JP2004221208A - ディスプレイ用電磁波遮蔽光学フィルター - Google Patents

ディスプレイ用電磁波遮蔽光学フィルター Download PDF

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Masaaki Kikkai
正彰 吉開
Satoru Okada
岡田  知
Yukinori Asakawa
浅川  幸紀
Shin Morohashi
諸橋  慎
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Abstract

【課題】点状欠陥の極めて少ない電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルターを提供する。
【解決手段】透明フィルム基体上に銀を含む多層の導電性金属積層薄膜を形成した透明電磁波遮蔽積層体フィルム、反射防止機能等を有する層、透明支持基板、及びこれらを貼合するための粘着剤層からなる電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルターにおいて、その多層導電性金属積層薄膜に接する粘着剤を、ベンゾトリアゾール、アミノ酸、メルカプタン等の銀の凝集防止成分含有粘着剤とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルターに関し、より詳しくは点状欠陥の発生が抑制されたディスプレイ用光学フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチメディア社会、デジタル社会の進展につれて、送信、配信若しくは処理される画像情報やデジタル情報が飛躍的に増大しており、これを表示するモニターであるディスプレイ装置は、人間と通信機器、映像機器、コンピュータ等をつなぐインターフェースとして、又はキーデバイスとしてますますその重要性を増している。
【0003】
かかるディスプレイ装置として、従来の重く、厚く、かつ、大型化が困難であるブラウン管(CRT)モニターに代えて、種々の薄型ディスプレイが精力的に検討されており、なかでも薄型化、大画面化が比較的容易に実現できるプラズマディスプレイパネル(PDP)やフィールドエミッションデスプレイ(FED)等が注目されている。
【0004】
特にPDPは、研究開発の段階から、量産化が開始され始めたところであるが、新聞等で報道されているとおり、現在、そのメーカー各社とも年々倍増する大幅な増産計画を打ち出しており、またその成長性をにらんで数社が新規参入を発表していることからも、今後急速にその市場が拡大することが期待されている。
【0005】
しかしながら、プラズマディスプレイは、構造原理上、放電を利用しているので、強度の漏洩電磁波を必然的に発生するという固有の問題があり、当該漏洩電磁波が人体や他の機器に与える影響を考慮して、プラズマディスプレイから発生する漏洩電磁波を所定の安全基準値〔例えば、日本では、VCCI(Voluntary Control Council for Interference by data processing equipment electronicoffice machine)、米国では、FCC(Federal Communication commission)〕以内に抑えることが必要となってきている。
【0006】
またプラズマディスプレイは、強い近赤外線光を発し、無線LAN、コードレスフォン、赤外線リモートコントローラ等の電子機器に作用して、誤動作を引き起こす原因となることも指摘されており、そのため、プラズマディスプレイからの、近赤外領域である800〜1000nmの波長領域の光を、誤動作が生じない実用上問題ないレベルまでカットする必要がある。
【0007】
上記のごとき電磁波と近赤外線放出を抑えるためには、フィルター全面に渡って導電性があり、電磁波及び近赤外線遮断用光学フィルターの開発が必須である。しかも、当該フィルターは、ディスプレイ全面に設置した場合、観者の画像の視認を妨げない、透明性に優れたフィルターであることが基本的に要請される。
【0008】
かかる光学フィルターとしては、電磁波遮断能力はあるが近赤外線遮断能力や透明性が優れず、モワレ像が生じるというディスプレイ用途としては本質的な問題を有するいわゆる金属メッシュタイプのフィルターに代わって、透明導電性薄膜を基体全面に配置した、モワレ像の発生がない透明導電性薄膜タイプの光学フィルターが今後より好ましく用いられると予想される。
【0009】
透明導電性薄膜タイプの光学フィルターは、透明フィルム基体上に、電磁波を遮蔽するための透明導電性金属薄膜層を多層に形成して透明電磁波遮蔽積層体フィルムとし、当該積層体フィルムが、透明基板に、粘着剤を介して貼り合わせられる(ラミネートされる)場合が多い。また、通常、反射防止機能や防眩機能を有するフィルムが、当該透明電磁波遮蔽積層体フィルム表面に同様に粘着剤や接着剤を介して貼り合わせられる。
【0010】
光学フィルターの電磁波遮断能力は、当然のことながら、当該光学フィルターの面抵抗値が低いほど優れるので、通常、純物質の中で最も比抵抗値が低い銀又は銀を主体とする金属薄膜を積層し、上記透明導電性薄膜を得ることが行われている。実際には、さらに、透過率上昇及び金属薄膜層の安定性向上の目的で、当該銀からなる金属薄膜層を、透明高屈折率薄膜層で挟み込み、透明電磁波遮蔽積層体を形成するのが通常である。
【0011】
しかしながら、よく知られているように、金属薄膜層材料として好適に用いられる銀は、きわめて原子の凝集を生じやすいという大きな問題がある。銀薄膜層の銀原子が凝集すると、金属薄膜としての低抵抗性が損なわれる他、銀白色の点(点状欠陥、又は反射性欠陥、白点とも称される。)を生じる。
【0012】
