JP2013104754A - 物理量検出器および物理量検出器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の圧力センサー1(物理量検出器)は、受圧により変位する変位部31を含むダイアフラム3と、ダイアフラム3の外周部32を保持する周状のリング部21が設けられている保持部材2と、を備え、リング部21は、リング部21に沿って保持部材2に周状の凹部を設けることにより変位部31の変位方向に突出した凸条24を含み、凸条24にダイアフラム3の外周部32が溶接により接合されている。また、ダイアフラム3の外周部32は、変位部31の変位方向に突出した凸部をなす。
【選択図】図6
Description
例えば、特許文献1に記載の圧力センサーにおいて、ダイアフラムは、中央領域と周縁領域との間に可撓性の可撓領域が設けられており、中央領域(変位部)が圧力に応じて厚さ方向に変位する。また、圧電振動子は、1対の基部と、この1対の基部間に設けられた振動部とを有する。そして、1対の基部は、ダイアフラムが撓む方向に並んで配置されるとともに、一方の基部がダイアフラムの中央領域に接続され、他方の基部がダイアフラムの外周領域に柱状の支持部材を介して接続されている。
また、特許文献1に記載の圧力センサーにおいて、ダイアフラムは、その外周部がリング状のリング部に保持されている。
しかし、特許文献1に記載の圧力センサーでは、この溶接に要する時間が長くなってしまい、その結果、溶接後のダイアフラムに残留応力が生じ、圧力センサーの検出精度が低下するという問題があった。
[適用例1]
本発明の物理量検出器は、受圧により変位する変位部を含むダイアフラムと、
前記ダイアフラムの外周部を保持する周状の固定部が設けられている保持部材と、
を備え、
前記固定部は、
前記固定部に沿って前記保持部材に周状の凹部を設けることにより前記変位部の変位方向に突出した第1の凸部を含み、
前記第1の凸部に前記ダイアフラムの外周部が溶接により接合されていることを特徴とする。
このように構成された物理量検出器によれば、比較的少ない熱量で固定部とダイアフラムとを溶接により接合することができる。
そのため、ダイアフラムに生じる残留応力を低減することができる。その結果、物理量検出器の検出精度を優れたものとすることができる。
本発明の物理量検出器では、前記ダイアフラムの前記外周部は、前記変位部の変位方向に突出した第2の凸部を含むことが好ましい。
これにより、ダイアフラムの剛性を高め、ダイアフラムの不本意な変形を抑えるとともに、ダイアフラムの保持部材との接合部(溶接しろ)の面積を大きくすることができる。
本発明の物理量検出器では、前記第1の凸部と前記第2の凸部が溶接により接合されていることを特徴とすることが好ましい。
これにより、保持部材の固定部とダイアフラムの外周部との溶接を容易に行うことができる。
本発明の物理量検出器では、前記第1の凸部の先端面と前記第2の凸部の先端面とは、互いに同一面上に配置されていることが好ましい。
これにより、より確実に、比較的少ない熱量で固定部とダイアフラムとを溶接により接合することができる。
本発明の物理量検出器では、1対の基部と、前記1対の基部間に設けられ、振動が励振される振動部とを有し、前記振動部の共振周波数が前記変位部の変位に応じて変化する感圧素子をさらに備えることが好ましい。
これにより、高精度に圧力を検出することができる。
本発明の物理量検出器では、前記保持部材に固定された支持体を備え、
前記1対の基部のうちの一方の基部が前記変位部に固定され、他方の基部が前記支持体に固定されていることが好ましい。
これにより、より高精度に圧力を検出することができる。
本発明の物理量検出器の製造方法は、受圧により変位する変位部を含むダイアフラムと、前記ダイアフラムの外周部を保持する周状の固定部が設けられている保持部材とを備える圧力センサーの製造方法であって、
前記ダイアフラムの外周部と前記固定部とを接合する工程を有し、
前記固定部は、前記固定部に沿って前記保持部材に周状の凹部を設けることにより前記変位部の変位方向に突出した第1の凸部を含み、
前記工程では、前記第1の凸部に前記ダイアフラムの外周部を溶接により接合することを特徴とする。
このような物理量検出器の製造方法によれば、比較的少ない熱量で固定部とダイアフラムとを溶接により接合することができる。
そのため、ダイアフラムに生じる残留応力を低減することができる。その結果、物理量検出器の検出精度を優れたものとすることができる。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)の全体構成を示す図、図2は、図1に示す圧力センサーに備えられた感圧ユニットの斜視図、図3は、図2に示す感圧ユニットの側面図である。
