JP4836120B2 - 窒化アルミニウム含有物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化アルミニウム含有物の製造方法に関する。
窒化アルミニウムは、熱伝導率が高く、熱膨張係数が低く、化学的にも安定である等、優れた性質を有する材料である。このため、近年、半導体デバイス等やエンジン部材等等、様々な分野へ応用されることが期待されている。
従来、窒化アルミニウムを製造する方法としては、非常に高い気圧(例えば100気圧)の窒素雰囲気中でアルミニウムを高温(例えば1600°)に加熱する方法がある。この方法によれば、窒化アルミニウムの粉末を得ることができる。非特許文献1には、窒化アルミニウムの製造に関する研究が開示されている。
小橋眞、斎木健蔵ら、日本軽金属学会第104回講演概要集(2003)2.
上記した方法では、窒化アルミニウムの粉末しか得ることができない。このため、所望する形状の窒化アルミニウム含有物を得るためには、窒化アルミニウムの粉末にバインダーを添加して所望する形状にした後、焼成する必要があった。しかし、焼成により得られる窒化アルミニウム含有物は多孔質のため加工性が悪い。また、空隙率が高いため、上記した窒化アルミニウムの優れた特性を生かすことができない場合が多い。
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、従来と比較して加工性が高く、かつ窒化アルミニウムの優れた特性を生かすことができる窒化アルミニウム含有物の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法は、窒素雰囲気下で、アルミニウムと窒化ホウ素を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程とを具備する。
この窒化アルミニウム含有物の製造方法によれば、前記塊状の窒化アルミニウム含有物におけるアルミニウム含有率を高くすることにより、前記塊状の窒化アルミニウム含有物の加工性を高くすることができる。また、前記加工後の窒化アルミニウムを窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部を窒化させて、窒化アルミニウム含有率を上げることができる。このように、従来と比較して加工性が高く、かつ窒化アルミニウムの優れた特性を生かすことができる窒化アルミニウム含有物の製造方法とすることができる。また、前記加工後の窒化アルミニウムの加熱処理の条件を調節することにより、前記窒化アルミニウム含有物の窒化アルミニウム含有率を調節することができる。
前記塊状の窒化アルミニウム含有物は、複数の窒化アルミニウム粒子をアルミニウムが接合している構造を有している場合、前記塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程において、粉末状の前記窒化ホウ素を使用し、該窒化ホウ素の粒径によって前記窒化アルミニウム粒子の粒径を制御することができる。
前記塊状の窒化アルミニウム含有物は、複数の窒化アルミニウム粒子をアルミニウムが接合している初期構造が、冷却とともに該アルミニウム結晶の粒界に固定される。このように、アルミニウム粒界に窒化アルミニウムが薄く形成されることで、加工後の加熱処理で、加工形状を保持することが出来る。
本発明に係る他の窒化アルミニウム含有物の製造方法は、窒素雰囲気下で、アルミニウムとホウ素含有物を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程とを具備する。
前記塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程において、加圧された窒素雰囲気下で前記アルミニウムを溶融するのが好ましい。加工前後の加熱処理は時間制御または温度制御または圧力制御により、窒化アルミニウムの含有率が均一または傾斜している窒化アルミニウム含有物を造り分けることができる。このとき、温度及び圧力の少なくとも一方を、経時的に変化させてもよい。
本発明に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法は、アルミニウムと窒化ホウ素を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程とを具備する。
本発明に係る他の窒化アルミニウム含有物の製造方法は、窒化ホウ素を内部に分散させたアルミニウムインゴットを、窒素雰囲気下で加熱して前記アルミニウムインゴットを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程とを具備する。
本発明に係る他の窒化アルミニウム含有物の製造方法は、窒化ホウ素を内部に分散させたアルミニウムインゴットを加熱して前記アルミニウムインゴットを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程とを具備する。
本発明に係る他の窒化アルミニウム含有物の製造方法は、ホウ素含有物を内部に分散させたアルミニウムインゴットを、窒素雰囲気下で加熱して前記アルミニウムインゴットを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程と
を具備する。
これらの方法において、前記アルミニウムインゴット中に窒化ホウ素又はホウ素含有物を、均一分散させてもよいし、傾斜分散させてもよい。
上記した各窒化アルミニウム含有物の製造方法のうち、前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理する工程において、加熱処理の時間又は温度を制御することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムを傾斜窒化させ、窒化アルミニウムの含有率に傾斜を持たせてもよい。
