JP5174733B2 - メタルコア基板、メタルプレート用導電部材及びこれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回路基板の芯材としてメタルプレートを配置したメタルコア基板、そのメタルコア基板のメタルプレート、及びこのメタルプレートとして用いて好適な導電部材並びにこれらの製造方法に関する。
メタルコア基板は、回路基板の芯材としてメタルプレートを配置してなるもので、放熱性、機械的強度、シールド性等に優れている。近年では、自動車の高機能化、広い車室空間の確保等の要請に伴い、小型で高密度実装を実現するための基板として車載用に広く用いられてきている。
この種のメタルコア基板としては、例えば特許文献1から特許文献5に記載のものがある。これら特許文献に記載のメタルコア基板は、コアとなるアルミニウムや銅等のメタルプレートの表面に絶縁層が形成されるとともに、その上面に回路パターンが形成され、その回路パターンに電子部品が搭載されるようになっている。
このうち、特許文献1記載のメタルコア基板は、絶縁層を介して回路パターンが形成された部分が放熱プレート部とされるとともに、両端部が外部接続用端子プレート部とされ、その端子プレート部においてはコアメタルプレートの一部が絶縁層から露出されている。そして、放熱プレート部に発熱素子や駆動部品を搭載した状態で、樹脂製の箱型のケースに収納固定されている。また、そのケースには、オスコネクタ部が一体形成されており、そのオスコネクタ部内に、メタルコア基板の端子プレート部が外方に向けて突出するように配置され、そのオスコネクタ部内の端子プレート部に外部のメスコネクタが接続できるようになっている。
また、特許文献2では、メタルコア基板の一部の絶縁層を除去して、メタルプレートを露出し、その露出部分にNiめっきやAuめっきを施して、はんだ接続用のパッドを形成している。特許文献3及び特許文献4にも、メタルプレートの一部を外部と電気的接続可能とするために、メタルプレートにめっき被膜を形成することが記載されている。
一方、特許文献5には、表面粗度が小さい圧延銅板からなるメタルプレートを用いる場合に、絶縁層との接着性を高めるために、メタルプレートの表面をエッチングやパルス電解技術により粗化処理することが記載されている。絶縁層との接着性向上のために、メタルプレートの表面を粗化処理することは、特許文献3にも記載されている。
特開2006−253428号公報 特開2004−172425号公報 特開2002−223070号公報 特開2003−332752号公報 特開2008−223063号公報
ところで、この種のメタルコア基板において、特許文献1に代表されるように、放熱プレート部のように電子部品が搭載される部分と、端子プレート部のように外部と電気接続される部分との両方を備えている場合、コアとなるメタルプレートは、前者では絶縁層により被覆され、後者では絶縁層から露出される。この形態においては、絶縁層に被覆される部分では、金属板の表面は一般に平滑であるために、特許文献3や特許文献5に記載のようにメタルプレートに直接絶縁層を形成するのではなく、絶縁層との接着性向上のためにメタルプレートに粗化処理しておくことが必要になり、一方、外部接続部分では、特許文献2〜4に記載のようにメタルプレートを絶縁層から露出するだけでなく、露出したメタルプレートにめっき処理することが必要になる。
いずれの場合も、メタルプレートをそのまま使用することはできず、粗化処理やめっき処理の部分的な加工が必要で生産性が悪い。
上記の不具合を改良する目的にて発明者らは、先に特願2009−89032を出願した。この出願に係る発明は、絶縁層に被覆される部分と、外部と電気的接続される部分との二つの機能を併せ持つメタルプレートを簡単に製作するために、Cu系基材を有するとともに、表面にSn系表面層が形成され、Sn系表面層とCu系基材との間にCu−Sn金属間化合物又はNi−Sn金属間化合物を有する金属間化合物層が形成された導電部材であって、金属間化合物層のSn系表面層と接する面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.05〜0.35μmであり、かつ、十点平均粗さRzで0.5〜3.0μmである事を特徴としている。
