JP2004155948A - 中空成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂60〜95重量%と膨張黒鉛5〜40重量%からなる複合樹脂を最内層とする中空成形体。用いる熱可塑性樹脂は、ポリアミド6のようなポリアミド樹脂、酸成分中にダイマー酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を30モル%以下含むPBT、PBTをハードセグメントとし、ソフトセグメントしてポリエーテル又はポリエステルからなる熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂が好ましい。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電防止性もしくは導電性と燃料(ガソリンおよび/もしくはアルコール)バリア性を有する熱可塑性樹脂を用いた中空成形体に関するものである。また、本発明の中空成形体は、自動車の燃料系部品に好適に用いることが出来る。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車部品に関しては、軽量化を目的として金属製部品から樹脂製部品への代替が進んできており、燃料系部品についても燃料パイプや燃料タンクが樹脂化されつつある。
【0003】
しかし、金属製部品に比べ樹脂製部品は、燃料(ガソリンおよび/もしくはアルコール)バリア性に劣ると言う欠点を有している。また、樹脂製部品は燃料の摩擦等により帯電し、最悪の場合帯電した静電気がスパークを生じるという非常に危険な状況を引き起こす可能性を持っていた。
【0004】
この燃料バリア性を向上する目的で、例えば燃料チューブにおいては、層状ケイ酸塩を均一に樹脂中に分散させた層をバリア層として持つ多層燃料チューブ(例えば、特許文献1、2参照。)やポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂層をバリア層として持つ多層燃料チューブ(例えば、特許文献3,4参照。)、フッ素樹脂層をバリア層として持つ多層燃料チューブ(例えば、特許文献5参照。)で開示されているように多層化によるバリア層導入で燃料バリア性の向上が図られている。
【0005】
また、燃料タンクにおいてもポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリケトン系樹脂を多層化した燃料タンク(例えば、特許文献6,7参照。)やポリエチレン母材にポリアミドを薄片状に分散させる方法(例えば、特許文献8参照。)等が開示されている。
【0006】
燃料の摩擦による帯電防止に関しては、カーボンブラックをポリアミド樹脂に複合したチューブ(例えば、特許文献9参照。)や炭素粉末をフッ素系樹脂に複合しチューブ内周層に配した樹脂チューブ(例えば、特許文献10参照。)等が開示されている。
【0007】
そして燃料バリア性と帯電防止を両立させる為には最内層にカーボンブラックや炭素粉末を含む導電層を配し、燃料バリア性を持つ層を別に多層化する必要がある。このため両性能を高める為には肉厚を厚くする必要があり、軽量化が十分に達成出来ないでいた。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−293916号公報
【特許文献2】
特開2001−311482号公報
【特許文献3】
特開平10−230556号公報
【特許文献4】
特開平11−156970号公報
【特許文献5】
特開平5−164273号公報
【特許文献6】
特開2001−347842号公報
【特許文献7】
特開2001−146116号公報
【特許文献8】
特開平10−158414号公報
【特許文献9】
特開2000−276949号公報
【特許文献10】
特開平7−24898号公報
【特許文献11】
特公昭48−4116号公報
【特許文献12】
特開昭59−12926号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料(ガソリンおよび/もしくはアルコール)バリア性を有すると共に燃料の摩擦による帯電防止性を有する中空成形体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂60〜95重量%と膨張黒鉛5〜40重量%からなる複合樹脂を最内層とする中空成形体により燃料バリア性と帯電防止性を同時に解決できることを見出し、本発明を完成する事に至った。
