本発明の第1の硬化性シロアリ防除組成物は、水硬性成分と、土砂成分とを含有し、前記土砂成分の総量に対する粒径1.5mm以下の土砂成分の重量割合が、95重量%以上であることを特徴としている。
また、本発明の第2の硬化性シロアリ防除組成物は、さらに、シロアリ防除成分を含有している。すなわち、水硬性成分と、土砂成分とを含有し、前記土砂成分の総量に対する粒径1.5mm以下の土砂成分の重量割合が、95重量%以上であり、かつ、シロアリ防除成分を含有している。
硬化性シロアリ防除組成物による防除の対象となるシロアリとしては、シロアリ(等翅)目に属する昆虫であること以外は、特に限定されないが、具体的には、例えば、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)などのミゾガシラシロアリ科に属するもの、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリなどのレイビシロアリ科に属するものなどが挙げられる。
水硬性成分は、上記第1および第2の硬化性シロアリ防除組成物の必須の成分である。この水硬性成分は、土砂成分を分散させ、または、土砂成分とシロアリ防除成分とを分散させて、硬化性シロアリ防除組成物を形成できるものであること以外は、特に限定されず、モルタルまたはコンクリートの形成材料として用いられている種々の水硬性成分が挙げられる。
具体的には、例えば、気硬性セメント(例えば、気硬性単味セメント、気硬性混合セメントなど)や、水硬性セメント(例えば、水硬性単味セメント、水硬性混合コメントなど)が挙げられる。
気硬性単味セメントとしては、例えば、焼セッコウ、無水セッコウプラスターなどのセッコウ類、例えば、消石灰、ドロマイトプラスターなどの石灰類などが挙げられる。気硬性混合セメントとしては、例えば、マグネシアセメントなどが挙げられる。
水硬性単味セメントとしては、例えば、ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントなどのポルトランドセメント類、例えば、アルミナセメント、石灰アルミナセメントなどのアルミナセメント類などが挙げられる。水硬性混合コメントとしては、例えば、石灰スラグセメント、石灰火山灰セメントなどの石灰混合セメント類、例えば、高炉セメント、シリカセメント、ポゾランセメント、フライアッシュセメントなどの混合ポルトランドセメント類、例えば、高硫酸塩スラグセメント類などが挙げられる。
これら気硬性セメントおよび水硬性セメントは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
土砂成分は、上記第1および第2の硬化性シロアリ防除組成物の必須の成分であって、この土砂成分の総量の95重量%以上、好ましくは、98重量%以上は、前記粒径1.5mm以下の土砂成分である。また、さらに好ましくは、土砂成分の全てが、粒径1.5mm以下の土砂成分である。
土砂成分の総量に対する粒径1.5mm以下の土砂成分の重量割合が、95重量%以上であるときは、硬化性シロアリ防除組成物を硬化または固化させて得られるシロアリ防除層の緻密さを維持することができ、シロアリによる穿孔を抑制し、シロアリ防除効果を早期に発現することができる。
粒径1.5mm以下の土砂成分を構成する土砂としては、例えば、砂(粗砂、細砂)、シルト(微砂)、粘土が挙げられる。これらの土砂は、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記土砂は、砂、シルトおよび粘土の含有割合に基づき、例えば、砂土類(例えば、壌質砂土、砂土)、壌土類(例えば、壌土、砂壌土、微砂質壌土)、埴壌土類(例えば、埴壌土、砂質埴壌土、微砂質埴壌土)、および、埴土類(例えば、軽埴土、砂質埴土、微砂質埴土、重埴土)に分類される。なお、これらの土砂の区分は、国際土壌学会法の土性区分による。上記土砂は、上記土砂の1区分にのみ属するものであってもよく、2以上の区分に属するものであってもよい。
また、上記土砂の具体例としては、例えば、砂類(例えば、けい砂、川砂、海砂、浜砂、山砂など)、土類(例えば、花崗岩の風化により形成された真砂土、例えば、赤土、黒土、しらすなどの火山灰土、例えば、河川の堆積土など)、各種園芸用土(例えば、赤玉土、鹿沼土、荒木田土、腐葉土、桐生砂など)、火成岩(安山岩、花崗岩、流紋岩など)、変成岩(珪岩、晶質石灰岩など)、堆積岩(泥岩、砂岩など)などが挙げられる。
なお、上記砂類は、一般に砂土に分類され、真砂土は、一般に壌質砂土または壌土類に分類され、火山灰土は、一般に埴壌土類または埴土類に分類される。
上記例示の土砂のなかでは、取扱い性およびコスト面から、好ましくは、壌質砂土などの砂土類、壌土、砂壌土、微砂質壌土などの壌土類が挙げられ、また、具体的な材質としては、好ましくは、真砂土、けい砂が挙げられる。
また、上記土砂成分は、廃物の破砕物で構成されていてもよく、廃物の破砕物と、上記土砂とで構成されていてもよい。
廃物には、人工物および天然物の廃物が含まれる。人工物としては、例えば、人工の建造物または構造物(例えば、レンガ、かわら、コンクリート建材、モルタル建材、コンクリートブロック、コンクリート道路、アスファルト道路、窓ガラスなど)、日用品(植木鉢、コップ、陶器など)などが挙げられる。天然物としては、例えば、貝殻(アサリ、シジミ、ハマグリ、ホタテの貝殻など)、骨類(ウシ、ブタ、ニワトリの骨など)などが挙げられる。これらの廃物を土砂成分として用いることにより、資源の有効利用を図ることができる。
上記廃物は、上記土砂と同様の粒径に破砕されていればよい。また、上記廃物は、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記土砂成分は、好ましくは、粒径1mm以下の土砂を80重量%以上含有している。
また、上記土砂成分は、好ましくは、粒径0.25mm以下の土砂を80重量%以上、より好ましくは、95重量%以上含有している。
上記土砂成分が、粒径1mm以下の土砂を80重量%以上の割合で含有するとき、好ましくは、粒径0.25mm以下の土砂を80重量%以上の割合で含有するときは、粒径が1mmを上回る土砂成分の含有割合が相対的に低下し、好ましくは、0.25mmを上回る土砂成分の含有割合が相対的に低下し、硬化性シロアリ防除組成物を硬化させて得られるシロアリ防除層の緻密さを、より一層向上させることができる。
また、上記土砂成分は、より好ましくは、粒径0.15mm以上1mm以下の土砂および/または粒径0.15mm未満の土砂を含有しており、さらに好ましくは、粒径0.15mm以上0.25mm以下である土砂と、粒径が0.15mm未満である土砂とを、5:95〜20:80の重量割合で含有している。
上記土砂成分として、粒径0.15mm以上1mm以下の土砂および粒径0.15mm未満の土砂のいずれか一方、または、双方を含有するとき、好ましくは、粒径0.15mm以上0.25mm以下である土砂と、粒径が0.15mm未満である土砂とを、5:95〜20:80の重量割合で含有するときは、硬化性シロアリ防除組成物を硬化させて得られるシロアリ防除層の緻密さを、より一層向上させることができる。
上記土砂成分が、粒径0.15mm以上1mm以下の土砂と、粒径0.15mm未満の土砂とをいずれも含有している場合において、粒径0.15mm以上1mm以下の土砂と、粒径0.15mm未満の土砂との重量割合は、好ましくは、99:1〜1:99であり、より好ましくは、96:4〜5:95である。
シロアリ防除成分は、上記第1の硬化性シロアリ防除組成物の任意成分であり、上記第2のシロアリ防除組成物の必須成分である。このシロアリ防除成分としては、例えば、ネオニコチノイド系化合物、ピレスロイド系化合物、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カルバメート系化合物、ピロール系化合物、フェニルピラゾール系化合物、オキサジアジン系化合物、セミカルバゾン系化合物、植物またはその処理物あるいはその誘導体などが挙げられる。
上記例示のシロアリ防除成分は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記例示のシロアリ防除成分の中では、特に、ネオニコチノイド系化合物、ピレスロイド系化合物およびフェニルピラゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは、ネオニコチノイド系化合物および/またはピレスロイド系化合物であり、さらに好ましくは、ネオニコチノイド系化合物である。
ネオニコチノイド系化合物としては、例えば、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)、N−アセチル−N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N−メトキシカルボニル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリン−2−イリデンアミン(一般名:イミダクロプリド)、3−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−5−[1,3,5]オキサジアジナン−4−イルインデン−N−ニトロアミン(一般名:チアメトキサム)、(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(一般名:ジノテフラン)、(E)−N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン[一般名:アセタミプリド]などが挙げられる。
これらネオニコチノイド系化合物は、単独で使用してもよく、また2種類以上併用してもよい。また、好ましくは、クロチアニジンが挙げられる。
ピレスロイド系化合物としては、例えば、アレスリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、フェンバレレート、などが挙げられ、好ましくは、ペルメトリン、ビフェントリン、シフェノトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェンが挙げられる。
有機塩素系化合物としては、例えば、ケルセンなどが挙げられる。
有機リン系化合物としては、例えば、ホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン(MEP)、テトラクロルビンホス、ジクロフェンチオン、プロペタンホスなどが挙げられる。
カルバメート系化合物としては、例えば、カルバリル、フェノブカルブ(BPMC)、プロポクスルなどが挙げられる。
ピロール系化合物としては、例えば、クロルフェナピルなどが挙げられる。
フェニルピラゾール系化合物としては、例えば、フィプロニルなどが挙げられる。
オキサジアジン系化合物としては、例えば、インドキサカルブなどが挙げられる。
セミカルバゾン系化合物としては、例えば、α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トリニトリル4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾンなどが挙げられる。
植物またはその処理物あるいはその誘導体としては、例えば、特開2002−307406号公報、特開2003−252708号公報、特開2005−74776号公報に記載されたものが挙げられる。
また、上記シロアリ防除成分は、その製剤形態について特に限定されず、例えば、マイクロカプセル化剤、粉剤、粒剤、液剤、フロアブル剤、乳剤などとして調製される。これらのうち、シロアリ防除成分をマイクロカプセル化剤として調製することが好ましい。
シロアリ防除成分をマイクロカプセル化剤として調製するには、例えば、界面重合法、in situ重合法(界面反応法)、コアセルベーション法、液中乾燥法、融解分散冷却法、液中硬化皮膜法、コーティング法(気中懸濁法)、スプレードライ法、静電合体法、真空蒸着法などを用いることができる。
シロアリ防除成分のマイクロカプセル化の具体的手法としては、例えば、特開昭61−249904号公報、特公平6−92282号公報、特公平6−92283号公報、特開平10−114608号公報、特開2000−247821号公報に記載の方法が挙げられる。また、シロアリ防除成分が、例えば、難溶解性のネオニコチノイド系化合物である場合には、例えば、特開2000−247821号公報に記載の方法を用いることができる。
マイクロカプセル化剤は、平均粒子径を、6〜100μm、好ましくは、10〜50μmに調整することが好ましい。マイクロカプセル化剤の粒子径および平均粒子径は、例えば、市販されているレーザ回折/散乱式粒度分布装置を用いて、粒子径の大きさとその分布状態(粒度分布)を測定することにより、求めることができる。
シロアリ防除成分をマイクロカプセル化剤として調製した場合には、得られたマイクロカプセル化剤が製品として保存中に固化しない程度に乾燥された状態で、上記の水硬性成分と、上記土砂成分とを配合し、さらに、必要により、分散剤、界面活性剤、沈降防止剤などのその他の添加剤を適宜配合して、混合、分散させることにより、硬化性シロアリ防除組成物を得ることができる。
シロアリ防除成分を粉剤または粒剤として調製するには、例えば、シロアリ防除成分を適当な溶媒に溶解、分散させて、スプレードライ法などの手段で粉剤化または粒状化させるなど、公知の方法を用いることができる。
粉剤または粒剤は、平均粒子径を、6〜1500μm、好ましくは、20〜500μmに調整することが好ましい。粉剤または粒剤の粒子径および平均粒子径は、例えば、マイクロカプセル化剤の場合と同様にして、求めることができる。
