JP5189102B2 - 発酵乳の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は,十分な硬さを有する発酵乳の製造方法などに関する。より具体的に説明すると,本発明は,加熱殺菌処理を施す前後に,あえて脱酸素処理や水分除去処理を施した脱脂乳を,ヨーグルトミックスに用いる発酵乳の製造方法などに関する。
発酵乳とは,乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌または酵母で発酵させ,固形状,糊状または液状にしたもの,またはこれを凍結したもので,前発酵タイプと後発酵タイプの二つのタイプに大別できる。
前発酵タイプとは,容器に詰める前のタンク内で発酵・冷却を完了させた発酵乳を破砕して,流通用の個食容器に充填したものであり,果肉入りのフルーツヨーグルトや飲むヨーグルト等に代表される。
一方,後発酵タイプとは,セットタイプとも呼ばれ,一定量のスターターを接種したヨーグルトミックスを紙容器等の流通用の個食容器に充填した後,発酵室にて所定の乳酸酸度に到達するまで発酵させてプリン状に固化させてから冷却したものである。後発酵タイプとは,いわゆるハードタイプやプレーンタイプのヨーグルト等に代表される。
特に後発酵タイプの発酵乳については,輸送される際に型崩れが起こらないように,ある程度の硬さを有することが望ましい。一方,発酵乳が硬すぎると,食感が優れないので,滑らかさのある発酵乳が望まれる。
以前より,適度な硬さと滑らかさのある発酵乳の開発が進んでおり,例えば,ヨーグルトミックスの発酵開始直前に,不活性気体(窒素等)で置換してヨーグルトミックスの溶存酸素濃度(DO)を5ppm以下に低減してから,発酵温度を30〜37℃とする発酵乳の製造方法が知られている(例えば,特許文献1参照)。
また,特許文献1と同様に,ヨーグルトミックスの発酵開始直前に,不活性気体(窒素等)で置換してヨーグルトミックスの溶存酸素濃度(DO)を5ppm以下に低減してから,発酵温度を38〜40℃とする発酵乳の製造方法がある(例えば,特許文献2参照)。
これらの特許文献1又は2に開示された方法によれば,発酵時間を短縮することができ,発酵乳の物性(カード)が緻密で滑らかなものとなり,硬さも十分なものが得られる。
上記の方法では,発酵前のヨーグルトミックスを対象として溶存酸素濃度を低減させる処理を施しているが,脱脂乳から水分を除去した脱脂濃縮乳や脱脂粉乳を用いてヨーグルトミックスを調製する場合には,脱脂乳そのものの加熱処理(殺菌)条件によっても,発酵乳の物性(組織の硬さ:カードテンション)が異なることが知られている。
具体的には,脱脂乳に対して高温短時間殺菌(HTST)処理(例えば90℃,15秒間)を施してから水分を除去した脱脂粉乳でヨーグルトミックスを調製すると,それから得られる発酵乳の硬さ(カードテンション)は妥当な大きさとなる。
図2(a)は,この場合の製造工程を示したものである。すなわち,脱脂乳にHTST処理を施し(ステップS11),水分を除去することにより脱脂粉乳を製造する(ステップS12)。この場合に,HTST処理を施して得られた脱脂粉乳をローヒート(low heat)脱脂粉乳と呼ぶことがある。ステップS12で得られたローヒート脱脂粉乳を用いてヨーグルトミックスを調製(ステップS13)した後,ヨーグルトミックスにスターターを接種して発酵させる(ステップS14)。このようにして十分な硬さ(カードテンション)の発酵乳を得ることができる(ステップS15)。
一方,超高温殺菌(UHT)処理(例えば125℃,15秒間)を施してから水分を除去した脱脂粉乳でヨーグルトミックスを調製すると,それから得られる発酵乳の硬さ(カードテンション)は小さくなる。
図2(b)は,この場合の製造工程を示したものである。この場合には,図2(a)と異なり,脱脂乳にUHT処理を施し(ステップS21),水分を除去することにより脱脂粉乳を製造する(ステップS22)。UHT処理を施して得られた脱脂粉乳をハイヒート(high heat)脱脂粉乳と呼ぶことがある。ステップS22で得られたハイヒート脱脂粉乳を用いてヨーグルトミックスを調製(ステップS23)した後,ヨーグルトミックスにスターターを接種して発酵させる(ステップS24)。この場合に,発酵乳は軟弱で硬さ(カードテンション)が不十分である(ステップS25)。
UHT処理した脱脂粉乳がHTST処理した脱脂粉乳に比べて,衛生面(細菌的な観点)で勝ることは明かである。しかしながら,上記のように,UHT処理した脱脂粉乳でヨーグルトミックスを調製し,発酵乳を製造すると,その組織が軟化して製品を流通する際の衝撃に耐えられなかった。
そのため,後発酵タイプの発酵乳を製造する場合に,UHT処理した脱脂粉乳をヨーグルトミックスへ使用することを,従来は品質面で断念せざるを得なかった。
なお,特許文献1又は2と同様に乳製品の製造過程で原料の溶存酸素濃度を低減させる処理を施す技術として,乳,又は乳を含有する未加熱液を,加熱処理する前に溶存酸素濃度を5ppm以下に低減し,UHT処理を施すものがある(例えば,特許文献3参照)。
これにより,ジメチルサルファイドの発生を抑制することができるだけでなく,生乳又は未加熱液に近似した風味を有する乳性飲料を製造することができる。しかしながら,この技術は発酵乳に関するものではなく,この技術を発酵乳の製造に用いる脱脂乳に適用した場合に,発酵乳の組織の硬さを改良することが出来るか否か明らかではなかった。
特開2005−176603号公報 特開2005−348703号公報 特開平10−295341号公報
本発明は,発酵乳の製造に脱脂乳を用いる際に,脱脂乳の加熱処理の条件にかかわらず,十分な硬さを有する発酵乳を製造する方法を提供することを目的とする。
また,本発明は,発酵乳の製造に脱脂乳を用いる際に,脱脂乳の加熱処理の条件にかかわらず,十分な硬さと共に滑らかさを有する発酵乳を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは,脱脂乳に脱酸素処理(溶存酸素濃度:5ppm以下)を施してから加熱処理した後に,水分を除去して製造した脱脂濃縮乳や脱脂粉乳でヨーグルトミックスを調製して発酵乳を製造した場合には,脱脂乳に脱酸素処理を施さない場合に比べて,発酵乳の組織(発酵乳のカード)が強固になるという知見を得た。
さらに,上記の脱酸素処理を施してから加熱処理した後に,水分を除去して製造した脱脂濃縮乳や脱脂粉乳で調製したヨーグルトミックスの発酵前に脱酸素処理を施してから,通常より低い温度(30℃〜40℃)で発酵させると,発酵乳の組織がさらに強固で滑らかになるという知見を得た。
すなわち,本発明の発酵乳の製造方法は,脱脂乳及び/又は全脂乳(生乳)に含まれる酸素濃度を低減する第1の脱酸素工程と,前記第1の脱酸素工程の後の脱脂乳及び/又は全脂乳を加熱殺菌する第1の殺菌工程と,前記第1の殺菌工程の後の脱脂乳及び/又は全脂乳から水分を除去する水分除去工程と,前記水分除去後の脱脂乳及び/又は全脂乳を用いてヨーグルトミックスを調製するヨーグルトミックス調製工程と,前記調製したヨーグルトミックスを発酵させる発酵工程と,を含む。
このように,脱酸素処理を施した後に,加熱殺菌し,さらに水分を除去した脱脂乳及び/又は全脂乳を用いて調製したヨーグルトミックスを発酵させて発酵乳を製造することで,実施例1及び2で示されるとおり,十分な硬さを有する発酵乳を製造することができる。
前記第1の脱酸素工程の後の脱脂乳及び/又は全脂乳の溶存酸素濃度は,実施例1〜6で示されるとおり,5ppm以下であることが好ましい。溶存酸素濃度を5ppm以下とすることで,発酵乳の硬さ(硬度)を確実に増すことができる。
