JP5181329B2 - 窒化アルミニウム含有物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化アルミニウム含有物の製造方法に関し、特に、塊状の窒化アルミニウム含有物または粉末状の窒化アルミニウムを製造する方法に関する。
窒化アルミニウムは、熱伝導率が高く、熱膨張係数が低く、化学的にも安定である等、優れた性質を有する材料である。このため、近年、半導体デバイス等やエンジン部材等等、様々な分野へ応用されることが期待されている。
従来、窒化アルミニウムを製造する方法としては、非常に高い気圧(例えば100気圧)の窒素雰囲気中でアルミニウムを高温(例えば1600°)に加熱する方法がある。この方法によれば、窒化アルミニウムの粉末を得ることができる。非特許文献1には、窒化アルミニウムの製造に関する研究が開示されている。
小橋眞、斎木健蔵ら、日本軽金属学会第104回講演概要集(2003)2.
上記した方法では、窒化アルミニウムを得るためには、非常に高い気圧、かつ高温にする必要がある。従って、窒化アルミニウムの製造コストが高くなっていた。
また、窒化アルミニウムの粉末しか得ることができない。このため、所望する形状の窒化アルミニウム含有物を得るためには、窒化アルミニウムの粉末にバインダーを添加して所望する形状にした後、焼成する必要があった。このため、塊状の窒化アルミニウム含有物の製造コストは更に高くなっていた。
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、製造コストが低い窒化アルミニウム含有物の製造方法を提供することにある。
本発明の窒化アルミニウム含有物の製造方法は、窒素雰囲気下で、アルミニウムと窒化物を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融することにより、窒化アルミニウムを含有する窒化アルミニウム含有物を生成する第1熱処理工程を具備する。前記窒化アルミニウム含有物は塊状とすることができるが、粉末状にすることもできる。
前記容器内において、前記窒化物上に前記アルミニウムが位置する状態で加熱を行うのが好ましい。また、前記窒化物は粉末状であるのが好ましい。前記窒化物は、例えば窒化ホウ素、窒化マグネシウム、又は窒化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
前記第1熱処理工程における熱処理温度は、900℃以上1400℃以下であるのが好ましい。また前記第1熱処理工程において、前記窒素ガス雰囲気を加圧雰囲気にするのが好ましい。この場合、前記窒素ガス雰囲気は50気圧以下でよい。
前記第1熱処理工程の後に、前記窒化アルミニウム含有物を冷却した後窒素ガス雰囲気下で再び熱処理する第2熱処理工程を更に具備するのが好ましい。前記第1熱処理工程の後において前記窒化アルミニウム含有物は窒化アルミニウム及びアルミニウムを含有しているが、前記第2熱処理によって、前記窒化アルミニウム含有物の窒化アルミニウム含有率は増加し、かつアルミニウム含有率が低下する。
前記第2熱処理工程において、前記窒素ガス雰囲気を加圧雰囲気にするのが好ましい。この場合、前記窒素ガス雰囲気は50気圧以下でよい。
前記第2熱処理工程は、前記第1熱処理工程よりAlの窒化反応が進行しやすい条件で行われるのが好ましい。また、前記第2熱処理工程における熱処理温度は、前記第1熱処理工程における熱処理温度以上であるのが好ましい。また、前記第1熱処理工程における熱処理温度は900℃以上1200℃以下であり、前記第2熱処理工程における熱処理温度は1100℃以上1200℃以下であるのが好ましい。このようにすると、窒化アルミニウム含有物の特性を向上させることができる。
また、前記第2熱処理工程を複数回繰り返すと、低温かつ低圧条件においても窒化アルミニウム含有率を高めることができる。
本発明に係る他の窒化アルミニウム含有物の製造方法は、不活性ガス雰囲気下でアルミニウムと窒化物を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成するものである。
本発明の窒化アルミニウム含有組成物の製造方法によれば、非常に高い気圧にすることなく、かつ1600℃もの高温にすることなく、窒化アルミニウム含有物を製造することができる。特に、製造の条件を調節することにより、塊状の窒化アルミニウム含有物を直接製造することができる。このため、製造コストが格段に低くなる。
