JP5185758B2 - 電池用ガスケット及びアルカリ乾電池 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物を用いて得られる電池用ガスケット及びアルカリ乾電池に関するものである。
従来、ポリアミド樹脂は、機械特性を始めとする各種特性、例えば成形加工性などにおいて優れているため、自動車部品、電子電気部品、工業機械部品などの各種部品に広く利用されている。しかしながら、近年の産業の高度化に伴い、従来は必要とされていない多様な特性がポリアミド樹脂に求められてきている。
例えば、ポリアミド樹脂が有する優れた成形加工性を利用して、従来、金属製の自動車部品、電子電気部品、工業機械部品をポリアミド樹脂製に代替しようとする試みがなされている。ところが、ポリアミド樹脂は一般に耐水性に優れていない。そこで、その耐水性を向上させることを目的として、吸水率を低下させたポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1参照)。かかるポリアミド樹脂組成物は従来のものと比較して、耐水性に優れるポリアミド樹脂組成物である、とされている。また、耐湿熱性を向上させたポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この組成物は従来のものと比較して成形性及び耐湿熱性に優れるポリアミド樹脂組成物である、とされている。
特開2000−86890号公報 特開2005−78890号公報
しかしながら、ポリアミド樹脂の使用環境の変化に伴い、ポリアミド樹脂に求められる要求スペックが年々厳しくなっている。そのため、特許文献1、2に記載のようなポリアミド樹脂組成物であっても、そのスペックを十分に満足できなくなっている。
最近ポリアミド樹脂に要求されているスペックの一つとして、耐アルカリ性や耐塩化カルシウム性などの耐薬品性能と機械特性とのバランスに優れるというスペックが挙げられる。より詳しくは、ポリアミド樹脂から得られる成形品が、従来と同程度又はそれ以上の機械強度を有すると共に、薬品と過度に接触する環境下で、薬品による機械強度低下が少なく、かつ、薬品や薬品中の水分及び大気中の水分による機械強度や外観の変化の少ないポリアミド樹脂組成物が要求される。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、得られる成形品が、従来と同程度又はそれ以上の機械強度を有すると共に、薬品と過度に接触する環境下で、薬品による機械強度低下が十分に少なく、かつ、薬品や薬品中の水分及び大気中の水分による機械強度や外観の変化の十分に少ないポリアミド樹脂組成物から得られる電池用ガスケット及びアルカリ乾電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリアミド樹脂に窒化ホウ素と焼成カオリンとを配合して得られるポリアミド樹脂組成物が、上記目的を達成するのに有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のものを提供する。
[1](A)ポリヘキサメチレンセバカミド及び/又はポリヘキサメチレンドデカミドからなるポリアミド樹脂と、(B)窒化ホウ素と、(C)焼成カオリンと、を含有するポリアミド樹脂組成物を成形して得られる電池用ガスケットであって、上記ポリアミド樹脂組成物は、上記(A)成分100質量部に対して、(B)成分を0.0001〜3質量部、及び(C)成分を0.01〜20質量部含有する電池用ガスケット
]上記ポリアミド樹脂組成物は、(D)上記(A)成分とは異種のポリアミド樹脂を(A)成分100質量部に対して1〜20質量部含有する上記[1]の電池用ガスケット。
]上記(B)成分の粉末平均粒径が10μm以下である上記[1]又は[2]の電池用ガスケット。
]上記ポリアミド樹脂組成物は、上記(B)成分100質量部に対して、(C)成分を100〜20000質量部含有する上記[1]〜[]のいずれか一つのポリアミド樹脂組成物。
]上記[1]〜[]のいずれか一つの電池用ガスケットを備えるアルカリ乾電池。
本発明によれば、得られる成形品が、従来と同程度又はそれ以上の機械強度を有すると共に、薬品と過度に接触する環境下で、薬品による機械強度低下が十分に少なく、かつ、薬品や薬品中の水分及び大気中の水分による機械強度や外観の変化の十分に少ないポリアミド樹脂組成物から得られる電池用ガスケット及びアルカリ乾電池を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施形態」と表記する。)について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリヘキサメチレンセバカミド及び/又はポリヘキサメチレンドデカミドからなるポリアミド樹脂と、(B)窒化ホウ素と、(C)焼成カオリンとを含有するものである。以下、各成分について詳細に説明する。
<(A)成分>
(A)成分は、ポリヘキサメチレンセバカミド及び/又はポリヘキサメチレンドデカミドからなるポリアミド樹脂である。ポリヘキサメチレンセバカミドは「ポリアミド610」とも称されるものであり、ポリヘキサメチレンドデカミドは「ポリアミド612」とも称されるものである。(A)成分は少なくともポリヘキサメチレンドデカミドを含むことが好ましく、ポリヘキサメチレンドデカミドからなることがより好ましい。これにより本発明の目的をより確実かつ効果的に達成することができる。これらは市販のものを入手することにより、あるいは常法により合成することにより得られる。