シロアリ防除成分を粉剤または粒剤として調製した場合には、得られた粉剤または粒剤が乾燥された状態で、上記の水硬性成分と、上記土砂成分とを配合し、さらに、必要により、分散剤、界面活性剤、沈降防止剤、ラテックスなどのエマルション樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、オキシカルボン酸やケイフッ化物などの硬化遅延剤、アルミン酸ナトリウム、カルシウムなどの硬化促進剤(界面活性剤も含まれる)、ポリプロピレン、ポリエチレン、アラミド樹脂などのコンクリート補強剤などのその他の添加剤を適宜配合して、混合、分散させることにより、硬化性シロアリ防除組成物を得ることができる。
シロアリ防除成分を液剤、フロアブル剤または乳剤として調製するには、シロアリ防除成分を適当な溶媒(水または有機溶媒)に、必要に応じて、界面活性剤や乳化剤とともに、溶解、懸濁または乳化させればよい。
シロアリ防除成分を液剤、フロアブル剤または乳剤として調製した場合には、得られた液剤、フロアブル剤または乳剤と、上記土砂成分とを配合して、混合、分散させた後、得られた混合物が乾燥された状態で、上記の水硬性成分と、さらに、必要により、分散剤、界面活性剤、沈降防止剤などのその他の添加剤を適宜配合して、混合、分散させることにより、硬化性シロアリ防除組成物を得ることができる。
上記第1および第2の硬化性シロアリ防除組成物中での上記水硬性成分の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは、1〜99重量%であり、より好ましくは、1〜80重量%であり、さらに好ましくは、5〜30重量%である。
上記第1の硬化性シロアリ防除組成物中での土砂成分の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは、1〜99重量%であり、より好ましくは、20〜99重量%であり、さらに好ましくは、70〜95重量%である。また、上記第2の硬化性シロアリ防除組成物中での土砂成分の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは、0.9〜99重量%であり、より好ましくは、19.9〜99重量%であり、さらに好ましくは、69.9〜95重量%である。
また、上記第1および第2の硬化性シロアリ防除組成物中での土砂成分の含有割合は、上記水硬性成分100重量部に対して、好ましくは、1〜20000重量部であり、より好ましくは、10〜10000重量部であり、さらに好ましくは、25〜5000重量部である。
上記硬化性シロアリ防除組成物中での上記シロアリ防除成分の含有割合は、特に限定されないが、上記第1の硬化性シロアリ防除組成物において、好ましくは、0〜50重量%であり、より好ましくは、0〜10重量%である。また、上記第2の硬化性シロアリ防除組成物において、好ましくは、0.00001〜50重量%であり、より好ましくは、0.001〜10重量%である。
また、上記第1の硬化性シロアリ防除組成物中での土砂成分の含有割合は、上記水硬性成分100重量部に対して、好ましくは、10000重量部以下であり、より好ましくは、10〜10000重量部であり、さらに好ましくは、25〜5000重量部である。一方、上記第2の硬化性シロアリ防除組成物中での土砂成分の含有割合は、上記水硬性成分100重量部に対して、好ましくは、1〜20000重量部であり、より好ましくは、10〜10000重量部であり、さらに好ましくは、25〜5000重量部である。
上記第1および第2の硬化性シロアリ防除組成物中でのその他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、0〜20重量%であり、より好ましくは、0〜10重量%である。
そして、上記第1および第2の硬化性シロアリ防除組成物は、水と混練し、硬化させて得られる硬化物を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」またはJIS A 1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に記載の圧縮強さ試験で試験した場合に、その圧縮強度が、好ましくは、1〜20N/mm2であり、より好ましくは、2〜18N/mm2であり、さらに好ましくは、2〜15N/mm2である。
上記硬化性シロアリ防除組成物と水との混練物を硬化させて得られる硬化物の圧縮強度が、上記範囲を満たすときは、上記硬化物の硬さが、例えば、コンクリートのように、シロアリが加害できない程度の硬さではなく、一方で、例えば、通常の土壌のように、シロアリが容易に、直進しつつ貫通できる程度の柔らかさではなく、シロアリが加害するのに際して、適度な抵抗を有することになる。このため、上記硬化物を加害するシロアリは、その体内に、被加害域の組成物を多量に取り込むこととなり、生命維持に支障をきたす結果を招く。また、これにより、転倒から死に至るシロアリが生じたり、上記硬化物を忌避するシロアリが顕著に現れたりすることとなる。
上記硬化性シロアリ防除組成物の被処理域としては、シロアリによる被害を防除する部位が挙げられる。具体的には、例えば、シロアリが侵入する可能性のある部位(シロアリによる被害が予想される部位)、シロアリによる被害が実際に生じている部位など、シロアリによる被害を防除する必要がある部位が挙げられる。
本発明において、シロアリによる被害の「防除」とは、予防および駆除を意味する。すなわち、シロアリによる被害の「防除」には、シロアリを駆除する場合が含まれる。以下、これらを、単に「シロアリによる被害を防除する」という場合がある。
シロアリによる被害を防除する部位としては、具体的には、例えば、建物(建築物;すなわち、家屋、倉庫、門扉、塀およびこれらの付属設備など。)における基礎構造部、上部構造部および地下構造部、例えば、建物の付属設備としての地下埋設物、例えば、地盤面、例えば、シロアリの生息・発生域などが挙げられる。
建物の基礎構造部としては、例えば、基礎(独立基礎、布基礎、ベタ基礎など。)、地業(玉石地業、割りぐり石地業、砂地業など。)、基礎ばり、地中ばり、布石、土台(柱を載置するための木製の土台など。)、柱、床束、大引、根がらみ、根太、基礎断熱材などが挙げられる。
建物の上部構造部としては、例えば、柱、床部(床上部、床下部;例えば、床版、床板、床下断熱材など。)、壁部(外壁、内壁、間仕切壁など。)、断熱材(外壁断熱材、内壁断熱材など。)、天井、はり(桁)、窓枠、庇、軒、屋根板、棟ばり、壁塀(壁塀表面、犬走り部、貼り付け石など。)などが挙げられる。
建物の地下構造部としては、例えば、建物の地下室部分を構成する柱、床部、外壁、外壁断熱材、内壁、内壁断熱材、間仕切壁、天井、はり(桁)などが挙げられる。
建物(建築物)の付属設備としての地下埋設物としては、例えば、ケーブル類(電線ケーブル、光ファイバーケーブルなど。)の周囲、配管類(水道管、ガス管など。)の周囲などが挙げられる。
地盤面としては、例えば、建物外での基礎構造部近傍(建物の外周、壁塀の犬走り部下など。)の地盤表面、建物内(床下部)の地盤表面などが挙げられる。
シロアリの生息・発生域としては、例えば、シロアリの巣、蟻道、加害部などが挙げられる。
なお、シロアリが侵入する可能性のある部位には、例えば、建物(上記の基礎構造部、上部構造部、地下構造部)や地下埋設物におけるひび割れ部分(クラックなど。)、隙間部分、ドリルなどにより穿孔された部分などが挙げられる。
上記硬化性シロアリ防除組成物の施工量は、被処理域に合わせて適宜設定すればよい。
それゆえ、特に限定されないが、例えば、上記第1および第2の硬化性シロアリ防除組成物を、シロアリによる被害を防除する部位(具体的には、地盤面など。)に対し、直接に適用(具体的には、散布など。)する場合や、水、シロアリ防除成分を含有しているシロアリ防除液またはポリマーを含有している液体が散布された領域に対し、適用(散布など)する場合には、例えば、シロアリによる被害を防除する部位または水などが散布された領域全面に対し、硬化性シロアリ防除組成物からなる層の厚みが、0.1〜5cm、好ましくは、0.1〜3cmとなるように適用(散布など)したり、例えば、硬化性シロアリ防除組成物からなる層の厚みが、0.25mm〜3cmとなり、幅が、1〜30cm、好ましくは、3〜20cmとなるように適用(散布など)する。
例えば、上記第1および第2の硬化性シロアリ防除組成物と、水またはシロアリ防除成分を含有しているシロアリ防除液)との混練物を、シロアリによる被害を防除する部位(具体的には、建物の基礎構造部など、より具体的には、柱、断熱材など。)に適用(具体的には、塗工、注入など。)する場合には、例えば、シロアリによる被害を防除する部位などの表面に、上記混練物からなる層の厚みが、0.25mm〜3cmとなるように適用(塗工、注入)する。上記混練物は、例えば、基礎立ち上がり部分の全面に適用してもよい。また、例えば、上記混練物を基礎立ち上がり部分に適用する場合には、基礎部と壁面との境界からの高さ方向の長さが、1〜40cm、好ましくは、1〜20cmとなり、厚さが、0.25mm〜5cm、好ましくは、0.25mm〜3cm、より好ましくは、0.25mm〜1cmとなり、単位面積あたりの重量が、200g/m2〜60kg/m2となるように、上記混練物を適用(塗工、注入)する。
上記硬化性シロアリ防除組成物は、上記した被処理域に対して、種々の方法で施工することができる。
次に、本発明の硬化性シロアリ防除組成物を用いた本発明のシロアリ防除方法について説明する。
本発明の第1のシロアリ防除方法は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と硬化液とを混練する混練工程と、上記混練工程で得られた混練物を、シロアリによる被害を防除する部位に施工し、硬化させる硬化工程と、を有している。
上記混練工程では、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と、硬化液と、を配合し、練り混ぜることにより、混練物を得る。
硬化液は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を硬化させるときに用いられる液体であって、具体的には、例えば、水、シロアリ防除成分を含有しているシロアリ防除液、ポリマーを含有している液体などが挙げられる。
シロアリ防除成分を含有しているシロアリ防除液(以下、単に「シロアリ防除液」という場合がある。)のシロアリ防除成分としては、上記第1の硬化性シロアリ防除組成物の任意成分または上記第2のシロアリ防除組成物の必須成分として例示したのと同じシロアリ防除成分が挙げられる。
シロアリ防除液の溶媒または分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピレングリコールなどが挙げられる。
ポリマーを含有している液体におけるポリマーとしては、第1または第2の硬化性ポリマーとの混練物や、ポリマーを含有している液体そのものを、シロアリによる被害を防除する部位に施工(塗工、散布、吹付け、注入など)した場合に、第1または第2の硬化性ポリマーとともに硬化し得るポリマーが挙げられる。
具体的には、例えば、エチレン−ビニルアルコール(EVA)樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなど。)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などが挙げられる。
また、ポリマーを含有している液体の溶媒または分散液としては、例えば、水などが挙げられる。なお、ポリマーを含有している液体は、具体的には、上記ポリマーを含有する分散液、懸濁液、乳濁液として、より具体的には、例えば、樹脂エマルションやゴムラテックスとして供給される。
第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と、硬化液との配合割合は、上記混練物が硬化してシロアリ防除モルタルを形成できる範囲であればよい。それゆえ、特に限定されないが、例えば、硬化液に含まれる水、溶媒または分散液について、その配合量は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物100重量部に対して、好ましくは、15〜65重量部であり、より好ましくは、15〜45重量部であり、さらに好ましくは、15〜35重量部である。
第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と、硬化液との混練は、例えば、混合機などを用いてもよく、手で撹拌してもよい。混練方法としては、例えば、硬化液を予め容器に入れておき、これを撹拌しながら、徐々に硬化性シロアリ防除組成物を投入する、などの方法が挙げられる。
上記硬化工程では、上記混練工程により得られる混練物を、例えば、シロアリによる被害を防除する部位に施工し、次いで、施工された混練物の表面との接触を断った状態で、静置する。上記混練物は、その後、静置されることにより、または、さらに、空気または土壌中の水分を吸収することにより、硬化する。これにより、シロアリ防除モルタルが形成される。
上記混練物の施工としては、具体的には、例えば、上記混練物の塗工、散布、吹付け、注入、埋込みなどが挙げられる。
上記施工の具体的方法としては、特に限定されず、例えば、鏝、へらなどの用具で上記混練物などを塗工する方法、噴霧器、散布器、圧送ポンプなどの機械・機器で上記混練物などを散布する方法、手作業で上記混練物などを散布する方法、スプレーガンなどの吹付け器で上記混練物などを吹き付ける方法、注入具で上記混練物などを注入する方法などが挙げられる。
なお、散布器を用いる場合には、上記混練物などを、ホースの先端から一定量ずつ散布できるため、例えば、特に、既設住宅の床下などでのシロアリ防除組成物の施工に際し、その作業効率を高めることができる。また、スプレーガンを用いる場合には、上記混練物などの吹付け塗工が可能になり、しかも、均一な厚さでの施工が可能となる。さらに、例えば、二重基礎などのように、施工領域が極めて狭い部位への施工においても、作業効率を高めることができる。
