JP2008255092A - ネオニコチノイド製剤、硬化性シロアリ防除組成物、防蟻性塗料組成物、防蟻性樹脂成形体、散布器、散布方法および処理方法 - Google Patents
ネオニコチノイド製剤、硬化性シロアリ防除組成物、防蟻性塗料組成物、防蟻性樹脂成形体、散布器、散布方法および処理方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ネオニコチノイド製剤として、クロチアニジンなどのネオニコチノイド系化合物が、壁膜の厚みが1.8〜4μmであるマイクロカプセルに内包されているものを使用する。このネオニコチノイド製剤は、水硬性成分や土砂成分と混合することで、硬化性シロアリ防除組成物が得られ、樹脂エマルションに配合することで、防蟻性塗料組成物が得られ、熱可塑性樹脂とともに成形することで、防蟻性樹脂成形体が得られる。
【選択図】なし
Description
また、特許文献2には、ネオニコチノイド系化合物のマイクロカプセルを含有し、長期に亘って効力を持続できる有害生物防除組成物が記載されている。
また、特許文献2には、ネオニコチノイド系化合物のマイクロカプセルを含有する水懸濁液を、土壌表面に散布することが記載されている。
このため、ネオニコチノイド系化合物を単にマイクロカプセル化した上で、例えば、土壌や木材の表面または内部に散布または注入したり、モルタル、石こうなどの硬化物に含有させたり、塗膜、樹脂成形体などに含有させたりしても、高温多湿の環境下にさらされることで、ネオニコチノイド系化合物の溶脱が生じ、シロアリの防除効果が比較的短期間に低下する。
また、液剤としてのシロアリ防除剤を泡立てるための起泡装置は大掛かりな装置であるため、例えば、断熱材、天井部などへのシロアリ防除剤の処理(例えば、散布、注入、塗布など)に適用することは困難である。さらに、例えば、床下部への処理において、シロアリ防除剤をくまなく行き渡らせることは困難である。
本発明の他の目的は、シロアリ防除剤を、シロアリの加害部や蟻道などの内部に、効率よく供給することのできる散布器と、散布方法とを提供することである。
(1) ネオニコチノイド系化合物が、壁膜の厚みが1.8〜4μmであるマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする、ネオニコチノイド製剤、
(2) 前記ネオニコチノイド系化合物が、クロチアニジンであることを特徴とする、前記(1)に記載のネオニコチノイド製剤、
(3) 木材を保存するための木材保存剤であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のネオニコチノイド製剤、
(4) シロアリを防除するための防蟻剤であることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のネオニコチノイド製剤、
(5) 土壌の表面または内部に散布または注入するための防蟻剤であることを特徴とする、前記(4)に記載のネオニコチノイド製剤、
(6) 木材の表面または内部に散布または注入するための防蟻剤であることを特徴とする、前記(3)または(4)に記載のネオニコチノイド製剤、
(7) 前記(1)または(2)に記載のネオニコチノイド製剤と、水硬性成分と、土砂成分とを含有することを特徴とする、硬化性シロアリ防除組成物、
(8) 前記(1)または(2)に記載のネオニコチノイド製剤と、樹脂エマルションとを含有していることを特徴とする、防蟻性塗料組成物、
(9) 前記(1)または(2)に記載のネオニコチノイド製剤と、熱可塑性樹脂とを含有していることを特徴とする、防蟻性樹脂成形体、
(10) 防蟻シートまたは防蟻性フィルムであることを特徴とする、前記(9)に記載の防蟻性樹脂成形体、
(11) 電線、ケーブルまたはこれらのシースを被覆するための被覆部材であることを特徴とする、前記(9)に記載の防蟻性樹脂成形体、
を提供するものである。
すなわち、本発明は、
(12) 木材保存剤を供給するための供給部と、前記供給部から供給される木材保存剤を吐出するための吐出部と、を備え、前記吐出部は、先細形状に形成されており、前記吐出口の吐出方向下流端に形成されている吐出口の外径が、2mm以下であることを特徴とする、散布器、
(13) さらに、前記供給部と前記吐出部とに連結される可撓性の供給管を備えていることを特徴とする、前記(12)に記載の散布器、
(14) 前記供給部は、前記木材保存剤を圧力により供給することを特徴とする、前記(12)または(13)に記載の散布器、
(15) 前記供給部が、ポンプディスペンサ、エアゾール缶、またはポンプ式スプレーであることを特徴とする、前記(14)に記載の散布器、
(16) 前記木材保存剤が、ムース剤であることを特徴とする、前記(14)または(15)に記載の散布器、
(17) 前記供給部は、前記木材保存剤を自重により供給することを特徴とする、前記(12)または(13)に記載の散布器、
(18) 前記(12)〜(17)のいずれかに記載の散布器を用いて、被害部、または被害が予想される部位の隙間に、前記木材保存剤を散布することを特徴とする、散布方法、
(19) 前記隙間に合わせて、前記吐出部の吐出方向途中を切断して使用することを特徴とする、前記(18)に記載の散布方法、
を提供するものである。
すなわち、本発明は、
(20) 建物の壁、床または天井に配置される断熱材に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理することを特徴とする、処理方法、
(21) 建物の床下部に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理することを特徴とする、処理方法、
(22) 建物の天井部に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理することを特徴とする、処理方法。
(23) 建物の基礎部に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理することを特徴とする、処理方法、
を提供するものである。
また、本発明の硬化性シロアリ防除組成物、防蟻性塗料組成物および防蟻性樹脂成形体によれば、高温多湿環境下でのネオニコチノイド系化合物の溶脱を抑制でき、シロアリの防除効果を長期に亘って維持できる。
ネオニコチノイド系化合物としては、例えば、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)、N−アセチル−N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N−メトキシカルボニル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリン−2−イリデンアミン(一般名:イミダクロプリド)、3−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−5−[1,3,5]オキサジアジナン−4−イルインデン−N−ニトロアミン(一般名:チアメトキサム)、(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(一般名:ジノテフラン)、(E)−N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン(一般名:アセタミプリド)などが挙げられる。これらネオニコチノイド系化合物は、単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。また、上記ネオニコチノイド系化合物のなかでも、好ましくは、クロチアニジンが挙げられる。
化学的方法としては、例えば、界面重合法、in situ 重合法、液中硬化被覆法などが挙げられる。
界面重合法としては、例えば、多塩基酸ハライドとポリオールとを界面重合させてポリエステルからなる膜を形成する方法、多塩基酸ハライドとポリアミンとを界面重合させてポリアミドからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリオールとを界面重合させてポリウレタンからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリアミンとを界面重合させてポリウレアからなる膜を形成する方法などが挙げられる。
液中硬化被覆法としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、アルギン酸ソーダなどを液中で硬化させて被膜を形成する方法が挙げられる。
次に、界面重合法によるマイクロカプセルの調製方法について、より詳細に説明する。
界面重合法によるマイクロカプセルの調製では、まず、有効成分としてのネオニコチノイド系化合物と、油溶性膜形成成分と、溶媒とを含む油相成分を調製する。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、例えば、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらポリイソシアネートの誘導体、例えば、ダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレットジオン、オキサジアジントリオンなどや、これらポリイソシアネートの変性体、例えば、トリメチロールプロパンなどの低分子量のポリオールやポリエーテルポリオールなどの高分子量のポリオールを予め反応させることにより得られるポリオール変性ポリイソシアネートなども挙げられる。
ポリスルホン酸クロライドとしては、例えば、ベンゼンスルホニルジクロライドなどが挙げられる。
油相成分における各成分の配合割合は、特に限定されるものではないが、例えば、有効成分(ネオニコチノイド系化合物)の配合割合は、油相成分の総量100重量部に対して、0.02〜99.9重量部、好ましくは、0.05〜99重量部である。
油溶性膜形成成分の配合割合は、油相成分100重量部に対して、0.1〜99.9重量部の範囲において配合可能である。なお、油溶性膜形成成分の配合割合が多くなると、得られるマイクロカプセルの壁膜が厚くなりすぎて、有効成分であるネオニコチノイド系化合物による防蟻効果が低下するおそれがあり、逆に、油溶性膜形成成分の配合割合が少なくなると、マイクロカプセルの壁膜を形成できなくなるおそれがある。
油相成分は、有効成分および油溶性膜形成成分を溶媒に配合して、攪拌混合することにより調製することができる。
また、油相成分には、有効成分の分散性を向上させるべく、分散剤を配合してもよい。分散剤は特に限定されるものではなく、例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、エステルゴム、フローレンDOPA・15B(変性アクリル共重合物、共栄社製)、フローレン700(分岐カルボン酸の部分エステル、共栄社製)などが挙げられる。また、本発明においては、分散剤として、例えば、3級アミンを含む分子量1000以上のものが好ましく用いられる。
