JP5929551B2 - 非水電解液二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は非水電解液二次電池の製造方法に関する。
非水電解液二次電池の一つにリチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極および負極の間を、非水電解液中のリチウムイオンが移動することで充放電可能な二次電池である。
特許文献1には、非水電解液二次電池の非水電解液にジフルオロリン酸リチウムを0.01重量%〜5重量%添加し、正極および負極の界面に皮膜を形成することで、電池の保存特性を向上させる技術が開示されている。つまり、特許文献1にかかる技術では、正極および負極の界面に皮膜を形成することで、充電状態の活物質と非水電解液とが直接接触することを抑制している。このようにすることで、非水電解液の分解を抑制し、電池の保存特性を向上させている。
特開平11−067270号公報
非水電解液にジフルオロリン酸リチウムを添加すると正極表面に皮膜が形成される。このように正極表面に皮膜が形成されると、正極表面での非水電解液の酸化還元反応を抑制することができ、正極から発生するガスの量を低減させることができる。
しかしながら、ジフルオロリン酸リチウムを添加したとしても、正極、負極およびセパレータで構成される電極体に含まれる水分量によっては、非水電解液と水との反応が促進されて電池特性が低下するおそれがある。具体的には、六フッ化リン酸リチウムを含む非水電解液を用いた場合、電極体に含まれる水分量によっては六フッ化リン酸リチウムと水との反応が促進されてフッ化水素が生成されて、電池抵抗が増加するという問題がある。
上記課題に鑑み本発明の目的は、ガスの発生を抑制すると共に、電池抵抗の増加を抑制することができる非水電解液二次電池の製造方法を提供することである。
本発明の一態様にかかる非水電解液二次電池の製造方法は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、を有する電極体を形成する工程と、前記電極体を電池容器内に収容する工程と、六フッ化リン酸リチウムを含み、0.025M以上0.05M以下の濃度となるようにジフルオロリン酸リチウムが添加された非水電解液を前記電池容器内に注入する工程と、を備える。そして、前記添加されたジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)と、前記非水電解液を注入する前の前記電極体に含まれる水分量B(mol)との比R(R=A/B)の対数が−0.10<logR<0を満たす様調整される。
上記非水電解液二次電池の製造方法において、前記正極活物質はニッケルコバルトマンガン酸リチウムを含んでいてもよい。
上記非水電解液二次電池の製造方法は、前記電極体に含まれる水分量を調整する工程を更に備えていてもよい。
上記非水電解液二次電池の製造方法において、前記電極体を収容した前記電池容器の一部を開放し、前記電池容器を所定の温度および所定の湿度の環境下で所定の時間放置することで前記電極体に含まれる水分量を調整してもよい。
上記非水電解液二次電池の製造方法において、前記電極体として水分を含む電極体を形成し、当該水分を含む電極体を所定の温度および所定の湿度の環境下で所定の時間乾燥することで前記電極体に含まれる水分量を調整してもよい。
上記非水電解液二次電池の製造方法において、前記非水電解液を注入した後、前記非水電解液二次電池を所定の容量まで充電し、所定の時間放置することで活性化処理を実施してもよい。
上記非水電解液二次電池の製造方法において、前記六フッ化リン酸リチウムは、前記正極に含まれる水と反応してジフルオロリン酸リチウムを生成し、前記正極の表面に皮膜を形成してもよい。
上記非水電解液二次電池の製造方法において、前記電極体は、前記正極と前記セパレータと前記負極とを互いに積層して捲回することで形成した捲回電極体であってもよい。
本発明により、ガスの発生を抑制すると共に、電池抵抗の増加を抑制することができる非水電解液二次電池の製造方法を提供することができる。
添加されたジフルオロリン酸リチウム(添加剤)の濃度に対するガス発生量と初期IV抵抗値とを示す図である。 電極体に含まれる水分量に対するガス発生量を示す図である。 電極体に含まれる水分量に対する初期IV抵抗値を示す図である。 添加されたジフルオロリン酸リチウム(添加剤)の濃度と電極体に含まれる水分量との比の対数に対する、ガス発生量と初期IV抵抗値とを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態にかかる非水電解液二次電池(以下、リチウムイオン二次電池を例として説明する)の製造方法では、まず、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、を有する電極体を形成する。その後、電極体を電池容器内に収容し、六フッ化リン酸リチウムを含み、0.025M以上0.05M以下の濃度となるようにジフルオロリン酸リチウムが添加された非水電解液を電池容器内に注入する。以下、リチウムイオン二次電池の製造方法について詳細に説明する。
