JP2007171123A - 圧力センサ及び感圧素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】双音叉圧電振動片を用いた圧力センサの圧力−周波数特性の直線性を向上させ、高精度で高分解能の圧力センサを簡単な構成で安価に実現する。
【解決手段】ダイヤフラム板3と基台4間に画定される真空キャビティ5内に収容される感圧素子2は、双音叉圧電振動片6とその基端部9,10に両面から挟むように接合部7b,8bを結合して一体化した1対の圧力伝達部材7,8とを備える。圧力伝達部材は、双音叉圧電振動片との対向面に凹部7a,8aを設けることにより、振動ビームから離隔された感圧部を両接合部間に有する。圧力センサ1は、対向位置に設けられたダイヤフラムの突起部24と基台側の突起部32とを両側からそれぞれ圧力伝達部材の感圧部に当接させて、感圧素子を真空キャビティ内に保持する。
【選択図】図1
【解決手段】ダイヤフラム板3と基台4間に画定される真空キャビティ5内に収容される感圧素子2は、双音叉圧電振動片6とその基端部9,10に両面から挟むように接合部7b,8bを結合して一体化した1対の圧力伝達部材7,8とを備える。圧力伝達部材は、双音叉圧電振動片との対向面に凹部7a,8aを設けることにより、振動ビームから離隔された感圧部を両接合部間に有する。圧力センサ1は、対向位置に設けられたダイヤフラムの突起部24と基台側の突起部32とを両側からそれぞれ圧力伝達部材の感圧部に当接させて、感圧素子を真空キャビティ内に保持する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば気圧、水圧などの流体圧を測定するセンサや水位モニタなどの計測機器に使用するための圧力センサに関し、特に、水晶などの圧電材料からなる双音叉圧電振動片を用いた感圧素子及びそれを用いた圧力センサに関する。
一般に圧電振動子は、応力が加わると共振周波数が変化することから、従来からこの圧電振動子の周波数変化を利用した様々なセンサが開発されている。中でも屈曲振動モードの音叉型振動子は、他の振動モードに比して応力に対する周波数変化率が大きいので、感圧素子として使用すると有利である。
特に、2個の音叉型振動片をその振動腕を突き合わせる向きに接続するように、平行な2本の振動ビームとそれらの両端を結合する基端部とからなる構造を有する双音叉振動子は、高いQ値をもつことが報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。それにより、双音叉振動子を用いたセンサは、圧力の変化に対する周波数の変化が良好な直線性を示すので高い分解能が得られ、更にその周波数の変化率が大きく、再現性及びヒステリシスに優れるので、高精度な圧力測定ができ、靜圧センサとして十分な応答速度をもつことができる。
更に、双音叉圧電振動子を励振するための駆動電極は、振動腕即ち振動ビームの長辺に対する変位の2次微係数が零となる点(振動の節点)を境に電極を分割付着し、該分割点において相隣り合う電極に印加する電位が互いに逆になるようにした構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。これにより、振動ビームへの駆動力とその変位とは向きが一致するので、振動ビームの励振が容易になりかつ振動子のQ値がより高くなり、より高感度なセンサを得ることができる。
かかる双音叉振動子を用いたセンサとして、非特許文献1では、双音叉振動子の一方の基端部をケース側に固定しかつ他方の基端部を揺動アームの一端に結合すると共に、圧力を受けて伸縮する蛇腹構造の金属ベローズに揺動アームの他端を結合した構成を採用している。この構成では、ベローズを変形させる圧力を揺動アームの支点周りのモーメントに変換して、双音叉振動子に両端から圧縮方向又は引張方向の力を作用させることにより、周波数を変化させる。
また、対向面に円環状凹部を有する2枚の圧電(水晶)ダイヤフラムで双音叉圧電振動子をサンドイッチ状に上下から挟んだ感圧素子からなる圧力センサが知られている(例えば、特許文献2を参照)。各水晶ダイヤフラムは、前記円環状凹部により画定される中央の短円柱部と周縁部とを有し、それぞれ対向する短円柱部及び周縁部の間で双音叉圧電振動子の両基端部を固定する。感圧素子は、その上下両面に作用する圧力の差により水晶ダイヤフラムの中央部が上向き又は下向き凸に変形すると、それに対応して双音叉圧電振動子の両端に引張方向の力が作用し、周波数を変化させるので、その変化量から圧力値が算出される。