上記第1のシロアリ防除方法の混練工程に用いられる硬化性シロアリ防除組成物は、シロアリ防除成分を含有しないもの(第1の硬化性シロアリ防除組成物)であってもよく、シロアリ防除成分を含有するもの(第2の硬化性シロアリ防除組成物)であってもよい。
シロアリ防除組成物がシロアリ防除成分を含有していない場合であっても、上記混練工程に用いられる硬化液が、シロアリ防除液である場合には、混練物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されることとなり、シロアリの防除効果を確実に発揮させることができる。一方、シロアリ防除組成物がシロアリ防除成分を含有していない場合であり、かつ、上記硬化液が、水またはポリマーを含有している液体である場合には、硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されないことになるものの、上述のように、上記硬化物を加害するシロアリが、被加害域の上記硬化物を多量に取り込むことで、シロアリの防除効果を発揮させることができる。なお、かかる効果を発揮させるには、上記混練物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)の圧縮強度が、上記した範囲となるように設定することが好ましい。
上記第1のシロアリ防除方法において、上記混練工程で得られた混練物を塗工、散布または吹付けする場合の施工領域は、シロアリによる被害を防除(駆除を含む。)する部位であって、上記混練物を塗工し、散布し、または、吹き付けるのに適した領域であること以外は、特に限定されない。上記施工領域としては、好ましくは、例えば、建物の基礎構造部、上部構造部および地下構造部における表面、ひび割れ部分、隙間部分および穿孔された部分、例えば、地下埋設物における表面(外周面)、ひび割れ部分および隙間部分などが挙げられる。
また、上記第1のシロアリ防除方法において、上記混練工程で得られた混練物を注入する場合の施工領域は、シロアリによる被害を防除(駆除を含む。)する部位であって、上記混練物を注入するのに適した領域であること以外は、特に限定されない。上記施工(注入)領域としては、好ましくは、例えば、建物の基礎構造部、上部構造部および地下構造部におけるひび割れ部分、隙間部分および穿孔された部分、例えば、地下埋設物のひび割れ部分および隙間部分、例えば、シロアリの巣、蟻道、加害部などが挙げられる。
本発明の第2のシロアリ防除方法は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を、シロアリによる被害を防除する部位に散布または注入する散布・注入工程と、上記散布・注入工程で散布または注入された硬化性シロアリ防除組成物を、硬化液の散布もしくは注入により、または、空気もしくは土壌中の水分により、固化させる固化工程と、を有している。
上記散布・注入工程では、シロアリによる被害を防除する部位に、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を、散布または注入する。
散布または注入の方法は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物が、シロアリによる被害を防除する部位に対して散布または注入される方法であれば特に限定されない。具体的には、シロアリによる被害を防除する部位に対し、第1または第2の硬化性シロアリ防除剤を、例えば、油差しのような容器を用いて散布または注入する方法や、噴霧器を用いて噴霧により散布または注入する方法などが挙げられる。
上記固化工程では、上記シロアリ防除組成物散布・注入工程で散布または注入された第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物に対し、硬化液の散布もしくは注入により水分を供給し、または、空気もしくは土壌から空気もしくは土壌中の水分を供給する。これにより、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物が固化し、硬化されて、シロアリ防除モルタルが形成される。
硬化液としては、第1のシロアリ防除方法で例示したものと同様のものが挙げられる。
硬化液の散布もしくは注入(例えば、散水)により供給される水分の量は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物が硬化してシロアリ防除モルタルを形成できる範囲であればよく、特に限定されないが、例えば、硬化液に含まれる水、溶媒または分散液について、その配合割合は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物100重量部に対して、好ましくは、15〜65重量部であり、より好ましくは、15〜45重量部であり、さらに好ましくは、15〜35重量部である。また、散水は、例えば、1回で水を散水したり、複数回に分けて散水したりするなど、適宜の方法が用いられる。
上記第2のシロアリ防除方法の散布・注入工程で散布または注入される硬化性シロアリ防除組成物は、シロアリ防除成分を含有しないもの(第1の硬化性シロアリ防除組成物)であってもよく、シロアリ防除成分を含有するもの(第2の硬化性シロアリ防除組成物)であってもよい。
シロアリ防除組成物がシロアリ防除成分を含有していない場合であっても、上記散布・注入工程で散布または注入される硬化液が、シロアリ防除液である場合には、シロアリ防除組成物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されることとなり、シロアリの防除効果を確実に発揮させることができる。一方、シロアリ防除組成物がシロアリ防除成分を含有していない場合であり、かつ、上記散布・注入工程で散布または注入される硬化液が、水またはポリマーを含有している液体である場合には、シロアリ防除組成物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されないことになるものの、上述のように、上記硬化物を加害するシロアリが、被加害域の上記硬化物を多量に取り込むことで、シロアリの防除効果を発揮させることができる。なお、かかる効果を発揮させるには、シロアリ防除組成物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)の圧縮強度が、上記した範囲となるように設定することが好ましい。
上記第2のシロアリ防除方法において、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を散布する場合の施工領域は、シロアリによる被害を防除(駆除を含む。)する部位であって、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を散布するのに適した領域であること以外は、特に限定されない。上記施工(散布)領域としては、好ましくは、例えば、建物の基礎構造部、上部構造部および地下構造部における表面、ひび割れ部分、隙間部分および穿孔された部分、例えば、地下埋設物の表面(外周面)、ひび割れ部分および隙間部分などが挙げられる。
また、上記第2のシロアリ防除方法において、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を注入する場合の施工領域は、シロアリによる被害を防除(駆除を含む。)する部位であって、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を注入するのに適した領域であること以外は、特に限定されない。上記施工(注入)領域としては、好ましくは、例えば、建物の基礎構造部、上部構造部および地下構造部におけるひび割れ部分、隙間部分および穿孔された部分、例えば、地下埋設物のひび割れ部分および隙間部分、例えば、シロアリの巣、蟻道、加害部などが挙げられる。
さらに、これに限定されないが、例えば、上記施工(散布または注入)領域が、建物の基礎構造部および上部構造部における表面、ひび割れ部分、隙間部分および穿孔された部分である場合には、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物の散布または注入後、上記散布領域に散水すればよい。一方、上記施工(散布または注入)領域が、建物の地下構造部における表面、ひび割れ部分、隙間部分および穿孔された部分や、地下埋設物の表面、ひび割れ部分および隙間部分である場合には、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物の散布または注入後、放置して、空気または土壌中の水分により自然に固化させればよい。
本発明の第3のシロアリ防除方法は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と硬化液とを混練する混練工程と、上記混練工程で得られた混練物を成形し、固化させる成形工程と、上記成形工程で得られた成形体を、シロアリによる被害を防除する部位に埋め込む埋込み工程と、を有している。
上記混練工程では、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と、硬化液と、を配合し、練り混ぜることにより、混練物を得る。
硬化液としては、第1のシロアリ防除方法で例示したものと同様のものが挙げられる。
第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と、硬化液との配合割合は、第1のシロアリ防除方法の場合と同様に設定すればよい。また、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と、硬化液との混練は、第1のシロアリ防除方法の場合と同様にすればよい。
上記成形工程では、上記混練工程で得られた混練物を、所定の形状に成形し、固化させる。これにより、所定形状のモルタルが得られる。
上記混練物の成形、固化には、例えば、上記混練物をプラスチック容器や木枠などに流し込んで固化させ、取り出すなどの方法が用いられる。その際、例えば、実際にシロアリによる食害を被っている部分の形状や、ドリルなどで穿孔された部分の形状などに合わせて、上記混練物を成形、固化することもできる。
上記埋込み工程では、例えば、上記成形固化工程で得られた成形体を、シロアリによる被害を防除する部位、とりわけ、実際にシロアリによる食害を被っている部位(被害部)やシロアリによる食害を被るおそれがある部位に埋め込み、固定する。上記成形体の固定には、例えば、接着剤、紐、金具などが用いられる。
上記第3のシロアリ防除方法の混練工程に用いられる硬化性シロアリ防除組成物は、シロアリ防除成分を含有しないもの(第1の硬化性シロアリ防除組成物)であってもよく、シロアリ防除成分を含有するもの(第2の硬化性シロアリ防除組成物)であってもよい。
シロアリ防除組成物がシロアリ防除成分を含有していない場合であっても、上記混練工程に用いられる硬化液が、シロアリ防除液である場合には、混練物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されることとなり、シロアリの防除効果を確実に発揮させることができる。一方、シロアリ防除組成物がシロアリ防除成分を含有していない場合であり、かつ、上記硬化液が、水またはポリマーを含有している液体である場合には、硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されないことになるものの、上述のように、上記硬化物を加害するシロアリが、被加害域の上記硬化物を多量に取り込むことで、シロアリの防除効果を発揮させることができる。なお、かかる効果を発揮させるには、上記混練物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)の圧縮強度が、上記した範囲となるように設定することが好ましい。
上記第3のシロアリ防除方法において、上記成形工程で所定の形状に成形、固化された成形体を埋め込む埋込み領域は、シロアリによる被害を防除(駆除を含む。)する部位であって、上記成形体を埋め込むのに適した領域であること以外は、特に限定されない。上記埋込み領域としては、好ましくは、例えば、建物の基礎構造部、上部構造部および地下構造部におけるひび割れ部分、隙間部分および穿孔された部分、例えば、地下埋設物のひび割れ部分および隙間部分、例えば、シロアリの蟻道などが挙げられる。
本発明の第4のシロアリ防除方法は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を、シロアリによる被害を防除する部位に散布または注入する散布・注入工程と、前記散布・注入工程で前記硬化性シロアリ防除組成物が散布または注入された領域に対し、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と硬化液との混練物を塗工する第1の塗工工程と、を有している。
上記散布・注入工程では、シロアリによる被害を防除する部位、とりわけ、実際にシロアリによる食害を被っている部位(被害部)やシロアリによる食害を被るおそれがある部位に、第1または第2のシロアリ防除組成物を散布または注入する。
硬化液としては、第1のシロアリ防除方法で例示したものと同様のものが挙げられる。
上記散布または注入の方法は、第1または第2のシロアリ防除組成物が、シロアリによる被害を防除する部位に対して散布または注入される方法であれば特に限定されず、例えば、油差しのような容器を用いて散布または注入する、噴霧器を用いて噴霧により散布または注入するなどの方法が挙げられる。
シロアリ防除液の散布および注入は、例えば、1回でシロアリ防除液を散布または注入したり、複数回に分けて散布または注入したりするなど、適宜の方法が用いられる。
また、シロアリ防除液の散布量は、予め散布・注入されたシロアリ防除組成物が流出しない程度であれば特に限定されず、通常、上記シロアリ防除成分の一般的な散布量に設定される。具体的に、シロアリ防除液の散布量は、例えば、土壌に対して散布する場合に、3〜5L/m2に設定され、例えば、木部に対して散布する場合に、0.05〜5Lに設定される。