リチウムイオン二次電池の正極は正極活物質を有する。正極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、これらの混合物であるニッケルコバルトマンガン酸リチウムを用いることができる。ニッケルコバルトマンガン酸リチウムの組成としては、例えば各金属元素を等しい割合で混合して焼成したLiNi1/3Co1/3Mn1/3が挙げられる。
また、正極は、導電材を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)を用いることができる。
正極は、例えば、正極活物質と、導電材と、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後の正極合剤を正極集電体に塗布して乾燥することによって作製することができる。ここで、溶媒としては、例えばNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。また、正極集電体として、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。
リチウムイオン二次電池の負極は負極活物質を有する。負極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えば、黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料や、天然黒鉛を非晶質炭素で被覆した非晶質炭素被覆天然黒鉛等を用いることができる。そして、正極と同様に、負極活物質と、溶媒と、バインダーとを混練し、混練後の負極合剤を負極集電体に塗布して乾燥することによって負極を作製することができる。ここで、負極集電体として、例えば銅やニッケルあるいはそれらの合金を用いることができる。
セパレータとしては、例えば、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリプロピレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜を、単独、又は組み合わせて使用することができる。
上記のようにして形成した正極と負極との間にセパレータを介在させ、これらの積層体を捲回することで電極体(捲回電極体)を形成する。このとき、積層体を捲回することで形成された電極体を側面方向から押しつぶして扁平状の捲回電極体としてもよい。
その後、電極体を電池容器内に収容する。例えば、電池容器は、上端が開放された扁平な直方体状の電池容器本体と、その開口部を塞ぐ蓋体とを備える。電池容器を構成する材料としては、アルミニウム、スチール等の金属材料が好ましい。または、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を成形した容器であってもよい。電池容器の上面(つまり、蓋体)には、捲回電極体の正極と電気的に接続される正極端子および捲回電極体の負極と電気的に接続される負極端子が設けられている。
そして、捲回電極体の両端部の正極および負極が露出した部分(正極合剤層および負極合剤層がない部分)に、正極リード端子および負極リード端子をそれぞれ設け、上述の正極端子および負極端子とそれぞれ電気的に接続する。その後、捲回電極体を容器本体に収容し、蓋体を用いて容器本体の開口部を封止する。その後、蓋体に設けられた注液孔から非水電解液を注入し、注液孔を封止キャップで閉塞することによりリチウムイオン二次電池を作製することができる。
非水電解液は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。ここで、非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料を用いることができる。また、支持塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を用いることができる。
そして、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池の製造方法では、非水電解液中のジフルオロリン酸リチウム(LiPO)の濃度が0.025以上0.05M以下となるように、非水電解液にジフルオロリン酸リチウムを添加する。ジフルオロリン酸リチウムの構造式を下記に示す。
