JP6848394B2 - リチウムイオン二次電池の特性評価方法、およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の特性評価方法、およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の特性評価方法、およびリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は高いエネルギー密度をもつため、近年小型化や軽量化を要求される携帯電話やノートパソコンのような携帯電子機器に広く利用されている。また自動車用途ではクリーンなエネルギー源として開発が盛んであり、小型、軽量、高容量、高出力などの高性能化や低コスト化が求められている。その中で、4V以上の高い電位で作動する5V級正極活物質は電池の高エネルギー密度化や、組電池の電池個数を減少できる利点があり、ハイブリッド車および電気自動車用電池の正極活物質として開発が進んでいる。
これらの開発を迅速かつ低コストで進めるためには評価手段が重要な要素の一つであり、リチウムイオン二次電池正極活物質の開発における評価の重要性は益々高まっている。具体的な評価方法としては、組成分析やXRD、SEM EDX、XPSなどのいわゆる分析評価方法による、正極活物質の組成、粒度分布、粒子形状、結晶構造、構成元素の配置等と電池性能との相関評価があるが、実際に電池を作製して電池特性の評価を行うことは不可欠である。しかし、5V級リチウムイオン二次電池の特性評価では、電解液の分解やガス発生などによって正確な評価結果を得ることが難しくなっている。
例えば、特許文献1には、4.5V以上の作動電位を有する(5V級)スピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物の電池評価が困難な理由として、電解液との反応により発生するガスの存在が指摘されており、ガスの発生量を抑制するため16dサイトと32eサイトとの原子間距離の比率を所望の値とすることが開示されているが、電池評価方法については改良された方法を開示しているわけではない。
特開2015−38872号公報
ところで、主たる電池特性には、初期の充放電容量特性、充放電サイクル特性(耐久特性)、出力特性、熱安定性などがあるが、電池の基礎特性として初期の充放電容量評価は不可欠であり、初期の充放電容量特性として正確な測定値が得られないと、その後の測定値の特性評価にも影響を及ぼしてしまう。例えばサイクルを繰り返したときの容量維持率は初期充放電容量に対する相対値で評価されるので、初期充放電容量の測定値が正確なものではないと、容量維持率による評価も正確さを欠くものになってしまう。このことから、初期の充放電容量は、特に重要な電池特性となる。
非水系電解質二次電池は、通常、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極とがセパレーターを介し対向配置した電極部と、前記電極部に含浸される非水系電解液から構成されている。
これらに用いられる非水系電解液は、現在、市場に広く普及しているLiCoOなどの4V級正極活物質においては十分な性能を示すが、5V級正極活物質を作動させるには適当でない。一般的なリチウムイオン二次電池用非水系電解液を用いて5V級正極活物質の電池特性を評価しようとした場合、高電圧での充電時に正極活物質と電解液の界面で電解液の過剰な酸化分解が起こり、COガスとHOが生成する。発生したHOは、電解液中に含まれる支持電解質であるLiPFと反応しフッ酸(HF)を生成する。強酸であるHFは正極活物質の溶出、Al集電体の腐食やCu集電体と負極塗工膜との剥離、セパレーターやバインダーの劣化など、電池構成部材の多くに対して悪影響を与え電池を急激に劣化させることから、高電圧でリチウムイオン二次電池の評価を行なうことで、5V級正極活物質の評価を安定的に行うことは難しい。現在、有意義な電気化学測定が可能な電位領域を示す、電位窓の広い電解液の開発も進められているが、まだ、実用化レベルには至っておらず、5V級正極活物質の評価はこれらの反応やHFによる劣化を含めた評価となっている。
また、上述した特許文献1には、強酸であるHFの滞留を低減することにより、非水系電解質二次電池に構成される部材の劣化を抑制するための技術については一切記載されていない。
5V級正極活物質のサイクル評価を特に長期に渡って高精度で安定して行うためには、正極活物質表面で酸化分解により発生するHFを抑制することが重要である。そのためには耐酸化性の高い電解液を用いることが好ましいが、現在入手可能な耐酸化性の高い電解液は、その一方で耐還元性が十分でなく負極で分解されるなどの問題が発生する。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、5V級リチウムイオン二次電池用正極活物質などのように高電位での充放電評価が必要な正極活物質を評価する際に、非水系電解液の分解により発生する強酸であるHFによる電池部材の劣化を低減し、高精度の電池特性評価結果を得ることが可能な、新規かつ改良されたリチウムイオン二次電池の特性評価方法、およびリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は、正極活物質表面での電解液の酸化分解が起因となり発生したHFが各部材の劣化を進行させるのを抑制する手段を鋭意研究した結果、正極および負極の両電極を挟み込むように加圧することにより、正極集電体と負極集電体の間、具体的には「正極集電体−正極活物質層−セパレーター−負極活物質層−負極集電体」の構成部分(以下、「集電体間」ともいう。)の空隙を減らすことで、集電体間に滞留するHF量を低減し、電池構成部材の劣化抑制が可能であることを見出した。
集電体間の空隙を減らす方法としては、ロールプレス、油圧プレスなど圧延、圧縮機械を使って電極を圧延して密度を高める方法がある。しかし、これらの方法を用いて電極の空隙率を小さくすると、当然、電極内部に保持される電解液量は減少し、電解液が正極表面で酸化分解しCOなどのガスが発生する5V級正極活物質においてはガス化により正極活物質層内部の電解液が枯渇し、充放電容量が低下するといった問題を招いてしまう。そこで、本発明の実施形態では正極以外の、電解液の酸化分解がおこらない部分の空隙を減らすことで集電体間に存在するHF滞留量を低減しサイクル特性などを向上させた。
