JP6766382B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP6766382B2
JP6766382B2 JP2016047930A JP2016047930A JP6766382B2 JP 6766382 B2 JP6766382 B2 JP 6766382B2 JP 2016047930 A JP2016047930 A JP 2016047930A JP 2016047930 A JP2016047930 A JP 2016047930A JP 6766382 B2 JP6766382 B2 JP 6766382B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
input
input side
thrust
discs
output
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016047930A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017161037A (ja
Inventor
西村 健
健 西村
井上 英司
英司 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2016047930A priority Critical patent/JP6766382B2/ja
Publication of JP2017161037A publication Critical patent/JP2017161037A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6766382B2 publication Critical patent/JP6766382B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Friction Gearing (AREA)

Description

本発明は、トロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機として、図11および図12に記載されているものが知られている。
このダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図11および図12に示すように構成されている。図11に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転可能に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2、2と2つの出力側ディスク3、3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転可能に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a、4aには、出力側ディスク3、3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された中間壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
図11に示すように、出力側ディスク3、3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5、5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転可能に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1とともに回転するようになっている。また、入力側ディスク2、2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a、2aと出力側ディスク3、3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a、3aとの間には、パワーローラ11(図12参照)が回転可能に挟持されている。
図11中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図11の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2、2、3、3の凹面2a、2a、3a、3aとパワーローラ11、11の周面11a、11aとの当接部に押圧力(予圧)を付与する。
図12は、図11のA−A線に沿う断面図である。図12に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14、14を中心として揺動する一対のトラニオン15、15が設けられている。なお、図12においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15、15は、支持板部16の長手方向(図12の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20、20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20、20によって、各トラニオン15、15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20、20の外側面には、各枢軸14、14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14、14を中心として各トラニオン15、15を揺動させることにより、これら各トラニオン15、15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15、15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転可能に支持されており、各パワーローラ11、11は、各入力側ディスク2、2および各出力側ディスク3、3の間に挟持されている。