分散剤は、有効成分と、油溶性膜形成成分と、溶媒と、分散剤との、総量100重量部に対して、0.01〜99.99重量部の範囲において配合可能である。特に、20重量部以下、さらには10重量部以下で配合することが好ましい。
湿式粉砕は、例えば、ビーズミル、ボールミル、またはロッドミルなどの公知の粉砕機を用いて、所定時間実施すればよい。湿式粉砕することにより、有効成分を微細な粒子として分散させることができ、カプセル化率の向上、製剤安定性の向上、および効力増強を図ることができる。
そして、湿式粉砕されたスラリーに、油溶性膜形成成分を配合するには、油溶性膜形成成分をスラリーに加えて攪拌混合すればよい。
水相成分は、例えば、水に、必要により、分散安定剤を配合することによって調製することができる。
分散安定剤としては、例えば、アラビヤガムなどの天然多糖類、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの半合成多糖類、ポリビニルアルコールなどの水溶性合成高分子、例えば、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン重縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩などのアニオン界面活性剤、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステルなどのノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これら分散安定剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
油相成分を水相成分に配合するには、油相成分を水相成分中に加えて、常温下、微小滴になるまでミキサーなどによって攪拌すればよい。
そして、攪拌により界面重合させるには、例えば、油相成分の分散後に、水溶性膜形成成分を水溶液として滴下すればよい。
ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノトルエン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ピペラジンなどが挙げられる。
また、水溶性膜形成成分を水溶液とするには、約50重量%以下の濃度とすることが好ましく、このような水溶液を、例えば、水溶性膜形成成分が、油溶性膜形成成分に対してほぼ等しい当量(例えば、ポリイソシアネートとポリアミンとが用いられる場合では、イソシアネート基/アミノ基の当量比がほぼ1となる割合)となるまで滴下する。
この反応を促進するために、例えば、約25〜85℃、好ましくは、約40〜80℃で、約30分〜24時間、好ましくは、約1〜3時間攪拌しつつ加熱することが好ましい。
上記ネオニコチノイド製剤においては、高温多湿環境下でのネオニコチノイド系化合物の溶脱を抑制し、シロアリの防除(防蟻)効果を長期に亘って発揮させる観点より、マイクロカプセルの壁膜の厚さを1.8〜4μm、とりわけ、1.8〜3.5μmとすることが好ましい。
マイクロカプセルの壁膜の平均膜厚T(μm)は、後述するマイクロカプセルの体積平均粒子径D(μm)より、下記式(1)に基づいて求められる。
(式(1)中、W1は、壁膜形成物質の重量(g)を示し、W2は、膜内物質の重量(g)を示し、D1は、壁膜形成物質の平均密度(g/cm3)を示し、D2は、膜内物質の平均密度(g/cm3)を示す。
マイクロカプセルの粒子径は、体積基準の平均粒子径(体積平均粒子径)を1〜200μm、とりわけ、6〜100μmに調整することが好ましい。また、マイクロカプセルの粒度分布は、特に限定されないが、正規分布に近く、かつ分布の幅が狭いことが好ましい。
なお、粒子径分布が正規分布となるマイクロカプセルを、目的とする平均粒子径に調整する方法は、マイクロカプセルの調製方法によって異なる。例えば、マイクロカプセルを界面重合法により調製する場合には、油相成分を水相成分に配合した後の攪拌速度を調節することで、平均粒子径を適宜調整することができる。例えば、平均粒子径が1〜200μmのマイクロカプセルを得るには、水相成分の粘度が例えば、0.1〜1Pa・s、好ましくは0.3〜0.6Pa・sである場合において、その攪拌速度を、周速13m/s未満、好ましくは0.1〜12m/sに設定すればよい。
また、上記ネオニコチノイド製剤は、マイクロカプセルを含む水懸濁液に、必要により、分散剤、界面活性剤、沈降防止剤などを適宜配合した上で、得られた水分散液を乾燥させることにより、あるいは、適当な溶媒に溶解、分散させて、スプレードライ法などで乾燥させることにより、例えば、粉状物(粉剤)、粒状物(粒剤)などとして用いることができる。
上記ネオニコチノイド製剤は、例えば、防腐防カビ剤を含有する製剤と混合して用いることができる。この場合において、上記ネオニコチノイド製剤は、防蟻効果だけでなく、防腐防カビ効果を発揮できることから、木材保存剤として好適である。
トリアゾール系化合物としては、例えば、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1、3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:プロピコナゾール)、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:テブコナゾール)、α−(4−クロロフェニル)−α−(1−シクロプロピル−エチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:シプロコナゾール)などが挙げられる。
ビス四級アンモニウム塩系化合物としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー38、イヌイ社製)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー38A、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー136、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー136A、イヌイ社製)などが挙げられる。
フタロニトリル系化合物としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(商品名:ノプコサイドN−96、サンノプコ(株)製)などが挙げられる。
チオフェン系化合物としては、例えば、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドなどが挙げられる。
ニトリル系化合物としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどが挙げられる。
フタルイミド系化合物としては、例えば、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captafol)、N−トリクロロメチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captan)、N−ジクロロフルオロメチルチオフタルイミド(Fluorfolpet)、N−トリクロロメチルチオフタルイミド(Folpet)などが挙げられる。
ピリチオン系化合物としては、例えば、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオンなどが挙げられる。
ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
グアニジン系化合物としては、例えば、1,6−ジ−(4’−クロロフェニルジグアニド)−ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩などが挙げられる。
尿素系化合物としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
フェニルウレア系化合物としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられる。
これら防腐防カビ剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これら防腐防カビ剤のなかでは、有機ヨード系化合物やトリアゾール系化合物を用いることが好ましく、とりわけ、IPBC、プロピコナゾール、テブコナゾールを用いることが好ましい。
懸濁剤は、固体の粒子状の有効成分(防腐防カビ剤)が、水および/または有機溶媒中に分散した製剤形態であって、このような懸濁剤としては、例えば、フロアブル剤、マイクロカプセル剤、担体担持剤などが挙げられる。
なお、担体担持剤は、通常、有効成分を担持した、水および/または有機溶媒に不溶の固体の担体を、水および/または有機溶媒中に分散させた水および/または有機溶媒系製剤であって、担体としては、担持能または吸着能を有する固形の担体、具体的には、例えば、層状ケイ酸塩(モンモリロナイトなど)、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、ゼオライト、活性炭、ホワイトカーボン、シクロデキストリン(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなど)などが挙げられる。
また、上記ネオニコチノイド製剤の粉状物(粉剤)および粒状物(粒剤)は、いずれも合成樹脂微粒子と混合し、互いに付着させた状態で用いることができる。
合成樹脂微粒子は、特に限定されるものではなく、公知の各種の合成樹脂微粒子を用いることができる。また、合成樹脂微粒子を形成する樹脂としては、熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ビニル重合性モノマー重合体よりなる樹脂などが挙げられる。
上記ネオニコチノイド製剤による防除(シロアリの駆除およびシロアリによる被害の予防)の対象となるシロアリとしては、シロアリ(等翅)目に属する昆虫であること以外は特に限定されず、具体的には、例えば、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)などのミゾガシラシロアリ科に属するもの、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリなどのレイビシロアリ科に属するものなどが挙げられる。
上記のネオニコチノイド製剤によれば、ネオニコチノイド系化合物を内包するマイクロカプセルの壁膜の厚みが上記範囲に設定されていることにより、長期間に亘って防蟻効果を発揮することができる。
上記ネオニコチノイド製剤は、木材の保存や、シロアリの駆除およびシロアリによる被害(食害など)の予防などの用途に広く使用できる。