(A)成分のポリアミド樹脂の重合度は、25℃における相対粘度が1.8〜3.8のとなる重合度であると好ましく、1.9〜3.5となる重合度であるとより好ましく、2.0〜3.3となる重合度であると更に好ましい。ここで「相対粘度」とは、ポリアミド樹脂1質量%を含む98%濃硫酸溶液中、オストワルド粘度計を用いて測定されるものである。(A)成分のポリアミド樹脂の相対粘度が上述の数値範囲になるように重合度を制御することにより、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、成形性及び機械強度に一層優れたものとなる。
<(B)成分>
(B)成分の窒化ホウ素は「BN」の化学式で表されるものである。この窒化ホウ素は、ホウ素を窒素気流中で高温加熱すること、アンモニアと酸化ホウ素とを加熱すること、あるいは塩化アンモニウムとホウ砂とを加熱することにより得られる。こうして得られる窒化ホウ素は微粉末である。窒化ホウ素の粉末平均粒径は10μm以下であると好ましく、0.1〜10μmであるとより好ましい。ここで「粉末平均粒径」とは、市販の粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、レーザ回折粒度分布測定装置、商品名「SALD−2200)を用いて測定した粉末の粒径分布において、全粉末の質量の50%を占める際の粒径(いわゆる「D50」)を意味する。窒化ホウ素の粉末平均粒径を上述の数値範囲内に制御することにより、本実施形態のポリアミド樹脂組成物から得られる成形品に生じ得る構造欠陥を、より有効に防止することができる傾向にある。このようにして成形品の構造欠陥を防止することで、本発明の目的をより確実かつ効果的に達成することができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、この(B)成分を含有することにより、薬品と接触した際の薬品若しくは薬品中の水分又は大気中の水分に起因する機械強度の変化、特に衝撃強さの変化を抑制することができる。このような抑制効果は、ポリアミド樹脂組成物に窒化ホウ素とは異なる結晶核剤を含有させた場合と比較すれば、明らかに認識することができる。
<(C)成分>
(C)成分の焼成カオリンは、カオリナイトを焼成して脱水することにより得られるメタカオリン(Al23・2SiO2)であり、X線的に非晶質である。焼成カオリンの形状は特に限定されないが、板状、棒状、球状などの非繊維状であると好ましい。これにより、ポリアミド樹脂組成物を成形して成形品を得た際の寸法や機械的特性の異方性が生じ難いという効果が得られる。焼成カオリンの粉末平均粒径は、本発明の目的を一層有効に発揮する観点から、0.05〜10μmであると好ましい。焼成カオリンは、市販のものを入手することにより、常法により合成することにより、あるいは、市販のカオリナイトを入手してそれを常法により脱水することにより得られる。
(C)成分である焼成カオリンは、本発明の目的を一層有効に発揮する観点から、表面処理を施されたものであると好ましい。そのような表面処理としては、焼成カオリンをイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤と接触させる表面処理が挙げられる。
これらのカップリング剤の中では、有機シラン系化合物(シランカップリング剤)が好ましい。その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランに代表されるエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランに代表されるメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランに代表されるウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランに代表されるイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノトリメトキシシラン、γ−アミノトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、に代表されるアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランに代表される水酸基含有アルコキシシラン化合物、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩に代表される炭素−炭素不飽和結合含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。これらの有機シラン系化合物の中でも、特に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノトリメトキシシラン、γ−アミノトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましく用いられる。
