JP6515693B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車やポンプ等の各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図7および図8に示すように構成されている。図7に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車(伝達歯車)4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図7中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図7中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図7中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1とともに回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図8参照)が回転自在に挟持されている。
図7中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図7の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力(予圧)を付与する。
図8は、図7のA−A線に沿う断面図である。図8に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図8においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図8の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図8の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図8の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図8で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受(スラスト軸受)24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図8の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、さらにこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図8の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。
その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14(傾転中心O)を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a,23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、このようなトロイダル型無段変速機では、動力伝達を行なうためにディスク2,3とパワーローラ11との接触点に伝達動力に応じて適切な押し付け力を発生させる必要がある。この場合、トロイダル型無段変速機が運転中であれば、前述したローディングカム式の押圧装置12あるいは油圧を用いたローディングピストンによって押し付け力を発生させることができるが、エンジン始動時など、トロイダル型無段変速機が運転前であった場合には、前述したローディングカムやローディングピストンが機能しないため、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間に設けられる前述した皿ばね8によって押し付け力を発生させている。
ここで、大きなトルクを伝達しようとする場合には、必要となる押し付け力も大きくなるため、トロイダル型無段変速機を構成する各部に弾性変形が生じる。その結果、パワーローラ11がその回転軸方向であって入力軸1から離れる方向に変位する。この場合、前述した従来構造のトロイダル型無段変速機、すなわち、図9に示すように、パワーローラ11の傾転中心Oとディスク2,3の曲率中心Oとが一致しているトロイダル型無段変速機では、どのような変速比においても、大きなトルクを伝達しているときのパワーローラ11の前述した変位によって、接触点開き角θ、すなわち、パワーローラ11とディスク2,3との接触点P,Pにおける接線L1,L2同士の交点Qと中心O(O)とを通る線L3がディスクの内側面の中心寄り部分の接触点(図9ではP)における法線と成す角度θが大きくなり、したがって、接触点P,Pがディスク2,3のトラクション面2a,3aから脱落してしまう虞や、法線力Fcが低下して接触点P,Pの面圧が低下してしまうことによりスリップを発生させてしまう虞があった。
そのため、従来構造のトロイダル型無段変速機では、弾性変形を小さくするために構成部品の強度を高めたり、トラクション面2a,3aの有効範囲を広げるためにディス2,3クの外径を大きくするなど、様々な対策を講じてきたが、重量増や大型化といった新たな問題をもたらす結果となった。
