JP5188153B2 - 非水電解質二次電池用正極活物質の評価方法及び非水電解質二次電池用正極の評価方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質の評価方法及び非水電解質二次電池用正極の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、正極活物質や正極の品質を電池製造前に評価し、電池性能を予測する方法に関する。
非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるため、携帯機器の駆動電源として広く利用されている。従来、非水電解質二次電池に用いる正極活物質としては、放電特性に優れるリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)が用いられてきたが、低コストでより高容量化が可能なリチウムニッケル複合酸化物(LiNi1−x、MはCo、Al、Zr、Ti、Mg、Mn等、0.9≦a≦1.1、0.5≦x≦1)に対する注目が高まっている。
ところで、リチウムニッケル複合酸化物を大気雰囲気に放置したものを正極活物質として用いると、高温保存により電池が膨れることが報告されている(非特許文献1参照)。
第47回電池討論会講演要旨集326−327頁
高温保存による電池の膨れの原因は、リチウムニッケル複合酸化物中のリチウム(イオン)と大気中の水分とが反応して、反応性の高い水酸化リチウムが生じ、この水酸化リチウムが悪影響を及ぼして、電池内でガスを発生させるためと考えられる。また、発生したガスが正負極間にとどまり、正負極の対向状態を悪くして、電池容量を低下させるという問題が生じる。また、充放電に寄与するリチウムニッケル複合酸化物量が減少するので、電池容量が低下するという問題が生じる。
リチウムニッケル複合酸化物を用いる電池を、水分の含まれない雰囲気下(例えば、ドライエアー雰囲気や、不活性ガス雰囲気)で組み立てると、上記問題が生じないと考えられるが、この方法は、製造コストの大幅な増加を招くため、実用的でない。
従来、水分が電池特性に与える悪影響(電池の膨れ、電池容量の低下等)は、電池完成後に種々の試験を行って確かめる以外に評価する方法がなかった。このため、リチウムニッケル複合酸化物を用いた電池は、リチウムコバルト複合酸化物を用いた電池よりも、不良品率が高い。
本発明は、上記に鑑みなされたものであって、電池を完成させる前にリチウムニッケル複合酸化物やこれを用いた正極の品質を評価し、電池性能を予測する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の本発明は、次のように構成されている。
リチウムニッケル複合酸化物を200〜1500℃に加熱したとき、発生する炭酸ガス量を測定し、加熱温度をx(℃)、正極活物質1gあたりの炭酸ガス発生量をy(モル/g)とするとき、以下の数式を満たすものを非水電解質二次電池用正極活物質に適合するものであると判定する非水電解質二次電池用正極活物質の評価方法。

大気に曝されたリチウムニッケル複合酸化物を200〜1500℃に加熱すると、炭酸ガスが発生する。これは、リチウムニッケル複合酸化物中のリチウム(イオン)と大気中の水分とが反応して水酸化リチウムが生じ、この水酸化リチウムと大気中の炭酸ガスとが反応して、加熱により熱分解して炭酸ガスを発生させる熱分解性炭酸化合物が生じるためと考えられる。この反応によって、充放電に寄与するリチウムニッケル複合酸化物量が減少して放電容量が低下し、また高温保存時に熱分解性炭酸化合物が分解して炭酸ガスを発生させ、電池を膨らせる。このため、熱分解性炭酸化合物の含有量が、正極活物質の品質を評価する指標となり得る。
リチウムニッケル複合酸化物を200〜1500℃に加熱した場合には、その温度で発生する炭酸ガス量と、完成電池の性能との間には、相関関係がある。このため、同一条件で作製されたリチウムニッケル複合酸化物の一部を取り出し、上記温度範囲で加熱して発生する炭酸ガス量を測定し、上記数式を用いることにより、その条件で作製されたリチウムニッケル複合酸化物が非水電解質二次電池用正極活物質として適合するか否かを評価できる。
ここで、加熱温度が200℃未満であると、炭酸ガス発生量が小さすぎるため、非水電解質二次電池用正極活物質として適合するか否かを正確に判定することができない。他方、加熱温度が1500℃を超えると、リチウムニッケル複合酸化物作製時に未反応のまま残存したリチウム源に起因する炭酸リチウムが熱分解して炭酸ガスを発生させる(理化学辞典参照)。よって、正確に熱分解性炭酸化合物に起因する炭酸ガス量を測定することができなくなり、非水電解質二次電池用正極活物質として適合するか否かを正確に判定することができない。よって、加熱温度は、200〜1500℃であることが好ましい。また、評価の正確性をより高めるためには、炭酸ガス発生量が上限に達する400℃以上の加熱を行うことが好ましく、コスト面から加熱温度の上限を800℃以下とすることが好ましく、500℃とすることがより好ましい。