カップリング剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、上記各成分の組成比は本発明の目的を阻害しない範囲であれば特に限定されないが、下記のとおりであると好ましい。すなわち、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、本発明の目的を更に確実かつ効果的に達成する観点から、(A)成分100質量部に対して、(B)成分を0.0001〜3質量部含有すると好ましく、0.001〜2質量部含有するとより好ましく、0.01〜1質量部含有すると更に好ましい。
また、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、薬品や薬品中の水分、大気中の水分による強度変化、特に衝撃強さの変化を更に抑制する観点から、(A)成分100質量部に対して、(C)成分を0.01〜20質量部含有すると好ましく、0.1〜15質量部含有するとより好ましく、0.5〜10質量部含有すると更に好ましい。
本発明により得られる効果を一層有効に発揮する観点から、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(B)成分100質量部に対して、(C)成分を100〜20000質量部含有すると好ましく、500〜18000質量部含有するとより好ましく、1000〜15000質量部含有すると更に好ましい。
<(D)成分>
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上述の(A)成分とは異種のポリアミド樹脂を更に含有してもよい。これにより、結晶性を高めたり、耐熱性を高めたりできるという効果が得られる。そのようなポリアミド樹脂としては、例えば、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリεカプラミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミドとポリイソフタラミド(ポリアミド6I)との共重合体、ポリヘキサメチレンアジパミドとポリテレフタルアミド(ポリアミド6T)との共重合体、ポリヘキサメチレンアジパミドとポリイソフタラミドとポリテレフタルミドの3元共重合体が挙げられる。これらのポリアミド樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。その含有割合は上記(A)成分100質量部に対して1〜20質量部であると好ましい。含有割合をこの数値範囲内に調整することにより、耐薬品性、機械的特性及び耐熱性のバランスに優れるという効果が得られる傾向にある。
(D)成分である異種のポリアミド樹脂の重合度は、25℃における相対粘度が1.8〜3.8のとなる重合度であると好ましく、1.9〜3.5となる重合度であるとより好ましく、2.0〜3.3となる重合度であると更に好ましい。また、(A)成分とこれとは異種のポリアミド樹脂との混合物の25℃における相対粘度が1.8〜3.8であると好ましく、1.9〜3.5であるとより好ましく、2.0〜3.3であると更に好ましい。これらにより、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、成形性及び機械強度に一層優れたものとなる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、上述の各成分以外に、必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲で、通常のポリアミド樹脂組成物に含有される無機充填剤や難燃剤、顔料や着色剤を含有してもよい。さらに本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、成形性改良剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤などの各種添加剤を任意の段階で添加されてもよい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲で、上述のポリアミド樹脂以外のポリマーを含有してもよい。このようなポリマーとしては、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、各種エラストマーが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、従来のポリアミド樹脂組成物と同様の方法により製造することができる。例えば、(B)成分の窒化ホウ素を(A)成分のポリアミド樹脂と混合する場合、(A)成分の合成時に(A)成分の原料に添加してもよく、(A)成分の溶融混練時に添加してもよい。あるいは、(A)成分をペレット状に成形した後にそのペレット表面に(B)成分をブレンド添加してもよく、高濃度のマスターバッチとして(B)成分を添加してもよい。
また、(C)成分の焼成カオリンは、(A)成分の合成時に(A)成分の原料に添加してもよく、(A)成分の溶融混練時に添加してもよい。(A)成分を押出機内で溶融混練する時に(C)成分を添加する場合、予め(A)成分のペレットと(C)成分とを所定量計量した後にハンドブレンドし、それらを同時に押出機に供給してもよい。あるいは、押出機の上流から(A)成分のペレットを供給し、(A)成分が十分に溶融した後に(C)成分を押出機に供給してもよい。
