JP5187529B2 - 圧力センサー - Google Patents

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Description

本発明は、感圧素子、及びダイアフラムを用いた圧力センサーに関し、特に異種材料を組み合わせたことによる圧力センサーの圧力測定値の温度変化による誤差、及びダイアフラムの重力による撓みによって生じる圧力測定値の誤差を減少させる技術に関する。
従来から、水圧計、気圧計、差圧計などとして圧電振動素子を感圧素子として使用した圧力センサーが知られている。前記圧電振動素子は、例えば、板状の圧電基板上に電極パターンが形成され、力の検出方向に検出軸を設定しており、前記検出軸の方向に圧力が加わると、前記圧電振動子の共振周波数が変化し、前記共振周波数の変化から圧力を検出する。特許文献1において第1の従来技術に係る圧力センサーが開示されている。図21に第1の従来技術に係る圧力センサーを示す。第1の従来技術に係る圧力センサー201は、内部に真空、又は不活性な雰囲気を備えた気密ケース202と、気密ケース202の対向する第1及び第2の壁面203、204にそれぞれ貫通形成された第1の圧力入力口203aおよび第2の圧力入力口204aと、第1の壁面203に一端開口を固定されると共に第1の圧力入力口203aと連通する軸孔を備えた円筒型の第1のベローズ210と、第2の壁面204に一端開口を固定されると共に第2の圧力入力口204aと連通する軸孔を備え、且つ第1のベローズ210と直列状に配置された円筒型の第2のベローズ211と、第1及び第2のベローズ210、211の各他端210a、211a同士の間に固定配置される振動素子接着台座215と、振動素子接着台座215によって支持された薄板状の圧電振動素子220と、第2ベローズ211を間に挟んで圧電振動子220と対向する位置に配置された圧電補強板221と、圧電振動素子上の電極パターンと導通した発振回路230と、を備えている。圧電振動素子220は、第2の壁面204に一端を固定されると共に他端を振動素子接着台座215に固定されている。圧電補強板221は、第2の壁面204と振動素子接着台座215とによって両端部を固定されている。また振動素子接着台座215と気密ケース202の内壁は補強板用バネで固定されX軸方向の衝撃に対する耐久性を高めている。
圧電振動素子220は、例えば水晶基板に電極を形成した構成を備えている。振動素子接着台座215は、両ベローズ210、211の他端部210a、211aによって挟まれた状態で固定される基部215aと、基部215aの外周から第2の壁面へ向けて突出した支持片215bを備えており、圧電振動素子220と圧電補強板221の他端部をいずれも支持片215bに接続されている。
各圧力入力口203a、204aは各ベローズ210、211内部の軸孔と連通する一方で、各ベローズ内の軸孔同士は振動素子接着台座215の基部215aによって非連通状態に保持されている。従って、両圧力入力口203a、204aから入力される圧力P1、P2の圧力差によるベローズの伸縮によって振動素子接着台座215の位置はベローズの軸方向に進退する。振動素子接着台座215に一端を固定され他端を第2の壁面204に固定された圧電振動素子220は、振動素子接着台座215から伝達される圧力によって軸方向への機械的応力を受けて変形し、固有の共振周波数が変動する。即ち、気密ケース202の適所に気密状態で配置した発振回路230と圧電振動素子220を構成する圧電基板上の励振電極とを接続した状態で、励振電極に通電することによって圧電基板を励振させ、この時の出力周波数に基づいて圧力P1、或いはP2を算出する。
第1の従来技術に係る圧力センサー201によれば、圧力P1が第1の圧力入力口203aに入力された際に、当該圧力に応じた力が圧電振動素子220と圧電補強板221に加わる。圧電補強板221の存在によって、圧電振動素子220には長辺方向(水晶振動素子の場合は図中のY軸方向)からの力だけが加わることになり、圧電振動素子本来の圧力―周波数特性が2次曲線を示すこととなる。従って、圧力P1に応じて圧電振動素子220の共振周波数は直線的に変化し、高精度な圧力センサー201を得ることができる。
また特許文献2においては、第2の従来技術に係る圧力センサー300が開示されている。図22に第2の従来技術に係る圧力センサー300を示す。第2の従来技術に係る圧力センサー300は金属薄膜からなる電極307とそれを覆うように形成された誘電体膜308を設けた基体306上に、圧力に応じて変形可能な、導電性を有するダイアフラム309を設けたシリコン構造体305を、ダイアフラム309と電極307が対向しかつダイアフラム309と誘電体膜308間に隙間310を持たせた状態で接合して構成されている。この構成により、ダイアフラム309が圧力を受けて誘電体膜308と接触する接触面積の変化による静電容量の変化を検出することによりその圧力を検出することができる。
特開2007−57395号公報 特開2002−214058号公報
しかしながら、特許文献1の発明において、圧電振動素子220と気密ケース202は線膨張係数を一致させることが難しい。よって温度が変化すると圧電振動子に掛かる応力が変化することになり、この温度変化による応力変化は圧力測定値の誤差となる。もっとも特許文献1においては、圧力測定値の線膨張係数の影響を受けにくくするためにベローズを用いているが、ベローズでは線膨張係数の影響を完全に零にすることはできない。
また特許文献2の発明において、ダイアフラム309は、地球の重力により基体306に近づく方向に力を受ける。また圧力センサー300の上下をひっくり返して設置すれば、ダイアフラム309は地球の重力により、基体306から引き離される方向に力が働く。よって、本来は気体や液体の圧力だけを目的とする圧力センサー300であるが、設置姿勢により圧力測定値に誤差が発生することになる。
そこで、本発明は上記問題点に着目し、異なった線膨張係数の材料を用いることにより生じる圧力測定値の誤差、または重力加速度の掛かりかたの変化によって発生する圧力測定値の誤差を低減した高精度な圧力センサーを提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]撓部と前記可撓部の外側に配置されている周縁領域とを備え方のが受圧面である受圧手段と、前記受圧手段の前記一方の面の裏であって他方の面側にて封止されている開口部を備えているハウジングと、第1の基部と第2の基部とを有前記第1の基部と前記第2の基部との間に感圧部を備えていると共に、前記第1の基部と前記第2の基部との並ぶ方向が前記受圧手段の変位方向と平行となるように前記受圧手段に立設している感圧素子と、前記第2の基部から前記感圧部を挟むように前記第1の基部の側に向かって延在している一対の支持板と、を有し、前記第1の基部、前記受圧面の裏側であって前記可撓部の中央領域に固定されており、前記第2の基部は、前記支持板を介して前記ハウジングの内壁に固定されていることを特徴とする圧力センサー。