なお、図1〜3では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸を図示している。また、以下の説明では、説明の便宜上、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」と言う。また、図1〜3中の上側(+Z側)を「上」、下側(−Z側)を「下」とも言う。
最初に、図1に基づいて、圧力センサー1を構成する各部の構成を簡単に説明する。
ハウジング11は、有底筒状をなしている。
このハウジング11の構成材料としては、特に限定されず、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミックス材料等が挙げられる。
このようなハウジング11内には、感圧ユニット12および回路ユニット13が配置されている。
保持部材2およびダイアフラム3は、ハウジング11の一端開口を封止している。
また、固定部材4、圧電振動子5および支持体6は、ハウジング11の内側に配置されている。そして、圧電振動子5は、固定部材4を介してダイアフラム3に接続されるとともに、支持体6を介して保持部材2に接続されている。
この感圧ユニット12は、ダイアフラム3が受けた圧力に応じて圧電振動子5の共振周波数が変化する。なお、感圧ユニット12の構成については、後に詳述する。
また、感圧ユニット12の圧電振動子5には、図示しない配線を介して回路ユニット13が電気的に接続されている。
このような回路ユニット13には、ケーブル15を介して、ハウジング11の外部に設置された機器(図示せず)に電気的に接続されている。これにより、かかる機器にて圧力センサー1の検出結果を取得することができる。
このような圧力センサー1では、ハウジング11の内部空間が例えば減圧状態または不活性封入状態で封止されている。
感圧ユニット12は、前述したように、保持部材2と、ダイアフラム3と、固定部材4と、圧電振動子5と、支持体6とを備える。
以下、感圧ユニット12を構成する各部を順次詳細に説明する。
(保持部材)
保持部材2は、ダイアフラム3を保持するものである。
この保持部材2は、ダイアフラム3の外周部を保持するリング状(周状)のリング部(固定部)21と、ダイアフラム3の一方の面側(図2にて上側)にてリング部21から内側に突出する突出部22とを有する。
また、リング部21の内周部には、その全周にわたって下方に突出する凸条24(第1の凸部)が形成されている。この凸条24は、リング部21に沿って保持部材2に周状の凹部を設けることにより後述するダイアフラム3の変位部31の変位方向(Z軸方向)に突出している。
また、凸条24の幅(肉厚)は、ダイアフラム3の外周縁部(溶接部)の厚さに応じて決定されるものであり、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上2mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上1mm以下であるのがより好ましい。これに対し、かかる幅が薄すぎると、保持部材2とダイアフラム3との接合部の機械的強度が低下する場合がある。一方、かかる幅が厚すぎると、保持部材2とダイアフラム3との溶接による熱量が大きくなり、溶接後のダイアフラム3に生じる残留応力が大きくなる傾向を示す。
この突出部22は、後述する支持体6の柱部材61、62が固定される。これにより、圧力センサー1の検出精度を優れたものとすることができる。
さらに、保持部材2が突出部22を有することにより、保持部材2の剛性を高めることができる。そのため、保持部材2の変形によるダイアフラム3および支持体6の不本意な変形を防止することもできる。
また、突出部22は、後述する支持体6の柱部材61、62を接合するための面(接合面)221、222を有する。この面221、222は、それぞれ、XZ平面に平行となるように形成されている。
また、保持部材2の構成材料としては、後述するダイアフラム3の構成材料と同一または近似した熱膨張係数を有する材料を用いるのが好ましい。これにより、ダイアフラムの熱歪みを防止または抑制することができる。また、後述する支持体6の梁部材63の構成材料を保持部材2またはダイアフラム3の構成材料と同一または近似した材料とすることにより、圧電振動子5の熱歪みを低減することができる。
なお、保持部材2は、本実施形態ではハウジング11と別体で構成されているが、ハウジング11と一体形成されていてもよい。すなわち、リング部21および突出部22がハウジング11の一部であってもよい。
ダイアフラム3は、外部からの圧力(受圧)により変位する変位部31と、変位部31の外周に設けられた外周部32とを有する。
変位部31は、その中央部がZ軸方向(変位部31の厚さ方向)に変位し得るように、外周部が撓み変形可能に構成されている。
また、変位部31は、前述した保持部材2の突出部22に対してZ軸方向に離間している。これにより、変位部31のZ軸方向での変位が許容される。