前記第1の殺菌工程における加熱殺菌処理は,高温短時間殺菌(HTST)処理であっても超高温殺菌(UHT)処理であっても良いが,衛生面から超高温殺菌処理が好ましい。
高温短時間殺菌処理及び超高温殺菌処理のいずれを施す場合においても,それぞれ実施例1及び実施例2で示されるとおり,先に脱酸素処理を施した場合には,施さない場合(比較例1及び比較例2参照)と比べて最終的に得られる発酵乳の組織が強固となる。従って,従来は十分な硬さの発酵乳が得られないために使用することができなかった超高温殺菌処理した濃縮乳及び/又は粉乳を用いることができる。
前記水分除去後の脱脂乳は,脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳であれば良い。一方、前記水分除去後の全脂乳は,全脂濃縮乳又は全脂粉乳であれば良い。実施例5などで示されるとおり,脱脂濃縮乳を用いることで,又は実施例1などで示されるように脱脂粉乳を用いることで,特に他の液体等と混合する場合に,ヨーグルトミックスの調製が容易になる。
前記水分除去工程は,真空蒸発濃縮工程,噴霧乾燥工程,及び凍結乾燥処理の少なくともいずれか一つの工程を含めば良い。例えば,脱脂乳に真空蒸発濃縮工程を施すことにより,実施例5などで使用した脱脂濃縮乳を得ることができ,真空蒸発濃縮工程及び噴霧乾燥工程を施すことにより,実施例9などで使用した脱脂粉乳を得ることができる。また,脱脂乳に噴霧乾燥工程又は凍結乾燥工程を直接で施すことにより,実施例11などで使用した脱脂粉乳を得ることもできる。
前記ヨーグルトミックス調製工程において,前記ヨーグルトミックスの全固形分又は無脂乳固形分に対する前記水分除去後の脱脂乳の配合割合が70重量%以上とすれば良い。このような配合割合とすることで,実施例4で示されるとおり,脱酸素処理を施した後に殺菌処理し,さらに水分除去した脱脂乳(脱脂粉乳)と通常の脱脂粉乳を配合してヨーグルトミックスを調製しても,十分な硬さの発酵乳を得ることができる。また,実施例13及び実施例14で示されるとおり,前記水分除去後の脱脂乳と超高温殺菌処理を施した牛乳を,この配合割合で配合してヨーグルトミックスを調整することにより,脱酸素処理を施さずに殺菌処理した後に,水分除去した脱脂乳と超高温殺菌処理を施した牛乳を,この配合割合で配合してヨーグルトミックスを調整したものに比べて,より硬い発酵乳を得ることができる。
また,前記ヨーグルトミックス調製工程の後,前記発酵工程の前に,前記ヨーグルトミックスに含まれる酸素濃度を低減する第2の脱酸素工程と,前記第2の脱酸素工程の後のヨーグルトミックスを加熱殺菌する第2の殺菌工程と,をさらに含んでも良い。
実施例15で示されるとおり,第2の殺菌工程を含むことにより,より確実な殺菌効果が得られ衛生面で好ましいばかりでなく,実施例16で示されるとおり,第2の殺菌工程の前に第2の脱酸素工程を含むことで,より発酵乳の硬さ(硬度)を増すことができる。
さらには,前記第2の殺菌工程の後,前記発酵工程の前に,前記ヨーグルトミックスに含まれる酸素濃度を低減する第3の脱酸素工程をさらに含んでも良い。
第3の脱酸素工程を含むことで,実施例18で示されるとおり,さらに発酵乳の硬さ(硬度)を増すことができると共に,より滑らかな発酵乳が得られる。
さらに,前記第3の脱酸素工程の後の発酵工程における発酵温度は,30℃以上40℃以下が好ましい。発酵温度は乳酸菌が活動しやすい30℃以上50℃以下にすることが一般的であるが,実施例18で示されるように,低めの温度である30℃以上40℃以下(実施例18では37℃)とすることで,さらに発酵乳の硬さ(硬度)を増すことができると共に,より滑らかな発酵乳が得られる。
本発明の発酵乳の製造方法によれば,発酵乳の製造に脱脂乳を用いる際に,脱脂乳の加熱処理の条件にかかわらず,十分な硬さを有する発酵乳を製造することができ,さらには,十分な硬さと共に滑らかさも有する発酵乳を製造することができる。
本発明の発酵乳の製造方法の処理フローを示した,フローチャート図である。 従来の発酵乳の製造方法の処理フローを示した,フローチャート図である。図2(a)は,脱脂乳に高温短時間殺菌処理を施す場合の処理フローを示し,図2(b)は,脱脂乳に超高温菌処理を施す場合の処理フローを示す。
本発明の第一の態様
以下,本発明の実施形態を説明する。本発明の第一の実施態様である発酵乳の製造方法は,基本的には,脱脂乳に含まれる酸素濃度を低減する第1の脱酸素工程と,前記第1の脱酸素工程の後の脱脂乳を加熱殺菌する第1の殺菌工程と,前記第1の殺菌工程の後の脱脂乳から水分を除去する水分除去工程と,前記水分除去後の脱脂乳を用いてヨーグルトミックスを調製するヨーグルトミックス調製工程と,前記調製したヨーグルトミックスを発酵させる発酵工程と,を含む発酵乳の製造方法に関する。
図1は,本発明の第一の実施態様の概要を示したものである。すなわち,脱脂乳に第1の脱酸素工程として脱酸素処理を施し(ステップS1),第1の殺菌工程としてUHT処理を施し(ステップS2),水分を除去することにより脱脂粉乳(ハイヒート脱脂粉乳)を製造する(ステップS3)。ステップS3で得られたハイヒート脱脂粉乳を用いてヨーグルトミックスを調製(ステップS4)した後,ヨーグルトミックスにスターターを接種して発酵させる(ステップS5)。このようにして十分な硬さの発酵乳のカードを得ることができる(ステップS6)。
なお,発酵乳を製造するための原料,装置,製造条件などは,例えば,特開2004−180526号公報,特開2005−176603号公報,特開2006−288309号公報,米国特許第6025008号明細書,米国特許第5482723号明細書,米国特許第5096731号明細書,米国特許第4938973号明細書(これらの文献は,参照することにより本明細書に取り入れられる。)などに開示されており,適宜採用することができる。
本明細書において「発酵乳」とは,ヨーグルト,乳等省令で定義される「発酵乳」を指す。本発明における好ましい発酵乳は,プレーンヨーグルトなどのセットタイプヨーグルト(固形状発酵乳)である。一般に,プレーンヨーグルトは,容器に原料を充填させた後に,発酵させること(後発酵)により製造される。
従来,ヨーグルトミックスの原料としてUST処理を施した脱脂粉乳(ハイヒート脱脂粉乳)を用いると,発酵乳のカードの十分な硬さが得られないため,セットタイプの発酵乳の製造にはUST処理を施した脱脂粉乳を用いることができなかった。本発明では,UST処理を施す前に,あえて不活性ガスを混入するなどして酸素を脱気した脱脂粉乳を用いることで,商品として十分な硬さを有するヨーグルトを得ることができると考えられる。以下,本発明の各工程について詳細に説明する。
第1の脱酸素工程
第1の脱酸素工程は,脱脂乳に不活性ガスを混入するか,低圧や真空で脱気するなどして,脱脂乳中に存在している酸素を取り除くための工程である。この工程により,酸素が除かれる他,タンパク質が保護されると推測される。
「脱脂乳」とは,生乳,牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分を除去したものをいう。脱脂乳から水分を除去することにより,脱脂濃縮乳(脱脂乳を濃縮したもの)又は脱脂粉乳(脱脂乳から,ほとんどすべての水分を除去し,粉末状にしたもの)を得ることができ,このように水分を除去した脱脂乳はヨーグルトミックスの調製に好適に用いることができる。