前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理する工程において、前記窒化アルミニウム含有物を、加圧された窒素雰囲気下で加熱処理するのが好ましい。また、加工前後の加熱処理は時間制御または温度制御または圧力制御により、窒化アルミニウムの含有率が均一または傾斜している窒化アルミニウム含有物を造り分けることができる。このとき、温度及び圧力の少なくとも一方を、経時的に変化させてもよい。
上記した各窒化アルミニウム含有物の製造方法のうち、前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程において、前記塊状の窒化アルミニウム含有物を目的形状(例えば板状、シリンダ形状、又はピストン形状)に加工してもよいし、最終製品形状に加工してもよい。これら加工後の傾斜窒化アルミニウム含有物は、窒化アルミニウムの含有率に傾斜(例えば表面から中心に行くにつれて含有率が低下する)があってもよい。
発明を実施するための形態
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法に用いられるカーボン抵抗炉の構成図である。このカーボン抵抗炉は、反応チャンバー10を有している。反応チャンバー10には排気口(図示せず)及びガス導入口11が設けられている。反応チャンバー10内には、反応容器12を加熱するためのグラファイトヒータ13が設けられている。反応容器12には熱電対が取り付けられており、モニター線14を通じて反応容器12の温度を反応チャンバー10の外部でモニターすることができる。
次に、上記のカーボン抵抗炉を用いた窒化アルミニウム含有物の製造方法について説明する。
まず、小片に砕いたアルミニウム21と粉末状のホウ素含有物20を反応容器12に投入する。ホウ素含有物20は、例えばホウ素化合物(例えば六方晶の窒化ホウ素)であるが、単体のホウ素を含有するものであってもよい。このとき、ホウ素含有物20がアルミニウム21の下に位置するようにする。ホウ素含有物20とアルミニウム21を交互に複数積層させてもよい。また、アルミニウム21の塊に窪み又は貫通孔を形成し、この窪み又は貫通穴内にホウ素含有物20を位置させても良い。アルミニウム21に対するホウ素含有物20の重量比は0.1以上1以下であるのが好ましい。更に、アルミニウムインゴット中にホウ素含有物(例えば窒化ホウ素)を分散したものを使用しても良い。アルミニウムインゴット中にホウ素含有物を分散させる処理は、アルミニウム溶融温度に近い700℃以下で行うのが良い。この場合、ホウ素含有物を均一に分散させても良いし、傾斜分散させても良い。
次に、上記した排気口から反応チャンバー10内部を排気し、その後ガス導入口11から窒素ガスを導入する。反応チャンバー10内部における窒素ガスの圧力は、例えば1気圧以上50気圧以下である。
次に、グラファイトヒータ13で反応容器12を加熱し、反応容器12の内部をアルミニウムの融点(660℃)以上、好ましくは1100℃以上1400℃以下まで加熱する。これにより、反応容器12内のアルミニウム21は溶融し、溶融したアルミニウム21と固相のホウ素含有物20との間で固液二相反応が生じる。このとき、雰囲気中の窒素も反応する。これにより、アルミニウム21の窒化反応が進行し、窒化アルミニウム含有物、及びスラグが形成される(以下、第1熱処理と記載)。この反応が進行する速度は、処理温度及び雰囲気窒素の圧力によって制御することができる。ホウ素は、アルミニウムの窒化反応において触媒として機能すると考えられる。本反応は、アルミニウムインゴット中にホウ素含有物(例えば窒化ホウ素)を分散したものを使用した場合も同様に生じる。
ホウ素化合物に含まれていたホウ素は、窒化アルミニウム含有物の中にはほとんど存在しない。ホウ素は、上記したスラグに含まれるか、又は気化して放散すると考えられる。
なお、反応容器12の内部でホウ素含有物20がアルミニウム21の下に位置させた場合、溶融したアルミニウム21が粉末状のホウ素含有物20間に浸透する。このため、窒化アルミニウムの生成反応が効率よく進行する。また、窒化アルミニウムはアルミニウムより比重が大きいため、生成した窒化アルミニウムが沈殿し、その上方でアルミニウムの窒化反応が進行する状態になる。あらかじめ溶融混合した原料の場合はこの反応が効率よく行われる事は言うまでもない。
また、アルミニウムが窒化アルミニウムになる反応は発熱反応であるため、窒化反応が開始した後、グラファイトヒータ13の出力を低くして、反応容器12の温度を下げても良い(例えばアルミニウムの融点以下、具体的には400℃)。
第1熱処理工程において、処理条件、例えば処理温度、雰囲気窒素の圧力、反応時間、及びアルミニウムに対する窒化ホウ素の割合等によって、窒化アルミニウム含有物の状態を作り分けることができる。
例えば所定の処理条件では、複数の窒化アルミニウム粒子がアルミニウムによって接合した窒化アルミニウム含有物が、凝集合体(バルク)状すなわち塊状で得られる。この場合、窒化アルミニウム粒子はアルミニウムによって被覆された状態になる。窒化アルミニウム含有物の空隙率は1%以下であり、焼結法によって得られた窒化アルミニウム含有物と比較して空隙率が大幅に低下する。
そして、処理温度を高温にするほど、また高圧にするほど、また処理時間が長くなるほど、窒化アルミニウムの生成反応が促進され、生成物である窒化アルミニウム含有物に含まれる窒化アルミニウムの割合を高くし、かつアルミニウムの割合を低くすることができる。
この窒素中の反応過程は、ホウ素化合物が存在している部分において窒化アルミニウムの結晶核が成長し、アルミニウムの窒化が進行するにつれて窒化アルミニウムがアルミニウム融液の中にネットワーク状に成長する。そして、窒化アルミニウムは冷却とともに該アルミニウム結晶の粒界に分散した状態となる。