外周部32は、変位部31の外周部から下側(+Z軸方向)に突出している。すなわち、外周部32は、薄肉の円筒状(第2の凸部)をなしている。このような外周部32を設けることにより、ダイアフラム3の剛性を高め、ダイアフラム3の不本意な変形を抑えるとともに、ダイアフラム3の保持部材2との接合部(溶接しろ)の面積を大きくすることができる。
特に、外周部32は、薄肉(幅狭)に形成されている。これにより、比較的少ない熱量で外周部32と保持部材2とを溶接により接合することができる。
また、外周部32の幅(肉厚)は、特に限定されないが、ダイアフラム3の製造が容易であるという観点から、変位部31の厚さと等しいのが好ましく、具体的には、例えば、0.1mm以上2mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上1mm以下であるのがより好ましい。これに対し、かかる幅が薄すぎると、保持部材2とダイアフラム3との接合部の接合強度やダイアフラム3の機械的強度が低下する場合がある。一方、かかる幅が厚すぎると、保持部材2とダイアフラム3との溶接による熱量が大きくなり、溶接後のダイアフラム3に生じる残留応力が大きくなる傾向を示す。
固定部材4は、前述したダイアフラム3の上面の中央部に接合(固着)されている。また、固定部材4は、前述した保持部材2の開口部23内に挿通されている。
固定部材4には、後述する圧電振動子5の基部51が接合されている。
この固定部材4は、後述する圧電振動子5の基部51をダイアフラム3に対して固定するための面(接合面)41を有する。この面41は、XZ平面に平行となるように形成されている。
より具体的に説明すると、Z軸方向における圧電振動子5の下端の位置と柱部材61、62の下端の位置とを揃えることができる。そのため、Z軸方向における圧電振動子5の長さと柱部材61、62の長さを等しくするとともに、Z軸方向における圧電振動子5の上端の位置と柱部材61、62の上端の位置とを揃えることができる。
その結果、圧電振動子5の圧電体および柱部材61、62を互いに同じ材料(同じ線膨張係数の材料)で構成することにより、Z軸方向における圧電振動子5および柱部材61、62の熱膨張量または熱収縮量を等しくすることができる。
このような固定部材4の構成材料としては、特に限定されないが、ダイアフラム3と固定部材4との熱膨張係数差を小さくするという観点から、ダイアフラム3の構成材料と同じ材料を用いるのが好ましい。
圧電振動子5(感圧素子)は、前述した固定部材4の面41に接合されている。すなわち、圧電振動子5が固定部材4を介してダイアフラム3の中央部(変位部31)に接続されている。これにより、圧電振動子5は、ダイアフラム3の撓み変形によりZ軸方向の圧縮応力または引っ張り応力を受ける。
基部(第1の基部)51は、前述した固定部材4の面41に接合(固定)されている。これにより、基部51は、ダイアフラム3の変位部31に固定されている。
一方、基部(第2の基部)52は、後述する支持体6の梁部材63に接合(固定)されている。これにより、基部52は、後述する支持体6に固定されている。
振動部53は、長尺状をなし、Z軸方向に沿って延在している。
なお、図示の例では、振動部53が1本の振動ビームで構成されている場合を示しているが、振動部53は、2本の振動ビームで構成されていてもよい。すなわち、圧電振動子5として、いわゆる双音叉型の振動子を用いることができる。また、振動部53は、3本以上の振動ビームで構成されていてもよい。
このような圧電振動子5は、振動部53の固有の共振周波数で振動する。
支持体6は、前述した保持部材2の突出部22の面221、222に固定されている。また、支持体6には、前述した圧電振動子5の基部52が固定されている。これにより、圧電振動子5の基部52が支持体6を介して保持部材2に接続されている。
このように支持体6が保持部材2に固定されていることにより、仮に支持体6をダイアフラム3に固定した場合に比し、支持体6の不本意な変形または変位を防止または抑制することができる。その結果、より高精度に圧力を検出することができる。
また、支持体6の保持部材2とは反対側の端部(具体的には、後述する梁部材63)の小型化を図ることができることから、支持体6の加速度による変形も防止または抑制することができる。
柱部材61は、保持部材2の面221に接合され、柱部材62は、保持部材2の面222に接合されている。
そして、柱部材61、62は、それぞれ、変位部31が変位する方向からみたとき、変位部31の内側に位置する。これにより、変位部31の面積を大きく確保するとともに、支持体6と圧電振動子5との間の空間を抑えることができる。
このような柱部材61、62は、互いに平行となるように設けられている。また、柱部材61、62は、X軸方向に互いに離間して設けられている。
また、柱部材61、62は、それぞれ、板状をなし、その板面がXZ平面に平行となるように設けられている。
また、柱部材61、62は、Z軸方向での長さが前述した圧電振動子5と等しくなるように形成されている。
このような観点から、具体的には、柱部材61、62の構成材料としては、圧電振動子5に用いる圧電体材料と同じ圧電体材料を用いるのが好ましい。
