JP6110301B2 - 低カロリーの発酵乳およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低カロリーの発酵乳およびその製造方法に関する。
発酵乳は、広く一般的に食される健康食品であり、近年では低カロリー発酵乳の需要も増加している。しかしながら、乳脂肪分の少ない発酵乳は、発酵乳本来の風味や食感が損なわれる傾向にある。これまでに、原料乳を脱酸素処理することによって、低脂肪発酵乳の乳脂肪感を向上させる方法が開示されている(特許文献1)。
一方で、発酵乳は、冷蔵保存などの間に離水(ホエイオフ)が起こるため、製品の品質上の問題も生じている。そのため、発酵乳の離水を抑えるために、ゼラチンなどの安定剤を添加することが一般的に行われており、その他にも乳タンパク質やホエイタンパク質の濃縮物などを添加する方法も知られている(特許文献2〜4)。なお、特許文献5には、乳糖分解処理と脱酸素処理を行う発酵乳の製造方法が開示されているが、発酵乳の風味などを一定にする方法であり、発酵乳の離水抑制については記載されていない。
特許第3968108号公報 特公平3−52940号公報 特開平3−19838号公報 特許第2966330号公報 WO2010/098086号公報
乳脂肪分の少ない発酵乳においては、特に離水が発生しやすく、また、一般的な乳タンパク質やホエイタンパク質の濃縮物(ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI))を添加すると、発酵乳の風味などが低下することもある。また、ゼラチンなどの安定剤を添加しても、発酵乳本来の風味や食感も損なわれる。
したがって、本発明の課題は、乳脂肪分の少ない原料乳を用いる発酵乳の製造方法において、従来技術における上記問題を解決し、安定剤を添加することなく離水を抑制し、かつ風味が良好である低カロリーの発酵乳およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねる中で、原料乳の溶存酸素濃度を低下させ、乳糖分解酵素によって原料乳中の乳糖を分解することにより、乳脂肪分の少ない発酵乳の離水が大幅に抑制されることを見出した。また、α−ラクトアルブミン(α−La)および/またはβ−ラクトグロブリン(β−Lg)を所定の割合で配合することにより、さらに離水が少なく抑制され、かつカードの強固な発酵乳が得られることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の低カロリーの発酵乳およびその製造方法に関する。
[1]低脂肪分の発酵乳の製造方法であって、発酵開始時における原料乳の溶存酸素濃度を低減させ、発酵開始前に乳糖分解酵素を原料乳中に添加することを含む、前記方法。
[2]低脂肪分の発酵乳が、0.01〜2重量%の乳脂肪分を有する、[1]に記載の方法。
[3]発酵開始時における原料乳の溶存酸素濃度が、5ppm以下である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]原料乳が、高濃度のα−ラクトアルブミンまたはβ−ラクトグロブリンを含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]α−ラクトアルブミンまたはβ−ラクトグロブリンの濃度が原料乳中に0.5〜1.5重量%である、[4]に記載の方法。
[6]原料乳が3〜6重量%の総タンパク質量および/または8〜11重量%の全固形分を有する、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]乳糖分解が発酵中に行われる、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]乳糖分解率が75〜90%である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]安定剤を添加しない、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10][1]〜[10]のいずれか一項に記載の方法で製造された、発酵乳。
[11]50〜10%の遠心離水率、30〜70gの硬度、および50kcal/100g以下の総カロリーを有する、安定剤を含まない発酵乳。
[12]0.01〜2重量%の乳脂肪分、3〜6重量%の総タンパク質量、および8〜11重量%の全固形分を有する、[11]に記載の発酵乳。
[13]0.01〜1重量%の乳糖含量である、[11]〜[12]に記載の発酵乳。
本発明の発酵乳の製造方法は、全固形分および乳脂肪分の少ない原料乳を用いた場合でも、安定剤などを添加(配合)することなく、発酵乳の離水を抑制することができる。また、α−ラクトアルブミンおよび/またはβ−ラクトグロブリンを所定の割合で配合することにより、さらに離水が少なく抑制され、かつカードの強固な発酵乳が得られる。そのため、本発明の発酵乳は保存性に優れ、長距離輸送にも適している。