窒化アルミニウム含有物に含まれるアルミニウムが一定値以下になると、窒化アルミニウム含有物は凝集合体(バルク)状の物と粉末状の物の混合物になり、更にアルミニウムの割合が少なくなると、生成物は粉末状になる。粉末状の生成物は高純度の窒化アルミニウムである。粉末状になるのは、未反応のAlがほとんど存在しなくなるためである。
また、雰囲気窒素の圧力によって窒化アルミニウム含有物に含まれる窒化アルミニウムの結晶構造を制御することができる。また、窒化アルミニウム粒子の粒径は、ホウ素化合物(例えば窒化ホウ素)の粒径により制御することができる。具体的には、ホウ素化合物の粒径が大きくなるにつれて、窒化アルミニウム粒子の粒径も大きくなる。
本実施形態では、処理条件を調整することにより、窒化アルミニウム含有物を、複数の窒化アルミニウム粒子がアルミニウムによって接合した状態となる。本実施形態では、塊状の窒化アルミニウム含有物の加工性を高くするために、処理条件を制御してアルミニウムの粒界に存在している窒化アルミニウム分散粒子間を固定させるため、含有率を10%以上70%以下にする。
次いで、塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を目的形状に加工する。窒化アルミニウム含有物をIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、LED、インバータIC、高速CPU、又はパワーICの基板、又はICの放熱板として使用する場合、窒化アルミニウム含有物は板状に加工される。また、窒化アルミニウム含有物を最終製品形状に加工しても良い。例えば、上記した基板又は放熱板と取り付け枠とが一体になった構造に加工されても良い。なお、放熱板はペデスタル構造(単数又は複数段)であってもよい。
また窒化アルミニウム含有物を内燃機関の部品として用いる場合、窒化アルミニウム含有物は、例えばシリンダ形状、ピストン形状、又はクランクシャフト形状として加工される。また、窒化アルミニウム含有物をライニングとして用いる場合、ライニングの形状に加工される。
次いで、加工後の窒化アルミニウム含有物を、窒素ガス雰囲気下で再熱処理(以下、第2熱処理と記載)する。第2熱処理は、例えば第1熱処理で用いたカーボン抵抗炉を用いて行う。第2熱処理の条件は、例えば窒素ガス雰囲気の圧力が1気圧以上50気圧以下であり、加熱温度は660℃以上1400℃以下である。第2熱処理を行うことにより、窒化アルミニウム含有物に含まれるアルミニウムの一部又は全部が窒化して、アルミニウムの含有率が低下し、かつ窒化アルミニウムの含有率が上昇する。これにより、加工後の窒化アルミニウム含有物の特性が向上する。本処理においてアルミニウムが溶融するが、複数の窒化アルミニウム粒子が成長しているため、加工後の窒化アルミニウム含有物の形状が保持される。
加工後の二次加熱処理で、アルミニウムが溶融されるにもかからわらず加工形状およびその寸法を保持することが出来る。アルミニウムが窒素を取り込んで窒化アルミニウムになると体積膨張するが、反応過程でアルミニウム融液が窒化アルミニウムのネットワークから表面にしみ出て、表面が粉を噴いたように微細なアルミニウムボールが形成される。これを除去すれば初期の加工寸法と略同様になる。
なお、第2熱処理においても、処理温度を高温にするほど、また高圧にするほど、窒化アルミニウムの生成反応が促進され、生成物である窒化アルミニウム含有物に含まれる窒化アルミニウムの割合を高くし、かつアルミニウムの割合を低くすることができる。
第2熱処理における反応は、雰囲気の窒素が窒化アルミニウム含有物の内部に拡散する反応である。このため、加熱時間制御、加熱温度制御、加圧条件制御などでこの拡散状態を制御できるため、加工後の窒化アルミニウム含有物において、窒化アルミニウム含有物に含まれるアルミニウムを傾斜窒化させ、アルミニウム含有率及び窒化アルミニウム含有率を傾斜させる(例えば表面から中心に行くにつれて含有率が低下する)ことが可能である。また、経時的に加熱温度及び圧力の少なくとも一方を変化させても良い。
図2は、第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物に含まれる窒化アルミニウムの体積%の関係を示すグラフである。窒化アルミニウムの体積%は、X線回折チャートに基づいて算出した。本グラフに示すように、第2熱処理における窒素雰囲気の気圧が上がるにつれて、窒化アルミニウムの体積%が上昇しており、窒素雰囲気の気圧が35気圧の場合は約98体積%となる。このことから、第2熱処理における窒素雰囲気の気圧を制御することにより、窒化アルミニウム含有物に含まれる窒化アルミニウム含有率を制御できることが分かる。
図3は、第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物の熱膨張率の関係を示すグラフである。全ての試料において、処理温度は1300℃であり、処理時間は一時間である。第2熱処理における窒素雰囲気の圧力が20気圧を超えると熱膨張率が急激に小さくなる。このように、第2熱処理を行うことにより、窒化アルミニウム含有物の熱膨張率を小さくすることができる。
図4は、第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物の導電率の関係を示すグラフである。全ての試料において、処理温度は1300℃であり、処理時間は一時間である。本図によれば、第2熱処理における窒素雰囲気の圧力が20気圧以下では、窒化アルミニウム含有物は通常の金属材料と同程度の導電率を示すが、20気圧を超えた圧力で第2熱処理を行うと、窒化アルミニウム含有物の導電率が急激に小さくなる。特に35気圧以上では、導電率は略0になり、絶縁物といえる状態になる。このように、第2熱処理を行うことにより、窒化アルミニウム含有物の導電率を小さくすることができる。