本発明の実施形態に係る窒化アルミニウムの製造方法に用いる製造装置であるカーボン抵抗炉の構成図。 実施例1で得られたX線回折チャート。 実施例1で得られたエネルギー分散型X線分析チャート。 実施例2で得られた示差熱分析チャート。 実施例4において、雰囲気窒素ガス圧力と熱処理温度を種々に変えたときの窒化アルミニウム含有組成物の状態を示す図である。 実施例5において、雰囲気窒素ガス圧力と熱処理温度を種々に変えたときの窒化アルミニウム含有組成物の状態を示す図である。 実施例6で得られたX線回折チャートである。 実施例6で得られたX線回折チャートである。 実施例6で得られたX線回折チャートである。 実施例6で得られたX線回折チャートである。 第2熱処理における雰囲気窒素圧力と窒化アルミニウム含有物中のAlN体積率の関係を示すグラフ。 実施例7で得られたX線回折チャートである。 実施例8で調べた平均熱膨張量の結果を示す図である。 実施例9で得られた熱膨張率を示す図である。 実施例10で得られた導電率を示す図である。 実施例11で得られたマイクロビッカース硬さを示すグラフ。 実施例12で得られた熱伝導率を示すグラフ。 第2熱処理の回数と窒化アルミニウム含有率の関係を示すグラフ。 アルミニウムを溶かした後の窒化アルミニウム含有物のSEM写真。
符号の説明
10…反応チャンバー
11…ガス導入口
12…るつぼ(反応容器)
13…グラファイトヒータ
14…熱電対モニター線
20…窒化ホウ素
21…アルミニウム
以下に、本発明の実施の形態に係る窒化アルミニウム含有組成物の製造方法について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法に用いられるカーボン抵抗炉の構成図である。このカーボン抵抗炉は、反応チャンバー10を有している。反応チャンバー10には排気口(図示せず)及びガス導入口11が設けられている。反応チャンバー10内には、ルツボ12を加熱するためのグラファイトヒータ13が設けられている。ルツボ12には熱電対が取り付けられているため、モニター線14を通じてルツボ12の温度を反応チャンバー10の外部でモニターすることができる。
次に、上記のカーボン抵抗炉を用いた窒化アルミニウム含有物の製造方法について説明する。
まず、小片に砕いたアルミニウム21と粉末状の窒化物20をルツボ12に投入する。窒化物20は、例えば六方晶の窒化ホウ素であるが、他の窒化物(例えば窒化マグネシウム(Mg)又は窒化カルシウム(Ca))であってもよい。また、窒化ホウ素、窒化マグネシウム及び窒化カルシウムからなる群から選ばれた2種以上の混合物であってもよい。このとき、窒化物20がアルミニウムの下に位置するようにする。窒化物20とアルミニウム21を交互に複数積層させてもよい。アルミニウムに対する窒化物20の重量比は0.1以上1以下であるのが好ましい。
次に、上記した排気口から反応チャンバー10内部を排気し、その後ガス導入口11から窒素ガスを導入する。これにより、反応チャンバー10の内部は窒素雰囲気になる。反応チャンバー10内部における窒素ガスの圧力は、加圧雰囲気が好ましく、例えば5気圧以上50気圧以下である。
次に、グラファイトヒータ13でルツボ12を加熱し、ルツボ12の内部をアルミニウムの融点(660℃)以上、好ましくは900℃以上1400℃以下まで加熱する。これにより、ルツボ12内のアルミニウム21は溶融し、溶融したアルミニウム21と固相の窒化物20との間で固液二相反応が生じる。このとき、雰囲気中の窒素も反応する。これにより、アルミニウムの窒化反応が進行し、窒化アルミニウム含有物、及びスラグが形成される(以下、第1熱処理と記載)。第1熱処理におけるアルミニウムの窒化反応において、窒化物20のうち窒素以外のもの(例えばホウ素、マグネシウム、又はカルシウム)は触媒として機能すると考えられる。この窒化反応が進行する速度は、処理温度及び雰囲気窒素の圧力によって制御することができる。
なお、X線回折によれば、窒化物20のうち窒素以外のもの(例えばホウ素、マグネシウム、又はカルシウム)は、窒化アルミニウム含有物の中にはほとんど存在しない。窒化物20のうち窒素以外のもの(例えばホウ素、マグネシウム、又はカルシウム)は、上記したスラグに含まれると考えられる。
また、ルツボ12の内部で窒化物20をアルミニウム21の下に位置させた場合、溶融したアルミニウム21が粉末状の窒化物20間に浸透する。このため、窒化アルミニウムの生成反応が効率よく進行する。また、窒化アルミニウムはアルミニウムより比重が大きいため、生成した窒化アルミニウムが沈殿し、その上方でアルミニウムの窒化反応が進行する状態になる。
本実施形態に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法では、第1熱処理の処理条件、例えば処理温度、雰囲気窒素の圧力、反応時間、及びアルミニウムに対する窒化ホウ素の割合等によって、窒化アルミニウム含有物の状態を作り分けることができる。
例えば所定の処理条件では、複数の窒化アルミニウム粒子がアルミニウムによって接合した窒化アルミニウム含有物が、凝集合体(バルク)状すなわち塊状で得られる。得られた窒化アルミニウム含有物は、複数の窒化アルミニウム粒子の相互間がアルミニウムによって満たされているか、又はネットワーク状すなわち網目状に成長した窒化アルミニウムの相互間がアルミニウムによって満たされているため、空隙率が1%以下である。このように、焼結法によって得られた窒化アルミニウム含有物と比較して空隙率が大幅に低下し、金属に近い状態でバルク状の窒化アルミニウム含有物が得られる。なお、ネットワーク状すなわち網目状に成長した窒化アルミニウムの相互間に位置するアルミニウム中には、ネットワークを形成していない窒化アルミニウム粒子が含まれる場合もある。