上記構成により、感圧素子の検出軸方向の一端にある第1の基部は、外部からの圧力によって変位するダイアフラムの中央領域に接続され、前記一端の反対側の他端にある第2の基部は、接続手段を介して、ハウジングに固定され外部からの圧力によっても変位しないダイアフラムの周縁領域に接続される。よって、外部からの圧力により感圧素子が圧縮応力を受ける絶対圧を測定する圧力センサーとなる。また感圧素子の両端がダイアフラムに接続されるため、感圧素子の材料と、ハウジングの材料の違いによる線膨張係数の不一致に起因する温度変化に伴う圧量測定値の誤差を回避することができる。
また上記構成により、感圧素子の第1の基部は、外部からの圧力によって変位するダイアフラムの中央領域に接続され、第2の基部は接続手段を介して、第1の基部に対向するハウジングの内壁、すなわち外部からの圧力によっても変位しないハウジングの内壁であってそのダイアフラム側に接続される。よって、感圧素子の第2の基部はハウジングのダイアフラム側に接続されるため、上述の線膨張係数の不一致による問題はほとんど無く、もしくはまったく無く、また感圧素子は剛性の高いハウジングに固定され、感圧素子とハウジングとの間で剛性を獲得するため、ダイアフラムから感圧素子への力の伝達が確実に得られ感度の安定した圧力センサーとなる。
また、感圧素子が支持板側に曲がることはないので、感圧素子が検出軸方向以外の方向に動くことが阻止でき、感圧素子の検出軸方向の感度を向上させることができ、高精度な圧力センサーとなる。
[適用例]前記第1の基部は、前記可撓部の中央に設けられた固定部に接続されていることを特徴とする適用例1記載の圧力センサー。
これにより、感圧素子を可撓部に容易に固定できるとともに、感圧素子の第2の基部側が、感圧素子及び支持板が形成する主面の法線方向に曲がることは無いので、感圧素子が検出軸方向以外の方向に動くことが阻止でき、感圧素子の検出軸方向の感度を向上させることができ、高精度な圧力センサーとなる。
[適用例]前記第1の基部は、補強部を介して前記支持板に接続されていることを特徴とする適用例1または2に記載の圧力センサー。
これにより、感圧素子及び支持板を一体で形成する場合、感圧素子が実装時等に折れることを回避できるので、歩留まりを向上させ、圧力センサーのコストダウンを図ることができる。
[適用例]前記受圧手段に接続され、ウエイトを用いて、梃子の原理により前記受圧手段が受ける重力と反対方向の力を前記受圧手段に掛ける反力生成部を有することを特徴とする適用例1乃至のいずれか1例に記載の圧力センサー。
これにより、受圧手段が受ける重力による変位に伴う応力がウエイトにより相殺される。よって感圧素子は上述の受圧手段から応力を受けることがないので、重力加速度の掛かりかたの変化によって発生する圧力測定値の誤差を低減した高精度な圧力センサーとなる。
[適用例]前記反力生成部は、前記感圧素子を挟んで一対に配置されていることを特徴とする適用例に記載の圧力センサー。これにより感圧素子の重力バランスが保たれ、圧力センサーの測定誤差の傾斜角依存性が改善される。さらに一対の反力生成部が感圧素子に掛ける検出軸方向以外の応力が相殺されるため、より高精度な圧力センサーとなる。
[適用例]前記ウエイト表面には、金属膜が配設されていることを特徴とする適用例またはに記載の圧力センサー。これによりウエイトの構築後、金属膜を配設することになるので、ウエイト側の重量を調節する機会が増えるとともに、適切な量の金属膜を配設することによりウエイト側の重量の微調整を行い、ウエイトと受圧手段とのバランス調整を容易に行うことができる。さらに金属膜の配設後、金属膜を剥ぎ取ることが可能なので、ウエイト側の重量の調整する機会がさらに増えると共に、金属膜はレーザ等で剥ぎ取ることが可能なので、ハウジングもしくはダイアフラムがレーザを透過する材料であれば、圧力センサーの構築後においてもウエイト側の重量の調整が可能となるため、圧力センサーの歩留まりが向上する。
[適用例]前記ハウジングは、金属絞り加工により一体成型されていることを特徴とする適用例1乃至のいずれか1例に記載の圧力センサー。
適用例1乃至におけるハウジングは、受圧手段の周縁領域及びハウジングの受圧手段側の側面以外に上述の構成要素との接点を持たないため、ハウジングを一体で形成することができ、構成及び製造工程が簡略化されるため、コストダウンを図ることができる。
[適用例]前記ハウジングは、前記開口部に対向して配置されている第2開口部を有し、前記第2開口部は第2受圧手段で封止されているとともに、
前記受圧手段及び前記第2受圧手段は、力伝達シャフトを介して接続されていることを特徴とする適用例1乃至のいずれか1例に記載の圧力センサー。
これにより圧手段側の圧力が高い場合は、感圧素子は圧縮応力を受け、第2受圧手段側の圧力が高い場合は、感圧素子は伸長応力を受けることになる。よって、適用例1乃至の絶対圧を測定する圧力センサーを、相対圧を測定可能な圧力センサーにすることができる。
第1実施形態に係る圧力センサーの斜視図である。 第1実施形態に係る圧力センサーの断面図である。 第1実施形態に係るダイアフラムをプレス加工する場合の工程を示す図である。 第1実施形態に係るダイアフラムをフォトリソ・エッチング加工する場合の工程を示す図である。 ダイアフラムのフォトリソ・エッチング加工の変形例である。 第1実施形態に係る感圧素子等のフォトリソ・エッチング加工の工程を示す図である。 第1実施形態に係る構成する個片のパターニングを示す図である。 第2実施形態に係る圧力センサーの斜視図である。 第2実施形態に係る圧力センサーの断面図及び変形例である。 第3実施形態に係る圧力センサーの断面図である。 第3実施形態に係る感圧素子等のフォトリソ・エッチング加工の工程を示す図である。 第4実施形態に係る圧力センサーの断面図である。 第5実施形態に係る圧力センサーの斜視図である。 第5実施形態に係る圧力センサーの断面図である。 第5実施形態に係る圧力センサーの変形例である。 第5実施形態に係るダイアフラムをプレス加工する場合の模式図である。 第5実施形態に係るダイアフラムをフォトリソ・エッチング加工する場合の模式図である。 第5実施形態に係る圧力センサーの実装時の模式図である。 第5実施形態に係る圧力センサーの実装変形例である。 受圧手段の変形例である。 第1の従来技術に係る圧力センサーの模式図である。 第2の従来技術に係る圧力センサーの模式図である。
以下、本発明に係る圧力センサーを図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
第1実施形態に係る圧力センサーの斜視図を図1(XZ面を断面とする)に、断面図を図2(図2(a)はXZ面を断面とし、図2(b)はYZ面を断面とする)に示す。なお、図1、2に示されるXYZは直交座標系を形成しており、以後用いられる図についても同様とする。第1実施形態に係る圧力センサー10は、ハウジング12、受圧手段となるダイアフラム24、感圧素子40、接続手段となる接続部材42、補強部46(図1では記載を省略)を有し、ハウジング12内部が真空封止され、真空を基準とした絶対圧を測定する圧力センサーである。
ハウジング12は、内部を真空に封止して後述の各構成要素を収容するものである。これにより圧力センサー10は、感圧素子のQ値を高め、安定した共振周波数を確保することができるので、圧力センサー10の長期安定性を確保することができる。