本発明の発酵乳の製造方法は、乳糖分解酵素によって原料乳中の乳糖を分解するため、発酵乳に甘味を与えるだけでなく、発酵工程を安定化させる。そのため、発酵乳の風味や品質を一定にすることもでき、離水の少ない低カロリーの発酵乳を安定して提供することができる。さらに、原料乳の溶存酸素濃度を低減して発酵する製造方法によって、低脂肪分の原料乳を使用しても、発酵乳本来の乳脂肪由来の風味および食感が得られる。
また、本発明の発酵乳の製造方法は、原料乳の総タンパク質中のα−ラクトアルブミン含量またはβ−ラクトグロブリン含量が高いため、一般的な乳タンパク質やホエイタンパク質の濃縮物(WPC、WPI)などを添加する場合と異なり、雑味などの発酵乳の風味に与える影響は少ない。そして、一般的なホエイタンパク質の濃縮物(WPC、WPI)よりも、α−ラクトアルブミン含量またはβ−ラクトグロブリン含量の高いWPCを採用することにより、例えば、タンパク質含量が80%以下のWPCであっても原料乳へ配合すれば、製品の表記上では、乳成分としてホエイタンパク質の濃縮物を使用しながら、カードの強固な発酵乳を安定的に製造することができる。
したがって、本発明の発酵乳の製造方法は、乳脂肪分の少ない発酵乳の品質を効率よく改善することができ、風味が良好であり、低全固形分および低脂肪分の低カロリー発酵乳を提供することができる。
本発明の発酵乳の製造方法は、原料乳中の溶存酸素濃度を低減させる工程(脱酸素処理工程)、および乳糖分解酵素よって原料乳中の乳糖を分解する工程(乳糖分解工程)を含み、好ましくは、α−ラクトアルブミン(α−La)および/またはβ−ラクトグロブリン(β−Lg)を、原料乳中に所定の割合で含む。
本明細書において「発酵乳」とは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)で定義される「発酵乳」を包含する。例えば、発酵乳は、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳および加工乳などの乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を、乳酸菌または酵母で発酵させ、糊状または液状にしたものまたはこれらを凍結したものをいう。これらは多様なヨーグルトを包含するが、本明細書においては、典型的にはセットタイプヨーグルトである。
一般的に、プレーンヨーグルトなどのセットタイプヨーグルトは、容器に原料乳を充填し、その後に発酵させること(後発酵)により製造される。一方、ソフトヨーグルトやドリンクヨーグルトは、発酵させた発酵乳を微粒化処理や均質化処理した後に、容器に充填させること(前発酵)により製造される。
原料乳
「原料乳」は、ヨーグルトなどの発酵乳の原料となるもので、ヨーグルトミックスや発酵乳ミックスともよばれる。本発明では、公知の原料乳を適宜用いることができる。原料乳には、殺菌前のものも、殺菌後のものも含まれる。原料乳の具体的な素材(原料)には、水、生乳、殺菌処理した乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルク、バター、クリームなどが含まれてもよい。
本発明の製造方法は、通常の発酵乳の製造に適用できるが、低カロリーの発酵乳を製造するために特に適しており、その場合に使用する原料乳は、低脂肪乳であることが好ましく、適度な硬度(カードテンション)を得るために、所定の総タンパク質量を有することが好ましい。本発明の低カロリーの発酵乳は、主として低全固形分および低脂肪分によるものである。
本発明の製造方法に使用される原料乳は、特に限定されるものではないが、以下の成分を有することが好ましい。本明細書中において、%は重量%(w/w)を意味する。
原料乳中の乳脂肪分には、3%以下が望ましく、好ましくは0.01〜2%、より好ましくは0.05〜1%、さらに好ましくは0.1〜0.5%である。
原料乳中の全固形分には、11%以下が望ましく、好ましくは8〜11%、より好ましくは8.5〜10.5%、さらに好ましくは9〜10.2%である。
原料乳中の総タンパク質量には、3〜6%が望ましく、より好ましくは3.5〜5.5%、さらに好ましくは4〜5%である。
原料乳中の乳糖含量には、5〜8%が望ましく、より好ましくは5.5〜7.5%、さらに好ましくは6〜7%である。
本発明の製造方法に使用する原料乳には、ホエイタンパク質を添加(配合)してもよく、好ましくはα−ラクトアルブミン含量またはβ−ラクトグロブリン含量の高いホエイタンパク質の濃縮物が使用される。