更に、同様に対向面に凹部を有する2枚の圧電ダイヤフラムを積層した構造の感圧素子からなる圧力センサにおいて、感圧素子内部に画定される空間の底面に双音叉圧電振動子の両基端部を固定した構成が知られている(例えば、特許文献3を参照)。両圧電ダイヤフラムは、その中心点が力伝達用柱で互いに連結されているので、作用する圧力の向きによって上向き又は下向き凸に、一体となって同様に変形する。従って、双音叉圧電振動子の両端には、圧力の向きに対応して圧縮方向又は引張方向の力が作用するので、正圧又は負圧を区別して検知することができ、絶対圧力及び相対圧力いずれの測定にも利用することができる。
栗原正雄、外3名,「双音叉振動子を用いた水晶圧力センサ」,東洋通信機技報,東洋通信機株式会社,1990年,No.46,p.1−8
特開昭60−39911号公報
特開2003−83829号公報
特開2004−132913号公報
しかしながら、上述した従来の双音叉圧電振動子を用いた圧力センサは、次のような問題点を有する。上記非特許文献1に記載の圧力センサは、双音叉圧電振動子とこれに直接結合される揺動アーム及び金属ベローズとが異なる熱膨張率を有するので、温度変化による熱歪みを生じ、これが不要な応力として振動子に作用して、正確な圧力測定を妨げる虞がある。更に、金属ベローズ、揺動アーム及びその支持体などの複雑な機構を必要とし、かつその加工が面倒で高いコストを要するので、高価格になる。
これに対し、上記特許文献2に記載の圧力センサは、構成が比較的簡単で安価に製造でき、ダイヤフラム及び振動子を同一材料で形成することにより、熱膨張率の差による熱歪みの影響を低減することができる。しかしながら、双音叉圧電振動片を撓ませて周波数を変化させるため、その曲げ応力の作用で双音叉振動片の圧力−周波数特性は、直線性が低下したりセンサとして好ましい直線性の範囲が狭くなり、加えて温度特性が悪くなる虞がある。更に、感圧素子が圧電ダイヤフラムの外周縁部を金属台座と金属スペーサとの間に挟んで固定保持されるので、その力が作用する具合によって、双音叉振動片の特性が影響を受けることになる。しかも、感圧素子と金属台座及び金属スペーサとは熱膨張率が異なるので、やはり温度変化による熱歪みで正確な圧力測定が困難になる虞がある。
同様に上記特許文献3に記載の圧力センサは、構成が比較的簡単で安価に製造でき、ダイヤフラム及び振動子を同一材料で形成することにより、熱膨張率の差による熱歪みの影響を低減することができる。しかしながら、上記特許文献2と同様に、双音叉圧電振動片を撓ませて周波数を変化させるため、双音叉振動片の圧力−周波数特性は直線性が低下したり直線性の範囲が狭くなる虞がある。更に、感圧素子を固定保持する力が双音叉振動片の特性に影響を与えたり、感圧素子と金属台座及び金属スペーサとの熱膨張率の差が温度変化による熱歪みを生じさせ、正確な圧力測定を困難にする虞がある。
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、双音叉圧電振動片を用いた圧力センサにおいて、圧力−周波数特性の直線性を向上させ、かつ良好な直線性をより広い測定範囲に亘って確保維持することができ、それによって高精度で高分解能の圧力センサを比較的簡単な構成により安価に製造できるようにすることにある。
更に本発明の目的は、かかる圧力センサを実現するのに適した感圧素子を提供することにある。
本発明によれば、上記目的を達成するために、平行に延長する1対の振動ビーム、該振動ビームの両端にそれぞれ結合する基端部、及び振動ビームの表面に形成された駆動電極からなる双音叉圧電振動片と、該双音叉圧電振動片の各基端部に結合される接合部、及び振動ビームから離隔して両接合部間に延長する感圧部からなる同一の形状及び寸法を有し、双音叉圧電振動片と同じ熱膨張率の材料で形成された1対の圧力伝達部材とを備え、双音叉圧電振動片と圧力伝達部材とを、各基端部を両面から挟むように各接合部を結合することにより一体化した感圧素子が提供される。