そこで、これらの従来構造における問題点を克服するべく、大きなトルクを伝達するときにパワーローラ11が入力軸1から離れる方向に変位しても、パワーローラ11の傾転中心Oとディスク2,3の曲率中心Oとが大きく乖離しないように、予めパワーローラ11の傾転中心Oをディスク2,3の曲率中心Oからオフセットさせた構造が従来から提案されてきている。
例えば、特許文献1および特許文献2では、パワーローラ11の傾転中心Oがディスク2,3の曲率中心Oよりも入力軸1に接近するようにオフセットされている。
また、特許文献3には、高速側変速状態(High側:各パワーローラ11,11の周面11a,11aが入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク3の内側面3aの中心寄り部分とにそれぞれ当接する変速状態)において、パワーローラ11の傾転中心Oをディスク2,3の曲率中心Oからパワーローラ11の回転軸方向に且つ入力軸1から離れる方向にオフセットする構造が開示されている。
特開平6−280959号公報 特開2005−249070号公報 特開2004−68942号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2の構造では、全ての変速比でパワーローラ11が入力軸1に接近するようにオフセットするため、低速側(Low側:各パワーローラ11,11の周面11a,11aが、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク3の内側面3aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する変速状態)と比較して大きな押し付け力を必要としない高速側では接触点開き角θが小さい傾向となる。その結果、法線力Fcが大きい傾向となり、パワーローラ11の内部の軸受にかかるスラスト力が増大することで、軸受の効率や寿命を低下させてしまう虞がある。そして、動力伝達部であるパワーローラ11とディスク2,3との接触点においても、面圧が増大することで、効率や寿命の低下を引き起こす虞がある。
一方、特許文献3の構造によれば、高速側では、低速側と比べてパワーローラ11の入力軸1への接近量が小さいため、高速側でのパワーローラ11の効率および寿命の低下を抑えることができる。しかしながら、この特許文献3の構造においても、前述した特許文献1および特許文献2の構造と同様に、全ての変速比でパワーローラ11が入力軸1に接近するようにオフセットするため、低速側と比較して大きな押し付け力を必要としない高速側においても少なからず接触点開き角θが小さい傾向となる。その結果、法線力Fcが大きい傾向となり、パワーローラ11の内部の軸受にかかるスラスト力が増大することで、軸受の効率や寿命を低下させてしまう虞がある。そして、動力伝達部であるパワーローラ11とディスク2,3との接触点においても、面圧が増大することで、効率や寿命の低下を引き起こす虞がある。
また、接触点開き角θおよび法線力Fcに伴う以上の問題に加えて、従来のトロイダル型無段変速機では、動力伝達に用いられるトラクションオイルのトラクション係数が低温環境下で低下することが分かっており、低温環境下でエンジン始動を行なおうとしたときに皿ばね8により必要な押し付け力が得られなかった場合には、トロイダル型無段変速機の動力伝達部であるパワーローラ11とディスク2,3との接触点でスリップが生じてしまい、動力伝達部を損傷してしまう虞がある。
この問題を解決する1つの手段として、より高い押し付け力を発生させる皿ばね8を設けることが考えられるが、皿ばね8を強くすることは、低速側よりも大きな押し付け力を必要としない高速側で押し付け力過多となることを意味し、トロイダル型無段変速機の効率を大きく損なってしまう結果となる。特に、高速側は、高速クルーズ走行(一定速走行)時にエンジンの回転数を低く運転できるため、燃費の改善効果が期待できるが、この走行状態では、負荷が小さく、必要な押し付け力がばね力よりも小さいため、押し付け力過多となってしまい、バリエータの効率が低下することで燃費を大きく損なう虞がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、低温環境下であっても、強力な皿ばね等の予圧部材を設けることなく、低速側で始動に十分な押し付け力を発生させ、高速側で押し付け力過多とならない、高効率のトロイダル型無段変速機を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明のトロイダル型無段変速機は、軸に結合され且つ該軸と一体で回転する第1ディスクと、この第1ディスクとの間に設けられた傾転可能なパワーローラを介して前記第1ディスクの回転力を所定の変速比で受ける第2ディスクとを備え、前記第1ディスクおよび前記第2ディスクは、所定の曲率を有するそれぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に設けられる、トロイダル型無段変速機において、前記パワーローラの傾転中心は、前記ディスクの曲率中心に対して、前記軸と平行な方向であって前記第2ディスクに接近する方向にオフセットされていることを特徴とする。