本明細書において使用する「ホエイタンパク質の濃縮物」には、ホエイの主要なタンパク質などを限外濾過(Ultrafiltration:UF)法などで濃縮処理した後に乾燥処理したホエイタンパク質濃縮物(Whey Protein Concentrate:「WPC」)、ホエイを精密濾過(Microfiltration:MF)法や遠心分離法などで脂肪を除去してからUF法で濃縮処理した後に乾燥処理した脱脂WPC(低脂肪・高タンパク質)、ホエイの主要なタンパク質などをイオン交換樹脂法やゲル濾過法などで選択的に分画処理した後に乾燥処理したホエイタンパク質分離物(Whey Protein Isolate:「WPI」)、ナノ濾過(Nanofiltration:NF)法や電気透析法などで脱塩処理した後に乾燥処理した脱塩ホエイ、ホエイ由来のミネラル成分を沈殿処理してから遠心分離法などで濃縮処理したミネラル濃縮ホエイなどが含まれる。そして、主要な「ホエイタンパク質」には、α−ラクトアルブミン(α−La)、およびβ−ラクトグロブリン(β−Lg)などが含まれる。
本発明において、好ましくはα−ラクトアルブミン含量またはβ−ラクトグロブリン含量の高いホエイタンパク質濃縮物(WPC)もしくはホエイタンパク質分離物(WPI)が使用され、より好ましくはα−ラクトアルブミン含量またはβ−ラクトグロブリン含量の高いホエイタンパク質濃縮物(WPC)が使用される。これらは、複数の種類を同時に用いてもよい。
α−ラクトアルブミン、α−ラクトアルブミン含量の高いホエイタンパク質、β−ラクトグロブリン、およびβ−ラクトグロブリン含量の高いホエイタンパク質は、例えば、ホエイから選択的に分離する方法によって得られる。かかる分離方法には、イオン交換クロマトグラフィー法、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過法、限外濾過法、等電点分離法、高分子多荷電解質による共沈法、塩析法、温度処理分離法などの手法を含み、特開平7−203863号公報、特開昭61−268138号公報および特開昭63−39545号公報などにも開示される。
また、α−ラクトアルブミン(α−La)およびβ−ラクトグロブリン(β−Lg)そのものが市販されており、これらの含量が高いWPCおよびWPIなども市販や製造されている。例えば、α−La rich WPC(Domo 社製)、β−Lg rich WPC(Domo 社製)、α−La rich WPC(Davisco 社製)、β−Lg rich WPC(Davisco 社製)、α−La rich WPC(Leprino Foods 社製)、β−Lg rich WPC(Leprino Foods 社製)、ALACEN WPI 895(Fonterra 社製)などを用いてもよい。ここで、α−La rich WPCまたはβ−Lg rich WPCなどのWPCおよびWPIの総タンパク質中に、好ましくは60〜100%、より好ましくは80〜95%のα−ラクトアルブミン含量、または、好ましくは65〜100%、より好ましくは80〜95%のβ−ラクトグロブリン含量のものを好適に使用することができる。また、α−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンそのものや、これらWPCおよびWPIを組み合わせて使用することもできる。
なお、α−La rich WPCまたはβ−Lg rich WPCなどのWPCおよびWPIの総固形分中に、好ましくは30〜95%、より好ましくは35〜80%、さらに好ましくは65〜75%のタンパク質含量のものを好適に使用することができる。
本発明の発酵乳の製造方法において、原料乳には、高濃度のα−ラクトアルブミンまたはβ−ラクトグロブリンを含むことが好ましい。
α−ラクトアルブミンは、原料乳の総タンパク質中に7%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは12〜40%、より好ましくは、17〜25%で含まれる。また、原料乳全体では0.3%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは0.5〜1.5%であり、より好ましくは、0.7〜1%で含まれる。
β−ラクトグロブリンは、原料乳の総タンパク質中に10%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは12〜40%、より好ましくは、15〜25%で含まれる。また、原料乳全体では0.4%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは0.5〜1.5%であり、より好ましくは、0.6〜1%で含まれる。
本発明の発酵乳の製造方法において、原料乳には、α−La rich WPCまたはβ―Lg rich WPCを含むことが好ましい。