また、炭酸ガス量の測定は、加熱前後の質量変化を測定することにより行うこともできるが、ガス発生量分析を簡便かつ短時間で測定できることから、ガスクロマトグラフィーにより行うことが好ましい。
なお、非水電解質二次電池を完成させるときに用いる正極活物質には、上記で適合すると判断されたリチウムニッケル複合酸化物以外に、他の公知の正極活物質材料(リチウムコバルト複合酸化物、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物等)を混合してもよい。リチウムニッケル複合酸化物を用いることによる効果(低コスト化、高容量化)を十分に得るためには、正極活物質全質量に占めるリチウムニッケル複合酸化物の質量割合を50〜100質量%とし、より好ましくは75〜100質量%とする。
上記課題を解決するための第2の本発明は、次のように構成されている。
リチウムニッケル複合酸化物と、ポリフッ化ビニリデンと、を含む正極合剤を有する非水電解質二次電池用正極の評価方法であって、前記非水電解質二次電池用正極から前記正極合剤を取り出し、これを200〜400℃に加熱したとき、発生する炭酸ガス量をガスクロマトグラフィーにより測定し、加熱温度をx(℃)、正極活物質1gあたりの炭酸ガス発生量をy(モル/g)とするとき、以下の数式を満たすものを非水電解質二次電池用正極に適合するものであると判定することを特徴とする。

リチウムニッケル複合酸化物と結着剤等とを混合し、正極を完成させる工程においても、リチウムニッケル複合酸化物が大気に暴露する可能性があるので、適合品と評価されたリチウムニッケル複合酸化物を用いた場合においても、正極としては不適合となる可能性がある。
ところで、リチウムニッケル複合酸化物を主体とする正極活物質と、ポリフッ化ビニリデンからなる結着剤と、を用いた正極から正極合剤(正極活物質+結着剤(+必要に応じて導電剤))を取り出し、これを加熱した場合には、リチウムニッケル複合酸化物単独を加熱した場合よりも非常に多くの炭酸ガスが発生する。これは、正極を完成させる工程における大気中の水分の影響も考えられるが、予想される影響よりも大きい。したがって、ポリフッ化ビニリデンが炭酸ガス発生に関与していると考えられる。
ここで、ポリフッ化ビニリデンを加熱すると、分解してフッ化水素(HF)が発生する。このフッ化水素が、熱分解性炭酸化合物や、リチウムニッケル複合酸化物作製時に未反応のまま残存したリチウム源に起因する炭酸化合物(炭酸リチウム)と反応して、発生する炭酸ガス量を増加させると考えられる。このフッ化水素による炭酸ガス発生量は、加熱温度が高まるに伴い飛躍的に増大するので、正極合剤を高温で加熱した場合には、全炭酸ガス発生量に占めるフッ化水素の影響による炭酸ガス量が過大となるため、非水電解質二次電池用正極に適合するか否かの判定を正確に行うことができない。
ここで、正極合剤を200〜400℃で加熱して発生する炭酸ガス量においては、全炭酸ガス発生量に占めるフッ素樹脂の分解に起因する炭酸ガス量が比較的小さい。この200〜400℃加熱発生炭酸ガス量と、電池性能との間には、相関関係がある。このため、同一条件で作製された正極の一部(もしくは、必要なサイズに切断するときに生じる余りとなる部分)から正極合剤を取り出し、これを加熱して発生する炭酸ガス量を測定し、上記数式を用いることにより、その条件で作製された正極が非水電解質二次電池用正極として適合するか否かを評価できる。
また、評価の正確性をより高めるためには、フッ化水素に起因する炭酸ガス発生量が相対的に小さく、熱分解性炭酸化合物に起因する炭酸ガス発生量が相対的に大きい300℃の加熱が最も好ましい。
また、炭酸ガス量の測定は、上記第1の発明において説明したように、ガスクロマトグラフィーにより行うことが好ましい。
ここで、正極に含まれる正極活物質として、リチウムニッケル複合酸化物に加えて、他の公知の正極活物質材料(リチウムコバルト複合酸化物、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物等)を混合されていてもよい。リチウムニッケル複合酸化物を用いることによる効果(低コスト化、高容量化)を十分に得るためには、正極活物質全質量に占めるリチウムニッケル複合酸化物の質量割合を50〜100質量%とし、より好ましくは75〜100質量%とする。
上記で説明したように、本発明によると、電池完成前に正極活物質や正極の品質を評価し、完成電池の性能を予測することができる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下の各種実験を通じて、詳細に説明する。なお、本発明は下記の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することができる。