ディスプレイ用の光学フィルターに、このような反射性欠陥が多く生じた場合は、当該フィルターをセットした大型のプラズマディスプレイ上に映し出される数々の迫力ある映像、例えば鮮明な森林、海洋、山岳地帯、大草原、花畑等の美しい風景画像;サッカー、野球等のスポーツ中継;歌舞伎やオペラ等の劇場中継等の美麗な画像上で、この反射性欠陥がスクリーン上を白い点としてチラチラすることになり、視聴者はこれが気になって、せっかくの大画面に映し出される迫力ある精緻なカラー映像を、心から楽しむことができなくなる。このように、白点は、当該金属薄膜材料の有する、高透明性や低抵抗性を喪失せしめる大きな問題となるとともに、フィルターとしての商品価値を大幅に下落させるものである。
【0013】
特に近年、所謂ホームシアター等にも好適な、画面が40インチ以上の大画面のPDPが、消費者の人気を呼び、かなりの高額商品であるにかかわらず、予想以上に売れ始めているが、この場合、当該画面にあわせて、光学フィルターも大型のものが要求される。銀薄膜層は、スパッタリングやイオンプレーティング等により形成されるが、薄膜を形成する面積が増大するにつれて、パーティクル等の混入の機会が増えるため、基本的には全体として、白点の発生する頻度が増加することは確率的に避けられない。従って、ますます大型化するPDP用の光学フィルターにおいては、その銀薄膜層に白点が生ずることを、より有効に防止する技術は、今後一層要求されると考えられる。
【0014】
従来、かかる銀薄膜層の銀原子の凝集は、例えば、塩素イオンや異物(パーティクル)等の存在下において発生しやすいことが知られており、異物・塩素の除去を行う試みが特公昭59−44993号公報、特開平9−331488号公報で報告されているが、より高いレベルでの銀原子の凝集抑制が求められている。また、透明高屈折率薄膜層を厚くすることにより、当該塩素イオン等が銀薄膜層に到達するのを防止することも試みられている。しかしながら、光学フィルターは上記のとおり、高い透明性が要求されるものであり、光学設計上、かかる高透過性を維持するためには、その厚さは数十nm程度に抑えざるを得ず、防止能が不十分である場合が多い。
【0015】
また、耐蝕性を向上させるため、銀薄膜層に、銅やプラチナ等の耐蝕性のある金属薄膜を積層することも試みられているが、かかる銀以外の金属薄膜を導入することは、当該銀薄膜材料それ自体の有する、本来の高透明性や低抵抗性が、どうしても低下することは避けられないという問題がある。
【特許文献1】特公昭59−44993号公報
【特許文献2】特開平9−331488号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このように、白点の発生を効果的に防止しうるディスプレイ用光学フィルターを提供することである。本発明者らはかかる観点から鋭意検討した結果、意外なことに、貼り合わせに際し、当該貼り合わせに使用する粘着剤層中として銀の凝集防止成分含有粘着剤を用いることにより、白点の発生が効果的に抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、請求項に記載されている以下の発明が提供される。
(1)透明基体(A)と
銀を含む多層の導電性金属積層薄膜(B)と
反射防止若しくは防眩機能を有する層(C)とこれらを組み合わせて貼合するための粘着剤層(D)
とからなる電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルターにおいて、当該積層体フィルムの多層導電性金属積層薄膜(B)に接する当該粘着剤が、銀の凝集防止成分含有粘着剤(D1)であることを特徴とするディスプレイ用電磁波遮蔽光学フィルター。
(2) 前記銀の凝集防止成分含有粘着剤(D1)の可視光線透過率が40%以上であることを特徴とする光学フィルター。
(3) 前記銀の凝集防止成分が下記(i)〜(iv)から選択される少なくとも一成分である(1)又は(2)に記載の光学フィルター。
(i)ベンゾトリアゾール、インダゾール、イミダゾール及びそれらの誘導体、
(ii)アミノ酸、アミノ酸エステル類、アミノ酸のアルカリ金属塩、アンモニア及びアミン類の塩、
(iii)メルカプタン又はその誘導体、及び
(iv)銀キレート化合物類
(4) 前記銀の凝集防止成分が粘着剤層(D1)に0.01〜10質量%含有されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光学フィルター。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明のディスプレイ用電磁波遮断光学フィルターは、
透明基体(A)と
銀を含む多層の導電性金属積層薄膜(B)と
反射防止若しくは防眩機能を有する層(C)と
これらを組み合わせて貼合するための粘着剤層(D)
とからなり、多層導電性金属積層薄膜(B)に接する当該粘着剤が、銀の凝集防止成分含有粘着剤(D1)である。これらの層の構成は任意であるが、例えば、
1,透明基体(A)としてガラス板、多層導電性金属積層薄膜(B)として透明フィルムに多層導電性金属積層薄膜を形成した透明電磁波遮蔽積層体フィルム、反射防止若しくは防眩機能を有する層(C)として反射防止フィルム若しくは防眩フィルムを用い、これらを粘着剤(D)、粘着剤(D1)で貼合した構成。
2,透明基体(A)としてガラス板、多層導電性金属積層薄膜(B)は上記ガラス板上に形成された薄膜、反射防止若しくは防眩機能を有する層(C)として反射防止フィルム若しくは防眩フィルムを用いこれらを粘着剤(D)、粘着剤(D1)で貼合した構成。
等が挙げられる。
【0020】
これらの各構成要素を以下に説明する。
(透明基体(A))