α−La rich WPCの原料乳への配合量は、α−La rich WPC中のα−Laの含量によっても変化するが、原料乳全体では0.5%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは0.6〜2%であり、より好ましくは、0.75〜1.5%で含まれる。
β―Lg rich WPCの原料乳への配合量は、β―Lg rich WPC中のβ−Lgの含量によっても変化するが、原料乳全体では0.55%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは0.65〜2%であり、より好ましくは、0.8〜1.5%で含まれる。
α−ラクトアルブミンまたはβ−ラクトグロブリンの濃度が好ましい範囲にある場合には、離水抑制効果が期待できる。これら濃度が高くなると、硬度も高くなる傾向にある。また、これら好ましい範囲においては、雑味も生じにくい。
本明細書において使用する「離水」の用語は、ホエイの液体が分離する現象を包含し、例えば、遠心分離によって得られる遠心離水率などで測定することができる。
原料乳は、均質化して殺菌した後、所定の温度(発酵温度程度)まで冷却する。次いで、スターターを接種し、前発酵の場合には、タンク内などに充填して発酵を開始し、後発酵の場合には、流通用の個食容器などに充填して発酵を開始する。
また、安定剤などを添加してもよいが、本発明の発酵乳の製造方法では、安定剤などを添加しなくとも、カードが強固であり、離水しにくい発酵乳が得られるため、安定剤を添加しないことが好ましい。なお、本明細書において「安定剤」とは、ゼラチン、ペクチン、寒天、澱粉、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、およびキサンタンガムなどの増粘多糖類などの一般的に発酵乳に用いる安定剤を意味する。
脱酸素処理工程
脱酸素処理工程は、原料乳中に存在している酸素を取り除くための工程である。原料乳中の溶存酸素濃度を低下させる方法としては、例えば、不活性ガスによるガス置換処理による方法、脱酸素膜を用いた膜分離法、および低圧や真空で脱気する方法などを用いることができる。脱酸素処理工程は、例えば、原料乳に溶解している酸素量(溶存酸素濃度、DO)が、5ppm以下、好ましくは3ppm以下、より好ましくは2ppm以下となる程度まで脱酸素を行えばよい。
発酵開始時の原料乳の溶存酸素濃度は、その濃度が低いほど好ましい。例えば、原料乳の温度が40℃程度の場合には、好ましくは5ppm以下であり、より好ましくは3ppm以下である。溶存酸素濃度を低下させることによって、発酵時間が短縮されるため、発酵温度を下げる場合であっても、発酵時間を3〜7時間という比較的に短時間の範囲に設定して、発酵を行うことができる。これら脱酸素処理工程は、特許第3666871号、特許第3644505号および特許第3968108号にも記載される。
脱酸素処理工程は、原料乳を調合する段階、均質化して殺菌した後、スターターを添加した後などの発酵を開始するまでの間に行えばよい。しかしながら、発酵開始時に溶存酸素濃度が低減された状態で維持されていることが重要であることからも、脱酸素処理工程は、スターターを添加する直前、直後、または同時に行うことが望ましい。
不活性ガスによるガス置換処理(不活性ガス置換)を行う場合には、典型的には、食品で通常に用いられている不活性ガスとして、窒素ガスが用いられる。窒素ガスなどのほかに、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンなどの希ガスを不活性ガスとして用いてもよい。溶存酸素を不活性ガスと置換する方法としては、これら不活性ガスをミックス中に直接バブリングする方法や、スタティックミキサーを用いる方法、ミックスとともにミキサーにガスを入れて撹拌するなどの公知の方法を用いることができる。不活性ガス置換は、スターターを添加した後にも行うことが可能であり、工程上の制約が膜分離などの方法と比べると少ない。
脱酸素膜を用いた膜分離法(脱酸素膜ガス置換)を行う場合には、脱酸素膜として、中空糸膜(三菱レイヨン社 MHF304KM)などを用いることができる。このような脱酸素膜の使用方法は、従来の使用方法を参考にすればよく、脱酸素膜ガス置換は、原料乳に適用して、スターターを添加する前に行うことが可能である。
また、不活性ガスの混入や脱酸素膜を使用する代わりに、原料乳中に溶解している酸素を脱気により取り除いても構わない。このような脱気装置は、特開2002−370006号公報、または特開2005−304390号公報にも開示される。
発酵工程