なお、各変位軸23、23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15、15の枢軸14、14はそれぞれ、一対のヨーク23A、23Bに対して揺動自在および軸方向(図12の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A、23Bにより、トラニオン15、15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A、23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A、23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A、23Bの幅方向(図11の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、球面ポスト64、68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ(シリンダボディ)31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15、15に設けられた各変位軸23、23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23、23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2、2、3、3の回転方向に対して同方向(図12で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11、11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、ローディングカム式の押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11、11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受(スラスト軸受)24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(転動体)26、26と、これら各転動体26、26を転動可能に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15、15の一端部(図12の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29、29が設けられており、各駆動ロッド29、29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33、33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33、33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33、33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15、15を、これらトラニオン15、15の枢軸14、14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、ローディングカム式の押圧装置12を介して、各入力側ディスク2、2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2、2の回転が、一対のパワーローラ11、11を介して各出力側ディスク3、3に伝えられ、さらにこれら各出力側ディスク3、3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33、33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33、33の変位に伴って、一対のトラニオン15、15が互いに逆方向に変位する。例えば、図12の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。
その結果、これら各パワーローラ11、11の周面11a、11aと各入力側ディスク2、2および各出力側ディスク3、3の内側面2a、2a、3a、3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15、15が、ヨーク23A、23Bに枢支された枢軸14、14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11、11の周面11a、11aと各内側面2a、3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11、11およびこれら各パワーローラ11、11に付属の外輪28、28が、各変位軸23、23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28、28の外側面と各トラニオン15、15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25、25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23、23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、自動車の変速機として用いられるトロイダル型無段変速機の場合には、例えば高速道路の下り坂を走行する場合、或は高速走行時にエンジンブレーキをかける場合のように、入力軸1が低トルクで高速回転した場合に、パワーローラ11に加わるスラスト荷重を支承するためのスラスト玉軸受24の耐久性が損なわれる。
スラスト玉軸受24を低荷重の下で高速回転させると、玉26に発生するジャイロモーメントにより、スラスト玉軸受24の玉26に滑りが発生する。このような滑りは、摩擦抵抗の増大によりスラスト玉軸受24の回転トルクや発熱量を増大させて、このスラスト玉軸受24の耐久性を低下させる。ここで、トロイダル型無段変速では押圧機構としてローディングカムを採用する場合がある。ローディングカム機構の場合は、低トルク領域においてローディングカムによる押圧力は小さくなりすぎてしまう。ローディングカム式の押圧装置12では、油圧式の押圧装置のように制御により押圧力を高くすることができないが、油圧の供給装置や制御装置を必要とせず、コストの低減と軽量化を図り易い。
このようなローディングカム式の押圧装置12を用いた場合に、押圧力が入力トルクに応じて変動し、入力トルクが小さいと押圧力が小さくなってしまいパワーローラ11のスラスト玉軸受24に上述の滑りを発生させてしまう。それに対して、大きな荷重(入力トルク)の下でスラスト玉軸受24を高速回転させた場合には、滑りが発生しないことから、皿ばね8による押圧力を強くして、上述のスラスト玉軸受24の滑りを抑制することが考えられる。ローディングカム式の押圧装置12を備えるトロイダル型無段変速機に、例えば皿ばね8等の予圧発生機構が必要な理由としては、第1にトラクション面の動力伝達のための面直力の確保と、第2に、パワーローラ11のスラスト玉軸受24の上述の滑りによる急激な発熱、破損の防止の2点が挙げられる。
しかし、皿ばね8の付勢力を大きくすると、トロイダル型無段変速機の各部材同士の接触部分に、常に(低回転時にも)大きな面圧が加わることになる。この結果、これら各接触部分の摩擦抵抗が増大し、トロイダル型無段変速機の伝達効率が低下する。そこで、遠心力を利用して、例えば入力軸1が高速回転した場合に、スラスト玉軸受24にかかる荷重を大きくして、上述の滑りを抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、予圧に使用される皿ばね8の付勢力は、製造上の誤差に基づいてある程度ばらつきが生じることが避けられない。また、皿ばね8が挟持された状態に配置される部分の皿ばね8を挟む間隔もある程度ばらつくことが避けられない。この間隔が異なった場合には、皿ばね8により得られる予圧の大きさが変化し、設計値通りに安定した性能を得られなくなる。そこで、予圧に、油圧を用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照)