そして、窒化アルミニウムの生成反応が促進される条件(例えば1300℃で40気圧)では、生成物である窒化アルミニウム含有物に含まれる窒化アルミニウムの割合を高くし、かつアルミニウムの割合を低くすることができる。
アルミニウムの含有率が40%以上70以下の場合、得られた窒化アルミニウム含有物の加工性が高くなる。また、アルミニウムの含有率が20%以下の場合、窒化アルミニウムの機械的特性(硬度等)が高くなる。また、アルミニウムの含有率が5%以下の場合、得られた窒化アルミニウム含有物の特性(熱伝導率及び抵抗を含む)が、純粋なAlNの特性に近くなる。
窒化アルミニウム含有物に含まれるアルミニウムが一定値以下になると、窒化アルミニウム含有物は凝集合体(バルク)状の物と粉末状の物の混合物になり、更にアルミニウムの割合が少なくなると、生成物は粉末状になる。粉末状の生成物は、後述の実施例に示すように高純度の窒化アルミニウムである。粉末状になるのは、未反応のAlがほとんど存在しなくなるためと考えられる。
また、後述する実施例で示すように、雰囲気窒素の圧力によって窒化アルミニウム含有物に含まれる窒化アルミニウムの結晶構造を制御することができる。
以上、本発明に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法によれば、容易に塊状の窒化アルミニウム含有物を得ることができる。得られた窒化アルミニウム含有物は、アルミニウムの割合によって特性が様々に変化する。例えばアルミニウムの割合が高い場合、窒化アルミニウム含有物の加工性が良くなり、アルミニウムの割合が低い場合、窒化アルミニウム含有物の特性がAlNの特性に近くなる。また、窒化アルミニウムの粒子の表面がアルミニウムによって被覆されているため、良好な耐湿性を得ることができる。
また、従来方法と比較して製造条件は低温かつ低圧である。従って、製造コストも従来と比較して大幅に低くなる。また、製造条件を調整することにより、粉末状の窒化アルミニウムを製造することができるが、この場合においても、従来と比較して製造条件は低温かつ低圧であるため、製造コストが従来と比較して大幅に低くなる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法は、第1の実施形態に示した第1熱処理によって塊状の窒化アルミニウム含有物を製造し、得られた窒化アルミニウム含有物を冷却した後、更に窒化アルミニウム含有物を窒素ガス雰囲気下で再熱処理(以下、第2熱処理と記載)するものである。窒化アルミニウムの冷却は、例えば炉冷で行う。第2熱処理は、例えば第1熱処理で用いたカーボン抵抗炉を用いて行う。第2熱処理を行うことにより、窒化アルミニウム含有物に含まれるアルミニウムの窒化反応が進行してアルミニウムの含有率が低下し、かつ窒化アルミニウムの含有率が上昇する。
本実施形態において、第2熱処理は、第1熱処理よりアルミニウムの窒化反応が進行しやすい条件で行われるのが好ましい。これは、アルミニウムの窒化反応は発熱反応であるため、第1熱処理をアルミニウムの窒化反応が進行しやすい条件にすると、第1熱処理において窒化アルミニウムの核生成が急激に進行し、窒化アルミニウムがネットワーク状になりにくいためである。例えば、第2熱処理における熱処理温度は、第1熱処理における熱処理温度以上であるのが好ましい。具体的には、第1熱処理における熱処理温度は900℃以上1200℃以下であり、第2熱処理における熱処理温度は1100℃以上1200℃以下であるのが好ましい。
また、第2熱処理における窒素ガス雰囲気の圧力は、加圧雰囲気であるのが好ましく、例えば5気圧以上50気圧以下である。
第2熱処理においても、処理条件(具体的には温度及び圧力)を変更することにより窒化アルミニウムの生成反応を促進して、生成物である窒化アルミニウム含有物に含まれる窒化アルミニウムの割合を高くし、かつアルミニウムの割合を低くすることができる。なお、アルミニウムの窒化反応が過度に進行すると、窒化アルミニウム含有物は凝集合体(バルク)状の物と粉末状の物の混合物、更には粉末状になる。粉末状の生成物は高純度の窒化アルミニウムである。
また、第2熱処理すなわち窒化アルミニウム含有物の冷却及び加熱サイクルを複数回行っても良い。これにより、低温(例えば1100℃)かつ低圧の条件(例えば15気圧)においてもアルミニウムの含有率が更に低下し、かつ窒化アルミニウムの含有率が更に上昇する。また、単純に熱処理時間を長くする場合と比較して、窒化アルミニウム含有率を高くすることができる。