シロアリを防除する部位としては、これに限定されないが、例えば、土壌(地盤面など)、例えば、木材、例えば、建物(建築物;すなわち、家屋、倉庫、門扉、塀およびこれらの付属設備など。)における基礎構造部、上部構造部および地下構造部、例えば、建物の付属設備としての地下埋設物、例えば、シロアリの生息・発生域などが挙げられる。
土壌用処理剤としての使用方法は、特に限定されないが、例えば、公知の散布方法(例えば、スプレーなど)によって処理対象の土壌に散布すればよい。より具体的には、例えば、ネオニコチノイド系化合物がマイクロカプセルに1〜60重量%の割合で内包されているネオニコチノイド製剤の場合、このネオニコチノイド製剤を、土壌の表面に対し、0.003〜3g/m2、とりわけ、0.03〜3g/m2の分量で散布すればよい。
例えば、スプレー剤、ムース剤などを噴射、噴霧または注入する場合において、その処理対象としては、特に限定されないが、上述のシロアリを防除する部位のなかでも、例えば、シロアリの蟻道、シロアリによる食害(穿孔)を生じた部分、建物の基礎構造部、上部構造部および地下構造部における亀裂部分や隙間などが好適である。
本発明の硬化性シロアリ防除組成物は、上記ネオニコチノイド製剤と、水硬性成分と、土砂成分とを含有している。
水硬性成分としては、土砂成分と上記ネオニコチノイド製剤とを分散させて、硬化性シロアリ防除組成物を形成できるものであること以外は、特に限定されず、モルタルまたはコンクリートの形成材料として用いられている種々の水硬性成分が挙げられる。
気硬性単味セメントとしては、例えば、焼セッコウ、無水セッコウプラスターなどのセッコウ類、例えば、消石灰、ドロマイトプラスターなどの石灰類などが挙げられる。気硬性混合セメントとしては、例えば、マグネシアセメントなどが挙げられる。
土砂成分を構成する土砂としては、例えば、礫、砂(粗砂、細砂)、シルト(微砂)、粘土が挙げられる。これらの土砂は、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記例示の土砂のなかでは、取扱い性およびコスト面から、好ましくは、壌質砂土などの砂土類、壌土、砂壌土、微砂質壌土などの壌土類が挙げられ、また、具体的な材質としては、好ましくは、真砂土、けい砂が挙げられる。
砂成分と土成分との割合割合は、粉粒状の硬化性シロアリ防除物を構成できる限り特に制限されず、例えば、(砂成分の含有量):(土成分の含有量)で示される含有比率(重量比)として、99:1〜10:90、好ましくは、95:5〜50:50、さらに好ましくは、90:10〜60:40程度であってもよい。
廃物には、人工物および天然物の廃物が含まれる。人工物としては、例えば、人工の建造物または構造物(例えば、レンガ、かわら、コンクリート建材、モルタル建材、コンクリートブロック、コンクリート道路、アスファルト道路、窓ガラスなど)、日用品(植木鉢、コップ、陶器など)などが挙げられる。天然物としては、例えば、貝殻(アサリ、シジミ、ハマグリ、ホタテの貝殻など)、骨類(ウシ、ブタ、ニワトリの骨など)などが挙げられる。これらの廃物を土砂成分として用いることにより、資源の有効利用を図ることができる。
また、上記土砂成分は、硬化性シロアリ防除組成物を硬化または固化させて得られるシロアリ防除層の緻密さを維持するという観点から、土砂成分の総量の95重量%以上、とりわけ98重量%以上が、粒径1.5mm以下の土砂成分であることが好ましい。さらには、土砂成分の全てが、粒径1.5mm以下の土砂成分であることが好ましい。この場合、上記シロアリ防除層を有する被処理物について、シロアリによる穿孔を抑制し、シロアリ防除効果を早期に発現させることができる。
上記硬化性シロアリ防除組成物中での土砂成分の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは、0.9〜99重量%であり、より好ましくは、19.9〜99重量%であり、さらに好ましくは、69.9〜95重量%である。
上記硬化性シロアリ防除組成物中での上記シロアリ防除成分の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは、0.00001〜50重量%であり、より好ましくは、0.001〜10重量%である。
上記硬化性シロアリ防除組成物を水と混練し、硬化させて得られる硬化物についての圧縮強度(JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」またはJIS A 1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に記載の圧縮強さ試験による測定値)は、特に限定されないが、好ましくは、1〜20N/mm2であり、より好ましくは、2〜18N/mm2であり、さらに好ましくは、2〜15N/mm2である。
上記硬化性シロアリ防除組成物の被処理域としては、例えば、シロアリが侵入する可能性のある部位(シロアリによる被害が予想される部位)、シロアリによる被害が実際に生じている部位など、シロアリの防除を必要とする部位が挙げられる。
建物の基礎構造部としては、例えば、基礎(独立基礎、布基礎、ベタ基礎など。)、地業(玉石地業、割りぐり石地業、砂地業など。)、基礎ばり、地中ばり、布石、土台(柱を載置するための木製の土台など。)、柱、床束、大引、根がらみ、根太、基礎断熱材などが挙げられる。
建物の地下構造部としては、例えば、建物の地下室部分を構成する柱、床部、外壁、外壁断熱材、内壁、内壁断熱材、間仕切壁、天井、はり(桁)などが挙げられる。
地盤面としては、例えば、建物外での基礎構造部近傍(建物の外周、壁塀の犬走り部下など。)の地盤表面、建物内(床下部)の地盤表面などが挙げられる。
なお、シロアリが侵入する可能性のある部位には、例えば、建物(上記の基礎構造部、上部構造部、地下構造部)や地下埋設物におけるひび割れ部分(クラックなど。)、隙間部分、ドリルなどにより穿孔された部分などが挙げられる。
それゆえ、特に限定されないが、例えば、上記硬化性シロアリ防除組成物を、シロアリによる被害を防除する部位(具体的には、地盤面など。)に対し、直接に適用(具体的には、散布など。)する場合や、例えば、水、シロアリ防除成分を含有しているシロアリ防除液またはポリマーを含有している液体が散布された領域に対し、適用(散布など)する場合においては、例えば、シロアリによる被害を防除する部位または水などが散布された領域全面に対し、硬化性シロアリ防除組成物からなる層の厚みが、0.1〜5cm、好ましくは、0.1〜3cmとなるように適用(散布など)したり、例えば、硬化性シロアリ防除組成物からなる層の厚みが、0.25mm〜3cmとなり、幅が、1〜30cm、好ましくは、3〜20cmとなるように適用(散布など)する。
本発明の防蟻性塗料組成物は、上記ネオニコチノイド製剤と、樹脂エマルションとを含有している。
上記の防蟻性塗料組成物において、防除の対象となるシロアリとしては、シロアリ(等翅)目に属する昆虫であること以外は特に限定されず、具体的には、上記ネオニコチノイド製剤による防除対象と同様のものが挙げられる。
シリコーン樹脂としては、例えば、アルキル基および/またはアリール基を有するポリシロキサン、例えば、ポリシロキサンのシラノール基(−SiOH)と、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂などのヒドロキシル基(−OH)またはカルボキシル基(−COOH)とを反応させて得られる変性シリコーン樹脂などが挙げられる。なかでも好ましくは、ポリシロキサンのシラノール基と、アクリル系樹脂のヒドロキシル基またはカルボキシル基とを反応させて得られる、アクリル変性シリコーン樹脂が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂などが挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、環状脂肪族系エポキシ樹脂、長鎖脂肪族系エポキシ樹脂などが挙げられる。
ウレタン樹脂としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネートと、ブタンジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールなどのジオールとを重付加して得られるポリウレタン、例えば、上記ポリウレタンのエマルション中で、アクリル樹脂を形成するモノマー類(1種以上)を重合させて得られるアクリル変性ポリウレタンなどが挙げられる。
樹脂エマルションとしては、上記例示のなかでも、好ましくは、シリコーン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、アクリル−スチレン樹脂エマルション、シリコーン樹脂エマルションとアクリル樹脂エマルションとの混合物、アクリル変性シリコーン樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルション、ウレタン−アクリル樹脂エマルションが挙げられ、より好ましくは、アクリル変性シリコーン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルション、ウレタン−アクリル樹脂エマルションが挙げられる。
上記防蟻性塗料組成物には、上記ネオニコチノイド製剤と上記樹脂エマルション以外に、例えば、無機系フィラーを配合することができる。
無機系フィラーの平均粒子径は、シロアリ防除用塗料組成物を用いて形成される塗膜の平滑性を維持し、かつ、シロアリ防除成分をしっかりと固定させることが可能な、多孔性または高透湿性の塗膜を形成するという観点より、上記範囲に設定されていることが好適である。
無機系フィラーの含有量は、上記防蟻性塗料組成物を用いて形成される塗膜の平滑性を維持し、かつ、シロアリ防除成分をしっかりと固定させることが可能な、多孔性または高透湿性の塗膜を形成するという観点より、上記範囲に設定されていることが好適である。
上記防蟻性塗料組成物の着色に用いることができる無機系フィラーとしては、例えば、白色系に着色するための酸化チタン、黄色系に着色するための黄色酸化鉄、赤色系に着色するための赤色酸化鉄、黒色系に着色するためのカーボンブラックなどが挙げられる。
保存剤としては、例えば、ハロゲン化窒素硫黄化合物(例えば、商品名「スラオフ」シリーズ、日本エンバイロケミカルズ(株)製など)などのスライムコントロール剤、例えば、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート(慣用名:IPBC)、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール(商品名:IF−1000、長瀬産業(株)製)、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカーボナート(商品名:サンプラス、三共ライフテック(株)製)などの有機ヨウ素系防腐・防カビ・防藻剤、例えば、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:プロピコナゾール)、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:テブコナゾール)、α−(4−クロロフェニル)−α−(1−シクロプロピル−エチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:シプロコナゾール)などのトリアゾール系防腐・防カビ・防藻剤、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(一般名:DCMU)などのウレア系防藻剤、例えば、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−S−チアジン(商品名:イルガロール1051、チバガイギー社製)などのチアジン系防藻剤などが挙げられる。