上記第1の塗工工程では、上記散布・注入工程で第1または第2のシロアリ防除組成物が散布または注入されている領域に対し、第1または第2のシロアリ防除組成物と硬化液との混練物を塗工し、次いで、塗工された混練物の表面への接触を断った状態で、静置する。これにより、上記混練物が硬化し、予め散布または注入された第1または第2のシロアリ防除組成物の表面に、さらに、上記混練物が硬化したシロアリ防除モルタルが形成される。
第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と、硬化液との配合割合は、上記混練物が硬化してシロアリ防除モルタルを形成できる範囲であればよい。それゆえ、特に限定されないが、例えば、硬化液に含まれる水、溶媒または分散液について、その配合割合は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物100重量部に対して、好ましくは、15〜65重量部であり、より好ましくは、15〜45重量部であり、さらに好ましくは、15〜35重量部程度である。
上記第4のシロアリ防除方法の散布・注入工程で散布または注入される硬化性シロアリ防除組成物は、シロアリ防除成分を含有しないもの(第1の硬化性シロアリ防除組成物)であってもよく、シロアリ防除成分を含有するもの(第2の硬化性シロアリ防除組成物)であってもよい。
シロアリ防除組成物がシロアリ防除成分を含有していない場合であっても、上記散布・注入工程で散布または注入される硬化液が、シロアリ防除液である場合には、シロアリ防除組成物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されることとなり、シロアリの防除効果を確実に発揮させることができる。一方、シロアリ防除組成物がシロアリ防除成分を含有していない場合であり、かつ、上記散布・注入工程で散布または注入される硬化液が、水またはポリマーを含有している液体である場合には、シロアリ防除組成物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されないことになるものの、上述のように、上記硬化物を加害するシロアリが、被加害域の上記硬化物を多量に取り込むことで、シロアリの防除効果を発揮させることができる。なお、かかる効果を発揮させるには、シロアリ防除組成物が硬化して得られる硬化物(シロアリ防除モルタル)の圧縮強度が、上記した範囲となるように設定することが好ましい。
上記第4のシロアリ防除方法において、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物の散布・注入領域、および、上記混練物の塗工領域は、シロアリによる被害を防除(駆除を含む。)する部位であって、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を散布・注入し、かつ、上記混練物を塗工するのに適した領域であること以外は、特に限定されない。上記散布・注入領域および塗工領域としては、好ましくは、例えば、建物の基礎構造部、上部構造部および地下構造部における表面、ひび割れ部分、隙間部分および穿孔された部分、例えば、地下埋設物の表面(外周面)、ひび割れ部分および隙間部分、例えば、シロアリの巣、蟻道などが挙げられる。
本発明の第5のシロアリ防除方法は、シロアリによる被害を防除する部位に硬化液を散布する硬化液散布工程と、前記硬化液散布工程で前記硬化液が散布された領域に対し、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を散布するシロアリ防除組成物散布工程と、を有している。
上記硬化液散布工程では、シロアリによる被害を防除する部位、とりわけ、実際にシロアリによる食害を被っている部位(被害部)やシロアリによる食害を被るおそれがある部位に、硬化液を散布する。
硬化液としては、第1のシロアリ防除方法で例示したものと同様のものが挙げられる。
硬化液の散布は、例えば、1回でシロアリ防除液を散布したり、複数回に分けて散布したりするなど、適宜の方法が用いられる。
硬化液の散布量は、例えば、後述するシロアリ防除組成物散布工程において散布される第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物が、十分に硬化し、かつ、散布された領域に固着できる程度であればよい。
上記シロアリ防除組成物散布工程では、上記硬化液散布工程で上記硬化液が散布された領域に対し、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を散布する。
上記第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物は、シロアリによる被害を防除する部位に予め散布されている硬化液中の水、溶媒または分散液を吸収することにより、または、さらに、空気中の水分などを吸収することにより、固化し、硬化する。こうして、シロアリ防除モルタルが形成される。
第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物の散布量は、シロアリの防除効果が発揮され、かつ、硬化液が散布された領域において固着させることができる範囲であればよい。それゆえ、特に限定されないが、例えば、好ましくは、200g/m2〜60kg/m2、より好ましくは、200g/m2〜30kg/m2に設定される。
上記第5のシロアリ防除方法の硬化液散布工程で散布される硬化液は、シロアリ防除成分を含有しないもの(水、ポリマーを含有している液体)であってもよく、シロアリ防除成分を含有するシロアリ防除液であってもよい。
硬化液がシロアリ防除成分を含有していない場合であっても、上記シロアリ防除組成物散布工程で散布される硬化性シロアリ防除組成物が、シロアリ防除成分を含有している場合(第2の硬化性シロアリ防除組成物である場合)には、硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されることとなり、シロアリの防除効果を確実に発揮させることができる。一方、硬化液がシロアリ防除成分を含有していない場合であり、かつ、散布される硬化性シロアリ防除組成物が、シロアリ防除成分を含有していない場合(第1の硬化性シロアリ防除組成物である場合)には、硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されないことになるものの、上述のように、上記硬化物を加害するシロアリが、被加害域の上記硬化物を多量に取り込むことで、シロアリの防除効果を発揮させることができる。なお、かかる効果を発揮させるには、硬化物(シロアリ防除モルタル)の圧縮強度が、上記した範囲となるように設定することが好ましい。
上記第5のシロアリ防除方法において、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物の散布領域は、シロアリによる被害を防除(駆除を含む。)する部位であって、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物を散布するのに適した領域であること以外は、特に限定されないが、好ましくは、例えば、建物の基礎構造部、上部構造部および地下構造部における表面、ひび割れ部分、隙間部分および穿孔された部分、例えば、地下埋設物の表面(外周面)、ひび割れ部分および隙間部分などが挙げられる。
本発明の第6のシロアリ防除方法は、シロアリによる被害を防除する部位に硬化液を散布する硬化液散布工程と、前記硬化液散布工程で前記硬化液が散布された領域に対し、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と硬化液との混練物を塗工する第2の塗工工程と、を有している。
上記硬化液散布工程では、シロアリによる被害を防除する部位、とりわけ、実際にシロアリによる食害を被っている部位(被害部)やシロアリによる食害を被るおそれがある部位に、硬化液を散布する。
硬化液としては、第1のシロアリ防除方法で例示したものと同様のものが挙げられる。
硬化液の散布方法や散布量は、第5のシロアリ防除方法の場合と同様に設定すればよい。
上記第2の塗工工程では、上記硬化液散布工程で上記硬化液が散布された領域に、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物と、硬化液との混練物を塗工し、硬化させる。
硬化液としては、第1のシロアリ防除方法で例示したものと同様のものが挙げられる。
第1または第2のシロアリ防除組成物と、上記硬化液との混練では、これらを配合し、練り混ぜることにより、混練物が得られる。
上記混練物は、上記硬化液散布工程で上記硬化液が散布された領域に塗工されることにより、固化し、硬化する。こうして、シロアリ防除モルタルが形成される。
第1または第2のシロアリ防除組成物と、上記硬化液との配合割合は、上記混練物が硬化してシロアリ防除モルタルを形成できる範囲であればよく、例えば、シロアリ防除液または水の配合割合は、第1または第2の硬化性シロアリ防除組成物100重量部に対して、好ましくは、15〜65重量部であり、より好ましくは、15〜45重量部であり、さらに好ましくは、15〜35重量部程度である。
上記第6のシロアリ防除方法の硬化液散布工程で散布される硬化液は、シロアリ防除成分を含有しないもの(水、ポリマーを含有している液体)であってもよく、シロアリ防除成分を含有するシロアリ防除液であってもよい。
硬化液がシロアリ防除成分を含有していない場合であっても、上記シロアリ防除組成物散布工程で散布される硬化性シロアリ防除組成物が、シロアリ防除成分を含有している場合(第2の硬化性シロアリ防除組成物である場合)には、硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されることとなり、シロアリの防除効果を確実に発揮させることができる。一方、硬化液がシロアリ防除成分を含有していない場合であり、かつ、散布される硬化性シロアリ防除組成物が、シロアリ防除成分を含有していない場合(第1の硬化性シロアリ防除組成物である場合)には、硬化物(シロアリ防除モルタル)にシロアリ防除成分が含有されないことになるものの、上述のように、上記硬化物を加害するシロアリが、被加害域の上記硬化物を多量に取り込むことで、シロアリの防除効果を発揮させることができる。なお、かかる効果を発揮させるには、硬化物(シロアリ防除モルタル)の圧縮強度が、上記した範囲となるように設定することが好ましい。
上記第6のシロアリ防除方法において、上記混練物の塗工領域は、シロアリによる被害を防除(駆除を含む。)する部位であって、上記混練物を塗工するのに適した領域であること以外は、特に限定されないが、好ましくは、例えば、建物の基礎構造部、上部構造部および地下構造部における表面、例えば、地下埋設物の表面(外周面)などが挙げられる。
図1、図2および図3は、硬化性シロアリ防除組成物の被処理域の一例を示す断面図である。
図1には、建物の基礎構造部のうち、ベタ基礎20、ベタ基礎20の端部上面に設けられている基礎本体21、基礎本体21の外側面に設けられている基礎断熱材22、基礎断熱材22の外側面を被覆している化粧モルタル23、基礎本体21の上に設けられている木製の土台24、土台24の上に立設されている柱25、および、基礎断熱材22の上に設けられている外断熱材26が含まれている。
図1に示す基礎部では、基礎本体21のうち表面が外部に露出している部分(天面や側面の一部)、基礎断熱材22の上部、木製の土台24の表面、ベタ基礎20の端部側面や化粧モルタル23の下側端部と地盤27との境界部分、ならびに、柱25および外断熱材26の表面に、上記硬化性シロアリ防除組成物が施工され、シロアリ防除モルタル28が形成されている。この場合、具体的には、上記施工部分に、(A)上記硬化性シロアリ防除組成物と水との混練物が塗工され、(B)上記硬化性シロアリ防除組成物が散布された後、散水され、(C)上記硬化性シロアリ防除組成物が散布された後、上記シロアリ防除液が散布され、または、(D)水、上記シロアリ防除液および上記ポリマーを含有している液体からなる群より選ばれる少なくとも1種の液体が散布された後、上記硬化性シロアリ防除組成物が散布されることにより、シロアリ防除モルタル28が形成される。また、化粧モルタル23は、それ自体が、硬化性シロアリ防除組成物を用いて形成されたモルタル(シロアリ防除層)であってもよい。
また、基礎本体21と基礎断熱材22との隙間にも、上記硬化性シロアリ防除組成物が施工され、シロアリ防除モルタル29が形成されている。この場合、具体的には、上記施工部分、すなわち、基礎本体21と基礎断熱材22との隙間に、(E)上記硬化性シロアリ防除組成物と水との混練物が注入され、(F)上記硬化性シロアリ防除組成物が注入された後、散水され、(G)上記硬化性シロアリ防除組成物が注入された後、上記シロアリ防除液が散布され、または、(H)水、上記シロアリ防除液および上記ポリマーを含有している液体からなる群より選ばれる少なくとも1種の液体が散布された後、上記硬化性シロアリ防除組成物が散布されることにより、シロアリ防除モルタル29が形成される。
図2および図3には、建物の基礎構造部のうち、布基礎50、基礎本体52(布基礎50の突出部であって、土台24や柱25を載置する部分)の外側面に設けられている基礎断熱材22、基礎断熱材22の外側面を被覆している化粧モルタル23、木製の土台24、土台24の上に立設されている柱25、および、基礎断熱材22の上に設けられている外断熱材26が含まれている。また、図2においては、さらに、地盤27の表面にコンクリート(土間コンクリート)51が設けられている。