すなわち本発明の中空成形体は、熱可塑性樹脂60〜95重量%と膨張黒鉛5〜40重量%からなる複合樹脂を最内層にする事を特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の中空成形体について、詳細に説明する。
【0012】
本発明における膨張黒鉛とは、層状結晶である黒鉛の層間を膨張させたものであり、一般にシート状に圧縮成形し、産業用のガスケットやパッキング材として用いられている。
【0013】
一般的な膨張黒鉛の製造方法としては、天然黒鉛もしくは人造黒鉛を硫酸等の酸を過酸化水素等の酸化剤存在下で処理して酸成分を層間に挿入した層間化合物を作製し、更にこの層間化合物を800〜1000℃と言う高温に急激に加熱すると言う処理をして黒鉛の層間を膨張させて得る。
【0014】
本発明に用いる膨張黒鉛としては、膨張度(比容積)が50〜300cm3/g、好ましくは100〜200cm3/gの物である。膨張度が50cm3/g未満の場合は、層間が十分に剥離されておらず十分な帯電防止や導電性、更には燃料バリア性を得ることが出来なくなる。また、膨張度が300cm3/gを超える膨張黒鉛を得るのは非常に難しくまた出来てもその嵩高さ故に取り扱い難い。
本発明に用いる膨張黒鉛は、日本黒鉛工業製EXP−48M等の市販品を用いても何ら差し支えは無い。
【0015】
熱可塑性樹脂に対する膨張黒鉛の複合割合は、膨張黒鉛を5〜40重量%配合する必要があり、より好ましくは膨張黒鉛を10〜30重量%配合することである。膨張黒鉛の複合割合が5重量%未満では帯電防止性やガスバリア性を満足することが出来ない。また、膨張黒鉛の複合割合が40重量%を超える場合には、膨張黒鉛を均一に複合させることが困難となり、具体的には樹脂と膨張黒鉛が十分に分散していない鬆が生じ、燃料バリア性が低下する。
【0016】
一方、本発明で用いる熱可塑性樹脂に関しては、特に限定される物ではなく、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂や塩化ビニリデン樹脂等の含塩素系樹脂、ポリスチレン樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリカーボネート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12等のポリアミド系樹脂等を代表的な物として挙げる事が出来る。
【0017】
これらの中で、自動車の燃料(ガソリンおよび/またはアルコール)系に用いる場合には、燃料に対する耐薬品性や自動車としての使用環境に対応できる物としてポリアミド系樹脂の中ではポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612のいずれかもしくは少なくとも一つからなるポリアミド樹脂であることが好適である。
【0018】
また他の好適な熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂が有る。この中でも酸成分中にダイマー酸を30モル%以下共重合したポリブチレンテレフタレート(PBT)およびPBTをハードセグメントとし、ソフトセグメントしてポリエーテル又はポリエステルからなる熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂が好ましく用いられる。PBT樹脂は特にアルコール耐性にすぐれる。
【0019】
本発明で用いることが出来る、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612のいずれかもしくは少なくとも一つからなるポリアミド樹脂を説明する。
【0020】
本発明で用いるポリアミド6は、カプロラクタムを開環重合させた物であり、その製造方法は、特に制限された物ではなく、公知の方法に従って行なう事が出来る。また、製造の際に各種の触媒、熱安定剤等の添加剤を使用しても良い。
【0021】
本発明で用いるポリアミド11は、11−アミノウンデカン酸を重縮合した物であり、その製造方法は、特に制限された物ではなく、公知の方法に従って行なう事が出来る。また、製造の際に各種の触媒、熱安定剤等の添加剤を使用しても良い。例えば、アトケム製の「リルサンBMN P40」(製品名)が例として挙げられる。
【0022】
本発明で用いるポリアミド12は、ラウロラクタムを開環重合した物もしくは12−アミノドデカン酸を重縮合した物であり、その製造方法は、特に制限された物ではなく、公知の方法に従って行なう事が出来る。また、製造の際に各種の触媒、熱安定剤等の添加剤を使用しても良い。例えば、ダイセルデグザ製の「ダイアミドA1709P」(製品名)が例として挙げられる。
【0023】