すなわち、本発明の一態様に係るリチウムイオン二次電池の特性評価方法は、少なくとも正極、負極、およびセパレーターと、電解液とから構成されるラミネートセルを用いたリチウムイオン二次電池の特性評価方法であって、正極集電体に正極活物質層が形成された前記正極を作製する工程と、負極集電体に負極活物質層が形成された前記負極を作製する工程と、前記正極および前記負極の間に、前記セパレーターを介挿する工程と、前記正極、前記負極、および前記セパレーターを電解液と共にラミネートフィルム内に封止して、ラミネートセルを組み立てる工程と、前記ラミネートセルの、前記正極および前記負極が存在する電極部のみ8.83×10Pa以上で加圧しながら、該ラミネートセルの電池特性を評価する工程とを含み、前記ラミネートセルは矩形状であり、前記電極部が前記ラミネートセルの端部側に設けられ、前記ラミネートセルには、非加圧領域のうち少なくとも一部に空隙部が設けられ、前記空隙部は、前記電極部と対向する前記ラミネートセルの端部側に設けられることを特徴とする。
また、本発明の一態様では、前記正極および前記負極の間に、前記セパレーターを介挿する工程では、該セパレーターおよび該正極の間に、セルロースセパレーターをさらに介挿し、前記セルロースセパレーターは、前記ラミネートセルの長手方向に沿って延在し、前記正極および前記負極より長いことが好ましい。
また、本発明の一態様では、前記正極活物質層を構成する材料を溶媒と共に湿式混合したスラリーを、前記正極集電箔上に塗工し乾燥することにより、該正極集電箔上に該正極活物質層が形成された正極を用いることが好ましい。
また、本発明の一態様では、前記ラミネートセルの前記電極部のみを加圧しながら、コンディショニング処理を施すことが好ましい。
また、本発明の一態様では、前記正極活物質がLiNi 0.5 Mn 1.5 であることが好ましい。
本発明の他の態様に係るリチウムイオン二次電池は、正極集電体に正極活物質層が形成される正極と、負極集電体に負極活物質層が形成される負極と、前記正極および前記負極の間に介挿されるセパレーターと、該正極、該負極、および該セパレーターを電解液と共に封止するラミネートフィルムとを備えるラミネートセルと、前記ラミネートセルの、前記正極および前記負極が存在する電極部のみを加圧するための加圧機構とを有し、前記ラミネートセルは矩形状であり、前記電極部が前記ラミネートセルの端部側に設けられ、前記ラミネートセルには、非加圧領域のうち少なくとも一部に空隙部が設けられ、前記空隙部は、前記電極部と対向する前記ラミネートセルの端部側に設けられ、前記加圧機構が前記ラミネートセルの、前記正極および前記負極が存在する電極部のみ8.83×10Pa以上で加圧することを特徴とする。
また、本発明の一態様では、前記正極および前記負極の間に介挿された前記セパレーターに加えて、該セパレーターと該正極の間にセルロースセパレーターを介挿し、セルロースセパレーターは前記ラミネートセルの長手方向に沿って延在し、前記正極および前記負極より長いことが好ましい。
また、本発明の一態様では、前記正極活物質層を構成する材料を溶媒と共に湿式混合したスラリーを、前記正極集電箔上に塗工し乾燥することにより、該正極集電箔上に該正極活物質層が形成された正極を用いることが好ましい。
また、本発明の一態様では、前記正極活物質がLiNi 0.5 Mn 1.5 であることが好ましい。
本発明によれば、充放電反応時、特に高電圧を印加しての充電時に集電体間に滞留するHF量を低減することができるので、高電圧を印加した充放電時の電池を構成する各部材のHFによる劣化を抑制でき、リチウムイオン二次電池の安定的電池特性評価が可能となる。特に電池特性に関わる正極活物質の性能を高精度で評価することができる。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の特性評価方法の概略を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の特性評価方法に用いられるリチウムイオン二次電池を示す図であり、(A)はラミネートセルの概略説明図であり、(B)はラミネートセルの正面図である。 従来のリチウムイオン二次電池を示す図であり、(A)はラミネートセルの概略説明図であり、(B)はラミネートセルの正面図である。 本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の説明図であり、(A)はリチウムイオン二次電池の概略説明図であり、(B)はリチウムイオン二次電池の概略を示すA−A断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の特性評価方法について、図面を使用しながら説明する。図1は、リチウムイオン二次電池の特性評価方法の概略を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の特性評価方法に用いられるリチウムイオン二次電池の構成を示す図であり、(A)はラミネートセルの概略説明図であり、(B)はラミネートセルの正面図である。
リチウムイオン二次電池の特性評価方法は、図1に示すように、正極集電体に正極活物質層が形成された正極を作製する工程S1と、負極集電体に負極活物質層が形成された負極を作製する工程S2と、正極および負極の間に、非水系電解液が含浸されるセパレーターシートを介挿する工程S3と、正極、負極、および前記セパレーターを電解液とともにラミネートフィルムで封止して、ラミネートセルを組み立てる工程S4と、ラミネートセルに1.50×10Pa以上の加圧しながらコンディショニング処理し、かつラミネートセルに加圧しながら、ラミネートセルの電池特性を評価する工程S5とを含むものである。また、このリチウムイオン二次電池に用いるラミネートセルは、図2(A)に示すように、少なくとも正極、負極、およびセパレーターと、電解液とから構成される。
まず、本実施形態では、図2(A)に示すように、正極集電体に正極活物質層(以下、「正極膜」ともいう。)が形成された正極110を作製する(工程S1)。