「ヨーグルトミックス」は,ヨーグルトなどの発酵乳の原料となるもので,原料乳や発酵乳ミックスなどとも呼ばれる。本発明では,水分を除去した脱脂乳(脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳)及び/又は水分を除去した全脂乳(全脂濃縮乳又は全脂粉乳)を必ず含むヨーグルトミックスを用いる。ヨーグルトミックスには,殺菌前のものも,殺菌後のものも含まれる。脱脂乳以外のヨーグルトミックスの具体的な原料としては,水,生乳,殺菌処理した乳,全脂粉乳,バターミルク,バター,クリーム,ホエータンパク質濃縮物(WPC),ホエータンパク質単離物(WPI),α(アルファ)−La(ラクトアルブミン),β(ベータ)−Lg(ラクトグロブリン)などがあげられる。あらかじめ温めたゼラチンなどを適宜添加しても良い。ヨーグルトミックスは,公知であり,公知の方法に従って調製すれば良い。
脱酸素工程では,例えば,脱脂乳中の溶存酸素を不活性ガスにより置換するための公知の装置を適宜用いることができる。具体的には,例えば,特開2001−78665号公報,特開2001−9206号公報,又は特開2005−110527号公報(これらの文献は,参照することにより本明細書に取り入れられる。)に開示される装置を適宜用いて不活性ガスにより脱脂乳中に溶解している酸素を追い出せば良い。
特開2001−78665号公報には,以下の装置が開示されている。すなわち,同公報には,「牛乳等の溶存酸素を窒素ガスと置換する装置において,原料タンクと送液パイプで連結された窒素ガス置換タンクを設けると共に,前記送液パイプには,原料タンク側に窒素ガス供給手段を連結すると共に,前記窒素ガス置換タンク側に窒素ガス混合分散機を介装して,送液パイプの窒素ガス供給手段より上流側に連接した分岐送液パイプの他端を窒素ガス置換タンク内に導き,該部に噴霧ノズルを連接し,前記各送液パイプ,窒素ガス供給手段及び連接分岐パイプに流量制御装置を備えたことを特徴とした牛乳等の窒素ガス置換装置」が開示されている。
特開2001−9206号公報には,以下の装置が開示されている。すなわち,同公報には,「真空チャンバー内に分散盤が垂直軸を中心にして回転可能に支持され,高速回転中の前記分散盤上に供給された処理液を遠心力の作用により分散させて,液中の気泡類を脱泡・脱気する構成の装置において,前記分散盤を多段に配設して,各分散盤に処理液を分配供給することを特徴とする多段式脱泡・脱気装置」が開示されている。
特開2005−110527号公報には,以下の装置が開示されている。すなわち,同公報には,「脱気手段と,気泡の破泡手段とを具備する飲料製造装置」が開示されている。
「不活性ガス」は,ヘリウム,ネオン,アルゴン,キセノンなどの希ガスの他,窒素などのガスであっても良い。
なお,不活性ガスを混入する代わりに,脱脂乳中に溶解している酸素を脱気により取り除いても構わない。このような脱気装置としては,特開2002−370006号公報,又は特開2005−304390号公報(これらの文献は,参照することにより本明細書に取り入れられる。)に開示される装置を適宜用いることができる。
特開2002−370006号公報には,以下の装置が開示されている。すなわち,同公報には,「中空糸膜を用いて脱気する装置であって,該中空糸膜が非多孔質中空糸膜からなり,かつ膜密度が2000〜7000m/mの範囲であることを特徴とする液体処理装置」が開示されている。
特開2005−304390号公報には,以下の装置が開示されている。すなわち,同公報には,「飲料を微粒子化し減圧雰囲気に曝すことにより,前記飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置であって,前記飲料の微粒子化は,前記飲料を加圧噴霧させることにより平均粒子径50μ(マイクロ)m以上1000μm以下の微粒子とすることを特徴とする,飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置」が開示されている。
第1の脱酸素工程は,上記の装置などを用いて適宜行えば良い。脱脂乳に溶解している酸素の量(溶存酸素濃度,DO)は,脱酸素処理前では通常8ppm程度であり,具体的には,これを5ppm以下,好ましくは3ppm以下,より好ましくは2ppm以下となる程度まで脱酸素を行えば良い。
例えば,上記の特開2005−110527号公報に開示された装置を用い,不活性ガスとして窒素を用いれば,溶存酸素濃度が8ppm程度の脱脂乳に対して15分程度脱酸素処理を行うことにより,溶存酸素濃度を2ppm以下まで下げることができる。また,60分程度脱酸素処理を行えば,溶存酸素濃度を0.4ppm程度まで下げることが可能であるが,製造コスト等を勘案し,15分から20分で必要な溶存酸素濃度が得られるように処理時間を調節すれば良い。
また,上記の特開2005−304390号公報に開示された装置を用い,脱脂乳に対して脱気処理を行う場合には,温度20℃以下とした脱脂乳を,平均粒子径が50μ(マイクロ)m以上1000μm以下の微粒子となるように加圧噴霧し,−0.098MPa(ゲージ圧)〜−0.09MPa(ゲージ圧)程度の減圧雰囲気に曝すことにより,処理前では8ppm程度であった脱脂乳の溶存酸素濃度を,5ppm以下,好ましくは3ppm以下とすることができる。この場合にも,平均粒子径や減圧雰囲気の圧力を適宜制御して所望の溶存酸素濃度に調節すれば良い。
第1の殺菌工程
第1の殺菌工程は,脱脂乳を加熱殺菌する殺菌工程であり,ここでは,高温短時間殺菌(HTST)処理又は超高温殺菌(UHT)処理を行なう。HTST処理は,基本的には72℃以上の温度にて,脱脂乳を15秒以上加熱し,殺菌する処理であり,UHT処理は,基本的には,110℃以上の温度にて,脱脂乳を1秒間以上加熱し,殺菌する処理である。
HTST処理の温度として,好ましくは,80℃以上100℃以下であり,より好ましくは90℃以上95℃以下である。また,HTST処理の時間として,好ましくは15秒間以上15分間以下であり,より好ましくは15秒間以上5分間以下である。処理温度が低い場合には,十分な殺菌効果を得るために,より長時間処理を行なう必要がある。逆に,処理温度を高くすると,より短時間で十分な殺菌効果が得られるが,高い温度で処理するほど,最終的に得られる発酵乳の硬さや滑らかさが損なわれる。これらの条件を勘案すると,HTST処理の温度を90℃以上95℃以下とし,時間を15秒間以上20秒間以下とするのが好ましい。
一方,UHT処理の温度として,好ましくは120℃以上140℃以下であり,より好ましくは120℃以上130℃以下である。また,UHT処理の時間として,好ましくは1秒間以上5分間以下であり,より好ましくは1秒間以上2分間以下であり,さらに好ましくは,1秒以上1分間以下である。
UHT処理の場合にも,殺菌効果と最終的に得られる発酵乳の硬さや滑らかさを勘案すると,温度は125℃以上130℃以下とし,処理時間を1秒間以上15秒間以下とするのが好ましい。
上記の高温短時間殺菌処理及び超高温殺菌処理は,公知の装置を用いて適宜行えば良い。なお,第1の殺菌工程の後に適宜冷却を行っても良い。すなわち,殺菌工程の後に冷却工程を行っても良い。冷却工程は,加熱殺菌工程で加熱されたヨーグルトミックスを発酵温度近くの温度まで冷却するための工程である。冷却方法は,発酵乳の冷却工程において用いられる公知の方法を採用すれば良く,例えば,加熱されたヨーグルトミックスを熱交換器により冷却すれば良い。
水分除去工程
水分除去工程は,脱脂乳から水分を除去する工程であり,真空蒸発濃縮,噴霧乾燥,及び凍結乾燥といった公知の技術を用いても良い。