本実施形態においても、容易に塊状の窒化アルミニウム含有物を得ることができる。得られた窒化アルミニウム含有物は、アルミニウムの割合によって特性が様々に変化する。例えばアルミニウムの割合が高い場合、窒化アルミニウム含有物の加工性が良くなり、アルミニウムの割合が低い場合、窒化アルミニウム含有物の特性がAlNの特性に近くなる。また、窒化アルミニウムの粒子の表面がアルミニウムによって被覆されているため、良好な耐湿性を得ることができる。
また、従来方法と比較して製造条件は低温かつ低圧である。従って、製造コストも従来と比較して大幅に小さくなる。また、製造条件を調整することにより、粉末状の窒化アルミニウムを製造することができる。この場合においても、従来と比較して製造条件は低温かつ低圧であり、製造コストが従来と比較して大幅に小さくなる。
また、第1熱処理後の塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を所望の形状(例えば放熱基板、ピストン、又はシリンダなど)に加工した後、第2熱処理を行っても良い。特に、第1熱処理後の窒化アルミニウム含有物におけるAl含有率を例えば40〜70%となるようにすると、窒化アルミニウム含有物の加工性が高くなる。この場合においても、第2熱処理によって形状加工後の窒化アルミニウム含有物の窒化アルミニウム含有率を高くする(例えば98%以上)ことができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法は、雰囲気が窒素雰囲気ではなくアルゴン等の不活性ガス雰囲気である点を除いて、第1の実施形態に示した第1熱処理と略同様である。本実施形態では、窒化物20のみが窒化アルミニウムの生成反応における窒素供給源となる。
まず、小片に砕いたアルミニウムと粉末状の窒化物20をルツボ12に投入する。このとき、窒化物20がアルミニウムの下に位置するようにする。アルミニウムに対する窒化物20の重量比は0.8以上2以下であるのが好ましい。
次に、上記した排気口から反応チャンバー10内部を排気し、その後ガス導入口11から不活性ガスを導入する。次に、グラファイトヒータ13でルツボ12を加熱し、ルツボ12の内部をアルミニウムの融点(660℃)以上の温度まで加熱する。これにより、ルツボ12内のアルミニウムは溶融し、溶融したアルミニウムと固相の窒化物20との間で固液二相反応が生じる。これにより、アルミニウムの窒化反応が進行し、窒化アルミニウム含有物、及びスラグが形成される。
本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
このように、上記した各実施形態に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法によれば、第1熱処理により、窒化アルミニウム含有物を凝集固体(バルク)状すなわち塊状で得ることができる。この窒化アルミニウム含有物は、複数の窒化アルミニウムの粒子をアルミニウムが接合したものである。また、さらに第2熱処理を行うことにより、残留しているアルミニウムを窒化させ、窒化アルミニウムの含有率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、窒化アルミニウム含有物の製造条件は、従来方法と比較して低圧かつ低温である。従って、製造コストを大幅に下げることができる。
また、従来方法では、塊状の窒化アルミニウムを得るためには、粉末状で製造された窒化アルミニウムを焼結する必要があった。また、焼結によって得られた窒化アルミニウムは空隙率が高く、割れやすいため、加工性が悪いという欠点があった。しかし、本実施形態によれば、塊状の窒化アルミニウム含有物を直接製造することができる。このため、生成した窒化アルミニウム含有物の空隙率は低く、かつ加工性も優れている。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば製造装置は上記したカーボン抵抗炉に限定されない。また、第1熱処理条件及び第2熱処理条件は、目的とする窒化アルミニウムの含有率及びAlの含有率によって様々に変更することができる。
(実施例1)
原料として小片に砕いた塊状のアルミニウム(純度99.99%以上)と粉末状の六方晶系の窒化ホウ素(純度99.9%以上)を重量比で1:1になるように秤量し、図1に示すカーボン抵抗炉のアルミナ製のルツボ(内径40mmφ)に投入し、以下に示す条件で加熱して反応させた。この際、炉の昇温速度は10℃/分とした。
・窒素雰囲気、圧力:20気圧±10%
・加熱温度並びに時間:1250℃±10%、1時間以上6時間以内
上記の反応により、塊状すなわち凝集固体(バルク)状の生成物(直径40mmφ、厚み20mm)が得られた。
この凝集固体状の生成物について、リガク社製Rint2500回転体陰極型X線回折装置を使用し、結晶構造の同定を行った。X線回折にはCuのkα線を使用し、陰極の条件を50kV、300mAとした。
図2は、X線回折の結果を示すチャートである。本チャートに示すように、六方晶系を基調とする窒化アルミニウム特有の回折ピークが観察され、それ以外の回折ピークはほとんど認められなかった。この結果、得られた凝集固体(バルク)状の生成物は窒化アルミニウムの含有率が高いことが分かった。