Figure 0005929551
このとき、添加されたジフルオロリン酸リチウム(以下、添加剤とも記載する)の量A(物質量であって、単位はmol)と、非水電解液を注入する前の電極体(つまり、正極、負極、およびセパレータ)に含まれる水分量B(物質量であって、単位はmol)との比R(R=A/B)の対数(常用対数)が−0.10<logR<0を満たすようにする。電極体に含まれる水分量Bは、カールフィッシャー法を用いて測定することができる。
添加剤の量Aと電極体に含まれる水分量Bとの比Rは、添加剤の添加量Aを調整することで、または電極体に含まれる水分量Bを調整することで変更することができる。例えば、添加剤の添加量Aは非水電解液中の添加剤の濃度を調整することで変更することができる。
電極体に含まれる水分量Bを調整する場合は、電極体に含まれる水分量Bを調整する工程を更に設けてもよい。例えば、電極体を収容した電池容器の一部を開放し、電池容器を所定の温度・所定の湿度の環境下で所定の時間放置することで電極体に含まれる水分量Bを調整してもよい。また、電極体を形成した後、電極体を電池容器に収容する前に、電極体を所定の温度・所定の湿度の環境下で所定の時間放置することで電極体に含まれる水分量Bを調整してもよい。
また、正極および負極を形成する際に、正極合剤および負極合剤に所定の量の水を混合して水分を含む電極体を形成し、当該水分を含む電極体を所定の温度・所定の湿度の環境下で所定の時間乾燥することで電極体に含まれる水分量を調整してもよい。
また、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池の製造方法では、非水電解液を注入した後に活性化処理を実施してもよい。活性化処理は、リチウムイオン二次電池を所定の容量まで充電し、所定の時間放置することで実施することができる。具体例を挙げると、リチウムイオン二次電池を満充電(つまり、SOCを100%)することでコンディショニング処理を実施し、その後、SOCを100%に保持したまま60℃の環境下で一定期間保存することでエージング処理を実施して、活性化処理を実施することができる。
本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池の製造方法では、非水電解液おけるジフルオロリン酸リチウムの濃度が0.025以上0.05M以下となるように、非水電解液にジフルオロリン酸リチウムを添加している。このように、非水電解液にジフルオロリン酸リチウムを添加すると正極表面に皮膜が形成される。そして、正極表面に皮膜が形成されると、正極表面での非水電解液の酸化還元反応を抑制することができ、正極から発生するガスの量を低減させることができる。このとき、非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの濃度が高くなるほど、正極表面に形成される皮膜の厚さが厚くなるため、正極から発生するガスの量をより低減することができる。
一方、ジフルオロリン酸リチウムを添加したとしても、正極、負極およびセパレータで構成される電極体に含まれる水分量によっては、六フッ化リン酸リチウムと水との反応が促進されてフッ化水素が生成され、電池抵抗が増加するという問題があった。六フッ化リン酸リチウムと水との反応を下記に示す。
LiPF+2HO → LiPO+4HF ・・・(1)
このように、六フッ化リン酸リチウムは水と反応してジフルオロリン酸リチウムとフッ化水素を生成する。六フッ化リン酸リチウムと水との反応が促進されてジフルオロリン酸リチウムの量が増えると、正極に形成されるジフルオロリン酸リチウム皮膜の量が増えるため、正極から発生するガスの量が低減する。しかしながら、この反応が促進されると、非水電解液おけるフッ化水素の濃度も増加する。非水電解液中のフッ化水素の濃度が増加すると、フッ化水素による正極や負極の化学的浸食が進み、正極や負極の劣化や分解が進むため、電池抵抗が増加する。
そこで本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池の製造方法では、非水電解液に添加するジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)と、非水電解液を注入する前の電極体(つまり、正極、負極、およびセパレータ)に含まれる水分量B(mol)との比R(R=A/B)の対数が、−0.10<logR<0を満たすようにしている。このように、ジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)と電極体に含まれる水分量B(mol)とを上記のように調整することで、反応式(1)の反応を効率よく進行させることができ、非水電解液の酸化還元反応に伴うガスの発生を抑制すると共に、電池抵抗の増加を抑制することができる。(図4参照。図4の矢印で示す範囲が本発明の効果が得られる範囲である。)