なお、柱部材61、62のZ軸方向での長さが圧電振動子5のZ軸方向での長さと異なっていてもよい。この場合、柱部材61、62のZ軸方向での熱膨張量が圧電振動子5のZ軸方向での熱膨張量と等しくなるように、柱部材61、62の構成材料を選定すればよい。
この梁部材63は、X軸方向に延在している。そして、梁部材63は、その長手方向(X軸方向)での一端部(図3にて左側)が柱部材61の上端部に接合され、他端部(図3にて右側)が柱部材62の上端部に接合されている。
また、梁部材63は、板状をなし、その板面がXZ平面に平行となるように設けられている。
この梁部材63は、前述した柱部材61、62と異なる材料で構成することにより、柱部材61、62および梁部材63をそれぞれ所望の熱膨張係数の材料で構成することができる。
このような観点から、具体的には、梁部材63の構成材料としては、保持部材2またはダイアフラム3の構成材料と同じ材料を用いるのが好ましい。
このように圧電振動子5がZ軸方向での圧縮応力または引張応力を受けることにより、圧電振動子5の共振周波数が変化する。
そして、回路ユニット13は、圧電振動子5の共振周波数に基づいて、ダイアフラム3が受けた圧力を検出する。
特に、支持体6が保持部材2のリング部21よりも内側に設けられた突出部22に固定されているので、支持体6と圧電振動子5との間の空間を小さくすることができる。その結果、支持体6の剛性を高めることができ、支持体6の不本意な変形または変位を効果的に防止または抑制することができる。
さらに、保持部材2が突出部22を有することにより、保持部材2の剛性を高めることができる。そのため、保持部材2の変形によるダイアフラム3および支持体6の不本意な変形を防止することもできる。
これらのようなことから、圧力センサー1は、優れた検知精度を発揮することができる。
次に、前述した圧力センサー1の感圧ユニット12の製造方法について説明する。
図4は、図2に示す感圧ユニットの製造方法(圧力センサーの製造方法)におけるダイアフラムの設置工程を説明するための図、図5は、図2に示す感圧ユニットの製造方法(圧力センサーの製造方法)における圧電振動子および柱部材の設置工程を説明するための図である。
感圧ユニット12の製造方法は、[A]保持部材2にダイアフラム3を接合する工程と、[B]ダイアフラム3に固定部材4を接合する工程と、[C]固定部材4に圧電振動子5を接合するとともに、保持部材2に柱部材61、62を接合する工程とを有する。
[A]
まず、図4(a)に示すように、保持部材2を用意する。
そして、図4(b)に示すように、保持部材2にダイアフラム3を溶接により接合する。
このとき、治具100を用いて、ダイアフラム3の外周部32の端面(下端面)と、保持部材2の凸条24の先端面とが同一面(同一XY平面)上となるように、ダイアフラム3を保持する。
基台101は、例えばSUSのような磁性体材料で構成されている。そして、基台101上に保持部材2が載置される。このとき、基台101は、凸条24とは反対側(図4(b)にて下側)から、保持部材2に当接するとともに、保持部材2の開口部23を介してダイアフラム3に当接する。これにより、ダイアフラム3が保持部材2の突出部22側(図4(b)にて下側)へ移動するのを規制することができる。
このような基台101および押え部材102によりダイアフラム3が挟持されることにより、ダイアフラム3の外周部32の端面と、保持部材2の凸条24の先端面とが同一面上となるように保持される。
このとき、凸条24が薄肉に形成されているので、比較的少ない熱量でダイアフラム3と保持部材2とを溶接することができる。そのため、ダイアフラム3の溶接時の熱による変形や残留応力の発生を防止または抑制することができる。その結果、圧力センサー1の検出感度や検出精度を優れたものとすることができる。
このような溶接の終了後、治具100を取り外し、図4(c)に示すように、保持部材2とダイアフラム3とが接合された接合体を得る。
次に、図5(a)に示すように、ダイアフラム3に固定部材4を接合する。
この接合方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤による接着、レーザー溶接、アーク溶接などの溶接、ろう付け等を用いることができるが、接着剤による接着、特に、接着剤として低融点ガラスを用いた接着を用いるのが好ましい。低融点ガラスは、粘弾性が低い。そのため、ダイアフラム3に生じる圧力ヒステリシスを抑制または防止することができる。また、低融点ガラスが比較的低温で硬化可能であるため、保持部材2およびダイアフラム3等に余計な応力が生じるのを防止または抑制することができる。
次に、図5(b)に示すように、固定部材4に圧電振動子5を接合するとともに、保持部材2に柱部材61、62を接合する。