正極活物質層内に含有される正極活物質は、LiCoO、LiNiO、Li(Ni,Co,Al)O、LiNi1/3Mn1/3Co1/3などの層状複合酸化物やLiMnなどのスピネル系正極活物質などを用いることが出来る。本発明は5V級正極活物質に限定されるものではないが、特にLiNi0.5Mn1.5に代表されるような5V級正極活物質の評価方法に適している。正極活物質は各種の電池特性を発現するためにその態様に従って、調製されたものを用いる。例えば、成分組成、粒度、表面などが正極活物質の電池特性に影響する各因子として考慮される。
正極110は、正極活物質の他に、導電材やバインダー(結着剤)などから構成され、これらを混合して正極合材として用いられる。電池特性はこれらの構成材料の影響を受けることから、適正なものを用いて正極合材を調製する。
導電材は、半導体である正極活物質粒子間の電気伝導性を高め、正極110の充放電反応を効率的に行うためのものであり、一般的な非水系電解質二次電池で使用されている導電材であればよく、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など)やアセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)などのカーボンブラック系材料などの炭素材料を単体、もしくは複合して用いることができる。
バインダーは、正極活物質および導電材粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、一般的な非水系電解質二次電池で使用されているものであればよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴムなどの含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの熱加塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
正極110の作製方法として、例えば、シート法あるいは塗工法を用いることができる。シート法は、正極活物質を導電材、バインダーとともに乾式混合し、得られた混合物を正極集電体とともにロールプレスなどを用い、アルミニウム箔などの集電体上に正極膜が形成されたシートを作製した後、所望のサイズに打ち抜いて正極110を得るものである。シート法では、塗工法による電極作製法と比べ、正極110を迅速に作製できるメリットがある。
例えば、シート法により得られる正極110を、3cm×5cmで一角に幅10mmと5mmの段差のある帯状部(端子)が出た形状に切り出す。そして、その帯状部から上記正極活物質層を除去し、集電体のアルミニウム箔を露出させる。これより、図2(A)に示すように、正極集電体に正極活物質層が形成された正極110を作製する。そして、この正極110には、正極端子部111が形成されている。
一方、塗工法は、正極活物質を導電材、バインダー、溶媒とともに湿式混合し混練してスラリー化し、得られたスラリーを正極集電体上に塗布し乾燥して正極膜を形成した後、所望のサイズに打ち抜いて正極110を得るものである。塗工法は、塗工厚みを薄くすることが可能である。リチウムイオンの拡散が律速となるリチウムイオン二次電池において、塗工厚みを薄くしてリチウムの拡散距離を短くすることで、高レートでの充放電が可能となり、長期サイクル評価を効率的に行なうことができる。
乾式混合および湿式混合は、乾式混合であれば乾式ボールミル、乾式ビーズミル、ブレード遊星運動型の混合機、容器回転型の遊星運動混合機を、湿式混合であれば攪拌機、ホモジナイザーなどが利用できるが、特に容器回転型の遊星運動混合機を用いると均質な正極膜が得られやすい。
次に、本実施形態では、図2(A)に示すように、負極集電体に負極活物質層(以下、「負極膜」ともいう。)が形成された負極120を作製する(工程S2)。
負極活物質層内に含有される負極活物質は、金属リチウムを用いると不活性なデントライトが発生し、長期のサイクル特性評価ができないことから、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能なコークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類の材料を単独でまたは二種以上を混合して使用することができる。
それらを集積させ銅等の金属箔集電体上に所望の厚み、形態で接着させるためのバインダーとしては一般的な非水系電解質二次電池で使用されているものであればよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴムなどの含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの熱加塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。粉末状の負極活物質は、上記バインダーを混合し、Nメチル−2−ピロリジノン(NMP)などの溶剤を加え、正極と同様に、湿式混合し混練してスラリー化した後、銅等の金属箔集電体の表面に塗工し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを所望のサイズに切り出す、あるいは打ち抜いて用いることができる。
例えば、シート法により得られる負極120を、3cm×5cmで一角に幅10mmと5mmの段差のある帯状部(端子)が出た形状に切り出す。そして、その帯状部から上記負極活物質層を除去し、集電体銅箔を露出させる。これにより、図2(A)に示すように、負極集電体に負極活物質層が形成された負極120を作製する。そして、この負極120には、負極端子部121が形成されている。
次に、本実施形態では、図2(A)に示すように、正極110および負極120の間に、セパレーター130を介挿する(工程S3)。
セパレーター130は、図2(A)に示すように、正極110および負極120の間に挟み込んで配置される。セパレーター130は、正極110および負極120を分離し、正極110および負極120の短絡を防止する機能と電解液を保持するものであり、セパレーター130としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を挙げることができる。それらを単独、あるいは、組み合わせて用いることができる。