ハウジング12は、円形のフランジ部14、円形のハーメ端子部16、支持シャフト18、円筒形の側面部20を有する。フランジ部14及びハーメ端子部16の互いに対向する面の所定位置には支持シャフト18を嵌め込むダボ穴14a、16aが形成されている。またダボ穴14a及びダボ穴16aは互いに対向する位置に形成されている。よってダボ穴14a、16aに支持シャフト18を嵌め込むことによりフランジ部14とハーメ端子部16とは支持シャフト18を介して接続される。支持シャフト18は、一定の剛性を有し、±Z方向に長手方向を有する棒状の部材であって、ハウジング12の内部に配置され、支持シャフト18の一端がフランジ部14のダボ穴14aに、他端がハーメ端子部16のダボ穴16aにそれぞれ嵌め込まれることにより、フランジ部14、支持シャフト18、およびハーメ端子部16との間で一定の剛性を獲得する。なお支持シャフト18は複数本用いられるが、各ダボ穴の位置の設計に従って任意に配置される。
側面部20は、ハウジング12の側面を封止するものであり、フランジ部14の内側の外周14b、及びハーメ端子部16の外周16b(外周14bと同じ直径)に接続する。フランジ部14、ハーメ端子部16、側面部20はステンレス等の金属で形成することが好ましく、支持シャフト18は一定の剛性を有し熱膨張係数の小さいセラミック等を用いることが好ましい。
ハーメ端子部16は、中心に円形の開口部22を有し、開口部22には、開口部22を封止するようにダイアフラム24が接続されている。
ダイアフラム24はハウジング12の外部に面した一方の主面が受圧面となっており、前記受圧面が被測定圧力環境の圧力を受けて撓み変形する可撓部を有し、当該可撓部がハウジング12内部側に撓み変形することにより感圧素子40に圧縮力或いは引張り力を伝達するものである。またダイアフラム24は、外部からの圧力によって変位する中央領域24aと、前記中央領域24aの外周にあり、外部からの圧力により撓み変形する可撓領域24bとから構成される前記可撓部と、前記可撓部の外側、即ち前記可撓領域24bの外周にあり、ハーメ端子部14に形成された開口部22の内壁に接合して固定される周縁領域24cを有している。ダイアフラム24の中央領域24aであって、受圧面の反対側の面には後述の感圧素子の長手方向(検出軸方向)の一端と接続される。さらに中央領域24aであって、受圧面の反対面には固定部26が接着剤等で接着され、固定部26に後述の感圧素子40の一端(第1の基部40a)接着剤等を介して固定する。さらに、ダイアフラム24の周縁領域24cであって、受圧面の反対面には一対の固定部28が接着剤等で接続され、固定部28は後述の接続部材42の上端部42cに対応する間隔で形成され、上端部42cを接着剤等を介して固定する。なお固定部26、固定部28はダイアフラム24と同一材料であることが望ましい。
ダイアフラム24の材質は、ステンレスのような金属やセラミックなどの耐腐食性に優れたものがよく、また、水晶のような単結晶体やその他の非結晶体でもよい。金属で形成する場合は、金属母材をプレス加工して形成してもよい。
ダイアフラム24を金属で形成する場合は、ダイアフラム24の可撓領域24bに対応する波型の同心円形状に対応する凹部(不図示)を有する一対のプレス板(不図示)により金属母材(不図示)の両面からプレスすればよい。
図3(a)〜(e)にダイアフラムを金属で形成する場合の模式図を示す。なお図3(e)は図3(d)の底面図である。感圧素子40の振動によりダイアフラム24が振動することを抑制するため、ダイアフラム24の中央領域24aを他の領域に比べて厚く形成するとよい。この場合は、金属母材30を用意し(図3(a))、中央領域24aを残してハーフエッチングを行い(図3(b))、中央領域24a、可撓領域24b、周縁領域24cの形状の対応した一対のプレス板(不図示)によりエッチングされた金属母材30をプレスすることによりダイアフラム24が形成される(図3(c))。その後固定部26、28をそれぞれダイアフラム24の所定位置に接着剤等により接着する(図3(d)、図3(e))。
図4にダイアフラムを水晶で形成する場合の模式図を示す。ダイアフラム24を水晶で形成する場合は、同様にフォトリソ・エッチング加工により形成することが好適である。この場合は、材料となる母基板32を用意し、母基板32の表面にポジ型のフォトレジスト34を塗布する(図4(a))、中央領域24a、可撓領域24b、周縁領域(不図示)の配置及び形状に対応したフォトマスク36を用いて露光し、前記フォトレジスト34を感光させる(図4(b))、現像を行い感光したフォトレジスト34aを除去する(図4(c))、母基板32が露出した領域をハーフエッチングすることにより中央領域24a、可撓領域24b、周縁領域(不図示)を一体で形成し(図4(d))、フォトレジスト34を剥離する(図4(e))ことによりダイアフラム24が形成される。
さらにダイアフラム24のフォトリソ・エッチング加工の変形例として図5(a)に示すように可撓領域24bを片面のみのエッチング加工により行うことも好適であり、また図5(b)に示すように可撓領域24bの表裏で互いに対向する位置においてエッチング加工を行うことも好適である。
なお、ダイアフラム24は、液体やガス等により腐食しないように、外部に露出する表面をコーティングしてもよい。例えば、金属製のダイアフラムであれば、ニッケルの化合物をコーティングしてもよいし、ダイアフラムが水晶のような圧電結晶体であれば珪素をコーティングすればよい。
図1、図2に示すように、ハウジング12の外側に面したダイアフラム24の周縁領域24cにはハーメチック端子38が取り付けられている。ハーメチック端子38は、ハーメチック端子38の先端部38aと固定部28との間隔が後述の接続部材(感圧素子)の厚みと同程度となって、接続部材を固定部28と先端部38aとで挟み込むことが可能な位置に取り付けられる。このハーメチック端子38は、後述の感圧素子の電極部とハウジング外部にある感圧素子の発振回路(不図示)とを電気的に接続することができる。
感圧素子40は、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の圧電材料により形成することができる。感圧素子40は感圧部と感圧部の両端に接続された一対の基部とを有し、力の検出方向を検出軸として設定し、感圧素子40の前記一対の基部の並ぶ方向は前記検出軸と平行関係にある。双音叉型圧電振動子の場合は、振動腕として機能する梁(ビーム)の延びる方向と検出軸とが平行関係となっている。
双音叉型振動子は、感圧部となる振動腕40cの両端部に固定端となる一対の基部(第1の基部40a、第2の基部40b)を有し、この2つの基部の間に2つの振動ビーム(振動腕40c)が形成されている。双音叉型振動子は、その感圧部(振動腕40c)である前記2つの振動ビームに引張り応力(伸長応力)或いは圧縮応力が印加されると、その共振周波数が印加される応力にほぼ比例して変化するという特性がある。
