JP2004043241A - 高純度炭化けい素焼結体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不純物の含有量が1wt%以下であり、かつ相対密度が96%以上であることを特徴とする高純度炭化けい素焼結体および、その製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性、耐酸化性および耐熱性に優れると共に緻密で高強度な高純度炭化けい素焼結体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化けい素(SiC)は、耐食性、耐酸化性および耐熱性に優れたセラミック材料であるため、現在、鉄鋼製造、高効率高温加熱装置、半導体製造および原子力発電などの分野で広く利用されている。
【0003】
炭化けい素は、天然にはごく僅かしか存在しない化合物であるため、主に人工的に製造されている。この炭化けい素には、六方晶(α−SiC)と立方晶(β−SiC)の2つの異なる結晶型が存在し、結晶型によってその製造方法が異なる。α−SiCは、アチソン炉と呼ばれるレンガで造られた大きい炉の内側周囲に、黒鉛やSiCの断熱粉を詰め、炉の中心に配置した黒鉛ブロックに通電して2500℃以上まで加熱し、SiO2とCとを反応させることにより製造される。この時、α−SiCと共にβ−SiCが生成するが、その量は僅かであり、また生成場所も異なるため、ほぼ純粋なα−SiCの塊が生成される。そして、α−SiC粉は、このα−SiCの塊を粉砕することにより製造されている。
【0004】
一方、β−SiCは、非酸化性雰囲気に調整した縦型炉内に、炉上部からSiO2とCとからなるペレットを投入し、約2000℃まで加熱してSiO2とCとを反応させてβ−SiCを生成させた後、これを炉下部より取り出すことにより製造されている。なお、このβ−SiC粉は、2200℃まで加熱するとα−SiCへと相変態する特性がある。
【0005】
SiCの焼結体は、機械部品、高温ガスタービン部品および半導体製造部品などとして使用されるため、曲げ強度に優れた特性を有することが要求される。そのためには、焼結体の密度は、高いほど好ましい。しかしながら、SiCは、共有結合性の割合が高いため、単にこれらの粉末のみを原料として焼結しても緻密な成形体を得るのは難しい。そのため、SiC焼結体を製造する場合には、その緻密化を目的として焼結助剤を添加するのが一般的である。焼結助剤としては、主にホウ素と炭素の混合物(B−C系)、Al2O3あるいはAl2O3とY2O3との混合物(Al2O3−Y2O3系)が用いられている。これらの焼結助剤を添加した原料粉末を用いることにより、無加圧焼結法でも緻密な焼結体を製造することができる。また、焼結助剤としてBeを用いる場合には、ホットプレス(HP)を使うことにより、緻密化した焼結体を製造することができる。
【0006】
これらの焼結助剤の使用により、原料としてα−SiC粉またはβ−SiC粉のいずれを用いても、主として六方晶からなる緻密な焼結体を製造することができ、その性質にはほとんど差がないと言われている。しかし、この焼結体中には、1〜10%程度の焼結助剤が含まれるため、半導体製造プロセスやその他の不純物が問題になるところでは使用することができない。また、含有される不純物のため、高温での耐酸化性も十分ではないという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決するため、SiC焼結体の製造に際し、不純物の原因となっている焼結助剤を添加することなく、耐食性、耐酸化性および耐熱性に優れると共に、緻密で高強度な特性を有する高強度SiC焼結体を製造する技術を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、緻密で高強度な高純度SiC焼結体の工業的レベルでの製造技術の確立を目指し、焼結方法とSiC原料粉末の特性に着目して鋭意検討を行なった。その結果、放電プラズマシステム(SPS)を使った放電プラズマ焼結法を用いれば、焼結助剤を添加することなくSiC粉を緻密化し、高強度化できることを見い出し、本発明を開発するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、不純物の含有量が1w%以下であり、かつ相対密度が96%以上であることを特徴とする高純度炭化けい素焼結体である。
【0010】