また、工程S3では、セパレーター130および正極110の間に、セルロースセパレータ(不図示)をさらに介挿してもよい。セルロースセパレーターは特に空隙率の大きなセパレーターであるため、電解液の保持に優れ、かつ発生したHFを効率的に空隙部に逃がすことができる。ただし、セルロースセパレーターは物理的な強度が小さいため、単独で用いると他の種類のセパレーターに比べて加圧時に破損する危険が大きく、セルロースセパレーターは他の種類のセパレーターと共に使用することが好ましい。また、セルロースセパレーターを正極および負極に比べて大きなものにすることで、正極および負極と接触していない部分のセルロースセパレーターは、HFの逃げ先として機能することができる。そのため、セルロースセパレーターは、ラミネートセル100の長手方向に沿って延在し、正極110および負極120より長いことが好ましい。セルロースセパレーターの長さは、正極110および負極120より1.2倍以上2.0倍以下が特に好ましい。1.2倍より短いとこのような効果が小さく、また、2.0倍より長いと必要以上に接触していない部分があるため、ラミネートセルが不必要に大型化し、充放電評価装置の容積効率が悪化するためである。
電解液(非水系電解液)は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiN(CFSO等、およびそれらの複合塩を用いることができる。さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。
次に、本実施形態では、図2(A)に示すように、正極110、負極120およびセパレーター130を電解液とともにラミネートフィルム140で封止して、図2(B)に示すラミネートセル100を組み立てる(工程S4)。
電極にアルミニウム製集電体に正極活物質層が形成された正極端子部111を有する正極シート(正極110)と、銅製集電体に負極活物質層が形成された負極端子部121を有する負極シート(負極120)とを用い、その間に、セパレーター130を介挿して、積層シートを形成する。この積層シートを、二つ折りになっている(二つ折り部(不図示))ラミネートシート(ラミネートフィルム140)の間に挟み、正極端子部111および負極端子部121が、予め準備したラミネートセル100の外装(アルミラミネート外装)の端縁から突出した状態になるように収容する。
そして、ラミネートセル100の外装の2辺を熱融着で密封する。次いで、残った辺の開口からラミネートセル100の外装内を真空引きした後、電解液を注入し、その開口も熱融着で密封し、ラミネートセル100を作製する。
ここで、ラミネートセル100を組み立てる際に、ラミネートセル100には、非加圧領域(後の工程S5において、ラミネートセルを加圧しない領域)のうち少なくとも一部に空隙部150を設けることが好ましい。このラミネートセル100において、空隙部150が、正極110および負極120の電極端子部(正極端子部111,負極端子部121)と対向するラミネートセルの端部側に設けられることがより好ましい。この空隙部150は、ラミネートフィルム140で覆われラミネートセル100の内側にあり、正極110および負極120が存在しない部分をいう。これにより、ラミネートセル100には、図2(B)に示すように空隙部150が設けられ、集電体間で発生したHFが滞留しないよう、この空隙部150にHFを移行させることができる。電極部材と接触するHF量が少ないため、電極部材の腐食劣化が軽減される。このため、初期の放電容量などといった電池特性へのHFの影響がほとんどない測定が可能となり、正極活物質の性能を精度高く測定することができる。ここで、空隙部150の形状は、特に限定されず、例えば長方形状や正方形状が挙げられる。さらに、この空隙部150は、所定の面積以上を有することが好ましく、HFを逃がす十分なスペースを確保するため、空隙部150の面積は正負極の面積に対して1倍以上、5倍以下が好ましい。空隙部150の面積は1倍程度あれば発生するHFを保持するのに十分であり、また5倍より大きくてもラミネートセルが不必要に大型化し、充放電評価装置の容積効率が悪化するためである。
図3は、従来のリチウムイオン二次電池を示す図であり、(A)はラミネートセルの概略説明図であり、(B)はラミネートセルの正面図である。従来のラミネートセル200は、図3(A)に示すように、上から正極端子部211が形成された正極210、セパレーター220、負極端子部231が形成された負極230の順で積層した後、得られた積層体をラミネートフィルム240で覆って、図3(B)に示すラミネートセル200を作製している。本実施形態で用いられるラミネートセル100と従来のラミネートセル200の構成を比較した場合、従来のラミネートセル200には、図2(B)のラミネートセル100と異なり、空隙部150が存在しない。このため、従来のラミネートセル200では、電極部にHFが滞留しないように逃すスペースが存在しない。その結果、HFによりラミネートセルの電池部材が腐食してしまい、電池特性を評価するのが困難となる。
次に、本実施形態では、ラミネートセルを1.96×10Pa(0.2kgf/cm)以上で加圧しながら、ラミネートセルの特性を評価する(工程S5)ことに特徴がある。加圧する手段は、特に限定されないが、例えば圧力を調整したプレス機により、ラミネートセル100を挟み込むようにしてプレスしてもよい。ラミネートセルを加圧するのは、前述のように正極および負極の両電極を挟み込むように加圧することにより、正極集電体と負極集電体の間、具体的には「正極集電体−正極活物質層−セパレーター−負極活物質層−負極集電体」の構成部分(以下、「集電体間」ともいう。)の空隙を減らすことで、集電体間に滞留するHF量を低減し、電池構成部材の劣化を抑制するためである。また、発生したHFをラミネートセルの空隙部に効率的に逃がしてやり、正極、負極とHFの接触を抑制するためでもある。
また、ラミネートセルを加圧しながら、コンディショニング処理を施すことが好ましい。このコンディショニング処理は、作製したラミネートセル中の電解液を正極、負極、セパレーターに十分含浸させるために行うもので、通常室温付近で12〜24時間保管することで行われる。