本発明においては、パワーローラの傾転中心をディスクの曲率中心に対して軸と平行で且つ第2ディスクに接近する方向にオフセットすることにより、低速側では、パワーローラが軸に接近する方向にオフセットされ、1:1の変速比では変わらず(パワーローラがオフセットせず)、高速側では、パワーローラが入力軸から離れる方向にオフセットされる。その結果、低温環境下のために強力な皿ばね等の予圧部材を設けなくても、パワーローラとディスクとの動力伝達部に大きな押し付け力が必要となる低速側では、低温環境下での始動に十分な押し付け力を発生させることができ、1:1の変速比および高速側では、押し付け力過多とならない(押し付け力が、変速比1:1では変わらず、高速側では逆に小さくなる傾向となる)構造の高効率なトロイダル形無段変速機を実現できる。
本発明の前記構成において、変速機の駆動を制御する制御部と、前記第1ディスクを前記第2ディスクへ向けて押圧する油圧式のローディング機構とを更に備え、変速機の駆動を制御する制御部は、エンジン始動時においては、油圧式ローディング機構のローディング圧が完全に立ち上がるまで低速側の変速状態を維持し、エンジン停止時には、低速側の変速状態でエンジンを停止するように制御するのが好ましい。
このような構成によれば、低温環境下では、エンジン停止前に低速側へ変速して、変速完了後にエンジンを停止し、エンジン始動時には、ローディング機構による押し付け力が完全に発生するまで低速側を維持し続けるという制御を行なうことにより、低温環境下でも安定して確実にエンジン始動が行なえる。
所定の温度を下回る低温環境下でのエンジン始動において、前記制御部は、例えば、(a)スターターモーターをゆっくり回す、(b)ローディング圧の指令値を最大値にする、(c)調節可能な潤滑油量の指令値を最小値にする。
本発明によれば、パワーローラの傾転中心が、ディスクの曲率中心に対して、軸と平行な方向であって出力側ディスクに接近する方向にオフセットされているため、低温環境下であっても、強力な皿ばね等の予圧部材を設けることなく、低速側で始動に十分な押し付け力を発生させ、高速側で押し付け力過多とならない、高効率のトロイダル型無段変速機を提供できる。
本発明の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の側断面図である。 図1のトロイダル型無段変速機の平断面図である。 図1のトロイダル型無段変速機のトラニオン軸断面図である。 ディスクの曲率中心に対してパワーローラの傾転中心がオフセットされる状態を断面で示す概念図である。 低温環境下でのエンジン始動時のフローチャートである。 エンジン停止時のフローチャートである。 従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。 図7におけるA−A線に沿う断面図である。 パワーローラの傾転中心とディスクの曲率中心とが一致している従来のトロイダル型無段変速機の要部構成を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
ここで、図1は、本発明の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の側断面図、図2は、図1のトロイダル型無段変速機の平断面図、図3は、図1のトロイダル型無段変速機のトラニオン軸断面図であり、これらの図において、図7および図8に示す従来のトロイダル型無段変速機と共通する部分については、同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
本実施の形態のトロイダル型無段変速機では、図7および図8に示す従来の出力側ディスク(第2ディスク)3,3を一体的に構成した一体型の出力側ディスク3Aの外周面に、動力伝達用の歯車(外周歯車)4Aが設けられるとともに、ケーシングに収容する前の段階で、入力軸(軸)1、所定の曲率の内側面2a,2aを有する入力側ディスク(第1ディスク)2,2、所定の曲率の内側面3a,3aを有する出力側ディスク3A、外周歯車4A、上下のヨーク23A,23B、トラニオン15、パワーローラ11、駆動装置32、油圧式のローディング機構(以下、押圧装置という)80、固定部材52(アッパープレート)等が一体に組み立てられてバリエータ43とされ、このバリエータ43をケーシング内に収容して取り付けるようになっている。
このようなバリエータ43においては、駆動装置32の駆動シリンダ31を構成する上側シリンダボディ61および下側シリンダボディ62に固定される下側の球面ポスト68と、アッパープレート52に固定される上側の球面ポスト64とが上下に一体に接合された柱状ポスト(支持部材)69とされ、バリエータ43において一対の柱状ポスト69がアッパープレート52と、駆動シリンダ31のシリンダボディ(上側シリンダボディ61および下側シリンダボディ62)を接続した状態となっている。
また、柱状ポスト69の上下の中央部分を入力軸1が貫通した状態となっている。この入力軸1に一対の入力側ディスク2,2、出力側ディスク3A、押圧装置80等が支持されている。
出力側ディスク3Aは、ラジアルニードル軸受35を介して入力軸1に相対回転自在に支持されている。また、一対の柱状ポスト69,69間に出力側ディスク3Aが配置され、この出力側ディスク3Aの軸方向両端には、出力側ディスク3Aを軸方向に位置決めするとともに軸回りに回転可能に支持するスラスト軸受60が設けられている。すなわち、柱状ポスト69と出力側ディスク3Aの小径側端部との間にスラスト軸受60が配置され、それにより、出力側ディスク3Aの入力軸1の軸方向に沿った位置が規制されるとともに、出力側ディスク3Aの軸回りの回転を許容している。