上記の透明基体(A)としては機械的強度や、軽さ、割れにくさからは、プラスチック板が望ましいが、熱による変形等の少ない熱的安定性からガラス板も好適に使用できる。プラスチック板の具体例を挙げると、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をはじめとするアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、透明ABS樹脂等が使用できるが、これらの樹脂に限定されるものではない。特にPMMAはその広い波長領域での高透明性と機械的強度の高さから好適に使用できる。プラスチック板の厚みは十分な機械的強度と、たわまずに平面性を維持する剛性が得られればよく、特に限定されるものではないが、通常1mm〜10mm程度である。ガラス板を使用する場合は、化学強化加工または風冷強化加工を行った半強化ガラス板または強化ガラス板を用いることが望ましい。重量を考慮すると、その厚みは1〜4mm程度である事が好ましい。また、これらガラス板またはプラスチック板の、ディスプレイ用フィルタ周縁部となる部分に黒色等の有色の額縁印刷を施しても良い。
【0021】
また後述する高分子フィルムを透明基体(A)とすることも出来るし、耐衝撃性を有する柔軟な透明シートを透明基体(A)とすることも出来る。これらを用いて得られる光学フィルターは、直接PDPモジュールに貼合して用いることが好ましい。
(多層導電性金属積層薄膜層(B))
本発明の多層導電性金属積層薄膜層(B)は、例えば透明基体(A)上に直接形成されたり後述する高分子フィルム上や、反射防止若しくは防眩機能を有するフィルム上に形成させることもできる。これらの中では生産効率や品質管理の面等から高分子フィルム上に多層導電性金属積層薄膜を形成した透明電磁波遮蔽積層体フィルムを多層導電性金属積層薄膜層(B)として用いる方法が特に好ましい。図1は、本発明における透明電磁波遮蔽積層体フィルム10の層構成の一例を示すものであって、基本的に、まず透明フィルム基体13上に、銀を含む導電性金属薄膜15を積層するが、好ましくは、当該金属薄膜を、透明高屈折率薄膜17で挟むように、交互に積層して、透明導電性金属積層薄膜18とし、透明電磁波遮蔽積層体フィルム10を形成したものである。
【0022】
透明フィルム基体13としては、厚み10〜600μm程度の、可撓性のある透明性の高い高分子フィルムが好ましく用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリスルフォン(PS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。中でもポリエチレンテレフタレート(PET)及びトリアセチルセルロース(TAC)が、特に好適に用いられる。
【0023】
本発明において用いられる、導電性金属薄膜15の材料としては、銀または銀の合金が好ましいものとして採用される。すなわち銀は、比抵抗が、1.59×10−6(Ω・cm)と、あらゆる材料の中で最も電気伝導性に優れる上に、薄膜の可視光線透過率が優れるため、最も好適に用いられるのである。但し、銀は、薄膜とした時に安定性を欠き、硫化や塩素化を受け易いという問題を持っているので、その安定性を向上させるため、銀を含む、すなわち具体的には、銀を主体とする銀合金、例えば、銀と金の合金、銀と銅の合金、銀とパラジウムの合金、銀と銅とパラジウムの合金、銀と白金の合金等も好適に用いられる。
【0024】
かかる銀を含む金属薄膜層15の厚さは、透明導電性金属薄膜層全体の透過性及び電気伝導性を考慮して決定されるが、通常は、0.5〜100nm程度である。
【0025】
本発明においては、図1に示すように、金属薄膜層15を単独で使用する場合に比較して、これと透明高屈折率薄膜層17との多層の積層体18とすることにより、さらに充分な電磁波遮断効果を奏することが可能となる。なお、最表面に金属薄膜層を設けている場合は、最表面における主たる金属である銀の元素組成が、3〜99%(原子割合)であることが好ましい。
【0026】
透明高屈折率薄膜層17は、透明性の高い、例えば、膜厚100nm程度の薄膜を形成したときに、その薄膜の波長400〜700nmの光に対する透過率が60%以上であるような、透明性に優れた材料が好ましく、また、550nmの光に対する屈折率が、1.4以上の材料であるような、高屈折率材料が好ましい。 かかる透明高屈折率薄膜層用に好適に用いることができる材料としては、上記の要請を満たすようなものであれば、特に限定するものではないが、例えば、インジウムとスズとの酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、カドミウムとスズとの酸化物(CTO)、酸化アルミニウム(Al)、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化トリウム(ThO)、酸化スズ(SnO)、酸化ランタン(LaO)、酸化シリコン(SiO)、酸化インジウム(In)、酸化ニオブ(Nb)、酸化アンチモン(Sb)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セシウム(CeO)、酸化ビスマス(BiO)等が好ましく使用される。また、透明高屈折率硫化物を用いてもよく、具体的に例示すると、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化アンチモン(Sb)等があげられる。
【0027】
透明高屈折率薄膜用材料としては、中でも、ITO、ZnO及びTiOが特に好ましい。ITO及びZnOは、導電性を持つ上に、可視領域における屈折率が、2.0程度と高く、さらに可視領域にほとんど吸収を持たないためであり、TiOは、絶縁物であり、可視領域にわずかな吸収を持つが、可視光に対する屈折率が2.3程度と大きいことによる。
【0028】
図1に示したような、透明導電性金属薄膜層15と透明高屈折率薄膜層17の多層積層体形成は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等の従来公知の手法によることができる。
【0029】
なかでもスパッタリング法は、膜厚を制御した多層積層の形成には好適であり、金属薄膜層と高屈折率薄膜層の積層、例えば、銀または銀を含む合金からなる金属薄膜層と主として酸化インジウムで構成される高屈折率薄膜層とを容易に繰り返して連続的に成膜できるため好ましい。