本発明の感圧素子は、その両側から各圧力伝達部材の感圧部に垂直方向の力が作用すると、両圧力伝達部材が同じように撓み、その撓み力が同一の大きさで逆向きのため、互いに相殺される。従って、双音叉圧電振動片の両基端部には、圧力伝達部材から引張方向の力のみが作用する。この引張力により、双音叉圧電振動片の共振周波数は増加するように変化し、その変化量から圧力伝達部材の感圧部に作用した力の大きさが算出される。
このように、双音叉圧電振動片には引張力しか作用しないので、従来のような双音叉圧電振動片の撓みによる周波数特性の変動や劣化が生じる虞がなく、直線性に優れた圧力−周波数特性を得ることができる。しかも、双音叉圧電振動片と圧力伝達部材とを同じ熱膨張率の材料で形成するので、温度変化による熱歪みの影響を完全に排除することができる。また、この感圧素子を用いた圧力センサは、各圧力伝達部材の感圧部を押圧できるようにするだけでよく、外部圧力を伝達するために複雑な機構を必要としないので、比較的簡単に構成することができ、かつそのように機構部品との熱膨張率の差による熱歪みの影響を解消しまたは有効に抑制することができる。
或る実施例では、圧力伝達部材が双音叉圧電振動片と同じ圧電材料で、例えば温度特性に優れた水晶で形成され、より一層優れた圧力−周波数特性を得ることができる。また、水晶は加工性が良く、歩留まり良く低コストで感圧素子を製造することができる。
本発明の別の側面によれば、ダイヤフラムを有するダイヤフラム板と、該ダイヤフラム板と気密に接合されて真空キャビティを画定する基台と、真空キャビティ内に収容される上述した本発明の感圧素子とを備え、ダイヤフラムが真空キャビティ内に突出する突起部を有し、かつ基台が真空キャビティ内に突出する突起部を有し、これら両突起部が互いに対向するように設けられると共に、各突起部がそれぞれ感圧素子の一方または他方の感圧部に当接して感圧素子を保持する圧力センサが提供される。
ダイヤフラムが外部圧力を受けて変位すると、その大きさはダイヤフラムの突起部から感圧素子の一方の圧力伝達部材の感圧部に直接伝達され、その反力として、他方の圧力伝達部材の感圧部には基台の突起部から同じ大きさの力が互いに逆向きに作用する。その結果、感圧素子の両圧力伝達部材には同じ撓みが生じ、双音叉圧電振動片には両基端部から引張方向の力のみが作用するので、その共振周波数は増加し、その変化量から外部圧力の大きさが算出される。
感圧素子をダイヤフラムの突起部と基台の突起部とで挟持するように保持しかつ押圧するので、感圧素子とダイヤフラム板及び/または基台とが異なる材料で形成されまたは異なる熱膨張率を有する場合でも、温度変化に対して熱膨張率の差が圧力−周波数特性に影響を与える虞が解消され、または大幅に低減される。圧力センサの圧力−周波数特性の直線性を向上させかつ良好に維持することができ、従来よりも広範な測定範囲が得られるので、より高精度で高分解能の圧力センサを実現することができる。また、感圧素子を保持し、外部圧力を伝達するために複雑な構造を必要としないので、比較的簡単にかつ安価に製造することができる。
或る実施例では、前記ダイヤフラムが、弾性変形することなく外部の圧力を受ける受圧部と、該受圧部の外郭を画定しかつ外部の圧力により弾性変形可能な薄肉部とからなり、ダイヤフラムの突起部が受圧部に設けられている。これにより、受圧部が受けた外部圧力は、そのまま感圧素子に伝達されるので、正確かつ高精度な圧力測定が可能である。
また、前記ダイヤフラム板と基台とが、その熱膨張率が同一又は近似する材料で形成されていると、温度変化に対して熱膨張率の差による熱歪みの影響が解消されまたは有効に抑制されるので、常に感圧素子を真空キャビティ内に安定した状態で保持することができる。
例えば、前記ダイヤフラム板を水晶またはシリコン材料で形成し、前記基台をガラス材料で形成することができる。水晶またはシリコン材料は、ダイヤフラム板にダイヤフラムや突起部などを加工するのが比較的容易であり、ガラス材料は比較的安価で、基台に十分な強度を与えることができる。
以下に、本発明の好適な実施例について、添付図面を用いて詳細に説明する。
図1(A)(B)は、本発明を適用した圧力センサの好適な実施例を示している。本実施例の圧力センサ1は、感圧素子2が上側のダイヤフラム板3と下側の板状基台4との間に画定されるキャビティ5内に収容されている。キャビティ5の内部は、ダイヤフラム板3と基台4とが気密に接合されて、真空状態に維持されている。