溶存酸素濃度が低下した原料乳を乳酸発酵させるため、原料乳にスターターを配合(混合)して発酵する。これらのスターターとして、公知のスターターを適宜で用いることができ、好ましくは、乳酸菌スターターがあげられる。そして、乳酸菌スターターとして、ラクトバチルス・ブルガリカス(L.bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus)、ラクトバチルス・ラクティス(L.lactis)、ラクトバチルス・ガッセリ(L.gasseri)またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の他、発酵乳の製造に一般的に用いられる乳酸菌、ビフィズス菌、酵母の中から1種または2種以上を用いることができる。
これらスターターの中では、コーデックス規格でヨーグルトスターターとして規格化されているラクトバチルス・ブルガリカス(L.bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus)の混合スターターをベースとするスターターがより好ましい。このヨーグルトスターターをベースとして、実際に得ようとする発酵乳に応じて、さらにラクトバチルス・ガッセリ(L.gasseri)やビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)などの他の乳酸菌やビフィズス菌を添加(配合)してもよい。スターターの添加量は、公知の発酵乳の製造方法において採用されている数量などを適宜で採用すればよい。スターターの添加(接種)方法は、発酵乳の製造に一般的に用いられる公知の方法に従って行えばよい。
また、本発明においては、スターターの添加量を、通常のスターターの添加量よりも低減して発酵させることもできる。スターターの添加量の基準となる通常のスターターの添加量とは、脱酸素処理工程(溶存酸素濃度を低減する処理)を行っていない原料乳(ヨーグルトミックス)を用いて、発酵温度を43℃、発酵時間を3時間として、乳酸酸度で0.7%を与える発酵を行う場合に用いられるスターターの添加量であり、その数量を100%として表現するものである。具体的には、通常の発酵条件では、スターターの添加量が原料乳の全量に対して2%程度であるのに対して、本発明におけるスターターの添加量は原料乳の全量に対して0.5〜1.0%であり、通常のスターターの添加量の25〜50%程度である。
乳糖分解工程
乳糖分解工程は、乳糖分解酵素(ラクターゼ)によって、乳糖が分解される工程である。乳糖分解酵素は、原則的には、製造工程のいずれの段階で添加されてもよい。例えば、細菌汚染のリスクを低減する観点から、原料乳を低温の状態にして、乳糖を分解した後に加熱殺菌を行って、酵素を失活させてから発酵を進めることができる。一方、原料乳に加熱殺菌を行ってから、スターターと乳糖分解酵素を混入(配合)し、酵素が活性を有している状態で発酵を進めてもよい。そして、原料乳の発酵が進み、乳糖が乳酸に分解されて酸が生じ、pH値の低下に伴い、酵素を失活させるようにしてもよい。このような処理を行うことで、乳糖分解率を効果的に高めることができる。
なお、原料乳にスターターと乳糖分解酵素を混入して発酵させる場合には、原料乳を加熱殺菌する前に、酵素反応を進行させる必要がなくなるため、発酵乳の製造工程を簡略化できるとともに、発酵乳本来の風味を最大限に活かすことができるようになる。さらに、このような処理を行うことで、乳糖分解率を効果的に高めることができるようになるため、乳糖分解率と発酵の程度(酸度の変化)を個別に管理し続ける必要がなくなり、製品管理が極めて容易になる。
したがって、本発明において、乳糖分解酵素は、スターターとともに原料乳に添加(配合)することが好ましいが、特に限定するものではなく、スターターを添加する前に原料乳に添加しても、スターターを添加するのと同時またはスターターを添加した後に原料乳に添加してもよい。乳糖分解酵素およびスターターを混合した原料乳を使用する場合には、原料乳中の乳糖は、発酵工程の経過とともに分解される。また、乳糖分解酵素は、脱酸素処理工程の前に原料乳に添加されても、脱酸素処理工程の後に原料乳に添加されてもよい。このような乳糖分解工程は、WO2010/098086号公報にも開示される。
本発明の乳糖分解酵素は、活性の至適pHが中性領域であり、かつ酸性領域で失活する酵素であって、活性状態において、乳糖を分解できるものが好ましい。乳糖分解酵素は、例えば、細菌または酵母由来のものがあげられる。そして、活性の至適pHとして6.3〜7.5以下かつ失活pHとして6〜4があげられる。また、乳糖分解酵素としては、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)由来の乳糖分解酵素またはクルイベロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)由来の乳糖分解酵素が好ましい。クルイベロミセス・ラクチス由来の乳糖分解酵素は、クルイベロミセス・ラクチスそのもののほか、クルイベロミセス・ラクチスから派生した乳糖分解酵素が含まれる。なお、乳糖分解酵素は、市販されており、市販されている乳糖分解酵素の例は、ラクターゼF(天野エンザイム社製)、ラクトレスL−3(大和化成社製)、ラクトレスL−10(大和化成社製)、およびラクターゼ(GODO−YNL、合同酒精社製)である。