図2および図3に示す基礎部では、基礎本体52のうち表面が外部に露出している部分(天面や側面の一部)、基礎断熱材22の上部、木製の土台24の表面、基礎本体52の端部側面と、地盤27や土間コンクリート51との境界部分、ならびに、柱25および外断熱材26の表面に、上記硬化性シロアリ防除組成物が施工されている。この場合、具体的には、上記施工部分に、上記した(A)〜(D)と同様にして、シロアリ防除モルタル28が形成される。また、化粧モルタル23自体が、硬化性シロアリ防除組成物を用いて形成されたモルタルであってもよい。
また、基礎本体52と基礎断熱材22との隙間にも、上記硬化性シロアリ防除組成物が施工され、シロアリ防除モルタル29が形成されている。この場合、具体的には、上記施工部分に、上記した(E)〜(H)と同様にして、シロアリ防除モルタル29が形成される。
図1、図2および図3に示す場合において、ベタ基礎20の基礎本体21、布基礎50の基礎本体52などの表面にクラックがあるときは、そのクラックの隙間に、硬化性シロアリ防除組成物が注入されていてもよい。
上記においては、外断熱の場合を示したが、内断熱の場合も同様である。
上記硬化性シロアリ防除組成物は、土砂成分の総量に対する95重量%以上が、粒径が1.5mm以下の小粒径の土砂であることから、上記硬化性シロアリ防除組成物に水を加え、混練りして得られる混練物を、建物の基礎部に塗工したときには、たとえ上記硬化性シロアリ防除組成物からなる層の厚みが薄くても、シロアリの貫通を防止し、優れたシロアリ防除効果を発揮することができる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
参考例1
KMC−113(ジイソプロピルナフタレン、沸点300℃、呉羽化学工業(株)製)360g、アルケンL(アルキルベンゼン、蒸留範囲285〜309℃、日本石油化学(株)製)230g、Disperbyk−164(3級アミン含有ポリエステル変性ポリウレタン系高分子重合体、分子量10000〜50000、ビッグケミー(株)製)10gを均一になるまで攪拌し、得られた混合溶液にクロチアニジン400gを加え、T.K.オートホモディスパー(特殊機化工業(株)製)にて攪拌することにより、スラリーAを得た。
得られたスラリーAをビーズミル(ダイノーミル KDL A型、ガラスビーズ径1.5mm)にて20分間湿式粉砕した。このとき得られたスラリーA中のクロチアニジンの平均粒子径は840nmであった。
次に、この湿式粉砕後のスラリーA112.5gに、タケネートD−140N(イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体、三井武田ケミカル(株)製)33.9gを加え、均一になるまで攪拌しスラリーBを得た。
得られたスラリーBを、1.5重量%ポリビニルアルコール(クラレポバール217、クラレ(株)製)含有水溶液125g中に加えて、常温下で微少滴になるまでT.K.オートホモミキサーで数分間攪拌した。この時のミキサーの回転数は5000rpmであった。攪拌中に、エチレンジアミン4.16gを含む水溶液20gを滴下した。
次いで、得られた水分散液を、60℃の恒温槽中で6時間緩やかに攪拌させながら反応させることにより、マイクロカプセルを含む水分散液のシロアリ防除成分Aを得た。
得られたシロアリ防除成分Aの有効成分濃度は、15重量%であり、マイクロカプセルの平均粒径は、25μmであった。
実施例1
粒径が0.5mmを上回り1.5mm以下である土砂(真砂土)7重量部と、粒径が0.25mmを上回り0.5mm以下である土砂(真砂土)10重量部と、粒径0.15以上0.25mm以下の土砂(真砂土)15重量部と、粒径0.15mm未満の土砂(真砂土)68重量部とを配合し、攪拌混合して、乾燥土砂Aを得た。
得られた乾燥土砂A100重量部に対し、上記参考例1で得られたシロアリ防除成分A(有効成分(クロチアニジン)濃度15重量%)10重量部を配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物を、上記乾燥土砂Aで約10倍に希釈する操作を3回繰り返して、希釈物を得た。得られた希釈物の有効成分濃度は、0.0012重量%であった。
さらに、上記希釈物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載の圧縮強さ試験で測定した結果、約10N/mm2であった。
実施例2
粒径0.15mm以上0.25mm以下の土砂(真砂土)5重量部と、粒径0.15mm未満の土砂(真砂土)95重量部とを配合し、攪拌混合して、乾燥土砂Bを得た。
得られた乾燥土砂B100重量部に対し、上記参考例1で得られたシロアリ防除成分A(有効成分(クロチアニジン)濃度15重量%)10重量部を配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物を、上記乾燥土砂Bで約10倍に希釈する操作を3回繰り返して、希釈物を得た。得られた希釈物の有効成分濃度は、0.0012重量%であった。
さらに、上記希釈物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例3
けい砂6号(粒径1mm以下のけい砂からなり、粒径が0.4mmを上回り1mm以下であるけい砂を11重量%、粒径が0.3mmを上回り0.4mm以下であるけい砂を45重量%、粒径0.15mm以上0.3mm以下のけい砂を40重量%、および、粒径0.15mm未満のけい砂を4重量%の割合で含有するもの。)100重量部に対し、上記参考例1で得られたシロアリ防除成分A(有効成分濃度15重量%)3重量部を配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物を、上記けい砂6号で約10倍に希釈後、さらに、上記乾燥土砂Aで約10倍に希釈して、希釈物を得た。得られた希釈物の有効成分濃度は、0.004重量%であった。
さらに、上記希釈物20重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)80重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約18N/mm2であった。
実施例4
カガライト4M号(カガライト工業(株)製、軽石の細粒)を篩に通して、粒径0.15mm以下の担体Aを得た。得られた担体A100重量部に対し、上記参考例1で得られたシロアリ防除成分A(有効成分濃度15重量%)10重量部を配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。
得られた混合物を、粒径0.15mm以下の土砂(真砂土)で約10倍に希釈し、シロアリ防除成分Bを得た。さらに、得られたシロアリ防除成分Bを、粒径0.15mm以下の土砂(真砂土)で約10倍に希釈する操作を2回繰り返して、希釈物(シロアリ防除成分C)を得た。得られたシロアリ防除成分Cの有効成分濃度は、0.0012重量%であった。
さらに、シロアリ防除成分C85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例5
クロルフェナピル(和光純薬工業(株)製)1重量部と、メタノール99重量部とを配合して、クロルフェナピルのメタノール溶液を調製した。得られたクロルフェナピルのメタノール溶液4重量部と、けい砂6号10重量部とを配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。得られた混合物の有効成分(クロルフェナピル)濃度は、0.4重量%であった。
さらに、上記混合物20重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)80重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約18N/mm2であった。
実施例6
バックトップMC(有効成分バッサ(MEPとBPMCを含む。)の15%マイクロカプセル剤、住友化学工業(株)製)1重量部と、上記乾燥土砂A19重量部とを配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。得られた混合物の上記有効成分濃度は、0.76重量%であった。
さらに、上記混合物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例7
グレネードMC(有効主成分フィプロニルの2.5%マイクロカプセル剤、住友化学工業(株)製)1重量部と、上記乾燥土砂A10重量部とを配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物に上記乾燥土砂Aを配合し、12.5倍に希釈して、希釈物を得た。得られた希釈物の上記有効主成分濃度は、0.02重量%であった。
さらに、上記希釈物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例8
ララップMC(有効成分シフェノトリンの10%マイクロカプセル剤、住友化学工業(株)製)1重量部と、上記乾燥土砂A10重量部とを配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物に上記乾燥土砂Aを配合し、10倍に希釈して、希釈物を得た。得られた希釈物の上記有効成分濃度は、0.1重量%であった。
さらに、上記希釈物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例9
ペルメトリン(ヘルベルト−ハインツ ヴィンクラー GmbH製)1重量部と、メタノール99重量部とを配合して、ペルメトリンのメタノール溶液を調製した。得られたペルメトリンのメタノール溶液1重量部と、上記乾燥土砂A10重量部とを配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。得られた混合物の有効成分(ペルメトリン)濃度は、0.1重量%であった。
さらに、上記混合物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例10
シラフルオフェン(和光純薬工業(株)製)1重量部と、メタノール99重量部とを配合して、シラフルオフェンのメタノール溶液を調製した。得られたシラフルオフェンのメタノール溶液2重量部と、上記乾燥土砂A10重量部とを配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。得られた混合物の有効成分(シラフルオフェン)濃度は、0.2重量%であった。
さらに、上記混合物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例11
ビフェントリン(和光純薬工業(株)製)1重量部と、メタノール99重量部とを配合して、ビフェントリンのメタノール溶液を調製した。得られたビフェントリンのメタノール溶液1重量部と、上記乾燥土砂A10重量部とを乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物を、上記乾燥土砂Aで10倍に希釈し、希釈物を得た。得られた希釈物の有効成分(ビフェントリン)濃度は、0.01重量%であった。
さらに、上記希釈物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを混合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例12
エトフェンプロックス(和光純薬工業(株)製)1重量部と、メタノール99重量部とを配合して、エトフェンプロックスのメタノール溶液を調製した。得られたエトフェンプロックスのメタノール溶液2重量部と、上記乾燥土砂A10重量部とを乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。得られた混合物の有効成分(エトフェンプロックス)濃度は、0.2重量%であった。
さらに、上記混合物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを混合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例13
実施例4で得られたシロアリ防除成分C(希釈物)82.5重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部と、エチレン−ビニルアルコール(EVA)樹脂(商品名「スミカフレックスRP−100S」、住友化学工業(株)製)2.5重量部とを配合し、均一に混合して、樹脂成分が配合された硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度を、JIS A 1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に記載の圧縮強さ試験で測定した場合、約10N/mm2であった。
実施例14
実施例4で得られたシロアリ防除成分Bを、粒径0.15mm以下の土砂(真砂土)で約3倍に希釈し、均一に混合して、希釈物を得た。得られた希釈物の有効成分濃度は、0.05重量%であった。
さらに、上記希釈物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
次いで、得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、アクリル樹脂エマルション(商品名「クロスレンCMX−02」、ガンツ化成(株)製)6重量部と、水15重量部とを加え、樹脂エマルションが配合された硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物を、奈良市内の民家の6畳間の床下、基礎立ち上がり面に約300g/m2で塗工し、シロアリ防除層を形成した。
実施例15