上記防蟻性塗料組成物に配合されるその他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、上記防蟻性塗料組成物中の固形分100重量部に対し、好ましくは、1〜10重量部であり、より好ましくは、1〜5重量部である。
上記防蟻性塗料組成物に顔料を含有させる場合には、予め顔料をビーズミルなどの分散器中で樹脂エマルション中または水中に分散した後、残りの原料を攪拌混合すればよい。
上記防蟻性塗料組成物では、防除のための有効成分として、マイクロカプセル化されたネオニコチノイド製剤が用いられている。このマイクロカプセルは、上記防蟻性塗料組成物の調製時に破損されにくく、上記防蟻性塗料組成物からなる塗膜を備える最終成形物が高温にさらされても、マイクロカプセルが破損されにくく、とりわけ、上記最終成形物が高温多湿環境下にあるときにおいて、ネオニコチノイド系化合物の溶脱が生じにくい。このため、ネオニコチノイド系化合物を安定にかつ高濃度に保つことができ、シロアリに対し、優れた防除効果を発揮することができる。
より具体的には、例えば、ネオニコチノイド系化合物が0.001〜5重量%の割合で含有された防蟻性塗料組成物を、建物基礎部のコンクリート表面や、基礎部に立設される外壁や内壁の表面に塗布する場合には、コンクリートの表面に対し、50〜500g/m2で塗布すればよい。
本発明の防蟻性樹脂成形体は、上記ネオニコチノイド製剤と、熱可塑性樹脂とを含有している。
上記防蟻性樹脂成形体において、熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記フッ素系樹脂の具体例としては、例えば、四フッ化エチレンの単独重合体、四フッ化エチレンとエチレン フッ化ビニリデンなどとの共重合体などが挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
上記ポリアミド系樹脂の具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられる。
上記ポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば、グリコール成分として、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールZなどを用いたポリカーボネートが挙げられる。
また、上記熱可塑性樹脂の好適例のうち、塩化ビニル系樹脂としては、より好ましくは、塩化ビニル樹脂や塩素化塩化ビニル樹脂が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂としては、より好ましくは、ポリエチレン(とりわけ、高密度ポリエチレン)、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレンなどが用いられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。ポリメチロール化合物としては、例えば、ヘキサメチロールメラミン、トリメチロールメラミンなどが挙げられる。多価金属化合物としては、例えば、酸化亜鉛などが挙げられる。
ネオニコチノイド系化合物の熱可塑性樹脂に対する配合割合は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.01〜10重量部であり、より好ましくは、0.05〜1重量部である。
押出成形では、上記ネオニコチノイド製剤と、熱可塑性樹脂と、さらに必要に応じて、可塑剤、熱安定剤、充填剤、着色剤、難燃剤、滑剤、老化防止剤、耐衝撃剤、強化剤、キレーター、核剤、帯電防止剤、ラジカル発生剤などの配合剤と、をドライブレンドし、こうして得られた熱可塑性樹脂組成物を押出機に投入し、溶融混練しつつ押出せばよい。
押出成形の成形条件は、上記熱可塑性樹脂組成物が十分に溶融混練され、かつ、熱可塑性樹脂が分解されない成形条件を設定する必要があるが、この成形条件は、使用する樹脂および配合剤の組成に応じて、適宜設定すればよい。例えば、塩化ビニル樹脂100重量部にフタル酸エステル系可塑剤50重量部が配合された軟質塩化ビニル樹脂では、例えば、130〜180℃の温度範囲を選択し、樹脂の熱分解を制御するために、フィード側からダイ側に向かって温度が高くなるように温度設定すればよいが、この条件に限定されるものではない。
プレス成形に供する上記熱可塑性樹脂組成物は、上記ネオニコチノイド製剤と、熱可塑性樹脂と、さらに必要に応じて、上記の配合剤とを配合し、バンバリーミキサー、ミキシングロール、混練用押出機、ニーダーなどによって加熱溶融ブレンドし、プレス機金型に投入し易いように、例えば、小塊状、ペレット状、パウダー状、シート状に取り出されたものであってもよい。
プレス成形の成形条件は、上記熱可塑性樹脂組成物が十分加圧展延され、かつ、熱可塑性樹脂が分解されない成形条件(温度、圧力、時間)を設定する必要があるが、この成形条件は、使用する樹脂および配合剤の組成に応じて、適宜設定すればよい。例えば、塩化ビニル樹脂100重量部にフタル酸エステル系可塑剤50重量部が配合された軟質塩化ビニル樹脂では、例えば、温度160〜170℃、圧力80〜100kg/cm2、時間3〜5分といった条件が選択されるが、この条件に限定されるものではない。
射出成形に供される上記熱可塑性樹脂組成物は、上記ネオニコチノイド製剤と、熱可塑性樹脂と、さらに必要に応じて、上記の配合剤とを配合し、バンバリーミキサー、ミキシングロール、混練用押出機、ニーダーなどによって加熱溶融ブレンドし、ペレット状に取り出されたものであってもよい。
射出成形には多くの条件設定のパラメーターがあり、好適な成形条件は、使用する樹脂および配合剤の組成により変化することから、特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂組成物が、加圧下で十分に、金型内に充填され、かつ、熱可塑性樹脂が分解しない成形条件を設定する必要がある。
キャスティング成形では、上記ネオニコチノイド製剤と、熱可塑性樹脂と、さらに必要に応じて、上記配合剤とを配合し、バンバリーミキサー、ミキシングロール、混練用押出機、ニーダーなどによって加熱溶融ブレンドしてなる熱可塑性樹脂組成物を、溶融状態で型へ流し込み、冷却固化させるか、または、上記ネオニコチノイド製剤と、必要に応じて、上記の配合剤を含む熱可塑性樹脂の溶液または分散液とを、成形型に流し込んで、溶剤または分散媒を揮発させて、固化させればよい。
防蟻性樹脂成形体としては、これに限定されないが、例えば、防蟻シート、防蟻フィルム、埋設電線またはケーブルを被覆するための被覆部材(例えば、防蟻チューブ、防蟻パイプなど。)、埋設ガス管または水道管を被覆するための被覆部材(例えば、防蟻性被覆外装管など。)などが挙げられる。
防蟻性樹脂成形体としての被覆部材(防蟻チューブ、防蟻パイプ)を有する電線(防蟻電線)またはケーブル(防蟻ケーブル)を製造する場合は、押出成形法などが用いられる。好ましくは、クロスヘッド型ダイを装着した押出機を用いた押出成形により、一度に上記熱可塑性樹脂組成物を電線またはケーブルに被覆するとよい。
上記成形方法において、防蟻性樹脂成形体は、まず、熱可塑性樹脂に対し、上記ネオニコチノイド製剤が高濃度で加熱溶融ブレンドされたマスターバッチペレットを成形後、このマスターバッチペレットと、熱可塑性樹脂と、必要に応じて、その他の配合剤とを配合し、上記した各種成形法により、成形できる。また、防蟻性樹脂成形体は、上記した各種成形法に供給する前段階でのドライブレンド時や溶融ブレンド時において、マスターバッチペレットをブレンドしてから成形することにより、得ることもできる。
次いで、得られたマスターバッチペレットを、熱可塑性樹脂100重量部に対し、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは、1〜10重量部配合し、さらに、必要に応じて、熱安定剤などの各種配合剤と、を配合し、上記した各種の成形法で成形することにより、防蟻性樹脂成形体を得ることができる。
上記ネオニコチノイド製剤を、熱可塑性樹脂の成形体の表面に固着させる場合には、予め、上記熱可塑性樹脂のみから、上記した成形方法により、所定形状の成形体を形成しておく。そして、例えば、上記ネオニコチノイド製剤の溶液または分散液を、スプレーすることにより、上記成形体表面に噴霧して、乾燥、固着させる。上記ネオニコチノイド製剤の溶液または分散液をスプレーするには、上記ネオニコチノイド製剤を含む溶液または分散液を調製し、これを公知の方法で上記成形体の表面に噴霧し、乾燥すればよい。
また、上記ネオニコチノイド製剤が、上述したように、粉状物または粒状物として調製され、かつ合成樹脂微粒子と混合し、互いに付着させた状態で用いられるものである場合には、上記ネオニコチノイド製剤と合成樹脂微粒子との混合物を、上記熱可塑性樹脂の成形体の表面に散布し、加熱により熱可塑性樹脂微粒子を溶融させることで、熱可塑性樹脂微粒子をバインダーとして、上記ネオニコチノイド製剤を熱可塑性樹脂の成形体の表面に固着させることもできる。
防蟻シートは、これに限定されないが、例えば、一方の面に接着剤を塗布して、防蟻テープとして使用することができる。この防蟻テープは、例えば、電線やケーブルの接続部、端子部などの被覆処理に使用することができる。
図1は、一般の金属導線1の周面に、防蟻性の絶縁体2が被覆された態様を示している。この図1に示す態様において、上記防蟻性樹脂成形体は、防蟻性の絶縁体2として形成されている。
導体4としては、特に限定されず、絶縁電線に用いられる公知の金属線などが用いられる。例えば、銅線、アルミニウム線などが挙げられる。
導体7としては、特に限定されず、例えば、導体4と同様の金属線が挙げられる。
絶縁体8としては、特に限定されず、絶縁線心の被覆に用いられる、公知の絶縁材料(上記した防蟻性樹脂成形体からなる絶縁体5であってもよい。)を用いることができる。
また、本発明の散布方法は、本発明の散布器を用いて、被害部、または被害が予測される部位の隙間に、木材保存剤を散布する散布方法である。
木材保存剤としては、例えば、防腐防カビ剤、防蟻防虫剤などが挙げられる。防腐防カビ剤と、防蟻防虫剤とは、いずれか一方を単独で用いてもよく、両方を混合して用いてもよい。