特開平9−144825号公報 特開平10−196751号公報
ところで、トロイダル型無段変速機を自動車の変速機以外の用途で用いる試みがなされている。その1つとして航空機用発電機への利用が考えられる。交流発電機では、出力される交流電流の周波数を一定にするのに、発電機の回転数(単位時間当たり回転数:回転速度)を一定にすることが行われており、航空機用発電機には、航空機のエンジン(例えば、ターボジェット)のタービンの回転により発電機を駆動する際に、エンジンのタービンの回転軸と発電機との間に変速機を介在させて、回転数が変化するエンジンからの入力に対して発電機への出力の回転数が一定になるように変速している。また、航空機用発電機の一部としてのトロイダル型変速機は、小型軽量であることを求められている。
このような航空機用発電機にトロイダル型無段変速機を用い、トロイダル型無段変速機の上述の押圧装置にローティングカム式のように入力トルクにより押圧力が変化する押圧装置を用いた場合に、パワーローラのスラスト(玉)軸受で上述のジャイロモーメントに基づく滑りの問題が生じる。
上述のように発電機用のトロイダル型変速機において、図13に示すように出力回転数(出力側ディスクの回転数NOD)が一定で入力回転数(入力側ディスクの回転数NID)が変動する場合に、例えば、一定となる出力側ディスクの回転数NODに対して入力側ディスクの回転数NIDが相対的に高い場合に減速し、入力側ディスクの回転数NIDが相対的に低い場合に増速することになるので、図13に示すように減速側で入力側ディスクの回転数NIDおよびパワーローラの回転数NPRが高くなる。なお、図13以降の各グラフは、各項目の相対関係を示したものであり、実際の数値に基づくグラフではないので、横軸および縦軸に目盛や単位を記載していない。また、横軸に減速比(変速比)として減速側および増速側と記載されているグラフにおいて、例えば、必ずしも最終的な変速比が1となる部分を境に減速側と増速側に分けているわけではない。ここで、図13においては、変動する入力側ディスクの回転数NIDが一定となる出力側ディスクの回転数NODより小さい場合に増速側とし、大きい場合に減速側としているが、他のグラフにおいて、一定となる出力側ディスクの回転数NODを基準として増速側と減速側とに分けているわけではない。
航空機用発電機のトロイダル型変速機は、サイズ、重量低減の目的から高回転数での運用が求められているため、パワーローラが、スラスト荷重が低い状態で高速回転し、上述のパワーローラのスラスト玉軸受の滑り(特にジャイロモーメントに起因する滑り)の抑制が課題となる。図14に高回転時におけるパワーローラのスラスト軸受のスラスト力(Fpr:横軸)とスラスト軸受の発熱量(縦軸)の関係を示す。図14に示されるように、パワーローラのスラスト軸受(PR−BRG)にかかるスラスト力(荷重)が、ある点(図14の縦の点線)より小さくなると、滑りに伴う急激な発熱が発生する。よって、設計上パワーローラのスラスト軸受のスラスト力は、滑りによる急激な発熱が発生しない値(図14の縦の点線の位置より右)とすることが求められており、そのための予圧力設定が必要である。
すなわち、航空機用発電機での使用を考慮すると、巡航速度で飛行中は、スラスト荷重が低い状態でパワーローラが高速回転する状態が長時間継続する虞があり、スラスト軸受の寿命に対する影響が大きいので、スラスト軸受の滑りに伴う急激な発熱等を抑制するために皿ばねなどによる予圧の付与が考えられる。図15は、減速比と、出力側ディスク(OD)を押圧する皿ばねに基づくパワーローラのスラスト軸受にかかるスラスト力(破線)Bおよび急激な発熱を抑制するのに必要な皿ばねに基づくパワーローラのスラスト軸受にかかるスラスト力(実線)Aとの相対関係を示すグラフである。図16は、減速比に係わらず皿ばねによるスラスト力Bが必要とされるスラスト力Aより大きくなるように皿ばねのスラスト力Bを設定した場合のスラスト力と減速比のグラフである。
図16に示すように高回転となる減速時にスラスト軸受で滑りに伴う急激な発熱が発生しないように皿ばねの推力を設定すると、他の減速比条件では過押し付け状態となり、バリエータ(変速機)の動力伝達効率が低下することが懸念される。すなわち、図15、図16のグラフにおいて、スラスト軸受で急激な発熱が発生しないために必要とされるスラスト力Aを示す実線は、増速側から減速側に向かうにつれて大きくなる。それに対して、出力側ディスク(OD)を押圧する皿ばねに基づくスラスト力Bを示す破線は、増速側から減速側に向かうにつれて小さくなる。したがって、図16に示すように、皿ばねによるスラスト力を必要となるスラスト力より大きくすると、増速側で、必要なスラスト力に対して実際のスラスト力が過大となってしまう。
また、皿ばねが入力側ディスクを出力側ディスクに向かって押す場合と、皿ばねが出力側ディスクを入力側ディスクに向かって押す場合とでは、皿ばねの両ディスクの中心線(回転中心)に沿った推力が同じでも、後述のようにスラスト軸受にかかるスラスト力が異なる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、変動する入力回転数に対して出力回転数を一定とするように変速する場合に、入力回転数が高くなる(変速比が減速側に変化する)につれてパワーローラのスラスト軸受のスラスト荷重を大きくできる押圧装置を備えるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のトロイダル型無段変速機は、それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ回転可能に設けられた入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これら両ディスクの間に挟持されるパワーローラと、通過トルクに応じた押圧力で前記両ディスクを互いに近づけ合う方向に押圧する第1の押圧装置とを備え、変動する入力回転数に対して出力回転数が一定になるように変速させるためのトロイダル型無段変速機において、
前記入力側ディスクの回転数が高くなるにつれて前記パワーローラに作用するスラスト力が大きくなるように前記両ディスクを互いに近づけ合う方向に押圧する第2の押圧装置を備え、
前記第1の押圧装置が前記出力側ディスクを前記入力側ディスクに向かって押圧するように設けられ、前記第2の押圧装置が前記入力側ディスクを前記出力側ディスクに向かって押圧するように設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、出力回転数が一定となるように作動させられ、入力側ディスク(パワーローラ)の回転数(回転速度)が高くなった場合(変速比が減速側に変化する場合)に、第1の押圧装置の押圧力に基づいてパワーローラにかかるスラスト力が不足する虞があるが、第2の押圧装置による押圧力に基づいてパワーローラの回転速度が速くなるにつれて大きくなるスラスト力を加えることができる。