また、電子線を照射して特性X線を測定する走査型電子顕微鏡によるエネルギー分散型X線分析装置を用いて、得られた生成物に含まれる元素分析を行った、
図3は、元素分析結果を示すチャートである。本チャートに示すように、Nに対してAlがわずかに多いことが分かった。
これらの実験結果により、本実施形態の製造方法によって、従来では粉末でしか得ることができなかった窒化アルミニウムを、高純度の凝集固体(バルク)状に生成できることが分かった。また、この窒化アルミニウム含有物が、窒化アルミニウムとアルミニウムの複合体であることも分かった。
(実施例2)
窒化アルミニウムが生成するための反応温度を調べるために、島津製作所製DTA−50型示差熱分析装置を用いた。熱分析時の加熱速度を10℃/分として、雰囲気はArとNのそれぞれについて行った。
図4は、アルミニウム片とBN粉末を6:1の割合で秤量してAr雰囲気中で示差熱分析を行ったときの示差熱分析チャートである。
図4から、600℃付近に吸熱ピークが存在し、1200℃付近に急激な発熱ピークが認められた。チャートで確認された最初のピークは反応開始温度が660℃であり、アルミニウムの融点と一致する。一方、1200℃付近に認められる発熱ピークは溶融AlとBN粉末の固液反応によるものと考えられ、下記の反応式(1)に示す反応の開始温度が1200℃であると考えられる。
(化1)
13Al+12BN → 12AlN+AlB12 …(1)
(実施例3)
実施例1において、雰囲気の窒素(N)ガスの圧力を10気圧、20気圧、30気圧と変えたときに得られた窒化アルミニウムの収率や結晶構造を調べた。
同様にして、雰囲気ガスをアルゴン(Ar)に変え、圧力を10気圧、20気圧、30気圧と変えたときに得られた窒化アルミニウムの収率や結晶構造を調べた。
Arガス雰囲気中で反応させた場合の生成物は、ガス圧に関係なく立方晶系と六方晶系の2種類の結晶構造を有するAlNが共存することを明らかにした。
一方、Nガス雰囲気中では、10気圧以下と以上でAlNの結晶構造が立方晶系と六方晶系に変化して生成することが明らかになった。
一方で、従来より反応生成物であると考えられているAlB12の回折ピークは観察されなかった。
また、立方晶と六方晶の結晶構造を有するAlNをマイクロビッカース試験機で硬度測定を行った結果、立方晶系AlNはHv=19程度であるのに対し、六方晶系AlNはHv=900前後の硬度を示すことが分かった。
(実施例4)
実施例1において、窒素雰囲気の圧力を10気圧、15気圧、20気圧、25気圧と変え、また、熱処理温度を900℃、1000℃、1100℃、1200℃と変えて得られた窒化アルミニウム含有組成物の状態を調べた。
結果を図5に示す。図5中、上記の各気圧及び温度に対応する状態として、状態1は粉末状組成物が得られたことを示し、状態2は凝集固体(バルク)状組成物と粉末状組成物の混合物が得られたことを示し、状態3は凝集固体(バルク)状の組成物が得られたことを示す。
上記のX線回折によれば上記の粉末状の組成物は窒化アルミニウムであり、凝集固体(バルク)状の組成物は窒化アルミニウムとアルミニウムの複合体であり、図5から、従来報告されているAlN生成条件より低温低圧でAlNが生成可能であることを示している。これは、温度が上昇するに従ってBNが分解しBがAlとNを結びつける触媒的働きをしているためと考えられる。
(実施例5)
実施例1において、窒素雰囲気の圧力を10気圧、20気圧、30気圧、40気圧と変え、また、熱処理温度を1100℃、1200℃、1300℃と変えて得られた窒化アルミニウム含有物それぞれに対し、AlN含有率(各サンプルで2箇所測定)、X線回折によるAlピークの有無、及びビッカース硬さを調べた。
結果を図6に示す。図6において黒丸はAlピークが観察されなかったことを示している。また各点の上方に記載された数値はAlN含有率(%)であり、各点の下方に記載された数値はビッカース硬さ(Hv)を示している。本図から、熱処理温度が1200℃前後でアルミニウムの窒化反応が最も進行し、かつAlN含有物が硬くなることができることがわかる。
(実施例6)
原料として小片に砕いた塊状のアルミニウム(純度99.99%以上)と粉末状の窒化ホウ素(純度99.9%以上)を重量比で6:1になるように秤量し、図1に示すカーボン抵抗炉のアルミナ製のルツボ(内径40mmφ)に投入し、第1熱処理を行った。第1熱処理の条件は、窒素雰囲気の圧力が10気圧±10%、炉の昇温速度が10℃/分、加熱温度が1100℃±10%、加熱時間が1時間である。本処理により、凝集固体(バルク)状の窒化アルミニウム含有物(直径40mmφ、厚み20mm)が得られた。
図7は、第1熱処理によって得られた窒化アルミニウム含有物のX線回折チャートであり、デフラクトパターンを示している。JCPDSカードに基づいて、AlNの回折ピークに「AlN」と付した。他のピークは、面心立方格子を基調とするAlの回折ピークである。上記した条件では、AlNとAlが共存していることが分かる。なお、AlNとAlの重量比率は、回折ピークの強度比からAlが60%以上70%以下であると考えられる。