すなわち、logRの値が小さい場合は、電極体に含まれる水分の割合が高く、添加剤の割合が低い。この場合は、電極体に含まれる水分の割合が高いので、反応式(1)の反応が促進されてフッ化水素の生成量が増加し、電池抵抗が増加する。このとき、反応式(1)の反応によりジフルオロリン酸リチウムも生成される。反応式(1)の反応では電極体の表面に存在する水分が用いられるため、反応式(1)の反応によって生成されたジフルオロリン酸リチウムは、電極体の表面に偏在する。
ここで、正極に形成されるジフルオロリン酸リチウム皮膜は、主として、非水電解液に添加されたジフルオロリン酸リチウムに由来する皮膜(皮膜A)と、正極表面に存在する水分と六フッ化リン酸リチウムとが反応することで生成(反応式(1)参照)された皮膜(皮膜B)とがある。そして、皮膜Bは、正極の表面に存在する水分を用いて生成されるため、皮膜Bの方が正極表面に効率的に(つまり正極表面に偏在するように)形成することができる。
よって、logRの値が小さい場合は添加剤の割合が低いが、正極表面に反応式(1)に由来するジフルオロリン酸リチウム皮膜(皮膜B)を効率的に形成することができるため、非水電解液の酸化還元反応に伴うガスの発生を抑制することができる(図4参照)。
一方、logRの値が大きい場合は、電極体に含まれる水分の割合が低く、添加剤の割合が高い。この場合、電極体に含まれる水分の割合が低いので、反応式(1)の反応があまり進まずフッ化水素の生成量が少ないため電池抵抗の増加を抑制することができる。また、この場合は、添加剤の割合が高いため、正極表面に形成される皮膜は、主として、非水電解液に添加されたジフルオロリン酸リチウムに由来する皮膜(皮膜A)となる。ここで、非水電解液に添加されたジフルオロリン酸リチウムに由来する皮膜(皮膜A)は、正極表面に存在する水分と六フッ化リン酸リチウムとが反応することで生成された皮膜(皮膜B)よりも生成効率が低い。よって、logRの値が大きい場合は添加剤の割合が高いが、正極表面にジフルオロリン酸リチウム皮膜を効率的に形成することができないために、ガスの発生量が増加する(図4参照)。
上記点を考慮して、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池の製造方法では、非水電解液に添加するジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)と、非水電解液を注入する前の電極体に含まれる水分量B(mol)との比R(R=A/B)の対数が、−0.10<logR<0を満たすようにしている。このように、ジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)と電極体に含まれる水分量B(mol)との割合を最適な割合とすることで、反応式(1)の反応を効率よく進行させることができ、非水電解液の酸化還元反応に伴うガスの発生を抑制すると共に、電池抵抗の増加を抑制することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
<リチウムイオン二次電池の作製>
正極は、正極活物質を含む正極合剤を正極集電体に塗布して乾燥することで作製した。正極活物質として89重量%のLiNi1/3Co1/3Mn1/3を、バインダーとして8重量%のポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、導電材として3重量%のアセチレンブラック(AB)をそれぞれ混練して正極合剤を作製した。その後、この正極合剤をアルミニウム箔上に塗布して乾燥した後、所望の厚さと幅に加工した。
負極は、負極活物質を含む負極合剤を負極集電体に塗布して乾燥することで作製した。負極活物質として98重量%の黒鉛を、バインダーとして1重量%のスチレンブタジエンラバー(SBR)を、増粘剤として1重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)をそれぞれ混練して負極合剤を作製した。その後、この負極合剤を銅箔上に塗布して乾燥した後、所望の厚さと幅に加工した。
上記のようにして形成した正極と負極との間にセパレータを介在させ、これらの積層体を捲回することで電極体(捲回電極体)を形成した。そして、電極体の両端部の正極および負極が露出した部分(正極合剤層および負極合剤層がない部分)に、正極リード端子および負極リード端子をそれぞれ設け、電池容器の蓋体に設けられている正極端子および負極端子とそれぞれ電気的に接続した。その後、電極体を電池容器内に収容し蓋体で封止した。