実施例14で得られた硬化性シロアリ防除組成物(樹脂エマルションが配合されていないもの。)100重量部と、水20重量部を混練した後、混練物で約1cmの立方体を作り固めた。3cmのマツ辺材立方体に、縦約1cm、横約1cm、深さ約2cmで穴を開け、固化物を埋め込み、穴をマツ辺材(一辺約1cmの立方体)で塞いだ。
実施例16
カガライト4M号(カガライト工業(株)製、軽石の細粒)を篩に通して、粒径0.15mm以下の担体Aを得た。得られた担体Aを、粒径0.15mm以下の土砂(真砂土)で約10倍に希釈後、さらに、粒径0.15mm以下の土砂(真砂土)で約10倍に希釈する操作を2回繰り返し、希釈物を得た。
さらに、上記希釈物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例17
実施例16と同様にして得られた希釈物98重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)2重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約2N/mm2であった。
実施例18
実施例2で得られた乾燥土砂B100重量部に対し、上記参考例1で得られたシロアリ防除成分A(有効成分(クロチアニジン)濃度15重量%)10重量部を配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物を、上記乾燥土砂Bで約10倍に希釈する操作を3回繰り返して、希釈物を得た。得られた希釈物の有効成分濃度は、0.0012重量%であった。
さらに、上記希釈物60重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)40重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約15N/mm2であった。
実施例19
実施例4で得られたシロアリ防除剤B85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。得られた硬化性シロアリ防除組成物中の有効成分濃度は、約0.1重量%であった。
また、得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例20
実施例4で得られたシロアリ防除剤B50重量部と、実施例1で得られた乾燥土砂A50重量部とを配合し、均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。得られた硬化性シロアリ防除組成物中の有効成分濃度は、約0.05重量%であった。
また、得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例21
有効成分ジノテフランの20%顆粒剤(商品名「ミケブロック」、三井化学(株)(現三井化学クロップライフ(株))製)1重量部を水5重量部と混合し、懸濁液を得た。得られた懸濁液と、上記乾燥土砂84重量部とを配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。得られた混合物の上記有効成分濃度は約0.24重量%であった。
さらに、上記混合物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例22
実施例4で得られたシロアリ防除剤B50重量部と、実施例1で得られた乾燥土砂A50重量部とを配合し、均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物90重量部と、硬石こう(商品名「ニュープラストーン」、(株)ジーシー製)10重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。得られた硬化性シロアリ防除組成物中の有効成分濃度は、約0.05重量%であった。
また、得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
実施例23
実施例4で得られたシロアリ防除剤B50重量部と、実施例1で得られた乾燥土砂A50重量部とを配合し、均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物85重量部と、ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。得られた硬化性シロアリ防除組成物中の有効成分濃度は、約0.05重量%であった。
また、得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度(JIS R 5201−1997)は、約10N/mm2であった。
比較例1
粒径3mm以上5mm以下の土30重量部と、粒径0.15mm以上0.5mm以下の土砂(真砂土)10重量部とを配合し、攪拌混合して、乾燥土砂Cを得た。
得られた乾燥土砂C100重量部に対し、上記参考例1で得られたシロアリ防除成分A(有効成分(クロチアニジン)濃度15重量%)10重量部を配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。さらに、得られた混合物を、上記乾燥土砂Cで約10倍に希釈する操作を3回繰り返して、希釈物を得た。得られた希釈物の有効成分濃度は、0.0012重量%であった。
次に、上記希釈物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
比較例2
クロルフェナピル(和光純薬工業(株)製)1重量部と、メタノール99重量部とを配合して、クロルフェナピルのメタノール溶液を調製した。得られたクロルフェナピルのメタノール溶液4重量部と、上記乾燥土砂C10重量部とを配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。得られた混合物の有効成分(クロルフェナピル)濃度は、0.4重量%であった。
次に、上記混合物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
比較例3
カガライト0号(カガライト工業(株)製、軽石の細粒、粒径約4.8mm〜2.4mm)100重量部に対し、タケロックMC50E(有効成分クロチアニジン5%、日本エンバイロケミカルズ(株)製)1重量部を配合し、混練後、乾燥して、シロアリ防除用粒剤を得た。
得られたシロアリ防除用粒剤の有効成分濃度は0.05重量%であった。
比較例4
クロルピリホス(和光純薬工業(株)製)5重量部とメタノール95重量部とを配合して、クロルピリホスのメタノール溶液を調製した。得られたクロルピリホスのメタノール溶液2重量部と、カガライト0号(軽石の細粒)10重量部とを配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。得られた混合物の有効成分(クロルピリホス)濃度は、1重量%であった。
次に、上記混合物85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
評価試験
(1) 貫通試験
貫通試験は、硬化性シロアリ防除組成物による貫通方向の阻止効力を確認するための試験で、例えば、硬化性シロアリ防除組成物を床下、土壌上に施工した場合の貫通方向に対する効力を確認することができる。
図4は、貫通試験に用いた試験装置を示す斜視図である。
図4に示す試験装置では、直径9cmのシャーレ1中に、無処理の含水けい砂(水分含有量10重量%)を敷き詰めて、厚さ1cmの含水けい砂層2を形成し、得られた含水けい砂層2の中心部に、内径約3.5cm、高さ9cmの円筒3を設置した。さらに、円筒3の内部に無処理のけい砂を敷き詰めて、厚さ3cmのけい砂層4を形成した。
一方、実施例1の硬化性シロアリ防除組成物100重量部と水20重量部とを配合し、練り混ぜたもの(供試試料)を、円筒3内のけい砂層4上に1cm厚で敷き詰め、硬化させることにより、供試試料層5を形成した。さらに、供試試料層5上に、木口1cm×1cm、長さ2cmのマツの餌木(無処理試験片)6を設置した。
その後、シャーレ1と円筒3との間の無処理の含水けい砂層2上に、イエシロアリの職蟻150頭と、兵蟻15頭とを放虫した。放虫後、イエシロアリ7が、円筒3内のけい砂層4と供試試料層5とを貫通して、餌木6に到達できるか否かを、3週間観察した。
また、実施例2〜13、16〜23および比較例1、2の硬化性シロアリ防除組成物についても、実施例1のシロアリ防除組成物を用いた場合と同様にして供試試料層5を形成し、上記と同様にして、供試試料層5の貫通の可否を観察した。
また、対照として、下記の混合物A〜Cを、それぞれ、上記円筒3内のけい砂層4上に1cmの厚さで敷き詰めて供試試料層5を形成し、実施例1のシロアリ防除組成物を用いた場合と同様にして、シロアリによる供試試料層5の貫通の可否を観察した。
・混合物A:上記乾燥土砂C85重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)15重量部とを配合し、均一に混合したもの。
・混合物B:水酸化カルシウム1重量部と、けい砂6号(粒径1mm以下のけい砂からなり、粒径が0.4mmを上回り1mm以下であるけい砂を11重量%、粒径が0.3mmを上回り0.4mm以下であるけい砂を45重量%、粒径0.15mm以上0.3mm以下のけい砂を40重量%、および、粒径0.15mm未満のけい砂を4重量%の割合で含有するもの。)99重量部とを配合し、含水率を10重量%に調整したもの。
・混合物C:インスタントセメント(大阪サンホーム(株)製)100重量部に、水20重量部を加えて調製したもの(圧縮強度(JIS R 5201−1997)約28N/mm2)。
さらに他の対照として、下記の試験体を、上記円筒3(図4参照)に代えて設置し、実施例1のシロアリ防除組成物を用いた場合と同様にして貫通試験を行い、シロアリによるコンクリートの貫通の可否を観察した。
試験体は、まず、JIS A 5371:2004「プレキャスト無筋コンクリート製品」に記載のプレキャスト無筋コンクリート平板(圧縮強度>30N/mm2)から1.5cm角の立方体を切り出し、得られた立方体の側面に、隙間が生じないようにアクリル板を接着した。アクリル板は、上記立方体から、その底面側で3cm、天面側で1cmはみ出るように接着した。さらに、上記立方体の底面側でアクリル板がはみ出している部分(幅および奥行き:各1.5cm、高さ:3cmの空間)に、無処理の含水けい砂を詰めて、試験体を得た。また、上記立方体の天面側でアクリル板がはみ出している部分(幅および奥行き:各1.5cm、高さ:3cmの空間)には、木口1cm×1cm、長さ2cmのマツの餌木(無処理試験片)を設置した。
上記観察の結果、実施例1〜4および18〜23では、放虫から1日経過後にシロアリが全頭転倒し、その後、死に至った。また、実施例5では、放虫から1日経過後に約20%のシロアリが転倒し、その後、死に至った。また、実施例1〜13および18〜21のいずれにおいても、放虫から3週間経過までの間に、供試試料層5の貫通は観察されなかった。
実施例16および17では、供試試料層5が貫通されなかったものの、数mmの穿孔が観察された。しかし、実施例16および17のいずれにおいても、放虫から1週間後には、全てのシロアリが死に至った。
これに対し、比較例1では、1日経過後に約15%のシロアリが健全であり、比較例2では、全てのシロアリが健全であった。
上記対照では、混合物Aを用いた場合に、供試試料層5に数mmの穿孔が認められ、また、シロアリ防除の効果の発現が遅く、3週間後においても、死に至ったシロアリは約80%であった。混合物Bを用いた場合は、試験開始の翌日に、供試試料層5に貫通が認められ、また、3週間後においても、シロアリは、外観で観察できる範囲では全頭が健全であった。混合物Cを用いた場合は、供試試料層5(圧縮強度約28N/mm2)への穿孔が観察されず、3週間後においても、シロアリは、外観で観察できる範囲では全頭が健全であった。
また、上記他の対照では、上記立方体(圧縮強度約>30N/mm2)への穿孔が観察されず、3週間後においても、シロアリは、外観で観察できる範囲では全頭が健全であった。
これらの試験結果より、供試試料層の硬度や、供試試料層を形成する硬化性シロアリ防除組成物における土砂成分の粒径を、シロアリが加害するのに適した範囲に設定することにより、一定のシロアリ防除効果が得られることがわかった。
なお、硬化性シロアリ防除組成物に代えて、無処理のけい砂のみを用いて供試試料層5を形成したこと以外は、実施例1のシロアリ防除組成物を用いた場合と同様にして貫通試験を行った場合には、イエシロアリ7が、放虫から1日後に、上記マツの餌木(無処理試験片)6に到達したことが観察された。
(2) 這い上がり試験
這い上がり試験は、シロアリ防除剤を施工した面上における効力確認を行うことができる試験で、例えば、床下基礎部の立ち上がり面に施工した場合などの効力を確認することができる。
図5は、這い上がり試験に用いた試験装置を示す正面図である。
図5に示す試験装置では、底面の直径が約8cmのポリカップ(内容量500mL)10に、無処理の含水けい砂(水分含有量10重量%)を敷き詰めて、厚さ3cmの含水けい砂層11を形成し、得られた含水けい砂層11の中心部に、直方体(底面30mm四方、高さ60mm)のコンクリートブロック12を設置した。このコンクリートブロック12の側面には、天面側の端縁から底面側へ幅50mmの領域に、上記実施例1〜13、18〜23および比較例1、2、4で得られた硬化性シロアリ防除組成物をそれぞれ塗工して、モルタル13を形成した。
なお、硬化性シロアリ防除組成物は、硬化性シロアリ防除組成物100重量部に対して水20重量部を配合し、時々攪拌しながら2時間経過した後に、コンクリートブロック12の側面に塗布した。また、塗布後、コンクリートブロック12を40℃で2週間保存した後、這い上がり試験に使用した。
硬化性シロアリ防除組成物の塗布量は、300g/m2となるように調整した。また、コンクリートブロック12の側面のうち、底面側の端縁から天面側へ幅10mmの領域については、シロアリ防除成分などが含水けい砂層11に溶出することを防止するために、無処理とした。