感圧素子40は、その長手方向、すなわち第1の基部40aと第2の基部40bとが並ぶ方向をダイアフラム24の変位方向と同軸または平行になるように配置し、その変位方向を検出軸としている。感圧素子40の第1の基部40aは固定部26に固定されるととともにダイアフラム24の中央領域24aに当接し、振動腕40cを挟んで第1の基部40aの反対側にある第2の基部40bは後述の接続部材42と一体に形成されている。なお第1の基部40aを固定部26に固定することにより、感圧素子40を可撓部の中央領域24aに容易に固定できるととともに、感圧素子40及び後述の接続部材42の第2の基部40b側が、感圧素子40の及び接続部材42が形成する主面の法線方向(±Y方向)に曲がることは無いので、感圧素子40が検出軸方向以外の方向に動くことが阻止でき、感圧素子40の検出軸方向の感度を向上させることができ、高精度な圧力センサー10となる。
感圧素子40は上述の発振回路(不図示)と電気的に接続され、発振回路(不図示)から供給される交流電圧により、固有の共振周波数で振動するものである。そして感圧素子40は、その長手方向から伸長応力または圧縮応力を受けることにより共振周波数が変動する。特に双音叉型圧電振動片は、厚みすべり振動子などに比べて、伸長・圧縮応力に対する共振周波数の変化が極めて大きく共振周波数の可変幅が大きいので、わずかな圧力差を検出するような分解能力に優れる圧力センサーにおいては好適である。双音叉型圧電振動子は、伸長応力を受けると振動腕(振動部)の振幅幅が小さくなるので共振周波数が高くなり、圧縮応力を受けると振動腕(振動部)の振幅幅が大きくなるので共振周波数は低くなる。本実施形態では絶対圧を測定するため圧縮応力のみを受けることになる。
また本実施形態(以下の実施形態においても同様)においては2つの振動ビームを有する感圧部のみならず、一本の振動ビーム(シングルビーム)からなる感圧部を適用することができる。感圧部(振動腕40c)をシングルビームにより構成すると、長手方向(検出軸方向)から同一の応力を受けた場合、その変位が2倍になるため、双音叉の場合よりさらに高感度な圧力センサーとすることができる。なお、双音叉型またはシングルビーム型の圧電振動子の圧電基板としては温度特性に優れた水晶が望ましい。
接続部材42は、感圧素子40の長手方向(検出軸方向)の一端にある第1の基部40aと反対側の他端にある第2の基部40b(ダイアフラム24と直接に接続していない基部)と、ダイアフラム24の周縁領域24cに配置された固定部28とを接続する部材である。接続部材42は感圧素子40を挟んで対称に一対に形成されている。すなわち接続部材42は全体としてU字型に形成され、U字の鞍42aにおいて感圧素子40の第2の基部40bが一体となり、U字を構成する一対の支持板42bの上端部42cを固定部28に接続するとともに、上端部42cが周縁領域24cに当接した形となる。また接続部材42には感圧素子40の振動腕40cに形成された励振電極(不図示)から延びた引き出し配線42dが設けられ、引き出し配線42dは前記上端部42cにまで延び、さらにハーメチック端子の先端部38aに当接もしくは近接する位置まで延びて形成される。そして引き出し配線42dと先端部38aとは導電性接着剤44により接着され、互いに電気的に接続される。これにより、ハウジング12外部にある感圧素子40の発振回路(不図示)からの配線(不図示)と、引き出し配線42dとを電気的に接続することができ、感圧素子40と発振回路(不図示)は電気的に接続され、発振回路(不図示)から交流電圧が振動腕40cの励振電極(不図示)に印加され、振動腕40cは所定の共振周波数にて振動することができる。
また感圧素子40の第1の基部40a近傍と接続部材42の上端部42c近傍とは補強部46によって連結されている。補強部46は感圧素子40が製造時及び実装時に折れることを防止するためのものであり、感圧素子40の応力に対する変位を妨げないように感圧素子40及び接続部材42よりも細く設計され、さらに鉤型に設計することによりバネ性を持たせている。この補強部46は実装時等における感圧素子40の破損の防止を目的としたものであるため、図1に示すように実装後は折り取っても良い。
感圧素子40、接続部材42、及び補強部46がそれぞれ水晶で形成されている場合、これらをフォトリソ・エッチング加工により一体として製造することが好適である。
図6に第1実施形態における感圧素子等のフォトリソ・エッチング加工の工程図を示す。感圧素子40、接続部材42、及び補強部46をフォトリソ・エッチング加工により一体で形成する場合、まず図6に示すように、[1]材料となる母基板48を用意し、母基板48の表面にポジ型のフォトレジスト50を塗布する(図6(a))、[2]感圧素子40、接続部材42、及び補強部46の配置及び形状に対応したフォトマスク52を用いて露光し(図6(b))、[3]フォトレジスト50を感光させる(図6(c))、[4]現像を行い感光したフォトレジスト50aを除去する(図6(d))、[5]母基板48が露出した領域に対して母基板48を貫通させるまでエッチングすることにより感圧素子40、接続部材42、及び補強部46を一体で形成する(図6(e))、[6]フォトレジストを剥離する(図6(f))、というように工程[1]〜[6]からなるプロセスを経ることになる。
さらに感圧素子40、接続部材42、及び補強部46を大量に製造する場合には、図7に示すように母基板54上に、並列に並べられたフレーム56と、フレーム56に形成された複数の折り取り部58と、感圧素子40、接続部材42、及び補強部46を所定の配置に並べて形成され、折り取り部58に接続された複数の個片60に対応したパターニングを施し、前記パターニングを残して母基板54をエッチングし、折り取り部58を破断させることによりフレーム56から個片60を折り取る作業を行えばよい。
圧力センサー10の組み立ては、まずハーメ端子部16に取り付けられたダイアフラム24の所定位置にハーメチック端子38を取り付け、ダイアフラム24の受圧面の反対側の面の中央領域24aの所定位置に固定部26を接続し、周縁領域24cの所定位置に固定部28を接続する。そして、フランジ部14とハーメ端子部38とを支持シャフト18を介して接続する。さらに感圧素子40、接続部材42、及び補強部46が一体となった状態の個片60を用いて、感圧素子40の第1の基部40aをダイアフラム24のハウジング12内側の中央領域24aに固定された固定部26に接続し、接続部材42の2つの上端部42cをダイアフラム24のハウジング12内側の周縁領域24cに固定された固定部28に接続し、ハーメチック端子38の先端部38aと接続部材42の引き出し配線とを導電性接着剤で接着する。接着後、補強部46を折り取ってもよい。最後に、真空チャンバ内で側面部20をフランジ部の外周14b及びハーメ端子部16の外周16aに接着する、あるいは側面部20を外周14b、外周16bに接着したのち、フランジ部14に形成した真空封止穴14d、または側面部20に形成した真空封止孔(不図示)から空気を吸引して封止することにより第1実施形態に係る圧力センサー10が構築される。