ピレスロイド系化合物としては、例えば、アレスリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、フェンバレレートなどが挙げられる。
カーバメート系化合物としては、例えば、カルバリル、フェノブカルブ、プロポクスルなどが挙げられる。
フェニルピラゾール系化合物としては、例えば、フィプロニルなどが挙げられる。
オキサジアジン系化合物としては、例えば、インドキサカルブなどが挙げられる。
セミカルバゾン系化合物としては、例えば、α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トリニトリル4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾンなどが挙げられる。
ヒバ:ヒバ、その処理物(抽出物、滲出物)、例えば、市販のヒバ油、ヒバ中性油、ヒバ酸性油、およびヒバ樹脂油など。
パフィア属(Pfaffia)に属する植物:パフィア・イレジノイデス(Pfaffia iresinoides、別名:ブラジルニンジン)など、およびこれらの処理物、例えば、パフィアエキスなど。
センニチコウ属(Gomphrena)に属する植物:キバナセンニチコウ(ゴムフレナ・ハーゲアナ(Gomphrena haageana))、センニチコウ(ゴムフレナ・グロボサ(Gomphrena globosa))、センニチノゲイトウ(ゴムフレナ・セロシオイデス(Gomphrena celosioides))など、およびこれらの処理物、例えば、キバナセンニチコウ抽出エキスなど。
アブラヤシ属(Elaeis)に属する植物:アブラヤシ(Elaeis)など、およびこれらの処理物、例えば、パーム油、ヤシ油脂肪酸など。
サウスレア属(Saussurea)に属する植物:モッコウなど、およびこれらの処理物、例えば、モッコウ抽出エキスなど。
アトラクティロデス属(Atractylodes)に属する植物:ソウジュツなど、およびこれらの処理物、例えば、ソウジュツ抽出エキスなど。
レデボウリエア属(Ledebouriella)に属する植物:ボウフウなど、およびこれらの処理物、例えば、ボウフウ抽出エキスなど。
プソラレア属(Psoralea)に属する植物:ハコシなど、およびこれらの処理物、例えば、ハコシ抽出エキスなど。
ミリスチカ属(Myristica)に属する植物:ニクズクなど、およびこれらの処理物、例えば、ニクズク抽出エキスなど。
フムルス属(Humulus)に属する植物:ホップなど、およびこれらの処理物、例えば、ホップ抽出エキスなど。
ソホラ属(Sophora)に属する植物:クジンなど、およびこれらの処理物、例えば、クジン抽出エキスなど。
エクジステロイドとしては、例えば、ポナステロンA、マキステロンA、イノコステロンなどが挙げられる。なお、ポナステロンAは、例えば、トガリバマキなどから抽出することができ、マキステロンAは、例えば、イヌマキなどから抽出することができ、イノコステロンは、例えば、ヒナタイノコズチやアキランテス・ビデンタータなどから抽出することができる。
上記散布方法において、被害部としては、例えば、シロアリなどの害虫により木材が被害を受けている箇所(具体的には、例えば、シロアリの食害(加害)部、シロアリの蟻道など)をいう。また、被害が予測される部位の隙間としては、例えば、シロアリなどの害虫により木材が被害を受けるおそれがある部位が挙げられ、具体的には、シロアリを防除する部位などが挙げられる。
図4は、本発明の散布器の一実施形態を示す外観図であり、図5は、図4に示す散布器10の使用状態(上記散布方法の一例)を示す模式図であり、図6は、図4に示す散布器10の使用状態における一部拡大断面図である。
図9は、本発明の散布器のさらに他の実施形態を示す外観図であり、図10は、図9に示す散布器27の使用方法(上記散布方法のさらに他の例)を示す模式図である。
また、図11は、本発明の散布器のさらに他の実施形態を示す外観図である。
図4および図5において、この散布器10は、供給部としてのポンプディスペンサ(ポンプボトル)11と、吐出部としてのノズル12と、可撓性の供給管としての透明チューブ13と、接続管14と、を備えている。
ボトル15は、木材保存剤によって変質を生じることのない材質から形成される。このような材質としては、例えば、各種プラスチック類、例えば、各種ガラス類、例えば、ステンレス、鉄、アルミニウム、真鍮などの金属類、などが挙げられる。
また、木材保存剤は、マイクロカプセル化され、かつ、水および/または有機溶媒中に分散された懸濁剤であってもよい。
発泡剤としては、例えば、各種の界面活性剤など、発泡剤として公知のものから適宜選択することができる。
木材保存剤をムース剤として調製することにより、例えば、シロアリなどによる被害部や、被害が予想される部位の隙間に対し、木材保存剤が充填されやすくなり、液だれを抑制して、木材保存剤による薬効の持続性を得ることができる。
ノズル12は、後述する接続管14の吐出方向下流端に接続されている。
図6を参照して、ノズル12は、吐出方向下流端の吐出口18において、その外径t1が2mm以下、好ましくは、1.8mm以下、さらに好ましくは、0.5〜1.5mmである。また、ノズル12の内径は、特に限定されないが、好ましくは、0.1〜1.5mmである。
ノズル12の長さLは、特に限定されないが、シロアリによる被害部や被害が予想される部位の隙間などへ十分に挿入させる観点より、外径が2mm以下である部分の長さが、好ましくは、1mm以上であり、さらに好ましくは、2mm以上、通常、10mm以下である。
再び図4を参照して、透明チューブ13は、その吐出方向上流端が、ポンプヘッド17の先端に接続されており、その下流端が、接続管14に接続されている。
透明チューブ13の長さは、散布器10の用途、使用状況などに応じて適宜設定され、特に限定されないが、好ましくは、1〜60cmであり、さらに好ましくは、10〜50cmである。
接続管14としては、硬質のプラスチックや、ガラスからなる筒体が挙げられる。これに限定されないが、接続管14には、例えば、スポイト、ピペッタの筒部などを利用することができる。
図5を参照して、散布器10は、例えば、上述したように、ノズル12を、シロアリによる被害を受けた木材19の穿孔20に挿入し、接続管14を一方の手で固定し、穿孔20から離れた位置に配置されたポンプディスペンサ11のポンプヘッド17を他方の手で押圧することにより使用される。また、これにより、ポンプディスペンサ11のボトル15内に収容された木材保存剤が、透明チューブ13および接続管14を介して、ノズル12から散布され、穿孔20の内部へと供給される。
また、散布器10によれば、ノズル12から散布される木材保存剤の量を、ポンプヘッド17の押圧により適宜調節できる。
図7および図8において、この散布器21は、供給部としてのエアゾール缶22と、吐出部としてのノズル12と、可撓性の供給管としての透明チューブ13と、を備えている。
エアゾール缶22の具体例としては、特に限定されるものではなく、例えば、木材保存剤と、噴射剤とを収容するための耐圧容器23と、木材保存剤の噴出口24と、を備える、一般的な構造のエアゾール容器が挙げられる。また、エアゾール缶は、使用時に噴出口24を上向き(正立状態)にするものと、下向き(倒立状態)にするものとのいずれであってもよく、いずれの状態でも使用可能なものであってもよい。
耐圧容器23に収容される噴射剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、これらの混合物である液化石油ガス(LPG)、例えば、メタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)、例えば、イソペンタン、ジメチルエーテルなどの液化ガス、例えば、フロン11(登録商標)、フロン12(登録商標)、フロン21(登録商標)、フロン113(登録商標)、フロン114(登録商標)などのフッ化炭化水素類、例えば、窒素ガス、炭酸ガスなどが挙げられる。なかでも、特に好ましくは、LPGが挙げられる。
ノズル12には、図4〜図6に示す実施形態(散布器10)と同様のものが用いられる。なお、ノズル12の吐出方向上流端の形状、内径などは、透明チューブ13の径などに応じて、適宜設定される。
透明チューブ13には、図4〜図6に示す実施形態(散布器10)と同様のものが用いられる。なお、透明チューブ13の径は特に限定されず、例えば、供給部としてのエアゾール缶22の噴出口24の形状、径などに応じて、適宜設定される。
この散布器21において、透明チューブ13が用いられていることに伴う作用効果は、図4〜図6に示す実施形態(散布器10)の場合と同様であって、例えば、木材保存剤がエアゾール缶22からノズル12へと供給されている状態を容易に認識できることが挙げられる。
なお、図7に示す実施形態では、ノズル12と、透明チューブ13とが直接に接続された例を挙げて説明したが、ノズル12と、透明チューブ13との間には、上述の接続管14を介在させてもよい(図4参照)。
手動ポンプ式スプレー28は、さらに、木材保存剤を収容するためのボトル29と、ボトル29内の木材保存剤30を吸い上げてノズル12へ圧力により供給するポンプ部31と、木材保存剤30の噴出口32と、ポンプ部31の内部に挿入された状態で往復運動することにより、ボトル29内の圧力を上昇させるためのピストン33と、を備えている。
吸上げチューブ34は、その吸上げ方向上流側の開口端36が、ボトル29底部側に達しており、この開口端36は、散布器27の使用時において、ボトル29内に収容された木材保存剤30に浸されている。また、この吸上げチューブ34は、散布器27の使用時において、ボトル29内の木材保存剤30の液面よりも鉛直方向上部側となる位置(すなわち、木材保存剤30に浸されない位置)に、ボトル29内のエアーを吸引するためのエアー吸引口37を備えている。
液剤は、上記の場合と同様に、例えば、上記木材保存剤を、水および/または有機溶媒中に溶解させ、または液滴として分散させた製剤形態であって、具体的には、例えば、上記木材保存剤を水(またはコソルベントを含む水)に溶解した液体製剤、例えば、上記木材保存剤を有機溶媒に溶解した油剤、例えば、上記木材保存剤と、界面活性剤と、水とを含む乳剤、などが挙げられる。
発泡剤としては、例えば、各種の界面活性剤など、発泡剤として公知のものから適宜選択することができる。
散布器27において、ノズル12は、透明チューブ13の吐出方向下流端に接続されている。
透明チューブ13は、その吐出方向上流端が、手動ポンプ式スプレー28の噴出口32の先端に接続されており、その下流端が、ノズル12に接続されている。
透明チューブ13の長さは、散布器27の用途、使用状況などに応じて適宜設定され、特に限定されないが、好ましくは、1〜60cmであり、さらに好ましくは、10〜50cmである。