図1(A)(B)は、本発明を適用した圧力センサの好適な実施例を示している。本実施例の圧力センサ1は、感圧素子2が上側のダイヤフラム板3と下側の板状基台4との間に画定されるキャビティ5内に収容されている。キャビティ5の内部は、ダイヤフラム板3と基台4とが気密に接合されて、真空状態に維持されている。
感圧素子2は、図2(A)に示すように、双音叉圧電振動片6と、これを上下から挟む上下1対の圧力伝達部材7,8とを備える。圧力伝達部材7,8は、接着剤で双音叉圧電振動片6と一体に結合されている。
双音叉圧電振動片6は、図3(A)に示すように、2個の音叉型振動片をその振動腕を突き合わせる向きに接続するように構成され、長手方向の両端に設けられる基端部9,10と、それらの間を平行に延長する1対の振動ビーム11a,11bとを有する。振動ビーム11a,11bの上下主面及び両側面には、従来の音叉型振動片と同様に電極膜を被着しかつエッチングすることにより、駆動電極がパターニングされている。
本実施例の駆動電極は、上記特許文献1に記載されるように、各基端部9,10側部分とそれらの間の中央部分とに分割して設けられる。前記振動ビームの一方の基端部9側には、図3(B)に示すように、その上下主面に第1主面電極12a,12bが、両側面に第1側面電極13a,13bがそれぞれ形成されている。前記振動ビームの他方の基端部10側には、図3(C)に示すように、その上下主面に第2主面電極14a,14bが、両側面に第2側面電極15a,15bがそれぞれ形成されている。前記振動ビームの中央部分には、図3(D)に示すように、その上下主面に第3主面電極16a,16bが、両側面に第3側面電極17a,17bがそれぞれ形成されている。
一方の振動ビーム11aにおいて、上下各第1主面電極12aは、それぞれ異なる一方の第3側面電極17aに電気的に接続され、更に連続してそれぞれ異なる一方の第2主面電極14aに電気的に接続されている。各第1側面電極13aは、それぞれ異なる一方の第3主面電極16aに電気的に接続され、更に連続してそれぞれ異なる一方の第2側面電極15aに電気的に接続されている。他方の振動ビーム11bにおいて、上下各第1主面電極12bは、それぞれ異なる一方の第3側面電極17bに電気的に接続され、更に連続してそれぞれ異なる一方の第2主面電極14bに電気的に接続されている。各第1側面電極13bは、それぞれ異なる一方の第3主面電極16bに電気的に接続され、更に連続してそれぞれ異なる一方の第2側面電極15bに電気的に接続されている。
各基端部9,10の上面には、それぞれ長手方向の端縁側に引出電極18,19が形成されている。基端部9の引出電極18は、振動ビーム11aの上側の第1主面電極12aと振動ビーム11bの一方の第1側面電極13bとに接続されている。基端部10の引出電極19は、振動ビーム11bの上側の第1主面電極14bと振動ビーム11aの一方の第1側面電極15aとに接続されている。図示していないが、基端部9の下面において、振動ビーム11aの下側の第1主面電極12aと振動ビーム11bの他方の第1側面電極13bとが互いに電気的に接続されている。基端部10の下面では、振動ビーム11bの下側の第1主面電極14bと振動ビーム11aの他方の第1側面電極13aとが互いに電気的に接続されている。
このようにして、引出電極18から上側の第1主面電極12a、一方の第3側面電極17a、下側の第2主面電極14aに至り、一方の第2側面電極15bから上側の第3主面電極16b、一方の第1側面電極13bに至り、下側の第1主面電極12aから他方の第3側面電極17a、上側の第2主面電極14aに至り、更に他方の第2側面電極15bから下側の第3主面電極16b、他方の第1側面電極13bを経て引出電極18に戻る第1駆動電極と、引出電極19から上側の第2主面電極14b、一方の第3側面電極17b、下側の第1主面電極13bに至り、一方の第1側面電極13aから上側の第3主面電極16a、一方の第2側面電極15aに至り、下側の第2主面電極14bから他方の第3側面電極17b、上側の第1主面電極12bに至り、更に他方の第1側面電極13aから下側の第3主面電極16a、他方の第2側面電極15aを経て引出電極19に戻る第2駆動電極とからなる前記駆動電極が形成される。引出電極18,19間に所定の交流電圧を印加すると、隣接する前記第1駆動電極と第2駆動電極間で電界が交互に発生し、両振動ビーム11a,11bは互いに逆向きに即ち近接または離反する向きに所定の周波数で屈曲振動する。