乳糖分解率は、限定されるものでないが、65%以上であればよく、好ましくは75〜90%、より好ましくは80〜90%である。また、乳糖分解酵素を原料乳中に、5U/g以上に相当するように添加してもよく、好ましくは7〜20U/g、より好ましくは10〜15U/gである。乳糖分解率が低いと、離水率の改善効果などの本発明の効果が十分に得られない傾向にある。
発酵条件および乳糖分解条件
一般的に発酵温度や発酵時間などの発酵条件は、原料乳に添加された乳酸菌の種類や、実際に要求される発酵乳の風味などを考慮して調製されるが、発酵室内の温度(発酵温度)は30〜50℃程度に維持される。
本発明の発酵乳の製造方法においては、比較的に低温で発酵することができ、好ましくは30〜39℃、より好ましくは32〜38℃、さらに好ましくは34〜37℃で発酵することができる。
一方で、通常のスターターの添加量の25〜50%(すなわち、原料乳の全量に対して0.5〜1.0%)程度のスターターを用いる場合には、通常の発酵温度と同程度の38〜46℃で発酵してもよく、好ましくは38〜45℃、より好ましくは39〜43℃で発酵することができる。
この方法を採用した場合には、通常で用いられる発酵温度で発酵することができるため、発酵室内の温度の管理が通常品と同様で容易であることに加えて、雑菌の繁殖などの危険性を減じることができるという利点も有している。
発酵時間として、発酵乳の乳酸酸度が0.7%程度に到達するまでの時間とすることができる。本発明の製造方法においては、発酵時間として好ましくは3〜7時間であり、より好ましくは3〜5時間である。このとき、乳酸酸度は、NaOHやフェノールフタレイン指示薬を用いる滴定などによって算出することができる。
また、発酵前に原料乳中の乳糖を分解する場合であっても、乳糖分解酵素が活性を維持する0〜55℃で乳糖分解を行えばよく、好ましくは30〜50℃、より好ましくは35〜45℃である。乳糖分解の条件は、一般的な乳糖分解酵素の好適温度として35〜45℃に1時間以上で保持すれば、その目的を達成できる。
発酵乳
本発明の製造方法によって得られた発酵乳は、低全固形分および低脂肪分であっても、カードが強固であり、離水しにくい。発酵乳の乳脂肪分やタンパク質量などの成分の調整は、原料乳における脱脂粉乳やホエイタンパク質などの配合比を調整することによって達成することができる。本発明の発酵乳は、特に限定されるものではないが、以下の特性を有することが好ましい。
本発明の発酵乳の遠心離水率は、60%以下であることが望ましく、好ましくは50〜10%であり、より好ましくは40〜15%である。
本発明の発酵乳の硬度は、30g以上であること望ましく、好ましくは30〜70gであり、より好ましくは40〜60gである。
本発明の発酵乳の総カロリー(kcal/100g)は、50kcal/100g以下であることが望ましく、好ましくは15〜45kcal/100gであり、より好ましくは20〜40kcal/100gである。
本明細書において使用する「低カロリー」の用語は、50kcal/100g以下を包含する。したがって、本発明の低カロリー発酵乳は、50kcal/100g以下、45kcal/100g以下、または40kcal/100g以下とすることもできる。
遠心離水率は、発酵乳を遠心処理して分離される上澄液(ホエイ)の割合(重量%)を測定することにより決定することができる。例えば、3000rpm(2150×g)、10分間、室温にて、遠心分離することにより得られる。また、硬度(カードテンション:CT)は、例えば、ネオカードメーターME305(アイテクノエンジニアリング社製)などの一般的な装置で測定することができ、総カロリーは、各栄養成分の数値から一般的な方法で算出することができる。
本発明の発酵乳の乳脂肪分には、3%以下が望ましく、好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下、最も好ましくは0.5%未満である。また、好ましい範囲は、0.01〜2%であり、より好ましくは0.05〜1%、さらに好ましくは0.1〜0.5%である。
本発明の発酵乳の全固形分には、11%以下が望ましく、好ましくは10.5%以下であり、より好ましくは10.2%以下、最も好ましくは10%以下である。また、好ましい範囲は、8〜11%であり、より好ましくは8.5〜10.5%、さらに好ましくは9〜10.2%である。