上述のように構築された圧力センサー10において、感圧素子40の検出軸方向の一端にある第1の基部40aは、外部からの圧力によって変位する固定部26(中央領域24a)に接続され、前記第1の基部40aの反対側の他端にある第2の基部40bは接続部材42を介して、外部からの圧力によっても変位しない固定部28(周縁領域24c)に接続される。よって、外部からの圧力により感圧素子40が圧縮応力を受ける絶対圧を測定する圧力センサー10となる。また感圧素子40の両端がダイアフラム24側に接続されるため、感圧素子40の材料と、ハウジング12の材料の違いによる線膨張係数の不一致に起因する温度変化に伴う圧量測定値の誤差を回避することができる。
また接続手段である接続部材42は、第2の基部40bから感圧部である振動腕40cを挟むように延在された一対の支持板42bを有している。これにより、感圧素子40がダイアフラム24から応力を受けても接続部材42側(±X方向)に曲がることはないので、感圧素子40が検出軸方向以外の方向に動くことが阻止でき、感圧素子40の検出軸方向の感度を向上させることができ、高精度な圧力センサー10となる。
さらに、感圧素子40の一端である第1の基部40aは補強部46を介して接続部材42と接続される。これにより、感圧素子40及び接続部材42を一体で形成する場合、感圧素子40が実装時等に折れることを回避できるので、歩留まりを向上させ、圧力センサー10のコストダウンを図ることができる。
第2実施形態に係る圧力センサーを図8、図9に示す。図8は斜視図、図9は断面図である。第2実施形態に係る圧力センサー70は、感圧素子に第1実施形態同様の接続部材が接続される点では共通するが、第1の基部40aに対向するハウジング12の内壁(側面部20)に接続する、すなわちU字の接続部材42の上端部42cがハウジング12のダイアフラム側に接続されている構成である。なお第2実施形態では効果が類似する以下の3つの態様が挙げられる。
まずは、図8、図9(a)に示すように、ハウジング12の内壁、即ち側面部20の内壁のダイアフラム側の所定位置に固定部72を一対取り付け、固定部72に接続部材42の上端部42cが接続され、そしてダイアフラム24の受圧面の反対面の中央領域24aには第1実施形態で用いられた固定部26に替わって第2接続部材74が接続され、感圧素子40の第1の基部40aは第2接続部材74に接着剤等により接着されることにより、第1の基部40aが第2接続部材74を介して中央領域24aに接続された構成が挙げられる。つぎに図9(b)に示すように、感圧素子76の第1の基部76aを長手方向(±Z方向、検出軸方向に)に延長させ、または接続部材78の支持板78bを感圧素子76の長手方向の寸法よりも短くすることにより、上端部78cを側面部20の内壁に取り付けられた固定部72に接続し、さらに第1の基部76aを第1実施形態と同様に固定部26を介して中央領域24aに接続する構成が挙げられる。さらに図9(c)に示すように、ダイアフラム80の中央領域80aをハウジング12の内側に凹ませた形状にし、その底部の下面と感圧素子40の第1の基部40aとを第1実施形態同様に固定部26を介して接続した構成が挙げられる。
いずれの態様においても、ハーメチック端子82は側面部20の外壁から先端部82aを挿通する態様で取り付けられ、先端部82aが上端部にまで延びた引き出し配線78dと当接するように取り付けられる。そして先端部82aと配引き出し配線78dとは導電性接着剤44により接着され、互いに電気的に接続される。これにより、感圧素子40、76は、それぞれ引き出し配線42d、78d、及びハーメチック端子82を介してハウジング12外部にある発振回路(不図示)と電気的に接続することができる。なお、図8に示すように、支持シャフト18が、ハーメチック端子82と干渉しないように、フランジ部14のダボ穴14a、ハーメ端子部16のダボ穴16aの位置決め、即ち支持シャフト18の位置決めを行う。
第2実施形態に係る圧力センサー70の組み立ては、まず側面部20の内側の所定位置に固定部72を接着剤等により接続し、フランジ部14のダボ穴14aに支持シャフトを接続し、フランジ部の厚肉の領域の外周14bと側面部20とを接着剤等により接続する。そして、接続部材42、78の上端部42c、78cを固定部72に接着剤等で接続する。図9(a)の場合は、ダイアフラム24の中央領域24aに第2接続部材74を接着剤等により接続し、感圧素子40の第1の基部40aの所定位置に第2接続部材74と接触する面に接着剤を塗布し、そしてハーメ端子部14を支持シャフト18に嵌め込んで接続することにより第1の基部40aと第2接続部材74とが接続される。図9(b)の場合は、ダイアフラム24の中央領域24aの所定位置に固定部26を接着剤等により接続し、感圧素子76の第1の基部76aの固定部26と接触する面に接着剤を塗布し、ハーメ端子部14を支持シャフト18に嵌め込んで接続することにより第1の基部76aと固定部26とが接続される。図9(c)の場合は、ダイアフラム80の中央領域80aの所定位置に固定部26を接着剤等により接続し、感圧素子40の第1の基部40aの固定部26と接触する面に接着剤を塗布し、ハーメ端子部14を支持シャフト18に嵌め込んで接続することにより第1の基部40aと固定部26とが接続される。なお、真空封止の手順は第1実施形態と同様なので説明を省略する。
図9(a)における第2接続部材74の材料を感圧素子40と同一材料とすると図9(a)の構成は図9(b)の構成とほぼ同一となる。図9(a)において、第2接続部材74と支持シャフト18及びハーメ端子部16の材料が異なる場合は、両者の線膨張係数の相違により、第2接続部材74の中央領域24aと第1の基部40aとの±Z方向の隙間に相当する部分と、支持シャフト18及びハーメ端子部16で形成され前記隙間と同じ寸法の厚みで±Z方向で同じ位置にある領域75と、の間で温度変化に伴う膨張・収縮量に差が生じて、圧力測定値に誤差が生じることが考えられる。しかし、第2接続部材74の厚みは設計変更により小さくすることができる。よって線膨張係数の互いに異なる異種材料に起因する温度変化に伴う感圧素子に掛かる検出軸方向の応力の変化はほとんど生じない。さらに第2接続部材74が支持シャフト18及びハーメ端子部16と同一材料である場合には前記膨張・収縮量の差は生じない。図9(c)の構成では、ダイアフラム80の中央領域80aに形成された凹部81の深さに比例して凹部81と領域75との間で温度変化に伴う膨張・収縮量に差が生じて、圧力測定値の誤差が大きくなっていくことが考えられるが、上述同様、凹部81の深さを小さくすることにより線膨張係数の互いに異なる異種材料に起因する温度変化に伴う感圧素子に掛かる検出軸方向の応力の変化はほとんど生じない。そして上端部42c、78cは、それぞれ一定の剛性を有し、側面部20に取り付けられた固定部28に固定されているため、感圧素子40、76及び、接続部材42、78はハウジング12との間で一定の剛性を獲得することになり、検出軸方向の変位を確実に捉えることができる。