[実験1]
まず、電池作製条件と、電池性能との関係を調べるため、以下の実験例にかかる電池を試作し、その特性を調べた。
(実験例1)
〈正極の作製〉
ニッケルと、コバルトと、アルミニウムの硫酸塩を用いて共沈物を作製し、ニッケル源としてのニッケルコバルトアルミニウム水酸化物を得た。これにリチウム源としての水酸化リチウムを添加し、700℃で焼成して、コバルト、アルミニウム含有リチウムニッケル複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)を得た。
なお、上記リチウムニッケル複合酸化物に含まれる元素量は、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分析)により分析した。
露点が−40℃以下であるドライエアー雰囲気にて、このリチウムニッケル複合酸化物95質量部と、導電剤としての炭素粉末2.5質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2.5質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、を混合して正極活物質スラリーとした。この正極活物質スラリーを大気雰囲気(湿度43%)にて、アルミニウム製の正極集電体の両面に塗布、乾燥した。この後、露点が−40℃以下であるドライエアー雰囲気にて、圧縮ローラーを用いて圧延して、正極を完成させた。
〈負極の作製〉
負極活物質としての黒鉛97.5質量部と、結着剤としてのスチレン・ブタジエンゴム(SBR)1.5質量部と、増粘剤としてのカルボキシルメチルセルロース(CMC)1質量部と、純水と、を混合して負極活物質スラリーとした。この負極活物質スラリーを銅製の負極集電体の両面に塗布し、乾燥した。この後、圧縮ローラーを用いて圧延して、負極を完成させた。
〈電極体の作製〉
上記正極及び負極を、大気雰囲気(湿度43%)にて、ポリプロピレン製微多孔膜からなるセパレータを介して巻回し、その後プレスすることにより、扁平電極体を作製した。
〈非水電解質の調整〉
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートを体積比2:5:3(25℃)で混合し、電解質塩としてのLiPFを1.2M(モル/リットル)となるように溶解して、非水電解質となした。
〈電池の組み立て〉
市販のアルミラミネート材を用意した。この後、このアルミラミネート材を折り返されてして底部を形成し、カップ状の電極体収納空間を形成した。その後、上記扁平電極体を、上記収容空間に挿入し、105℃、2.5時間真空乾燥を行った。
アルゴン雰囲気のドライボックス内にて、上記非水電解質を、上記収容空間に挿入した。この後、外装体内部を減圧してセパレータ内部に非水電解質を含浸させ、外装体の開口部を封止して、高さ62mm、幅35mm、厚み3.6mmの、理論容量が800mAhである実験例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実験例2)
完成正極を、露点が−40℃以下であるドライボックス内に25℃条件で10日間放置(ドライ暴露)したこと以外は、上記実験例1と同様にして、実験例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実験例3)
完成正極を、露点が−40℃以下であるドライボックス内に25℃条件で30日間放置したこと以外は、上記実験例1と同様にして、実験例3に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実験例4)
完成正極を、湿度が43%である大気中に25℃条件で3時間放置(大気暴露)したこと以外は、上記実験例1と同様にして、実験例4に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実験例5)
完成正極を、湿度が43%である大気中に25℃条件で1日間放置したこと以外は、上記実験例1と同様にして、実験例5に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実験例6)
完成正極を、湿度が43%である大気中に25℃条件で3日間放置したこと以外は、上記実験例1と同様にして、実験例6に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実験例7)
完成正極を、湿度が43%である大気中に25℃条件で10日間放置したこと以外は、上記実験例1と同様にして、実験例7に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実験例8)