真空蒸発濃縮は,真空下で液体を加熱して水分を蒸発させる濃縮方法であり,真空下では液体の沸点が下がることから,液温を低いままで蒸発させることが可能なことを利用したものである。脱脂乳に真空蒸発濃縮を施すには,運転圧力を調節することにより,液体の蒸発温度を任意に調節することが可能な公知の真空蒸発濃縮装置を用いることができる。
通常の脱脂乳は水分を88%程度で含んでいるが,真空蒸発濃縮により,50〜70%まで水分を除去することが可能である。しかしながら,真空蒸発濃縮のみにより5%以下まで水分を除去して脱脂粉乳を得ることは難しいことから,脱脂濃縮乳を製造するために真空蒸発濃縮を用いることが好ましい。また,水分を完全に除去して脱脂粉乳を製造するための前処理として真空蒸発濃縮を用いても良い。例えば,脱脂濃縮乳(固形分濃度:45重量%)を得るには,真空蒸発濃縮の蒸発温度は60〜65℃とし,2〜5分間,加熱すれば良い。
噴霧乾燥は,スプレードライとも呼ばれ,熱気流中に一気に液体を噴霧して瞬間的に粉状の乾燥物を得る方法であり,液体を霧状にする方法としては,回転円盤による遠心噴霧と圧力ノズルによる加圧噴霧がある。脱脂乳に噴霧乾燥を施すには,これらの噴霧方法を採用した公知の噴霧乾燥装置を用いることができる。
脱脂乳を噴霧乾燥することにより直接,脱脂粉乳を製造することも可能ではあるが,前処理として上記の真空蒸発濃縮を施すことにより,あらかじめ水分を50〜70%まで除去しておき,その後,噴霧乾燥により水分を5%以下,好ましくは2%以下となるまで除去し,粉末状にすることにより,脱脂粉乳を製造する方が,効率が良い。噴霧乾燥の温度は,例えば160〜170℃があげられ,上記のような真空蒸発濃縮の前処理を行っておけば,噴霧乾燥を2〜6秒間程度,行うことにより,水分をほぼ完全に除去した脱脂粉乳を得ることができる。
凍結乾燥は,フリーズドライとも呼ばれ,材料をいったん凍結させ,減圧下で水分を昇華させて乾燥物を得る方法である。減圧下で水分を蒸発させる際には,加熱が必要となり,凍結乾燥の加熱温度としては,例えば40℃があげられ,この場合の凍結乾燥の時間には,約2日間があげられる。脱脂乳に凍結乾燥を施すには,公知の凍結乾燥装置を用いることができる。
以上,説明したように,脱脂乳に真空蒸発濃縮を施すことにより,水分を50〜70%まで除去すれば,脱脂濃縮乳が得られる。また,脱脂乳に真空蒸発濃縮を施した後,噴霧乾燥を施すことにより,水分を5%以下まで除去し,粉末状にすれば脱脂粉乳を得ることができる。あるいは,脱脂乳を直接噴霧乾燥又は凍結乾燥して,水分を5%以下まで除去して,粉末状にすれば脱脂粉乳を得ることもできる。
ヨーグルトミックス調製工程
本発明では,少なくとも脱脂乳(水分を除去したもの,脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳)を用いてヨーグルトミックスを調製する。例えば脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳を用いて10重量%の還元脱脂乳を調製してヨーグルトミックスとすることができる。また,脱脂粉乳に牛乳やイオン交換水を加えてヨーグルトミックスを調製しても良い。この場合に,本発明ではヨーグルトミックスの全固形分又は無脂固形分に対する水分除去後の脱脂乳の配合割合が70重量%以上となるようにするのが好ましい。この段において,スターターを接種しても良い。
「スターター」として,公知のスターターを適宜用いることができる。好ましいスターターとして乳酸菌スターターがあげられ,乳酸菌スターターとして,ラクトバチルス・ブルガリカス(L.bulgaricus),ストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus),ラクトバチルス・ラクティス(L.lactis),ラクトバチルス・ガッセリ(L.gasseri)又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の他,発酵乳の製造に一般的に用いられる乳酸菌や酵母の中から1種又は2種以上を用いることできる。これらの中では,コーデックス規格でヨーグルトスターターとして規格化されているラクトバチルス・ブルガリカス(L.bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus)の混合スターターをベースとするスターターが好ましい。このヨーグルトスターターをベースとして,さらに得ようとする発酵乳に応じて,ラクトバチルス・ガッセリ(L.gasseri)やビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)などの他の乳酸菌を加えても良い。スターターの接種量は,公知の発酵乳の製造方法において採用されている量などを適宜採用すれば良い。スターターの接種方法は,発酵乳を製造する際に用いられる公知の方法に従って行えば良い。
発酵工程
発酵工程は,ヨーグルトミックスを発酵させるための工程である。発酵工程は,2段階発酵などであっても構わない。発酵工程を経ることで,商品価値のある発酵乳を得ることができる。なお,発酵工程の前にヨーグルトミックスに対して脱酸素工程や殺菌工程を施しても良い。また,冷却工程や冷却工程以外の工程が含まれていても構わない。
発酵温度などの発酵条件は,ヨーグルトミックスに接種された乳酸菌の種類や,要求される発酵乳の風味などを考慮して適宜調整すれば良い。具体的には,発酵室内の温度(発酵温度)を30℃以上50℃以下に維持するものがあげられる。この温度であれば,一般的に乳酸菌が活動しやすいので,効果的に発酵を進めることができる。このときの発酵温度として,より好ましくは40℃以上45℃以下,さらに好ましくは41℃以上44℃以下があげられる。この温度であれば,超高温殺菌処理する前に脱脂乳の酸素濃度を低減することによる,発酵乳の食感や硬さ(硬度)を改善する効果が大きな意味を持つこととなる。すなわち,この温度では,このような処理を施さないで得られる発酵乳に比べて,より優れた発酵乳を得ることができた。超高温殺菌処理する前に脱脂乳の酸素濃度を低減しないで,従来の超高温殺菌処理をした脱脂乳を用いると,得られる発酵乳が実用上で必要な所定の硬さとならない。これに対して,超高温殺菌処理する前に脱脂乳の酸素濃度を低減したものを用いると,得られる発酵乳が実用上で必要な所定の硬さとなる。
発酵時間は,スターターや発酵温度などに応じて適宜調整すれば良く,具体的には1時間以上5時間以下があげられ,2時間以上4時間以下であっても良い。
例えば,後発酵の場合には,ヨーグルトミックスとスターターとの混合物を容器に充填する。そして,その容器を所定温度の発酵室に入れ,所定時間で維持して,ヨーグルトミックスを発酵させる。これにより発酵乳を得ることができる。
本発明の第二の態様
本発明の第二の実施態様である発酵乳の製造方法は,上記の第一の実施態様である発酵乳の製造方法において,前記ヨーグルトミックス調製工程の後,前記発酵工程の前に,前記ヨーグルトミックスに含まれる酸素濃度を低減する第2の脱酸素工程と,前記第2の脱酸素工程の後のヨーグルトミックスを加熱殺菌する第2の殺菌工程と,をさらに含む発酵乳の製造方法である。
より具体的に説明すると,脱脂乳に含まれる酸素濃度を低減する第1の脱酸素工程と,前記第1の脱酸素工程の後の脱脂乳を加熱殺菌する第1の殺菌工程と,前記第1の殺菌工程の後の脱脂乳から水分を除去する水分除去工程と,前記水分除去後の脱脂乳を用いて脱脂乳を用いてヨーグルトミックスを調製するヨーグルトミックス調製工程と,前記ヨーグルトミックスに含まれる酸素濃度を低減する第2の脱酸素工程と,前記第2の脱酸素工程の後のヨーグルトミックスを加熱殺菌する第2の殺菌工程と,前記第2の殺菌工程の後のヨーグルトミックスを発酵させる発酵工程と,を含む発酵乳の製造方法である。