この発明により上記の不具合が改良されるが、メタルコア基板用として、絶縁層との更なる接着性の向上、並びに、接続端子としての耐熱性に優れたメタルプレートが求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、絶縁層に被覆される部分と、外部と電気的接続される部分との二つの機能を併せ持つメタルプレートを簡単に製作するとともに、さらなる接着性の向上並びに耐熱性の向上を図ることを目的とする。
かかる課題を解決するために、本発明は、メタルプレート用導電部材、その導電部材から製造したメタルプレート及びそのメタルプレートを用いたメタルコア基板並びにこれらの製造方法を提案する。
先に発明者らが出願した特願2009−89032のメタルプレートは、Cu系基材を有するとともに、表面にSn系表面層が形成され、Sn系表面層とCu系基材との間にCu−Sn金属間化合物又はNi−Sn金属間化合物を有する金属間化合物層が形成された導電部材であって、金属間化合物層のSn系表面層と接する面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.05〜0.35μmであり、かつ、十点平均粗さRzで0.5〜3.0μmである事を特徴としている。
メタルコア基板作成時の熱処理工程や部品実装時において、更なる絶縁層との接着性の向上、接続端子としての耐熱性に優れたメタルプレートが求められており、発明者らは上述の特願2009−89032の改良として、Cu系基材の上にバリアー層としてNi系薄膜層を加えた、所謂、三層めっき品(Ni系薄膜層+Cu−Sn金属間化合物層+Sn系表面層)にて対処しようとしたところ、接続端子としての耐熱性の問題は解決するが、樹脂密着性については満足する性能は得られなかった。
発明者らは更なる研究の結果、Cu−Sn−Ni金属間化合物に着目し、その表面粗さには、金属間化合物形成時に下地となっているNiめっき膜から入ってくる少量のNi、及び、めっき後のリフロー条件が大きく影響している事を見出した。
また、(1)Ni含有量が多いとCu−Sn−Ni金属間化合物自体及び形成されためっき層全体にも悪影響を及ぼすので、金属間化合物中のNiの含有量は1〜70at%の範囲が好適である、(2)Cu−Sn−Ni金属間化合物にNiが含有しやすい最適なリフロー温度と保持時間がある、との知見を得た。
更に、樹脂密着性のためには、Cu−Sn−Ni金属間化合物層の表面の粗さは大きいほうが好ましいが、コネクタとして使用時の端子プレートとしての観点からは表面の粗さに限度があり、それらを考慮すると、樹脂密着性を最大限に引き出し、端子プレートとして高機能を発揮出来るCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面粗さは、Ra:0.1〜0.4μmであり、Rz:1.0〜3.5μmが最適である事を見出した。
また、製造方法としては、バリアー層としての残存するNi系薄膜層と、Cu−Sn−Ni金属間化合物に拡散していくNi量とを考慮し、厚めにNiめっき膜を形成し、NiがCu−Sn−Ni金属間化合物に拡散し易い様に、薄めにCuめっき膜を形成し、更に、めっき後のリフロー条件の加熱を250℃〜450℃とピーク温度を高くし、ピーク温度での保持時間を5〜30秒と長くすることにより、Cu−Sn−Ni金属間化合物にNiが含有し易くなることがわかった。
これらの知見の結果、本発明のメタルプレート用導電部材は、Cu系基材の表面に、Ni系薄膜層、Cu−Sn−Ni金属間化合物層、Sn系表面層がこの順に形成された導電部材であって、前記Cu−Sn−Ni金属間化合物層の前記Sn系表面層と接する面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.1〜0.4μmであり、かつ、十点平均粗さRzで1.0〜3.5μmであることを特徴とする。