よって第2実施形態によれば、感圧素子40、76の検出軸方向の一端である第1の基部40a、76aは、外部からの圧力によって変位するダイアフラム24、80の中央領域24a、80aに接続され、前記一端の反対側の他端にある第2の基部40b、82bは接続部材42、78を介して、外部からの圧力によっても変位しないハウジング12のダイアフラム側(側面部20)に接続される。よって、外部からの圧力により感圧素子40、76が圧縮応力を受ける絶対圧を測定する圧力センサー70となる。また感圧素子40、76はハウジング12のダイアフラム側に接続されるため、上述の線膨張係数の不一致による問題はほとんど無く、もしくはまったく無く、また感圧素子40、76は剛性の高いハウジング12(側面部20)に固定され、感圧素子40、76とハウジング12との間で剛性を獲得するため、ダイアフラム24、80から感圧素子40、86への力の伝達が確実に得られ感度の安定した圧力センサー70となる。
第3実施形態に係る圧力センサーを図10に示す。第3実施形態に係る圧力センサー90は、基本的な構造は第1実施形態(第2実施形態)と同様であるが、ダイアフラム92に接続され、ウエイト96を用いて、梃子の原理によりダイアフラム92が受ける重力と反対方向の力をダイアフラム92に掛ける反力生成部94を有している。図10においては第1実施形態に適用したものを図示している。反力生成部94は、図10に示すように、力点94bにウエイト96を配置し、作用点94cを感圧素子98の第1端部98a(若しくはダイアフラム92の中央領域92a)に接続し、支点94aを接続部材100に形成された突起100aとして突起100aに保持されたシーソー構造である。このとき、第1実施形態における補強部46の一部が反力生成部94及びウエイト96に置き換わり、残りの補強部46aがウエイト96と接続部材100とを接続していると見ることができる。
第1実施形態と同様に、反力生成部94及びウエイト96は、感圧素子98、接続部材100、及び補強部46aとともに一体で形成することができる。
図11に第3実施形態におけるフォトリソ・エッチング加工の工程図を示す。感圧素子98、接続部材100、補強部46a、反力生成部94、及びウエイト96をフォトリソ・エッチング加工により一体で形成する場合、まず図11(a)に示すように、[1]材料となる母基板102を用意し、母基板102の表面にポジ型のフォトレジスト104を塗布する(図11(a))、[2]感圧素子98、接続部材100、補強部46a、反力生成部94、及びウエイト96の配置及び形状に対応したフォトマスク106を用いて露光し(図11(b))、[3]前記フォトレジスト104を感光させる(図11(c))、[4]現像を行い感光したフォトレジスト104aを除去する(図11(d))、[5]母基板102が露出した領域において母基板102を貫通させるまでエッチングすることにより感圧素子98、接続部材100、補強部46a、反力生成部94、及びウエイト98を一体で形成する(図11(e))、[6]フォトレジスト104を剥離する(図11(f))、というように工程[1]〜[6]なるプロセスを経ることになる。またこれらを大量に製造する場合には、感圧素子98、接続部材100、補強部46a、反力生成部94、及びウエイト96が所定の配置で一体となった個片(不図示)に対応したフォトレジストを母基板(不図示)上にパターニングして、第1実施形態と同様の方法(図7参照)により、前記個片を個片化すればよい。
ダイアフラム92の外面(受圧面)が上向きの場合は、ダイアフラム92が受ける重力によりダイアフラム92の可撓領域92bが撓み変形をし、中央領域92aがハウジング12内部側に変位して感圧素子98に圧縮応力を与え、逆にダイアフラム92の外面が下向きの場合は、中央領域92aがハウジング12の外部側に変位して感圧素子98に伸長応力を与えることになる。
一方、反力生成部94は、ウエイト96が受ける重力による力を支点94aを介して反転させ、ダイアフラム92に伝達することができる。このときウエイト96は、ウエイト96が支点94aに与える慣性モーメントと、ダイアフラム92が支点94aに与える慣性モーメントとが一致してシーソー構造の反力生成部94が支点94aにおいて釣り合う状態となるようにその大きさ(重量)が設計されている。これにより、ダイアフラム92が受ける重力による撓み変形の応力がウエイト96により相殺される。よって感圧素子98はダイアフラム92が受ける重力による撓み変形の応力を受けることがないので、重力加速度の掛かりかたの変化によって発生する圧力測定値の誤差を低減した高精度な圧力センサー90となる。
さらに、ウエイト96表面には、Au等の金属膜108が配設することができる。これによりウエイト96の構築後、金属膜108を配設することになるので、ウエイト96側の重量を調節する機会が増えるとともに、適切な量の金属膜108を配設することによりウエイト96側の重量の微調整を行い、ウエイト96とダイアフラム92のバランス調整を容易に行うことができる。さらに金属膜108の配設後、金属膜108を剥ぎ取ることが可能なので、ウエイト96側の重量の調整する機会がさらに増えると共に、金属膜108はレーザ等で剥ぎ取ることが可能なので、ハウジング12もしくはダイアフラム92がレーザを透過する材料であれば、圧力センサー90の構築後においてもウエイト96側の重量の調整が可能となるため、圧力センサー90の歩留まりが向上する。なお、第3実施形態は、第1実施形態、及び第2実施形態と構造上干渉することがないので、第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態に適用することができる。
第4実施形態に係る圧力センサー110を図12に示す。第4実施形態に係る圧力センサー110は、ハウジング112内部の構成要素は第1実施形態乃至第3実施形態と同様であるが、ハウジング112が金属絞り加工により一体成型されている。
ハウジング112の材料としては、図12(a)に示すように、パイプ114が先端領域114aにおいて、その内径、及び外形が拡張された構造のものが用いられる。前記先端領域114aの開口部114bを、前記構成要素を取り付けたダイアフラム116で封止し、パイプ114の先端領域114aの反対側から真空引きを行う。そして図12(b)に示すように、板金加工によりパイプ114をつぶしてパイプ114の経路を封止することにより、前記先端領域114aがハウジング112となる。第4実施形態は、第1実施形態乃至第3実施形態に適用することができる。このとき第2実施形態における固定部72は先端領域114aの内壁の開口部側に取り付けることになる。第1実施形態乃至第3実施形態において、ハウジング12は、ダイアフラム24(80)の周縁領域24c及びハウジング12のダイアフラム24(80)側の側面(側面部20)以外に上述の構成要素との接点を持たないため、第4実施形態に示すようにハウジング112を一体で形成することができ、構成及び製造工程が簡略化されるため、コストダウンを図ることができる。
第5実施形態に係る圧力センサー120を図13(斜視図)、図14(図14(a)、図14(b)ともに断面図)に示す。第5実施形態に係る圧力センサー120は、ハウジング内部の構成要素(感圧素子、接続部材)は第1実施形態乃至第3実施形態と同様であるが、絶対圧を測定する第1実施形態乃至第3実施形態とは異なり、第5実施形態は相対圧を測定可能な圧力センサーとなる。ここでは第1実施形態に本実施形態を適用したもので説明するが、第2実施形態及び第3実施形態に対しても適用できる。