また、透明チューブ13を備えていることから、手動ポンプ式スプレー28とノズル12とが離間された状態で、散布器27を使用することができる。具体的には、散布器27は、例えば、図8に示す散布器のエアゾール缶22を、散布器27の手動ポンプ式スプレー28と取り替えることで、図8に示す場合と同様に、シロアリによる被害を受けた木材25の穿孔26内にノズル12を挿入した上で、このノズル12から離れた位置より、手動ポンプ式スプレー28を操作することができる。
なお、図9および図10に示す実施形態では、ノズル12と、透明チューブ13とが直接に接続された例を挙げて説明したが、ノズル12と、透明チューブ13との間には、上述の接続管14を介在させてもよい(図4参照)。
ボトル39は、木材保存剤を収容するためのボトル本体40と、キャップ41とを備えており、このキャップ41には、透明チューブ13を接続し、木材保存剤を供給するための貫通孔が設けられている。
ノズル12は、透明チューブ13の吐出方向下流端に接続されている。
ノズル12には、図4〜6に示す実施形態(散布器10)と同様のものが用いられる。なお、ノズル12の吐出方向上流端の形状、内径などは、透明チューブ13の径などに応じて、適宜設定される。
透明チューブ13には、図4〜6に示す実施形態(散布器10)と同様のものが用いられる。なお、透明チューブ13の径は特に限定されず、例えば、透明チューブ13が接続される部材の形状、径などに応じて、適宜設定される。
また、透明チューブ13は、その途中において、吐出方向の上流側から順に、点滴筒42と、クランプ43とを備えていてもよい。
クランプ43としては、特に限定されず、各種のクランプを用いることができる。
透明チューブ13の途中に、クランプ43を設けることで、ボトル39から透明チューブ13を介してノズル12へ供給される木材保存剤の供給量を、適宜調節できる。また、透明チューブ13の途中に、点滴筒42を設けることで、ボトル39からノズル12への木材保存剤の供給の有無、供給速度などを、視覚により容易に確認できる。
なお、図11に示す実施形態では、ノズル12と、透明チューブ13とが直接に接続され例を挙げて説明したが、ノズル12と、透明チューブ13との間には、上述の接続管14を介在させてもよい(図4参照)。
(i) 建物の壁、床または天井に配置される断熱材に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理する処理方法、
(ii) 建物の床下部に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理する処理方法、
(iii) 建物の天井部に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理する処理方法、または、
(iv) 建物の基礎部に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理する処理方法、
である。
また、シロアリ防除剤は、上記本発明のネオニコチノイド製剤であってもよい。
また、このシロアリ防除剤の製剤形態としては、液剤や、マイクロカプセルの懸濁剤が挙げられる。
液剤は、例えば、上記シロアリ防除剤を、水および/または有機溶媒中に溶解させ、または液滴として分散させた製剤形態であって、具体的には、例えば、上記シロアリ防除剤を水(またはコソルベントを含む水)に溶解した液体製剤、例えば、上記シロアリ防除剤を有機溶媒に溶解した油剤、例えば、上記シロアリ防除剤と、界面活性剤と、水とを含む乳剤、などが挙げられる。
マイクロカプセルの懸濁剤としては、上記シロアリ防除剤をマイクロカプセル化し、得られたマイクロカプセルを、水および/または有機溶媒中に分散(懸濁)したものが挙げられる。
また、これら散布器10、21、27を用いる場合には、散布器10のボトル15、散布器21のエアゾール缶22(供給部)、ボトル29に収容される木材保存剤を上記のシロアリ防除剤とし、さらに、このシロアリ防除剤(液剤、マイクロカプセルの懸濁剤)をムース状で吐出させるために、液剤やマイクロカプセル剤に発泡剤(水を含んでいてもよい。)を配合して得られるムース剤として調製する。
ムース状で散布されるシロアリ防除剤について、その発泡倍率については、特に限定されないが、好ましくは、200倍以下、さらに好ましくは、10〜100倍、特に好ましくは、20〜80倍、とりわけ、20〜70倍である。シロアリ防除剤からなるムースの発泡倍率が、上記範囲を上回ると、ムースの破泡が生じやすくなるため、シロアリ防除剤の散布効果が損なわれるおそれがある。特に、破泡しやすくなることで、液剤としての性質を示すようになるため、液ダレによる居住空間の汚染を抑制しつつ、シロアリ防除剤を効率よく散布するという本発明の作用効果が損なわれる。一方、発泡倍率が上記範囲を下回ると、シロアリ防除剤の使用量が多くなり、コストが高くなるという不具合が生じる。
上記の第2の散布方法によれば、シロアリ防除剤がムース状で散布されることから、例えば、シロアリ防除剤が液剤として散布される場合の液ダレや、それに伴う居住空間の汚染などの問題を解消できる。
図12は、建物の壁44に配置される断熱材45に対し、シロアリ防除剤46をムース状で処理(散布、注入)する処理方法を示している。
通常、断熱材45は、水平方向において柱47と間柱48と(または、一対の間柱)に挟まれ、かつ、上下方向において一対の横木49に挟まれるように配置されている。そこで、断熱材45の上部にシロアリ防除剤46をムース状で散布することにより、断熱材45の隅々まで、シロアリ防除剤46を行き渡らせることができる。シロアリ防除剤46は、図12中の矢印で示す部位にて、上述の散布器を用いて散布すればよい。
図13は、建物の床下部51および基礎部52に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理(散布、注入、塗布)する処理方法を示している。
また、シロアリ防除剤46をムース状で散布することにより、例えば、大引き54や根太55などの表面や、基礎部52において、シロアリ防除剤46を比較的長期間にわたって留まらせることができる。それゆえ、例えば、上記木材、あるいは床下部51や基礎部52のうち、シロアリを防除する特定の部位に、あらかじめシロアリ防除用の固化製剤を散布しておき、その上からシロアリ防除剤46をムース状で散布することにより、必要な場所にのみ薬剤を定着させることができる。なお、処理部が、例えば、転ばし根太の場合であっても、その処理方法は同様である。
図14は、建物の天井部57に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理(散布、注入、塗布)する処理方法を示している。
図14に示す場合において、シロアリ防除剤46を処理(散布、注入、塗布)する際には、例えば、必要に応じて、部分的に天井板を切除、または取り外せばよい。なお、図14においては、説明のため、天井板を省略している。
以下の実施例などにおいて、マイクロカプセルの平均粒子径は、コールターカウンタ(ベックマン・コールター(株)製の商品名「マルチサイザー3」)で測定された体積平均粒子径D(μm)である。また、マイクロカプセルの壁膜の平均膜厚T(μm)は、下記式(1)に基づいて算出した。
(式(1)中、W1は、壁膜形成物質の重量(g)を示し、W2は、膜内物質の重量(g)を示し、D1は、壁膜形成物質の平均密度(g/cm3)を示し、D2は、膜内物質の平均密度(g/cm3)を示す。
1.ネオニコチノイド製剤の製造(製剤例1〜3、比較製剤例1〜3)
比較製剤例1
KMC113(ジイソプロピルナフタレン、沸点300℃、呉羽化学工業(株)製)318gと、アルケンL(アルキルベンゼン、蒸留範囲285〜309℃、新日本石油化学(株)製)154gと、Disperbyk−164(3級アミン含有ポリエステル変性ポリウレタン系高分子重合体、分子量10000〜50000、ビッグケミー(株)製)48gとを配合して、均一になるまで攪拌した。次いで、得られた混合溶液にクロチアニジン480gを配合し、T.K.オートホモディスパー(特殊機化工業(株)製)にて攪拌することにより、クロチアニジンを含有するスラリー液(1)を得た。このスラリー液(1)のクロチアニジン濃度は、48重量%であった。
さらに、湿式粉砕後のスラリー液(1)83gに対し、タケネートD−140N(イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体、三井化学ポリウレタン(株)製)の溶剤置換物260gを配合し、均一になるまで攪拌することにより、スラリー液(2)を得た。
反応後、得られた分散液に凍結防止剤と、増粘剤と、防腐剤とを配合し、さらに、全体の重量が1992gとなるように水を配合して、クロチアニジンを2重量%含有するマイクロカプセル剤(水懸濁剤)を得た。
比較製剤例2
T.K.オートホモミキサーの回転数を2800回転/分としたこと以外は、比較製剤例1と同様にして、クロチアニジンを2重量%含有するマイクロカプセル剤(水懸濁剤)を得た。得られたマイクロカプセルは、体積平均粒子径が24μmであり、壁膜の平均膜厚が1.6μmであった。
T.K.オートホモミキサーの回転数を2600回転/分としたこと以外は、比較製剤例1と同様にして、クロチアニジンを2重量%含有するマイクロカプセル剤(水懸濁剤)を得た。得られたマイクロカプセルは、体積平均粒子径が27μmであり、壁膜の平均膜厚が1.8μmであった。
T.K.オートホモミキサーの回転数を2400回転/分としたこと以外は、比較製剤例1と同様にして、クロチアニジンを2重量%含有するマイクロカプセル剤(水懸濁剤)を得た。得られたマイクロカプセルは、体積平均粒子径が30μmであり、壁膜の平均膜厚が2.0μmであった。
T.K.オートホモミキサーの回転数を1000回転/分としたこと以外は、比較製剤例1と同様にして、クロチアニジンを2重量%含有するマイクロカプセル剤(水懸濁剤)を得た。得られたマイクロカプセルは、体積平均粒子径が62μmであり、壁膜の平均膜厚が4.0μmであった。
SAS310(ジフェニルアルカン、新日本石油化学(株)製)500gと、アルケンL(アルキルベンゼン、新日本石油化学(株)製)150gと、ナロアクテイーHN100(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、三洋化成(株)製)150gとを配合し、均一になるまで攪拌した後、得られた混合溶液に、クロチアニジン200gを配合し、T.K.オートホモディスパー(特殊機化工業(株)製)にて攪拌することにより、クロチアニジンを20重量%含有するスラリー液(3)を得た。
1.(1) 土壌からの薬剤溶出試験
薬剤溶出試験には、製剤例1〜3および比較製剤例1、2で得られたマイクロカプセル剤を、それぞれ水で20倍に希釈し、クロチアニジン濃度を0.1重量%に調整して使用した。また、比較製剤例3で得られたフロアブル剤についても、水で希釈し、クロチアニジン濃度を0.1重量%に調整して使用した。