そして、上記のようにして作製した電極体に含まれる水分量を調整するために、注液孔を開放した状態で、温度25℃、湿度75%の高湿槽に所定の時間放置した。その後、カールフィッシャー法を用いて正極、負極およびセパレータの水分量を測定し、この測定された水分量を電極体に含まれる水分量とした。なお、カールフィッシャー法による測定は破壊検査であるため、複数のサンプルを準備し、これらのうちの一つのサンプルを用いて電極体に含まれる水分量を測定した。下記の表1に、高湿槽に放置した時間と電極体に含まれる水分量との関係を示す。表1に示すように、高湿槽に放置した時間が長くなる程、電極体に含まれる水分量が増加した。
Figure 0005929551
その後、蓋体に設けられた注液孔から非水電解液を注入し、注液孔を封止キャップで閉塞した。非水電解液には、ECとDMCとEMCとをそれぞれ30:40:30の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.1M(mol/L)の濃度で含有させたものを使用した。また、非水電解液に所定の量のジフルオロリン酸リチウム(添加剤)を添加した。
リチウムイオン二次電池を作製した後、活性化処理を実施した。活性化処理は、リチウムイオン二次電池を満充電(SOC=100%)することでコンディショニング処理をし、その後、SOC=100%に保持したまま60℃の環境下で一定期間保存することでエージング処理をして実施した。活性化処理を実施した後、内圧センサを取り付けた。
<初期IV抵抗値の測定>
上記のようにして作製したリチウムイオン二次電池の初期IV抵抗値(−30℃)を測定した。つまり、保存試験を行なう前に、リチウムイオン二次電池のSOCを15%に調整し、雰囲気温度を−30℃に設定して各電池を3時間放置した。その後、−30℃にて2Cで10秒間の放電を行い、放電開始から10秒後の電圧値をプロットし、−30℃における初期IV抵抗値(mΩ)を求め、これを電池抵抗とした。
<ガス発生量の測定>
初期IV抵抗値を測定した後、リチウムイオン二次電池を60℃の雰囲気で50日間保存した時点でのガス発生量(50日後のガス発生量)を測定した。ガス発生量は、内圧センサで求めた電池容器内の内圧を用いて求めた。
<試験1>
ジフルオロリン酸リチウムの添加量とガスの発生量との関係を調べるために、非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの濃度が0.025MであるサンプルAと、0.05MであるサンプルBとを準備した。このとき、電極体に含まれる水分量は100mgとした。つまり、高湿槽に18時間放置したリチウムイオン二次電池を用いた。下記の表2に、各サンプルの電解液組成、電極体に含まれる水分量、ジフルオロリン酸リチウムの濃度との関係を示す。
Figure 0005929551
<試験結果1>
上記のようにして準備したサンプルA、Bの初期IV抵抗値(−30℃)の測定結果とガス発生量(50日後のガス発生量)の測定結果を図1および表3に示す。
Figure 0005929551
図1および表3に示すように、ジフルオロリン酸リチウムの濃度が増加すると、ガス発生量が低下した。つまり、非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの濃度が増加すると、正極表面に形成される皮膜の量が増えて、正極から発生するガスの量がより低減されたと考えられる。よって、添加剤起因で形成される正極皮膜のガス発生抑制効果が確認できた。また、ジフルオロリン酸リチウムの濃度が増加するほど、初期IV抵抗値(−30℃)が低下した。
<試験2>
添加剤であるジフルオロリン酸リチウムに対する水分の影響を調べるために、電極体に含まれる水分量が70mgのサンプルC、水分量が100mgのサンプルD、水分量が120mgのサンプルE、水分量が150mgのサンプルF、および水分量が180mgのサンプルGをそれぞれ準備した。このとき、非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの濃度は0.05Mとした。下記の表4に、各サンプルの電解液組成、ジフルオロリン酸リチウムの濃度、電極体に含まれる水分量との関係を示す。
Figure 0005929551
<試験結果2>
上記のようにして準備したサンプルC〜Gの初期IV抵抗値(−30℃)の測定結果とガス発生量(50日後のガス発生量)の測定結果を図2、図3および表5に示す。
Figure 0005929551