完成正極を、湿度が43%である大気中に25℃条件で10日間放置(大気暴露)し、その後露点が−40℃以下であるドライボックス内に25℃条件で10日間放置(ドライ暴露)したこと以外は、上記実験例1と同様にして、実験例8に係る非水電解質二次電池を作製した。
〔電池膨化測定試験〕
上記で作製した電池を定電流1.0It(800mA)で電圧が4.2Vとなるまで充電し、その後定電圧4.2Vで電流が0.05It(40mA)となるまで充電し、電池厚みを測定した。この充電状態の電池を85℃の恒温槽に3時間放置し、取り出し直後の電池厚みを測定した(直後厚み)。この後、電池を25℃で1時間放置し、冷却後の電池厚みを測定した(冷却後厚み)。そして、保存直後の電池膨化量及び冷却後の電池膨化量を算出し、この結果を下記表1に示す。各実験例それぞれ2つの電池を用い、結果はその平均値で示している。
〔充放電特性試験〕
上記で作製した電池を定電流1.0It(800mA)で電圧が4.2Vとなるまで充電し、その後定電圧4.2Vで電流が0.05It(40mA)となるまで充電し、この充電容量を測定した。この後、定電流1.0It(800mA)で電圧が2.5Vとなるまで放電し、この放電容量を測定した。また、以下の式により、初期効率を測定した。これらの結果を、下記表1に示す。各実験例それぞれ2つの電池を用い、結果はその平均値で示している。また、充電容量、放電容量は、実験例1の結果を100とした相対値で示している。
初期効率(%)=放電容量÷充電容量×100
〔放電負荷特性試験〕
上記で作製した電池を定電流1.0It(800mA)で電圧が4.2Vとなるまで充電し、その後定電圧4.2Vで電流が0.05It(40mA)となるまで充電した。この後、定電流1.0It(800mA)で電圧が2.5Vとなるまで放電し、この放電容量を測定した。この後、再度上記条件で充電を行い、この後、定電流0.2It(160mA)で電圧が2.5Vとなるまで放電し、この放電容量を測定した。以下の式により放電負荷特性を算出し、この結果を下記表1に示す。各実験例それぞれ2つの電池を用い、結果はその平均値で示している。
放電負荷特性(%)=0.2It放電容量÷1.0It放電容量×100
上記表1から、暴露なしの実験例1は、ドライ暴露を行った実験例2,3、大気暴露を行った実験例4〜7、大気暴露後にドライ暴露を行った実験例8と比較し、電池膨化量が小さいことがわかる。また、ドライ暴露時間が長くなるに伴い、電池膨化量が大きくなる傾向にあり(実験例2,3参照)、大気暴露時間が長くなるに伴い、電池膨化量が大きくなる傾向にあることがわかる(実験例4〜7参照)。また、同一の暴露時間では、大気暴露を行ったほうが、ドライ暴露を行ったものよりも電池膨化量が大きいことがわかる(実験例2,3,6,7参照)。
また、実験例7、8においては、充電容量が実験例1の96.0%、95.9%、放電容量が実験例1の90.0%、89.2%であり、初期効率は実験例1が88.8%であるのに対し85.9%、85.5%、放電負荷特性は実験例1が106.7%であるのに対し110.2%、110.5%と、大きく劣っていることがわかる。
〈考察〉
この理由として、暴露による水分の悪影響が考えられる。
完成正極を大気に暴露すると、正極が大気中の水分を吸着し、この水分と正極活物質であるリチウムニッケル複合酸化物中のリチウム(イオン)とが反応し、水酸化リチウムが生じる。この反応は、露点が−40℃以下であるドライエアー雰囲気でもわずかながらに生じる。この水酸化リチウムは充放電に関与する物質ではないため、充放電に寄与するリチウムニッケル複合酸化物量が減少して、充電容量及び放電容量が低下する。また、リチウムイオンと大気との反応により生じた反応性生物により正極の導電性が悪くなり、放電負荷特性を低下させる。
また、反応生成物が高温保存時に分解し、あるいは反応性生物と非水溶媒とが反応して非水溶媒が分解してガスを発生させて、電池膨化量を大きくする。
この考察が正しいのであれば、正極活物質や正極に含まれる水分量を測定し、この水分量を指標として用いることにより、非水電解質二次電池に適合した正極活物質や正極を評価することができると考えられる。このことを検証するため、次の実験を行った。
[実験2]
〔水分量の測定〕
上記実験例1と同様にしてリチウムニッケル複合酸化物(正極活物質)を作製し、この正極活物質を下記表2に示す条件で暴露し、カールフィッシャー法により暴露後の正極活物質に含まれる水分量を測定した。この結果を下記表2に示す。
また、上記実験例1と同様にして正極を作製し、この正極を下記表2に示す条件で暴露し、この後正極から正極合剤(正極活物質+結着剤+導電剤)を剥がしとり、カールフィッシャー法により暴露後の正極合剤に含まれる水分量を測定した。この結果を下記表2に示す。
