JP2004232677A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの潤滑および冷却を、より単純な構成で効率的に行うことができるトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】動力源Eに連結された入力軸11と、入力軸11に同軸状かつ一体に設けられた入力ディスク52と、入力軸11に同軸状かつ回転自在に設けられた出力ディスク53と、入力ディスク52と出力ディスク53の間にそれぞれの接触点C1、C2を介して狭持され、動力を入力ディスク52から出力ディスク53に伝達するパワーローラ54と、パワーローラ54を回転自在に支持し、それとともに傾転することによって動力を無段階に変速するトラニオン20と、トラニオン20に設けられ、入・出力ディスク52、53と、パワーローラ20との接触点C1、C2の近傍に油を供給する油供給口48を有する油供給路39と、を備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】動力源Eに連結された入力軸11と、入力軸11に同軸状かつ一体に設けられた入力ディスク52と、入力軸11に同軸状かつ回転自在に設けられた出力ディスク53と、入力ディスク52と出力ディスク53の間にそれぞれの接触点C1、C2を介して狭持され、動力を入力ディスク52から出力ディスク53に伝達するパワーローラ54と、パワーローラ54を回転自在に支持し、それとともに傾転することによって動力を無段階に変速するトラニオン20と、トラニオン20に設けられ、入・出力ディスク52、53と、パワーローラ20との接触点C1、C2の近傍に油を供給する油供給口48を有する油供給路39と、を備えている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トロイダル型無段変速機に関し、特に、その潤滑および冷却用の油を供給するための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のトロイダル型無段変速機として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このトロイダル型無段変速機は、エンジンに連結され、同軸状かつ一体に設けられた入力ディスクを有する入力軸と、入力軸に同軸状かつ回転自在に設けられた出力ディスクと、両ディスク間に狭持され、エンジンの動力を入力ディスクから出力ディスクに伝達する一対のパワーローラと、これらのパワーローラをそれぞれ回転自在に支持するとともに、トラニオン軸を中心として傾転自在の一対のトラニオンなどを備えている。またトラニオン軸の反対側には、トラニオンを補強するための補強部材が設けられており、これらは、パワーローラを囲むように配置されている。トラニオンおよび補強部材の内部には、パワーローラに潤滑油を供給するための油路が形成されている。この油路は、補強部材のトラニオンとの連結部付近に、パワーローラの曲面部に対向するように開口しており、潤滑油が、この開口からパワーローラの曲面部に向かって供給されることによって、パワーローラが潤滑される。
【0003】
また、一対のパワーローラの間には、潤滑油パイプが設けられている。この潤滑油パイプは、上下方向に延びるとともに、入力軸に沿って回り込むように形成されており、潤滑油が、潤滑油パイプに形成された複数の潤滑油噴出口から入力および出力ディスクに向けて噴出されることによって、両ディスクが潤滑される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−106667号公報 (第5頁、第6、7図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来のトロイダル型無段変速機には、以下のような問題がある。すなわち、潤滑油の供給口が、補強部材のトラニオンとの連結部付近に開口していて、この位置が、潤滑および冷却が最も必要とされるパワーローラと入力および出力ディスクとのそれぞれの接触点近傍から離れているため、潤滑油が両接触点に到達しにくい。また、補強部材は、トラニオンに対しトラニオン軸の反対側に設けられているため、潤滑油の供給口を補強部材のどの位置に開口したとしても、両接触点から遠い位置関係になってしまう。このため、両接触点の潤滑および冷却を効果的に行うには、潤滑油の供給量を多くする他なく、潤滑および冷却を効率的に行うことができない。また、このように潤滑油の供給量を多くすると、入力および出力ディスクに付着する潤滑油の量も多くなるため、両ディスクが回転する際に、付着した潤滑油を振り払うのに要する力の分、伝達されるエンジンの動力に大きなロスが発生してしまう。
【0006】
また、入力および出力ディスクを潤滑するために、上記のような形状の潤滑油パイプを設けなければならず、その分、構成が複雑になるとともに製造コストを増大させてしまう。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの潤滑および冷却を、より単純な構成で効率的に行うことができるトロイダル型無段変速機を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、動力源(エンジンE)からの動力を無段階に変速するトロイダル型無段変速機1であって、動力源に連結された入力軸11と、入力軸11に同軸状かつ一体に設けられた入力ディスク52と、入力軸11に同軸状かつ回転自在に設けられた出力ディスク53と、入力ディスク52と出力ディスク53の間にそれぞれの接触点C1、C2を介して狭持され、動力を入力ディスク52から出力ディスク53に伝達するパワーローラ54と、パワーローラ54を回転自在に支持し、パワーローラ54とともに傾転することによって動力を無段階に変速するトラニオン20と、トラニオン20に設けられ、入力ディスク52および出力ディスク53と、パワーローラ54とのそれぞれの接触点C1、C2の近傍に、油を供給する油供給口(ノズル48)を有する油供給路39と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