これらの接合方法としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、接着剤による接着、レーザー溶接、アーク溶接などの溶接、ろう付け等を用いることができるが、ダイアフラム3と固定部材4との接合(接着)に悪影響を与えない接合方法を用いるのが好ましく、接着剤による接着、特に、樹脂系接着剤による接着を用いるのが好ましい。樹脂系接着剤は、ヒビや破断等の破壊現象が生じ難い。そのため、圧力センサー1の耐久性を高めることができる。また、樹脂系接着剤は比較的低温で硬化可能であるため、圧電振動子5、保持部材2およびダイアフラム3等に余計な応力が生じるのを防止または抑制することができる。
この接合方法としては、前述した固定部材4と圧電振動子5との接合および保持部材2と柱部材61、62とのを接合と同様の方法を用いることができる。
なお、前述した固定部材4と圧電振動子5との接合および保持部材2と柱部材61、62とのを接合の前に、梁部材63を圧電振動子5および柱部材61、61に接合してもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)における感圧ユニットの側面図、図7(a)は、図6に示す感圧ユニットの柱部材の横断面図(図6中のA−A線断面図)、図7(b)は、図6に示す感圧ユニットの柱部材の第1変形例の横断面図、図7(c)は、図6に示す感圧ユニットの柱部材の第2変形例の横断面図である。
本発明の第2実施形態にかかる物理量検出器(圧力センサー)は、感圧ユニットの支持体の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、図6および図7では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号が付されている。
この支持体6Aは、保持部材2の面221に接合された柱部材61Aと、保持部材2の面222に接合された柱部材62Aと、柱部材61A、62Aと圧電振動子5の基部52とを連結する梁部材63とを有する。
同様に、柱部材62Aは、長尺状の本体部621と、この本体部621の外周面に接合された緩衝部622とを有する。
ここで、緩衝部612、622は、圧電振動子5のQ値よりも低いQ値を有する。そのため、圧電振動子5の振動と支持体6Aの振動との共振を抑制することができる。
図7(a)に示すように、柱部材61Aの横断面において、本体部611の外周面の全周にわたって緩衝部612が接合されている。
また、かかる横断面において、本体部611は、両板面に凹部が形成されている。これにより、本体部611と緩衝部612との接触面積を大きくすることができる。その結果、本体部611と緩衝部612との接合強度を高めることができる。また、かかる凹部内に入り込むようにして緩衝部612を形成することができる、そのため、緩衝部612の体積を大きくして、緩衝部612を設けることによる効果を大きくすることができる。
このような緩衝部612を設けることにより、圧電振動子5の振動に伴う柱部材61Aの振動を抑えることができる。そのため、支持体6Aの振動を抑制し、支持体6Aの振動が圧電振動子5の振動へ悪影響を与えるのを防止することができる。その結果、物理量検出器(圧力センサー)の検出精度の低下を防止することができる。
このような緩衝部612の構成材料としては、緩衝部612のQ値が圧電振動子5のQ値よりも低くなるものであれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂のようなポッティングゲルを用いることができる。
(変形例1)
図7(b)に示す変形例1に係る柱部材61A1は、長尺状の本体部613と、この本体部613の外周面に接合された緩衝部614とを有する。
この柱部材61A1では、横断面において、本体部613は、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されている。言い換えると、本体部613は、長手方向での途中が分岐した2本の棒状部材で構成されている。
これにより、かかる貫通孔内に入り込むようにして緩衝部614を形成することができる。そのため、緩衝部614の体積を大きくして、緩衝部614を設けることによる効果を大きくすることができる。
図7(c)に示す変形例2に係る柱部材61A2は、長尺状の本体部615と、この本体部615の外周面に接合された緩衝部616とを有する。
この柱部材61A2は、横断面において、本体部615は、平板状をなしている。そして、緩衝部616は、本体部615の一方の面上に積層されている。このような積層構造を有する柱部材61A2は、本体部615の一方の面上に各種成膜を用いて緩衝部616を簡単かつ高精度に形成することができる。