これにより、パワーローラの高速回転時に、上述の押圧力に基づいてパワーローラ(そのスラスト軸受)にかかるスラスト力が不足するのを防止できる。したがって、パワーローラの高速回転時にスラスト力の不足によりスラスト軸受の転動体のジャイロモーメントに起因する滑りにより、スラスト軸受が急激に発熱するのを抑制し、パワーローラのスラスト軸受の長寿命化を図ることができる。
なお、第1の押圧装置は、例えば、ローディングカム式の押圧装置であり、パワーローラの減速側での高速回転時に押圧力が十分に大きくならず、パワーローラのスラスト軸受に十分なスラスト力を与えられない可能性がある。それに対して、入力側ディスクを出力側ディスクに向かって押圧する第2の押圧装置は、例えば、押圧力が変速比に係わらず一定でも減速側(パワーローラの高速回転側)でパワーローラのスラスト軸受に作用するスラスト力が大きくできる。これにより、パワーローラの高速回転時に、スラスト軸受に十分なスラスト力を発生させることができる。なお、例えば、第2の押圧装置として、遠心油圧により入力側ディスクの回転数が高くなるにつれて、押圧力が高くなる機構を用いても良い。この場合に、入力側ディスクの低速回転時に第2の押圧装置による押圧力を下げることができ、回転の伝達効率の低下を防止できる。
本発明によれば、出力回転数を一定となるように変速するトロイダル型無段変速において、パワーローラのスラスト軸受のジャイロモーメントに起因する滑りを抑制して長寿命化を図ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の入力側ディスク部分を示す断面図である。 同、一方の出力側ディスクおよびローディングカム部分を示す断面図である。 同、皿ばねに基づく推力およびパワーローラにかかるスラスト力と、皿ばねの位置と、パワーローラの入力側ディスクおよび出力側ディスクとの接触位置との関係を説明するための図である。 同、スラスト軸受の大きな発熱を抑制するのに必要なスラスト力、出力側ディスクを押圧する皿ばねに基づくスラスト力および入力側ディスクを押圧する遠心油圧に基づくスラスト力と、減速比との相対関係を示すグラフである。 同、スラスト軸受の大きな発熱を抑制するのに必要なスラスト力、入力側ディスクを押圧する皿ばねに基づくスラスト力および入力側ディスクを押圧する遠心油圧に基づくスラスト力と減速比との相対関係を示すグラフである。 同、スラスト軸受の大きな発熱を抑制するのに必要なスラスト力および入力側ディスクを押圧する皿ばねに基づくスラスト力と、減速比との相対関係を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の入力側ディスク部分を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の入力側ディスク部分を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の入力側ディスク部分を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の入力側ディスク部分を示す断面図である。 従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。 図11におけるA−A線に沿う断面図である。 航空機用発電機で用いられるトロイダル型無段変速機で想定される減速比と入力側ディスク(ID)、出力側ディスク(OD)およびパワーローラ(PR)それぞれの回転数と減速比との相対関係を示すグラフである。 航空機用発電機のトロイダル型無段変速機で想定されるパワーローラのスラスト軸受のスラスト力と発熱量との相対関係を示すグラフである。 航空機用発電機のトロイダル型無段変速機で想定されるパワーローラのスラスト軸受の滑りによる大きな発熱を抑制するのに必要と想定される皿ばねに基づくパワーローラにかかるスラスト力と、減速比との相対関係を示すグラフである。 航空機用発電機のトロイダル型無段変速機でパワーローラのスラスト軸受の滑りによる大きな発熱を抑制するのに必要と想定される皿ばねによるスラスト力およびこのスラスト力より常に大きな皿ばねのスラスト力と減速比との相対関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1および図2に、本発明の第1の実施の形態のトロイダル型無段変速機の要部を示す。図1には、出力軸10の中央部に配置される一対の入力側ディスク2、2を示し、図2には、出力軸10の中央部の一対の入力側ディスク2、2に対向する出力側ディスク3のうちの一方だけを図示している。
本実施の形態のトロイダル型無段変速機は、航空機用発電機で用いられる変速機であり、航空機のエンジンからの回転数が変動する回転を一定の回転数となるように変速して発電機に出力する。また、本実施の形態のトロイダル型無段変速機は、従来のトロイダル型無段変速機と同様の一対の入力側ディスク2、2と一対の出力側ディスク3(図2に1つだけ図示)とを有するダブルキャビティ式のハーフトロイダル型無段変速機であるが、従来のトロイダル型無段変速に対して入力側の構成と出力側の構成が略逆になっている。ただし、基本的な構成は上述の従来の自動車用のトロイダル型無段変速機と同様であり、従来と同様の構成とすることができる部分の説明を一部省略している。
本実施の形態のトロイダル型無段変速機は、ケーシング(図11に図示)の内側に、出力軸10が回転可能に支持されており、この出力軸10の外周には、2つの入力側ディスク2、2と2つの出力側ディスク3とが取り付けられている。また、出力軸10の中間部の外周には出力軸10の中央部分の外周面を覆う円筒状の支持筒部35が設けられている。
出力軸10と同心的に配置される支持筒部35は、その内側に回転自在に出力軸10が配置され、その外側に一対の入力側ディスク2、2が回転自在に配置されている。また、これら入力側ディスク2、2は、互いに背面側を対向させた状態で配置されるとともに、これら一対の入力側ディスク2、2の間に入力歯車36が一対の入力側ディスク2、2と一体に回転するように配置されている。入力歯車36は、従動歯車として、例えば、エンジンのタービンの回転軸から回転力が歯車を介して入力歯車36に入力される。
一対の出力側ディスク3(図2に一方の出力側ディスク3だけ図示)は、出力軸10の外周側に中央部の一対の入力側ディスク2、2を鋏むようにこれらの外側にそれぞれ配置され、一方の入力側ディスク2と一方の出力側ディスク3が対向し、他方の入力側ディスク2に他方の出力側ディスク3が対向して配置されている。これら入力側ディスク2、2と出力側ディスク3との間に、それぞれ一対ずつのパワーローラ11(図12に図示)が配置されている。
ケーシング側に固定されて支持筒部35を支持する一対の柱状のポスト37、37が設けられている。なお、ポスト37、37は、上述の一対のヨーク23A、23Bを支持するようになっている。