そのため、本実施形態では、正極110および負極120が存在する電極部のみを、加圧することが好ましい。電極部のみを局所的に加圧する場合、ラミネートセル100全体を加圧するよりも、電極に滞留するHFを効率的に排除することができる。これにより、電極部材と接触するHF量が少ないため、電極部材の腐食が軽減される。このため、初期の放電容量などといった電池特性の影響がほとんどない。この結果、本実施形態では、電池特性について正極活物質の性能を精度高く測定することができる。
本実施形態では、このラミネートセルの加圧の効果はラミネートセルを1.50×10Pa以上で加圧すると顕著となり、ラミネートセルを1.50×10Pa以上で加圧することが好ましく、7.50×10Pa以上で加圧することがより好ましく、さらに8.83×10Pa以上であることが特に好ましい。ラミネートセルに1.50×10Pa以上加圧すれば、発生したHFを空隙部に逃がす効果が現れるため、初期充放電容量を正確に評価することができる。さらに、充放電を繰り返すサイクル特性評価ではHFの発生が顕著であるため、ラミネートセルを7.50×10Pa以上で加圧することにより上記の効果を大きくしてやることが必要である。また、加圧圧力が極端に大きくなると電極間のセパレーターが破損する恐れがあるため、加圧圧力は20.0×10Pa以下であることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池について図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の説明図であり、図4(A)はリチウムイオン二次電池の概略説明図であり、図4(B)はリチウムイオン二次電池の概略を示すA−A断面図である。本実施形態に係るリチウムイオン二次電池300は、図4(A)および(B)に示すように、正極311、負極312、およびセパレーター313を電解液と共に封止するラミネートフィルム314とを備えるラミネートセル310と、加圧ケース320に収納され、ラミネートセル310を加圧するための加圧機構とを有する。そして、加圧機構がラミネートセル310を1.50×10Pa以上で加圧することを特徴とする。なお、本実施形態では、リチウムイオン二次電池用評価方法において重複する構成の説明を割愛する。
加圧機構は、ラミネートセル310の電極端子部側311a,312aの側面と面接触する第1支持部材321aと、第1支持部材321aをラミネートフィルム340の側面に対して加圧する第1圧縮コイルバネ322aと、第1支持部材321aと面接触するラミネートセル310の反対側の側面と面接触する第2支持部材321bと、第2支持部材321bをラミネートセル310の側面に対して加圧する第2圧縮コイルバネ322bとを備える。この加圧機構が、第1支持部材321aおよび第2支持部材321bにより、正極311および負極312の両電極を挟み込むように、ラミネートセル310を加圧する。一方、ラミネートセル310を加圧しない非加圧領域が生じ、ラミネートセル310には、この非加圧領域のうち少なくとも一部に空隙部330が設けられる。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例および比較例に限定されるものではない。
実施例1〜3および比較例1〜2では、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の特性評価方法によって、ラミネートセルをそれぞれ作製した後、ラミネートセルの充電容量および放電容量をそれぞれ評価した。以下、詳細について示す。
(実施例1)
実施例1では、負極は、三菱化学製のリチウムイオン二次電池用負極材(天然黒鉛系)とPVDF(バインダー)を質量比90:10となるように混合し、NMP中に分散させてスラリー化した。このスラリーを、厚さ15μmの銅箔(負極集電体)にアプリケーターを用い、単位面積当たり3.1mg/cmに塗工した。その後、送風乾燥機で120℃×30分乾燥し、乾燥後の電極を、ロールプレスを用いて線圧390kgf/cmで圧延して、負極シートを得た。得られた負極シートを3.2cm×5.2cmで一角が幅10mmの帯状部(端子)が出た長方形に切り出した。そして、その帯状部から上記負極活物質層を除去し、銅箔を露出させて負極端子部を形成し、端子付きの負極シートを得た。
正極は、正極活物質LiNi0.5Mn1.5をアセチレンブラック(導電材)とPVDF(バインダー)を質量比85:10:5となるように混合し、NMP中に分散させてスラリー化した。このスラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)にアプリケーターを用い、単位面積当たり5mg/cmに塗工した。その後、送風乾燥機で120℃×30分乾燥し、ロールプレスにて線圧180kgf/cmの荷重で圧延して、正極シートを得た。得られた正極シートを3cm×5cmで一角が幅10mmの帯状部(端子)が出た長方形に切り出した。そして、その帯状部から上記正極活物質層を除去し、アルミニウム箔を露出させて、正極端子部を形成し、端子付きの正極シートを得た。
セパレーターは、リチウムイオン二次電池で一般的に用いられる厚さ20μmのポリプロピレン製微多孔膜セパレーターシートを5.8cm×3.4cmにカットしたものを、セパレーターシートとして負極側に用いた。また、正極側には、6cm×7cmにカットしたセルロースセパレーターシートを用いた。
非水系電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を容積比でEC/DMC=4:6の混合液にLiPF(1mol/L)を溶解した電解液を用いた。
上述した材料を80℃で8時間減圧乾燥した後、露点−60℃未満のドライルームに持ち込み、外装サイズ80mm×90mmのラミネートセル型電池を組み立てた。
コンディショニング処理として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、1.96×10Pa(0.2kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、12時間保管した。
その後、充放電試験装置(会社名:北斗電工製、製品名:HJ1001SD8)を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で5Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