本実施例の双音叉圧電振動片6は水晶で形成され、それにより優れた周波数温度特性を発揮することができる。当然ながら、双音叉圧電振動片6は、従来から公知の様々な圧電材料で形成することができる。
上側及び下側の圧力伝達部材7,8は、同一の形状及び寸法を有し、双音叉圧電振動片6と同じ圧電材料で、本実施例では水晶で形成されている。図2(B)に示すように、圧力伝達部材7,8は、全体として長さが前記双音叉圧電振動片よりも幾分短くかつ前記振動ビームよりも長く、幅が前記双音叉圧電振動片と略同じ矩形の板材からなる。各圧力伝達部材7,8の双音叉圧電振動片6との対向面には、前記振動ビームを十分に含む長さの凹部7a,8aが全幅に亘って設けられ、この平坦な板状部分を感圧部としてその両端に双音叉圧電振動片6との接合部7b,8bが設けられる。接合部7b,8bの長さは、前記双音叉圧電振動片の基端部9,10よりも十分に短い。
前記双音叉圧電振動片の各基端部9,10には、接合部7b,8bに対応する圧力伝達部材7,8との接合領域9a,10aが引出電極18,19よりも内側に設けられる。双音叉圧電振動片6と圧力伝達部材7,8とは、接合部7b,8bを接合領域9a,10aに適当な接着剤で結合することにより一体化される。このとき、圧力伝達部材7,8の前記感圧部は、凹部7a,8aにより振動ビーム11a,11bから十分に離隔され、その屈曲振動を妨げることはない。
ダイヤフラム板3は、図4(A)に示すように、上面の略中央に矩形の凹部20を有する。凹部20の底面には、矩形の溝による薄肉部21が設けられ、該薄肉部により矩形の受圧部22が前記底面中央に画定されている。これら薄肉部21と受圧部22とにより、圧力センサ1のダイヤフラムが形成される。受圧部22は外部圧力により弾性変形しないが、薄肉部21は弾性変形可能に設けられる。
本実施例のダイヤフラム板3はシリコン材料又は水晶で形成される。これら以外の様々な材料を前記ダイヤフラム板に用いることができるが、前記ダイヤフラムを高精度にかつ容易に形成することができ、温度変化による熱歪みの影響を排除し又は軽減し得るように感圧素子2の熱膨張率に近似する材料が、好ましい。
ダイヤフラム板3の下面は、図4(B)に示すように、上面の凹部20に対応する位置に、キャビティ5の一部を画定する凹部23を有する。凹部23の底面には、キャビティ5内に向けて突出する突起部24が受圧部22の中心に対応する位置に設けられている。ダイヤフラム板3の下面には、凹部23の両側に接続電極25,26が設けられている。一方の接続電極25は、ダイヤフラム板3に設けられたビアホール27を介して該ダイヤフラム板上面の外部電極28と電気的に接続されている。他方の接続電極26は、ダイヤフラム板3の端縁まで延長して別の外部電極29に接続されている。更にダイヤフラム板3下面には、その外周部分に沿って基台4と陽極接合するための電極膜30が形成されている。一方の接続電極25が電極膜30とは電気的に分離されているのに対し、接地側の他方の接続電極26は電極膜30と接続している。
基台4は、図5に示すように、その上面にダイヤフラム板3下面の凹部23と組み合わせてキャビティ5を画定する凹部31を有する。凹部31は、接続電極25,26をそれぞれ部分的にキャビティ5内に露出させるがビアホール27を露出させないように、ダイヤフラム板3下面の凹部23より大きい寸法に設けられる。凹部31の底面中央には、ダイヤフラム板3の突起部24に対向するように突起部32が設けられている。本実施例の基台4は、パイレックス(登録商標)又はソーダガラスなどのガラス板で形成される。これら以外の様々な材料を前記基台に用いることができるが、感圧素子2の基台として十分な強度を有し、ダイヤフラム板3との間で温度変化による熱歪みの影響を排除し又は軽減し得るように該ダイヤフラム板の熱膨張率に近似する材料が、好ましい。
感圧素子2は、図1(B)に示すように、基台4の突起部32とダイヤフラム板3の突起部24とにより上下から挟持してキャビティ5内に水平に保持される。各突起部24,32は、それぞれ感圧素子2の圧力伝達部材7,8の中心に当接するように位置決めされる。いずれか一方又は双方の突起部32,24と圧力伝達部材7,8とを接着剤で固定すると、圧力センサ1の組み立てをより簡単にしかつ感圧素子2をより確実に保持することができる。感圧素子2の圧力伝達部材7,8の両端から突出する双音叉圧電振動片6の各引出電極18,19は、それぞれボンディングワイヤ33,34により隣接する接続電極25,26と電気的に接続されている。