また、図2に示すように、パワーローラ11のスラスト荷重を受けるスラスト玉軸受24の外輪28には、これと一体に支持軸23cが形成される。また、トラニオン15の支持板部16の内側面が枢軸14の軸方向に軸方向を沿わせた凸状の円筒面の一部となっている。また、支持板部16の内側面に対向する外輪28の背面側には、支持板部16の突状の円筒面に当接する凹状の円筒面となっており、支持板部16に対して外輪28とともにパワーローラ11が首を振るように揺動することにより、パワーローラ11が、入力軸1の略軸方向に沿って変位可能となっている。
押圧装置80は、図中の左側の入力側ディスク2(無論、図4に示すように右側の入力側ディスク2であってもよい)の背面側(左側)に配置され、入力軸1の左端部に結合される第1シリンダ部81と、入力側ディスク2に一体的に設けられた第2シリンダ部82と、環状の第1ピストン部83と、環状の第2ピストン部84とを備えている。
第1シリンダ部81の内面と、第1ピストン部83と、入力軸1の外周面の一部とによって囲まれた空間は、第1油圧室85を構成している。また、第2シリンダ部82の内周面と、第2ピストン部84と、入力側ディスク2の背面と、入力軸1の外周面の一部とによって囲まれた空間は、第2油圧室90を構成している。
また、第1油圧室85を一部利用して、第1ピストン部83と第1シリンダ部81との間には、予圧を付与するための皿ばね(予圧部材)94が介挿され、この皿ばね94は、第1シリンダ部81に対し、入力軸1に沿って移動自在な第1ピストン部83を入力側ディスク2へ向けて付勢している。
このような押圧装置80では、第1油圧室85と第2油圧室90とに対して所定圧の圧油が送り込まれる。そして、これら両油圧室85,90内に、これら両油圧室85,90の軸方向寸法が増大する方向の力を惹起させる。
第1油圧室85に圧油が送り込まれると、第1ピストン部83が図1中右側(入力側ディスク2側)に押圧され、これによって、入力側ディスク2の背面に一体に形成された第2シリンダ部82を介して当該入力側ディスク2が右側に押圧される。同時に、第1シリンダ部81が左側に押圧され、この第1シリンダ部81と一体を成す入力軸1が左側へと移動することで、右側に位置し且つ入力軸1に軸方向外側(右側)への移動が規制されて設けられた入力側ディスク2が出力側ディスク3Aに向かって押圧される。
一方、第2油圧室90に圧油が送り込まれると、第2ピストン部84は図1中の左側への移動が規制されているので、入力側ディスク2が右側に押圧される。このように両油圧室85,90で発生した力は、何れも、入力側ディスク2を出力側ディスク3A側に向け押圧する。
このようにして、パワーローラ11のトラクション部が入出力側ディスク2,3Aの双方に転接し、入力側ディスク2の回転駆動力を所望の減速比で出力側ディスク3Aに伝達する。
ここで、本実施形態のトロイダル型無段変速機では、前述したように、入力側ディスク2および出力側ディスク3Aが所定の曲率を有するそれぞれの内側面2a,3a同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に設けられるが、ディスク2,3A間に挟持されるパワーローラ11の傾転中心Oは、ディスク2,3の曲率中心Oに対して、入力軸1と平行な方向であって出力側ディスク3Aに接近する方向にオフセットされている。そのようなディスク2,3の曲率中心Oに対してパワーローラ11の傾転中心Oがオフセットされた状態を図4に概念的に示す。
図4では、一例として、パワーローラ11の傾転軸受(トラニオン15の枢軸14)が嵌合するヨーク23A,23Bの支持孔18をオフセット(本実施形態の支持孔18’は、図8に示される従来の支持孔18から入力軸1と平行な方向であって出力側ディスク3Aに接近する方向にオフセットされている・・・図4には支持孔18,18’が破線の円で示される)させて加工することにより、パワーローラ11の傾転中心Oがディスク2,3の曲率中心Oに対して入力軸1に平行に且つ出力側ディスク3Aに接近する方向にδだけオフセットされる。この場合、オフセットされるパワーローラ11は、全てでなくてもよく、任意に設定できる。
また、本実施形態では、このようなパワーローラ11の傾転中心Oのオフセットに加えて、変速機の駆動を制御する図示しない制御部が、エンジン始動時においては、(エンジンが自力で回り始めて)油圧式ローディング機構である押圧装置80のローディング圧が完全に立ち上がるまで低速側の変速状態を維持し、エンジン停止時には、低速側の変速状態でエンジンを停止するように制御する。
具体的には、図5および図6のフローチャートに示される制御形態が実現される。すなわち、図5は、所定の温度(具体的には、例えば、数度℃)を下回る低温環境下でのエンジン始動時の制御形態を示すが、図示のように、低温環境下でのエンジン始動(ステップS1)は、温度センサ等によって現状が低温環境下であるか否かがチェックされる(ステップS2)ことから始まる。低温環境下でなければ、そのままエンジン始動が許容される(ステップS9)。低温環境下でのエンジン始動時とは、いわゆる雪が降るような寒冷地でのエンジン始動時を想定している。