【0030】
具体的には、銀または銀を含む合金からなる金属薄膜層の形成には、銀または銀を含む合金をターゲットとし、スパッタガスには、アルゴン等の不活性ガスを用い、通常、圧力0.1〜20mTorr、直流(DC)あるいは高周波(RF)マグネトロンスパッタリング法を好ましい例として挙げることが出来る。
【0031】
また、例えば酸化インジウムで構成される高屈折率薄膜層の形成には、インジウムを主成分とする金属ターゲットまたは酸化インジウムを主成分とする焼結体ターゲットを用い、スパッタガスにはアルゴン等の不活性ガスを、反応性ガスには酸素を用い、通常圧力0.1〜20mTorr、直流(DC)あるいは高周波(RF)マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングを適用することができる。
(反射防止若しくは防眩機能を有する層(C))
本発明の反射防止若しくは防眩機能を有する層(C)は、好ましくは反射防止フィルムや防眩フィルムが用いられる。
【0032】
反射防止フィルム(ARフィルム)とは、基体とする適当な高分子フィルム等の上に反射防止層を形成したフィルムであり、反射防止層が形成されている面の可視光線反射率が、例えば0.1%以上、2%以下、好ましくは、0.1%以上、1.5%以下、より好ましくは、0.1%以上、0.5%以下の性能を有するフィルムである。この反射防止膜が形成されている面の可視光線反射率は、反対面(反射防止膜が形成されていない面)をサンドペーパー等で粗面として、黒色塗装等により、反対面の反射をなくして、反射防止層が形成されている面のみで起こる反射光を測定することにより知ることができる。
【0033】
基体である高分子フィルム等の上に形成する反射防止層としては、種々の方法を採用することができるが、例えば、具体的には、可視光領域において屈折率が1.5以下、好適には、1.4以下程度と低い、(a)シリコン系やフッ素系の透明高分子樹脂、フッ化マグネシウム、酸化ケイ素の薄膜等を、例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、(b)屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物窒化物、硫化物等の無機化合物又はシリコン系樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したものが使用可能である。
(a)単層形成したものは、製造が容易であるが、反射防止性が多層積層に比べ劣るのに対し、(b)多層積層したものは、広い波長領域にわたって反射防止能を有し、基体フィルムの光学特性による光学設計の制限が少ないという特徴がある。これらは目的とする光学フィルターの特性に応じて適宜選択して使用される。
【0034】
なお、上記無機化合物薄膜の形成には、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、室式塗工法等、従来公知の方法を用いればよい。
【0035】
また、防眩性フィルム(AGフィルム)は、0.1〜10μm程度の微少な凹凸を表面に有し且つ可視光線に対して透明なフィルムである。
【0036】
防眩性を付与するためには、下記した好適な例を始めとする種々の方法を適用することができる。
(c)例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂に、シリカ、メラミン、アクリル等の無機化合物または有機化合物の、粒径1〜40μm程度の粒子を分散させインキ化したものを、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法等によって透明高分子フィルム上に塗布硬化させ樹脂被膜層中に光分散性の粒子を分散させたもの。
(d)例えばアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂を基体である高分子等のフィルム上に塗布し、所望のヘイズ又は表面状態に対応する凹凸や粗面を有する型を押しつけてた後硬化させ、表面に凹凸等を形成して粗面としたもの。
(e)ガラス板をフッ酸等でエッチングするように、基体フィルム表面を薬剤処理して粗面化したもの。
【0037】
なお、防眩性フィルムにおいては、適当な凹凸が表面に形成されていればよく、作成方法は、上記に挙げた方法に限定されるものではない。
【0038】
防眩性フィルムのヘイズは、例えば0.5%以上20%以下程度であり、好ましくは、1%以上10%以下である。ヘイズがあまり小さすぎると防眩機能が不十分であり、ヘイズが大きすぎると平行光線透過率が低くなり、ディスプレイ視認性が悪くなる。また、この防眩性フィルムは、多くの場合、ニュートンリング防止フィルムとして用いることができる。
【0039】
なお、反射防止層を形成する基体であるフィルムとして、上記した防眩性フィルムを用いてもよい。この場合は、一枚のフィルムで防眩性機能と反射防止機能を併せ持った光学フィルム(いわゆるAR−AGフィルム)とすることができ、好適に用いられる。
(粘着剤(D)、粘着剤(D1))
本発明において、透明基体(A)と多層導電性金属積層薄膜層(B)と反射防止若しくは防眩機能を有する層(C)の、少なくとも2層は粘着剤(D)、粘着剤(D1)を介して貼合される。
【0040】
粘着剤(D)としては、できるだけ透明なものが好ましい。当該粘着剤は光学フィルターの構成層の一部となるので、フィルターの視認性を確保するため、少なくとも、ディスプレイからの光線透過部である中心部分に用いられる粘着剤は可視光線に対して充分透明である必要があるからである。
【0041】
使用可能な粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系粘着剤、ポリビニルブチラール(PVB)系粘着剤等が好ましいものとしてあげられる。なかでも、アクリル系粘着剤は、透明性及び耐熱性に優れるために特に好ましく用いられる。