(C)成分の焼成カオリンに上記カップリング剤を用いて表面処理を施す場合、(C)成分は、常法に従って、これらのカップリング剤により予め表面処理を施されてから(A)成分のポリアミド樹脂と混合されると好ましい。ただし、(C)成分に対して予め表面処理を施さずに、(A)成分と共に溶融混練する際にカップリング剤を添加するいわゆるインテグラルブレンド法を用いてもよい。
以上説明した本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、マトリックスである(A)成分のポリアミド樹脂に、(B)成分の窒化ホウ素と、(C)成分の焼成カオリンとを特定の比で配合し、均一かつ微細に分散させている。これにより、本実施形態のポリアミド樹脂組成物から得られる成形品は、従来と同程度又はそれ以上の機械強度を有すると共に、薬品と過度に接触する環境下で、薬品による機械強度低下が十分に少なく、かつ、薬品や薬品中の水分及び大気中の水分による機械強度や外観の変化が十分に少なくなる。したがって、本実施形態のポリアミド樹脂組成物を成形して得られる電池用ガスケットは、極めて優れた耐アルカリ性、耐漏液性を有するものとなる。
また、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、良好な成形性を有しており、特に離型性に優れている。したがって、本実施形態のポリアミド樹脂組成物を用いると、量産性に優れた成形品を得ることができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、電池用ガスケットに限定されず、種々の成形品に成形され得るものであり、上述の特性を有効に活用するために、自動車部品、電子電気部品、工業機械部品などの各種部品への応用が期待される。本実施形態のポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形品の具体例としては、電池用ガスケット、ウォーターインレット、ウォーターアウトレット、ラジエータータンク、温水タンク、ウォーターポンプ、コネクター、各種スイッチ類、エンジンカバーが挙げられる。
これらの成形品は、原材料として本実施形態のポリアミド樹脂組成物を採用すること以外、形状などは特に限定されず公知のものと同様であってもよく、従来公知の方法によって製造することができる。成形方法としては公知の成形方法、例えば、プレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形など、一般に知られているプラスチック成形方法が挙げられる。これらの成形方法を用いても、良好な成形加工が可能であり、上述の成形品を得ることができる。これらの中でも射出成形を用いて上記成形品に成形することが、ポリアミドの良流動性、良離型性(ハイサイクル成形性)という特徴を活用して効率的に生産できる点で好ましい。
次に、本実施形態の電池用ガスケットについて、必要に応じて図面を参照しながら説明する。本実施形態の電池用ガスケットは、一般に広く流通するアルカリ乾電池やアルカリボタン型電池の封口用部品であり、本実施形態のポリアミド樹脂組成物を成形して得られるものであれば、その形状等は特に限定されない。本実施形態の電池用ガスケットは、アルカリ電解液を含有する発電要素を収納した有底の電池ケースの開口部を封着して電池の密封を保つ機能を有する。この電池用ガスケットは本実施形態のポリアミド樹脂組成物を所定の形状に成形して得られるものである。本実施形態の電池用ガスケットには、電池の誤使用時に安全弁として作用する厚さ0.1〜0.4mm程度の薄肉部を部分的に設けてもよい。
本実施形態の電池用ガスケットは良好な耐アルカリ性を有しているため、それを備えたアルカリ乾電池に対して優れた耐薬品性及び耐漏液性を付与することができる。また、この電池用ガスケットは成形性が良好であり、特に離型性に優れているため、ポリアミド66製の電池用ガスケットと同様の優れた成形サイクルにて成形することが可能となる。
図1は、本実施形態の電池用ガスケットの一例を示す模式的な断面正面図である。電池用ガスケット1は、外周部に円筒状外壁部1d、中央に、後述する他の部品を圧入して挿通するための貫通孔を設けた中央ボス部1a、これらの間に連結部1cを設けて連続して形成されている。そして連結部1cには、電池内部に異常な圧力上昇が生じた際に一定の圧力に達すると破断するように安全弁として作用する薄肉部1bが設けられている。薄肉部1bの厚さは、連結部1cの厚さに対して十分に薄く、0.2〜0.3mmに設定される。
次に、本実施形態のアルカリ乾電池及びアルカリボタン型電池について、必要に応じて図面を参照しながら説明する。本実施形態のアルカリ乾電池及びアルカリボタン型電池は、備えられる電池用ガスケットが本実施形態の電池用ガスケットであれば、その他の部品は従来公知のものであってもよい。