初期充放電容量として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、1.96×10Pa(0.2kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で4.8Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
実施例1で作製されたラミネートセルの初期充放電容量を評価した結果、表1に示すように、充電容量が119.5mAh/gであり、放電容量が117.9mAh/gであった。
次に、充放電サイクル特性(耐久特性)の評価として、60℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、1.96×10Pa(0.2kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて2Cのレート(30分で満充電となる電流値)で4.9Vまで充電する操作と2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を200回(200cyc)繰り返した。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
実施例1で作製されたラミネートセルのサイクル特性(耐久特性)を評価した結果、表1に示すように、200cyc後の放電容量は、69.1mAh/gであった。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様に、ラミネートセル型電池を作製した。
コンディショニング処理として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、3.92×10Pa(0.4kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、12時間保管した。
その後、充放電試験装置を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で5Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
初期充放電容量として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、3.92×10Pa(0.4kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で4.8Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
実施例2で作製されたラミネートセルの初期充放電容量を評価した結果、表1に示すように、充電容量が121.3mAh/gであり、放電容量が119.6mAh/gであった。
次に、充放電サイクル特性(耐久特性)の評価として、60℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、3.92×10Pa(0.4kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて2Cのレート(30分で満充電となる電流値)で4.9Vまで充電する操作と2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を200回(200cyc)繰り返した。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
実施例2で作製されたラミネートセルのサイクル特性(耐久特性)を評価した結果、表1に示すように、200cyc後の放電容量は、68.2mAh/gであった。
(実施例3)
実施例3では、実施例1と同様に、ラミネートセル型電池を作製した。
コンディショニング処理として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、8.83×10Pa(0.9kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、12時間保管した。
その後、充放電試験装置を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で5Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
初期充放電容量として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、8.83×10Pa(0.9kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で4.8Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
実施例3で作製されたラミネートセルの初期充放電容量を評価した結果、表1に示すように、充電容量が120.9mAh/gであり、放電容量が119.3mAh/gであった。
次に、充放電サイクル特性(耐久特性)の評価として、60℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、8.83×10Pa(0.9kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて2Cのレート(30分で満充電となる電流値)で4.9Vまで充電する操作と2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を200回(200cyc)繰り返した。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
実施例3で作製されたラミネートセルのサイクル特性(耐久特性)を評価した結果、表1に示すように、200cyc後の放電容量は、79.1mAh/gであった。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様に、ラミネートセル型電池を作製した。