図2および表5に示すように、電極体に含まれる水分量が増加するほど、ガス発生量が低下した。これは、電極体に含まれる水分量が増えると、正極に含まれる水と非水電解質に含まれる六フッ化リン酸リチウムとの反応(反応式(1)参照)が促進され、正極に形成されるジフルオロリン酸リチウム皮膜の量が増えたからである。
一方、図3および表5に示すように、電極体に含まれる水分量が100mgよりも増えると、初期IV抵抗値(−30℃)が増加した。これは、電極体に含まれる水分量が増えると、電極体に含まれる水と非水電解質に含まれる六フッ化リン酸リチウムとの反応(反応式(1)参照)が促進され、非水電解液中のフッ化水素の濃度が増加したためであると考えられる。
試験結果1(表3)と試験結果2(表5)に示した各々のサンプルについて、非水電解液に添加したジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)と、電極体に含まれる水分量B(mol)との比R(R=A/B)を求めた。なお、ジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)は、ジフルオロリン酸リチウムの濃度と電池容器に注入した非水電解液の量とを用いて求めた。そして、これらの比Rの対数に対する、初期IV抵抗値(−30℃)の測定結果とガス発生量(50日後のガス発生量)の測定結果を図4および表6に示す。
Figure 0005929551
図4および表6に示すように、非水電解液に添加したジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)と、電極体に含まれる水分量B(mol)との比R(R=A/B)の対数が、−0.10<logR<0を満たす場合は、ガス発生量が低減し、更に初期IV抵抗値が低減した。つまり、この範囲は、ジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)と電極体に含まれる水分量B(mol)との割合が最適な範囲であるため、反応式(1)の反応が効率よく進行したと考えられる。
以上、本発明を上記実施の形態および実施例に即して説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。

Claims (7)

  1. 正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、を有する電極体を形成する工程と、
    前記電極体を電池容器内に収容する工程と、
    六フッ化リン酸リチウムを含み、0.025M以上0.05M以下の濃度となるようにジフルオロリン酸リチウムが添加された非水電解液を前記電池容器内に注入する工程と、を備え、
    前記添加されたジフルオロリン酸リチウムの量A(mol)と、前記非水電解液を注入する前の前記電極体に含まれる水分量B(mol)との比R(R=A/B)の対数が−0.10<logR<0を満たすように、前記電極体に含まれる水分量を調整する工程を更に備えることを特徴とする、
    非水電解液二次電池の製造方法。
  2. 前記正極活物質はニッケルコバルトマンガン酸リチウムを含む、請求項1に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
  3. 前記電極体を収容した前記電池容器の一部を開放し、前記電池容器を所定の温度および所定の湿度の環境下で所定の時間放置することで前記電極体に含まれる水分量を調整する、請求項に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
  4. 前記電極体として水分を含む電極体を形成し、当該水分を含む電極体を所定の温度および所定の湿度の環境下で所定の時間乾燥することで前記電極体に含まれる水分量を調整する、請求項に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
  5. 前記非水電解液を注入した後、前記非水電解液二次電池を所定の容量まで充電し、所定の時間放置することで活性化処理を実施する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
  6. 前記六フッ化リン酸リチウムは、前記正極に含まれる水と反応してジフルオロリン酸リチウムを生成し前記正極の表面に皮膜を形成する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
  7. 前記電極体は、前記正極と前記セパレータと前記負極とを互いに積層して捲回することで形成した捲回電極体である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
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