本発明で用いるポリアミド610は、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸を重縮合させた物であり、その製造方法は、特に制限された物ではなく、公知の方法に従って行なう事が出来る。また、製造の際に各種の触媒、熱安定剤等の添加剤を使用しても良い。例えば、東レ製の「アミランCM2001」(製品名)が例として挙げられる。
【0024】
本発明で用いるポリアミド612は、ヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸を重縮合させた物であり、その製造方法は、特に制限された物ではなく、公知の方法に従って行なう事が出来る。また、製造の際に各種の触媒、熱安定剤等の添加剤を使用しても良い。例えば、デュポン製の「ザイテル151L」(製品名)が例として挙げられる。
【0025】
また、本発明で用いるポリアミド樹脂としてポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612の中より2つ以上をブレンドして用いても良い。
【0026】
次に、本発明に使用する▲1▼ポリブチレンテレフタレート樹脂、▲2▼酸成分中にダイマー酸を30モル%以下共重合したPBT、▲3▼PBTをハードセグメントとし、ソフトセグメントしてポリエーテルもしくはポリエステルからなる熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂をそれぞれ説明する。
【0027】
本発明に使用する▲1▼ポリブチレンテレフタレート樹脂は、酸成分としては主としてテレフタル酸、グリコール成分として1,4−ブタンジオールからなる。
【0028】
本発明に使用する熱可塑性樹脂の好適例の2つ目は、▲2▼酸成分にダイマー酸を30モル%以下共重合したPBTである。PBTはエタノールに対する耐性に非常に優れるので、エタノールを含む液体の容器の素材をPBTとすることは好ましい。
【0029】
共重合するダイマー酸の効果は容器に柔軟性を持たせると言うものである。酸成分中ダイマー酸組成は0.5〜30モル%であることがより好ましく、更に好ましくは1〜20モル%であり、特に好ましくは3〜15モル%である。
【0030】
この樹脂▲2▼の酸成分の1つであるダイマー酸の原料は、炭素数18の不飽和脂肪酸又はその低級アルキルエステル、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸等である。これらをモンモリロナイト等の粘土触媒によって重合し、炭素数36のダイマー酸以外に炭素数54のトリマー酸、炭素数18のモノマー酸の混合物が得られる。この混合物を、真空蒸留、分子蒸留及び水素添加反応により本発明に使用するダイマー酸が得られる。
【0031】
ダイマー酸の好ましい具体例としては、ユニケマ社製のPRIPOL 1008、PRIPOL 1009、更にはPRIPOL 1008のエステル形成性誘導体としてユニケマ社製のPRIPLAST 3008、PRIPOL 1009のエステル形成性誘導体としてPRIPLAST 1899があげられる。
【0032】
樹脂▲2▼にはテレフタル酸、ダイマー酸以外の他の成分が少量存在していても良い。このような成分として例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
【0033】
樹脂▲1▼、樹脂▲2▼は公知の方法に従って適宜製造したものを用いても良いし、市販の製品を用いても良い。例えば、樹脂▲1▼では、カネボウ合繊製PBT樹脂「PBT124」(製品名)が例として挙げられ、樹脂▲2▼では、カネボウ合繊製共重合PBT樹脂「P02120」(製品名)が例として挙げられる。
【0034】
本発明に使用する▲3▼熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)単位をハードセグメント、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマー樹脂(特公昭49−48195,49−31558号公報)、PBT単位をハードセグメント、ポリカプロラクトン(PCL)等のポリエステル単位をソフトセグメントとするポリエステルエステルエラストマー樹脂(特公昭48−4116号、特開昭59−12926号公報)等を用いることが出来る。
【0035】