この発酵乳の製造方法は,基本的には先に説明した第一の実施態様である発酵乳の製造方法と同様であるので繰り返しを避けるため,記載を引用することとして省略する。なお,ヨーグルトミックスを対象とした第2の脱酸素工程及び第2の殺菌工程についても,上記の脱脂乳を対象とした第1の脱酸素工程及び第1の殺菌工程と同様の装置を用いて,同様の条件の下に行えば良い。
実施例16で示されたように,このようにして,発酵工程の前にヨーグルトミックスに対して脱酸素及び殺菌の処理を施すことにより,より硬く滑らかな食感の発酵乳を得ることができる。第二の態様における発酵温度などの発酵条件は,第一の態様におけるものと同様であれば良い。
本発明の第三の態様
本発明の第三の実施態様である発酵乳の製造方法は,上記の第二の実施態様である発酵乳の製造方法において,前記第2の殺菌工程の後,前記発酵工程の前に,前記ヨーグルトミックスに含まれる酸素濃度を低減する第3の脱酸素工程をさらに含む発酵乳の製造方法である。
この発酵乳の製造方法も,基本的には先に説明した第一及び第二の実施態様である発酵乳の製造方法と同様であるので繰り返しを避けるため,記載を引用することとして省略する。なお,ヨーグルトミックスを対象とした第3の脱酸素工程についても,上記の脱脂乳を対象とした第1の脱酸素工程と同様の装置を用いて,同様の条件の下に行えば良い。
実施例18で示されたように,脱酸素処理の後に殺菌処理を施したヨーグルトミックスに対し,さらに脱酸素(脱気)処理したものを用いると,このような処理を施さないで得られる発酵乳に比べて,より滑らかな発酵乳を得ることができる。
第三の態様における発酵温度などの発酵条件は,ヨーグルトミックスに接種された乳酸菌の種類や,求める発酵乳の風味などを考慮して適宜調整すれば良い。具体的な例として,発酵室内の温度(発酵温度)を30℃以上50℃以下に維持するものがあげられる。このときの発酵温度として,より好ましくは30℃以上40℃以下があげられ,さらに好ましくは30℃以上37℃以下が挙げられる。この温度であれば,殺菌処理する前にヨーグルトミックスの酸素濃度を低減し,酸素濃度低減後のヨーグルトミックスを殺菌処理した後,さらに発酵する前にヨーグルトミックスの酸素濃度を低減することによる,発酵乳の食感や滑らかさを改善する効果が大きな意味を持つこととなる。すなわち,この温度では,このような処理を施さないで得られる発酵乳に比べて,より優れた発酵乳及びその製造方法を得ることができた。殺菌処理する前にヨーグルトミックスの酸素濃度を低減しない,あるいは殺菌処理する前にヨーグルトミックスの酸素濃度を低減するが,発酵する前にヨーグルトミックスの酸素濃度を低減しないで発酵すると,得られる発酵乳が十分に滑らかとならないこともあり,その製造方法においては,実用上で必要な一定の発酵時間で,発酵をコントロールしにくい。これに対して,殺菌処理する前にヨーグルトミックスの酸素濃度を低減し,酸素濃度低減後のヨーグルトミックスを殺菌処理した後,さらに発酵する前にヨーグルトミックスの酸素濃度を低減して発酵すると,得られる発酵乳が十分に滑らかとなり,その製造方法においては,実用上で必要な一定の発酵時間で,発酵をコントロールできることとなる。
本発明の発酵乳(ヨーグルト)は,十分な硬さと滑らかさの食感や物性を有することが特徴である。これらの特徴は,その発酵乳を車両などで運んだり,実際に食したりして,従来品と比較することで,明らかに認識できるが,カードメーターの解析結果からも説明できる。つまり,発酵乳の物性は例えば,ネオカードメーターM302(アイテクノエンジニアリング社製:旧・飯尾電機社製)を使用して評価できる。このカードメーターでは,100gの重りを付けたヨーグルトナイフで,発酵乳の侵入角度を測定し,この測定値を曲線で表現する。この際,ナイフの高さを縦軸をとし,100gにさらに加えた加重を横軸とする。そして,縦軸の10mmと横軸の10gとを同じ距離とする。その侵入角度曲線の破断に至るまでの距離が硬さ(硬度,弾力性,カードテンション(CT))(g)の指標であり,角度(度)が滑らかさの指標である。
以下,実施例を用いて本発明を具体的に説明する。本発明は,以下の実施例に限定されることなく,公知の手法に基づく様々な改良を加えることができるものである。
以下に示す実施例においては,上記のカードメーターで測定した硬さ及び滑らかさを用いて本発明の有効性を検証する。
以下に説明する実施例1〜18の内,実施例1〜14までは,様々な条件の下で,脱脂乳に対する脱酸素処理の有無と発酵乳の物性(硬さ、滑らかさなど)の関係を検証し,実施例15〜18では,脱脂乳に対する脱酸素処理及び殺菌処理を同じ条件で行った後,この脱脂乳を用いて調製したヨーグルトミックスに対する脱酸素処理,殺菌処理,及び発酵処理の条件を様々に変えた場合の,発酵乳の物性を検証した。
実施例1.脱脂粉乳に対する脱酸素処理(第一の脱酸素工程)の有無と発酵乳の物性の関係(その1)
脱脂乳を,溶存酸素濃度(DO)が5ppm以下となるまで脱酸素処理をしてから,高温短時間(HTST)殺菌処理し,噴霧乾燥により水分除去処理して製造した脱脂粉乳を10重量%で溶解してヨーグルトミックスを調製し,約43℃で保持して発酵乳を製造した。この場合に,得られた発酵乳の硬さは100g以上であった。
(比較例1)
脱酸素処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして発酵乳を製造した場合に,得られた発酵乳の硬さは約60gであった。
実施例1と比較例1より,殺菌方法がHTSTである場合に,脱脂乳に脱酸素処理を施すことにより,より硬い発酵乳を得ることができることが示された。
実施例2.脱脂粉乳に対する脱酸素処理(第一の脱酸素工程)の有無と発酵乳の物性の関係(その2)
脱脂乳を,溶存酸素濃度(DO)が5ppm以下となるまで脱酸素処理をしてから,超高温(UHT)殺菌処理し,噴霧乾燥により水分除去処理して製造した脱脂粉乳を10重量%で溶解してヨーグルトミックスを調製し,約43℃で保持して発酵乳を製造した。この場合に,得られた発酵乳の硬さは約55gであった。
(比較例2)
脱酸素処理を行わなかった以外は実施例2と同様にして発酵乳を製造した場合に,得られた発酵乳の硬さは約40gであった。
実施例2と比較例2より,殺菌方法がUHTである場合にも,脱脂乳に脱酸素処理を施すことにより,より硬い発酵乳を得ることができることが示された。
脱脂乳に脱酸素処理を施した場合の発酵乳について得られた約55gの硬さは,製品の流通段階で崩れることのない十分な硬さであると考えられるため,発酵乳の製造にUHT殺菌した脱脂粉乳を用いることが可能になる。
実施例3.脱脂粉乳に対する脱酸素処理(第一の脱酸素工程)の有無と発酵乳の物性の関係(その3)
脱脂乳を,溶存酸素濃度(DO)が5ppm以下となるまで脱酸素処理してから,UHT処理し,噴霧乾燥により水分除去処理して製造した脱脂粉乳を10重量%で溶解してヨーグルトミックスを調製し,このヨーグルトミックスを脱酸素処理(第二の脱酸素工程)してから,約37℃で保持して発酵乳を製造した。この場合に,得られた発酵乳の硬さは約75gであった。
(比較例3)
脱酸素処理を行わなかった以外は実施例3と同様にして発酵乳を製造した場合に,得られた発酵乳の硬さは約65gであった。
実施例3と比較例3より,やはり,脱脂乳に脱酸素処理を施すことにより,より硬い発酵乳を得ることができることが示された。