支持筒部35の内部には、複数のラジアルニードル軸受38により出力軸10を回転可能に支持できるようになっている。支持筒部35は、一対の入力側ディスク2、2の中心に軸方向に沿って設けられた貫通孔を貫通した状態に配置されている。各入力側ディスク2、2は、それらの貫通孔内にそれぞれ軸方向に並んで配置された一対ずつのラジアル軸受により、支持筒部35に対して回転自在に取り付けられている。すなわち、入力側ディスク2の貫通孔の大径側の内周側にはラジアル玉軸受39が配置され、小径側にラジアルコロ軸受40が配置されている。
入力側ディスク2、2の背面側には、入力側ディスク2、2の回転中心を中心とし、この中心方向(軸方向)に沿って背面側に突出する環状凸部41が設けられている。環状凸部41は、その外周面および内周面が上述の中心方向と平行になるように形成されている。また、環状凸部41の背面には、その内周部分から回転中心方向に沿って突出する環状突起42が設けられている。環状凸部41の背面は、環状突起42の背面も含めて回転中心方向に直交する平面となっている。また、一対の入力側ディスク2、2の環状突起42の外周面には、入力歯車36の後述する貫通孔83の内周面が例えばスプライン結合され、一対の入力側ディスク2、2と、入力歯車36とが一体に回転可能となっている。
また、入力側ディスク2、2の環状凸部41(環状突起42)の内周側は、途中に2つの段差を有する貫通孔43となっており、小径側の段差の背面側には、上述のラジアルコロ軸受40が配置され、ラジアルコロ軸受40より背面側の大径の段差のさらに背面側にラジアル玉軸受39が配置されている。
また、一対の入力側ディスク2、2の間には、上述の入力歯車36が配置されている。入力側ディスク2、2の背面同士の間の間隔は、環状凸部41の間が狭く、その外周側で広くなっているのに対応して入力歯車36は、外周側の軸方向に沿った幅が広く、内周側の軸方向に沿った幅が狭くなっており、その上半分の断面形状が逆凸字状となっている。この幅が広い部分としての外周部81の外周面に入力歯車36の歯が設けられている。
また、入力歯車36の幅が狭くなった部分としての内周部82のさらに内周側が貫通孔83となっている。この貫通孔83の両端の開口から入力側ディスク2、2の環状突起42が挿入され、貫通孔83の内周面に上述のように入力側ディスク2、2の環状突起42の外周面がスプライン結合している。
出力軸10の内部には、軸方向に沿う油路70が設けられており、潤滑油は、出力軸10に設けられた油路70から出力軸10の径方向に沿って潤滑油を外周側へ排出させる油路71により、支持筒部35のラジアルニードル軸受38に潤滑油が供給される。ラジアルニードル軸受38から支持筒部35の油路72により入力側ディスク2、2のラジアルコロ軸受40およびラジアル玉軸受39に潤滑油が供給される。この潤滑油は、入力側ディスク2、2の環状突起42の内側の貫通孔43に供給された状態となり、この状態の潤滑油は、入力歯車36の貫通孔83の内周面の内側で、一対の入力側ディスク2、2の環状突起42、42の背面同士の間に形成された第1の油圧室73に流入するとともに、入力歯車36の内周部82の側面と入力側ディスク2、2の環状凸部41の背面との間の第2の油圧室74に流入する。第1の油圧室73および第2の油圧室74に流入する潤滑油(油)は、潤滑油用のポンプにより供給されたものであり、潤滑油の供給用の圧しか作用していないが、入力側ディスク2、2が回転するので入力側ディスク2、2の貫通孔43内に流入した潤滑油は、遠心力に貫通孔43から第1の油圧室73および第2の油圧室74内に押し込まれる状態となる。したがって、第1の油圧室73および第2の油圧室74において、入力側ディスク2、2が回転することにより生じる遠心油圧により、入力側ディスク2、2をその軸方向に沿って出力側ディスク3、3に向かって押圧する推力が生じる。したがって、入力側ディスク2、2の回転速度が速くなるにつれて、遠心油圧に基づく推力が大きくなる。したがって、第1の油圧室73および第2の油圧室74は、入力側ディスクの回転数が高くなるにつれてパワーローラ11に作用するスラスト力が大きくなるように両ディスク2、3を互いに近づけ合う方向に押圧する第2の押圧装置である。
また、一対の入力側ディスク2、2の環状凸部41の外周面には、シール溝が形成され、このシール溝に環状のシール45が設けられている。すなわち、入力歯車36の外周部81の内側は、内周部82の側面まで円柱状の孔であり、外周部81の左右の内周側には、それぞれ入力側ディスク2、2の環状凸部41が挿入された状態で、環状凸部41の外周面と、入力歯車36の外周部81の内周面が当接した状態となっており、この環状凸部41の外周面と、外周部81の内周面との間に上述のシール45が設けられている。このシール45により、第1の油圧室73および第2の油圧室74の潤滑油の漏出を防止している。
また、入力歯車36の側面の外周側の角部分には、外周側と側面側に開放する円環状の溝(切欠部)が設けられ、この溝内には、入力歯車36の外周部81の側面と、入力側ディスク2、2の環状凸部41より外周側の背面との間に挟まれた状態の環状の皿ばね75が配置されている。
この皿ばね75は、エンジンの作動非作動に係わらず、常時、入力側ディスク2、2を出力側ディスク3に向かって軸方向に沿って押圧し、入力側ディスク2、2と出力側ディスク3との間にパワーローラ11を挟持した状態とするとともに、上述の遠心油圧と合わせてパワーローラ11およびそのスラスト玉軸受24にスラスト力を作用させる。なお、入力側ディスク2を押圧する皿ばね75は、後述するように減速側でパワーローラ11に対するスラスト力が大きくなり、出力回転数を一定とすると回転速度が高速側でスラスト力が大きくなり、入力側ディスク2、2の回転数が高くなるにつれてパワーローラ11に作用するスラスト力が大きくなるように両ディスク2、3を互いに近づけ合う方向に押圧する第2の押圧装置の一部となる。
図2に示すように一方の出力側ディスク3は、出力軸10の一方の端部(図中右側)にボールスプライン76を介して、出力軸10と一体に回転するとともに軸方向に移動可能に接合されている。また、図示しない他方の出力側ディスク3は、出力軸10の他方の端部にスプライン結合され、出力軸10と一体に回転可能で、かつ、軸方向に移動しないようにされている。
一方の出力側ディスク3の背面側には、ローディングカム式の押圧装置12が設けられている。出力軸10の一方の端部には、径が大きくされた拡径部が設けられ、拡径部78とそれより出力軸10の内側に配置される出力側ディスク3との間にローディングカム式の押圧装置12のカム板77が配置され、カム板77と拡径部78との間には、アンギュラ軸受79が配置され、出力軸10を回転中心としてカム板77が回転可能とされるとともに、押圧に際し、カム板77にかかるスラスト力をアンギュラ軸受79で受けている。
出力側ディスク3の背面とカム板77のカム面との間には、複数のコロ85が配置されている。