蒸留水を計1000mL流水後、上記ガラス通水カラムからケイ砂を取出し、カラム内に残存しているクロチアニジンを、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で定量した。こうして、流水処理後のクロチアニジン量の測定値と、上記マイクロカプセル剤(水懸濁剤)またはフロアブル剤の散布量より算出される初期のクロチアニジン量とから、クロチアニジンの残存率(%)を算出した。この結果を、表1に示す。
クロチアニジンについて、既知である20℃の水に対する溶解度327ppm(mg/L)を基準値とし、この整数倍の濃度のクロチアニジン水溶液を調製した。次いで、各濃度のクロチアニジン水溶液の温度を、60℃と80℃とにそれぞれ調節し、クロチアニジンの溶解状態を目視で観察した。こうして、完全に溶解していると判定できた濃度の最も高い値を、その温度でのクロチアニジンの溶解度とした。
鹿児島県下のイエシロアリ生育地内において、製剤例1で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤)について野外試験を行った。
試験は、(社)日本木材保存協会の規格「土壌処理用防蟻剤等の防蟻効力試験方法および性能基準(JWPS−TS−S)」の記載に準じて行った。
次に、製剤例1で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)を水で20倍希釈し、上記処理土壌区にのみ3L/m2の割合で散布した。その後、処理土壌区および無処理土壌区の中央部に、健全なアカマツ辺材(縦10cm、横10cm、厚さ1cm)を2枚重ねて置いて、放置した。
こうして、試験開始から1年経過ごとに、上記アカマツ辺材の食害の有無を観察した。
その結果、試験開始から1年経過後には、無処理土壌区のアカマツ辺材に、食害の痕跡が顕著に観察された。
1.(4) 木材用防蟻剤の性能試験
鹿児島県下のイエシロアリ生育地(屋外)において、製剤例2で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)について、木材用防蟻剤としての性能試験を行った。
その結果、上記マイクロカプセル材が散布されたマツ辺材は、2年経過後においても、シロアリによる食害の痕跡が観察されなかった。
比較製剤例4
カガライト2号(カガライト工業(株)製、軽石の細粒)100重量部に対し、比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)5重量部を配合し、乾燥して、ネオニコチノイド製剤の粒状物(粒剤)を得た。
比較製剤例5
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、比較製剤例2で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)5重量部を配合したこと以外は、比較製剤例4と同様にして、ネオニコチノイド製剤の粒状物(粒剤)を得た。得られた粒剤のクロチアニジン濃度は、約0.1重量%であった。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例1で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)5重量部を配合したこと以外は、比較製剤例4と同様にして、ネオニコチノイド製剤の粒状物(粒剤)を得た。得られた粒剤のクロチアニジン濃度は、約0.1重量%であった。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例2で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)5重量部を配合したこと以外は、比較製剤例4と同様にして、ネオニコチノイド製剤の粒状物(粒剤)を得た。得られた粒剤のクロチアニジン濃度は、約0.1重量%であった。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例3で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)5重量部を配合したこと以外は、比較製剤例4と同様にして、ネオニコチノイド製剤の粒状物(粒剤)を得た。得られた粒剤のクロチアニジン濃度は、約0.1重量%であった。
薬剤溶出試験には、製剤例4〜6および比較製剤例4、5で得られた粒剤をそのまま使用した。
薬剤溶出試験では、まず、ケイ砂6号(宇部興産(株)製)の含水率が12.5%となるように調整し、このケイ砂を、ガラス通水カラム(内径1.5cm)内に高さが10cmとなるよう充填した。次いで、上記ガラス通水カラム内のケイ砂層の上面に、上記粒剤を3L/m2の割合で散布した。上記粒剤の散布後、上記ガラス通水カラムを密封して、室温で3日間保存した。
蒸留水を計1000mL流水後、上記ガラス通水カラムからケイ砂を取出し、カラム内に残存しているクロチアニジンを、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で定量した。こうして、流水処理後のクロチアニジン量の測定値と、上記粒剤の散布量より算出される初期のクロチアニジン量とから、クロチアニジンの残存率(%)を算出した。この結果を、表2に示す。
比較例1
アクリル変性シリコーン樹脂エマルション(不揮発分48%、商品名「塗料用モビニール(登録商標)7220」、ニチゴー・モビニール(株)製)15重量部と、アクリル樹脂エマルション(不揮発分47%、商品名「塗料用モビニール(登録商標)LDM7156」、ニチゴー・モビニール(株)製)11重量部と、炭酸カルシウム12重量部と、保存剤、増粘剤および消泡剤の混合物1重量部と、水23重量部と、分散剤および保湿剤の混合物3重量部とを配合し、攪拌混合して、防蟻性塗料組成物(1)を調製した。
比較例2
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、比較製剤例2で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、クロチアニジンの濃度が0.1重量%である塗料組成物を得た。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例1で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、クロチアニジンの濃度が0.1重量%である塗料組成物を得た。
実施例2
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例2で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、クロチアニジンの濃度が0.1重量%である塗料組成物を得た。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例3で得られたマイクロカプセル剤(水懸濁剤;クロチアニジン濃度2重量%)を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、クロチアニジンの濃度が0.1重量%である塗料組成物を得た。
比較例3
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、比較製剤例3で得られたフロアブル(クロチアニジン濃度20重量%)剤を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、クロチアニジンの濃度が0.1重量%である塗料組成物を得た。
実施例1〜3および比較例1〜3で得られた防蟻性塗料組成物を、それぞれ、正常健全なスギの辺材からとった、厚さ1cm、幅および長さ3.5cmの木材(試験片)の表面に、塗装用として一般的に用いられる刷毛で、塗装量が200g/m2となるように塗装した。
浸漬操作後、上記試験片の塗膜に残存しているクロチアニジンをアセトニトリルにより抽出し、HPLCで定量した。こうして、浸漬操作後のクロチアニジン量の測定値と、上記試験片に対する防蟻性塗料組成物の塗装量より算出される初期のクロチアニジン量とから、クロチアニジンの残存率(%)を算出した。この結果を、表3に示す。
比較例4
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に、ステアリン酸カルシウムを配合し、攪拌混合後、乾燥させて、クロチアニジン濃度が2.0重量%のマクロカプセルを含有する粉状物を得た。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、比較製剤例2で得られたマイクロカプセル剤を使用したこと以外は、比較例4と同様にして、クロチアニジン濃度が2.0重量%のマクロカプセルを含有する粉状物と、厚さ0.16cmのPVCシート(クロチアニジン濃度0.1重量%)とを得た。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例1で得られたマイクロカプセル剤を使用したこと以外は、比較例4と同様にして、クロチアニジン濃度が2.0重量%のマクロカプセルを含有する粉状物と、厚さ0.16cmのPVCシート(クロチアニジン濃度0.1重量%)とを得た。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例3で得られたマイクロカプセル剤を使用したこと以外は、比較例4と同様にして、クロチアニジン濃度が2.0重量%のマクロカプセルを含有する粉状物と、厚さ0.16cmのPVCシート(クロチアニジン濃度0.1重量%)とを得た。
試験には、実施例4、5および比較例4、5で得られたPVCシートを、幅および長さ各2cmに裁断した試験片を使用した。
上記試験片1片を、20℃および60℃の恒温槽中で、それぞれ、体積が上記試験片の10倍量である蒸留水に浸漬し、24時間静置した。この浸漬操作を、1回ごとに新しい蒸留水に交換しつつ、合計14回繰り返した。
比較例6
カガライト4M号(カガライト工業(株)製、軽石の細粒)を篩に通して、粒径0.15mm以下の担体Aを得た。得られた担体A100重量部に対し、比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤50重量部を配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。
次いで、得られたシロアリ防除成分B50重量部と、乾燥土砂A(粒径が0.5mmを上回り1.5mm以下である土砂(真砂土)7重量部と、粒径が0.25mmを上回り0.5mm以下である土砂(真砂土)10重量部と、粒径0.15以上0.25mm以下の土砂(真砂土)15重量部と、粒径0.15mm未満の土砂(真砂土)68重量部とを配合し、攪拌混合したもの。)50重量部とを配合し、均一に混合して、混合物を得た。