さらに,上記の実施例2と実施例3を比較すると,同じように脱脂乳を,溶存酸素濃度(DO)が5ppm以下となるまで脱酸素処理してから,UHT処理し,水分除去処理して製造した脱脂粉乳を用いて調製したヨーグルトミックスであっても,ヨーグルトミックスを脱酸素処理する(第二の脱酸素工程)ことと,発酵温度を43℃から37℃に下げたことで,より硬い発酵乳が得られることが分かった。
実施例4.脱脂粉乳に対する脱酸素処理(第一の脱酸素工程)の有無と発酵乳の物性の関係(その4)
脱脂乳を,溶存酸素濃度(DO)が5ppm以下となるまで脱酸素処理してから,UHT処理し,噴霧乾燥により水分除去処理して製造した脱脂粉乳を8重量%,通常の脱脂粉乳を2重量%で溶解してヨーグルトミックスを調製したものを用いて,約43℃で保持して発酵乳を製造した。この場合に,得られた発酵乳の硬さは約55gであった。
(比較例4)
脱脂乳を脱酸素処理せずに,UHT処理し,水分除去処理して製造した脱脂粉乳を,10重量%で溶解してヨーグルトミックスを調製したものを用いて,実施例4と同様に約43℃で保持して発酵乳を製造した場合に,発酵乳の硬さは約40gであった。
実施例4と比較例4より,UHT処理して製造した脱脂粉乳と通常の脱脂粉乳とを混合してヨーグルトミックスを調製する場合であっても,脱脂乳に脱酸素処理を施した後にUHT処理して製造した脱脂粉乳をある程度で含めることにより,発酵乳の硬さを高めることができることが示された。
実施例5.脱脂濃縮乳に対する脱酸素処理(第一の脱酸素工程)の有無と発酵乳の物性の関係
脱脂乳を,溶存酸素濃度(DO)が5ppm以下となるまで脱酸素処理してから,UHT処理し,真空蒸発濃縮により水分除去処理して製造した脱脂濃縮乳を10重量%で溶解してヨーグルトミックスを調製し,約43℃で保持して発酵乳を製造した。この場合に,得られた発酵乳の硬さは約65g以上であった。
(比較例5)
脱酸素処理を行わなかった以外は実施例5と同様にして発酵乳を製造した場合に,得られた発酵乳の硬さは約50gであった。
実施例5と比較例5より,脱脂濃縮乳を用いてヨーグルトミックスを調製する場合にも,脱脂乳に脱酸素処理を施した脱脂濃縮乳を用いたものの方が,脱酸素処理を施さない脱脂濃縮乳を用いたものより,より硬い発酵乳を得ることができることが示された。なお,上記の実施例2と実施例5を比較して,脱脂粉乳よりも脱脂濃縮乳を用いる場合の方が,硬さが大きいことも示された。
実施例6.脱脂粉乳に対する脱酸素処理(第一の脱酸素工程)の有無と発酵乳の物性の関係(その5)
脱脂乳を,溶存酸素濃度(DO)が5ppm以下となるまで脱酸素処理してから,HTST処理し,凍結乾燥により水分除去処理して製造した脱脂粉乳を10重量%で溶解してヨーグルトミックスを調製し,約43℃で保持して発酵乳を製造した。この場合に,得られた発酵乳の硬さは約70gであった。
(比較例6)
脱酸素処理を行わなかった以外は実施例6と同様にして発酵乳を製造した場合に,得られた発酵乳の硬さは約60gであった。
実施例6と比較例6より,脱脂粉乳を得る際の水分除去処理の方法が凍結乾燥によるものである場合にも,脱酸素処理を施した脱脂粉乳を用いたものの方が,脱酸素処理を施さない脱脂粉乳を用いたものより,より硬い発酵乳を得ることができることが示された。
また,上記の実施例1と実施例6を比較すると,水分除去処理として凍結乾燥を採用した実施例6による発酵乳の硬さは,噴霧乾燥による水分除去処理を採用した実施例1による発酵乳の硬さよりも減少するが,それでも,脱酸素処理をしない場合と比較して脱酸素処理をしたものは,より硬い発酵乳を得ることができることが示された。
溶存酸素濃度(DO)が8ppmである脱脂乳の約30kgに対し,第一の脱酸素工程として脱酸素処理によりDOを4ppmとし,第一の殺菌工程としてUHT処理による殺菌(125℃,15秒間,予熱処理:85℃,3分間)を行い,真空蒸発濃縮(60〜65℃,数分間)により水分除去処理して脱脂濃縮乳(固形分濃度:45重量%)を製造した。
この脱脂濃縮乳で10重量%の還元脱脂乳を調製して,ヨーグルトミックスとし,このヨーグルトミックスに対し,第二の脱酸素工程として脱酸素処理によりDOを3ppmとしてから,第二の殺菌工程として沸騰水の浴槽を用いて間接的に95℃の達温で殺菌した後に,乳酸菌スターター(ラクトバチルス・ブルガリカス(L. bulgaricus JCM 1002T)とストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus ATCC 19258)の混合培養物)を2重量%で接種した。
このヨーグルトミックス(未発酵乳)を容器へ充填した後に,43℃で保持して,乳酸酸度が0.7%に到達した段階(約3〜5時間)で発酵を終了した。そして,この発酵乳を10℃に冷却して,物性測定用の試料(製品)とした。なお,乳酸酸度(%)はフェノールフタレインを指示薬とし,0.1規定の水酸化ナトリウムで滴定して算出した。この場合に,得られた発酵乳の硬さは62gであり,滑らかさは約60度であった。
(比較例7)
第一の脱酸素工程を行わなかった以外は実施例7と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは50gであり,滑らかさは約60度であった。
第一の脱酸素工程として脱酸素処理によりDOを4ppmではなく2ppmとしたことと,第一の殺菌工程としてUHT処理に代えてHTST処理による殺菌(90℃,15秒間,予熱処理:85℃,3分間)を行った以外は,実施例7と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは100g超であり,滑らかさは約60度であった。
(比較例8)
第一の脱酸素工程を行わなかった以外は,実施例8と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは100g超であり,滑らかさは約60度であった。
表1は,上記の実施例7及び8並びに比較例7及び8で得られたそれぞれの発酵乳の硬さ(CT)と滑らかさ(角度)の測定結果をまとめたものである。すなわち,表1は脱脂濃縮乳の殺菌条件(第一の殺菌工程前の第一の脱酸素工程の有無)が発酵乳の物性に及ぼす影響をまとめたものである。
Figure 0005189102
表1の比較例7と実施例7から,第一の殺菌工程としてUHTにより殺菌処理を施した場合には,第一の脱酸素工程を施した脱脂濃縮乳を用いて調製したヨーグルトミックスを発酵して得られた発酵乳の方が,第一の脱酸素工程を施さない脱脂濃縮乳を用いたものよりもカードの硬さが優れていることが分かった。
また,表1の比較例8と実施例8から,第一の殺菌工程としてHTSTにより殺菌処理を施した場合に,第一の脱酸素工程を施した脱脂濃縮乳を用いて調製したヨーグルトミックスを発酵して得られた発酵乳も第一の脱酸素工程を施さない脱脂濃縮乳を用いたものも,いずれもカードの硬さが優れていることが分かった。
また,脱脂乳に対する第一の殺菌工程の有無にかかわらず,ヨーグルトミックスに対する第二の脱酸素工程を施した後に,第二の殺菌工程を施したものは,カードの硬さと滑らかさが優れていることが分かった。
溶存酸素濃度(DO)が8ppmである脱脂乳の約15kgに対し,第一の脱酸素工程として脱酸素処理によりDOを3ppmとし,第一の殺菌工程としてUHT処理による殺菌(125℃,15秒間)を行い,真空蒸発濃縮(60〜65℃,数分間)を行った後,さらに噴霧乾燥(160〜170℃,数秒間)を行うことにより水分除去処理して脱脂粉乳を製造した。
この脱脂粉乳で10重量%の還元脱脂乳を調製して,ヨーグルトミックスとした。このヨーグルトミックスを,沸騰水の浴槽を用いて間接的に95℃の達温で殺菌した後に,それぞれのヨーグルトミックスへ乳酸菌スターター(L. bulgaricus JCM 1002TとS. thermophilus ATCC 19258の混合培養物)を2重量%で接種した。