また、本発明は、相対密度が96%以上の炭化けい素焼結体の製造に当たり、六方晶型炭化けい素粉と立方晶型炭化けい素粉からなる炭化けい素の混合粉末を原料とし、この混合粉末を黒鉛型に装入し、非酸化性雰囲気の下で放電プラズマシステム(SPS)を用いて加圧しながら加熱し、焼結することを特徴とする高純度炭化けい素焼結体の製造方法である。
【0011】
なお、本発明に係る製造方法においては、前記炭化けい素焼結体の製造に際し、焼結助剤を添加しないこと、前記六方晶型炭化けい素粉と立方晶型炭化けい素粉を、それぞれ100〜50wt%、0〜50wt%の割合で混合すること、前記六方晶型炭化けい素粉と立方晶型炭化けい素粉の平均粒径が、それぞれ5μm以下であること、および前記非酸化性雰囲気が、真空、窒素ガス、アルゴンガス、水素ガスあるいは、それらの混合ガス雰囲気のいずれか1つであり、前記加圧圧力が10〜200MPaの範囲内にあり、そして前記加熱・焼結の温度が2100〜2350℃の範囲内にあることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明において用いる放電プラズマシステム(以下、SPSと略記する。)について説明する。このSPSは、プラズマ活性化焼結機(PAS)あるいは放電プラズマ焼結機(SPS)とも呼ばれ、金属やセラミックス粉を焼結するために開発された装置である。このシステムの特徴は、黒鉛型に原料粉末を充填し、これにパルス直流電流を流して加熱し、黒鉛型中の粉末を焼結させるところにある。つまり、黒鉛型にパルス直流電流を流すと、黒鉛型中の粉末にパルス電場が作用し、粉粒間に弱いプラズマが発生し、粉体に吸着されたガスの除去および被膜の破壊に役立つ。焼結は主に、黒鉛型を抵抗体とする発熱によって行なわれるが、パルス電場は、イオン、空孔および転位の移動・拡散を促進するため、通常の方法では焼結できないような粉体でも緻密化できるようになる。
【0013】
また、粉粒が半導体や絶縁体である場合でも、その表面に僅かではあるが、電流が流れるため、結晶成長が促進される。さらに、SPSでは、粉粒間に発生するプラズマにより衝撃が発生するため、焼結体を製造するのに有利である。しかも、この方法は、黒鉛型への直接通電であるため、電気容量が小さく、急速な加熱や冷却も行うことができるという効果もある。また、SPSでは、ホットプレスと同じように圧力をかけながら焼結することが可能である。
【0014】
これらの放電プラズマシステム(SPS)による効果(以下、SPS効果と略記する)によって、金属やセラミックス粉の焼結が促進され、焼結助剤を添加しなくても緻密な焼結体を製造することができる。また、このシステムを適用すれば、炭化けい素の焼結の他、従来の焼結法では焼結助剤の添加を必須としていた窒化アルミニウム(AlN)や炭化タングステン(WC)の焼結体の緻密化も、焼結助剤を添加することなく行うことができる。
【0015】
次に、SPSを用いて製造される本発明の高純度炭化けい素焼結体について説明する。
本発明の炭化けい素焼結体は、相対密度が96%以上であることが好ましい。これは、相対密度が96%以下の場合、開孔が生成するようになり、焼結体の内部深くまでガスや液体が侵入するようになるためである。また、強度も著しく小さくなり、強度が要求されるようなところで使用することができないためである。
【0016】
また、本発明の高純度炭化けい素焼結体に不可避的に混入する不純物としては、酸素、窒素、遊離炭素、水素およびわずかな鉄やアルミニウムなどが挙げられる。これらの不純物は、原料の炭化けい素粉に含まれるものであり、その製造過程で除去する努力がされているものの、完全になくすことが不可能であり、市販の炭化けい素粉には、1wt%程度の不純物が含まれる。しかし、不純物の含有量が多くなると、炭化けい素焼結体を劣化させることになるため、本発明にかかる炭化けい素焼結体に混入される不純物量は、1wt%以下とすることが好ましい。なお、より好ましくは、0.5wt%以下である。
【0017】
次に、発明者らが行なった、原料粉末の特性すなわち原料粉末の結晶型とその粒径が、炭化けい素焼結体の特性に与える影響について、検討した結果を説明する。