本発明における▲3▼熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂(ポリエーテルエステル系)は、テレフタル酸、1,4−ブタンジオールおよびポリテトラメチレングリコールを同時に又は段階的に直接エステル化するかあるいはエステル交換反応させた後、重合する方法を採用することが出来る。これらの重合或いはエステル交換反応の際に、公知の各種触媒、安定剤、改質剤或いは添加剤などを使用しても良い。
【0036】
他に、▲3▼熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂(ポエステルエステル系)では、PBT樹脂にε−カプロラクトン熔融反応混練をする方法で得ることが出来る。この熔融混練時に、公知の各種触媒、安定剤、改質剤或いは添加剤などを使用しても良い。
【0037】
本発明で使用する▲3▼熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂は、ハイトレル(東レ・デュポン)やペルプレン(東洋紡績)と言った市販の材料をそのまま用いても何ら差し支えはない。
【0038】
本発明において熱可塑性樹脂と膨張黒鉛の複合化方法は、特に限定される物ではないが、熱可塑性樹脂に膨張黒鉛が十分に分散していることが肝要であり、例えば、2軸混練押出し機を用いて熔融混練することが出来る。
【0039】
熱可塑性樹脂と膨張黒鉛は事前に混合しておいても良いし、また、熔融状態にある熱可塑性樹脂に膨張黒鉛を加えても良い。
【0040】
また、熱可塑性樹脂と膨張黒鉛の熔融混練時に、もしくは熔融混練後の複合化樹脂に、本発明の目的を損なわない範囲で添加剤を1種類以上加えることが出来る。このような添加剤としては、耐熱剤(例えばヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキノン系、チオエーテル系、ホスファイト類及びこれらの置換体及びその組合せを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等)及び離型剤(例えばモンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド、シリコン樹脂等)、などがある。
【0041】
本発明の中空成形体は、その最内層が上述したような特定の樹脂組成物からなることに特徴がある。ここでいう最内層とは、例えば自動車の燃料容器のような中空成形体を例に取れば、燃料と接する側の層のことである。また、管状中空成形体すなわちパイプのようなものを例に取れば、パイプの中を流れる流体と接する側のことである。
【0042】
本発明の中空成形体は、その最内層が上述したような特定の樹脂組成物であれば、その外側に保護層や意匠層、更には接着層等と言った複数層からなる多層構造を有していても何ら問題は無い。
【0043】
また、本発明においては、上述したような特定の樹脂組成物層のみからなる中空成形体、いわゆる単層構造の中空成形体もその技術範囲に含む。
【0044】
本発明の中空成形体は、上述したような特定の樹脂組成物が、その最内層にある事が肝要である。最内層に無い場合には、中空成形体としてバリア性は有しても帯電防止性の点で目的を達し得ない。
【0045】
本発明における中空成形体は、特に限定された物ではなく一般的な中空成形機を用い、熔融状態の樹脂をダイスから垂らし、これを金型でピンチした後、空気または窒素を吹き込み賦形する事で得る事が出来る。
また、射出成形を用いて容器状と蓋状に成形した物を勘合、熔着等にて一体化させ、中空成形体としても良い。
【0046】
本発明における管状の中空成形体は、特に限定された物ではなく一般的な単軸押出し機を用い、熔融状態の樹脂をダイスから中空状に押出し、冷却して得る事が出来る。冷却は、空気中で行なっても水中で行なっても良く、減圧下の水中で冷却させると容易に形状の安定した管状の中空成形体を得る事が出来る。
また、一般的な射出成形を用いて管状の中空成形体を得ても良い。
【0047】
中空成形体は、熱可塑性樹脂60〜95重量%と膨張黒鉛5〜40重量%からなる複合樹脂を最内層としておれば、その外側に他の樹脂層からなる多層構造を有しても全く問題が無い。
【0048】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定される物ではない。
実施例および比較例における試料の作製および評価は、次のように行なった。
【0049】
(熱可塑性樹脂複合方法)
所定の熱可塑性樹脂と所定量の膨張黒鉛もしくは他のフィラーを予備ブレンドした後、日本製鋼所製2軸混練機TEX−30αを用いて熔融混練した。
【0050】
(中空成形体作製)
日本製鋼所製中空成形機JEB−III(P4025AB押出し機内臓)にて内容積100mlの中空容器を作製した。
【0051】
(管状の中空成体作製)