【0042】
アクリル系粘着剤は、通常(メタ)アクリル酸共重合体を主成分とするものであって、例えば、メチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、これと共重合可能な極性単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、マレイン酸、イタコン酸等とを溶液重合やエマルション重合せしめて製造される。
【0043】
なお、当該粘着剤には、公知の添加成分である、ロジン、ロジンエステル、クマロン樹脂、テルペン樹脂等の粘着付与剤、脂肪酸エステル、動植物油脂、ワックス、石油重質留分等の軟化剤、各種充填剤、顔料、老化防止剤、安定剤、架橋剤等を適宜配合することもできる。
(銀の凝集防止成分)
本発明においては、接着剤(D1)は多層導電性金属積層薄膜に接する粘着剤(D)に、当該銀の凝集防止成分が含有されることを特徴とする。
【0044】
銀の凝集防止成分とは、一般的に銀又は銀の合金に対して防錆剤として知られているものであって、本発明においては、これを好適に使用することができる。
【0045】
かかる銀の凝集防止成分としては、例えば下記(i)〜(iv)から選択される少なくとも一成分であることが好ましい。
(i)ベンゾトリアゾール、インダゾール、イミダゾール及びそれらの誘導体、
(ii)アミノ酸、アミノ酸エステル類、アミノ酸のアルカリ金属塩、アンモニア及びアミン類の塩、
(iii)メルカプタン又はその誘導体、及び
(iv)銀キレート化合物からなる成分である。
【0046】
上記の銀凝集防止成分を、より詳しく説明する。
(i)のベンゾトリアゾールの誘導体としては、例えば、2−メチルベンゾトリアゾール、2−フェニルベンゾトリアゾール、5、6−メチルベンゾトリアゾール、ドデシルベンゾトリアゾール、5−ベンゾトリアゾールカルボン酸、ハロゲン化ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、及びカルボキシベンゾトリアゾールのエステル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシルなどのエステル、ベンゾトリアゾールモノエタノールアミン塩、ベンゾトリアゾールジイソプロピルアミン塩、ベンゾトリアゾールシクロヘキシルアミン塩、ベンゾトリアゾールモルホリン塩、メチルベンゾトリアゾールシクロヘキシルアミン塩等である。
【0047】
また、インダゾールの誘導体としては、例えば4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール、5−ニトロ−3−メチルインダゾール、4,6−ジニトロ−5,7−ジメチルインダゾール、5,7−ジニトロ−6−メチルインダゾール等が挙げられる。
【0048】
さらにイミダゾールの誘導体としては、例えば2−オクチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタンデシルイミダゾール、1−(2−メチルフェニル)−2−メルカプトイミダゾール、2−n−プロピル−4−エトキシカルボニル−5−(1−ヒドロキシ−1−メチル)エチル−イミダゾール、2−n−プロピル−4,5−ビス(エトキシカルボニル)イミダゾールなどのアルキルイミダゾール類が挙げられる。
(ii)のアミノ酸類として、銀や銀合金と反応して錯化合物を形成することのできる中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、含硫アミノ酸、芳香属アミノ酸及び異節環状アミノ酸が含まれる。
【0049】
好ましいアミノ酸類としては、例えば、グリシン、アラニン(L−アラニン、β−アラニン)、バリン、ロイシン、イソロイシン、ジソロイシン、セリン、トレオニン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、リシン、ヒドロキシリシン、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、β−アミノ安息香酸等が挙げられる。そしてこれらのアミノ酸の、アミノ酸エステル、アミノ酸のアルカリ金属塩、アンモニア及びアミン類の塩でもよい。
(iii)のメルカプタンの誘導体としては、ジスルフィド、チオールエステル等のメルカプタンから誘導される密接な関係にある分子も含み、例えば、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、2−ヒドロキシプロピルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2−ヒドロキシブチルオクチルメルカプタン、2−ヒドロキ−3−メチルブチルメルカプタン、メルカプト酢酸、o−メルカプト安息香酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトコハク酸、1−メルカプトウンデシル酸、チオフェノール、2−メルカプトエタノール、フェニルジスルフィド、ジメチルスルフィド、2,2’−ジニトロソベンゼンジスルフィド、ジチオビス(4−メトキシ−2−ニトロソベンゼン)、ジアリルスルフィド、N−(2−ヒドロキシメチル)メルカプトアセトアミド、2,2’−ジメルカプトジエチルエーテル、2,2’−ジメルカプトジエチルチオエーテル、2,2’−ジチオビス(1−ニトロソナフタレン)、1,2−エタンジチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、グリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、グリコールジメルカプトアセテート、ヒドロキシエチルオクチルスルフィド、ヒドロキシエチルドデシルスルフィド、β−ヒドロキシエチルメルカプトプロピオン酸メチル等が挙げられる。
【0050】