そして、第1熱処理によって得られた窒化アルミニウム含有物に対して、第2熱処理(再熱処理)を、複数の圧力条件下で行った。第2熱処理の条件は、加熱温度及び時間が1300℃及び一時間であるが、窒素雰囲気の圧力が、10気圧、30気圧、35気圧、及び40気圧の4パターンである。
図8は、10気圧の窒素雰囲気下で第2熱処理された凝集固体(バルク)状の窒化アルミニウム含有物のX線回折チャートを示している。第2熱処理前と比較して、AlNの回折強度が大幅に上昇し、かつAlの回折強度が低下していることが分かる。これは、再熱処理によって未反応のAlが窒化してAlNになったためと考えられる。また、試料表面には微細なアルミニウムが存在していることが認められた。これは、再熱処理によって、窒化しなかったAlが表面に噴出したものと考えられる。
図9は、30気圧の窒素雰囲気下で第2熱処理された凝集固体(バルク)状の窒化アルミニウム含有物のX線回折チャートを示している。図7と比較して、AlNの回折強度がさらに上昇し、かつAlの回折強度がさらに低下していることが分かる。
図10は、35気圧の窒素雰囲気下で第2熱処理された凝集固体(バルク)状の窒化アルミニウム含有物のX線回折チャートを示している。図8と比較して、AlNの回折強度がさらに上昇した。また、Alの回折ピークはほとんど見られない。この状態において、窒化アルミニウム含有物におけるAl含有率は2%以下である。
また、凝集固体(バルク)状の窒化アルミニウム含有物を40気圧の窒素雰囲気下で第2熱処理すると、粉末状の窒化アルミニウムが得られる。これは、窒化アルミニウムの粒子を接合していたAlのほとんどがAlNに変化したためと考えられる。
上記結果から、凝集固体(バルク)状の窒化アルミニウム含有物において、複数のAlN粒子を接合しているのはアルミニウムであることが分かる。また、第2熱処理の条件(例えば圧力、温度、時間)を調節することにより、窒化アルミニウム含有物のAl含有率を調節して、使用目的に合った特性にすることができることがわかった。
図11は、第二熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成したAlN含有物に含まれるAlNの体積%の関係を示すグラフである。AlNの体積%は、X線回折チャートに基づいて算出した。本グラフに示すように、第二熱処理における窒素雰囲気の気圧が上がるにつれて、AlNの体積%が上昇しており、窒素雰囲気の気圧が35気圧の場合は約98体積%となる。このことから、第二熱処理における窒素雰囲気の気圧を制御することにより、AlN含有物に含まれるAlN含有率を制御できることが分かる。
(実施例7)
原料として小片に砕いた塊状のアルミニウム(純度99.99%以上)と粉末状の窒化ホウ素(純度99.9%以上)を重量比で1:1になるように秤量し、図1に示すカーボン抵抗炉のアルミナ製のルツボ(内径40mmφ)に投入し、第1熱処理を行った。第1熱処理の条件は、窒素雰囲気の圧力が25気圧±10%、炉の昇温速度が10℃/分、加熱温度が1250℃±10%、加熱時間が1時間である。本処理により、粉末状の窒化アルミニウム含有物が得られた。
図12は、上記処理により得られた粉末状の窒化アルミニウム含有物のX線回折チャートである。本チャートから、粉末状の窒化アルミニウム含有物は窒化アルミニウムの純度が100%に近いと考えられる。
従来のAlN粉末製造方法では、窒素雰囲気の気圧が100気圧、処理温度が1600℃の高温高圧条件が必要だったが、本実施例によれば、1250℃、25気圧の低温低圧条件でもAlNの粉末が製造できることが確認された。これは、Alとの濡れ性に優れたBNが触媒として機能することによると考えられる。
(実施例8)
実施例6で得られた窒化アルミニウム含有物の熱膨張特性をそれぞれ調べた。また、アルミニウム単体、及びシリコン単体の熱膨張特性をそれぞれ調べた。測定には島津製作所製熱分析装置TMA−50を用いた。昇温速度は10℃/分であり、常温から500℃までの平均熱膨張量を測定した。
図13は、熱膨張量の測定結果を示すグラフである。縦軸は熱膨張量(μm)であり、横軸は温度(℃)である。記号aは、第2熱処理(再熱処理)における窒素雰囲気圧が10気圧の試料の測定結果であり、記号bは、第2熱処理(再熱処理)における窒素雰囲気圧が30気圧の試料の測定結果であり、記号cは、第2熱処理(再熱処理)における窒素雰囲気圧が35気圧の試料の測定結果である。記号dはアルミニウム単体の測定結果であり、記号eはシリコン単体の測定結果である。
本図から、第2熱処理(再熱処理)を行うことによって、残留しているAlをAlNに変化させ、かつ残留しているAlを試料の表面に搾り出すことにより、熱膨張率を低くできることが分かった。そして、第2熱処理の条件を調整することにより、窒化アルミニウム含有物の熱膨張率をAlN単体の熱膨張率に近づけることができる。具体的には、第2熱処理における窒素雰囲気の圧力が高いほど、窒化アルミニウム含有物の熱膨張率はAlN単体の値に近くなる。なお、1300℃、35気圧、1時間という第2熱処理の条件は、凝集固体(バルク)状から粉末状に変わる臨界点に近い状態にあると考えられる、