陸亜製単軸押出し機RY30−26にて押出しを行ない水中サイジングで外径15mm、肉厚0.8mmの管状体を作製した。
【0052】
(帯電防止性もしくは導電性)
中空成形体を切り開いてシート状の試料とし、中空成形体の内面に該当する側の表面抵抗率を三菱化学製抵抗率計ハイレスタ−UP(型番:MCP−HT450)にて測定し、9.9×108Ω/□以下の物を帯電防止性もしくは導電性有りと判定し、合格とした。9.9×108Ω/□を超える物は、帯電防止性もしくは導電性なしで不合格とした。
【0053】
(燃料バリア性)
有効長100mmになるように管状の中空成形体を切断し、その片端を密栓した後、A:ガソリン、B:ガソリン/エタノール=85/15(重量比)の燃料を入れ、もう一方の片端も密栓した。この燃料を充填した管状体を60℃のオーブン中に24時間保持し前後の重量差を測定した。
中空成形体の場合には、開口部を一ヶ所のみ残した状態に開口部を密栓した後、A:ガソリン、B:ガソリン/エタノール=85/15(重量比)の燃料を入れ、残る開口部を密栓した。この燃料を充填した中空成形体を60℃のオーブン中に24時間保持し前後の重量差を測定した。
【0054】
実施例1〜4
ポリアミド12をベースとして膨張黒鉛を5,10,30、および40重量%複合化した材料を用いて管状体を作製し、その燃料AおよびBに対する透過量と帯電防止性ないしは導電性評価を実施しその結果を表1に纏めた。燃料透過量は、0.0500〜0.0200の場合に評価を○とし、0.0200未満は評価を◎と記し、0.0500を超える場合には×と記した。
【0055】
比較例1〜3
ポリアミド12単独の場合および膨張黒鉛を3および43重量%複合化した材料を用いて実施例1〜4と同様に管状体を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に合わせて示した。
【0056】
【表1】
【0057】
比較例4〜6
ポリアミド12をベースとして層状無機フィラーであるマイカおよび粒状の黒鉛を所定量用いた他は実施例1〜4と同様に管状体を作製し、評価を実施した。
評価結果を表2に実施例2および3との比較の形で示した。
【0058】
【表2】
【0059】
実施例5〜10
ベース樹脂を種々変えて実施例1〜4と同様に管状体を作製し、評価を実施した。評価結果を表3に示した。
【0060】
【表3】
【0061】
実施例11
実施例2で用いた樹脂を最内層(厚さ:0.8mm)とし、その外層にポリアミド12層(厚さ:0.4mm)を配した管状体を作製し、その燃料AおよびBに対する透過量と帯電防止性ないしは導電性評価を実施しその結果を表4に示した。
【0062】
【表4】
【0063】
比較例7
実施例11の内層と外層を逆に配した管状体、すなわち最内層としてポリアミド12層(厚さ:0.4mm)、外層に実施例2で用いた樹脂を(厚さ:0.8mm)からなる管状体を作製し、その燃料AおよびBに対する透過量と帯電防止性ないしは導電性評価を実施しその結果を表4に合わせて示した。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、燃料バリア性と帯電防止性もしくは導電性に優れた中空成形体を提供することが出来る。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂60〜95重量%と膨張黒鉛5〜40重量%からなる複合樹脂を最内層とする中空成形体。
- 熱可塑性樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612の少なくとも一つからなるポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1記載の中空成形体。
- 熱可塑性樹脂が、酸成分中にダイマー酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を30モル%以下含むポリブチレンテレフタレート(PBT)である、請求項1記載の中空成形体。
- 熱可塑性樹脂が、PBTをハードセグメントとし、ソフトセグメントしてポリエーテル又はポリエステルからなる熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂である請求項1記載の中空成形体。
- 中空成形体が単層構造である、請求項1〜4いずれかに記載の中空成形体。
- 中空成形体の形状が、管状である請求項1〜5いずれかに記載の中空成形体。
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