と同様にして、コントラスト向上シートを作製した。
実施例1と同様にして、断面楔形の溝部に黒色樹脂を密に充填する工程までを行った。
一方、離型性基材として、離型フィルム(東洋紡(株)製 PETフィルム、厚み25μm)を準備し、この離型性基材の一方の面に下記組成の近赤外線・Ne光遮蔽粘着層用組成物と、バリア粘着層用組成物(新日鐵化学(株)製 V259−PHA)をダイコーターにより積層塗布し、120℃、10分間の加熱処理を施した。これにより、離型性基材上に近赤外線・Ne光遮蔽粘着層(厚み40μm)とバリア粘着層(厚み10μm)との2層構造の粘着層を形成した。
(近赤外線・Ne光遮蔽粘着層用の組成物)
・アクリル樹脂PTR−2500T(日本化薬(株)製) …120.0重量部
(粘着剤)
・IRG068(日本化薬(株)製)(NIR吸収色素) … 1.0重量部
・TAP−2(山田化学工業(株)製)(Ne光吸収色素) … 0.1重量部
次いで、黒色樹脂が溝部に充填された上記の透明樹脂層に粘着層を固着するようにしてラミネートして本発明のコントラスト向上シートを得た。
バリア層を形成しない他は、実施例1と同様にして、コントラスト向上シートを作製した。
実施例1〜3、比較例において作製したコントラスト向上シートについて、近赤外線・Ne光の遮蔽性能の評価を下記の条件で行った。その結果、実施例1〜3のコントラスト向上シートは安定した近赤外線・Ne光遮蔽性能を発現することが可能であった。しかし、比較例のコントラスト向上シートは近赤外線・Ne光遮蔽性能が経時的に劣化(500時間経過で遮蔽機能が半減)し、安定した近赤外線遮蔽性能が得られなかった。
(近赤外線・Ne光の遮蔽性能の評価条件)
環境試験機(温度80℃・dryおよび温度60℃・湿度90%)にて1000
時間保管し、波長300nm〜1300nmの分光透過率測定をおこなった。
透明基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製A4100、厚み75μm)を準備し、この透明基材の一方の面に真空蒸着法で銅薄膜(厚み25μm)を形成した。次に、この銅薄膜上にレジスト(大日精化(株)製 Eブルー)をグラビア印刷で形成してレジストパターンを設け、このレジストパターンをマスクとして銅薄膜を塩化第二鉄エッチング液でエッチングし、レジストパターンを剥離した。これにより、透明基材上に格子形状の導電体パターン(線幅20μm、線ピッチ280μm)を備えた電磁波遮蔽シートを形成した。
次に、上記の電磁波遮蔽シートの透明基材側に粘着シート((株)巴川製紙所製 TD06A、厚み40μm)を貼りあわせ、この粘着層を介して、実施例1のコントラスト向上シートの透明フィルム基材上に固着して電磁波遮蔽層とした。これにより、本発明の前面フィルターを得た。
このように得られた前面フィルターの電磁波遮蔽層のシート抵抗を三菱化学(株)製ロレスタを用いて4端子法により測定した結果、0.02Ω/□であり、良好な電磁波遮蔽性能を有することが確認された。また、波長300〜700nmでの全光線透過率を(株)島津製作所製 分光光度計を用いて測定した結果、55%であり、良好な透明性を備えることが確認された。
透明基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーT−60、厚み100μm)を準備し、この透明フィルム基材の一方の面に、紫外線硬化型の樹脂組成物(JSR(株)製 オプトマー)をダイコーターで塗布して透明樹脂塗膜(厚み100μm)を形成した。
次に、この透明樹脂塗膜に溝部形成用の金型を押圧し、この状態で透明フィルム基材側から放射線を照射して透明樹脂塗膜を硬化させ、その後、金型を取り外して、複数の溝部を平行に備えた透明樹脂層(厚み85μm)を形成した。使用した溝部形成用の金型は、断面が台形(下底が4μm、上底が10μm、高さ20μm)の連続凸状体が平板上に300μmのピッチで格子形状に配設されたものであり、形成された溝部は、この金型の楔形の連続凸状体の形状を反映したものであった。すなわち、溝部は、深さが20μm、開口幅が10μm、底部の幅が4μm、ピッチが300μmの断面台形の格子形状パターンをなすものであった。
この電磁波遮蔽シートの透明基材側に、実施例2と同様にして粘着層を形成し、この粘着層を介して、実施例1のコントラスト向上シートの透明フィルム基材上に固着して電磁波遮蔽層とした。これにより、本発明の前面フィルターを得た。
このように得られた前面フィルターの電磁波遮蔽層側のシート抵抗を実施例2と同様に測定した結果、0.2Ω/□であり、良好な電磁波遮蔽性能を有することが確認された。また、全光線透過率を実施例4と同様に測定した結果、50%であり、良好な透明性を備えることが確認された。
2,12…透明フィルム基材
3,13…透明樹脂層
4,14…溝部
5,15…黒色樹脂
6…バリア層
7…近赤外線・Ne光遮蔽粘着層
16…粘着層
17A…バリア粘着層
17B…近赤外線・Ne光遮蔽粘着層
8,18…離型性基材
21,31,41,51…前面フィルター
22,32,42,52…電磁波遮蔽層
24,34,44…透明基材
25…導電体パターン
35…透明樹脂層
36…溝部
37…導電材
45…複合層
46a,46b…導電膜
47a,47b…誘電体膜
61,71…プラズマディスプレイ
62,72…プラズマディスプレイパネル
Claims (14)
- プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートと電磁波遮蔽層を備え、該電磁波遮蔽層側をプラズマディスプレイパネルに固着させて配設するためのプラズマディスプレイ用前面フィルターにおいて、