本発明の発酵乳の総タンパク質量には、3〜6%が望ましく、より好ましくは3.5〜5.5%、さらに好ましくは4〜5%である。
本発明の発酵乳の乳糖含量には、0.01〜1%が望ましく、より好ましくは0.05〜0.8%、さらに好ましくは0.1〜0.5%である。
本発明の発酵乳のpHには、4〜5が望ましく、より好ましくは4.3〜4.8、さらに好ましくは4.5〜4.7である。
本発明の発酵乳は、α−ラクトアルブミン含量またはβ−ラクトグロブリン含量が高いものが好ましく、これらタンパク質の含量は、原料乳中のα−ラクトアルブミン含量および/またはβ−ラクトグロブリン含量を調節することによって得られる。
α−ラクトアルブミンは、発酵乳の総タンパク質中に7%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは12〜40%、より好ましくは、17〜25%で含まれる。また、発酵乳全体では0.3%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは0.5〜1.5%であり、より好ましくは、0.7〜1%で含まれる。
β−ラクトグロブリンは、発酵乳の総タンパク質中に10%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは12〜40%、より好ましくは、15〜25%で含まれる。また、発酵乳全体では0.4%以上の割合で含まれることが望ましく、好ましくは0.5〜1.5%であり、より好ましくは、0.6〜1%で含まれる。
本発明の発酵乳は、好ましくは安定剤を含まない。また、甘味料などは添加しないことが好ましいが、発酵前や発酵後などに必要に応じて添加してもよい。
以下の実施例によって本発明を詳述するが、本発明は、各実施例に限定されるものではない。
使用した原材料を以下に示す。
脱脂粉乳(明治社製)、WPC34(Leprino Foods 社製)、β−Lg rich WPC75(Leprino Foods 社製)を使用した。β−Lg rich WPC75は、タンパク質の主成分がβ−Lgであって、タンパク質中にβ−Lgが約80%で含まれ、α−Laなどのホエイタンパク質が約20%で含まれている。
乳糖分解酵素は、ラクターゼ(GODO−YNL、10000U/g、合同酒精社製)を使用した。
乳酸菌スターターには、明治ブルガリアヨーグルトから分離した、ラクトバシラス・ブルガリカス菌およびストレプトコッカス・サーモフィルス菌を使用した(明治社製)。
カードテンションは、ネオカードメーターME305(アイテクノエンジニアリング社製)を用いて測定した。
実施例1
脱脂粉乳:90.7g、WPC34:13.5g、水道水:895.8gを混合して、発酵乳の製造に使用する原料乳を調製した。
この得られた原料乳を95℃、5分間で加熱(殺菌)した後に、約38℃に冷却した。そして、原料乳を冷却した後に、ラクターゼ(GODO−YNL、合同酒精社製)を0.1重量%で添加するとともに、乳酸菌スターター(明治社製、明治ブルガリアヨーグルトから分離した)を2重量%で接種した。その後、パイプを通して、窒素ガスを吹き込み、溶存酸素を4ppm以下に調整した。なお、原料乳を殺菌する前に、ラクターゼを添加して酵素反応させ、乳糖を分解した後に、乳酸発酵することもできる。
次に、ラクターゼおよび乳酸菌スターターを含む原料乳を、カップ容器(容量:100g、プラスチック製)へ充填し、発酵室(38℃)において、乳酸酸度が0.7%に到達するまで静置して発酵した。その後、冷蔵室(10℃以下)で冷却して、セットタイプのヨーグルト(発酵乳)を製造した。
この得られた発酵乳(全固形分:10.0重量%、脂肪分:0.1重量%、40kcal/100g)は、硬度(カードテンション)が35gであり、遠心離水率(3000rpm(2150×g)、10分間、室温)は35%であった。
実施例2
脱脂粉乳:86.3g、β−Lg rich WPC75:4.4g、WPC34:13.5g、水道水:874.8gを混合して、発酵乳の製造に使用する原料乳を調製した。
この得られた原料乳を95℃、5分間で加熱(殺菌)した後に、約38℃に冷却した。そして、原料乳を冷却した後に、ラクターゼ(GODO−YNL、合同酒精社製)を0.1重量%で添加するとともに、乳酸菌スターター(明治社製、明治ブルガリアヨーグルトから分離した)を2重量%で接種した。その後、パイプを通して、窒素ガスを吹き込み、溶存酸素を4ppm以下に調整した。なお、原料乳を殺菌する前に、ラクターゼを添加して酵素反応させ、乳糖を分解した後に、乳酸発酵することもできる。
次に、ラクターゼおよび乳酸菌スターターを含む原料乳を、カップ容器(容量:100g、プラスチック製)へ充填し、発酵室(38℃)において、乳酸酸度が0.7%に到達するまで静置して発酵した。その後、冷蔵室(10℃以下)で冷却して、セットタイプのヨーグルト(発酵乳)を製造した。