このトロイダル型無段変速機によれば、動力源からの動力は、パワーローラを介して入力ディスクから出力ディスクに伝達される。また、パワーローラは、トラニオンに回転自在に支持されており、このトラニオンがパワーローラとともに傾転することによって、パワーローラと入力および出力ディスクとのそれぞれの接触点の位置が変化する。それに応じて、動力源からの動力が無段階に変速される。その際、接触点が描くパワーローラ上の軌道は、通常、ほとんど変化しない。また、トラニオンには油供給路が設けられており、この油供給路の油供給口は、パワーローラと入力および出力ディスクとの接触点の近傍に開口していて、この油供給口から油が供給される。
【0010】
このような構成によれば、油供給路がトラニオンに設けられているので、トラニオンおよびパワーローラが傾転する際、トラニオンの傾転に伴って油供給路も傾転する。すなわち、油供給路の油供給口とパワーローラの相対的な位置関係は、パワーローラの傾転角度にかかわらず常に一定に保持される。また、パワーローラ上の接触点の軌道もほとんど変化しないため、パワーローラの傾転角度、すなわち無段変速機の変速比にかかわらず、油を、パワーローラと入力および出力ディスクとのそれぞれの接触点の近傍に常に供給することができる。それにより、パワーローラの傾転に伴い、パワーローラと入力および出力ディスクとの接触点の位置が変化しても、それと同時に、油供給路の位置も変化するため、油が接触点近傍に常に供給され、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの3者を効果的に潤滑および冷却することができる。その結果、従来と比較して、必要な油の供給量を低減させることができる。
【0011】
また、油の量を低減できることにより、入力および出力ディスクに付着する油の量も低減するため、これを振り払うために生じる動力の伝達ロスを低減させることができる。さらに、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの潤滑および冷却を、油供給路からの油の供給のみによって行えるため、入力および出力ディスクを潤滑するための従来の潤滑油パイプは不要になり、より単純な構成にすることができるとともに、製造コストを削減することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機1において、油供給口48は、パワーローラ54の回転方向における接触点C1、C2の直後の位置に配置されていることを特徴とする。
【0013】
このトロイダル型無段変速機によれば、油は、油供給口からパワーローラの回転方向における接触点の直後の位置、すなわち、パワーローラと入力および出力ディスクとが接触する部位よりも、わずかに後ろ側の部分に供給される。通常、パワーローラと入力および出力ディスクとは、互いに強く押し付けられた状態で接触しており、両接触点において、回転に伴って熱が発生する。したがって、接触により熱が発生した部位に、熱発生の直後に油を供給でき、したがって、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクを効率よく冷却することができ、冷却効果をより向上させることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のトロイダル型無段変速機1において、油供給口48は、パワーローラ54の回転方向における接触点C1、C2の直前の位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
このトロイダル型無段変速機によれば、油は、油供給口からパワーローラの回転方向における接触点の直前の位置、すなわち、パワーローラと入力および出力ディスクとが接触する部位よりも、わずかに前側の部分に供給される。それにより、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの回転による遠心力によって、油が飛散する前に接触点を潤滑することができ、したがって、上記3者を効果的に潤滑することができるとともに、必要な油の量を低減させることができる。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図1および2は、本発明を適用した自動車用のトロイダル型無段変速機(以下、単に「無段変速機」という)1を示しており、その入力軸11は、動力源としての内燃機関(以下「エンジン」という)Eのクランク軸12に、2マス式のダンパ13を介して連結されている。
【0017】
無段変速機1は、入力軸11上に、互いにほぼ同じ構成の第1および第2無段変速機構51a、51bを備えている。第1無段変速機構51aは、入力軸11に同軸状に固定されたコーン状の入力ディスク52と、入力軸11に同軸状かつ回転自在に支持され、入力ディスク52に対向する出力ディスク53と、入・出力ディスク52、53の対向面の間に、それぞれの接触点C1、C2を介して接触し、狭持された一対のパワーローラ54、54を有している。一対のパワーローラ54、54は、トラニオン20、20によって、入力軸11に直交する共通のローラ軸線55回りにそれぞれ回転自在に支持されるとともに、入力軸11およびローラ軸線55に対して垂直のトラニオン軸線56、56回りにそれぞれ傾転自在に支持されている。また、入・出力ディスク52、53の対向面はトロイダル面で構成されており、パワーローラ54、54がトラニオン軸線56、56回りに傾転するのに伴い、入・出力ディスク52、53とパワーローラ54、54との接触点C1、C2の位置がそれぞれ変化する。