図5は、第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物のマイクロビッカース硬さの関係を示すグラフである。全ての試料において、処理温度は1300℃であり、処理時間は一時間である。窒素雰囲気の気圧が上がるにつれて、窒化アルミニウム含有物のマイクロビッカース硬さが上昇する。
詳細には、窒素雰囲気が20気圧の場合はジュラルミン(商標)よりやや高い硬さを有している。また、窒素雰囲気が30気圧の場合は工具用の特殊鋼(例えばモリブデン鋼)より高い硬さを示している。このように、第2熱処理を行うことにより、窒化アルミニウム含有物のマイクロビッカース硬さを高くして、耐磨耗性を高くすることができる。
図6は、第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物の熱伝導率の関係を示すグラフである。全ての試料において、処理温度は1300℃であり、処理時間は一時間である。本図に示すように、窒素雰囲気が30気圧の場合は従来の焼結法により形成された窒化アルミニウム焼結体より高い熱伝導率を有している。このように、第2熱処理を行うことにより、窒化アルミニウム含有物の熱伝導率を上げることができる。
以上、本発明に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法によれば、アルミニウム含有率が高く、加工性の良い塊状の窒化アルミニウム含有物を第1熱処理で生成し、この窒化アルミニウム含有物を所望の形状に加工した後、第2熱処理を行うことにより、加工後の窒化アルミニウム含有物の窒化アルミニウム含有率を高くすることができる。
従って、従来と比較して加工性が高く、複雑な形状を有する窒化アルミニウム含有物を得ることができる。また、二次熱処理後の窒化アルミニウム含有物において、窒化アルミニウムの特性を生かすことができる
また、窒化アルミニウムの粒子の表面がアルミニウムによって被覆されているため、良好な耐湿性を得ることができる。
また、従来方法と比較して製造条件は低温かつ低圧である。従って、製造コストも従来と比較して大幅に小さくなる。
なお、2次熱処理の条件を調節する(例えば処理時間を短くする)ことにより、窒化アルミニウム含有物における窒化アルミニウム含有率に傾斜を持たせることができる。具体的には、表面から内部に向かうにつれて、窒化アルミニウム含有率が低くなり、かつアルミニウム含有率が高くなるようにすることができる。この場合、2次熱処理後の窒化アルミニウム含有物を分割し、その後研磨等の加工を行うことにより、一面が反対面よりアルミニウム含有率が高い窒化アルミニウム含有物を得ることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法は、第1熱処理における雰囲気が窒素雰囲気ではなくアルゴン等の不活性ガス雰囲気である点、及びホウ素化合物として窒化ホウ素を用いる点を除いて、第1の実施形態に示した窒化アルミニウムの製造方法と同一である。本実施形態では、窒化ホウ素が窒化アルミニウムの生成反応における窒素供給源となる。以下、第1熱処理についてのみ説明を行い、他の工程については説明を省略する。
まず、小片に砕いたアルミニウムと粉末状の窒化ホウ素を反応容器12に投入する。このとき、窒化ホウ素がアルミニウムの下に位置するようにする。アルミニウムに対する窒化ホウ素の重量比は0.8以上2以下であるのが好ましい。更に、アルミニウム溶融温度に近い700℃以下でアルミニウムインゴット中にホウ素含有物(例えば窒化ホウ素)をあらかじめ分散したものを使用しても良い。この場合、ホウ素含有物を均一に分散させても良いし、傾斜分散させても良い。
次に、上記した排気口から反応チャンバー10内部を排気し、その後ガス導入口11から不活性ガスを導入する。次に、グラファイトヒータ13で反応容器12を加熱し、反応容器12の内部をアルミニウムの融点(660℃)以上の温度まで加熱する。これにより、反応容器12内のアルミニウムは溶融し、溶融したアルミニウムと固相の窒化ホウ素との間で固液二相反応が生じる。これにより、アルミニウムの窒化反応が進行し、窒化アルミニウム含有物、及びスラグが形成される。
本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
第1の実施形態に係る窒化アルミニウム含有物の製造方法に用いられるカーボン抵抗炉の構成図。 第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物に含まれる窒化アルミニウムの体積%の関係を示すグラフ。 第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物の熱膨張率の関係を示すグラフ。 第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物の導電率の関係を示すグラフ。 第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物のマイクロビッカース硬さの関係を示すグラフ。 第2熱処理における窒素雰囲気の気圧と、生成した窒化アルミニウム含有物の熱伝導率の関係を示すグラフ。
符号の説明
10…反応チャンバー、11…ガス導入口、12…反応容器、13…グラファイトヒータ、14…モニター線、20…ホウ素含有物、21…アルミニウム

Claims (13)

  1. 窒素雰囲気下で、アルミニウムと窒化ホウ素を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