押圧装置12は、押圧装置12を通過する通過トルクに応じた出力軸方向に沿う推力を発生するようになっており、通過トルクが大きいほど、押圧装置12で生じる押圧力(推力)が大きくなる。
なお、出力軸10の他方の端部には、上述のように図示しない他方の出力側ディスク3が取り付けられているので、押圧装置12により、一方の出力側ディスク3が中央側の入力側ディスク2に向かって押された状態となるとともに、押圧装置12が出力軸10を引っ張った状態となり、出力軸10に固定されている他方の出力側ディスク3を入力側ディスク2に押し付ける状態となる。
なお、本実施の形態のトロイダル型無段変速機の図1および図2に図示していないトラニオン、ヨーク等の部材は、従来と同様の部材を用いることが可能であるが、本実施の形態では、入力側の部材の配置と、出力側の部材の配置とが入れ替わっている部分があり、例えば、入力軸1に代えて出力軸10が設けられ、出力歯車に代えて入力歯車36が設けられるように、従来と本実施の形態とで、入力側の部材と、出力側の部材とが入れ替わる場合がある。
また、本実施の形態において、皿ばね75は、入力側ディスク2を押圧するものであることが好ましいが、出力側ディスク3を押圧するものであってもよい。また、皿ばね75を一対の入力側ディスク2、2のそれぞれと、入力歯車36との間に設けたが、一方の入力側ディスク2と入力歯車36との間にだけ、皿ばね75を設けるものとしてもよい。
また、第1の油圧室73と第2の油圧室74を設けたが、第1の油圧室73または第2の油圧室74だけを設けるものとしてもよい。また、第2の油圧室74を設ける場合に、第2の油圧室74を一対の入力側ディスク2、2の両方に設けたが、片方だけに設ける構成としてもよい。
本実施の形態のトロイダル型無段変速機においては、航空機用発電機で用いられ、例えば、タービンを有するジェットエンジンのタービンの回転軸から回転力が入力歯車36に伝達される。入力歯車36は一対の入力側ディスク2、2と一体に回転可能となっており、入力歯車36が回転した際に一対の入力側ディスク2、2が回転することになる。これら入力側ディスク2、2の回転は、パワ-ローラ11を介し出力側ディスク3に伝達されるとともに、この際に変速(減速)されることになり、エンジンの回転数が変化しても、トロイダル型無段変速機を介して発電機に出力される回転数は一定とされる。
この際には、各入力側ディスク2、2と各出力側ディスク3との間に、押圧装置12による出力軸10方向に沿った押圧力(推力)Faと、入力側ディスク2、2の回転に基づく第1の油圧室73および第2の油圧室74で生じる遠心油圧による出力軸10方向に沿った押圧力Faと、皿ばね75による出力軸10方向に沿った押圧力Faとが作用する。
これら押圧力に基づきパワーローラ11およびそのスラスト玉軸受24にスラスト力Fpr(接触力Fc)が作用することになる。ここで、皿ばね75による押圧力を例に取って図3を参照して押圧力である出力軸方向に沿った推力Faと、接触力Fc(スラスト力Fpr)との関係を説明する。
ここで、皿ばね75を出力側ディスク3に設けたと仮定した場合に、パワーローラ11と出力側ディスク3の内側面3aとの接触点で押圧力Faが作用し、スラスト力Fcは、例えば、押圧力Faの内側面3aの法線方向に沿った成分の力となる。
この場合に、皿ばね75の推力Faが変速比(減速比)に係わらず一定とした場合に、出力側ディスク3の内側面3aと、パワーローラ11の接触位置が出力側ディスク3の外周側に配置されている減速側の場合より、出力側ディスク3の内周側に配置されている増速側の方が、スラスト力Fcが大きくなる。
また、本実施の形態のように皿ばね75を入力側ディスク2に設けた場合に、パワーローラ11と入力側ディスク2の内側面2aとの接触位置で押圧力Faが作用し、スラスト力Fcは、例えば、押圧力Faの内側面2aの法線方向に沿った成分の力となる。
この場合に、皿ばね75の推力Faが変速比(減速比)に係わらず一定とした場合に、入力側ディスク2の内側面2aと、パワーローラ11の接触位置が入力側ディスク2の外周側に配置されている増速側の場合より、入力側ディスク2の内周側に配置されている減速側の方が、スラスト力Fcが大きくなる。すなわち、出力側ディスク3を入力側ディスク2に向けて押圧する場合は、パワーローラ11にかかるスラスト力は、減速側で小さく、増速側で大きくなる。この場合に出力回転数一定とすると、スラスト力は、入力回転数が遅くなると大きくなり、速くなると小さくなる。また、入力側ディスク2を出力側ディスク3に向けて押圧する場合は、パワーローラ11にかかるスラスト力は、増速側で小さく、減速側で大きくなる。この場合に出力回転数が一定とすると、スラスト力は、入力回転数が遅くなると小さくなり、速くなると大きくなる。
また、図4のグラフでは、横軸が変速比(減速比)、縦軸がスラスト力となっており、スラスト玉軸受24でジャイロモーメントに起因する滑りを防止する際に、押圧装置12の押圧力に基づくスラスト力に加えて必要となるスラスト力Aと、出力側ディスク3に設けられた皿ばね75によるスラスト力Bと、上述の遠心油圧に基づくスラスト力Cとを示す。
上述の滑りを防止するためには、スラスト力Aよりスラスト力Bとスラスト力Cとの和であるスラスト力B+Cが大きくなっている必要がある。
なお、皿ばね75を、出力側ディスク3を押圧するように設けた場合に、スラスト力Bが、増速側で大きく減速側で小さくなるが、逆に必要とされるスラスト力Aが増速側で小さく減速側で大きくなると、変速機の伝達効率が悪くなる虞がある。ただし、入力側ディスク2を押圧する遠心油圧は、入力側ディスク2を押圧することから増速側より減速側でスラスト力が大きくなるとともに、増速側で入力側ディスクの回転が速くなって遠心油圧が大きくなることから、遠心油圧によるスラスト力は、減速側となるにしたがって、押圧力が大きくなるので、効率的に、スラスト力B+Cがスラスト力Aより大きくなるようにできる。
図5のグラフは、図4のグラフの出力側ディスク3側の皿ばね75のスラスト力Bに代えて、入力側ディスク側の皿ばね75によるスラスト力Dを図示したものである。
この場合にも、必要とされるスラスト力Aに対してスラスト力Cとスラスト力Dの和であるスラスト力C+Dが大きければ、上述のスラスト玉軸受24の滑りを防止することができる。
この場合には、入力側ディスク2を押圧するように設けられた皿ばね75のスラスト力が増速側より減速側で大きくなるので、図4に示す場合より効率的にスラスト力をパワーローラ11に作用させることができるので、皿ばね75による押圧力や、遠心油圧による押圧力を少し下げることができ、図4に示す場合よりも伝達効率を向上することができる。