このように感圧素子2を保持しつつキャビティ5内を真空にした状態で、ダイヤフラム板3と基台4とが陽極接合によって気密に接合される。更に、図示するように、ダイヤフラム板3のビアホール27に導電材料などの適当な封止材27aを充填すると、キャビティ5内をより確実に真空封止することができる。
この状態で前記ダイヤフラムの受圧部22に外部の圧力が作用すると、薄肉部21が弾性変形して受圧部22が水平に押し下げられる。受圧部22が外部圧力で実質的に弾性変形しない十分な剛性を有するので、外部圧力Pは、そのまま突起部24を介して感圧素子2の上側圧力伝達部材7を押圧する。感圧素子2の下側圧力伝達部材8には、外部圧力Pと同じ大きさの反力Rが突起部32を介して作用する。
両圧力伝達部材7,8は、図6に示すように、外部圧力P及び反力Rの作用によりそれぞれ双音叉圧電振動片6側へ湾曲する。上述したように圧力伝達部材7,8は同一材料からなりかつ同一の形状及び寸法を有するので、前記各圧力伝達部材から双音叉圧電振動片6に作用する撓み力は同じ大きさかつ逆向きであるため、互いに相殺される。その結果、双音叉圧電振動片6の両基端部9,10には、引張方向の力Fのみが作用する。
外部電極28,29から所定の交流電圧を印加して双音叉圧電振動片6が上述したように所定の周波数で励振した状態で、ダイヤフラム板3に外部圧力が作用すると、その大きさに対応して前記周波数が変化する。この周波数変化を検知することにより、ダイヤフラム板3に全く外部圧力が作用しない状態を基準として、目的の絶対圧力を測定することができる。
本実施例の圧力センサは、前記双音叉圧電振動片には引張方向の力Fのみが作用するので、従来技術のように双音叉圧電振動片の撓みによる周波数特性の変動や劣化が生じる虞はない。更に、感圧素子2が突起部24,32のみで保持されかつ押圧されるので、感圧素子2とダイヤフラム板3及び/または基台4とが異なる材料からなる場合にも、温度変化に対して熱膨張率の差が圧力センサ1の圧力−周波数特性に影響を与える虞が解消され、または大幅に低減される。従って、圧力センサ1の圧力−周波数特性の直線性が向上し、より広範な測定範囲が得られ、より高精度で高分解能の圧力センサを実現することができる。
図7には、本発明に使用する双音叉圧電振動片6の変形例が示されている。この変形例では、両方の引出電極18,19が一方の基端部9に配置されている。この場合、図3の双音叉圧電振動片6において他方の基端部10に設けられた引出電極19に直接接続する第2主面電極14bと第2側面電極15aとは、該基端部10上の配線を介して直接接続されている。本変形例の双音叉圧電振動片6からなる感圧素子2を図1のダイヤフラム板3及び基台4に適用する場合、前記突起部を中心に感圧素子2の向きを90゜変えて、双音叉圧電振動片6の幅方向にワイヤボンディングを引き出せばよい。
図8には、本発明に使用するダイヤフラム板3及び基台4の変形例が示されている。この変形例では、接続電極25,26、外部電極29及び陽極接合のための電極膜30が、ダイヤフラム板3下面ではなく、基台4上面に設けられている。外部電極29を露出させるように、図1の実施例よりも基台4は長く、ダイヤフラム板3は短くする。更に、接続電極25,26をキャビティ5内に露出させるように、ダイヤフラム板3下面の凹部23を基台4の凹部31よりも大きくする。感圧素子2は、前記引出電極を上向きに配置し、ワイヤボンディング33,34で吊り下げるように各接続電極25,26と接続する。これにより、突起部32,24と圧力伝達部材7,8とを接着剤で固定しなくても、感圧素子2を確実に保持することができる。
また、別の実施例によれば、本発明の感圧素子2を用いて、相対圧力を測定できる圧力センサを得ることができる。これは、例えば図1の基台4をダイヤフラム板3と同様に構成し、そのダイヤフラムによって感圧素子2の下側圧力伝達部材8を押圧できるようにすることにより実現できる。上側から一定の圧力例えば大気圧が常に作用するようにしたとき、下側から作用する外部圧力の向きを別の手段で判定すれば、該外部圧力を測定することができる。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、その技術的範囲において様々に変形・変更を加えて実施することができる。例えば、感圧素子2の圧力伝達部材は、上記実施例以外の様々な形状に形成することができ、またダイヤフラム板3と基台4とは陽極接合以外の様々な公知方法で同様に気密に接合することができる。