    前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
    前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程と、
    を具備する窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  2. 前記塊状の窒化アルミニウム含有物は、複数の窒化アルミニウム粒子がアルミニウムにより接合されている構造を有しており、
    前記塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程において、粉末状の前記窒化ホウ素を使用し、該窒化ホウ素の粒径によって前記窒化アルミニウム粒子の粒径が制御される請求項1に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  3. 窒素雰囲気下で、アルミニウムとホウ素を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
    前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
    前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程と、
    を具備する窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  4. 前記塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程において、加圧された窒素雰囲気下で前記アルミニウムを溶融する請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  5. 不活性ガス雰囲気下で、アルミニウムと窒化ホウ素を同一の容器内で加熱して前記アルミニウムを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
    前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
    前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部又は全部を窒化させる工程と、
    を具備する窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  6. 窒化ホウ素を内部に分散させたアルミニウムインゴットを、窒素雰囲気下で加熱して前記アルミニウムインゴットを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
    前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
    前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程と、
    を具備する窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  7. 窒化ホウ素を内部に分散させたアルミニウムインゴットを、不活性ガス雰囲気下で加熱して前記アルミニウムインゴットを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
    前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
    前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程と、
    を具備する窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  8. ホウ素を内部に分散させたアルミニウムインゴットを、窒素雰囲気下で加熱して前記アルミニウムインゴットを溶融することにより、窒化アルミニウムとアルミニウムを含有する塊状の窒化アルミニウム含有物を生成する工程と、
    前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程と、
    前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理することにより、前記窒化アルミニウム含有物が含有するアルミニウムの一部または全部を窒化させる工程と、
    を具備する窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  9. 前記加工された窒化アルミニウム含有物を窒素雰囲気下で加熱処理する工程において、前記窒化アルミニウム含有物を、加圧された窒素雰囲気下で加熱処理する請求項1〜のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  10. 前記塊状の窒化アルミニウム含有物の形状を加工する工程において、前記塊状の窒化アルミニウム含有物を目的形状に加工する請求項1〜のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  11. 前記目的形状は板状である請求項10に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  12. 前記目的形状はシリンダ形状である請求項10に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
  13. 前記目的形状はピストン形状である請求項10に記載の窒化アルミニウム含有物の製造方法。
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