一方、低温環境下である場合には、最初にローディング機構(押圧装置80)のローディング圧(ローダー圧)の指令値を最大値とし(ステップS3)、可能な限り速やかにローダー圧が立ち上がることを目標とする。次に、潤滑油の供給量の指令値を最小値とし(ステップS4)、ローディング機構に優先して油を供給する。その後、スターターモーターをゆっくり回し、トロイダル形無段変速機が伝達するトルクを可能な限り小さくする(ステップS5)。そして、ローディング圧が完全に立ち上がったか否かが圧力センサ等によりチェックされ(ステップS6)、ローディング圧が完全に立ち上がらない場合には、トロイダル形無段変速機の変速状態が低速側に維持される(ステップS7)。一方、ローディング圧が完全に立ち上がった場合には、変速開始を許容する(ステップS8)。
また、図6はエンジン停止時のフローチャートを示す。なお、このフローチャートの制御形態は、低温環境下であると否とにかかわらず実行される。
図示のように、この制御形態では、エンジン停止時に変速状態が強制的に低速側に切り換えられるようになっている(ステップS31)。具体的には、エンジン停止時には、変速比が低速側であるか否かが常にチェックされ(ステップS32)、低速側にない場合には、低速側に変速継続され(ステップS33)、変速比が低速側であると判断された場合に限りエンジンが停止される(ステップS34)。
以上説明したように、本実施形態によれば、パワーローラ11の傾転中心Oがディスク2,3Aの曲率中心Oに対して入力軸1と平行で且つ出力側ディスク3Aに接近する方向にオフセットされているため、低速側では、パワーローラ11が入力軸1に接近する方向にオフセットされ、1:1の変速比では変わらず(パワーローラ11がオフセットせず)、高速側では、パワーローラ11が入力軸1から離れる方向にオフセットされる。その結果、低温環境下のために強力な皿ばね94を設けなくても、パワーローラ11とディスク2,3との動力伝達部に大きな押し付け力が必要となる低速側では、低温環境下での始動に十分な押し付け力を発生させることができ、1:1の変速比および高速側では、押し付け力過多とならない(押し付け力が、変速比1:1では変わらず、高速側では逆に小さくなる傾向となる)構造の高効率なトロイダル形無段変速機を実現できる。
また、本実施形態では、低温環境下で、エンジン停止前に低速側へ変速して、変速完了後にエンジンを停止し、エンジン始動時に、ローディング機構による押し付け力が完全に発生するまで低速側を維持し続けるという制御を行なうため、低温環境下でも安定して確実にエンジン始動が行なえる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、トロイダル型無段変速機では、入力側ディスクと出力側ディスクとの入出力関係を逆にする場合もある。したがって、本発明は、入力側ディスク2と出力側ディスク3とを入れ替えた場合にも適用できる。
また、本発明は、ダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機、シングルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機、フルトロイダル型無段変速機等のトロイダル型無段変速機に適用することができる。
1 入力軸(軸)
2 入力側ディスク(第1ディスク)
3A 出力側ディスク(第2ディスク)
11 パワーローラ
80 押圧装置(油圧式ローディング機構)
ディスクの曲率中心
パワーローラの傾転中心

Claims (3)

  1. 軸に結合され且つ該軸と一体で回転する第1ディスクと、この第1ディスクとの間に設けられた傾転可能なパワーローラを介して前記第1ディスクの回転力を所定の変速比で受ける第2ディスクとを備え、前記第1ディスクおよび前記第2ディスクは、所定の曲率を有するそれぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に設けられる、トロイダル型無段変速機において、
    前記パワーローラの傾転中心は、前記ディスクの曲率中心に対して、前記軸と平行な方向であって前記第2ディスクに接近する方向にオフセットされていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 変速機の駆動を制御する制御部と、前記第1ディスクを前記第2ディスクへ向けて押圧する油圧式のローディング機構とを更に備え、
    前記制御部は、エンジン始動時においては、前記ローディング機構のローディング圧が完全に立ち上がるまで低速側の変速状態を維持し、エンジン停止時には、低速側の変速状態でエンジンを停止するように制御することを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  3. 所定の温度を下回る低温環境下でのエンジン始動において、前記制御部は、(a)スターターモーターをゆっくり回す、(b)ローディング圧の指令値を最大値にする、(c)調節可能な潤滑油量の指令値を最小値にする、のうちの少なくとも1つを行なうことを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
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