始めに、原料粉末として立方晶型炭化けい素(以下、β−SiC粉と略記する)を用いて、放電プラズマシステム(SPS)により焼結体を製造する実験を行なった。原料となるβ−SiC粉は、SiO2とCとを約2000℃で反応させるため、結晶成長がしにくく、大きい塊になりにくいため、平均粒径が大きく異なるものを製造することができないことから、本実験では、平均粒径が0.5μmのもののみを使用し、40MPaの圧力をかけながら、2300℃まで加熱して焼結を行い、得られた焼結体の内部構造を観察した。その結果、同じ結晶方位同士で結合する結晶成長機構が優先して働いており、多数の空孔を有する網目構造が形成されて96%以上の緻密な焼結体を得ることができないことがわかった。この網目構造には、粒界がほとんど存在せず、多数の空孔を有する単結晶と言えるものである。また、この空孔は、焼結時の圧力を150MPa程度まで大きくしても、減少させることはできなかった。
【0018】
次に、原料として、六方晶型炭化けい素(以下、α−SiC粉と略記する。)を用いて、上記実験と同じ条件で焼結体を製造する実験を行った。原料のα−SiC粉としては、平均粒径が異なる数種のものを用いた。その結果、α−SiCを用いた場合には、粒径を適正な範囲とすることにより緻密な焼結体が得られることがわかった。つまり、平均粒径が5μmよりも大きい粒径のα−SiC粉を使用すると、β−SiC粉と同様に、同じ結晶方位同士で粒が結合してしまい、空孔が多数生成して相対密度が96%以上の緻密な焼結体を得ることができない。しかし、平均粒径が5μm以下のα−SiCを使用すると、焼結が進行し、結合したSiC粒間に粒界が形成され、緻密化できることがわかった。これは、上記に説明したSPS効果により焼結機構が働き、それによってSiCの結合と成長が促進され、粒同士が粒界を介して結合されたためと考えられる。また、SPS効果による焼結機構は、平均粒径が2μm以下のα−SiC粉において、より有効に働くことも確認できた。
【0019】
さらに、発明者らは、SPSを使用することにより、α−SiC粉とβ−SiC粉を混合した混合粉を用いても、緻密な焼結体が得られることを見い出した。つまり、β−SiC粒の混合割合が高い場合には、上述した結晶成長機構が優先して働くため、結晶自体が大きくなるだけで緻密化が進行しないが、β−SiC粒の割合がある程度以下であれば、すなわちβ−SiC粒周囲に存在するα−SiC粒の割合が多ければ、上述した焼結機構が働き、緻密化を促進することができることがわかった。なお、緻密化を阻害しないためのβ−SiCの混入割合は、50wt%以下、好ましくは30wt%以下であることも判った。
【0020】
以上より、本発明に係る製造方法においては、α−SiCとβ−SiCの混入割合は、それぞれ100〜50wt%、0〜50wt%の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは100〜70wt%、0〜30wt%である。
【0021】
また、原料粉末として用いるα−SiC粉とβ−SiC粉の平均粒径は、それぞれ5μm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm以下である。これは、平均粒径が5μmより大きい場合、焼結機構よりも結晶成長機構が優先して働くため、粒界がなく、多数の空孔が存在する成形体となり、緻密化されないためである。そのため、SiCの平均粒径は、5μm以下とすることが必要である。しかし、この場合でも、一部の大きい粒が結晶成長を起こすことがある。そのため、より好ましくは、平均粒径が2μm以下のSiC粉を用いる。この場合には、すべての粒で焼結機構が働くため、より緻密な成形体を得ることができる。なお、平均粒径がさらに小さい、例えば0.1μm以下の超微細なSiC粉を使うことも技術的には可能であるが、これを製造するコストが高くなるという問題がある。
【0022】
次に、SPS装置を用いてSiC焼結体を製造する際の製造条件、すなわち焼結温度、圧力および雰囲気について説明する。
本発明にかかる炭化けい素焼結体は、前記したように調整した微細なα−SiC粉あるいはα−SiCとβ−SiCの混合粉を、黒鉛型に詰めた後、この黒鉛型の周囲と上下を黒鉛フェルト等の断熱材で覆い、これを放電プラズマシステム(SPS)に設置した後、加圧しながら真空に排気し、そのまま昇温するか窒素ガスあるいはアルゴンガス等の雰囲気に調整して昇温し、加熱・焼成して得られる。
【0023】
SPS装置を用いて室温から加熱する場合の昇温速度は、速度が速いほど熱効率が高く、生産性が良くなるため好ましいが、室温から焼結温度(2100〜2350℃)の50℃以下までは、50℃/分〜300℃/分、その温度から焼結温度の10℃以下までは、30℃/分〜5℃/分とし、さらに最後の焼結温度までは、3℃/分〜1℃/分で昇温すると、昇温速度の制御が容易であるため好ましい。ただし、上述したSPS効果は、SiC粉が焼結する2100〜2350℃でしか現れないので、生産効率の点からは、粉末を詰めた黒鉛型を予め、連続した別の炉で2000℃程度まで加熱しておき、その後、SPS装置で加熱・焼結することが好ましい。