上記表2から、正極活物質、正極合剤ともに、大気暴露の時間が長くなるに従い水分量が増加する傾向にあることがわかる。しかしながら、大気暴露10日後にドライ暴露10日を行った場合には、正極活物質、正極合剤ともに、大気暴露10日のみの場合よりも水分量が少なくなっていることがわかる。これは、大気暴露後のドライ暴露によって、大気暴露時に正極活物質や正極が吸着した水分の一部が脱離したためと考えられる。
〈考察〉
ここで、大気暴露10日後にドライ暴露10日を行った実験例8は、大気暴露10日のみを行った実験例7よりも性能が悪い(表1参照)。しかし、正極活物質や正極に含まれる水分量は、大気暴露10日のみを行った場合よりも、大気暴露10日後にドライ暴露10日を行った場合のほうが低い(表2参照)。このことから、含有水分量を指標として、正極活物質や正極の品質を評価し、電池性能を予測することができないことがわかった。
このため、含有水分量以外の指標を用いて、正極活物質や正極の品質を評価し、電池性能を予測する方法について検討する必要がある。
ここで、水酸化リチウムと雰囲気ガス中の炭酸ガスとが反応すると、リチウム炭酸化合物が生じると考えられる。このリチウム炭酸化合物が、高温保存時に分解して炭酸ガスを発生させて電池膨化量を大きくし、また正極の導電性を低下させている要因である可能性がある。このリチウム炭酸化合物量を測定することが可能であれば、リチウム炭酸化合物量を指標として、正極活物質や正極の性能の評価を行うことができる可能性があると考えられる。
水酸化リチウムと炭酸ガスとの反応生成物としては、炭酸リチウム(LiCO)や炭酸水素リチウム(LiHCO)が考えられる。このようなリチウム炭酸化合物は、加熱することにより分解して炭酸ガスが発生する可能性がある。
ところで、炭酸リチウムは現在市販されているが、炭酸水素リチウムは現在市販されていない。これは、炭酸水素リチウムが不安定な構造であるためと推察される。このため、炭酸リチウムと、炭酸水素リチウムに構造が似た炭酸水素ナトリウム(NaHCO)とを加熱して、発生する炭酸ガス量を測定することとした。
[実験3]
炭酸リチウムと、炭酸水素ナトリウムと、をアルゴン雰囲気としたSUS製反応管中に入れ、それを電気炉にて熱処理し、発生した炭酸ガス量をガスクロマトグラフィーにて測定(以降は熱分解―ガスクロマトグラフィーと称する)した結果を図1に示す。なお、ガスクロマトグラフィーには、島津製作所社製GC−14Bを用いた。
炭酸水素ナトリウムは、以下の反応式によって分解して、炭酸ガスを発生させる。よって、理論的には、炭酸水素ナトリウム1モルから、0.5モルの炭酸ガスが発生する。
2NaHCO→NaCO+HO+CO
ここで、図1から、200℃以上の加熱によって、炭酸水素ナトリウム1モルあたり約0.45モルの炭酸ガスが発生していることが確認できる。このため、200℃以上の加熱によって約90%の炭酸水素リチウムが分解し、炭酸ガスを発生させることがわかる。他方、炭酸リチウムは、100〜500℃の加熱では、ほとんど分解しないことがわかる。
〈考察〉
この結果から、大気に暴露したリチウムニッケル複合酸化物を500℃以下の条件で加熱することにより炭酸ガスが発生するのであれば、このリチウムニッケル複合酸化物中に含まれるリチウム炭酸化合物が、炭酸リチウムではないものが含まれていると決定できる。これを確認するため、以下の実験を行った。
[実験4]
上記実験例1と同様にしてリチウムニッケル複合酸化物を作製し、これを大気に一定時間暴露させた後、暴露後のリチウムニッケル複合酸化物に対して熱分解―ガスクロマトグラフィーを行い、発生する炭酸ガス量を測定した。この結果を図2、図3に示す。
図2及び図3から、大気に暴露したリチウムニッケル複合酸化物を200℃以上に加熱すると、炭酸ガスが発生することがわかる。また、発生炭酸ガス量は、400℃加熱と500℃加熱との間に大きな差がないことがわかる。
このことから、リチウムニッケル複合酸化物を大気に暴露することによって生じる化合物は、200〜500℃加熱によって熱分解して炭酸ガスを発生させる化合物(熱分解性炭酸化合物)であることがわかる。また、この熱分解反応は、400℃においてはほぼ上限に達することがわかる。
また、図2及び図3から、大気暴露の時間が長くなるに伴い、400℃加熱時に発生する炭酸ガス量が増加する傾向にあるのがわかる。これは、暴露時間が長くなるに伴い、生成する熱分解性炭酸化合物量が増加するためと考えられる。
〈考察〉
この結果から、リチウムニッケル複合酸化物を大気に暴露することによって生じる熱分解性炭酸化合物は、炭酸リチウムではないことがわかる。
このため、熱分解性炭酸化合物が、炭酸水素リチウムである可能性がある。しかしながら、炭酸水素リチウムが市販されていない理由を構造の不安定さと考えると、炭酸水素リチウムは炭酸水素ナトリウムよりも不安定な構造であり、炭酸水素ナトリウムよりも低い温度(200℃未満)で熱分解するとも考えられる。また、リチウムニッケル複合酸化物作製時のニッケル源として水酸化ニッケルを用いており、この水酸化ニッケルが炭酸ガスと反応して生成したリチウム炭酸化合物が存在する可能性がある。