この未発酵乳を容器へ充填した後に,43℃で保持して,乳酸酸度が0.7%に到達した段階(約3〜5時間)で発酵を終了した。そして,この発酵乳を10℃に冷却して,物性測定用の試料(製品)とした。この場合に,得られた発酵乳の硬さは55gであり,滑らかさは約60度であった。
(比較例9)
第一の脱酸素工程を行わなかった以外は,実施例9と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは37gであり,滑らかさは約60度であった。
第一の脱酸素工程として脱酸素処理によりDOを3ppmではなく2ppmとしたことと,第一の殺菌工程としてUHT処理に代えてHTST処理による殺菌(90℃,15秒間)を行った以外は,実施例9と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは72g超であり,滑らかさは約60度であった。
(比較例10)
第一の脱酸素工程を行わなかった以外は,実施例10と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは63gであり,滑らかさは約60度であった。
水分除去処理として,真空蒸発濃縮と噴霧乾燥の組み合わせに代えて凍結乾燥(40℃,約2日間)を行ったこと以外は,実施例9と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは46gであり,滑らかさは約60度であった。
(比較例11)
第一の脱酸素工程を行わなかった以外は,実実施例11と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは40gであり,滑らかさは約60度であった。
水分除去処理として真空蒸発濃縮と噴霧乾燥の組み合わせに代えて凍結乾燥(40℃,約2日間)を行ったこと以外は,実実施例10と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは67gであり,滑らかさは約60度であった。
(比較例12)
第一の脱酸素工程を行わなかった以外は,実施例11と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは62gであり,滑らかさは約60度であった。
表2は,上記の実施例9〜12及び比較例9〜12で得られたそれぞれの発酵乳の硬さ(CT)と滑らかさ(角度)の測定結果をまとめたものである。すなわち,表2は脱脂粉乳の殺菌条件(第一の殺菌工程前の第一の脱酸素工程の有無)及び乾燥条件(水分除去処理の方法)が発酵乳の物性に及ぼす影響を示している。
Figure 0005189102
表2の実施例9〜12と比較例9〜12をそれぞれ比較すると,脱脂乳に第一の脱酸素工程を施して得られた脱脂粉乳を用いて調製したヨーグルトミックスを発酵して得られた発酵乳の方が,第一の脱酸素工程を施さずに得られた脱脂粉乳を用いたものよりも,カードの硬さが優れていることが分かった。
一方,脱脂乳を真空蒸発濃縮してから噴霧乾燥して得られた脱脂粉乳を用いても,脱脂乳を凍結乾燥して得られた脱脂粉乳を用いても,脱脂乳に第一の脱酸素工程を施して得られた脱脂粉乳を用いて調製したヨーグルトミックスを発酵して得られた発酵乳の方が第一の脱酸素工程を施さずに得られた脱脂粉乳を用いたものよりも,カードの硬さが優れていることが分かった。つまり,脱脂粉乳を得る際の水分除去処理の条件(乾燥温度など)にかかわらず,第一の脱酸素工程の有無が,発酵乳の物性に影響することが分かった。
なお,実施例9と11,実施例10と12,比較例10と12から,脱脂乳を真空蒸発濃縮した後に,噴霧乾燥して得られた脱脂粉乳を用いた場合の発酵乳が,脱脂乳を凍結乾燥して得られた脱脂粉乳を用いた場合の発酵乳よりも,カードの硬さで幾らか優れていることが分かる。この原因として,凍結乾燥では噴霧乾燥よりも,タンパク質は保護されにくくなり,変性しやすかったことが考えられる。凍結乾燥では加熱温度が約40℃であるのに対して,噴霧乾燥では約160℃であり,凍結乾燥では噴霧乾燥よりも加熱温度は低い。一方,凍結乾燥では加熱時間が数日間であるのに対して,噴霧乾燥では数秒間である。凍結乾燥では噴霧乾燥よりも,加熱温度は低いが,加熱時間が長いため,タンパク質は変性しやすかったことが考えられる。
溶存酸素濃度(DO)が8ppmである脱脂乳の約30kgに対し,第一の脱酸素工程として脱酸素処理によりDOを4ppmとし,第一の殺菌工程としてUHT処理による殺菌(125℃,15秒間,予熱処理:85℃,3分間)を行い,真空蒸発濃縮(60〜65℃,数分間)を行なった後に,噴霧乾燥(160〜170℃,数秒間)を行なうことにより,水分除去処理して,脱脂粉乳を製造した。
市販の牛乳(UHT処理した牛乳)を35重量%,上記の脱脂粉乳を7.2重量%,イオン交換水を57.8重量%で混合することにより,脂肪分を1.5重量%,無脂乳固形分を10重量%に調製して,ヨーグルトミックスとした。
このヨーグルトミックスを,沸騰水の浴槽を用いて間接的に95℃の達温で殺菌した後に,それぞれのヨーグルトミックスへ乳酸菌スターター(ラクトバチルス・ブルガリカス(L. bulgaricus JCM 1002T)とストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus ATCC 19258)の混合培養物)を2重量%で接種した。
この未発酵乳を容器へ充填した後に43℃で保持して,乳酸酸度が0.7%に到達した段階(約3〜5時間)で発酵を終了した。そして,この発酵乳を10℃に冷却して,物性測定用の試料(製品)とした。なお,乳酸酸度(%)はフェノールフタレインを指示薬とし,0.1規定の水酸化ナトリウムで滴定して算出した。この場合に,得られた発酵乳の硬さは35gであり,滑らかさは約60度であった。
(比較例13)
第一の脱酸素工程を行わなかった以外は,実施例13と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは29gであり,滑らかさは約60度であった。
第一の脱酸素工程として脱酸素処理によりDOを4ppmではなく2ppmとしたことと,第一の殺菌工程としてUHT処理に代えてHTST処理による殺菌(90℃,15秒間,予熱処理:85℃,3分間)を行った以外は,実施例13と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは約40gであり,滑らかさは約60度であった。
(比較例14)
第一の脱酸素工程を行わなかった以外は,実施例13と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは38gであり,滑らかさは約60度であった。
表3は,上記の実施例13及び14並びに比較例13及び14で得られた,それぞれの発酵乳の硬さ(CT)と滑らかさ(角度)の測定結果をまとめたものである。すなわち,表3は,ヨーグルトミックスの組成(第一の脱酸素工程を経た脱脂粉乳の配合の有無)が発酵乳の物性に及ぼす影響をまとめたものである。
Figure 0005189102
表3から,ヨーグルトミックスの組成では,全固形分の11.5重量%あるいは無脂乳固形分の10重量%に対して,脱酸素処理してから殺菌して得られた脱脂粉乳を7.2重量%で配合すれば,カードの硬さや滑らかさが優れていることが分かった。