すなわち、最外層に形成されるSn系表面層は、導電部材として良好な接触性、はんだ付け性等の電気的特性を有し、コネクタ端子やリードフレーム等に広く用いられているものであるが、そのSn系表面層の下に形成されるCu−Sn−Ni金属間化合物層はその膜厚が必ずしも一様ではなく、凹凸を有している。この凹凸の表面粗さを前記範囲とすることにより、この導電部材をメタルプレートとして利用する際に、絶縁層で被覆される部分については、Sn系表面層を除去すると、露出した金属間化合物層の表面が適度な凹凸を有し、絶縁層を高い接合強度で接合することができる。また、絶縁層により被覆されない部分は、Sn系表面層により導電部材として良好な電気的特性を有しているので、そのままの状態で外部との電気的接続部分として用いることができる。
この場合、金属間化合物層のSn系表面層と接する面の表面粗さが前記範囲よりも小さいと、凹凸がほとんどなくなってしまい、絶縁層との良好な接合強度を得ることができず、また、前記範囲を超えると、絶縁層との接合強度は大きくなるが、Sn系表面層の下に凹凸の大きい金属間化合物層が存在することになるから、特にコネクタ端子として使用したときの挿抜時の抵抗が大きくなるため好ましくない。
更に、Cu−Sn−Ni金属間化合物自体は公知となっているが、本発明での組成範囲は、(Cu+Ni)/Sn=0.5〜3.0(モル量比)、好ましくは、0.6〜1.8であり、Ni含有量は1〜70at%、好ましくは5〜35at%である。更に、Cu−Sn−Ni金属間化合物の平均粒径は0.2〜3.0μmであることが好ましい。
また、本発明のメタルプレートは、前記導電部材の表面の一部のSn系表面層が除去され、前記Cu−Sn−Ni金属間化合物層の表面が露出していることを特徴とする。
さらに、本発明のメタルコア基板は、前記メタルプレートにおける前記Cu−Sn−Ni金属間化合物層の露出部分が絶縁層により被覆されていることを特徴とする。
そして、本発明のメタルプレートの製造方法は、Cu系基材の表面に、Ni又はNi合金をめっきし、次にCu又はCu合金をめっきし、その上にSn又はSn合金をめっきしてそれぞれのめっき層を形成した後、加熱してリフロー処理することにより、前記Cu系基材と最外層のSn系表面層との間に、Cu−Sn−Ni金属間化合物層を形成した導電部材を製造する工程と、該導電部材における前記Sn系表面層の一部を除去して、前記金属間化合物層の表面を露出する工程とを有することを特徴とする。
また、本発明のメタルコア基板の製造方法は、前記メタルプレートの製造方法によってメタルプレートを製作し、露出した前記金属間化合物層の上に絶縁層を形成する工程を有する。
本発明によれば、最外層のSn系表面層の下の金属間化合物層が適度の凹凸を有しており、メタルプレートとして利用する際に、絶縁層で被覆される部分については、Sn系表面層を除去すると、露出した金属間化合物層表面の凹凸により絶縁層を高い接合強度で接合することができ、一方、絶縁層により被覆されない部分は、電気的特性に優れるSn系表面層により、そのままの状態で外部との電気的接続部分として用いることができ、しかもコネクタ端子として用いた場合にも良好な挿抜性を得ることができる。したがって、特別の後加工を施すことなく、絶縁層との接合性を高めた部分と、電気的接続信頼性やコネクタ端子としての挿抜性を高めた部分との二つの異なる機能を併せ持つメタルプレートを簡単に製作することができる。
本発明に係るメタルコア基板の製造方法の一実施形態を工程順に示す断面図である。 本発明に係るメタルプレート用導電部材の一実施形態の表層部分をモデル化して示した拡大断面図である。 本発明に係るメタルコア基板の一実施形態について使用状態を示す断面図である。 導電部材の動摩擦係数を測定するための装置を概念的に示す正面図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
まず、メタルコア基板について説明すると、このメタルコア基板1は、図3に示すように、長さ方向の中央部に配置される回路基板部2と、両端部に配置されるコネクタ端子部3とを一体に形成してなるものである。回路基板部2は、コアとなるメタルプレート4の両面が絶縁層5により被覆され、この絶縁層5の上に回路導体6が形成されており、その上に電子部品7が搭載される。一方、コネクタ端子部3は、メタルプレート4の絶縁層5により被覆されていない両端部がそのままコネクタ端子部3とされ、外部のコネクタ端子8が二点鎖線で示すように嵌合状態に接続されるようになっている。