【0024】
また、焼結時の加圧圧力は、高ければ高いほど焼結温度を低くでき、且つ比較的平均粒径の大きい粉体の焼結も可能となるため有利であり、本発明に係る製造方法においては、10〜200MPaの範囲内とする。これは、加圧圧力が、10MPa未満では、焼結機構よりも、結晶成長機構のほうが優先して働くため、粒界がなくなって空孔が抜けなくなり、緻密化ができないためである。一方、加圧圧力が200MPaを超えると、使用する黒鉛型の耐圧性能(200MPa)を上回ってしまうため好ましくないからである。
【0025】
焼結温度は、上述のように加圧圧力と関係しており、本発明の上限圧力の200MPaでは2100℃で焼結することができるが、下限圧力の10MPaでは2350℃の加熱温度が必要となる。そのため、焼結温度は、2100〜2350℃の範囲内とする。なお、上記焼結温度は、黒鉛型の表面温度を光温度計を使って測定した温度であり、実際の黒鉛型内部の試料温度は、この測定値よりも100〜200℃程度高いことに注意する必要がある。というのは、焼結温度が2350℃以上になると、黒鉛型内部は2500℃近くまで、あるいはそれ以上に加熱されるため、SiCの昇華が激しくなって多数の空孔が生成し、緻密な焼結体を得られないからである。したがって、この点からも焼成温度は、2350℃以下に制限する必要がある。なお、実操業においては、焼結温度に昇温後、直ちに加熱を止めるか、あるいは、2350℃以下の温度に60分以下保持した後、加熱を止めることが好ましい。保持時間は60分より長くしても、その焼結効果の向上は望めない。
【0026】
また、焼結時の雰囲気は、非酸化性雰囲気とする必要があり、真空中で行うか、あるいは窒素ガス、アルゴンガス、水素ガスまたはこれらの混合ガス雰囲気のうちのいずれか1つであることが好ましい。これは、酸化性雰囲気下で焼結を行なうと、黒鉛型および断熱材が酸化されるためである。
【0027】
【実施例】
(実施例1)
この実施例では、焼結圧力および焼結温度が、SiC焼結体の特性に及ぼす影響について調査した。
原料粉末としては、焼結助剤を使うことなく平均粒径が0.8μmのα−SiC粉(純度99.6wt%、残部は酸素や窒素等の不純物)を用い、この原料粉末を内径50mmの黒鉛型に充填し、黒鉛型の周囲を黒鉛フェルトで覆い、放電プラズマシステム(SPS)に設置して真空中で加圧しながら焼結温度まで昇温し、その温度に10分間保持して焼結を完了した。焼結温度までの昇温速度は、室温から1400℃までは100℃/分、1400℃から各焼結温度より50℃低い温度までは50℃/分、その温度から焼結温度より10℃低い温度までは20℃/分、残りの10℃は、2℃/分で昇温した。得られたSiC焼結体の不純物含有量は、0.31wt%であった。この焼結体について、相対密度と曲げ強度を測定した。なお、相対密度は、水を使ったアルキメデス法で測定し、また曲げ強度は、スパン30mmの3点曲げ法で測定した。
【0028】
【表1】
【0029】
表1の結果から、焼結圧力が高いほど低い温度で緻密な焼結体を製造できることがわかった。また、焼結圧力が10MPa以上の場合に、相対密度が高く、かつ曲げ強度に優れた焼結体が得られることがわかった。これは、放電プラズマシステム(SPS)の効果により炭化けい素が高温で塑性変形しやすくなり、それに対する圧力の効果が大きくなるためであると考えられる。
【0030】
(実施例2)
この実施例では、平均粒径の異なるα−SiC粉を用いて焼結体を製造し、平均粒径が焼結体の特性に与える影響について調査した。
原料粉末としては、焼結助剤を使うことなく平均粒径が1.0μmと1.8μmのα−SiC粉(純度99.5wt%、残部は酸素や窒素等の不純物)を用い、この原料粉末を内径50mmの黒鉛型に充填し、放電プラズマシステム(SPS)に設置して真空中で100MPaに加圧しながら室温から2000℃まで100℃/分で昇温し、さらに2000℃から2175℃までを50℃/分で昇温し、2175℃から2200℃までを10℃/分で昇温し、2200℃から2210℃までを2℃/分で昇温した後、2210℃に30分保持して高純度炭化けい素焼結体を製造した。得られたSiC焼結体の不純物含有量は、0.26wt%であった。この焼結体について、相対密度と曲げ強度を、実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