この得られた発酵乳(全固形分:10.0重量%、脂肪分:0.1重量%、40kcal/100g)は、硬度(カードテンション)が50gであり、遠心離水率(3000rpm(2150×g)、10分間、室温)は25%であった。
さらに、この発酵乳(全固形分:10.0重量%、脂肪分:0.1重量%、40kcal/100g)を実製造工程(工場)で製造し、カップ容器(容量:450g、紙製)700個へ充填して、冷蔵車(トラック)により1300kmを輸送したところ、カードは崩れることなく、離水(ホエイオフ)は少量であり、市販品(全固形分:12.5重量%、脂肪分:3.0重量%)と同等か、それ以下であることを確認した。
以上の結果から、本発明の発酵乳は、離水を抑制するばかりか、長距離の輸送による衝撃でも、カードが崩れず、品質の安定した発酵乳であることが示された。また、β−ラクトグロブリンの濃度を調節することにより、遠心離水率がさらに改善されることが示された。
比較例1
脱脂粉乳:90.7g、WPC34:13.5g、水道水:895.8gを混合して、発酵乳の製造に使用する原料乳を調製した。
この得られた原料乳を95℃、5分間で加熱(殺菌)した後に、約43℃に冷却した。そして、原料乳を冷却した後に、乳酸菌スターター(明治社製、明治ブルガリアヨーグルトから分離した)を2重量%で接種した。
次に、乳酸菌スターターを含む原料乳を、カップ容器(容量:100g、プラスチック製)へ充填し、発酵室(43℃)において、乳酸酸度が0.7%に到達するまで静置して発酵した。その後、冷蔵室(10℃以下)で冷却して、セットタイプのヨーグルト(発酵乳)(対照品)を製造した。
この得られた発酵乳(全固形分:10.0重量%、脂肪分:0.1重量%、40kcal/100g)は、硬度(カードテンション)が50g、遠心離水率(3000rpm(2150×g)、10分間、室温)は65%であった。
以上の結果から、本発明の発酵乳の製造方法は、低脂肪分の発酵乳の離水率を、安定剤を加えることなく、45%以上で大幅に改善し、β−ラクトグロブリンの濃度を調整することによって、さらに60%以上で改善することが示された。
本発明は、低カロリーの発酵乳およびその製造方法に関し、輸送中の衝撃でもカードが崩れず、離水の発生を抑制した発酵乳を提供することができる。

Claims (16)

  1. 低脂肪分の発酵乳の製造方法であって、発酵開始時における原料乳の溶存酸素濃度を低減させ、発酵開始前に乳糖分解酵素を原料乳中に添加することを含む、前記方法。
  2. 原料乳の乳脂肪分が3%以下である、請求項1に記載の方法。
  3. 発酵開始時における原料乳の溶存酸素濃度が、5ppm以下である、請求項1または2に記載の方法。
  4. α−ラクトアルブミンまたはβ−ラクトグロブリンの濃度が原料乳中に0.5〜1.5重量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 原料乳が3〜6重量%の総タンパク質量および/または8〜11重量%の全固形分を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 乳糖分解が発酵中に行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 乳糖分解率が65%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 乳糖分解率が75〜90%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 安定剤を添加しない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で製造された、発酵乳。
  11. セットタイプである、請求項10に記載の発酵乳。
  12. 遠心離水率が60%以下である、請求項10または11に記載の発酵乳。
  13. 50〜10%の遠心離水率、30〜70gの硬度、および50kcal/100g以下の総カロリーを有する、安定剤を含まない、請求項10〜12のいずれか一項に記載の発酵乳。
  14. 乳脂肪分が3%以下であり、3〜6重量%の総タンパク質量および/または8〜11重量%の全固形分を有する、請求項13に記載の発酵乳。
  15. 0.01〜1重量%の乳糖含量である、請求項13または14に記載の発酵乳。
  16. 低脂肪分の発酵乳の製造において、発酵開始時における原料乳の溶存酸素濃度を低減させ、発酵開始前に乳糖分解酵素を原料乳中に添加することを含む、低脂肪分の発酵乳の離水を抑制する方法。
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