図6のグラフは、図5のグラフにおける入力側ディスク2を押圧する皿ばね75の押圧力を大きくして、皿ばね75によるスラスト力Dを大きくしたものであり、遠心油圧によるスラスト力Cが無くとも、必要とされるスラスト力Aよりスラスト力Cを大きくしたものであり、遠心油圧なしで、皿ばね75によるスラスト力により上述の滑りを防止可能である。ただし、入力側ディスク2等が低速で回転している場合も、予圧としての押圧力が大きくなり、伝達効率が悪くなる虞がある。なお、遠心油圧を用いない例を後述の第5の実施の形態で説明する。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図7に示すように、第2の実施の形態では、第1の実施の形態の一対の入力側ディスク2、2と入力歯車36の嵌合部(例えば、スプライン結合部)を、軸方向移動を許容し、かつ動力伝達可能な構成とするために、例えばボールスプライン80を設けたものである。なお、第2の実施の形態で、一対の入力側ディスク2、2と入力歯車36とのスプライン結合をボールスプライン結合とした以外は、第2の実施の形態のトロイダル型無段変速機と、第1の実施の形態のトロイダル型無段変速機は同様の構成となっている。
第2の実施の形態では、第2の油圧室74に遠心油圧が作用した場合に、入力歯車36から一対の入力側ディスク2、2が離れる方向に力がかかることになる。
この場合に、入力歯車36に対して、入力側ディスク2、2が軸方向に円滑に移動可能となり、遠心油圧により入力側ディスク2、2が軸方向に移動するときの押圧力の損失が少なくなる。その結果、適切な押圧力を付与することが可能となり、伝達効率の向上を図ることができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図8に示すように、第3の実施の形態では、第1の実施の形態の皿ばね75、75の配置位置を第2の油圧室74、74内に変更したものである。なお、皿ばね75、75の位置以外の構成は、第2の実施の形態のトロイダル型無段変速機と第1の実施の形態とで同様である。
このような構成とすることにより、皿ばね75、75の部分の潤滑性が向上するため、皿ばね75、75と、入力側ディスク2、2との接触位置および皿ばね75、75との接触位置とにおけるフレッチングを抑制することができる。
なお、皿ばね75を一方の入力側ディスク2と入力歯車36との間の第2の油圧室74内だけに設けるものとしてもよい。また、一対の第2の油圧室74、74のうちの一方の第2の油圧室74だけを設け、この第2の油圧室74に皿ばね75を配置するものとしてもよい。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
図9に示すように、第4の実施の形態のトロイダル型無段変速機では、第1の実施の形態で、入力歯車36と、2つの入力側ディスク2、2とが別体となっていたのに対して、一方の入力側ディスク2と入力歯車36とを一体とし、他方の入力側ディスク2と入力歯車36とを別体としている。他方の入力側ディスク2と入力歯車36と一体となった一方の入力側ディスク2との間に上述の第1の油圧室73が設けられ、他方の入力側ディスク2と入力歯車36との間に上述の第2の油圧室74が設けられている。皿ばね75は、例えば、出力側ディスク3を押圧するように設けられるが、他方の入力側ディスク2と入力歯車36との間に設けられていてもよい。
また、一方の入力側ディスク2と一体となった入力歯車36の他方の入力側ディスク2側の側部において、入力歯車36の外周部81の内周側は、内周部82の側面まで円柱状の孔であり、外周部81の内周側には、他方の入力側ディスク2の環状凸部41が挿入された状態で、環状凸部41の外周面と、入力歯車36の外周部81の内周面がスプライン結合している。これにより、一体となった入力歯車36および一方の入力側ディスク2と、他方の入力側ディスク2とが一体に回転する。
本実施の形態のトロイダル型無段変速機によれば、一方の入力側ディスク2と入力歯車36とが一体となっているので、これら一方の入力側ディスク2と入力歯車36との間のスプライン嵌合部、シール部がなくなり、入力側ディスク2の移動による押圧力損失が低減できる。
なお、入力歯車36と一方の入力側ディスク2が製造時に一体ではなく、それぞれ別部品として製造された後に、溶接や圧入などで一体化するものとしてもよい。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。
図10に示すように、第5の実施の形態では、第1の実施の形態等の油圧室を設けないものとして、遠心油圧を用いることなく、皿ばね75の付勢力により、スラスト玉軸受24の上述の滑りを防止するようになっている。
すなわち、入力側ディスク2、2同士の間に第1の油圧室73がなく、入力側ディスク2、2と入力歯車36との間に第2の油圧室74がなく、入力側ディスク2、2と入力歯車36との間に皿ばね75が配置されている。この皿ばね75は、第1の実施の形態より付勢力が強いものとなっており、上述の図6に示すように、パワーローラ11のスラスト玉軸受24の滑りを防止するのに必要なスラスト力Aと入力側ディスク2を押圧する皿ばね75のスラスト力Dの両方とも変速比が減速側に向かうにつれてスラスト力が高くなるので、スラスト玉軸受24の滑りを防止することができる。
なお、本実施の形態では、上述の各実施の形態と同様に、航空機用発電機に、コンパクトに配置するためのスペース効率を考慮して従来の自動車用のダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機で出力側ディスク3を内側に配置し、入力側ディスク2を外側に配置しているのに対して、入力側ディスク2を内側に配置し、出力側ディスク3を外側に配置しているので押圧装置12が外側の出力側ディスク3を内側の入力側ディスク2、2に押し付けるようになっており、押圧装置12によるパワーローラ11へのスラスト力が減速時に上述のようにパワーローラ11のスラスト方向への押圧力の分力が小さくなるとともに低トルクでスラスト力が小さくなる。それに対して皿ばね75を入力側ディスク2に設けることで、遠心油圧を用いなくとも、スラスト玉軸受24の滑りによる発熱を防止できる。
上述の各実施の形態では、本発明を、ダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機に適用する場合を例にとって説明したが、これに限ることなく、本発明は、シングルキャビティ式のハーフトロイダル型やフルトロイダル型のトロイダル型無段変速機にも適用できる。
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
12 押圧装置(第1の押圧装置)
73 第1の油圧室(第2の押圧装置)
74 第2の油圧室(第2の押圧装置)
75 皿ばね(第2の押圧装置)

Claims (1)

  1. それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ回転可能に設けられた入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これら両ディスクの間に挟持されるパワーローラと、通過トルクに応じた押圧力で前記両ディスクを互いに近づけ合う方向に押圧する押圧装置とを備え、変動する入力回転数に対して出力回転数が一定になるように
    変速させるためのトロイダル型無段変速機において、
