JP5187213B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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そして、トラクション面に潤滑油を供給する構造としては、例えば、図8に示すように、上側のヨーク23Aを支持する球面ポスト64に、前記入力側ディスク2の内側面2aおよび出力側ディスク3の内側面3aそれぞれに向けて潤滑油を噴出する入力側給油ノズル(ノズル孔)64a,出力側給油ノズル(ノズル孔)64bを有する潤滑ポスト64cを設けたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
また、球面ポスト64および潤滑ポスト64cは、固定部材52を介してケーシング50の内面に固定される。また、固定部材52に対して球面ポスト64と、当該球面ポスト64の先端側(下端側)に配置された潤滑ポスト64cとは、これらを貫通して固定部材52のネジ孔に螺合するボルト64eにより固定部材52に締結されている。なお、ボルト64eには、ケーシング50に設けられた油路64dから入力側給油ノズル64a、出力側給油ノズル64b等の給油ノズルに至る油路が形成され、これら給油ノズル64a,64bにケーシング50側から潤滑油が供給される。
また、入力側ディスク2の矢印αおよび出力側ディスク3の矢印βは、揺動するパワーローラ11とこれら入出力側ディスク2,3とが油膜を介して接触する範囲を示している。
前記パワーローラは、前記入力側ディスクおよび出力側ディスクの周方向に沿って互いに間隔をあけて複数並んで配置され、
前記周方向に沿って並んだ前記パワーローラ同士の間となる箇所で、かつ、当該パワーローラの数と同数となる全ての箇所に、それぞれ前記入力側ディスクの内側面に油を供給する入力側給油ノズルおよび出力側ディスクの内側面に油を供給する出力側給油ノズルが設けられ、
前記入力側供給ノズルおよび前記出力側供給ノズルが、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの口元を冷却するものであることを特徴とする。
すなわち、入出力側ディスクの複数のパワーローラと接触して高温となった複数の部分をそれぞれ直ぐに潤滑油で冷却することが可能となることにより、潤滑油による入出力側ディスクの冷却を効率的に行うことができる。
例えば、運転条件として増速時(変速比が小さい状態、パワーローラが入力側ディスクの内周側と、出力側ディスクの外周側に接した状態)には、出力側ディスクに供給される油量を入力側ディスクに供給される油量より多くし、減速時(変速比が大きい状態、パワーローラが入力側ディスクの外周側と、出力側ディスクの内周側に接した状態)には、入力側ディスクに供給される油量を出力側ディスクに供給される油量より多くすることが好ましく、これにより効率的に入出力側ディスクを冷却することができる。
また、入力側ディスクおよび出力側ディスクのうちのトラクション部から次のトラクション部に到達するまでに要する時間が短い方のディスクの口元(内周側の端部)の流量を多くすることが好ましい。これにより、熱容量の少ない口元を冷却することで、高い運転トラクション係数を用いることが可能となる。
なお、油量制御手段は、例えば、入力側油路と出力側油路とのそれぞれに油量を調整する弁を設け、当該弁を制御することで、入力側油路と出力側油路との油の流量をそれぞれ変更するものとしてもよいし、油を入力側油路と出力側油路とに振り分け可能な弁を設け、出力側油路より入力側油路に多くの油量を振り分けたり、入力側油路より出力側油路に多くの油量を振り分けたりするようにしてもよい。また、それぞれ入力側油路と出力側油路とで別々のポンプにより油を供給可能とすることでそれぞれの油量を別々に制御可能としてもよい。
そして、入出力側ディスクを確実に冷却することで、トラクション面およびトラクションオイルとしての潤滑油の温度を低く保つことにより、限界トラクション係数の悪化を防止して、当該限界トラクション係数の向上を図ることができる。
図1に示すように、この例のトロイダル型無段変速機においては、上側のヨーク23Aを揺動自在に支持する上側の球面ポスト64の先端側(下側)および下側のヨーク23Bを揺動自在に支持する下側の球面ポスト68の先端側(上側)にそれぞれ潤滑ポスト64c、68cが形成されている。
また、下側の潤滑ポスト68cには、入力側ディスク2の内側面2aに向けて潤滑油を噴出する入力側給油ノズル68aと、出力側ディスク3の内側面3aに向けて潤滑油を噴出する出力側給油ノズル68bとが設けられている。
すなわち、上側の球面ポスト64および潤滑ポスト64cにおいては、一つの油路64hから入力側給油ノズル64aと出力側給油ノズル64bとの両方に潤滑油が供給されるようになっている。また、下側の球面ポスト68および潤滑ポスト68cにおいては、一つの油路68hから入力側給油ノズル68aと出力側給油ノズル68bとの両方に潤滑油が供給されるようになっている。
なお、球面ポスト64,68と潤滑ポスト64c,68cと別体として、従来と同様の油路を有するボルトにより締結する構造としてもよい。
なお、2つのパワーローラ11,11は、入力側ディスク2および出力側ディスク3の周方向に沿って互いに間隔をあけて並んで配置された状態となる。この場合に2つのパワーローラ11,11の周方向に沿った間は、上側と下側との2箇所となる。
また、入力側給油ノズル64a,68aと、出力側給油ノズル64b,68bとから噴出する潤滑油の入力側ディスク2および出力側ディスク3に当たる位置は、入力側ディスク2および出力側ディスク3のパワーローラ11,11が油膜を介して接触するトラクション部T(接触楕円)より内周側となる。なお、入力側ディスク2および出力側ディスク3とパワーローラ11,11との接触楕円の位置は、変速比によって変化するので、ここでは、前記接触楕円の位置が最も内周側となった際の、当該接触楕円の内周側に潤滑油が当たるように入力側給油ノズル64a,68aの位置および向きと、出力側給油ノズル64b,68bの位置および向きとが設定されている。