ところで、炭酸リチウム(LiCO)及び炭酸水素リチウム(LiHCO)は、塩酸と反応させると、以下の反応式により炭酸ガスが発生すると考えられる。
LiCO+2HCl→2LiCl+HO+CO
LiHCO+HCl→LiCl+HO+CO
また、炭酸水素リチウムが熱分解すると、以下の反応式により炭酸ガスが発生すると考えられる。
2LiHCO→LiCO+HO+CO
すなわち、熱分解性炭酸化合物が炭酸水素リチウムであると仮定すると、500℃加熱により生じる炭酸ガス量(モル)は、熱分解性炭酸化合物量(モル)の1/2となる。また、リチウムニッケル複合酸化物作製時の加熱(700℃)によって、リチウムニッケル複合酸化物に炭酸リチウムが含まれる可能性がある。よって、この仮定が成立する場合、塩酸処理により発生した炭酸ガス量から、炭酸リチウム量を以下の式により算出できる。
炭酸リチウム量(モル)=塩酸処理発生炭酸ガス量(モル)−熱分解性炭酸化合物量(500℃加熱処理発生炭酸ガス量(モル)×2)
この考え方に基づいて、以下の実験を行った。
[実験5]
上記実験例1と同様にしてリチウムニッケル複合酸化物を作製し、これを各種条件で暴露し、この後塩酸と反応させて、炭酸ガス発生量を測定した。ここで、熱分解性炭酸化合物を炭酸水素リチウムと仮定し、上記式に従い、熱分解性炭酸化合物量と炭酸リチウム量を算出した。この結果を図4に示す。
図4から、熱分解性炭酸化合物を炭酸水素リチウムと仮定した場合における、炭酸リチウム量は、暴露条件にかかわらずほぼ一定であり、熱分解性炭酸化合物は、暴露により増加することがわかる。
また、この結果から、リチウムニッケル複合酸化物に炭酸リチウムが含まれることが推察できる。この炭酸リチウムは、リチウムニッケル複合酸化物作製に用いた水酸化リチウムと雰囲気ガス中の炭酸ガスとが反応し、その後の焼成により生成した化合物であると考えられる。
実験3〜5の結果から、200℃以上に加熱して発生する炭酸ガス量を測定することにより、リチウムニッケル複合酸化物に含まれる熱分解性炭酸化合物量を測定できることがわかる。ここで、400℃以上の加熱においては、炭酸ガス発生量が上限に達しているため、400℃以上の加熱における炭酸ガス発生量が、最も正確な熱分解性炭酸化合物量の指標となる。このため、500℃加熱で発生する炭酸ガス量と、電池膨化量(冷却後)との関係を、図5に示す。
図5から、炭酸ガス量と、電池膨化量との間に、一次関数的な関係があることがわかる。このことから、熱分解性炭酸化合物が、高温保存時に分解して炭酸ガスを発生させて電池膨化量を大きくし、また正極の導電性を低下させている原因であると考えられる。そして、加熱して発生した炭酸ガス量を指標として、正極活物質の品質を評価し、電池性能を予測できることがわかる。
ここで、リチウムニッケル複合酸化物を500℃に加熱した場合の炭酸ガス発生量と、上記実験1の結果とを照合した結果を下記表3に示す。
この結果から、正極活物質を200℃以上に加熱し、発生する炭酸ガス量を指標として(実験例7以上のものが不適合品、実験例7未満のものが適合品と判定)、正極活物質の品質を評価し、電池性能を予測できることがわかる。
図3の結果から、正極活物質の品質の評価指標は、加熱温度をx(℃)、正極活物質1gあたりの炭酸ガス発生量をy(モル/g)とするとき、以下の数式で示される。

なお、1500℃より高い温度に加熱すると、熱分解性炭酸化合物以外に、炭酸リチウムが分解するため、加熱温度の上限は1500℃となる。より好ましくは、炭酸ガス発生量が上限に達する400℃以上とし、コスト面から加熱温度の上限を500℃とする。
〈正極への適用〉
ところで、リチウムニッケル複合酸化物と水分、炭酸ガスとの反応は、導電剤及び結着剤とを混合し、正極を完成させる工程等においても生じると考えられる。このため、正極活物質自体が適合品であっても、正極としては不適合品となる場合も生じると考えられる。このため、完成正極を試料とし、正極の品質を評価する手法が必要となる。このため、以下の実験を行った。
[実験6]
上記実験例1と同様にして正極を作製した後、所定時間所定の条件に暴露し、この後正極から正極合剤(正極活物質+結着剤+導電剤)を剥がしとり、これらのサンプルについて熱分解―ガスクロマトグラフィーを行った。この結果を、図6に示す。
図2と図6との比較から、同一暴露条件では、正極合剤の方が正極活物質よりも多くの炭酸ガスが発生していることがわかる。
このことは、次のように考えられる。正極活物質と結着剤と溶剤とを混合し、正極を完成させる工程において、リチウムニッケル複合酸化物中のリチウム(イオン)とドライエアー中の水分、炭酸ガスと反応して熱分解性炭酸化合物が生じ、加熱により発生する炭酸ガスが増加する。また、正極に含まれる結着剤(ポリフッ化ビニリデン)は、加熱により分解してフッ化水素(HF)が生じ、熱分解性炭酸化合物や、リチウムニッケル複合酸化物作製時に用いるリチウム源の残存成分(炭酸リチウム)と反応して、発生する炭酸ガス量を増加させる。