【0018】
トラニオン20には、これを駆動するための一対の油路および油圧制御回路(ともに図示せず)が接続されている。一対のパワーローラ54、54の傾転角度は、油路の油圧を油圧制御回路で制御することで、トラニオン20、20をトラニオン軸線56方向に移動させることにより、入・出力ディスク52、53の回転中心に対してパワーローラ54、54の回転軸であるローラ軸線55がずれ、入・出力ディスク52、53にかかる力と、パワーローラ54、54にかかるトラニオン軸線56方向の力により、パワーローラ54、54がトラニオン20、20とともにトラニオン軸線56、56回りに回転させられることによって、互いに同期される。また、一対のパワーローラ54、54の傾転の方向、すなわち無段変速機1の変速方向は、油圧制御回路で油路の油圧の作用方向を切り替えることによって、増速側と減速側に切り替えられる。
【0019】
第2無段変速機構51bは、出力ギヤ19を通る面を中心として、第1無段変速機構51aと対称に配置されている。第1および第2無段変速機構51a、51bの出力ディスク53、53は互いに一体に形成され、それらの中心に出力ギヤ19が一体に設けられている。また、第2無段変速機構51bの入力ディスク52は、入力軸11に対して回転不能に且つ軸線方向に移動自在にスプライン結合され、入力軸11と同軸のシリンダ57との間に形成された油室58に油圧が供給されることによって、この入力ディスク52と、第1および第2無段変速機構51a、51bの出力ディスク53、53が、第1無段変速機構51aの入力ディスク52に向かって押圧される。それにより、各パワーローラ54と、両無段変速機構51a、51bの入力ディスク52、52および出力ディスク53、53とが接触点C1およびC2を介して互いに強く押し付けられることによって、各パワーローラ54のスリップが抑制される。
【0020】
このような構成により、エンジンEからの動力は、入力軸11から順に、入力ディスク52、パワーローラ54、54、出力ディスク53および出力ギヤ19に伝達される。また、パワーローラ54、54が、図1に示す等速レシオ位置から矢印aの方向に傾転すると、入力ディスク52との接触点C1、C1が入力軸11の半径方向外方に移動すると同時に、出力ディスク53との接触点C2、C2が入力軸11の半径方向内方に移動するため、入力ディスク52の回転が増速して出力ディスク53に伝達され、無段変速機1のレシオは高速側に連続的に変化する。逆に、パワーローラ54、54が、上記とは逆の矢印bの方向に傾転すると、入・出力ディスク52、53とのパワーローラ54の接触点C1、C2が上記と逆方向に移動するため、入力ディスク52の回転が減速して出力ディスク53に伝達され、無段変速機1のレシオは低速側に連続的に変化する。このレシオの変化に伴い、接触点C1、C2が描く入・出力ディスク52、53上の軌道は、それらのトロイダル面上を、入力軸11の半径方向内方または外方にそれぞれ大きく移動するものの、接触点C1、C2が描くパワーローラ54、54上の軌道T(図3参照)は、通常、ほとんど変化しない。
【0021】
パワーローラ54を支持するトラニオン20は、パワーローラ54を上下および外側から覆うように、ほぼ断面コ字状に形成されている。また、トラニオン20には、下方に延びるピストンロッド21が一体に設けられるとともに、トラニオン20を駆動するための油圧アクチュエータ30が設けられている。この油圧アクチュエータ30は、油圧制御ブロック22に形成されたシリンダ23と、このシリンダ23に上下方向に摺動自在に嵌合し、ピストンロッド21に結合されたピストン24と、ピストン24とシリンダ23の上下の壁部との間にそれぞれ形成された上部油室25および下部油室26によって構成されている。これらの上部油室25および下部油室26に、前述した一対の油路がそれぞれ接続されており、この油路を介して、上部油室25または下部油室26に油圧が供給されることにより、ピストン24およびピストンロッド21を介して、トラニオン20がトラニオン軸線56方向に駆動される。また、パワーローラ54は、ピボットシャフト27を介してトラニオン20に回転自在に支持されており、このピボットシャフト27は、トラニオン20にニードルベアリング28を介して回転自在に支持されている。
【0022】
図2および図3に示すように、各トラニオン20の内部には、パワーローラ54および入・出力ディスク52、53に潤滑および冷却用の油を供給するための油供給路39が、トラニオン20の形状におおむね従うように形成されている。この油供給路39は、以下のように形成され、油路40〜47およびノズル48で構成されている。
【0023】
油路40は、トラニオン20の下部に、トラニオン軸56上に上下方向に延びており、油路42は、油路40から外方に向かって、斜め上方に延びている。また、図3に示すように、油路41、41は、油路40の上端部から前後方向(図3の左右方向)に分岐し、やや斜め上方に延び、トラニオン20の下切欠き面20a、20aの所定の位置にそれぞれ開口している。
【0024】
油路43および油路44は、トラニオン20のピボットシャフト27を間にして、トラニオン20の中間部を上下方向に延びており、油路43の下端部が、油路42の上端部と連通するとともに、油路43の上端および油路44の下端は、ピボットシャフト27を支持するニードルベアリング28に臨むように開口していて、油路43および油路44は、ニードルベアリング28を介して互いに連通している。
【0025】
また、油路45は、油路44の上端部から内側に向かって斜め上方に延びている。また、図4に示すように、油路46、46は、油路45の油路44との接続部付近から前後方向に分岐し、トラニオン20の上切欠き面20b、20bの付近まで延びている。また、油路46、46の先端部から油路47、47が前後方向(図4の左右方向)に延びており、上切欠き面20b、20bの所定の位置にそれぞれ開口している。