図2は、本実施形態の一例である単3形のアルカリ乾電池を示す模式的な半断面正面図である。アルカリ乾電池10は、有底円筒形の電池ケース5と、その中に内接するように収納された中空円筒状の正極2とを備えている。正極2の中空部には有底円筒形のセパレータ4を介してゲル状負極3が配置されている。ゲル状負極3には針型の負極集電体6の大部分が浸漬されており、ゲル状負極3に浸漬されていない負極集電体6の一端は、円盤状の負極端子板7の中心部と電気的に接続されている。更に負極集電体6及び負極端子板7は上述の電池用ガスケット1と一体化して封口ユニット9を構成している。電池用ガスケット1は連結部1cでセパレータ4の開口端に当接しており、円筒状外壁部1dを電池ケース5の開口端と負極端子板7の外縁部とに挟持されて固定されている。かかる構成は、電池ケース5内に、アルカリ電解液を含有する正極2、ゲル状負極3等の発電要素を収納し、封口ユニット9を図示のように配置した後、電池ケース5の開口端を内方へ円弧状に折り曲げて封着することにより得られる。電池ケース5の外周面は、絶縁を確保するため外装ラベル8により被覆されている。
上記アルカリ電解液としては、水酸化カリウムを30〜40質量%、酸化亜鉛を1〜3質量%含む水溶液が一般的に用いられる。従来のポリアミド樹脂又はその組成物を成形して得られる電池用ガスケットは、アルカリ電解液によって加水分解して機械強度が低下し、更には亀裂を生じて密封性を損ない電池が漏液に至る場合もある。したがって、電池製造後から長期に亘って薄肉部1bの機能を維持するため、電池用ガスケットには高い耐薬品性(耐強アルカリ性)が要求される。本実施形態の電池用ガスケットは、かかる要求に対応すべく完成に至ったものであり、耐薬品性(耐アルカリ性)に十分優れた電池用ガスケットである。したがって、この電池用ガスケットを備えたアルカリ乾電池及びアルカリボタン型電池は、十分に良好な耐漏液性を示す。
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種物性・特性の評価は下記(1)〜(6)に示すようにして行った。
(1)ポリアミド樹脂の相対粘度
ポリアミド樹脂の25℃の相対粘度(ηr)は、ポリアミド樹脂1質量%を含む98%濃硫酸溶液中、オストワルド粘度計を用いて、JIS K6810に準拠して測定した。
(2)粉末平均粒径
株式会社島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置(商品名「SALD−2200」)を用いて測定した粉末の粒径分布において、全粉末の質量の50%を占める際の粒径(D50)を、粉末平均粒径として求めた。
(3)成形品の耐薬品性試験
(3−1)成形品の作製
まず、射出成形機(日精樹脂株式会社製、商品名「PS60E」)によりポリアミド樹脂組成物を成形することにより、各種試験に供する成形品を作製した。シリンダー温度を270℃、金型温度を80℃に設定し、射出10秒、冷却15秒の射出成形条件で成形を行った。成形品として、ASTMダンベル型試験片タイプ1(試験片厚み:1/8インチ、以下「ダンベル型試験片」という。)及びASTM短冊型試験片タイプ1(試験片厚み:1/8インチ、以下「短冊型試験片」という。)を得た。このうち短冊型試験片に対して更に切削加工を施して、アイゾット衝撃試験用のノッチ入りの試験片(試験片厚み:1/8インチ)を得た。
(3−2)成形品の薬品処理
上述のダンベル型試験片及びノッチ入りの試験片を3質量%の塩化カルシウム水溶液に60℃で500時間浸漬して耐薬品性試験を行った。耐薬品性試験前後の試験片の表面外観、引張特性、アイゾット衝撃値について下記のようにして評価した。
(3−3)表面外観試験
(a)耐薬品性試験前の表面外観
上記耐薬品性試験前のダンベル型試験片の表面について、株式会社堀場製作所製のハンディ光沢計(商品名「IG320」)を用い、JIS Z 8741に準拠して、鏡面光沢度Gs(60°)を測定した。
(b)耐薬品性試験後の表面外観
上記耐薬品性試験後のダンベル型試験片を塩化カルシウム水溶液から取り出してその表面を拭き、室温23℃、相対湿度55%の室内に1時間静置した。次いで、そのダンベル型試験片の表面について、鏡面光沢度Gs(60°)を上記(a)と同様にして測定した。
(c)鏡面光沢度の保持率
耐薬品性試験後の上記鏡面光沢度Gs÷耐薬品性試験前の上記鏡面光沢度Gs×100を鏡面光沢度の保持率(単位:%)として算出した。この保持率が高いほど、試験片が耐薬品性に優れていることを示す。
(3−4)引張試験
(d)耐薬品性試験前の引張強度
上記耐薬品性試験前の乾燥状態(通常はいわゆる絶乾状態)にあるダンベル型試験片について、ASTM D638に準拠して、引張強度(単位:MPa)を測定した。
(e)耐薬品性試験後の引張強度
上記耐薬品性試験後のダンベル型試験片を塩化カルシウム水溶液から取り出してその表面を拭き、室温23℃、相対湿度55%の室内に1時間静置した。次いで、そのダンベル型試験片について、ASTM D638に準拠して、引張強度(単位:MPa)を測定した。
(f)引張強度の保持率
耐薬品性試験後の上記引張強度(単位:MPa)÷耐薬品性試験前の上記引張強度(単位:MPa)×100を引張強度の保持率(単位:%)として算出した。この保持率が高いほど、試験片が機械強度のひとつである引張特性に優れていることを示す。
(3−5)アイゾット衝撃試験
(g)耐薬品性試験前のアイゾット衝撃値
上記耐薬品性試験前の乾燥状態(通常はいわゆる絶乾状態)にあるノッチ入りの試験片について、ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃値(単位:J/m)を測定した。
(h)耐薬品性試験後のアイゾット衝撃値