前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートは、透明フィルム基材と、該透明フィルム基材の一方の面に順次積層された透明樹脂層とバリア層と近赤外線・Ne光遮蔽粘着層とを備え、該透明樹脂層は紫外線硬化型の樹脂組成物を用いて形成され前記バリア層との界面側に溝部を備え、該溝部には紫外線硬化型の黒色樹脂組成物を用いて形成された黒色樹脂が充填されており、前記バリア層は前記透明樹脂層や前記黒色樹脂を構成する成分が前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層へ移行するのを防止するものであり、前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層は粘着剤に少なくとも近赤外線吸収用の色素およびNe光吸収用の色素を含有したものであり、
前記電磁波遮蔽層は、前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に固着されたものであることを特徴とするプラズマディスプレイ用前面フィルター。 - 前記バリア層は、真空成膜法により形成された無機薄膜であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- 前記バリア層は、湿式塗布法により形成された有機薄膜、あるいは、ゾルゲル法により形成された有機−無機ハイブリット薄膜、または無機薄膜であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートと電磁波遮蔽層を備え、該電磁波遮蔽層側をプラズマディスプレイパネルに固着させて配設するためのプラズマディスプレイ用前面フィルターにおいて、
前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートは、透明フィルム基材と、該透明フィルム基材の一方の面に順次積層された透明樹脂層と粘着層とを備え、該透明樹脂層は紫外線硬化型の樹脂組成物を用いて形成され前記該粘着層との界面側に溝部を備え、該溝部には紫外線硬化型の黒色樹脂組成物を用いて形成された黒色樹脂が充填されており、前記粘着層は前記透明樹脂層との界面側に位置するバリア粘着層と該バリア粘着層に積層された近赤外線・Ne光遮蔽粘着層とを有し、前記バリア粘着層は前記透明樹脂層や前記黒色樹脂を構成する成分が前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層へ移行するのを防止するものであり、前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層は粘着剤に少なくとも近赤外線吸収用の色素およびNe光吸収用の色素を含有したものであり、
前記電磁波遮蔽層は、前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に固着されたものであることを特徴とするプラズマディスプレイ用前面フィルター。 - 前記バリア粘着層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂の少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- 前記透明樹脂層の前記溝部は、相互に平行な複数の溝部、あるいは、格子形状に形成された溝部であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- 前記電磁波遮蔽層は、透明基材と、該透明基材上に設けられた導電体パターンを有し、前記透明基材の該導電体パターンが配設されている面が前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に固着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- 前記導電体パターンは表面に導電性黒色被膜を有することを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- 前記電磁波遮蔽層は、透明基材と透明樹脂層とを備え、該透明樹脂層は前記透明基材と反対側の面に、相互に平行な複数の溝部、あるいは、格子形状に形成された溝部を備え、該溝部には導電材が充填されており、前記透明樹脂層が前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に固着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- 前記電磁波遮蔽層は、透明基材と、該透明基材上に形成された誘電体膜と導電膜との複合膜を備え、前記複合膜が前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記近赤外線・Ne光遮蔽粘着層に固着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- 前記プラズマディスプレイ用コントラスト向上シートの前記透明フィルム基材上に反射防止層を最外層となるように有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- 平行に対向して配設された前面板および背面板と、前記前面板と背面板との間に形成された多数のセルとを有するプラズマディスプレイパネルと、該プラズマディスプレイパネルの前面板側に配設された前面フィルターとを備え、該前面フィルターは請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用前面フィルターであり、前面フィルターの前記電磁波遮蔽層側をプラズマディスプレイパネルの前面板に対向するように配設されていることを特徴とするプラズマディスプレイ。
- 前記前面板と前記前面フィルターとの間に他の基材が介在することを特徴とする請求項12に記載のプラズマディスプレイ。
- 前記基材は、前記前面板と空間を設けて配設されたガラス基板であることを特徴とする請求項13に記載のプラズマディスプレイ。
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