(iv)の銀キレート化合物からなる成分は、主に有機銀キレート化合物であり、アセチルアセトン銀、トリフルオロアセチルアセトン銀、エチレンジアミン銀、エチレンジアミンジ酢酸銀、エチレンジアミンジプロピオン酸銀、エチレンジアミンジコハク酸銀、エチレンジアミンジグルタル酸銀、トリメチレンジアミンジ酢酸銀、トリメチレンジアミンジプロピオン酸銀、2−ヒドロキシトリメチレンジアミンジ酢酸銀、トリメチレンジアミンジコハク酸銀、2−ヒドロキシトリメチレンジアミンジコハク酸銀、フタロシアニン銀、ヘモシアニン、エチレンジアミンテトラアセテート銀、ジメチルジチオカルバメート銀、ジエチルジチオカルバメート銀、ヒドロキシキノリン銀等が挙げられる。またクエン酸銀、酒石酸銀、乳酸銀、酢酸銀等の有機酸銀塩も同等に用いることができる。
【0051】
これら銀の凝集防止成分は、二種類以上を併用することも可能である。
【0052】
上記銀の凝集防止成分は、適当な溶剤、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、セロソルブ、エタノール、2−プロパノール等に溶解して粘着剤に添加し良く混合分散させることが好ましい。
【0053】
当該銀の凝集防止成分の粘着剤層中での含有量は、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲であることが望ましい。これより含有量があまり低い場合は、本発明の効果を奏することが困難になり、また、含有量が高い方が銀の凝集防止効果は大きいが、含有量があまり高い場合は、当該接着剤層の可視光線透過率が低下するため好ましくない。本発明においては、銀の凝集防止成分を含ませた粘着剤層の可視光線透過率は、好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上である。
【0054】
なお、実際に使用する場合の粘着剤の形態は、大きく分けてシート状のものと液状のものに分けられるが、実用上充分な粘着強度を付与することができるものであれば、いずれの形態の粘着剤であっても好適に使用することができる。
【0055】
シート状粘着剤は、通常、感圧型であり、貼り付ける一方の部材、例えば反射防止若しくは防眩性能を有するフィルムの機能層とは反対側の面上に、離型剤を取り除いたシート状粘着剤をラミネートした後に、さらにこの上に、もう一方の部材、例えば透明電磁波遮蔽積層体フィルムをラミネートして加圧することによって当該二つの部材の貼り合わせを行うのである。
【0056】
一方、液状粘着剤は、基本的に、張り合わせる部材の対向する面の少なくとも一つに、当該粘着剤を塗布し、これを介して二つの部材を貼り合わせ後に室温放置または加熱により硬化させるものである。液状粘着剤の塗布方法としては、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ロールコート法等が挙げられ、粘着剤の種類、粘度、塗布量等から適宜選択される。
【0057】
形成された粘着剤層の厚みに特に制限はないが、通常0.5〜50μm、好ましくは、1〜30μm程度である。
【0058】
なお、いずれの粘着剤を用いた場合でも、貼り合わせを行った後は、当該貼り合わせた時に混入する気泡を脱泡又は、粘着剤に固溶させ、さらには部材間の密着力を向上させるために、加圧、加温条件下において、養生を行うことが好ましい。加圧条件としては、一般的に0.001〜2MPa程度、加温条件としては、部材の耐熱性にもよるが、一般的には室温以上、80℃以下である。
【0059】
(光学フィルターの組み立て)
本発明の光学フィルターは、
透明基体(A)と
銀を含む多層の導電性金属積層薄膜(B)と
反射防止若しくは防眩機能を有する層(C)と
これらを組み合わせて貼合するための粘着剤層(D)
とからなり、当該積層体フィルムの多層導電性金属積層薄膜(B)に接する当該粘着剤が、銀の凝集防止成分含有粘着剤(D1)であることを特徴とする。図2は、本発明に係る電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルター40の層構成の一例を示す断面図である。
【0060】
より詳しくは、図2に示すように、電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルター40は、透明電磁波遮蔽積層体フィルム10と、反射防止機能を有するフィルム30(以下、反射防止フィルムと称することがある。)(若しくは防眩機能を有するフィルム30’(以下、防眩性フィルムと称することがある。))、及び透明支持基板33を、粘着剤35(及び35’)により貼り合わせてなる構造を有するものを例示できる。ここで、当該接着剤層35(及び35’)のうち、多層導電性金属積層薄膜18に接する当該粘着剤層35は、当該銀の凝集防止成分を含有した粘着剤である。なお、50は電極である。
【0061】
この例においては、透明電磁波遮蔽積層体フィルム10と反射防止フィルム30と透明支持基板33とを粘着剤35(又は35’)を介して貼合される。貼り合わせ方法に特に制限はないが、通常は、以下の方法が採用される。すなわち、当該透明電磁波遮蔽積層体フィルム10の透明フィルム基体13側に、シート状の粘着剤35’を貼り付け、その上を離型フィルムで覆ったものをロール状態であらかじめ用意しておく。当該ロールから透明電磁波遮蔽積層体フィルム10を繰り出しながら、離型フィルムをはがし、離型された面を透明支持基板33上へ貼り付け、適当なロールで押さえつけながらこの貼り付け工程を実施するのである。ここで、粘着剤35’には、上記の銀凝集成分が含有されていても、含有されていなくても良い。
【0062】