含水けい砂層11の中心部にコンクリートブロック12を設置した後、さらに、コンクリートブロック12の上に、木口1cm×1cm、長さ2cmのマツの餌木14を2個配置した。
次いで、含水けい砂層11上に、イエシロアリの職蟻100頭を放虫し、ポリカップ10の開口部をラップで封止した。放虫後、シロアリ7の挙動を一昼夜観察した。また、放虫から3週間経過後のシロアリ7の挙動を観察した。
なお、この試験では、試験開始から数時間は、シロアリ7が環境の変化に驚いて、コンクリートブロック12の側面をよじ登り、餌木14に到達する行動が観察された。しかし、1日経過することにより、シロアリ7の行動が落ち着き、その結果、硬化性シロアリ防除組成物(モルタル13)による影響が観察できるようになった。
上記這い上がり試験の結果を表1に示す。
表1中、「移動」とは、シロアリが、コンクリートブロック12の表面を通って、含水けい砂層11と餌木14との間を行き来(上り下り)することを示している。また、「無処理」とは、コンクリートブロック12の側面に硬化性シロアリ防除組成物を塗工しなかった(モルタル13を形成しなかった)場合を示している。
(3) 施工試験
シロアリ生息域(例えば、建物の1階や2階以上の部分、地下などのシロアリの被害が発生するおそれがある場所や、建物以外のシロアリの巣や蟻道など。)を対象として施工試験を行った。
施工場所は、シロアリが発生している場所や、発生するおそれがある場所であれば、特に限定されないが、発生しやすい場所として、例えば、建物の基礎構造部(例えば、断熱材、コンクリート亀裂などの隙間、例えば、壁中の断熱材、例えば、基礎の土台部分を構成する木部、例えば、大引、根太、床束、根がらみなどの床下を構成する木部、例えば、ドア枠、柱、押入れなどの居住空間を構成する木部、例えば、胴差、2階張りなどの天井を構成する木部、例えば、小屋ばり、もやなどの小屋裏を構成する木部、例えば、戸袋、軒げた、窓枠、玄関、台所などの、一部または全部が外部に露出しているような木部など。)、例えば、建物の地下構造部(例えば、木部や、コンクリートの亀裂部分)、例えば、建物の付属設備としての地下埋設物(例えば、電線ケーブル、ガス管など地下埋設物)、例えば、庭の切り株などが挙げられる。
施工試験1
上記乾燥土砂A90重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)10重量部とを混合し、得られた混合物100重量部に対し、シロアリ防除剤(タケロックMC50E、日本エンバイロケミカルズ(株)製)2重量部を配合した。次いで、得られた硬化性シロアリ防除組成物と、水18重量部とを配合し、混練した。
次いで、こうして得られた混練物を供試試料として用いたこと以外は、上記(1)と同様にして、貫通試験を行った。
また、上記混練物をコンクリートブロック12の側面に塗布し、モルタル13を形成したこと以外は、上記(2)と同様にして、這い上がり試験を行った。
その結果、上記貫通試験および這い上がり試験のいずれにおいても、シロアリの放虫から1日経過後には、全頭が転倒しており、その後、死に至った。また、貫通試験において、シロアリによる上記混練物層への穿孔は認められなかった。
施工試験2
上記乾燥土砂A90重量部と、高炉セメントB種(太平洋セメント(株)製)10重量部とを混合し、得られた硬化性シロアリ防除組成物を、上記(1)の貫通試験に供した。
また、その後、円筒3内の供試試料層5の上から、水で50倍に希釈されたシロアリ防除剤(タケロックMC50E)を、供試試料層5の100重量部に対し、20重量部散布して、さらに、シロアリの挙動を観察した。なお、供試試料層5は固化していた。
その結果、シロアリ投入後、1日後には、全てのシロアリが転倒し、その後、死に至った。また、シロアリによる供試試料層5への穿孔は認められなかった。
上記施工試験1および2により、モルタルの施工現場においてシロアリ防除成分を配合した場合であっても、シロアリ防除の十分な効果が得られることが確認された。
施工試験3
図6(a)および図6(b)に示すように、コンクリートブロック(厚さ3cm、幅10cm、高さ10cmの直方体)30の一つの面(10cm四方)のうち、底面側から高さ約5cmのところに、コンクリートブロック30の両端から長さ2cmずつ、幅1cmで接着剤(スーパーX、セメダイン(株)製)31を塗布した。そして、接着剤31を挟んで、コンクリートブロック30と、このコンクリートブロック30と同じ大きさの断熱材(カネライトフォームFI、(株)カネカ製)32とを接着させた。このとき、断熱材32とコンクリートブロック30との間に、0.5mmの隙間33が生じた。コンクリートブロック30と断熱材32とからなる接着物は、その表面(断熱材32のうち、コンクリートブロック30との接着面と相対する面を除く。)に隙間が生じないように、2mmのアクリル板34を接着した。
また、断熱材32のコンクリートブロック30との接着面と相対する面側には、底部から2mmより上の部分を、上部が1cmはみ出るように、底部は断熱材側に3cmはみ出すように、側面は断熱材側の底部が高さ3cm、幅3cmではみ出し、さらに上部が1cmはみ出すようにアクリル板34で接着した。下部の底面および側面からはみ出した部分の前面をはみ出した部分に合わせアクリル板34を接着した。全面にはみ出した部分に厚さ2cmで無処理の含水けい砂(水分含有量10重量%)35を敷き詰めた。
次に、断熱材32とコンクリートブロック30との隙間33の上部から、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物5gを散布し、水をその上から湿る程度にスプレーした。なお、硬化性シロアリ防除組成物は、その後、固化した。
さらに、無処理含水けい砂35上にイエシロアリの職蟻300頭を放して、状態を観察したところ、イエシロアリは断熱材32下部の2mmの隙間から断熱材32を加害することとなる。
また、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物に代えて、比較例1で得られた硬化性シロアリ防除組成物および比較例3で得られたシロアリ防除用粒剤を各5g用いて、上記と同様にイエシロアリの状態を観察した。
その結果、実施例4の硬化性シロアリ防除組成物を用いた場合には、1日後にイエシロアリが100%転倒し、2日後にはイエシロアリ全頭の死亡が観察された。
一方、比較例1の硬化性シロアリ防除組成物を用いた場合には、1日後にイエシロアリが約20%転倒し、3日後には約70%が転倒していた。この間、断熱材32の加害は観察された。1週間後には全頭死亡に至った。
また、比較例3のシロアリ防除用粒剤を用いた場合は、1日後にはイエシロアリの転倒が観察されず、断熱材32の被害が進行し、断熱材32の上部に到達したイエシロアリが観察された。1週間後には、イエシロアリの転倒が観察され、10日後には、全頭死亡が観察された。
上記結果より、上記したような隙間の場合、粉状の製剤の方が高い効力が得られることが観察された。また、転倒までの時間が長くなるほど断熱材の加害が進み、断熱材としての機能が損なわれる可能性があることが示唆された。
施工試験4
リフォームによる二重基礎は隙間が生じやすく、シロアリの進入経路となりやすい。また、二重基礎の隙間をはじめとして、床下コンクリートに発生するクラックなどの隙間は、外敵に襲われず、蟻道の構築労力が少なくてすむことなどから、シロアリの進入経路となりやすい。
図7に示すように、コンクリートブロック(厚さ3cm、幅10cm、高さ10cmの直方体)40を、幅1mmの隙間41を開けて、2枚設置した。次いで、隙間41上から実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物各5gを散布した。
また、比較例1で得られた硬化性シロアリ防除組成物、比較例3で得られたシロアリ防除用粒剤、実施例4に記載の担体A、および、水の各5gを、それぞれ、上記と同様にして、一対のコンクリートブロック40間の隙間41に散布した。
散布後、一対のコンクリートブロック40を横転させ、一方のコンクリートブロック40を外して、散布状態を観察した。
その結果、図8(a)に示すように、実施例4では隙間41に硬化性シロアリ防除組成物42が均一に処理されていることが観察された。
一方、比較例1では、図8(b)に示すように、大きい粒子43が障害となって、隙間41内でのシロアリ防除組成物42の散布量が少ない状態であった。
また、比較例3では、図8(c)に示すように、隙間41にシロアリ防除組成物が観察されない状態であった。担体Aは、実施例4の場合と同様に、均一に処理されていた(図8(a)参照)。水44は、コンクリートブロック40の上部で吸収される量が多いことから、たれが認められる程度であって、均一な処理はできていなかった(図8(d)参照)。
施工試験5
施工試験4で実施例4および担体Aを隙間に処理した試験体(一対のコンクリートブロック40)を、そのままの状態で、トレー上に設置して湿度100%RH、温度28℃の条件下で1ヶ月間保管した。1ヵ月後、トレーから持ち上げたところ、図9に示すように、担体Aを処理した検体(コンクリートブロック40)の接着面から多くの処理物45がこぼれ落ちる状態が観察された。一方、実施例4では、こぼれ落ちる状態は観察されず、隙間に固化した状態で留まり均一な処理層が形成されている状態が観察された。このことは、処理施工面下にモグラなどの他の生物により空間が開く、地下水や雨水の潜入により土壌が流され空間が開く、地震で隙間が開くなどした場合、固化していれば均一な処理層が失われることは無いが、固化しない製剤では処理層が崩れ、散逸してしまう可能性があることを示している。
施工試験3、4および5より、隙間などの狭い空間では、細かい粒径を持ちかつ固化する製剤の方が、粒径が大きい製剤や固化しない製剤より明らかに高い効果が期待できることが確認できた。
施工試験6
底面の直径が約8cmのポリカップ(内容量500mL)10に、無処理の含水けい砂(水分含有量10重量%)を敷き詰めて、厚さ3cmの含水けい砂層を形成し、得られた含水けい砂層の中心部に、実施例15で得られた試験体を設置した。
次いで、含水けい砂層上に、イエシロアリの職蟻200頭を放虫し、ポリカップ10の開口部をラップで封止した。放虫後、シロアリの挙動を観察した。比較として同型の無処理マツ辺材を同様に試験した。
その結果、2週間後の観察において、実施例15の試験体では、薬剤に到達するまでの部分に穴は開いていたが、全てのシロアリの死亡が観察された。無処理の試験体では、全てのシロアリが健全であった。すなわち、硬化性シロアリ防除組成物を、被処理物に対して埋め込んだ場合においても、シロアリが硬化性シロアリ防除組成物の固化物に接触すれば、駆除効果が認められることが確認できた。
施工試験7
断熱材(カネライトフォームFI、(株)カネカ製)を3cm角に切断し、その上から実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、200g/m2の割合で塗工し、乾燥させた。
次いで、これを、施工試験6における実施例15で得られた試験体の代わりに設置し、施工試験6と同様にして、試験を行った。
その結果、試験開始から1日後には、全てのシロアリの転倒が観察され、2日後には、全頭死亡が観察された。また、処理層が穿孔される様子は、観察されなかった。
施工試験8
断熱材(カネライトフォームFI、(株)カネカ製)を長さ5cm、幅5cm、高さ40cmに切断し、その表面に、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、3kg/m2の割合で塗工し、乾燥させて、試験体を得た。
次いで、底面約14cm×18cm、高さ約45cmのプラスチック容器に、無処理の含水けい砂(水分含有量10重量%)を敷き詰めて、厚さ5cmの含水けい砂層を形成し、得られた含水けい砂層の中心部に、上記試験体を、3cm埋め込んで設置した。試験体の上には、3cm角の無処理マツを餌木として設置した。
翌日、含水けい砂層上に、イエシロアリの職蟻500頭を放虫し、全体を風が当たらないように覆って、シロアリの挙動を観察した。
その結果、放虫から1日後には全てのシロアリの転倒が観察され、2日後には全頭死亡が観察された。処理層を穿孔される様子は観察されなかった。また、餌木への到達は認められなかった。
施工試験9
スギ辺材を3cm角に切断し、その上から、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、2kg/m2の割合で塗工し、乾燥させて、試験体を得た。
次いで、この試験体を、施工試験6における実施例15で得られた試験体の代わりに設置し、施工試験6と同様にして試験を行った。
その結果、試験開始から1日後には全てのシロアリの転倒が観察され、2日後には全頭死亡が観察された。処理層を穿孔される様子は観察されなかった。
施工試験10
刃径8mmのドリルを用いて、3cm角に切断したスギ辺材に深さ約1.5cmの穴を開け、その穴に、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を注入し、試験体を得た。
次いで、この試験体を、施工試験6における実施例15で得られた試験体の代わりに設置し、施工試験6と同様にして試験を行った。
その結果、試験開始から1日後には全てのシロアリの転倒が観察され、3日後には全頭死亡が観察された。
施工試験11
2cm角のコンクリートブロック2つを、コンクリートのクラックを想定して1.5mmの隙間を開けて設置し、その隙間に、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を注入し、固化させて、試験体を得た。
次いで、この試験体を、施工試験6における実施例15で得られた試験体の代わりに設置し、施工試験6と同様にして試験を行った。
その結果、試験開始から1日後には全てのシロアリの転倒が観察され、3日後には全頭死亡が観察された。