ハウジング12を構成するハーメ端子部16の開口部22には受圧手段となる第1ダイアフラム126が取り付けられている。そしてフランジ部122は、ハーメ端子部16の開口部22に対向して形成された第2開口部124を有し、第2開口部124は第2受圧手段となる第2ダイアフラム128で封止されるとともに、第1ダイアフラム126及び第2ダイアフラム128は、力伝達シャフト130を介して接続された構成を有する。第1ダイアフラム126は、外部からの圧力によって変位する中央領域126aと、前記中央領域126aの外周にあり、外部からの圧力により撓み変形する可撓領域126bと、前記可撓領域126bの外周にあり、ハーメ端子部16の開口部22と接合する周縁領域126cを有している。同様に、第2ダイアフラム128は、外部からの圧力によって変位する中央領域128aと、前記中央領域128aの外周にあり、外部からの圧力により撓み変形する可撓領域128bと、前記可撓領域128bの外周にあり、フランジ部122の第2開口部124と接合する周縁領域128cを有している。
力伝達シャフト130はハウジング12の内部に配設され、長手方向の一端130aが第1ダイアフラム126の中央領域126aに接続され、前記一端130aの反対側の他端130bが第2ダイアフラム128の中央領域128aに接続される。力伝達シャフト130は円柱形の形をしているが、力伝達シャフト130と感圧素子40及び接続部材42等が干渉しないように、力伝達シャフト130と接続部材42等が当接する箇所にはザグリ130cが形成されている。よって力伝達シャフト130は第2ダイアフラム128側では断面は円柱形であるが、第1ダイアフラム126側では断面は半円形となる。このとき、第1実施形態等で用いられる固定部26を第1ダイアフラム126に接続する必要はなく、感圧素子40の第1の基部40aをザグリ130cに接続するとともに、第1の基部40aを中央領域126aに当接させる。その際、感圧素子40の振動腕40cがザグリ130cと干渉しないように、感圧素子40の第1の基部40aとザグリ130cとをスペーサ132を介して接続する。
また、図15(図15(a)、図15(b)ともに断面図)に示すように、第1ダイアフラム126及び第2ダイアフラム128に接続され、力伝達シャフト130より細身の力伝達シャフト134と、力伝達シャフト134が貫通して力伝達シャフト134に接続され、感圧素子40の第1の基部40aを固定する力伝達部136と、を有する構成としても良い。この場合、力伝達シャフト134の一端134aが第1ダイアフラム126の中央領域126aに接続され、一端134aの反対側の他端134bが第2ダイアフラム128の中央領域128aに接続される。そして力伝達シャフト134にはザグリを形成する必要がないので製造が容易となる。
第1ダイアフラム126及び第2ダイアフラム128を金属で形成する場合は、第1実施形態と同様に、金属母材(不図示)に波型の同心円形状を有する一対のプレス板(不図示)により金属母材の両面からプレスすればよい。図16に金属で形成した第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムの模式図を示す。一対のプレス板(不図示)の一方の中心に凸部(不図示)を形成し、プレス板(不図示)の他方の中心に凹部(不図示)を形成しておくことにより、各ダイアフラムの中心には凸部126d、128dが形成される。この凸部126d、128dは力伝達シャフト130、134の両端に形成された凹部130c、134cに嵌め込まれる。この場合、凸部126d、128dは凹部130c、134cに低融点ガラスや無機系接着剤等の接着手段を用いて接着固定すれば、第1ダイアフラム126及び第2ダイアフラム128と力伝達シャフト130、134とが連動して稼動する際に、凸部126d、128dと凹部130c、134cとの接続部がズレることによって、伝達されるべき力が漏洩し圧力検出精度が劣化するといった問題を防止することができる。
また第1ダイアフラム126及び第2ダイアフラム128を水晶で形成する場合は、第1実施形態と同様にフォトリソ・エッチング加工により形成する。図17(a)に水晶で形成した第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムの模式図を示す。第1ダイアフラム126及び第2ダイアフラム128の製造工程は図4に示すダイアフラム24の製造工程と同様であるが、第1ダイアフラム126及び第2ダイアフラム128には中央領域126a、128aにおいて力伝達シャフト130、134を嵌め込む凹部126d、128dを有する。よって図4(b)に示す工程[2]おいて、凹部に対応するフォトマスク(不図示)を用いてフォトレジスト34を露光し、図4(c)に示す工程[3]において感光したフォトレジスト34aを除去することにより、第1ダイアフラム126及び第2ダイアフラム128を形成することができる。また図5(a)、図5(b)に示されたダイアフラム24の形状に対応して、第1ダイアフラム126及び第2ダイアフラム128をそれぞれ図17(b)、図17(c)の形状に形成することもできる。
力伝達シャフト130(134)は一端130a(134a)及び他端130b(134b)との間で力を確実に互いに伝達する必要があるため、一定の剛性を有する必要がある。さらに力伝達シャフト130(134)はハウジング12を構成する支持シャフト18と同じ材料であることが望ましい。これにより、力伝達シャフト130(134)と支持シャフト18の線膨張係数の違いに起因した、温度変化に伴う感圧素子40の検出軸方向の両者の膨張・収縮量に差が生じなくなり、第1ダイアフラム126、及び第2ダイアフラム128に掛かる力伝達シャフト130(134)からの力が温度変化に関わらず一定に保たれるため、圧力センサー120の感度が温度によって変動することを防止できる。
上述の構成することにより、第1ダイアフラム126側の圧力が高い場合は、力伝達シャフト130、134が第2ダイアフラム128の中央領域128aをハウジング12の外側に押し出す動きをするとともに、感圧素子40は圧縮応力を受ける。一方、第2ダイアフラム128側の圧力が高い場合は、力伝達シャフト130、134が第1ダイアフラム126の中央領域126aをハウジング12の外側に押し出す動きをするとともに、感圧素子40は伸長応力を受けることになる。よって、第1実施形態乃至第3実施形態に係る圧力センサー10、70、80を、相対圧が測定可能な圧力センサー120にすることができる。