〈考察〉
正極合剤を400℃よりも高い温度に加熱した場合には、異なる暴露条件であっても炭酸ガス発生量に大きな差がないことがわかる。これは、フッ化水素の影響による炭酸ガス発生量が過大となり、全炭酸ガス発生量に占める熱分解性炭酸化合物の分解による炭酸ガス発生量の割合が小さくなりすぎるためによると考えられる。
ここで、ポリフッ化ビニリデンによる炭酸ガス発生量の影響を調べるため、正極活物質として、加熱による炭酸ガスの発生の少ないリチウムコバルト複合酸化物、炭酸リチウム、大気にまったく暴露していないリチウムニッケル複合酸化物を用いて、以下の実験を行った。
[実験7]
〈正極の作製〉
炭酸リチウムと、酸化コバルトとを混合し、700℃で焼成して、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)を得た。
上記リチウムコバルト複合酸化物95質量部と、導電剤としての炭素粉末2.5質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2.5質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、を混合して正極活物質スラリーとした。この正極活物質スラリーをアルミニウム製の正極集電体の両面に塗布、乾燥した。この後、圧縮ローラーを用いて圧延して、正極aを完成させた。
炭酸リチウム複合酸化物90質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)10質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、を混合してスラリーとした。このスラリーをアルミニウム製の正極集電体の両面に塗布、乾燥した。この後、圧縮ローラーを用いて圧延して、正極bを完成させた。
正極活物質スラリーの塗布、乾燥工程を、露点が−40℃以下であるドライエアー雰囲気で行ったこと以外は、上記実験例1と同様にして、正極cを完成させた。
上記正極a,bから正極合剤(正極aにおいては正極活物質+導電剤+結着剤、正極bにおいては炭酸リチウム+結着剤)を剥がしとり、熱分解―ガスクロマトグラフィーにより発生する炭酸ガスの量を測定した。この結果を図7に示す。なお、正極a、正極bともに、2ずつである。
上記正極a、正極c及び実験例1にかかる正極から正極合剤(正極活物質+導電剤+結着剤)を剥がしとり、熱分解―ガスクロマトグラフィーにより発生する炭酸ガスの量を測定した。この結果を図8に示す。
図7から、熱分解性炭酸化合物が含まれないと考えられるリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用いた場合(正極a)、炭酸リチウムを用い、導電剤を含まない場合(正極b)においても、300℃以上の加熱により炭酸ガスが発生していることが確認できる。また、図8から、熱分解性炭酸化合物が含まれないと考えられるドライエアー雰囲気下で作製した正極cにおいても、300℃以上の加熱により炭酸ガスが発生していることが確認できる。このため、炭酸ガス発生の原因は、ポリフッ化ビニリデンである。
また、加熱温度が高まるに従い、炭酸ガス発生量が増加する傾向にあることがわかる。
また、図8から、200〜400℃の温度範囲においては、実験例1正極が、正極a,cよりも炭酸ガス発生量が多いことがわかる。
〈考察〉
このため、コバルト酸リチウム正極合剤を200〜400℃加熱時に発生する炭酸ガス量を正誤差として、正極合剤を加熱した場合の炭酸ガス発生量を指標として、正極の品質を評価できると考えられる。これを検証するため、正極合剤を300℃に加熱して発生した炭酸ガス量の二倍の値(図3において、300℃加熱時に発生する炭酸ガス量は、500℃加熱時の約半分である)と、正極活物質を500℃に加熱して発生した炭酸ガス量との関係を、図9に示す。
図9から、暴露条件と正極合剤を300℃に加熱して発生した炭酸ガス量の二倍の値との関係は、暴露条件と正極活物質を500℃に加熱して発生した炭酸ガス量との関係とほぼ同様の傾向にあることがわかる。
〈考察〉
実験6,7の結果から、正極合剤の場合には、正極活物質として含まれるリチウムニッケル複合酸化物中の熱分解性炭酸化合物量(高温保存時に分解して炭酸ガスを発生させて電池膨化量を大きくし、また正極の導電性を低下させる原因物質量)は、200〜400℃加熱することにより、その量を推定できることがわかる。300℃加熱発生炭酸ガス量と、電池膨化量(冷却後)との関係を、図10に示す。
図10から、300℃加熱発生炭酸ガス量と、電池膨化量との間に、一次関数的な関係があることがわかる。このことから、正極合剤を加熱して発生した炭酸ガス量を指標として、正極の品質を評価し、電池性能を予測できることがわかる。