【0026】
油路40、40および油路47、47の開口部には、ノズル48(油供給口)がそれぞれ差し込まれた状態で取り付けられている。また、これらのノズル48のうち、入力ディスク52側(図3の右側)の上・下切欠き面20b、20aのノズル48、48は、入力ディスク52とパワーローラ54の接触点C1に向かってそれぞれ延びており、それらの先端は、パワーローラ54の回転方向Rにおける接触点C1の直前および直後の接触点C1から所定の距離だけ離れた位置にそれぞれ配置されている。同様に、出力ディスク53側(図3の左側)の上・下切欠き面20b、20aのノズル48、48は、出力ディスク53とパワーローラ54の接触点C2に向かってそれぞれ延びており、それらの先端は、パワーローラ54の回転方向Rにおける接触点C2の直後および直前の接触点C2から所定の距離だけ離れた位置にそれぞれ配置されている。
【0027】
上述した構成の油供給路39の油路40には、図示しない油供給用油路が接続されており、エンジンEの運転中に、この油供給用油路を介して、所定の油圧で油供給路39に油が供給されることにより、各ノズル48の先端から油が噴射される。下側のノズル48、48からは、油路40、41を介して供給された油が、接触点C1およびC2付近に向け、下方からそれぞれ噴射される。また、上側のノズル48、48からは、油路40、42、43、ニードルベアリング28、および油路44〜47を介して供給された油が、接触点C1およびC2付近に向け、上方からそれぞれ噴射される。
【0028】
以上のように、本実施形態の無段変速機1によれば、油路40〜47およびノズル48で構成される油供給路39が各トラニオン20にそれぞれ設けられているので、トラニオン20およびパワーローラ54が傾転する際、トラニオン20の傾転に伴い、それと一体に油供給路39が傾転する。すなわち、油供給路39のノズル48とパワーローラ54との相対的な位置関係は、パワーローラ54の傾転角度にかかわらず常に一定に保持される。また、前述したように、パワーローラ54上の接触点C1、C2の軌道Tもパワーローラ54の傾転角度にかかわらず、ほとんど変化しないため、油を、パワーローラ54の傾転角度、すなわち変速比にかかわらず、パワーローラ54と入・出力ディスク52、53との接触点C1、C2の近傍に常に供給することができる。それにより、パワーローラ54および入・出力ディスク52、53の3者を効果的に潤滑および冷却することができる。その結果、従来と比較して、必要な油の供給量を低減させることができる。
【0029】
また、供給される油の量を低減できることにより、入・出力ディスク52、53に付着する油の量も低減するため、これを振り払うために生じるエンジンEの動力の伝達ロスを低減させることができる。さらに、パワーローラ54および入・出力ディスク52、53の潤滑および冷却を、油供給路39からの油の供給のみによって行えるため、入力および出力ディスク52、53を潤滑するための従来の潤滑油パイプは不要になり、より単純な構成にすることができるとともに、製造コストを削減することができる。
【0030】
また、油は、ノズル48の先端からパワーローラ54の回転方向における接触点C1、C2の直前および直後の位置、すなわち、パワーローラ54と入力および出力ディスク52、53とが接触する部位よりも、わずかに前側および後ろ側の部分に供給される。
【0031】
したがって、接触点C1、C2の直後に配置したノズル48によれば、パワーローラ54と入・出力ディスク52、53との接触により熱が発生した部位に、熱発生の直後に油を供給でき、したがって、パワーローラ54、入力および出力ディスク52、53を効率よく冷却することができ、冷却効果をより向上させることができる。
【0032】
また、接触点C1、C2の直前に配置したノズル48によれば、パワーローラ54、入力および出力ディスク52、53の回転による遠心力によって、油が飛散する前に、接触点C1、C2およびそれらの付近を潤滑することができ、したがって、上記3者を効果的に潤滑することができるとともに、必要な油の量を低減させることができる。
【0033】
なお、上述した実施形態では、油を、接触点C1、C2の直前および直後の両方の位置に噴射するようにしているが、これに限定されることなく、直前および直後のいずれか一方の位置に噴射するようにしてもよい。また、実施形態は、本発明のトロイダル型無段変速機を、自動車用の無段変速機として適用した例であるが、これに限定されることなく、他の産業用機械、例えば、クランクシャフトを鉛直方向に配置した船外機などのような船舶推進機用の内燃機関にも適用可能である。また、実施形態では、油を供給する油供給口として、ノズルを用いているが、これに限定されることなく、その他の方法でパワーローラと入・出力ディスクとの両接触点近傍に油を供給するようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明のトロイダル型無段変速機は、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの潤滑および冷却を、より単純な構成で効率的に行うことができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したトロイダル型無段変速機およびエンジンの概略構成図である。
【図2】図1の線A―Aに沿う断面図である。
【図3】トラニオンおよびパワーローラを、パワーローラの側から示す側面図である。
【図4】トラニオンおよびパワーローラと入・出力ディスクとの接触点近傍を上方から示す平面図である。
【符号の説明】
1 無段変速機
11 入力軸
20 トラニオン