上記耐薬品性試験後のノッチ入りの試験片を塩化カルシウム水溶液から取り出してその表面を拭き、室温23℃、相対湿度55%の室内に1時間静置した。次いで、そのノッチ入りの試験片について、ASTM D256に準拠して、アイゾット衝撃値(単位:J/m)を測定した。
(i)アイゾット衝撃値の保持率
耐薬品性試験後の上記アイゾット衝撃値(単位:J/m)÷耐薬品性試験前の上記アイゾット衝撃値(単位:J/m)×100をアイゾット衝撃値の保持率(単位:%)として算出した。この保持率が高いほど、試験片が機械強度のひとつである耐衝撃性に優れていることを示す。
(4)電池用ガスケットの耐薬品性試験
まず、ポリアミド樹脂組成物を射出成形により成形して、図1と同様の形状を有する電池用ガスケットを得た。ただし、薄肉部(図1の符号1bで示す部分に相当)の厚さは、後述の作動圧が約8MPaとなるように調整した。また、射出成形条件について、シリンダー温度を290℃、金型温度を80℃に設定し、射出4秒、冷却10秒に設定した。そして、蓋付の容器内に水酸化カリウムを34.5質量%及び酸化亜鉛を2.0質量%含む水溶液を満たして、上記電池用ガスケットを浸漬させた後、容器を密封して、80℃の環境試験槽内に3ヶ月間保存した。その後、電池用ガスケットを容器から取り出し、水洗後に温風乾燥した。
この電池用ガスケットについて、耐薬品性試験を下記のようにして行った。まず、内部に油圧測定用の油が流入する経路を有し、電池用ガスケットの中央ボス部(図1の符号1aで示す部分に相当)と筒状外壁部(図1の符号1dで示す部分に相当)とを保持し、電池用ガスケットの全体を密封する試験治具を準備した。この試験治具は、流入した油が電池用ガスケットの全体を浸漬し、その油圧が調整可能になっており、油圧ゲージを備えている。この試験治具に、上記水溶液に浸漬する前の電池用ガスケットを収容し、そこに油を充填して電池用ガスケットをその油に浸漬した。その後、電池用ガスケットを浸漬した油の油圧を徐々に上昇させ、電池用ガスケットの薄肉部が破断する際の油圧(単位:MPa)を測定した。この破断する際の油圧は、電池用ガスケットの薄肉部が安全弁として作動する圧力(以下、「作動圧」という。)に相当する。次いで、上記温風乾燥後の電池用ガスケットについて、同様に作動圧を測定した。浸漬前の電池用ガスケットについての作動圧(単位:MPa)÷温風乾燥後の電池用ガスケットについての作動圧(単位:MPa)×100を作動圧の保持率(単位:%)として算出した。この保持率が80%以上であると、電池用ガスケットの耐薬品性が良好であると判断した。
(5)電池用ガスケットの耐漏液性試験
電池用ガスケットの原材料に種々のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は図1に示すものと同様の構成を有する単3形アルカリ乾電池を作製し、以下の評価を実施した。まず、該乾電池の各20個ずつを80℃の環境試験槽内に3ヶ月保存した。その後、電池を環境試験槽から取り出して目視にてアルカリ電解液の漏液の有無を確認した。さらに、漏液が発生した電池を分解して電池用ガスケットを取り出した。その電池用ガスケットを光学顕微鏡で観察し、薄肉部に亀裂が生じて漏液に至っているか否かを確認し、漏液に至っている乾電池の個数を勘定した。
(6)離型力
下記方法により成形品の離型力を測定して離型性を評価した。まず、図3に断面を示す金型20を準備した。次いで、溶融したポリアミド樹脂組成物を金型20内に射出した。射出されたポリアミド樹脂組成物はスプルーランナー21を経由して、箱型成形キャビティ22に充填された。次に、ポリアミド樹脂が硬化するように十分に金型20内でポリアミド樹脂組成物を冷却した。その後、スプルーランナー21を設けた金型部20aと箱型成形キャビティ22を備えた金型部20bとの間で金型20を離間し、エジェクターロッド26により、圧力センサー25、エジェクタープレート24及びエジェクターピン23を介して、ポリアミド樹脂組成物が固化した成形品28を図示した矢印方向に突き出した。この際の成形品28を突き出す力を、エジェクタープレート24に設置した圧力センサー25で測定して離型力(単位:kgf)とした。また、離型力の値は離型力記録計27にて記録した。
なお、箱型成形キャビティ22は、肉厚2mm、幅32mm×奥行き40mm×高さ21mmの寸法を有する、一面が開口した直方体状(有底容器状)である成形品28を成形可能な内壁を有しており、成形品28の底側に相当する1面が開放されたものを用いた。また、射出成形機(住友重機械工業株式会社製、商品名「SE−50D」)を用い、金型表面温度80℃、ポリアミド樹脂組成物温度260℃(ただし、比較例1は280℃)、スクリュー前進速度100mm/秒、保圧力40MPa、射出時間5秒、冷却時間20秒、成形サイクル30秒の射出条件に設定した。それぞれのポリアミド樹脂組成物について、離型力が安定するまで連続成形し、離型力が安定した後の10ショットの離型力を平均して平均離型力を求めた。平均離型力が小さいほど離型性に優れ、ハイサイクル成形性が良好なものであることを示す。
(ポリアミド樹脂の製造)
(製造例1)