つまり,ヨーグルトミックスの組成(第一の脱酸素工程を経た脱脂粉乳の配合の有無)が,発酵乳の物性に影響することが分かった。
なお,上記の実施例では,脱酸素処理してから殺菌して得られた濃縮乳や粉乳と,脱酸素処理せずに殺菌して得られた濃縮乳や粉乳との混合割合を変えて,ヨーグルトミックスを調製し,その発酵乳の物性を比較した実験結果を示していない。ただし,脱酸素処理してから殺菌して得られた濃縮乳や粉乳の割合を高めることで,発酵乳のカードが硬くなることは当然に予測できる。
溶存酸素濃度(DO)が8ppmである脱脂乳の約120kgに対し,第一の脱酸素工程として脱酸素処理によりDOを4ppmとし,第一の殺菌工程としてUHT処理による殺菌(125℃,15秒間)を行い,真空蒸発濃縮(60〜65℃,数分間)を行った後,さらに噴霧乾燥(160〜170℃,数秒間)を行うことにより,水分除去処理して脱脂粉乳を製造した。
この脱脂粉乳で10重量%の還元脱脂乳を調製して,ヨーグルトミックスとした。このヨーグルトミックスのDOは8ppmであった。このヨーグルトミックスの約2kgを,未調整のまま(すなわち,第二の脱酸素工程を行なわず),オートクレーブを用いて121℃の達温で殺菌した後に,ヨーグルトミックスへ乳酸菌スターター(L. bulgaricus JCM 1002TとS. thermophilus ATCC 19258の混合培養物)を2重量%で接種した。
この未発酵乳を容器へ充填した後に,43℃で保持し,乳酸酸度が0.7%に到達した段階(約3〜5時間)で発酵を終了した。そして,この発酵乳を10℃に冷却して,物性測定用の試料(製品)とした。この場合に,得られた発酵乳の硬さは48gであり,滑らかさは約50度であった。
実施例15と同様にして調整したヨーグルトミックスの約2kgに対し,オートクレーブを用いた殺菌処理の前に第二の脱酸素工程を行なうことによりDOを3ppmとしたこと以外は,実施例15と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは54gであり,滑らかさは約50度であった。
実施例15と同様にして調整したヨーグルトミックスの約2kgに対し,未調整のまま(すなわち,第二の脱酸素工程を行なわず),沸騰水の浴槽を用いて間接的に95℃の達温で殺菌し,乳酸菌スターター(L. bulgaricus JCM 1002TとS. thermophilus ATCC 19258の混合培養物)を2重量%で接種した。
この未発酵乳を容器へ充填した後に,第三の脱酸素工程を行い,DOを3ppmとした後,37℃で保持し,乳酸酸度が0.7%に到達した段階(約3〜5時間)で発酵を終了した。そして,この発酵乳を10℃に冷却して,物性測定用の試料(製品)とした。この場合に,得られた発酵乳の硬さは66gであり,滑らかさは約40度であった。
実施例15と同様にして調整したヨーグルトミックスの約2kgに対し,沸騰水の浴槽を用いた殺菌処理の前に第二の脱酸素工程を行なうことによりDOを3ppmとしたこと以外は,実施例17と同様にして物性測定用の試料を得た。この場合に,得られた発酵乳の硬さは76gであり,滑らかさは約40度であった。
表4は,上記の実施例15〜18で得られた,それぞれの発酵乳の硬さ(CT)と滑らかさ(角度)の測定結果をまとめたものである。すなわち,表4は,ヨーグルトミックスの殺菌条件(第二の殺菌工程前の第二の脱酸素工程の有無)や発酵条件(発酵工程の前の第三の脱酸素工程の有無,及び発酵温度)が発酵乳の物性に及ぼす影響をまとめたものである。
Figure 0005189102
表4から,実施例15と16及び実施例17と18をそれぞれ比較すると,ヨーグルトミックスに第二の脱酸素工程を行なってから殺菌処理をして得られた発酵乳が,ヨーグルトミックスに第二の脱酸素工程を行なわずに殺菌処理をして得られた発酵乳よりも,カードの硬さや滑らかさが優れていることが分かった。
一方,実施例17と18から,ヨーグルトミックスを殺菌(第二の殺菌工程)してから発酵工程の前に第三の脱酸素工程を行なうと共に,発酵温度を実施例15及び16よりも低い,37℃とすることにより,カードの硬さと滑らかさが優れた発酵乳が得られたことが分かった。つまり,第一の脱酸素工程,第一の殺菌工程及び水分除去処理を経て得られた脱脂粉乳を用いてヨーグルトミックスを調整した場合に,ヨーグルトミックスの殺菌条件(第二の殺菌工程の前に第二の脱酸素工程を行なうか否か)や発酵条件(発酵工程の前に第三の脱酸素工程を行なうか否か,及び発酵温度)が,発酵乳の物性に影響することが分かった。
本発明により,多種の濃縮乳や粉乳を利用できるため,発酵乳の製造工程や原料の制約を減少できる。一方,UHT殺菌した脱脂粉乳であるハイヒート脱脂粉乳を発酵乳へ適用できれば,衛生面で,より好ましいばかりでなく,脱脂粉乳の殺菌条件を統一して,製造原価などを低減できる可能性もある。
本発明の発酵乳の製造方法は,ヨーグルトなどの発酵乳を製造できるので,食品産業などの分野において利用されうる。

Claims (9)

  1. 脱脂乳及び/又は全脂乳に含まれる酸素濃度を低減する第1の脱酸素工程と,
    前記第1の脱酸素工程の後の脱脂乳及び/又は全脂乳を加熱殺菌する第1の殺菌工程と,
    前記第1の殺菌工程の後の脱脂乳及び/又は全脂乳から水分を除去する水分除去工程と,
    前記水分除去後の脱脂乳及び/又は全脂乳を用いてヨーグルトミックスを調製するヨーグルトミックス調製工程と,
    前記調製したヨーグルトミックスを発酵させる発酵工程と,
    を含み,
    前記ヨーグルトミックス調製工程の後,前記発酵工程の前に,
    前記ヨーグルトミックスに含まれる酸素濃度を低減する第2の脱酸素工程と,
    前記第2の脱酸素工程の後のヨーグルトミックスを加熱殺菌する第2の殺菌工程と,
    前記第2の殺菌工程の後に乳酸菌スタータを接種するスターター接種工程と,
    をさらに含む,
    発酵乳の製造方法。
  2. 前記第1の脱酸素工程の後の脱脂乳及び/又は全脂乳の溶存酸素濃度が5ppm以下である,請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  3. 前記第1の殺菌工程における加熱殺菌は,超高温殺菌である請求項1又は2に記載の発酵乳の製造方法。
  4. 前記水分除去後の脱脂乳及び/又は全脂乳が濃縮乳又は粉乳である,請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  5. 前記水分除去工程は,真空蒸発濃縮工程,噴霧乾燥工程,及び凍結乾燥工程の少なくともいずれか一つの工程を含む請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  6. 前記ヨーグルトミックス調製工程において,前記ヨーグルトミックスの全固形分又は無脂乳固形分に対する前記水分除去後の脱脂乳及び/又は全脂乳の配合割合が70重量%以上である請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  7. 前記第2の殺菌工程の後,前記発酵工程の前に,前記ヨーグルトミックスに含まれる酸素濃度を低減する第3の脱酸素工程をさらに含む請求項に記載の発酵乳の製造方法。
  8. 前記発酵工程における発酵温度が,30℃以上40℃以下である請求項に記載の発酵乳の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の発酵乳の製造方法を用いて製造される発酵乳。
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