39 油供給路
48 ノズル(油供給口)
52 入力ディスク
53 出力ディスク
54 パワーローラ
E エンジン(動力源)
C1 入力ディスクとパワーローラの接触点
C2 出力ディスクとパワーローラの接触点
【発明の属する技術分野】
本発明は、トロイダル型無段変速機に関し、特に、その潤滑および冷却用の油を供給するための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のトロイダル型無段変速機として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このトロイダル型無段変速機は、エンジンに連結され、同軸状かつ一体に設けられた入力ディスクを有する入力軸と、入力軸に同軸状かつ回転自在に設けられた出力ディスクと、両ディスク間に狭持され、エンジンの動力を入力ディスクから出力ディスクに伝達する一対のパワーローラと、これらのパワーローラをそれぞれ回転自在に支持するとともに、トラニオン軸を中心として傾転自在の一対のトラニオンなどを備えている。またトラニオン軸の反対側には、トラニオンを補強するための補強部材が設けられており、これらは、パワーローラを囲むように配置されている。トラニオンおよび補強部材の内部には、パワーローラに潤滑油を供給するための油路が形成されている。この油路は、補強部材のトラニオンとの連結部付近に、パワーローラの曲面部に対向するように開口しており、潤滑油が、この開口からパワーローラの曲面部に向かって供給されることによって、パワーローラが潤滑される。
【0003】
また、一対のパワーローラの間には、潤滑油パイプが設けられている。この潤滑油パイプは、上下方向に延びるとともに、入力軸に沿って回り込むように形成されており、潤滑油が、潤滑油パイプに形成された複数の潤滑油噴出口から入力および出力ディスクに向けて噴出されることによって、両ディスクが潤滑される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−106667号公報 (第5頁、第6、7図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来のトロイダル型無段変速機には、以下のような問題がある。すなわち、潤滑油の供給口が、補強部材のトラニオンとの連結部付近に開口していて、この位置が、潤滑および冷却が最も必要とされるパワーローラと入力および出力ディスクとのそれぞれの接触点近傍から離れているため、潤滑油が両接触点に到達しにくい。また、補強部材は、トラニオンに対しトラニオン軸の反対側に設けられているため、潤滑油の供給口を補強部材のどの位置に開口したとしても、両接触点から遠い位置関係になってしまう。このため、両接触点の潤滑および冷却を効果的に行うには、潤滑油の供給量を多くする他なく、潤滑および冷却を効率的に行うことができない。また、このように潤滑油の供給量を多くすると、入力および出力ディスクに付着する潤滑油の量も多くなるため、両ディスクが回転する際に、付着した潤滑油を振り払うのに要する力の分、伝達されるエンジンの動力に大きなロスが発生してしまう。
【0006】
また、入力および出力ディスクを潤滑するために、上記のような形状の潤滑油パイプを設けなければならず、その分、構成が複雑になるとともに製造コストを増大させてしまう。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの潤滑および冷却を、より単純な構成で効率的に行うことができるトロイダル型無段変速機を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、動力源(エンジンE)からの動力を無段階に変速するトロイダル型無段変速機1であって、動力源に連結された入力軸11と、入力軸11に同軸状かつ一体に設けられた入力ディスク52と、入力軸11に同軸状かつ回転自在に設けられた出力ディスク53と、入力ディスク52と出力ディスク53の間にそれぞれの接触点C1、C2を介して狭持され、動力を入力ディスク52から出力ディスク53に伝達するパワーローラ54と、パワーローラ54を回転自在に支持し、パワーローラ54とともに傾転することによって動力を無段階に変速するトラニオン20と、トラニオン20に設けられ、入力ディスク52および出力ディスク53と、パワーローラ54とのそれぞれの接触点C1、C2の近傍に、油を供給する油供給口(ノズル48)を有する油供給路39と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
このトロイダル型無段変速機によれば、動力源からの動力は、パワーローラを介して入力ディスクから出力ディスクに伝達される。また、パワーローラは、トラニオンに回転自在に支持されており、このトラニオンがパワーローラとともに傾転することによって、パワーローラと入力および出力ディスクとのそれぞれの接触点の位置が変化する。それに応じて、動力源からの動力が無段階に変速される。その際、接触点が描くパワーローラ上の軌道は、通常、ほとんど変化しない。また、トラニオンには油供給路が設けられており、この油供給路の油供給口は、パワーローラと入力および出力ディスクとの接触点の近傍に開口していて、この油供給口から油が供給される。
【0010】
このような構成によれば、油供給路がトラニオンに設けられているので、トラニオンおよびパワーローラが傾転する際、トラニオンの傾転に伴って油供給路も傾転する。すなわち、油供給路の油供給口とパワーローラの相対的な位置関係は、パワーローラの傾転角度にかかわらず常に一定に保持される。また、パワーローラ上の接触点の軌道もほとんど変化しないため、パワーローラの傾転角度、すなわち無段変速機の変速比にかかわらず、油を、パワーローラと入力および出力ディスクとのそれぞれの接触点の近傍に常に供給することができる。それにより、パワーローラの傾転に伴い、パワーローラと入力および出力ディスクとの接触点の位置が変化しても、それと同時に、油供給路の位置も変化するため、油が接触点近傍に常に供給され、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの3者を効果的に潤滑および冷却することができる。その結果、従来と比較して、必要な油の供給量を低減させることができる。