また、メタルプレート4は、以下に述べるメタルプレート用導電部材11において、コネクタ端子部3となる中央部分の最表面層の一部を除去して、内層の表面を露出することにより形成したものである。
次に、このメタルプレート用導電部材11について説明する。
この実施形態のメタルプレート用導電部材11は、図2に示すように、Cu系基材12の表面に、Ni系薄膜層15、Cu−Sn−Ni金属間化合物層16、Sn系表面層14がこの順に形成されている。
Cu系基材12は、Cu又はCu合金から構成された例えば板状のものである。Cu合金としては、その材質は必ずしも限定されないが、無酸素銅、タフピッチ銅、Cu−Zr系合金、Cu−Cr−Zr系合金、Cu−Fe−P系合金がプレス加工性に優れながら導電率と熱伝導率が高いため好適であり、例えば、三菱伸銅株式会社製OFC,TC,TAMAC4,C151,MZC1,ZC,TAMAC194が好適に用いられる。
Cu−Sn−Ni金属間化合物層16は、後述するようにCu系基材12の上にめっきしたNi合金とCu合金と表面のSnとがリフロー処理によって拡散して形成された合金層であり、Sn系表面層14に接する面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.1〜0.4μmであり、かつ、十点平均粗さRzで1.0〜3.5μmである。
算術平均粗さRaがRaで0.1〜0.4μmとしたのは、コネクタ端子部3として用いる場合には、Raが小さい方が挿抜力が低減して好ましいが、後述するようにSn系表面層14を除去したときの表面と絶縁層5との良好な接合強度を確保するためにはRaが0.1μm以上必要であり、0.4μmを超えるほどに凹凸が大きくなると、Sn系表面層14を被覆したままコネクタ端子部3として用いる際にCu−Sn−Ni金属間化合物層16の凹凸が抵抗となって挿抜力が増大して好ましくないからである。
一方、十点平均粗さRzに関しては、Rzが1.0μm以上あると、絶縁層5に対するアンカー効果が有効に機能し、接合強度を高めることができるが、局部的に山・谷が大き過ぎると、欠陥の原因となる。Rzが3.5μmを超えると、高温時にCu系基材12のCuが拡散してCu−Sn−Ni金属間化合物層16が成長して導電部材11の表面まで達し、これにより、表面にCu酸化物が形成され、接触抵抗を増大させることになる。したがって、Rzは最大3.5μmまでが好ましい。
最表面のSn系表面層14は、Sn又はSn合金を電解めっきした後にリフロー処理することによって形成されたものであり、例えば0.05〜1.5μmの厚さに形成される。このSn系表面層14の厚さが0.05μm未満であると、高温時にCuが拡散して表面にCuの酸化物が形成され易くなることから接触抵抗が増加し、また、はんだ付け性や耐食性も低下する。一方、1.5μmを超えると、柔軟なSn系表面層14の下層に存在するCu−Sn−Ni金属間化合物層16による表面の下地を硬くする効果が薄れ、コネクタ端子部3としての使用時の挿抜力が増大する。
Ni系薄膜層15は、0.05〜1.5μmの厚さであり、リフロー処理前のめっき厚みは、リフロー処理後にバリアー層としてCu系基材上に残るNi系薄膜層15とCu−Sn−Ni金属間化合物層16に拡散するNiの量を考慮して0.2〜1.5μmとしておくのが好ましい。0.2μm以下であるとリフロー処理後にバリアー層として残存せず、1.5μm以上であるとCu−Sn−Ni金属間化合物層16中に存在するNiが多くなり、Cu−Sn−Ni金属間化合物層16の強度に悪影響を及ぼす。
また、リフロー処理前のCuめっき膜は、下層となるNiめっき膜から必要量のNiがCu−Sn−Ni金属間化合物16に拡散し易い様に薄めにする必要があり、0.05〜0.5μmが好ましい。0.05μm以下であるとCu−Sn−Ni金属間化合物層16中に含有されるCuが少なくなり、目的とするCu−Sn−Ni金属間化合物層16を形成出来ず、0.5μm以上であると、下地層のNiがCu−Sn−Ni金属間化合物層16中に拡散し難くなり、Cu−Sn−Ni金属間化合物層16として所望の表面粗さが得られなくなる。