次に、上記と同様にして反射防止フィルム30の一方の面に銀の凝集防止成分を含有したシート状の粘着剤35を貼り付け、その上を離型フィルムで覆ってロール状に巻いておく。このロールから反射防止フィルム30を繰り出しながら、離型フィルムを剥がし、この離型された面を、上記のごとくして、透明支持基板33上に貼り付けられた透明電磁波遮蔽積層体フィルム10の導電性金属薄膜18側に貼り付けてロールで押さえて貼り付ける工程を実施する。なお、銀の凝集成分を含有せしめた粘着剤35および/または粘着剤35’には、光学フィルターの近赤外線カット能を補填するため、近赤外線吸収色素を配合させてもよい。さらには、透明性を阻害しない限り、透明支持基板33や透明フィルム基体13にこのような近赤外線吸収色素を配合することも可能である。また、上記説明は、粘着剤35、粘着剤35’を使用するものとして述べたが、目的に応じて、当該粘着剤の代わりに、または当該粘着剤とともに、より接着力の強い粘接着剤や接着剤を使用することももちろん可能である。
【0063】
以上のごとくして、透明電磁波遮蔽積層体フィルム10と、反射防止フィルム等30、及び透明支持基板33を、銀の凝集防止成分を含有する粘着剤35(及び35’)によって、すでに述べた方法により貼り合わせて得られる電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルター40には、図2に示すように、通常、透明導電性金属薄膜層18から外部に電流を取り出すための電極50を形成する。
【0064】
この電極形状は、できるだけ広い面積から効率良く電流を取り出すために、外周部分に額縁上に形成することが好ましい。なお、透明導電性金属薄膜層は、外部環境に対する耐腐食性が低いため、その保護と導電性を維持する目的で、通常耐腐食性を有する導電性材料で当該金属薄膜層の表面を覆い電極とする。電極の形成方法としては、導電性塗料の塗布、印刷、導電性テープの貼り付け等の公知の手段が用いられる。
【0065】
他の例としては、図2において透明支持基板33を有さないフィルム状の電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルターも好ましい例として上げられる。この場合、透明フィルム基体13が、透明基体(A)となる。また、上記光学フィルターは、粘着剤35’を介して、PDPモジュールに直接貼合して用いることが好ましい。
【0066】
その他の例としては、透明支持基板33の代わりに、耐衝撃性を有する透明シートを透明基体(A)として用いるものが挙げられる。当該光学フィルターは粘着剤35’を介して、PDPモジュールに直接貼合して用いることが好ましい。上記の光学フィルターは、耐衝撃性を有するので、直接PDPモジュールに貼合されているにもかかわらず外部の衝撃から高価なPDPモジュールを保護することが出来る。
【0067】
【作用】
本発明に従えば、透明フィルム基体上に銀を含む多層の導電性金属積層薄膜(B)を形成した透明電磁波遮蔽積層体フィルム、反射防止若しくは防眩機能を有する層(C)、透明基体(A)、及びこれらを組み合わせて貼合するための粘着剤層(D)からなる電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルターにおいて、当該積層体フィルムの当該多層導電性金属積層薄膜に接する当該粘着剤(D)が、銀の凝集防止成分含有粘着剤(D1)であることにより、後記実施例に示されているように、その白点の発生は顕著に抑制される。
【0068】
なお、本発明においては、当該銀の凝集防止成分は、その殆どが当該粘着剤層中に存在し、直接多層導電性金属積層薄膜に接触してはいないにも係わらず、実際に白点の発生が効果的に防止されるのは、おそらく、当該銀の粘着剤中のベンゾトリアゾール、アミノ酸、メルカプタン、銀キレート化合物等の分子が、当該粘着剤中を拡散によって移動し、当該金属積層薄膜の銀層の表面に到達し、その表面に充分多量に存在しているためであろうと推定される。
【0069】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。実施例中、%とあるのは、特に断りなき限り質量%であり、部とあるのは質量部である。
〔実施例1〕
(1)(透明電磁波遮蔽積層体フィルムの形成)
図1に示す透明フィルム基体13として、ポリエチレンテレフタレートフィルム〔厚さ75μm〕を使用し、その一方の主面に、直流マグネトロンスパッタリング法を用いて、インジウムとスズとの酸化物からなるITO薄膜層(透明高屈折率薄膜層)17,銀薄膜層(透明導電性金属薄膜層)15を、透明フィルム基体(75μm)/ITO(40nm)/Ag(15nm)/ITO(80nm)/Ag(20nm)/ITO(80nm)/Ag(15nm)/ITO(80nm)なる順序に積層し、透明電磁波遮蔽積層体フィルム10を形成した。
【0070】
インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の形成には、ターゲットとして、酸化インジウム・酸化スズ焼結体〔In:SnO=90:10(質量比)〕、スパッタリングガスとしてアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa、酸素分圧5mPa)を用いた。また、銀薄膜層の形成には、ターゲットとして銀を用い、スパッタガスにはアルゴンガス(全圧266mPa)を用いた。
(2)(銀の凝集防止成分含有粘着剤)
アクリル酸ブチル94.7部とアクリル酸5部とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル0.2部を過酸化ベンゾイル0.3部の存在下でメチルイソブチルケトン中で共重合させ、質量平均分子量105万である重合溶液を得た。これにイソシアネート系の架橋剤2%及びトルエンに溶解したベンゾトリアゾールを0.2%加えて、粘着剤成分であるアクリル酸ブチル−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル−アクリル酸共重合体の20%溶液を得た(以下、粘着剤Aと称する)。また、ベンゾトリアゾールを添加しないほかは、同じ組成の粘着剤成分を調製した(以下、粘着剤Bと称する)。
(3)(ディスプレイ用光学フィルターの組み立て)