【0011】
また、油の量を低減できることにより、入力および出力ディスクに付着する油の量も低減するため、これを振り払うために生じる動力の伝達ロスを低減させることができる。さらに、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの潤滑および冷却を、油供給路からの油の供給のみによって行えるため、入力および出力ディスクを潤滑するための従来の潤滑油パイプは不要になり、より単純な構成にすることができるとともに、製造コストを削減することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機1において、油供給口48は、パワーローラ54の回転方向における接触点C1、C2の直後の位置に配置されていることを特徴とする。
【0013】
このトロイダル型無段変速機によれば、油は、油供給口からパワーローラの回転方向における接触点の直後の位置、すなわち、パワーローラと入力および出力ディスクとが接触する部位よりも、わずかに後ろ側の部分に供給される。通常、パワーローラと入力および出力ディスクとは、互いに強く押し付けられた状態で接触しており、両接触点において、回転に伴って熱が発生する。したがって、接触により熱が発生した部位に、熱発生の直後に油を供給でき、したがって、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクを効率よく冷却することができ、冷却効果をより向上させることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のトロイダル型無段変速機1において、油供給口48は、パワーローラ54の回転方向における接触点C1、C2の直前の位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
このトロイダル型無段変速機によれば、油は、油供給口からパワーローラの回転方向における接触点の直前の位置、すなわち、パワーローラと入力および出力ディスクとが接触する部位よりも、わずかに前側の部分に供給される。それにより、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの回転による遠心力によって、油が飛散する前に接触点を潤滑することができ、したがって、上記3者を効果的に潤滑することができるとともに、必要な油の量を低減させることができる。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図1および2は、本発明を適用した自動車用のトロイダル型無段変速機(以下、単に「無段変速機」という)1を示しており、その入力軸11は、動力源としての内燃機関(以下「エンジン」という)Eのクランク軸12に、2マス式のダンパ13を介して連結されている。
【0017】
無段変速機1は、入力軸11上に、互いにほぼ同じ構成の第1および第2無段変速機構51a、51bを備えている。第1無段変速機構51aは、入力軸11に同軸状に固定されたコーン状の入力ディスク52と、入力軸11に同軸状かつ回転自在に支持され、入力ディスク52に対向する出力ディスク53と、入・出力ディスク52、53の対向面の間に、それぞれの接触点C1、C2を介して接触し、狭持された一対のパワーローラ54、54を有している。一対のパワーローラ54、54は、トラニオン20、20によって、入力軸11に直交する共通のローラ軸線55回りにそれぞれ回転自在に支持されるとともに、入力軸11およびローラ軸線55に対して垂直のトラニオン軸線56、56回りにそれぞれ傾転自在に支持されている。また、入・出力ディスク52、53の対向面はトロイダル面で構成されており、パワーローラ54、54がトラニオン軸線56、56回りに傾転するのに伴い、入・出力ディスク52、53とパワーローラ54、54との接触点C1、C2の位置がそれぞれ変化する。
【0018】
トラニオン20には、これを駆動するための一対の油路および油圧制御回路(ともに図示せず)が接続されている。一対のパワーローラ54、54の傾転角度は、油路の油圧を油圧制御回路で制御することで、トラニオン20、20をトラニオン軸線56方向に移動させることにより、入・出力ディスク52、53の回転中心に対してパワーローラ54、54の回転軸であるローラ軸線55がずれ、入・出力ディスク52、53にかかる力と、パワーローラ54、54にかかるトラニオン軸線56方向の力により、パワーローラ54、54がトラニオン20、20とともにトラニオン軸線56、56回りに回転させられることによって、互いに同期される。また、一対のパワーローラ54、54の傾転の方向、すなわち無段変速機1の変速方向は、油圧制御回路で油路の油圧の作用方向を切り替えることによって、増速側と減速側に切り替えられる。
【0019】
第2無段変速機構51bは、出力ギヤ19を通る面を中心として、第1無段変速機構51aと対称に配置されている。第1および第2無段変速機構51a、51bの出力ディスク53、53は互いに一体に形成され、それらの中心に出力ギヤ19が一体に設けられている。また、第2無段変速機構51bの入力ディスク52は、入力軸11に対して回転不能に且つ軸線方向に移動自在にスプライン結合され、入力軸11と同軸のシリンダ57との間に形成された油室58に油圧が供給されることによって、この入力ディスク52と、第1および第2無段変速機構51a、51bの出力ディスク53、53が、第1無段変速機構51aの入力ディスク52に向かって押圧される。それにより、各パワーローラ54と、両無段変速機構51a、51bの入力ディスク52、52および出力ディスク53、53とが接触点C1およびC2を介して互いに強く押し付けられることによって、各パワーローラ54のスリップが抑制される。