次に、このような導電部材11及びこの導電部材11からメタルコア基板1を製造する一連の方法について図1を参照しながら説明する。
まず、図1(a)に示すように、Cu系基材12として、Cu又はCu合金の板材を用意し、これを脱脂、酸洗等によって表面を清浄にした後、Niめっき、Cuめっき、Snめっきをこの順序で順次行うことにより、図1(b)に示すように、Niめっき層21、Cuめっき層22、Snめっき層23を形成する。また、各めっき処理の間には、酸洗又は水洗処理を行う。
Niめっきの条件としては、めっき浴に、硫酸ニッケル(NiSO)、ホウ酸(HBO)を主成分としたワット浴、スルファミン酸ニッケル(Ni(NHSO))とホウ酸(HBO)を主成分としたスルファミン酸浴等が用いられる。酸化反応を起こし易くする塩類として塩化ニッケル(NiCl)などが加えられる場合もある。また、めっき温度は45〜55℃、電流密度は20〜50A/dmとし、めっき厚みは0.2〜1.5μmとされる。
Cuめっきの条件としては、めっき浴に硫酸銅(CuSO)及び硫酸(HSO)を主成分とした硫酸銅浴が用いられ、レベリングのために塩素イオン(Cl)が添加される。めっき温度は35〜55℃、電流密度は20〜60A/dmとし、めっき厚みは、下層にあるNiがCu−Sn−Ni金属間化合物に拡散し易い様に薄めにする必要があり、めっき厚みは0.05〜0.5μmとされる。
Snめっきの条件としては、めっき浴に硫酸(HSO)と硫酸第一錫(SnSO)を主成分とした硫酸浴が用いられ、めっき温度は15〜35℃、電流密度は10〜30A/dmとされ、めっき厚みは0.6〜2.3μmとされる。
いずれのめっき処理も、一般的なめっき技術よりも高い電流密度で行われる。その場合に、めっき液の攪拌技術が重要となるが、めっき液を処理板に向けて高速で噴きつける方法やめっき液を処理板と平行に流す方法などとすることにより、処理板の表面に新鮮なめっき液を速やかに供給し、高電流密度によって均質なめっき層を短時間で形成することができる。そのめっき液の流速としては、処理板の表面において0.5m/秒以上とすることが望ましい。また、この従来技術よりも一桁高い電流密度でのめっき処理を可能とするために、陽極には、アノード限界電流密度の高い酸化イリジウム(IrO)を被覆したTi板等の不溶性陽極を用いることが望ましい。
これらの各めっき条件をまとめると、以下の表1から表3に示す通りとなる。
Figure 0005174733
Figure 0005174733
Figure 0005174733
そして、この三種類のめっき処理を施した後、加熱してリフロー処理を行う。そのリフロー処理はCO還元性雰囲気にした加熱炉内でめっき後の処理材を250〜450℃の温度で5〜30秒加熱した後、10〜90℃の水を用いて冷却する処理とされる。
以上のように、Cu系基材12の表面に表1、表2及び表3に示すめっき条件により三層のめっきを施した後、リフロー処理することにより、図1(c)及び図2に示すように、Cu系基材12の表面に、Ni系薄膜層15、Cu−Sn−Ni金属間化合物層16、Sn系表面層14がこの順に形成された導電部材11が製作される。
次いで、このようにして製作した導電部材11を図3に示すメタルコア基板1のメタルプレート4として用いるために、図1(d)に示すように、導電部材11において回路基板部2となる領域の最表面層であるSn系表面層14を除去する。このSn系表面層14を除去する場合、導電部材11におけるコネクタ端子部3となる領域にマスク24を被覆しておき、例えばレイボルド株式会社製のL80等の純SnをエッチングしCu−Sn−Ni合金を腐食しない成分からなるめっき被膜剥離用のエッチング液に5分間浸漬することにより、マスク24により覆われていない領域のSn系表面層14が除去され、その下層のCu−Sn−Ni金属間化合物層16が露出される。このCu−Sn−Ni金属間化合物層16は、前述したようにRa,Rzが所定の大きさの表面粗さに形成されており、一方、マスク24により被覆しておいたコネクタ端子部3となる領域では、Sn系表面層14により平滑な表面に維持される。この部分的にSn系表面層14が除去され、Cu−Sn−Ni金属間化合物層16が露出した図1(d)に示す状態がメタルプレート4である。