重合成分としてヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との等モル塩をポリアミド樹脂として50質量%相当含有する水溶液を15kg調製した。次いで、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する40リットルのオートクレーブ中に上記水溶液を仕込み、50℃の温度下で十分に水溶液を攪拌した。次に、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した後、水溶液を撹拌しながらオートクレーブ内の温度を50℃から約270℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして約1.8MPaであったが、この圧力が1.8MPa以上にならないよう水を随時系外に排出した。また、重合時間は、ポリアミド樹脂の相対粘度が目的の相対粘度になるように調整した。オートクレーブ内での重合終了後、下部ノズルからストランド状にポリアミド樹脂を送出し、水冷・カッティングを経て、ペレット状のポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)を得た。このポリアミド樹脂を80℃、24時間の条件で真空乾燥した。ポリアミド樹脂の相対粘度(ηr)を上述のようにして測定したところ、2.50であった。
(製造例2)
重合成分として上述のものに代えて、ヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸との等モル塩を用いた以外は製造例1と同様にして、それぞれ相対粘度の異なる4種類のペレット状のポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)を得た。これらのポリアミド樹脂を80℃、24時間の条件で真空乾燥した。ポリアミド樹脂の相対粘度(ηr)を上述のようにして測定したところ、それぞれ、1.85、2.15、3.20、3.75であった。
(製造例3)
重合成分として上述のものに代えて、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩を用いた以外は製造例1と同様にして、ペレット状のポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)を得た。このポリアミド樹脂を80℃、24時間の条件で真空乾燥した。ポリアミド樹脂の相対粘度(ηr)を上述のようにして測定したところ、2.30であった。
また、(B)成分の窒化ホウ素として、上述のようにして測定した粉末平均粒径が2.5μmである市販品(電気化学工業株式会社製、商品名「デンカボロンナイトライドSP−2」)を準備した。(C)成分の焼成カオリンとして、上述のようにして測定した粉末平均粒径が1.5μmであり、γ−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理された市販品(林化成株式会社製、商品名「TRANSLINK445」)を準備した。
上記ポリアミド樹脂、窒化ホウ素、焼成カオリン以外の成分として、上述のようにして測定した粉末平均粒径が4.0μmである市販のタルク(日本タルク株式会社製、商品名「ミクロエースL−1」)、同様に粉末平均粒径が10μmである市販のワラストナイト(林化成株式会社製、商品名「ナイヤード325」)を準備した。
(実施例1)
上記製造例1にて得られたペレット状のポリアミド樹脂100質量部に対して、(B)窒化ホウ素が0.1質量部、(C)焼成カオリンが5.5質量部になるようにそれらを混合して混合物を得た。その混合物を二軸押出機(コペリオン株式会社製、商品名「ZSK26MC」)に投入して、270℃の条件下で溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表1に示す。なお、表中、ポリアミド樹脂の種類においての「PA」との表記は「ポリアミド」を指す。
Figure 0005185758
(実施例2)
上記製造例2にて得られた相対粘度が2.15であるペレット状のポリアミド樹脂100質量部に対して、(B)窒化ホウ素が0.1質量部、(C)焼成カオリンが5.5質量部になるようにそれらを混合して混合物を得た。その混合物を二軸押出機(コペリオン株式会社製、商品名「ZSK26MC」)に投入して、250℃の条件下で溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表1に示す。
(比較例1)
上記製造例3にて得られたペレット状のポリアミド樹脂100質量部に対して、(B)窒化ホウ素が0.1質量部、(C)焼成カオリンが5.5質量部になるようにそれらを混合して混合物を得た。その混合物を二軸押出機(コペリオン株式会社製、商品名「ZSK26MC」)に投入して、280℃の条件下で溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表1に示す。この評価結果から、3質量%の塩化カルシウム水溶液の影響により、耐薬品性試験後に、アイゾット衝撃値が低下し、電池用ガスケットの作動圧が著しく低下し、アルカリ乾電池から漏液することが認められた。
(比較例2)
窒化ホウ素に代えてタルクを用いた以外は実施例2と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表1に示す。この評価結果から、3質量%の塩化カルシウム水溶液の影響により、耐薬品性試験後に、アイゾット衝撃値が著しく増大し、離型性が低下することが認められ、成形性の悪化傾向が示唆される。また、アルカリ乾電池から漏液することが認められた。これは、耐薬品性試験後のアイゾット衝撃値が高いことから、電池用ガスケットが柔らかすぎて変形を起こしたためと考えられる。