施工試験12
刃径8mmのドリルを用いて、3cm角に切断したスギ辺材に、深さ約1.5cmの穴を開け、その穴に、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物を注入し、さらに、その上から散水し、固化させて、試験体を得た。
次いで、この試験体を、施工試験6における実施例15で得られた試験体の代わりに設置し、施工試験6と同様にして試験を行った。
その結果、試験開始から1日後には全てのシロアリの転倒が観察され、3日後には全頭死亡が観察された。
施工試験13
3cm角に切断したスギ辺材上面に、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物を2kg/m2の割合で散布し、さらに、その上から散水し、固化させた。さらに、上記スギ辺材の他の5面全面についても、同様にして、硬化性シロアリ防除組成物を散布し、散水により固化させて、試験体を得た。
次いで、この試験体を、施工試験6における実施例15で得られた試験体の代わりに設置し、施工試験6と同様にして試験を行った。
その結果、試験開始から1日後には全てのシロアリの転倒が観察され、2日後には全頭死亡が観察された。
施工試験14
施工試験6における2週間経過後の、シロアリによる加害が進行した無処理試験体の上面に、実施例1で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、2kg/m2の割合で塗工した。
その結果、施工試験6の開始から2週間後まで健全であったシロアリが、上記混練物の塗工から2日後に全頭死亡していることが観察され、駆除を行うことができた。なお、硬化性シロアリ防除組成物は、1日後には硬化が認められた。
施工試験15
施工試験6における2週間経過後の、シロアリによる加害が進行した無処理試験体を取り出して、その試験体の上から、実施例1で得られた硬化性シロアリ防除組成物10gを散布した。
その結果、施工試験6の開始から2週間後まで健全であったシロアリが、上記硬化性シロアリ防除組成物の散布から2日後に全頭死亡していることが観察され、駆除を行うことができた。なお、硬化性シロアリ防除組成物は、1日後には硬化が認められた。
施工試験16
断熱材(カネライトフォームFI、(株)カネカ製)を3cm角に切断して、これを試験体とし、施工試験6における無処理試験体の代わりに設置して、施工試験6と同様にして試験を行った。
その結果、2週間経過後も、シロアリが健全であり、断熱材への加害が進んでいることが観察された。
さらに、上記試験体の上から、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、5kg/m2の割合で上面に塗工した。
その結果、試験開始から2週間後まで健全であったシロアリが、上記混練物の塗工から2日後には、全頭死亡していることが観察され、駆除を行うことができた。なお、硬化性シロアリ防除組成物は、1日後には硬化が認められた。
施工試験17
断熱材(カネライトフォームFI、(株)カネカ製)を3cm角に切断して、これを試験体とし、施工試験6における無処理試験体の代わりに設置して、施工試験6と同様にして試験を行った。
その結果、2週間経過後も、シロアリが健全であり、断熱材への加害が進んでいることが観察された。
さらに、上記試験体の上から、実施例4で得られた硬化性シロアリ防除組成物10gを散布した。
その結果、試験開始から2週間後まで健全であったシロアリが、上記混練物の散布から2日後には、全頭死亡していることが観察され、駆除を行うことができた。なお、硬化性シロアリ防除組成物は、1日後には硬化が認められた。
施工試験18
上記(2)の這い上がり試験において、イエシロアリの職蟻100頭に、さらに職儀900頭を加えて、合計1000頭の職蟻を用いて、無処理のコンクリートブロックに対する試験を行った。
その結果、試験開始から1週間後には、コンクリートブロックの壁面に蟻道が構築された。さらに、2週間放置し、シロアリが健全であることを確認した。
そこで、上記蟻道を、高さ1cmに渡って破壊して、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物1gを、上記蟻道中に散布した。
その結果、上記の試験開始から3週間後まで健全であったシロアリが、上記硬化性シロアリ防除組成物の散布から2日後には、全頭死亡が観察され、蟻道内への施工によって駆除を行うことができた。なお、硬化性シロアリ防除組成物は、1日後には硬化が認められた。
施工試験19
施工試験18と同様にして這い上がり試験を行って、コンクリートブロックの壁面に蟻道を構築した。次いで、この蟻道を高さ1cmに渡って破壊し、こうして破壊された部分に、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、5kg/m2の割合で塗工した。
その結果、施工試験19の開始から3週間後まで健全であったシロアリが、上記混練物の塗工から2日後には全て転倒し、3日後には全頭死亡が観察され、蟻道への施工によって駆除を行うことができた。なお、硬化性シロアリ防除組成物は、1日後には硬化が認められた。
施工試験20
大阪府内で採集したヤマトシロアリを、容量10Lのプラスチックバケツ内で、マツを餌木として飼育し、卵、幼虫、職蟻、兵蟻、生殖虫などが存在する巣が形成されていることを確認した。
次いで、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物10gを、上記ヤマトシロアリの巣中に散布し、状態を観察した。
その結果、2週間後には、全てのヤマトシロアリが死亡していることが観察され、駆除を行うことができた。なお、硬化性シロアリ防除組成物は、2週間後の観察時には硬化が認められた。
施工試験21
施工試験20と同様にして、プラスチックバケツ内にヤマトシロアリの巣を形成した。
次いで、ヤマトシロアリの巣中に、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、10kg/m2の割合で、20cm2の範囲にわたって塗工した。
その結果、試験開始から2週間後には、全てのシロアリが死亡していることが観察され、駆除を行うことができた。なお、硬化性シロアリ防除組成物は、2週間後の観察時には硬化が認められた。
施工試験22
電気ケーブル、ガス管などの地下埋設物などについても、シロアリの被害を受けることが予想される。
直径約3cmの塩ビパイプを10cmの長さで切断し、パイプ内部に、マツ餌木を詰めて、ラップで蓋をし、試験体を得た。この試験体の周りに、含水率10重量%のケイ砂6号を、厚さ約3cmとなるように付着させ、さらに、その周りに、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物を、2mmの厚さで散布して、処理層を形成した。また、約13cm×20cm×15cmの容器内に、ケイ砂6号が1cmの厚さで敷き詰められた中に、上記試験体を設置し、さらに、その周りを、ケイ砂6号で埋めた。上部のケイ砂の厚さは約1cmとした。このけい砂の上から、イエシロアリの職蟻500頭を投入し、状態を観察した。
その結果、試験開始から1週間後には、全てのシロアリの死亡が観察された。また、上記処理層のシロアリによる貫通は認められなかった。
施工試験23
施工試験22において、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物をそのままの状態で散布する代わりに、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、10kg/m2の割合で塗工したこと以外は、施工試験22と同様にして試験を行った。
その結果、試験開始から1週間後には、全てのシロアリの死亡が観察された。また、上記混練物による塗工層(処理層)のシロアリによる貫通は、認められなかった。
施工試験24
奈良県下において、木造家屋1階の6畳間の床下、基礎立ち上がり部分に、水を1L/m2の割合で、幅30cmにわたって散布し、その上から、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物を、幅5cm、基礎立ち上がり部分の高さ3cmで散布した(約60kg/m2)。
また、同じ木造家屋1階の、別の6畳間の床下に、上記と同様にして散水し、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、幅5cm、基礎立ち上がり部分の高さ1cmで塗工した(20kg/m2)。
施工試験25
奈良県下において、木造家屋1階の6畳間の床下、基礎立ち上がり部分に、ラテックス−エマルション樹脂(合成ゴムラテックスと、水系樹脂(アクリル樹脂エマルジョンなど)とをベースとした接着剤・コンパウンド、商品名「クロスレンCMX−02」、ガンツ化成(株)製)を、50g/m2の割合で、幅30cmにわたって散布した。
次いで、散布から1日経過後、図10に示すように、接着剤・コンパウンドが塗布された土間コンクリート51や基礎本体52の表面に、実施例20で得られた硬化性シロアリ防除組成物53を、幅w1が10cm、基礎立ち上がり部分の高さh1が2cmとなるように散布し(約20kg/m2)、さらに、その上から、水を散布した。
また、同じ木造家屋1階の、別の6畳間の床下に、上記と同様にして散水し、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、幅w1が10cm、基礎立ち上がり部分の高さh1が2cmとなるように塗工した。
施工試験26
奈良県下において、木造家屋1階の4畳半間の床下、基礎立ち上がり部分に、シロアリ防除剤(タケロックMC50E、日本エンバイロケミカルズ(株)製)2重量部と、水48重量部とを加えた分散液を、1L/m2の割合で、幅30cmにわたって散布した。
次いで、図11に示すように、接着剤・コンパウンドが塗布された土間コンクリート51や基礎本体52の表面に、実施例20で得られた硬化性シロアリ防除組成物53を、幅w2が5cm、基礎立ち上がり部分の高さh2が2cmとなるように散布した(約20kg/m2)。
また、同じ木造家屋1階の、別の6畳間の床下に、上記と同様にして、シロアリ防除剤を散布し、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部との混練物を、幅w2が5cm、基礎立ち上がり部分の高さh2が2cmとなるように塗工した。
施工試験27
大阪府下において、コンクリート路地面に、コンクリートブロックを2段に積み上げて(高さ約38cm)、これを建物の基礎に見立てるとともに、さらに、このコンクリートブロックの上に、9cm角の木材を設置して、これを建物の土台に見立てた。
次いで、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水約25重量部とを配合し、混練後、得られた混練物を散布器((株)友定建機製の「TS−002型」)に投入し、内径19mm、長さ10mのホースから、吐出量約2L/分で、基礎(コンクリートブロック)の立ち上がり部分(設置面(コンクリート路地面)との境界部分)に対し、幅が5cm、基礎立ち上がりの部分の高さが3cmとなるように、上記混練物を散布した。なお、散布器のホース内には、濡れをよくするため「のろ」(セメントを水に分散したもの)を予め流した。
一方、上記ホースの先端に、スプレーガン((株)友定建機製の「TPG−19S型」)を接続し、さらに、上記散布器に、エアーコンプレッサ(HITACHI製の「0.750P−8.5SA6型」)を接続することにより、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物の吹き付け塗工を行った。
吹き付け塗工は、上記と同様にしてコンクリート路地面に設置された、コンクリートブロック2段(建物の基礎)と、9cm角の木材(建物の土台)との表面に対し、硬化性シロアリ防除組成物を吹き付けて行い、塗工量は、約3kg/m2となるように調整した。
施工試験28
大阪府下において、コンクリート路地面に、コンクリートブロック(厚さ5cm、幅25cm、高さ20cm)を、約1.5mmの隙間をあけて設置し、これを建物の二重基礎に見立てた。
次いで、各上記コンクリートブロック間の隙間に対し、施工試験27で使用したのと同じスプレーガンにより、実施例19で得られた硬化性シロアリ防除組成物の吹き付け塗工を行った。
塗工後、各上記コンクリートブロック間の隙間における塗工状態を観察したところ、上記隙間に対向して配置されているコンクリートブロックの対向面には、それぞれ、全面に亘って、硬化性シロアリ防除剤が付着していたことが確認された。
施工試験29
大阪府下において、コンクリート路地面に、コンクリートブロックを2段に積み上げて(高さ約38cm)、これを建物の基礎に見立てるとともに、さらに、このコンクリートブロックの上に、9cm角の木材を設置して、これを建物の土台に見立てた。
実施例20で得られた硬化性シロアリ防除剤100重量部と、アクリル樹脂エマルション(商品名「クロスレンCMX−02」、ガンツ化成(株)製)8重量部と、水13重量部とを配合し、混練して、樹脂エマルションが配合された硬化性シロアリ防除組成物を得た。
次いで、上記硬化性シロアリ防除組成物を、エアーコンプレッサ(HITACHI製の「0.750P−8.5SA6型」)が接続された建築用吹付ガン器(リシンガン、型式「M−E自在、大塚刷毛製造(株)製)に投入し、吹き付け塗工を行った。
吹き付け塗工は、上記コンクリートブロック2段(擬似基礎)と、上記木材(擬似土台)との表面に対し、上記硬化性シロアリ防除組成物(樹脂エマルションが配合されたもの)を吹き付けることにより行い、上記硬化性シロアリ防除組成物の吹付け量(塗工量)は、約3kg/m2となるように調整した。
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、特許請求の範囲に含まれるものである。