表2の結果から、平均粒径が6.0μmの場合、相対密度が96%未満であり、曲げ強度も低いことがわかった。また、平均粒径が2.5μmの場合には、相対密度が96%以上となったものの、平均粒径が2μm未満で小さいほど、相対密度が高くかつ曲げ強度に優れた焼結体を製造できることが確認できた。
【0033】
(実施例3)
この実施例では、α−SiC粉とβ−SiC粉の混合比率が焼結体の特性に与える影響について調査した。
原料粉末としては、焼結助剤を使うことなく平均粒径が1μmのα−SiC粉と平均粒径が0.5μmのβ−SiC粉(純度99.8wt%、残部は酸素や窒素等の不純物)を用い、これらを種々の割合で混合し、エタノールを添加してからボールミルを用いて24時間混合した後、エタノールを蒸発させて原料混合粉を得た。この原料混合粉30gを、内径50mmの黒鉛型に充填し、放電プラズマシステム(SPS)に設置して、真空中にて100MPaで加圧しながら常温から1400℃までを200℃/分、1400℃から2000℃までを100℃/分、2000℃から2175℃までを50℃/分、2175℃から2210℃までを10℃/分、2210℃から2220℃までを2℃/分の速さで昇温した後、2220℃に15分間保持して焼結を完了した。得られたSiC焼結体の不純物含有量は、0.32wt%であった。この焼結体について、相対密度と曲げ強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
表3の結果から、α−SiC粉の混合割合が50mass%以上で高いほど、相対密度が高く、曲げ強度に優れた焼結体が得られることがわかった。
【0036】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る製造方法によれば、緻密で高強度な炭化けい素焼結体を得ることができる。この炭化けい素焼結体は、焼結助剤等の不純物を含まないため、従来では不純物の拡散の恐れから使用することのできなかった装置やその部材として使用することができ、さらに耐酸化性の向上により、より高温の酸化性雰囲気で使用することもできる。その結果、本発明にかかる焼結体は、ガスタービンブレード、ガスタービン用部品、エンジン部品、耐食性装置本体およびその部品、坩堝、ボールミル部品、高炉用熱交換器、ロケット用断熱材料およびその部品、燃焼管、ダイカスト用部品、レンズ製造用型、メカニカルシール、軸受およびスパッタ用ターゲット材等にも利用することができる。さらに、本発明にかかる焼結体は、高純度であるため、とくに半導体製造で使われるドライエッチング装置、ボード、チューブ、サセプタ、ダミーウエハ、カンチレバーおよびヒーター等にも好適に用いることができる。
Claims (6)
- 不純物の含有量が1wt%以下であり、かつ相対密度が96%以上であることを特徴とする高純度炭化けい素焼結体。
- 相対密度が96%以上の炭化けい素焼結体の製造に当たり、六方晶型炭化けい素粉と立方晶型炭化けい素粉からなる炭化けい素の混合粉末を原料とし、この混合粉末を黒鉛型に装入し、非酸化性雰囲気の下で放電プラズマシステム(SPS)を用いて加圧しながら加熱し、焼結することを特徴とする高純度炭化けい素焼結体の製造方法。
- 前記炭化けい素焼結体の製造に際し、焼結助剤を添加しないことを特徴とする請求項2に記載の高純度炭化けい素焼結体の製造方法。
- 前記六方晶型炭化けい素粉と立方晶型炭化けい素粉を、それぞれ100〜50wt%、0〜50wt%の割合で混合することを特徴とする請求項2または3に記載の高純度炭化けい素焼結体の製造方法。
- 前記六方晶型炭化けい素粉と立方晶型炭化けい素粉の平均粒径が、それぞれ5μm以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の高純度炭化けい素焼結体の製造方法。
- 前記非酸化性雰囲気が、真空、窒素ガス、アルゴンガス、水素ガスあるいは、それらの混合ガス雰囲気のいずれか1つであり、前記加圧圧力が、10〜200MPaの範囲内にあり、そして前記加熱・焼結の温度が、2100〜2350℃の範囲内にあることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の高純度炭化けい素焼結体の製造方法。
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