【0020】
このような構成により、エンジンEからの動力は、入力軸11から順に、入力ディスク52、パワーローラ54、54、出力ディスク53および出力ギヤ19に伝達される。また、パワーローラ54、54が、図1に示す等速レシオ位置から矢印aの方向に傾転すると、入力ディスク52との接触点C1、C1が入力軸11の半径方向外方に移動すると同時に、出力ディスク53との接触点C2、C2が入力軸11の半径方向内方に移動するため、入力ディスク52の回転が増速して出力ディスク53に伝達され、無段変速機1のレシオは高速側に連続的に変化する。逆に、パワーローラ54、54が、上記とは逆の矢印bの方向に傾転すると、入・出力ディスク52、53とのパワーローラ54の接触点C1、C2が上記と逆方向に移動するため、入力ディスク52の回転が減速して出力ディスク53に伝達され、無段変速機1のレシオは低速側に連続的に変化する。このレシオの変化に伴い、接触点C1、C2が描く入・出力ディスク52、53上の軌道は、それらのトロイダル面上を、入力軸11の半径方向内方または外方にそれぞれ大きく移動するものの、接触点C1、C2が描くパワーローラ54、54上の軌道T(図3参照)は、通常、ほとんど変化しない。
【0021】
パワーローラ54を支持するトラニオン20は、パワーローラ54を上下および外側から覆うように、ほぼ断面コ字状に形成されている。また、トラニオン20には、下方に延びるピストンロッド21が一体に設けられるとともに、トラニオン20を駆動するための油圧アクチュエータ30が設けられている。この油圧アクチュエータ30は、油圧制御ブロック22に形成されたシリンダ23と、このシリンダ23に上下方向に摺動自在に嵌合し、ピストンロッド21に結合されたピストン24と、ピストン24とシリンダ23の上下の壁部との間にそれぞれ形成された上部油室25および下部油室26によって構成されている。これらの上部油室25および下部油室26に、前述した一対の油路がそれぞれ接続されており、この油路を介して、上部油室25または下部油室26に油圧が供給されることにより、ピストン24およびピストンロッド21を介して、トラニオン20がトラニオン軸線56方向に駆動される。また、パワーローラ54は、ピボットシャフト27を介してトラニオン20に回転自在に支持されており、このピボットシャフト27は、トラニオン20にニードルベアリング28を介して回転自在に支持されている。
【0022】
図2および図3に示すように、各トラニオン20の内部には、パワーローラ54および入・出力ディスク52、53に潤滑および冷却用の油を供給するための油供給路39が、トラニオン20の形状におおむね従うように形成されている。この油供給路39は、以下のように形成され、油路40〜47およびノズル48で構成されている。
【0023】
油路40は、トラニオン20の下部に、トラニオン軸56上に上下方向に延びており、油路42は、油路40から外方に向かって、斜め上方に延びている。また、図3に示すように、油路41、41は、油路40の上端部から前後方向(図3の左右方向)に分岐し、やや斜め上方に延び、トラニオン20の下切欠き面20a、20aの所定の位置にそれぞれ開口している。
【0024】
油路43および油路44は、トラニオン20のピボットシャフト27を間にして、トラニオン20の中間部を上下方向に延びており、油路43の下端部が、油路42の上端部と連通するとともに、油路43の上端および油路44の下端は、ピボットシャフト27を支持するニードルベアリング28に臨むように開口していて、油路43および油路44は、ニードルベアリング28を介して互いに連通している。
【0025】
また、油路45は、油路44の上端部から内側に向かって斜め上方に延びている。また、図4に示すように、油路46、46は、油路45の油路44との接続部付近から前後方向に分岐し、トラニオン20の上切欠き面20b、20bの付近まで延びている。また、油路46、46の先端部から油路47、47が前後方向(図4の左右方向)に延びており、上切欠き面20b、20bの所定の位置にそれぞれ開口している。
【0026】
油路40、40および油路47、47の開口部には、ノズル48(油供給口)がそれぞれ差し込まれた状態で取り付けられている。また、これらのノズル48のうち、入力ディスク52側(図3の右側)の上・下切欠き面20b、20aのノズル48、48は、入力ディスク52とパワーローラ54の接触点C1に向かってそれぞれ延びており、それらの先端は、パワーローラ54の回転方向Rにおける接触点C1の直前および直後の接触点C1から所定の距離だけ離れた位置にそれぞれ配置されている。同様に、出力ディスク53側(図3の左側)の上・下切欠き面20b、20aのノズル48、48は、出力ディスク53とパワーローラ54の接触点C2に向かってそれぞれ延びており、それらの先端は、パワーローラ54の回転方向Rにおける接触点C2の直後および直前の接触点C2から所定の距離だけ離れた位置にそれぞれ配置されている。
【0027】
上述した構成の油供給路39の油路40には、図示しない油供給用油路が接続されており、エンジンEの運転中に、この油供給用油路を介して、所定の油圧で油供給路39に油が供給されることにより、各ノズル48の先端から油が噴射される。下側のノズル48、48からは、油路40、41を介して供給された油が、接触点C1およびC2付近に向け、下方からそれぞれ噴射される。また、上側のノズル48、48からは、油路40、42、43、ニードルベアリング28、および油路44〜47を介して供給された油が、接触点C1およびC2付近に向け、上方からそれぞれ噴射される。