そして、入出力側ディスク2,3の回転により、これら入出力側ディスク2,3の内側面の内周側に付いた潤滑油は、遠心力により外周側に移動する。そこで、パワーローラ11との最も内周側の接触部分より内周側に潤滑油を噴出すると、パワーローラ11が入力側ディスク2もしくは出力側ディスク3の最も内周側に接触した状態でもパワーローラ11と入出力側ディスク2,3とのトラクション部Tに十分な潤滑油を供給することができる。
これにより、入出力側ディスク2,3とパワーローラ11,11とのトラクション部の温度を比較的低温に保持することが可能となり、トラクション面における限界トラクション係数の向上を図ることができる。
なお、第2の実施の形態のトロイダル型無段変速機は、第1の実施の形態に対して入力側給油ノズル64a,68aおよび出力側給油ノズル64b,68bに潤滑油を供給する油路の構造と、それに基づく油量の制御を変更したものであり、それ以外の部分については、第1の実施の形態と同様の構成を有するものである。
弁は、入力側油路64i,68iおよび出力側油路64j,68jに供給される潤滑油の流量を調整するものであり、入力側油路64i,68iに供給される潤滑油の流量より出力側油路64j,68jに供給される潤滑油の流量を多くしたり、逆に少なくしたりする制御を可能としている。
流量制御装置は、図示しないトロイダル型無段変速機の制御装置に接続されるか、当該制御装置の一部となっており、当該制御装置から運転条件に関する信号が入力されるようになっている。
また、例えば発進時や低速運転中等の減速時には、出力側給油ノズル64b,68bから出力側ディスク3に噴出される潤滑油の油量より、入力側給油ノズル64a,68aから入力側ディスク2に噴出される潤滑湯の油量の方が多くなる。
これにより入出力側ディスク2,3を運転条件に応じて効率的に冷却することが可能となる。
なお、第3の実施の形態のトロイダル型無段変速機は、第1の実施の形態に対して入力側給油ノズル(ノズル孔)64a,68aおよび出力側給油ノズル(ノズル孔)64b,68bの内径を異なる構造としたものであり、それ以外の部分については、第1の実施の形態と同様の構成を有するものである。
なお、第4の実施の形態のトロイダル型無段変速機は、第1の実施の形態に対して入力側給油ノズル(ノズル孔)64a,68aの内径と出力側給油ノズル(ノズル孔)64b,68bの内径とを異なる構造としたものであり、それ以外の部分については、第1の実施の形態と同様の構成を有するものである。
図5に示すように、第4の実施の形態においては、入力側給油ノズル64a,68aの内径より、出力側給油ノズル64b,68bの内径の方が大きくなっている。これにより、第4の実施の形態のトロイダル型無段変速機においては、常時、入力側給油ノズル64a,68aから入力側ディスク2に噴出される潤滑油の油量より、出力側給油ノズル64b,68bから出力側ディスク3に噴出される潤滑湯の油量の方が多くなる。
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
64a 入力側給油ノズル
64b 出力側給油ノズル
64i 入力側油路
64j 出力側油路
68a 入力側給油ノズル
68b 出力側給油ノズル
68i 入力側油路
68j 出力側油路
Claims (5)
- それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラとを備え、前記パワーローラと前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクとの間の界面であるトラクション面に形成される油膜を介したトラクション力により、前記入力側ディスクから前記パワーローラを介して出力側ディスクに動力が伝達されるトロイダル型無段変速機において、
前記パワーローラは、前記入力側ディスクおよび出力側ディスクの周方向に沿って互いに間隔をあけて複数並んで配置され、
前記周方向に沿って並んだ前記パワーローラ同士の間となる箇所で、かつ、当該パワーローラの数と同数となる全ての箇所に、それぞれ前記入力側ディスクの内側面に油を供給する入力側給油ノズルおよび出力側ディスクの内側面に油を供給する出力側給油ノズルが設けられ、
前記入力側供給ノズルおよび前記出力側供給ノズルが、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの口元を冷却するものであることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記入力側給油ノズルに油を送り出す入力側油路と、前記出力側給油ノズルに油を送り出す出力側油路とがそれぞれ独立して別に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記入力側油路から前記入力側給油ノズルに供給される油量と、前記出力側油路から前記出力側給油ノズルに供給される油量とを運転条件に応じて制御することで、運転条件に応じて一方の油量を他方の油量より多くしたり、少なくしたりする制御を行う油量制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記出力側給油ノズルの内径より前記入力側給油ノズルの内径が大きくなっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記入力側給油ノズルの内径より前記出力側給油ノズルの内径が大きくなっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のトロイダル型無段変速機。
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