(比較例3)
焼成カオリンに代えてワラストナイトを用いた以外は実施例2と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表1に示す。この評価結果から、3質量%の塩化カルシウム水溶液の影響により、耐薬品性試験後に、アイゾット衝撃値が著しく低下し、アルカリ乾電池から漏液することが認められた。
(比較例4)
窒化ホウ素を添加しなかった以外は実施例2と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表1に示す。この評価結果から、3質量%の塩化カルシウム水溶液の影響により、耐薬品性試験後に、アイゾット衝撃値が著しく増大し、離型性が著しく低下し、アルカリ乾電池から漏液することが認められた。
(実施例3)
上記製造例2にて得られた相対粘度が1.85であるペレット状のポリアミド樹脂100質量部に対して、(B)窒化ホウ素が0.06質量部、(C)焼成カオリンが10質量部になるようにそれらを混合して混合物を得た。その混合物を二軸押出機(コペリオン株式会社製、商品名「ZSK26MC」)に投入して、250℃の条件下で溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表2に示す。
Figure 0005185758
(実施例4)
上述のポリアミド樹脂に代えて上記製造例2にて得られた相対粘度が3.20であるペレット状のポリアミド樹脂を用いた以外は実施例3と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表2に示す。
(実施例5)
上述のポリアミド樹脂に代えて上記製造例2にて得られた相対粘度が3.75であるペレット状のポリアミド樹脂を用いた以外は実施例3と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表2に示す。
(実施例6)
上述のポリアミド樹脂に代えて上記製造例2にて得られた相対粘度が2.15であるペレット状のポリアミド樹脂を用い、窒化ホウ素の含有割合を0.06質量部から0.01質量部に、焼成カオリンの含有割合を10質量部から1.8質量部にそれぞれ代えた以外は実施例3と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表2に示す。
(実施例7)
窒化ホウ素の含有割合を0.01質量部から0.08質量部に、焼成カオリンの含有割合を1.8質量部から15質量部にそれぞれ代えた以外は実施例6と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表2に示す。
(実施例8)
窒化ホウ素の含有割合を0.01質量部から2.5質量部に、焼成カオリンの含有割合を1.8質量部から7.5質量部にそれぞれ代えた以外は実施例6と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、上述のようにして各種物性・特性を評価した。ポリアミド樹脂組成物の組成及び評価結果を表2に示す。
本発明の産業上利用可能性として、自動車、電子電気製品、工業機械の各種部品、特に、電池用ガスケットに用いられることが期待される。
本実施形態の電池用ガスケットの一例を示す模式的な断面正面図である。 本実施形態の一例である単3形のアルカリ乾電池を示す模式的な半断面正面図である。 実施例に係る射出成形用の金型を示す模式的な断面正面図である。
符号の説明
1…電池用ガスケット、2…正極、3…ゲル状負極、4…セパレータ、5…電池ケース、6…負極集電体、7…負極端子板、8…外装ラベル、9…封口ユニット、10…アルカリ乾電池、20…金型、28…成形品。

Claims (5)

  1. (A)ポリヘキサメチレンセバカミド及び/又はポリヘキサメチレンドデカミドからなるポリアミド樹脂と、
    (B)窒化ホウ素と、
    (C)焼成カオリンと、
    を含有するポリアミド樹脂組成物を成形して得られる電池用ガスケットであって、
    前記ポリアミド樹脂組成物は、前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を0.0001〜3質量部、及び前記(C)成分を0.01〜20質量部含有する、電池用ガスケット
  2. 前記ポリアミド樹脂組成物は、(D)前記(A)成分とは異種のポリアミド樹脂を前記(A)成分100質量部に対して1〜20質量部含有する、請求項1に記載の電池用ガスケット。
  3. 前記(B)成分の粉末平均粒径が10μm以下である、請求項1又は2に記載の電池用ガスケット。
  4. 前記ポリアミド樹脂組成物は、前記(B)成分100質量部に対して、前記(C)成分を100〜20000質量部含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の電池用ガスケット。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の電池用ガスケットを備えるアルカリ乾電池。
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