次に、図1(e)に示すように、メタルプレート4のCu−Sn−Ni金属間化合物層16が露出している部分に樹脂による絶縁層5を被覆する。この絶縁層5は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂の樹脂を熱圧着する、あるいはこれら熱硬化性樹脂を補強材のガラス布に含浸させて半硬化状態にした接着シート(プリプレグ)を積層する、樹脂を液状にして塗布し硬化させるなどの方法により形成される。
そして、その絶縁層5の上に回路導体6を形成すると、メタルコア基板1として完成する。この回路導体6は、絶縁層5に銅箔を積層してなるもので、必要な部分をパターンエッチングするなどの方法で形成される。
次に本発明の実施例を説明する。
Cu合金板(Cu系基材)として、厚さ0.25mmの三菱伸銅株式会社製TC材を用い、表4に示すめっき厚みにて、Ni、Cu、Snの各めっき処理を順次行った。各めっき工程間には、処理材表面からめっき液を洗い流すための水洗工程を入れた。
本実施例におけるめっき処理では、Cu合金板にめっき液を高速で噴きつけ、なおかつ酸化イリジウムを被覆したTi板の不溶性陽極を用いた。
そのめっき処理材に対してリフロー処理を行った。このリフロー処理は、最後のSnめっき処理をしてから1分後に行い、還元性雰囲気にて、加熱温度を250℃〜450℃、保持時間を5〜30秒にて行った。
次に、この処理材について、コネクタ部を想定した領域をマスクにより被覆した状態と
して、前述しためっき皮膜剥離用エッチング液を使用してSn系表面層を除去し、露出したCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面粗さとして、算術平均粗さRaと十点平均粗さRzとを測定した。この表面粗さは、露出させたCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面に、オリンパス株式会社製の走査型共焦点赤外レーザ顕微鏡LEXT OLS−3000−IRを用い、対物レンズ100倍の条件でレーザ光を照射して、その反射光から距離を測定し、そのレーザ光をCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面に沿って直線的にスキャンしながら距離を連続的に測定することにより求めた。
以上の試験条件並びにCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面粗さ、Sn系表面層の最小膜厚を表4にまとめた。
Figure 0005174733
この表4のように作製された試料について、Sn系表面層を除去してCu−Sn−Ni
金属間化合物層が露出している部分にUL/ANSIグレードでFR−4のガラスエポキシ樹脂からなる絶縁層をガラス熱プレスにより厚さ0.2mmで形成した。
そして、Sn系表面層のままの状態としたコネクタ部については105℃×1000時間経過後の接触抵抗、動摩擦係数、はんだ耐熱性を測定し、絶縁層を形成した回路基板部については絶縁層の剥離強度を測定した。
接触抵抗は、試料を105℃×1000時間放置した後、山崎精機株式会社製電気接点シミュレーターを用い荷重0.49N(50gf)摺動有りの条件で測定した。
動摩擦係数については、嵌合型のコネクタのオス端子とメス端子の接点部を模擬するように、各試料によって板状のオス試験片と内径1.5mmの半球状としたメス試験片とを作成し、アイコーエンジニアリング株式会社製の横型荷重測定器(Model−2152NRE)を用い、両試験片間の摩擦力を測定して動摩擦係数を求めた。図4により説明すると、水平な台31上にオス試験片32を固定し、その上にメス試験片33の半球凸面を置いてめっき面どうしを接触させ、メス試験片33に錘34によって4.9N(500gf)の荷重Pをかけてオス試験片32を押さえた状態とする。この荷重Pをかけた状態で、オス試験片32を摺動速度80mm/分で矢印で示す水平方向に10mm引っ張ったときの摩擦力Fをロードセル35によって測定した。その摩擦力Fの平均値Favと荷重Pより動摩擦係数(=Fav/P)を求めた。