    前記入力側ディスが回転することにより生じる遠心油圧により、前記入力側ディスクの回転数が高くなるにつれて前記パワーローラに作用するスラスト力が大きくなるように、かつ前記パワーローラのスラスト玉軸受に、前記パワーローラの高速回転時のジャイロモーメントに起因する滑りが発生しないように、前記両ディスクを互いに近づけ合う方向に押圧する第1の油圧室および第2の油圧室と、
    前記入力側ディスクを前記出力側ディスクに向かって軸方向に沿って押圧され、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に前記パワーローラを挟持された状態とするとともに、前記遠心油圧と合わせて前記パワーローラおよび前記スラスト玉軸受にスラスト力を作用させる皿ばねを備え、
    前記押圧装置が前記出力側ディスクを前記入力側ディスクに向かって押圧するように設けられ、前記皿ばねが前記入力側ディスクを前記出力側ディスクに向かって押圧するように設けられていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
JP2016047930A 2016-03-11 2016-03-11 トロイダル型無段変速機 Active JP6766382B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016047930A JP6766382B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 トロイダル型無段変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016047930A JP6766382B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 トロイダル型無段変速機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017161037A JP2017161037A (ja) 2017-09-14
JP6766382B2 true JP6766382B2 (ja) 2020-10-14

Family

ID=59853864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016047930A Active JP6766382B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 トロイダル型無段変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6766382B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017161037A (ja) 2017-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012111562A1 (ja) トロイダル型無段変速機
TW201809506A (zh) 用於基於速度產生軸向力之系統和方法
JP6766382B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6331449B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4706920B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6729105B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6528358B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6515693B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP7459771B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP5772026B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP7524744B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP5819240B2 (ja) トロイダル型無段変速機構
JP6421647B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6729074B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6458443B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4587120B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4605497B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2024097392A (ja) トロイダル型無段変速機
WO2014148139A1 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6015253B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6364961B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6561554B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6661959B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6528359B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2013108511A (ja) トロイダル型無段変速機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191226

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200331

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200427

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200818

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200831

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6766382

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150