以上説明したような第2実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)によっても、検出精度を優れたものとすることができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図8は、本発明の第3実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)における感圧ユニットの側面図、図9(a)は、図8に示す感圧ユニットの柱部材の横断面図(図8中のB−B線断面図)、図9(b)は、図8に示す感圧ユニットの柱部材の変形例の横断面図である。
本発明の第3実施形態にかかる物理量検出器(圧力センサー)は、感圧ユニットの支持体の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、図8および図9では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号が付されている。
この支持体6Bは、保持部材2の面222に接合された柱部材62Bと、柱部材62Bと圧電振動子5の基部52とを連結する梁部材63Bとを有する。
柱部材62Bは、第1の部分623と、この第1の部分623に接合された第2の部分624とを有する。
また、本実施形態では、第1の部分623は、梁部材63Bと一体形成されている。
そして、第2の部分624は、この第1の部分623の貫通孔内に嵌合または充填されて形成されている。
そして、第2の部分624の構成材料としては、第1の部分623の熱膨張係数が圧電振動子5の熱膨張係数よりも大きい場合には、圧電振動子5よりも小さい熱膨張係数の材料を用いるのが好ましく、一方、第1の部分623の熱膨張係数が圧電振動子5の熱膨張係数よりも小さい場合には、圧電振動子5よりも大きい熱膨張係数の材料を用いるのが好ましい。これにより、柱部材62Bおよび圧電振動子5のZ軸方向での熱膨張係数差を低減することができる。
(変形例)
図9(b)に示す変形例に係る柱部材62B1は、第1の部分625と、この第1の部分625に接合された第2の部分626とを有する。
この柱部材62B1では、横断面において、第1の部分625は、両板面に凹部が形成されている。
そして、かかる貫通孔内に第2の部分626が嵌合または充填されて形成されている。
以上説明したような第3実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)によっても、検出精度を優れたものとすることができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図10は、本発明の第4実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)における感圧ユニットの側面図である。
以下、第4実施形態の物理量検出器(圧力センサー)について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第4実施形態にかかる物理量検出器(圧力センサー)は、感圧ユニットの支持体の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、図10では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号が付されている。
この支持体6Cは、保持部材2の面222に接合された柱部材62Cと、柱部材62Cと圧電振動子5の基部52とを連結する梁部材63Cとを有する。
ここで、第1の部分627は、柱部材62Cの上側の部分であり、第2の部分628は、柱部材62Cの下側の部分である。そして、第1の部分627および第2の部分628は、互いに異なる材料、特に互いに熱膨張係数の異なる材料で構成されている。これにより、第1の部分627および第2の部分628の構成材料の組み合わせを適宜選定することにより、柱部材62C全体のZ軸方向での熱膨張係数を調整することができる。そのため、柱部材62Cの形状および大きさによらず、比較的簡単に、柱部材62Cおよび圧電振動子5のZ軸方向での熱膨張係数を互いに等しくすることができる。
このような柱部材62Cでは、第1の部分627の構成材料としては、ダイアフラム3または保持部材2の構成材料と同じまたは近似した材料を用いるのが好ましい。これにより、梁部材63Cの構成材料をダイアフラム3または保持部材2の構成材料と同じ材料とすることができる。
以上説明したような第4実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)によっても、検出精度を優れたものとすることができる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図11は、本発明の第5実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)における感圧ユニットの側面図である。