(実施例9)
図14は、窒化アルミニウム含有物の熱膨張率と、第2熱処理における窒素雰囲気圧の関係を示すグラフである。試料は、実施例7と同様のものを用いた。なお、図中xはシリコン単体の熱膨張率を示しており、図中yは従来の焼結法による窒化アルミニウムの熱膨張率を示している。
本図によれば、第2熱処理における窒素雰囲気の圧力が20気圧を超えると熱膨張率が急激に小さくなる。これは、Alの窒化反応、及びAlの搾り出し効果が20気圧以上で顕著になるためと考えられる。従って、高温で安定な凝集個体(バルク)状の窒化アルミニウム含有物を得るためには、第2熱処理における窒素雰囲気の圧力を、25気圧以上35気圧以下にするのが好ましいと考えられる。
(実施例10)
図15は、窒化アルミニウム含有物の導電率と、第2熱処理における窒素雰囲気圧の関係を示すグラフである。試料は実施例7と同様のものを用いた。導電率の測定は4端子法によって行い、電気抵抗という形で測定した。
本図によれば、第2熱処理における窒素雰囲気の圧力が20気圧以下では、窒化アルミニウム含有物は通常の金属材料と同程度の導電率を示すが、20気圧を超えた圧力で第2熱処理を行うと、窒化アルミニウム含有物の導電率が急激に小さくなる。特に35気圧以上では、導電率は略0になり、絶縁物といえる状態になった。
(実施例11)
実施例6で得られた窒化アルミニウム含有物のマイクロビッカース硬さを測定した。
図16は、第二熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成したAlN含有物のマイクロビッカース硬さの関係を示すグラフである。全ての試料において、処理温度は1300℃であり、処理時間は一時間である。窒素雰囲気の気圧が上がるにつれて、AlN含有物のマイクロビッカース硬さが上昇している。このような傾向が得られるのは、図10に示したように、窒素雰囲気の気圧が上がるにつれて、AlN含有物に含まれるAlNの体積%は上昇する為と考えられる。
詳細には、窒素雰囲気が20気圧の場合はジュラルミン(商標)よりやや高い硬さを有している。また、窒素雰囲気が30気圧の場合は工具用の特殊鋼(例えばモリブデン鋼)より高い硬さを示している。このように、本実施例に係る窒化アルミニウム含有物は、高い硬さを有しており、耐磨耗性が高く、機械的特性も優れていることが分かる。
(実施例12)
実施例6で得られた窒化アルミニウム含有物の熱伝導率を測定した。
図17は、第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成したAlN含有物の熱伝導率の関係を示すグラフである。全ての試料において、処理温度は1300℃であり、処理時間は一時間である。本図に示すように、窒素雰囲気が30気圧の場合は、焼結法により形成されたAlN焼結体より高い熱伝導率を有している。このように、本実施例に係るAlN含有物は、熱伝導特性も優れていることが分かる。
(実施例13)
原料として小片に砕いた塊状のアルミニウム(純度99.99%以上)と粉末状の窒化ホウ素(純度99.9%以上)を重量比で6:1になるように秤量し、図1に示すカーボン抵抗炉のアルミナ製のルツボ(内径40mmφ)に投入し、第1熱処理を行った。第1熱処理の条件は、窒素雰囲気の圧力が10気圧±10%、炉の昇温速度が10℃/分、加熱温度が1100℃±10%、加熱時間が1時間である。本処理により、凝集固体(バルク)状の窒化アルミニウム含有物(直径40mmφ、厚み20mm)が得られた。
その後、第2熱処理を複数回行い、窒化アルミニウム含有物の窒化アルミニウム含有率(X線回折により測定)と第2熱処理の回数の関係を、第2熱処理の温度が1150℃の場合と1200℃の場合それぞれにおいて調べた。全ての第2熱処理において、窒素雰囲気圧は15気圧である。
結果を図18に示す。本図から、第2熱処理の回数が増加するにつれて窒化アルミニウム含有率が高くなることが分かる。また、窒化アルミニウム含有率は、長時間の第2熱処理を一回行う場合よりも、短時間の第2熱処理を複数回行う場合のほうが増加する。
また、第2熱処理の温度が1200℃の場合は、第2熱処理の温度が1150℃の場合と比較して、相対的に少ない処理回数で窒化アルミニウム含有率が増加する。この場合、アルミニウムの窒化反応が急激に進む。
(実施例14)
実施例13で得られた窒化アルミニウム含有物(第2熱処理における処理温度は1150℃、処理回数は3回)を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、窒化アルミニウム含有物に含まれるアルミニウムを溶かした。この試料のSEM写真を図19に示す。本写真から、窒化アルミニウムがネットワーク状に形成されていることが分かる。なお窒化アルミニウムのうちネットワークを形成せずに孤立しているものは、アルミニウムが溶け出すことによりネットワークから切り離され、水酸化ナトリウム水溶液中に流れ出ている。