さらに、第5実施形態においては、図18に示すような圧力センサー用のケース138に実装することが好適である。円筒形のケース138は、一端がフランジ部122の薄肉領域の外周122cと同程度の寸法を有しハウジング12のフランジ部122側から導入する導入口140aを有し、他端がフランジ部122を止めるとともに開口部140dを形成するリング状のストッパー140bが設けられた第1部材140と、ストッパー140bと同心円状に配置され、ストッパー140bとフランジ部122との間に挟みこまれるOリング142(図13参照)と、第1部材140の開口部140aに形成された雌ネジ部140cと螺合する雄ネジ部144aを有し、雄ネジ部144aを雌ネジ部140cに螺合させつつフランジ部14をOリング142に押し付け、ケース138において導入口140aと開口部140dとをOリング142により空間的に分離させる第2部材144と、を有する。これにより第2部材144を第1部材140にねじ込むだけで圧力センサー120の取り付けを行うことができ、フランジ部122側の被測定環境側とハーメ端子部16側の測定環境側との空間的遮断を容易にかつ確実に行うことができる。
また図19に示すようにフランジ部146に雄ネジ部146aを設け、第1部材140に雌ネジ部140eを設け、雄ネジ部146aと雌ネジ部140eとを螺合させることにより、フランジ部146側の被測定環境側とハーメ端子部148側の測定環境側との空間的遮断を行う構成としてもよい。なお螺合時において、雄ネジ部146aにはシールテープを巻き、雄ネジ部146aと雌ネジ部140eとの間の空気や液体等のリークを防ぐと良い。同様にハーメ端子部148にも雌ネジ部148aを設け、雌ネジ部148aに螺合する雄ネジを有するコネクター(不図示)を接続する構成としてもよい。
なお、第5実施形態を第3実施形態に適用する場合、ウエイト96が支点94aに与える慣性モーメントが、第1ダイアフラム126、及び第2ダイアフラム128が受ける重力による撓み変形に係る応力と力伝達シャフト130、134が受ける重力による荷重との合力が支点94aに与える慣性モーメントと一致するように、ウエイト96の重量を調整する必要がある。
またいずれの実施形態においても、受圧手段はダイアフラムを前提として述べてきたがこれに限定されず、受圧手段としてベローズ150を用いることができる。図20に第1実施形態に受圧手段としてベローズ150を適用した変形例を示す。ベローズ150は外部の圧力により変位する中央領域150aと、中央領域の外周に接続され外部の圧力により伸縮するか可撓領域150bと、可撓領域150bの外周に接続され開口部22に接続する周縁領域150cとを有する。ダイアフラム24は温度変化により中央領域24aの変位は変化しないが、ベローズ150は温度変化によりその伸縮方向の変位が変化する。そのため、温度変化に伴う圧力誤差を抑制する効果はダイアフラムほど大きくはないが、用途に応じて受圧手段の形状を変更することができる。
10………圧力センサー、12………ハウジング、14………フランジ部、16………ハーメ端子部、18………支持シャフト、20………側面部、22………開口部、24………ダイアフラム、24a………中央領域、24b………可撓領域、24c………周縁領域、26………固定部、28………固定部、30………金属母材、32………母基板、34………フォトレジスト、36………フォトマスク、38………ハーメチック端子、40………感圧素子、42………接続部材、44………導電性接着剤、46………補強部、48………母基板、50………フォトレジスト、52………フォトマスク、54………母基板、56………フレーム、58………折り取り部、60………個片、60………圧力センサー、72………固定部、74………第2接続部材、76………感圧素子、78………接続部材、80………ダイアフラム、82………ハーチック端子、90………圧力センサー、92………ダイアフラム、94………反力生成部、96………ウエイト、98………感圧素子、100………接続部材、102………母基板、104………フォトレジスト、106………フォトマスク、108………金属膜、110………圧力センサー、112………ハウジング、114………パイプ、116………ダイアフラム、120………圧力センサー、122………フランジ部、124………第2開口部、126………第1ダイアフラム、128………第2ダイアフラム、130………力伝達シャフト、132………スペーサ、134………力伝達シャフト、136………力伝達部、138………ケース、140………第1部材、142………Oリング、144………第2部材、146………フランジ部、148………ハーメ端子部、150………ベローズ、201………圧力センサー、202………気密ケース、203………壁面、203a………圧力入力口、204………壁面、204a………圧力入力口、210………第1のベローズ、211………第2のベローズ、215………振動素子接着台座、220………圧電振動素子、230………発振回路、250………補強板用バネ、300………圧力センサー、305………シリコン構造体、306………基体、307………電極、308………誘電体膜、309………ダイアフラム、310………隙間。

Claims (8)

  1. 撓部と前記可撓部の外側に配置されている周縁領域とを備え方のが受圧面である受圧手段と、
    前記受圧手段の前記一方の面の裏であって他方の面側にて封止されている開口部を備えているハウジングと、
    1の基部と第2の基部とを有前記第1の基部と前記第2の基部との間に感圧部を備えていると共に、前記第1の基部と前記第2の基部との並ぶ方向が前記受圧手段の変位方向と平行となるように前記受圧手段に立設している感圧素子と
    前記第2の基部から前記感圧部を挟むように前記第1の基部の側に向かって延在している一対の支持板と、
    を有し、
    前記第1の基部、前記受圧面の裏側であって前記可撓部の中央領域に固定されており
    前記第2の基部は、前記支持板を介して前記ハウジングの内壁に固定されていることを特徴とする圧力センサー。
  2. 前記第1の基部は、
    前記可撓部の中央に設けられた固定部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の圧力センサー。
  3. 前記第1の基部は、
    補強部を介して前記支持板に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力センサー。
  4. 前記受圧手段に接続され、ウエイトを用いて、梃子の原理により前記受圧手段が受ける重力と反対方向の力を前記受圧手段に掛ける反力生成部を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の圧力センサー。
  5. 前記反力生成部は、前記感圧素子を挟んで一対に配置されていることを特徴とする請求項に記載の圧力センサー。
  6. 前記ウエイト表面には、金属膜が配設されていることを特徴とする請求項またはに記載の圧力センサー。
  7. 前記ハウジングは、金属絞り加工により一体成型されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の圧力センサー。
  8. 前記ハウジングは、前記開口部に対向して配置されている第2開口部を有し、前記第2開口部は第2受圧手段で封止されているとともに、
    前記受圧手段及び前記第2受圧手段は、力伝達シャフトを介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の圧力センサー。
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