以下、第5実施形態の物理量検出器(圧力センサー)について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第5実施形態にかかる物理量検出器(圧力センサー)は、感圧ユニットの支持体の構成および数並びに圧電振動子の数および配置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、図11では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号が付されている。
また、感圧ユニット12Dは、圧電振動子5および支持体6Dの他に、圧電振動子7および支持体8を備える。
なお、図11において、圧電振動子5、7は、それぞれ、主面がX軸方向に直交するように設けられている。
本実施形態では、柱部材62Dおよび梁部材63Dは、一体形成されている。
圧電振動子7は、圧電振動子5と同様に構成されている。具体的には、圧電振動子7は、互いに離間して設けられた1対の基部71、72と、この1対の基部71、72間に設けられ、振動が励振される振動部73(振動ビーム)とを有する。
基部71は、保持部材2の突出部22に接合(固定)されている。一方、基部72は、後述する支持体8の梁部材83に接合(固定)されている。
このような基部71と基部72は、振動部73を介して連結されている。
振動部73は、長尺状をなし、Z軸方向に沿って延在している。
支持体8は、固定部材4の面41に接合(固定)された柱部材82と、柱部材82と圧電振動子7の基部72とを連結する梁部材83とを有する。
本実施形態では、柱部材62Dおよび梁部材63Dは、前述した柱部材62Dおよび梁部材63Dと同様、一体形成されている。
以上説明したような第5実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)によっても、検出精度を優れたものとすることができる。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図12は、本発明の第6実施形態に係る物理量検出器(流速センサー)を示す図である。
以下、第6実施形態の物理量検出器(圧力センサー)について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第6実施形態にかかる物理量検出器(圧力センサー)は、前述した第1実施形態の物理量検出器(圧力センサー)の感圧ユニットを用いて構成した流速センサーである。なお、図12では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号が付されている。
このハウジング18内には、2つの感圧ユニット12が配置されている。
そして、一方(図12にて左側)の感圧ユニット12の保持部材2およびダイアフラム3は、ハウジング18の一端(図12にて左側の端)の開口を封止している。一方、他方(図12にて右側)の感圧ユニット12の保持部材2およびダイアフラム3は、ハウジング18の他端(図12にて右側の端)の開口を封止している。
キャップ19には、ハウジング18の軸線(中心軸)に平行な方向に流体が流通可能な流通口191が形成されている。これにより、流通口191を介してキャップ19内へ流入する流体の圧力が一方(図12にて左側)の感圧ユニット12のダイアフラム3に印加される。
キャップ20には、ハウジング18の軸線(中心軸)に垂直な方向に流体が流通可能な流通口201が形成されている。これにより、流通口201を介してキャップ20内へ流入する流体の圧力が他方(図12にて右側)の感圧ユニット12のダイアフラム3に印加される。
このように設置された流速センサー10では、一方(図12にて左側)の感圧ユニット12のダイアフラム3には大気圧、動圧および静圧が作用する。一方、他方(図12にて右側)の感圧ユニット12のダイアフラム3には、大気圧および静圧が作用する。
以上説明したような第6実施形態に係る流速センサー10によっても、検出精度を優れたものとすることができる。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
図13は、本発明の第7実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)を示す断面図、図14は、図13に示す圧力センサーの分解斜視図である。
以下、第7実施形態の物理量検出器(圧力センサー)について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
このハウジング11Eの一端には、第1の端板を構成する保持部材2E1が接合されている。また、ハウジング11Eの他端には、第2の端板を構成する保持部材2E2が接合されている。
そして、保持部材2E1の開口部は、受圧用の第1のダイアフラムであるダイアフラム3E1により封止されている。また、保持部材2E2の開口部は、大気圧設定用の第2のダイアフラムであるダイアフラム3E2により封止されている。
同様に、保持部材2E2は、ダイアフラム3E2の外周部32E2が溶接により接合された凸条24E2(薄肉部(第1の凸部))を有する。これにより、比較的少ない熱量で保持部材2E2とダイアフラム3E2とを溶接により接合することができる。