まず、透明電磁波遮蔽積層体フィルム10の面に、反射防止層を有する厚み100μmのPETフィルム30を、この銀の凝集防止成分としてベンゾトリアゾールを0.2%含む粘着剤Aにより貼り合わせた。また、当該積層体フィルム10の透明フィルム基体13の側に、透明支持基板33として2mmのPMMA基板を粘着剤Bを用いて貼り合わせた。さらに図2に示すように銀ペーストをスクリーン印刷して乾燥し、厚さ15μmの電極を形成し、ディスプレイ用光学フィルターとした。
(4)(加速耐蝕試験)
以上のごとくして得られたディスプレイ用光学フィルターを、60℃、90%RHの高温高湿度処理装置内にセットし、24時間後、銀の凝集により生じる直径0.1mm以上の点状欠陥(反射性欠陥)の発生頻度を、顕微鏡写真によって観察・測定した。
結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
Figure 2004221208
【0072】
〔実施例2〕
粘着剤Aに添加するベンゾトリアゾールの量を1.3%とするほかは、実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルターを組み立て、これについて同様に加速耐蝕試験を行った結果を表1に示した。
〔実施例3〕
粘着剤Aに添加する銀の凝集防止成分としてイミダゾールを0.2%使用するほかは、実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルターを組み立て、これについて同様に加速耐蝕試験を行った結果を表1に示した。
〔実施例4〕
粘着剤Aに添加する銀の凝集防止成分としてβ−アラニンを0.2%使用するほかは、実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルターを組み立て、これについて同様に加速耐蝕試験を行った結果を表1に示した。
〔実施例5〕
粘着剤Aに添加する銀の凝集防止成分として2−メルカプトエタノールを0.2%使用するほかは、実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルターを組み立て、これについて同様に加速耐蝕試験を行った結果を表1に示した。
〔比較例1〕
粘着剤Aに銀の凝集防止成分を添加しないほかは、実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルターを組み立て、これについて同様に加速耐蝕試験を行った結果を表1に示した。
【0073】
表1から明らかなように、ディスプレイ用光学フィルターを形成する場合、当該積層体フィルムの多層導電性金属積層薄膜に接する当該粘着剤層中に、ベンゾトリアゾール、インダゾール、アミノ酸、メルカプタン誘導体等の銀の凝集防止成分を含ませることにより、これらの防止成分を使用しない場合に比較して、銀凝集による点状欠陥の発生頻度が大幅に低下していることがわかる。
【0074】
【発明の効果】
上記実施例に示したごとく、本発明に従えば、透明フィルム基体上に銀を含む多層の導電性金属積層薄膜(B)を形成した透明電磁波遮蔽積層体フィルム、反射防止機能等を有する層(C)、透明基体(A)、及びこれらを組み合わせて貼合するための粘着剤層(D)からなる電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルターにおいて、多層導電性金属積層薄膜(B)に接する当該粘着剤が、銀の凝集防止成分含有粘着剤(D1)であることにより、銀凝集による点状欠陥の発生頻度が大幅に低下することが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における透明導電性薄膜積層体フィルムの層構成の一例を示す図である。
【図2】電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルターの層構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 透明電磁波遮蔽積層体フィルム
13 透明フィルム基体
15 銀を含む透明導電性金属薄膜層
17 透明高屈折率薄膜層
18 透明導電性金属積層薄膜
30 反射防止機能を有するフィルム(反射防止フィルム)
30’ 防眩機能を有するフィルム(防眩性フィルム)
33 透明支持基板
35 粘着剤(又は粘着剤層)
35’ 粘着剤(又は粘着剤層)
40 電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルター
50 電極

Claims (4)

  1. 透明基体(A)と
    銀を含む多層の導電性金属積層薄膜(B)と
    反射防止若しくは防眩機能を有する層(C)と
    これらを組み合わせて貼合するための粘着剤層(D)
    とからなる電磁波遮蔽用ディスプレイ用光学フィルターにおいて、当該積層体フィルムの多層導電性金属積層薄膜(B)に接する当該粘着剤が、銀の凝集防止成分含有粘着剤(D1)であることを特徴とするディスプレイ用電磁波遮蔽光学フィルター。
  2. 前記銀の凝集防止成分含有粘着剤(D1)の可視光線透過率が40%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 前記銀の凝集防止成分が下記(i)〜(iv)から選択される少なくとも一成分である請求項1又は2に記載の光学フィルター。
    (i)ベンゾトリアゾール、インダゾール、イミダゾール及びそれらの誘導体
    (ii)アミノ酸、アミノ酸エステル類、アミノ酸のアルカリ金属塩、アンモニア及びアミン類の塩、
    (iii)メルカプタン又はその誘導体、及び
    (iv)銀キレート化合物類
  4. 前記銀の凝集防止成分が粘着剤層(D1)に0.01〜10質量%含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルター。
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