コンディショニング処理として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、0.39×10Pa(0.04kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、12時間保管した。
その後、充放電試験装置を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で5Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
初期充放電容量として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、0.39×10Pa(0.04kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で4.8Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
比較例1で作製されたラミネートセルの初期充放電容量を評価した結果、表1に示すように、充電容量が106.5mAh/gであり、放電容量が103.3mAh/gであった。
次に、充放電サイクル特性(耐久特性)の評価として、60℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、0.39×10Pa(0.04kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて2Cのレート(30分で満充電となる電流値)で4.9Vまで充電する操作と2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を200回(200cyc)繰り返した。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
比較例1で作製されたラミネートセルのサイクル特性(耐久特性)を評価した結果、表1に示すように、200cyc後の放電容量は、52.9mAh/gであった。
(比較例2)
比較例2では、実施例1と同様に、ラミネートセル型電池を作製した。
コンディショニング処理として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、0.98×10Pa(0.1kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、12時間保管した。
その後、充放電試験装置を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で5Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
初期充放電容量として、25℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、0.98×10Pa(0.1kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で4.8Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
比較例2で作製されたラミネートセルの初期充放電容量を評価した結果、表1に示すように、充電容量が101.9mAh/gであり、放電容量が100.1mAh/gであった。
次に、充放電サイクル特性(耐久特性)の評価として、60℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、0.98×10Pa(0.1kgf/cm)の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置を用いて2Cのレート(30分で満充電となる電流値)で4.9Vまで充電する操作と2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を200回(200cyc)繰り返した。なお、充電、放電後間の休止時間は、10分とした。
実施例3で作製されたラミネートセルのサイクル特性(耐久特性)を評価した結果、表1に示すように、200cyc後の放電容量は、68.5mAh/gであった。
実施例1〜3および比較例1〜2で評価したラミネートセルの充電容量および放電容量、200cyc後放電容量の値について、下記の基準に基づいて3段階に分けて評価した。得られた結果を表1に示した。
初期充放電容量 判定 基準
○: 充電容量および放電容量が、それぞれ110mAh/g以上である場合
△: 充電容量および放電容量のいずれかが、110mAh/g以上である場合
×: 充電容量および放電容量が、それぞれ110mAh/g未満である場合
サイクル特性(耐久特性) 200cyc後放電容量 判定 基準
○: 放電容量が70mAh/g以上である場合
△: 放電容量が60mAh/g以上、70mAh/g未満である場合
×: 放電容量が60mAh/g未満である場合
総合判定
○:初期充放電容量評価結果の判定およびサイクル特性評価結果の判定が、いずれも○である場合
△:初期充放電容量評価結果の判定およびサイクル特性評価結果の判定が、いずれにも×がなく、かつ、いずれかが△である場合
×:初期充放電容量評価結果の判定およびサイクル特性評価結果の判定が、いずれかが×である場合
Figure 0006848394
初期充放電容量について、実施例1〜3では、ラミネートセルを評価する際、ラミネートセルの電極部を1.96×10Pa(0.2kgf/cm)以上の圧力を維持することにより、充電容量と放電容量がともに115mAh/gを超えていた。
以上より、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の特性評価方法(初期充放電容量評価)は、より正確な正極活物質の充電容量や放電容量を観察することができたので、有用であることが確認された。
一方、比較例1〜2では、実施例1〜3と比較し、充放容量および放電容量が低い値が得られた。この結果により、5V級正極活物質の初期充放電容量評価には、電極部における低い拘束力が適さないことが確認された。
サイクル特性(耐久特性)について、実施例3では、ラミネートセルを評価する際に、ラミネートセルの電極部を8.83×10Pa(0.9kgf/cm)以上の圧力を維持することにより、200cyc後の放電容量が70mAh/gを超えていた。