また、得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載の圧縮強さ試験で測定した結果、約10N/mm2であった。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、比較製剤例2で得られたマイクロカプセル剤を使用したこと以外は、比較例6と同様にして、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載の圧縮強さ試験で測定した結果、約10N/mm2であった。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例1で得られたマイクロカプセル剤を使用したこと以外は、比較例6と同様にして、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載の圧縮強さ試験で測定した結果、約10N/mm2であった。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例2で得られたマイクロカプセル剤を使用したこと以外は、比較例6と同様にして、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載の圧縮強さ試験で測定した結果、約10N/mm2であった。
比較製剤例1で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例3で得られたマイクロカプセル剤を使用したこと以外は、比較例6と同様にして、硬化性シロアリ防除組成物を得た。
得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載の圧縮強さ試験で測定した結果、約10N/mm2であった。
試験には、実施例6〜8および比較例6、7で得られた硬化物を使用した。
上記硬化物を、20℃および60℃の恒温槽中で、それぞれ、体積が上記硬化物の10倍量である蒸留水に浸漬し、24時間静置した。この浸漬操作を、1回ごとに新しい蒸留水に交換しつつ、合計10回繰り返した。
高温多湿環境下での硬化物からのクロチアニジンの溶脱を抑制し、シロアリの防除効果を長期に亘って発揮させるには、上記薬剤溶出試験において、20℃でのクロチアニジンの残存率が、40%以上、好ましくは、50%以上であり、かつ、60℃でのクロチアニジンの残存率が、35%以上、好ましくは、40%以上であることが求められる。
製造例1
重合度1300の塩化ビニル樹脂(品名「TS−1300」、販売元「日本塩ビ販売(株)」)100重量部と、可塑剤としてフタル酸ジオクチル50重量部と、充填剤として軽質炭酸カルシウム10重量部と、クレー10重量部と、熱安定剤としてステアリン酸鉛3.0重量部と、製剤例2で得られたマイクロカプセル剤(体積平均粒子径30μm、壁膜の平均膜厚2.0μm)19.3重量部とを、スーパーミキサー((株)カワタ製)で、120℃を超えないようにドライブレンドした。
次に、得られたペレットを、クロスヘッドダイが装着された二軸押出機に投入し、公知の方法により、銅製導線(電線)とともに押出成形することにより、図1に示す、銅製導線(金属導線)1の周囲が防蟻性樹脂成形体(防蟻性の絶縁体)2で被覆された防蟻性被覆電線(防蟻電線)を製造した。
製造例2
製剤例2で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例1で得られたマイクロカプセル剤(体積平均粒子径27μm、壁膜の平均膜厚1.8μm)19.3重量部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、防蟻性被覆電線(防蟻電線)を製造した。
製剤例2で得られたマイクロカプセル剤に代えて、製剤例3で得られたマイクロカプセル剤(体積平均粒子径62μm、壁膜の平均膜厚4.0μm)19.3重量部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、防蟻性被覆電線(防蟻電線)を製造した。
7.散布器の製造および散布試験(実施例9〜11)
実施例9
図4を参照して、ポンプディスペンサ11には、ボトル15の内容量が350mLである市販品を使用した。
透明チューブ13には、透明のポリエチレン製チューブ(内径9mm、長さ約50cm)を使用した。
木材保存剤には、タケロックMC50E(日本エンバイロケミカルズ(株)製、クロチアニジン5重量%を含むマイクロカプセル剤)を水で50倍希釈し、得られた希釈物100重量部に対し、発泡剤としてエマールD−3−D(花王(株)製、陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)3重量部を配合したムース剤使用した。
図5を参照して、イエシロアリによる被害を受けた木材(直径約10cm、長さ約30cmのマツ材)19の穿孔20に、ノズル12を挿入し、ポンプヘッド17を手で数回押圧することにより、木材保存剤の泡を散布(供給)した。木材保存剤の散布状況は、透明チューブ13内を木材保存剤の泡が流れているか否かにより、目視にて判断した。
また、上記散布処理により、穿孔20内に生息していたイエシロアリを駆除(殺虫)できた。
実施例10
図7を参照して、エアゾール缶22には、正立状態で使用される市販のエアゾール缶を使用した。
透明チューブ13には、透明のポリエチレン製チューブ(内径3mm、長さ約30cm)を使用した。
次いで、エアゾール缶22の噴出口24に取り付けられたノズル(直径約3.5mm)の先端に、透明チューブ13の一方側端を接続し、さらに、透明チューブ13の他方側端に、ノズル12を取り付けて、散布器21を得た。
こうして、エアゾール缶22の噴出口24を手で数〜十数秒間押圧することにより、穿孔26内に木材保存剤の泡を散布(供給)した。木材保存剤の散布状況は、透明チューブ13内を木材保存剤の泡が流れているか否かにより、目視にて判断した。
また、散布器21の木材保存剤は、噴射剤によって大きな圧が加えられた状態で散布されたことから、木材25の外表面のうち、ノズル12を挿入した穿孔26の開口端から鉛直方向上方、約30cm程度の部位(穿孔26の他方側開口端)において、木材保存剤の泡Fの噴出が確認された。
実施例11
図11を参照して、ボトル本体40には、市販のプラスチックボトル(内容量500mLのペットボトル)を使用した。なお、キャップ41には、透明チューブ13を挿入するための貫通孔(直径約2.5mm)を設けた。
透明チューブ13には、透明のポリエチレン製チューブ(直径約3mm、長さ約50cm)を使用した。
ボトル39のボトル本体40に、木材保存剤300mLを投入し、キャップ41を取り付けた。このキャップ41の貫通孔には、予め、透明チューブ13の一方側端を挿入し、貫通孔と透明チューブ13との間に隙間が生じないように、接着剤で固めておいた。さらに、透明チューブ13の他方側端に、ノズル12を取り付けて、散布器38を得た。
イエシロアリによる被害を受けた木材(直径約10cm、長さ約30cmのマツ材)の木口に現れている穿孔に、ノズル12を挿入した。次いで、クランプ43で木材保存剤の流量を5mL/分に調整し、ボトル39から透明チューブ13と、ノズル12を介して、木材の穿孔内に木材保存剤を散布(滴下注入)した。なお、散布処理時において、ボトル39の底部(キャップ41と相対する側の壁面)に針を挿入し、空気孔を設けた。
また、上記散布処理により、穿孔内に生息していたイエシロアリを駆除(殺虫)できた。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (23)
- ネオニコチノイド系化合物が、壁膜の厚みが1.8〜4μmであるマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする、ネオニコチノイド製剤。
- 前記ネオニコチノイド系化合物が、クロチアニジンであることを特徴とする、請求項1に記載のネオニコチノイド製剤。
- 木材を保存するための木材保存剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載のネオニコチノイド製剤。
- シロアリを防除するための防蟻剤であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のネオニコチノイド製剤。
- 土壌の表面または内部に散布または注入するための防蟻剤であることを特徴とする、請求項4に記載のネオニコチノイド製剤。
- 木材の表面または内部に散布または注入するための防蟻剤であることを特徴とする、請求項3または4に記載のネオニコチノイド製剤。
- 請求項1または2に記載のネオニコチノイド製剤と、水硬性成分と、土砂成分とを含有することを特徴とする、硬化性シロアリ防除組成物。
- 請求項1または2に記載のネオニコチノイド製剤と、樹脂エマルションとを含有していることを特徴とする、防蟻性塗料組成物。
- 請求項1または2に記載のネオニコチノイド製剤と、熱可塑性樹脂とを含有していることを特徴とする、防蟻性樹脂成形体。
- 防蟻シートまたは防蟻性フィルムであることを特徴とする、請求項9に記載の防蟻性樹脂成形体。
- 電線、ケーブルまたはこれらのシースを被覆するための被覆部材であることを特徴とする、請求項9に記載の防蟻性樹脂成形体。
- 木材保存剤を供給するための供給部と、
前記供給部から供給される木材保存剤を吐出するための吐出部と、を備え、
前記吐出部は、先細形状に形成されており、
前記吐出部の吐出方向下流端に形成されている吐出口の外径が、2mm以下であることを特徴とする、散布器。 - さらに、前記供給部と前記吐出部とに連結される可撓性の供給管を備えていることを特徴とする、請求項12に記載の散布器。
- 前記供給部は、前記木材保存剤を圧力により供給することを特徴とする、請求項12または13に記載の散布器。
- 前記供給部が、ポンプディスペンサ、エアゾール缶、またはポンプ式スプレーであることを特徴とする、請求項14に記載の散布器。
- 前記木材保存剤が、ムース剤であることを特徴とする、請求項14または15に記載の散布器。
- 前記供給部は、前記木材保存剤を自重により供給することを特徴とする、請求項12または13に記載の散布器。
- 請求項12〜17のいずれかに記載の散布器を用いて、被害部、または被害が予想される部位の隙間に、前記木材保存剤を散布することを特徴とする、散布方法。
- 前記隙間に合わせて、前記吐出部の吐出方向途中を切断して使用することを特徴とする、請求項18に記載の散布方法。
- 建物の壁、床または天井に配置される断熱材に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理することを特徴とする、処理方法。
- 建物の床下部に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理することを特徴とする、処理方法。
- 建物の天井部に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理することを特徴とする、処理方法。
- 建物の基礎部に対し、シロアリ防除剤をムース状で処理することを特徴とする、処理方法。
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