ここで、リチウムニッケル複合酸化物を300℃に加熱した場合の炭酸ガス発生量(正極活物質1g当たり)と、上記実験1の結果とを照合した結果を下記表4に示す。
この結果から、発生する炭酸ガス量が実験例7の条件以上であるものを不適合品、発生する炭酸ガス量が実験例7の条件未満であるものを適合品として、正極を評価し、電池性能を予測できることがわかる。
図6の結果から、正極の品質の評価指標は、加熱温度をx(℃)、正極活物質1gあたりの炭酸ガス発生量をy(モル/g)とするとき、以下の数式で示される。

なお、本発明に用いるリチウムニッケル複合酸化物としては、上記LiNi0.8Co0.15Al0.05に限定されるものではなく、LiNi1−x(MはCo、Al、Zr、Ti、Mg、Mnの少なくとも一種、0.9≦a≦1.1、0.5≦x≦1)を用いることができる。
以上に説明したように、本発明によれば、電池完成前に、正極活物質・正極の品質を評価し、電池性能を予測することができる。よって、産業上の利用可能性は大きい。
図1は、炭酸水素ナトリウム及び炭酸リチウムの熱分解―ガスクロマトグラフィー結果を示すグラフである。 図2は、正極活物質(リチウムニッケル複合酸化物)の熱分解―ガスクロマトグラフィー結果を示すグラフである。 図3は、大気中に10日間暴露した正極活物質(リチウムニッケル複合酸化物)の熱分解―ガスクロマトグラフィー結果を示すグラフである。 図4は、正極活物質に含まれる炭酸化合物の量を示すグラフである。 図5は、正極活物質を500℃で加熱して発生した炭酸ガス量と、電池膨化量との関係を示すグラフである。 図6は、完成正極(活物質はリチウムニッケル複合酸化物)に含まれる正極合剤の熱分解―ガスクロマトグラフィー結果を示すグラフである。 図7は、リチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用いた正極に含まれる正極合剤の熱分解―ガスクロマトグラフィー結果を示すグラフである。 図8は、異なる条件で作製した正極に含まれる正極合剤の熱分解―ガスクロマトグラフィー結果を示すグラフである。 図9は、正極活物質を加熱した場合の炭酸ガス発生量と、完成正極に含まれる正極合剤を加熱した場合の炭酸ガス発生量とを比較するグラフである。 図10は、完成正極に含まれる正極合剤を300℃で加熱して発生した炭酸ガス量と、電池膨化量との関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. リチウムニッケル複合酸化物を200〜1500℃に加熱したとき、発生する炭酸ガス量を測定し、加熱温度をx(℃)、正極活物質1gあたりの炭酸ガス発生量をy(モル/g)とするとき、以下の数式を満たすものを非水電解質二次電池用正極活物質に適合するものであると判定する、
    非水電解質二次電池用正極活物質の評価方法。

  2. 請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の評価方法において、
    前記炭酸ガス量をガスクロマトグラフィーにより測定する、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質の評価方法。
  3. 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の評価方法において、
    前記加熱温度を400〜500℃とする、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質の評価方法。
  4. リチウムニッケル複合酸化物と、ポリフッ化ビニリデンと、を含む正極合剤を有する非水電解質二次電池用正極の評価方法であって、
    前記非水電解質二次電池用正極から前記正極合剤を取り出し、これを200〜400℃に加熱したとき、発生する炭酸ガス量を測定し、加熱温度をx(℃)、正極活物質1gあたりの炭酸ガス発生量をy(モル/g)とするとき、以下の数式を満たすものを非水電解質二次電池用正極に適合するものであると判定する、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池用正極の評価方法。

  5. 請求項4に記載の非水電解質二次電池用正極の評価方法において、
    前記炭酸ガス量をガスクロマトグラフィーにより測定する、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池用正極の評価方法。
  6. 請求項4又は5に記載の非水電解質二次電池用正極の評価方法において、
    前記加熱温度を300℃とする、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池用正極の評価方法。
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