剥離強度は、0.25mmの銅板では測定が困難なことから、35μmのTC銅箔上に
同様の条件でSnめっきを施してリフロー処理した後、JIS C 6481の規定に準拠して測定した。
はんだ耐熱性は、JIS C 6481の常態の測定方法の規定に準拠して測定し、絶縁層を形成した回路基板部に膨れ又ははがれが生じたものを×、生じなかったものを○とした。
これらの結果を表5に示す。
Figure 0005174733
この表5から明らかなように、本実施例のメタルプレートは、そのコネクタ部に関しては、高温時の接触抵抗が小さく、動摩擦係数も小さいことから、コネクタ使用時の挿抜力も小さく良好であり、また、耐熱性にも優れていると判断できる。また、回路基板部においては、絶縁層が強固に接合されており、剥離等が生じない接合信頼性の高いものであると判断できる。
また、絶縁層の耐マイグレーション性に関して、JPCA−ET04−2007の規定に準拠した条件で、絶縁層を挟んだメタルプレートと外層銅箔との間に印加電圧DC50Vを加え、1000時間経過後の絶縁抵抗値を測定した。
実施例試料としては、表4の試料1〜5の条件で製作したものの中から三つ選択し、比較例としては、従来技術としての黒化処理をメタルプレートの粗化処理として施したものを使用した。絶縁抵抗値が1MΩ以下となったものを×とした。
Figure 0005174733
この表からも明らかなように、黒化処理による比較例では、絶縁抵抗が低下して不良となったが、実施例のものは不良とならなかった。これは、黒化処理ではCuを酸化物として粗化するため、加湿された際にCu酸化物がイオン化して絶縁劣化を起こし易いためと考えられる。これに対し、実施例のCu−Sn−Ni金属間化合物層は、合金成分のSn
が不動態化するため、金属イオンが溶出し難く、このため絶縁抵抗値が低下することなく維持されるのである。
1 メタルコア基板
2 回路基板部
3 コネクタ部
4 メタルプレート
5 絶縁層
6 回路導体
7 電子部品
11 導電部材
12 Cu系基材
14 Sn系表面層
15 Ni薄膜層
16 Cu−Sn−Ni金属間化合物層
21 Niめっき層
22 Cuめっき層
23 Snめっき層
24 マスク

Claims (5)

  1. Cu系基材の表面に、Ni系薄膜層、Cu−Sn−Ni金属間化合物層、Sn系表面層がこの順に形成された導電部材であって、前記金属間化合物層の前記Sn系表面層と接する面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.1〜0.4μmであり、かつ、十点平均粗さRzで1.0〜3.5μmであることを特徴とするメタルコア基板のメタルプレート用導電部材
  2. 請求項1記載のメタルプレート用導電部材における一部のSn系表面層が除去され、前記金属間化合物層の表面が露出していることを特徴とするメタルコア基板用メタルプレート。
  3. 請求項2記載のコアメタル基板用メタルプレートにおける前記金属間化合物層の露出部分が絶縁層により被覆されていることを特徴とするメタルコア基板。
  4. Cu系基材の表面に、Ni又はNi合金をめっきし、次にCu又はCu合金をめっきし、その上にSn又はSn合金をめっきしてそれぞれのめっき層を形成した後、加熱してリフロー処理することにより、前記Cu系基材と最外層のSn系表面層との間に、Ni系薄膜層、Cu−Sn−Ni金属間化合物層を形成した導電部材を製造する工程と、該導電部材における前記Sn系表面層の一部を除去して、前記金属間化合物層の表面を露出する工程とを有することを特徴とするメタルコア基板用メタルプレートの製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法によってメタルプレートを製作し、露出した前記金属間化合物層の上に絶縁層を形成する工程を有するメタルコア基板の製造方法。
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