また、ハウジング11Eの内部には、ダイアフラム3E1、3E2の内側面の中央領域同士を互いに連結するセンターシャフト(力伝達手段)61Eがハウジング11Eの中心軸に沿って配置されている。
センターシャフト61Eの途中には、受け台62Eが一体的に設けられている。この受け台62Eには、圧電振動子5Eが取り付けられている。
そして、圧電振動子5Eの振動部53Eの共振周波数に基づいて、圧力を検出する。
以上説明したような第7実施形態に係る圧力センサー1Eによっても、検出精度を優れたものとすることができる。
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
図15は、本発明の第8実施形態に係る物理量検出器(圧力センサー)を示す断面図、図16は、図15に示す圧力センサーの保持部材およびダイアフラムを説明するための図、図17は、図16に示す保持部材およびダイアフラムの接合部を説明するための拡大図である。
以下、第8実施形態の物理量検出器(圧力センサー)について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
また、この圧力センサー1Fは、コネクタハウジング30Fとダイアフラム50Fとの間に形成され、密閉された圧力室52Fを有する。この圧力室52F内には、感圧素子20Fが配置されるとともに、圧力伝達媒体が充填されている。これにより、ダイアフラム50Fから圧力伝達媒体を介して感圧素子20Fに外部圧力が伝達される。そのため、感圧素子20Fを用いて外部圧力を測定することができる。
また、ダイアフラム50Fは、薄肉の外周部51Fを有する(図17参照)。この外周部51Fは、一方向に突出している。
また、センサーハウジング40Fは、ダイアフラム50Fの外周部51Fが溶接により接合された凸条42F(薄肉部(第1の凸部))を有する(図17参照)。これにより、比較的少ない熱量でセンサーハウジング40Fとダイアフラム50Fとを溶接により接合することができる。
このようなセンサーハウジング40Fに挿入されるコネクタハウジング30Fは、図15に示すように、センサーハウジング40Fに挿入される挿入部35Fと、図示しない外部機器のコネクタと電気的に接続するためのソケット部300Fとを有し、例えば、樹脂材料で構成され、インサート成形により形成される。
また、ソケット部300Fは、コネクタ(図示せず)が挿入される凹部が形成され、その凹部内には、各ターミナルピン10Fの一方の端部が突出している。
そして、各ターミナルピン10Fの他方の端部には、感圧素子20Fに電気的に接続されている。
このようにして組み立てられた圧力センサー1Fでは、コネクタハウジング30Fと、ダイアフラム50Fとの間に圧力室52Fが形成されている。この圧力室52Fには、シリコーンオイル、フッ素オイル等の圧力伝達媒体が充填されている。
以上説明したような第8実施形態に係る圧力センサー1Fによっても、検出精度を優れたものとすることができる。
Claims (7)
- 受圧により変位する変位部を含むダイアフラムと、
前記ダイアフラムの外周部を保持する周状の固定部が設けられている保持部材と、
を備え、
前記固定部は、
前記固定部に沿って前記保持部材に周状の凹部を設けることにより前記変位部の変位方向に突出した第1の凸部を含み、
前記第1の凸部に前記ダイアフラムの外周部が溶接により接合されていることを特徴とする物理量検出器。 - 前記ダイアフラムの前記外周部は、前記変位部の変位方向に突出した第2の凸部を含む請求項1に記載の物理量検出器。
- 前記第1の凸部と前記第2の凸部が溶接により接合されていることを特徴とする請求項2に記載の物理量検出器。
- 前記第1の凸部の先端面と前記第2の凸部の先端面とは、互いに同一面上に配置されている請求項3に記載の物理量検出器。
- 1対の基部と、前記1対の基部間に設けられ、振動が励振される振動部とを有し、前記振動部の共振周波数が前記変位部の変位に応じて変化する感圧素子をさらに備える請求項1ないし4のいずれかに記載の物理量検出器。
- 前記保持部材に固定された支持体を備え、
前記1対の基部のうちの一方の基部が前記変位部に固定され、他方の基部が前記支持体に固定されている請求項5に記載の物理量検出器。 - 受圧により変位する変位部を含むダイアフラムと、前記ダイアフラムの外周部を保持する周状の固定部が設けられている保持部材とを備える圧力センサーの製造方法であって、
前記ダイアフラムの外周部と前記固定部とを接合する工程を有し、
前記固定部は、前記固定部に沿って前記保持部材に周状の凹部を設けることにより前記変位部の変位方向に突出した第1の凸部を含み、
前記工程では、前記第1の凸部に前記ダイアフラムの外周部を溶接により接合することを特徴とする物理量検出器の製造方法。
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