なお、上記した実施例においては窒化物として窒化ホウ素を用いたが、窒化マグネシウム及び窒化カルシウムも窒化ホウ素に近い生成自由エネルギーを有しているため、同様の結果を得られると考える。
本発明に係る窒化アルミニウム含有物は、硬く、かつ熱伝導率が高いため、半導体材料、発光ダイオード及び半導体レーザ等の半導体発光素子をマウントする基台、並びに内燃機関の材料として利用することができる。

Claims (16)

  1. 窒素雰囲気下で、アルミニウムと窒化ホウ素、窒化マグネシウム、又は窒化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一種からなる窒化物を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融し、前記窒化物、前記アルミニウム、及び前記雰囲気中の窒素を反応させることにより、窒化アルミニウムを含有する窒化アルミニウム含有物を生成する第1熱処理工程を具備する窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  2. 前記容器内において、前記窒化物上に前記アルミニウムが位置する状態で加熱を行う請求項1に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  3. 前記窒化物は粉末状である請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  4. 前記第1熱処理工程における熱処理温度を、900℃以上1400℃以下にする請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  5. 前記第1熱処理工程において、前記窒素雰囲気を加圧雰囲気にする請求項1〜のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  6. 前記窒素雰囲気は50気圧以下である請求項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  7. 前記窒化アルミニウム含有物は塊状である請求項1〜のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  8. 前記第1熱処理工程の後に、前記窒化アルミニウム含有物を冷却した後窒素雰囲気下で再び熱処理する第2熱処理工程を更に具備する請求項1〜のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  9. 前記第1熱処理工程の後において前記窒化アルミニウム含有物は窒化アルミニウム及びアルミニウムを含有し、
    前記第2熱処理によって、前記窒化アルミニウム含有物の窒化アルミニウム含有率は増加し、かつアルミニウム含有率が低下する請求項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  10. 前記第2熱処理工程において、前記窒素雰囲気を加圧雰囲気にする請求項又はに記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  11. 前記第2熱処理工程における前記窒素雰囲気は50気圧以下である請求項10に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  12. 前記第2熱処理工程は、前記第1熱処理工程よりAlの窒化反応が進行しやすい条件で行われる請求項11のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  13. 前記第2熱処理工程における熱処理温度は、前記第1熱処理工程における熱処理温度以上である請求項11のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  14. 前記第1熱処理工程における熱処理温度は900℃以上1200℃以下であり、前記第2熱処理工程における熱処理温度は1100℃以上1200℃以下である請求項11のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  15. 前記第2熱処理工程を複数回繰り返す請求項14のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  16. 不活性ガス雰囲気下でアルミニウムと窒化物を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する窒化アルミニウム含有物の製造方法。
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