【0028】
以上のように、本実施形態の無段変速機1によれば、油路40〜47およびノズル48で構成される油供給路39が各トラニオン20にそれぞれ設けられているので、トラニオン20およびパワーローラ54が傾転する際、トラニオン20の傾転に伴い、それと一体に油供給路39が傾転する。すなわち、油供給路39のノズル48とパワーローラ54との相対的な位置関係は、パワーローラ54の傾転角度にかかわらず常に一定に保持される。また、前述したように、パワーローラ54上の接触点C1、C2の軌道Tもパワーローラ54の傾転角度にかかわらず、ほとんど変化しないため、油を、パワーローラ54の傾転角度、すなわち変速比にかかわらず、パワーローラ54と入・出力ディスク52、53との接触点C1、C2の近傍に常に供給することができる。それにより、パワーローラ54および入・出力ディスク52、53の3者を効果的に潤滑および冷却することができる。その結果、従来と比較して、必要な油の供給量を低減させることができる。
【0029】
また、供給される油の量を低減できることにより、入・出力ディスク52、53に付着する油の量も低減するため、これを振り払うために生じるエンジンEの動力の伝達ロスを低減させることができる。さらに、パワーローラ54および入・出力ディスク52、53の潤滑および冷却を、油供給路39からの油の供給のみによって行えるため、入力および出力ディスク52、53を潤滑するための従来の潤滑油パイプは不要になり、より単純な構成にすることができるとともに、製造コストを削減することができる。
【0030】
また、油は、ノズル48の先端からパワーローラ54の回転方向における接触点C1、C2の直前および直後の位置、すなわち、パワーローラ54と入力および出力ディスク52、53とが接触する部位よりも、わずかに前側および後ろ側の部分に供給される。
【0031】
したがって、接触点C1、C2の直後に配置したノズル48によれば、パワーローラ54と入・出力ディスク52、53との接触により熱が発生した部位に、熱発生の直後に油を供給でき、したがって、パワーローラ54、入力および出力ディスク52、53を効率よく冷却することができ、冷却効果をより向上させることができる。
【0032】
また、接触点C1、C2の直前に配置したノズル48によれば、パワーローラ54、入力および出力ディスク52、53の回転による遠心力によって、油が飛散する前に、接触点C1、C2およびそれらの付近を潤滑することができ、したがって、上記3者を効果的に潤滑することができるとともに、必要な油の量を低減させることができる。
【0033】
なお、上述した実施形態では、油を、接触点C1、C2の直前および直後の両方の位置に噴射するようにしているが、これに限定されることなく、直前および直後のいずれか一方の位置に噴射するようにしてもよい。また、実施形態は、本発明のトロイダル型無段変速機を、自動車用の無段変速機として適用した例であるが、これに限定されることなく、他の産業用機械、例えば、クランクシャフトを鉛直方向に配置した船外機などのような船舶推進機用の内燃機関にも適用可能である。また、実施形態では、油を供給する油供給口として、ノズルを用いているが、これに限定されることなく、その他の方法でパワーローラと入・出力ディスクとの両接触点近傍に油を供給するようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明のトロイダル型無段変速機は、パワーローラ、入力ディスクおよび出力ディスクの潤滑および冷却を、より単純な構成で効率的に行うことができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したトロイダル型無段変速機およびエンジンの概略構成図である。
【図2】図1の線A―Aに沿う断面図である。
【図3】トラニオンおよびパワーローラを、パワーローラの側から示す側面図である。
【図4】トラニオンおよびパワーローラと入・出力ディスクとの接触点近傍を上方から示す平面図である。
【符号の説明】
1 無段変速機
11 入力軸
20 トラニオン
39 油供給路
48 ノズル(油供給口)
52 入力ディスク
53 出力ディスク
54 パワーローラ
E エンジン(動力源)
C1 入力ディスクとパワーローラの接触点
C2 出力ディスクとパワーローラの接触点
Claims (3)
- 動力源からの動力を無段階に変速するトロイダル型無段変速機であって、
前記動力源に連結された入力軸と、
当該入力軸に同軸状かつ一体に設けられた入力ディスクと、
前記入力軸に同軸状かつ回転自在に設けられた出力ディスクと、
前記入力ディスクと前記出力ディスクの間にそれぞれの接触点を介して狭持され、前記動力を前記入力ディスクから前記出力ディスクに伝達するパワーローラと、
当該パワーローラを回転自在に支持し、前記パワーローラとともに傾転することによって前記動力を無段階に変速するトラニオンと、
当該トラニオンに設けられ、前記入力ディスクおよび前記出力ディスクと前記パワーローラとのそれぞれの前記接触点の近傍に、油を供給する油供給口を有する油供給路と、
を備えていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記油供給口は、前記パワーローラの回転方向における前記接触点の直後の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記油供給口は、前記パワーローラの回転方向における前記接触点の直前の位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトロイダル型無段変速機。
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