1…圧力センサ、2…感圧素子、3…ダイヤフラム板、4…基台、5…キャビティ、6…双音叉圧電振動片、7,8…圧力伝達部材、7a,8a,20,23,31…凹部、7b,8b…接合部、9,10…基端部、11a,11b…振動ビーム、12a,12b,14a,14b,16a,16b…第1〜第3主面電極、13a,13b,15a,15b,17a,17b…第1〜第3側面電極、18,19…引出電極、21…薄肉部、22…受圧部、24,32…突起部、25,26…接続電極、27…ビアホール、27a…封止材、28,29…外部電極、30…電極膜、33,34…ボンディングワイヤ。
Claims (7)
- 平行に延長する1対の振動ビーム、前記振動ビームの両端にそれぞれ結合する基端部、及び前記振動ビームの表面に形成された駆動電極からなる双音叉圧電振動片と、
前記双音叉圧電振動片の前記各基端部に結合される接合部、及び前記振動ビームから離隔して前記両接合部間に延長する感圧部からなる同一の形状及び寸法を有し、前記双音叉圧電振動片と同じ熱膨張率の材料で形成された1対の圧力伝達部材とを備え、
前記双音叉圧電振動片と前記圧力伝達部材とが、前記各基端部を両面から挟むように前記各接合部を結合することにより一体化されていることを特徴とする感圧素子。 - 前記圧力伝達部材が前記双音叉圧電振動片と同じ圧電材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の感圧素子。
- 前記圧電材料が水晶であることを特徴とする請求項1または2に記載の感圧素子。
- ダイヤフラムを有するダイヤフラム板と、前記ダイヤフラム板と気密に接合されて真空キャビティを画定する基台と、前記真空キャビティ内に収容される請求項1乃至3のいずれかに記載の感圧素子とを備え、
前記ダイヤフラムが前記真空キャビティ内に突出する突起部を有し、かつ前記基台が前記真空キャビティ内に突出する突起部を有し、前記両突起部が互いに対向するように設けられ、前記各突起部がそれぞれ前記感圧素子の一方または他方の前記感圧部に当接して前記感圧素子を保持するようにしたことを特徴とする圧力センサ。 - 前記ダイヤフラムが、弾性変形することなく外部の圧力を受ける受圧部と、前記受圧部の外郭を画定しかつ前記外部の圧力により弾性変形可能な薄肉部とからなり、前記ダイヤフラムの前記突起部が前記受圧部に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の圧力センサ。
- 前記ダイヤフラム板と前記基台とが、その熱膨張率が同一又は近似する材料で形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の圧力センサ。
- 前記ダイヤフラム板が水晶またはシリコン材料からなり、前記基台がガラス材料からなることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011107055A (ja) * | 2009-11-20 | 2011-06-02 | Seiko Epson Corp | 圧力センサー、温度補償型圧力センサー |
JP2014032137A (ja) * | 2012-08-06 | 2014-02-20 | Seiko Epson Corp | 振動片、電子デバイスおよび電子機器 |
WO2020228738A1 (zh) * | 2019-05-13 | 2020-11-19 | 西人马联合测控(泉州)科技有限公司 | 压敏元件、压敏元件的制备方法和压力传感器 |
CN112461438A (zh) * | 2020-12-11 | 2021-03-09 | 中国科学院空天信息创新研究院 | 高灵敏度谐振式差压传感器及其制备方法 |
-
2005
- 2005-12-26 JP JP2005372740A patent/JP2007171123A/ja active Pending
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