以上より、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の特性評価方法(サイクル特性(耐久特性)評価)は、より正確な正極活物質の充電容量や放電容量を観察することができたので、有用であることが確認された。
一方、実施例1〜2および比較例1〜2では、実施例3と比較し、200cyc後の放電容量が低い値が得られた。この結果により、5V級正極活物質のサイクル特性(耐久特性)評価には、8.83×10Pa以上の拘束力がより適していることが確認された。
実施例1〜3では、初期充放電容量の評価には、1.96×10Pa以上の圧力を維持することが有効であることが確認された。実施例3によれば、サイクル特性(耐久特性)評価には8.83×10Pa以上の圧力を維持することが更に有効であることが確認された。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の特性評価方法(初期充放電容量評価及びサイクル特性(耐久特性)評価)は、二次電池の正極活物質に関する特性を評価する方法として適している。
100 ラミネートセル、110 正極、111 正極端子部、120 負極、121 負極端子部、130 セパレーター、140 ラミネートフィルム、150 空隙部、200 ラミネートセル、210 正極、211 正極端子部、220 セパレーター、230 負極、231 負極端子部、240 ラミネートフィルム、300 リチウムイオン二次電池、310 ラミネートセル、311 正極、311a 正極端子部、312 負極、312a 負極端子部、313 セパレーター、314 ラミネートフィルム、320 加圧ケース、321a 第1支持部材、321b 第2支持部材、321a 第1圧縮コイルバネ、322b 第2圧縮コイルバネ

Claims (9)

  1. 少なくとも正極、負極、およびセパレーターと、電解液とから構成されるラミネートセルを用いたリチウムイオン二次電池の特性評価方法であって、
    正極集電体に正極活物質層が形成された前記正極を作製する工程と、
    負極集電体に負極活物質層が形成された前記負極を作製する工程と、
    前記正極および前記負極の間に、前記セパレーターを介挿する工程と、
    前記正極、前記負極、および前記セパレーターを電解液と共にラミネートフィルム内に封止して、ラミネートセルを組み立てる工程と、
    前記ラミネートセルの、前記正極および前記負極が存在する電極部のみ8.83×10Pa以上で加圧しながら、該ラミネートセルの電池特性を評価する工程とを含み、
    前記ラミネートセルは矩形状であり、
    前記電極部が前記ラミネートセルの端部側に設けられ、
    前記ラミネートセルには、非加圧領域のうち少なくとも一部に空隙部が設けられ、
    前記空隙部が、前記電極部と対向する前記ラミネートセルの端部側に設けられることを特徴とする、リチウムイオン二次電池の特性評価方法。
  2. 前記正極および前記負極の間に、前記セパレーターを介挿する工程では、該セパレーターおよび該正極の間に、セルロースセパレーターをさらに介挿し、
    前記セルロースセパレーターは、前記ラミネートセルの長手方向に沿って延在し、前記正極および前記負極より長いことを特徴とする、請求項1記載のリチウムイオン二次電池の特性評価方法。
  3. 前記正極活物質層を構成する材料を溶媒と共に湿式混合したスラリーを、前記正極集電箔上に塗工し乾燥することにより、該正極集電箔上に該正極活物質層が形成された正極を用いることを特徴とする、請求項1または請求項2記載のリチウムイオン二次電池の特性評価方法。
  4. 前記ラミネートセルの前記電極部のみを加圧しながら、コンディショニング処理を施すことを特徴とする、請求項1ないし請求項のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池の特性評価方法。
  5. 前記正極活物質がLiNi 0.5 Mn 1.5 であることを特徴とする、請求項1ないし請求項のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池の特性評価方法。
  6. 正極集電体に正極活物質層が形成される正極と、負極集電体に負極活物質層が形成される負極と、前記正極および前記負極の間に介挿されるセパレーターと、該正極、該負極、および該セパレーターを電解液と共に封止するラミネートフィルムとを備えるラミネートセルと、
    前記ラミネートセルの、前記正極および前記負極が存在する電極部のみを加圧するための加圧機構とを有し、
    前記ラミネートセルは矩形状であり、
    前記電極部が前記ラミネートセルの端部側に設けられ、
    前記ラミネートセルには、非加圧領域のうち少なくとも一部に空隙部が設けられ、
    前記空隙部は、前記電極部と対向する前記ラミネートセルの端部側に設けられ、
    前記加圧機構が前記ラミネートセルの前記電極部のみ8.83×10Pa以上で加圧することを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
  7. 前記正極および前記負極の間に介挿された前記セパレーターに加えて、該セパレーターと該正極の間にセルロースセパレーターを介挿し、セルロースセパレーターは前記ラミネートセルの長手方向に沿って延在し、前記正極および前記負極より長いことを特徴とする、請求項6記載のリチウムイオン二次電池。
  8. 前記正極活物質層を構成する材料を溶媒と共に湿式混合したスラリーを、前記正極集電箔上に塗工し乾燥することにより、該正極集電箔上に該正極活物質層が形成された正極を用いることを特徴とする、請求項6または請求項7記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 前記正極活物質がLiNi 0.5 Mn 1.5 であることを特徴とする、請求項ないし請求項のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
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